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障害をもつひとと災害対策シンポジウム

パネルディスカッション(2)
-災害時の情報保証におけるITとヒューマン・ネットワークの連携を探る-

再開いたします。再開後のプレゼンテーションが二つございます。プログラムの順序をかえさせていただきます。最初に、大嶋さんの発表、スライドつきですので、まず大嶋さんから10分以内でお願いいたします。そのあと、パネリストがとうだんいたしまして、三浦さんの発表を、それぞれ10分以内でお願いいたします。 そして引き続き パネルディスカッションをし、全体のまとめを行います。それでは、大嶋さん、お願いいたします。

大嶋氏
大嶋/ふたつについてだけご報告いたします。ひとつは、私ども障害者放送統一機構とは何か、二つ目に、緊急災害時通信に向けた私どもの準備状況についてです。私ども、統一機構につきましては、パンフレットの20ページ、21ページに載っておりますので、ご参考に。私ども統一機構は7月に結成されました。

同年の9月から実験放送を開始いたしまして、今日まで2年半放送を継続してきました。もちろんこの放送には、手話・文字の両方がついております。1999年10月に実験を終了し、本格放送として立ち上げることになりました、昨年の4月には、それまでにアナログ放送をデジタル放送に変更いたしました。昨年の10月聴覚障害者という名称から、聴覚をとりまして、名前を新にいたしました。障害者放送としました。聴覚障害者以外の障害者の皆様からも、放送としてとりあげてほしいという要望がありまして、新しい組織機構を作るにあたって、障害者放送と名称を変更いたしました。

放送内容は聴覚障害者を中心にした障害者の固有のニュース、、娯楽、芸術、スポーツを行ってまいりました。昨年の秋にはシドニーオリンピックをIOCの強力な支援とNHKのご支援で、手話と文字入りでリアルタイムで放送しました。この画面がその時の画面です。 左端にあるのはNHK総合テレビの放送した映像です。それにあわせた手話が右側に入っております。その下は文字によるようやくです。約3日間、連続して実施いたしました。 今年の4月からは、さらに放送時間数を増やすと同時に、地上波テレビ局での放送を含めた放送体制に入る準備に 今、おおわらわになっております。さらにWGBH、イギリスのBBC、フィンランド国営放送等との連携を始めております。2003年に国際的な衛星中継をカナダより開始する準備を進めております。 緊急災害放送についての私どものさて、東海村臨界事故、昨年、うす山からはじまって、名古屋集中豪雨による災害、こういうものを現地から放送をいたしました。 例えば、東海村の場合ですと、ここに聴覚障害者が65名います。危険区域といわれた1.5キロいないに居住しておられた。4名から5名です。障害者の緊急事態をすべて網羅するのは、できるものではない。きわめて重要な部分ではあるけれども、あくまでも補助であるという立場で取り組んでおります。 この緊急通信の場合、予測、何が起こったか、そしてその後の対策、このこういう三つの情報発信が行われました。 全国的なネットワークを組んだ情報発信の準備という点では、私ども通信体系を昨年の9月までに構築いたしまして、大阪で10月に公開実験を行いました。これは各紙がとりあげて報道をしました。

私たちの放送を見るためには独自の受信機であるIドラゴンという開発受信機が必要です。この中に緊急発進機能をもたせることができました。さらに、緊急自体が発生した地元からの発信。これを全国的に支援するという態勢、これを作り上げるために、全国の情報提供施設を軸にした通信ネットワークを構築中です。名称はCホースです。作業を進めつつあります。このCホースは、 これでほぼ決まるだろうと思っています。 文字と映像を統一機構の放送センターまで直ちに届けることができる。災害が起こった地点からの情報、災害地がギブアップした場合に全国から支援する方法。それを作りつつあります。

高速文字プリンターの開発をしています。現在、リアルタイム文字入力では250字以上が必要といわれています。スピードの問題だけではありませんが、そういわれております。私どもが開発しているものを使いますと、160文字の人が250文字以上のスピードでタップをすることができます。要約能力も高いものになっています。現在実験段階で成功していますが、多くの実際にリアルタイム入力をしている方の協力をいただいて、あらたに機能を開発中です。今、秋には全国規模の実験を実施すべく、障害者の緊急時における対応マニュアルを作成中です。さらに、この放送内容を携帯電話に乗せるという作業をこの2月に2回実験を行いました。2回ともうまくいきました。この実験はもともとNTTドコモに協力を依頼したものですが、この依頼に対して半年間、何の返事もいたしておりません。これが私がさきほど発言したNTTドコモでは無理じゃないかと言った根拠でありますが、これは何も返事をしなかったから無理なんだと言ったのではなく。やはり私は無理なんだと思っております。回線を提供する業者では、コンテンツ開発には無理がある。回線をいかに使っていただいて、料金をもうけるかというのでは、コンテンツをいかすことはできない。ただ コンテンツであるハードができたときに、その回線を利用しやすくしてほしいと思います。携帯電話の発信は4月1日より開始します。ジェイフォントドコモを持っている方で、統一機構の方々には全員、受発信ができます。

これが今準備にかかっているものです。

河村/大嶋さん、どうもありがとうございました。 では、次のプレゼンテーションを三浦さんに行っていただきますが、登壇されるときに同時に、ディスプレイを使いませんので、パネリストの方もご登壇ください。

司会/まず、あいさつからはじめます。 諸先輩方を前に、ここにいることを大変光栄に思っています。私、宮城県、仙台市からまいりました。いわゆる電話屋です。端末をつくっているものではなくて、販売代理店です。 なんで田舎の電話屋がここにいるのかと思われますが、全難聴からの依頼でここにおります。 もともと、私、話をすることが仕事なんですね。最近、すっかり、話がへたになってしまいましたが、もともとテレビやラジオ、CMスポットや結婚式の司会。話が専門でした。ある時、聴覚障害者の結婚式の司会をしたのがきっかけで、僕はもう30になってました。はじめて聴覚障害者の方と出会いました。それ以来、手話の勉強をはじめ、文字通信がはじまったときに、これで聴覚障害者の方と話ができると思い、いろいろ研究しました。 当初、NTTドコモからショートメールという文字通信端末が登場しました。この操作方法が、センターに電話をかけて、音声ガイダンスをきいて、次の操作に進む方式でした。 つまり、耳が聞こえないと音声ガイダンスは聞こえませんから、聴覚障害者のみなさんは、タイミングをあわせてメールを送っていました。途中で失敗して、送ったつもりになって、送ったのに返事がこない。こんなトラブルが当時、ありましたすべての携帯端末を、研究して、聴覚障害者に必要なニーズを考え、それから電話屋の仕事がはじまりました。

パネルディスカッション風景

現在、みなさん、携帯電話をお使いになつていると思いますが、電話をかけて相手が出たときに、自分の電話がブルッとなる機能をご存知ですか。 これは、最初はなかったですが、開発の方々がどういう経過でこのようになったかはわかりませんが、当初、私どもが、あるメーカーさんに提案して、聴覚障害者がメールを送る場合の確認、視覚的情報が大事な立場ですから、送信が完了するまで画面とにらめっこというわけにはいきませんから、それを提案して、いつの間には世の中に広まっていました。 僕らの提案によりそうなったかどうかわかりませんが。

それから先日、NTTドコモのこうした端末があります。エクシーレというものです。ドコモさんが聴覚障害者の方が、いわゆる電話機のかわりに使って欲しいということで私どものところにきました。ところが、着信は音で知らせる。バイブがない。これはバイブがなければつかえないということですが、提案しましたら、これはまだ試作器段階ですが、さっそく作ってくださいました。 大きいので持って歩くのは大変ですので、カバンにいれますので、こちらがバイブする。これを提案して、実際製品化に向けて準備しています。 田舎の電話屋が、何が出来るかと言うことでお考えいただくと、こういう提案をメーカーにしていました。

さて、本題のほうにはいりたいと思います。先ほど、大蔵さんの素晴らしい講演がありました。そのなかで、東海村の方々のビデオが出ていましたね。あれは、フジテレビの、ニュースジャパンという番組の中で、ろうの方が出ていました。

はじめはわからなかった。PHSの会社からFAXがきて、状況をはじめてしることができた。あのFAXを流したのが、私でした。残念ながら字幕では会社からPHSにあったと間違った放送がされていたようですが。僕がなぜ送ったかというと、プラスボイスという会社ですが、ユーザさんから僕が電話を受けます。聴覚障害者にあった電話を僕なりに選んで紹介しています。それで、みなさまに実際にお使いいただいて、これに変えたらよかったと。それに後押しされて、ユーザがなぜ三浦のいうのがいいんだろうと、真剣に考えてくださるようになって、プラスヴォイス倶楽部ができました。東海村中心にして200名おりました。ユーザ顧客の電話番号はすぐわかりますから、NTTドコモのFネット、今、テラネスというものがありまして、一斉にFAXが送信できる機能があります。200名、内、ご家族でお使いの場合がありますから、一斉に100件に送信しました。僕が情報収集したのはインターネットです。いなかの電話屋は貧乏会社で、1件あたり25円かかります。それが、東海村の臨海事故では、おこっています。つぶれるかと思いました。 そこで、Eメールを全国に配信しました。 残念ながら、東海村の事故のころは、うちのユーザにはEメールを使うように指導していましたが、そこまでまだいたっていません。ところが、僕が全国に配信した内容は、茨城県の友人がいたら、直送にてお知らせしてくださいという内容で送っています。 先ほど、大蔵さんの話のなかで、最近110番、各都道府県警がEメールを使った窓口を開設しています。いろいろ問題があります。 昨年はNTTドコモのサーバがおちたという報道がありました。聴覚障害者のライフラインとしては重要と考えています。そこで、100番、警察にも話をしました。 なぜ設置したか。障害者の人が求めているから。センターメールでも便利だというところがあったんですね。 我々考えているのは、聴覚障害者の方が本当に必要としているもの、今までFAXだけの生活が、携帯電話をもつことによって、以前より確実に生活向上しています。ただ、本当に、大蔵さんの話のように、阪神淡路大震災の時に、10円はもっているけれどもどうしようもなかった。

山森さんの回答は、FAXが設置できない事情があったということでした。ただ、聴覚者がもとめているのは、電話をしたいということです。今の携帯電話、電話になっているかどうかです。私は、直送できるもの、センターをつかわない、いわゆる音声通話と同じ方式の通信。これが私どもプラスヴォイスが考えている提案です。 それは、普通わたしたちが電話するとき、僕がある方に電話をすると、ある方には料金負担をかけません。僕が負担します。メールの場合どうでしょう、ファックスの場合は? 緊急の場合を含めて、そのような通信手段等を確保できるよう、東海村の経験、ファックスやE-mailを送信する、それでもまだ不安でした。今回は事例報告ということでしたので、東海村を例にとってご報告させていただきました。ありがとうございました。

河村/短い時間に、手短にまとめていただきまして、どうもありがとうございました。お約束の4時というのが、時間が切迫してまいりましたので、藤澤委員長のご同意を得まして15分だけ延長させていただきたいと思います。まとめにどうしても30分ぐらいは必要だと思いますので、せっかくの議論を尻切れとんぼにしないために、ご了承いただきたいと思います。 これから、まとめの議論に入りたいと思います。まとめの議論のなかの2つ最初にご提案します。 休憩以前の議論で、あまり十分ではなかった、では、当事者(障害を持つかた)、被災地からどのように発信していくのか、それを全国で適切に受信するような仕組みをどのように考えていくべきなのか、そして、情報のシステムをずっと議論しましたが、それを支え、実際に動かしていく上での、日常の備えを含めたそれがどうあるべきなのか。制度・人のネットワーク、今、休憩の後の2つのプレゼンテーションを含め、さまざまな経験が各地で積み重ねられつつあります。

今日すべての議論をするのは不可能ですが、限られた時間の中で、今後の障害者放送協議会、あるいはここにいらしているそれぞれの団体・個人の方がもってかえってそれを育てていくための糧となるようなそういうご意見をたまわりたいと思います。一点申し上げておきますが、今回、それぞれ団体からこちらにパネリストとしておよびしている皆さんのお立場ですけれども、それは、ここでその団体はこういうふうにやっていきます、こうしましたと、という答弁をするためにいらしていただいているのではありません。それぞれその団体で、これまでかかわってこられましたお仕事の専門家として、専門的な知識をおもちの方、個人としてのご見解をいただくためにいらしていただいておりますので、必ずしも組織に対するご質問、ご批判について、ここで組織を代表してお答えする立場にはない、という予定でいらしいていないということもあわせて申し上げたいと思います。 つまり、そのパネリストの方が、明らかに自分の組織にそれに対して向けられて発せられたご質問であっても、あくまでも専門的な知識をお持ちの個人としてのご発言の範囲です。

放送協議会として、ここで出たことで、やはりその団体組織にフォローアップとして、展開はいかがでしょうか、と。それはまた改めてシンポジウムの総括の作業の中で改めてご紹介をする、という形で今後の取り組みをしたいとと考えております。その点ご承知おきください。 それでは、そのような前提で、あとはフリー討論でいきたいと思います。まずパネリストの方からどうぞ。

パネルディスカッション風景

山森/事例紹介でも触れられていましたが、これはお話があったように山森個人としての見解ですが、そういう業界で生きている者の意見とご理解ください。

弊社のようなところを通信ということですが、情報流通という聞きなれない言葉を使わせていただきました。情報通信という言葉、電気通信と使っていたのですが、通信と流通は実は違うと、私どもが考えている一つです。それは、今まで弊社を含めてお客様が送った情報が受け手に届けば通信は完了しております。

その情報をしっかりと捕らえて役立てていただかないと、無駄なことになります。見かけ上、情報を送ってもそれが最終的にやくだたなければお客様が理解してそれを活用していただくというところ、それが流通といっているところです。そのためには、当然ですが、送る仕組みとともに、お客様とネットワーク、通信との接点が大事です。 先ほどから公衆電話機とか色々とご紹介させていただいたように、送る仕組みと、両側、送る側と送られる側、 いただくというところ、それが 流通といっているところです。 そのためには、当然ですが、 送る仕組みとともに、お客様と ネットワーク、通信との接点が 大事です。 先ほどから公衆電話機とか 色々とご紹介させていただい たように、送る仕組みと、両 側、送る側と送られる側、有効に使っていただけるのかな、とおもいまして、私どもの事業、通話料金をいただくだけではない、というところにシフトしているという点について、了解していただきたい。神戸の例でも、結局使えなかったんじゃないかとのことでしたが、まさにそのとおりです。 弊社もそうですし、弊社以外の電話機やファクシミリ、。。。反省するところでございます。ではどうするか。アクセスビリティのガイドラインこれからそこのレベルを上げていこうと思います。

きれいな画質で絵が移るかという、通信の一番基本のところだけ法律で定まっておりましたが、そこだけではいけないというのが、この業界でも気づいているところです。そのレベルを上げていくというところで、スピードが遅いといわれれば、これは全く逃げるすべもありません。私どものところで、作れるというと売れるというのはだいぶ違っておりまして、妥当な価格で、そういうところで皆様に提供できるように、私自身の仕事でいくと、技術開発しなければいけないし、営業は営業で努力してというところで、私どもの業界、そういう意味でより伝えやすいものをご提供していきたいとがんばっていきたいと思っています。長くなりました。

河村/ありがとうございました。それではパネリストの方、他の方でご意見は?

大蔵/いままでお話をうかがいまして、二つお話ししたいと思います。一点目は、大嶋さんのお話を考えられた場合に、放送という分野がありまして、先ほど、藤澤さんのほうから、携帯電話の数、いろいろな機能があるという話がありました。それについて、機能を省いたときに、最低の機能、無駄な機能をはぶいた場合、最低の機能、送る必要のない機能はないか、音声なのか、最低の条件は、音声だと思いますが、私たちは、その音声では使えません。そういう話ができません。聞こえない。だから、最低の機能は何か。 それはダイレクトなメール。それを通話として使うことを、忘れないでほしい。先ほど、三浦さんのお話にありましたように、一緒に進める部分があったので、ともに歩み寄ってがんばった立場もわかります、ということです。

河村/ありがとうございました。 全体として、特に情報基盤の整備、いわゆるインフラに関わるものを、それぞれの障害の特長に応じて別々につくるということは、ほぼ不可能だろうというのは、みなさんの共通の理解だろうと思います。その前提のうえで、インフラとしての、例えば携帯電話という仕組みの中で、それぞれの障害をおもちの方が、最低限これだけは共通機能として電話機が備えていてほしい機能は何か。それをもっと明確にしてほしいという提言だと思います。これは、違う表現をすれば、これはユニバーサルデザインとか、あるいはみんなが使えるためのデザイン。そういう考え方として、障害をもつ方も、そのデザインの中で、最低限、誰でも使えることの、保証される機器はどういうものか。 今現代的な技術開発の課題と結びつくご提言だろうと思います。この点につきまして、もう少しご意見おもちのかた、お願いいたします。川越さんどうぞ。 川越/ユニバーサルデザインにこだわる必要はないと思います。今も障害種別の機能限定の発想というのは、現実的ではないかと思います。そして、神戸の経験から申し上げると、日常使っている道具、あいるは携帯できる、ポケットに入るような、日常道具。これがポイントだと思います。これは、端末の側の問題もさることながら、コンテンツのからみも出てくると思います。

河村/藤澤さんどうぞ。

藤澤/電話の機能のほうで。私から。最低の機能と申しましたが、最低の機能を一つに統一することはないと思います。さきほど、日常使っているということは、障害当事者が日常使うということなのでて、それにあった機能がそなわっていればいいわけです。例えば、音声は、音声、絵は絵で最低の機能がある。また、音声だけども、普通に私がしゃべる音声では聞き取れない。だから、スローにして電話から伝えてくれる機能があればいい。そのように、特定の機能をもったものを何種類もつくる。知的障害者は特にそうですが、重複障害をもつとか、言葉では理解できないけれども、ひらがななら理解できるということがありますので、そのへんのところの開発が大事ではないかなと。

先ほど、私の話の中で、自然災害ともう一つ災害があるといいました。それは、人的な災害です。もう一つあります。知的障害者の場合は。それは、自ら招く災害です。それに対して有効な機器の開発が必要だと思います。今、携帯電話でも、10秒ごとに自分の居場所を発信する機能。それをもっと高めていただく。障害の重たい人たちが、夜遊びにいってしまった。避難したけども、まさどこかに遊びにいってしまう。二次災害、自ら招く災害をどのように防ぐかに対しても、効果的な機器の開発は大切ではないかと思います。そんなことでよろしくお願いいたします。

河村/ありがとうございました。この点についてもう少し議論はいかがでしょうか。

川越/予算の問題だと思いますが、例えば、何もかもNTTの責任ということにしたら、これは各メーカー、企業はビジネスをやっているのでうまくいかないと思います。それで、注目したいのは、自動車改造費と同じように、情報通新分野において10万円を限度に平成13年度に予算化されました。これをもう少し努力して、より有効に使えるようにして、ある程度障害にあった、先ほど提案されたように、障害種別にあった機能を限定化したり、機能を増やしたり。そういう改善費、予算化されているわけですから、滝沢さんにがんばっていただいて、実行できるような、プランにしていただきたいと思います。

河村/ありがとうございました。予算の問題が出てきましたが、先ほど滝沢さんのほうで触れられたことで、これは私自身の意見になりますが、今議論しているような地域的に甚大な被害をこうむる災害の場合、例えば知的障害、精神障害者の方が、自分の信頼できる、相談できる相手が同じ地域にいた場合、同じ地域のみにいた場合、非常に深刻な事態になると思われますが、もともと、遠くにいる人と交流の機会が少ない知的障害者の方、あるいは精神障害者の状況があるとすれば、日頃から、交流の輪が広がっていないと、緊急時にももろい立場になると思われるわけです。 救援してくれる、本当に信頼できる人が、被災地域の外にいる必要があるわけです。 それと、本当に、地域にいる人たちとが結び合ってはじめて救援がなりたつわけですから、やはり、こういう災害対策としても、日頃から、知的障害の人がコミュニケーション手段を使う動機付け、友達が遠くにいる。そういう人たちと、日頃からコミュニケーションすることが、日常生活の中に入っている。そういう広がりというものが必要だろうと思います。

これは個人としての生活を楽しむということつながりますし、社会参加をすることにも通じると思いますが、そういった面での行政的な、きちんとした支援がないと、ある地域の中の防災対策だけでは手が届かない。そのためには、日ごろのどういうテレコミュニケーションがあるのか。もっと日常にコミュニケーションができる環境というのが放送、あるいは通信といったものでありうるのではないか。

他に、いよいよ時間がせまってまいりましたが、私どもがこれから障害者放送協議会として取り組む上での貴重なご意見をいただきました。あと10分ほどになりましたが、その間にそれをもちまして、今後の協議会の実際の糧としていきたいと思いますので、会場全体を含めてご意見がある方は、挙手をお願いします。

パネルディスカッション風景

会場/日本盲人会連合の川原と申します。 これはお願いばかりで恐縮なのですが、NHKの方にお願いがあります。視覚障害者というと、日常生活はテレビなんです。ラジオではなく、テレビの、先ほどの話のなかに緊急災害のときに、テレビでテロップを流し、音はラジオでと、僕は認識しました。これはお願いですが、デジタル放送の副音声の中で、ラジオのニュースを入れるように研究していただきたいと思います。 これが1点です。2点目なんですが、さきほど川越さんから役所というのは、なかなか小回りが聞かない。実際に災害対策室に障害者を入れて研究しないとという話がありました。 そんな中で、これから2003年めがけて、デジタル放送がふえていくと思うんです。 特にBS関係は、かなり画面を見ながらリモコンで操作する作業が増えてくると思います。ぜひ、こういう開発のなかに視覚障害者を入れていただきたい。よくいろいろな意見を出していただければ良いものができるんじゃないかと。これもお願いです。

最後ですが、市民ネットワークをどう使うかを検討したい。私のメモにあるのですが、各団体、それぞれネットワークは持っていると思いますが、緊急災害時にそういう情報を各団体のところに情報として流すことはできるのかな、と。ぜひ、それも検討していただきたい。前向きな回答をお願いしたい。機会があれば。

河村/1点確認したいのですが、副音声のなかにラジオのニュースの音を入れられないかということですね。今のご発言に関すること、それ以外のことでもご意見を求めたいと思います。

会場/1999年9月30日の臨界事故が起こった日にテレビを見ていて感じたことを放します。参考にしていただければ。その日、私は手話ニュースは臨界という言葉の説明から始まりましてまったく、核とかいうそれはそれでよくわかったのですが、専門的な知識をもっていなかったので、 わかりませんでした。 その手話ニュースを見てびっくりしたのが、やはり映像でぐるぐる巻きになって運ばれたというのを見て、そこで初めてソファから飛び降りたぐらい何と恐ろしい事故なんだと思いました。それがこの後どうなるのかはわかりませんでした。その後、明日は全国的に晴れるでしょう、というニュースで終わってしまったので、そのままこんどは9時から総合テレビのニュースを見ました。それが深刻なニュースなのかどうかがわかりませんでした。同じ内容を5、6回繰り返したと思います。東海村でこういう事故が起きたので。。。という話を何キロの方は出ないようにという話でした。3回目に繰り返されたころに、そろそろ文字であらわれればと思ったのですが、ずっと現れずじまいでした。 それから、手話ニュースをやっているのだから、手話通訳者がいるじゃないか、と。同じ建物に手話ニュースのその人を呼んできて画面に出すことができるんじゃないか、と。

東海村の様子も画面には出てきたと思いますが、キャスターの男性が話をしている様子だけでした。どちらかというと、手話通訳者が出て、声だけは男性の声でもいいのですが、その方がもっと情報が伝わったんじゃないかと思いました。

いまは音声を字幕にあらわす装置が開発されて、7時と9時のニュースでやっていますが、確かそれはスタジオの中だけの音しか拾えないと聞いています。中継の音声は拾えないというとのこと。そういった体制を、NHKで臨機応変にとれるようにできないのかなというのが意見です。

河村/ では、最後に、滝沢さんお願いします。あとパネリストの方で、発言し残したこと、手短にご発言いただきまして、まとめさせていただきたいと思います。まとめといたします。

会場風景

滝沢(孝)/多分その時点で臨界事故の影響のようなものがハッキリとした形でいえる情報がおそらくなかったんだろうということです。 それで、今おっしゃったような事故の情報だけで、放射能の影響がどうなるかという、正確な情報は、やはりドクターなりの学者なりの話をとってからということで、 他のニュースでもそうですが、中身を正確に伝えるためには、ある程度の時間がかかるんではないかと思います。 それと、手話ニュースのあとにという、そのへんの体制がうまくできるかどうかというのが、今後検討課題だと思います。ニュースの字幕も、昨年の7月からはじめていますが、まだスタジオの中だけですが、鋭意、それがどんなところでも

できるように、との努力はしておりますが、人の言葉を認識してそれを文字に変える技術というのは非常に難しいことがありまして、今のところは1時間に最大のところ、スタジオでアナウンサーがしゃべる部分を出していって、さらに技術が進歩すれば、現場からの中継もできるかと思いますが、それはすぐには技術的には無理だということでご了承いただければと思います。 河村/ありがとうございました。おそれいりますが、山森さんからそれぞれの結びのコメントをお願いしたいと思います。

山森/色々ご意見賜りまして、ありがとうございました。特に最後、休憩後に出ました必要最低の機能というのは、必要なものだと思います。幸いにして、私も参加しているアクセス協議会という中の利用者協議会、障害をお持ちの方の団体で、今年度、まとめているというのが現状です。またそれをふまえて、その後技術的にできるところをということでレベルを上げていくという段取りになっています。着実に進んでおります。現状報告させていただいて終わりたいと思います。

河村/ありがとうございました。

滝沢(武)/精神障害の方が何かの発信をするときにも、そのシグナルがうまく伝わらなくて本人の責任が問われるような形になってしまうのが、実はコミュニケーション障害。先ほど言いましたような、心の電話。本人が日ごろから相談をしたり、対応を求める、受け皿を作ることを今後ぜひ考えていきたいと思います。 当事者の問題ですが、先ほどいみじくも機器開発に当事者を入れる、ことで 障害者しさくについても色々といわれていることですが、意識的に努力をしていかなければならないと思います。

先ほど障害者の災害避難所の時に障害種別ごとに受け皿ができないかということがありましたが、優先ということはできないと思いますが、障害者特別立法のようなものがあるとすれば、一定の社会的弱者いろいろな状態の人がいると思うのですが、、法せさく上、案外必要なのかもしれないと印象として思いました。皆様に報告して、もしそれが必要ならば、そういう要請をしたらいいのかな、それは少し違うのですが、政策上の問題も。。。

河村/ありがとうございました。

河村/川越さんお願いします。

川越 /ネットワークの構築を行う必要があるだろう。これはNPO各地域で障害者の災害時の対策を考える。町を知り尽くすことが必要だと思います。部長のほうがいいよといったようなことを日常の中で確認しておいて、特に地元のラジオ局や新聞記者と親しくするとかですね。有事の際に、具体的にこう助けてください、今こういう状況だということをすみやかに情報発信できると思うんです。そうすると、災害規模の把握の困難性・情報の限界をより緩和して、より救援が速やかに行えると思います。そして、機器開発の問題で大事なのは、障害者の世界というのはお金にならないというのが、メーカーの人たちの同じ発想だと思ます。大手プラスベンチャーをひっつけてもらって、大手では面白くないけれど、ベンチャーでは利益が出るような仕組みを考えてあげて われわれ当事者が「これは必要だから作ってほしい」というように、先ほどのような改善費などの予算も出して知恵を出していく必要があるのではないか。やはりビジネスにしなければNTTさんの気持ちだけで改善を待っていたらこれはダメだと思います。 もっと賛成してくださいよというならば、われわれも努力しなくてはならないのではないか。ビジネスにする発送も必要だと思います。

河村/ありがとうございました。大蔵さんお願いします。

大蔵/聴覚障害者は長い間、通信方法はFAXだと思われますが、通信状況が変わってきております。インターネット通信,パソコン通信など、現在字幕パソコンなど、今のような情報,プロジェクター、携帯、皆さんと同じようにかえるようになっています。我々難聴者としても、その範囲では、探す、一緒に歩み、NTT、DDI、J-PHONEなど、一緒に歩みながら、いろいろな障害をもつ方々も、またともに歩むという形を望んでいきたいと思います。短いのですが、本日はありがとうございました。

河村/藤澤さんお願いします。

パネルディスカッション風景

藤澤/ ひとつはNHKの方にお願いなのですが、障害者の放送枠に、最初にデイジーの画面をみたと思いますが、いわゆる、イラストを使ったニュースを取り入れていただければ、知的障害者にはわかりやすいと思います。その開発をお願いします。 それから、渡辺さんからやはり、当事者が参加をという話がありましたが、阪神淡路大震災をみますと、当事者からみた目で報告書ができているというのは、本当に少ない。 り入れていただければ、知的 障害者にはわかりやすいと思 います。その開発をお願いし ます。 それから、渡辺さんからやは り、当事者が参加をという話 がありましたが、阪神淡路大 震災をみますと、当事者から みた目で報告書ができている というのは、本当に少ない。一般の社会の中で、いろいろな事件やトラブルに巻き込まれたが、それが知的障害者本人が、こういうことで変わったというのは、プライバシーの問題もあるので、どの程度公開されていいのかという問題もありますが、しかし、あまりにも、一般の事件にくみこんでしまうために、実態がわからないというもどかしさがあります、そのへんのところを、改善して、実態がわからなければ、そういう意味での対策もたてられません。 今回の阪神淡路大震災をみても、報告書をみても、当事者がこうだという意味での発表がないということについては、私は渡辺さんとまったく同感で不満をもっている一人です。 今後、そういう意味では、当事者をだしてきて、当事者からじかに声を聞くのも大事だと思います。そんなふうなことで、反省いたしました。今後何かに役立てればと思っています。 以上です。

河村氏

河村/ありがとうございました。 大変みなさん熱心にご意見をいただきまして、時間を延長させていただいております。最後に、まとめなんですけども、本日、すこし欲張ったテーマについて、多岐にわたるご意見をいただきました。 これは、障害者放送協議会の災害対策ワーキンググループとして、十分、咀嚼して次の一歩は何かということでまとめて、また、私どもの、目標である実践的な解決を探るという方向に向けて、改めて機会をもうけて、皆さんにぜひご参加いただいて、ご検討いただく機会をつくらせていただきたいと思います。最低で3年ぐらいかかる、取り組みだろうと思います。その中で、できるだけ早くこういうことでやってみようという、一つのシステムとは限りません。いくつかの工夫を紹介しあう、そしてその中で、共通点はどこの地域にいても、障害をもつ人も、高齢の人も安心して災害のときに情報を得て、自分が判断をして、もっとも適切な方法を取り得る、そのための情報の支援はどうあるべきか、開発はどのように進めるのか。議論だけではなく、実際の試験的なシステムを動かす、体験した結果をみんなで交換する。それもワーキンググループの中でできるだけ早く着手して、一刻も早く災害から障害をもつ人が、きちんと身を守れる、支援ができる体制をつくりあげることを目標に今後活動していきたいと思います。最後になりますが、障害者放送協議会というのは、非常に歴史の浅い組織でありますが、多様な障害分野の要求を集めることができ、そしてそれを具体的な成果はいくつかありますが、一つは著作権法を改正させる、原動力となったのがこの協議会です。その結果、昨年著作権法が、障害者の情報提供にかかわる部分2点を改正して、本年の、1月1日午前0時よりそれが発行しました。その結果として、点字の世界では、点字情報をインターネットを通じて配信する。これが完全に合法化されました。それが一つの大きな成果です。

もう一つは字幕送信です。放送の音声、これをリアルタイムでインターネットを使って字幕送信をする。これが、一定の範囲で認められました。 それを、記念して、障害者放送協議会として全力をあげて、今年の元日、午前0時から字幕送信をしました。現在、毎週1回「ヒーロー」という話題の番組を、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会で毎週1回、その送信を継続しておりまして、さらに日本障害者リハビリテーション協会と全国の聴覚障害者情報提供施設、これが、今後、この字幕送信を拡充していく、そういうみととおしをもっています。このような、実績に根ざして、今、盲ろう者にこの字幕送信を受けられるようにするという技術開発も進めています。これも、障害者放送協会連合会と、連携した活動として行われています。微々たるものではありますが、前進もあり、そのための技術的な開発も行って、こういうことで、解決していってはどうかと、自らも障害者団体、支援者団体が努力し、そして、広く産業界にも呼びかけて、誰もが安心して災害に強い社会をつくるために貢献したいと考えているわけです。 このような、活動を今日を契機に、さらに障害者放送協会連合会として、ぜひ皆さんも今後ともに、こうした活動にご参加いただければ、あるいはご支援いただければと思います。 これをもちまして、シンポジウムをとじさせていただきまして、進行にお返ししたいと思います。 どうも、シンポジウム、長い時間、ご参加ありがとうございました。

司会/以上をもちまして、すべてのフログラムを終了しました。長時間ありがとうございました。 最後にお願いです。アンケート用紙を忘れずにお出しいただければと思います。よろしくお願いします。 以上です。 前後しましてもうしわけありません。最後に手話通訳の方と、パソコン要約筆記の方に盛大な拍手をお願いしたいと思います。