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障害をもつひとと災害対策シンポジウム

緊急災害時のNHKの情報伝達について

NHK編成局 統括担当部長 滝沢 孝司

滝沢孝司氏
 ご紹介にあずかりましたNHK編成局の滝沢です。編成局というところが、どんなことをしているかということをお伝えするためによんでいただいたと思っております。NHKには様々な組織があり、番組をつくったり、ニュースを報道するところがありますが、編成というのは、今NHKの放送は、ラジオ、テレビ合わせて、ラジオが3波、テレビが衛生あわせて5波とたくさん放送していますが、そういう放送をいつどこにだしていくのかという、決めていくか、その全体をコントロールするのが放送の編成という仕事です。ニュースをいつ出すのかとか、いろいろな放送番組をどう出すかを決めているところです。そのなかにも今日のテーマにございます、災害緊急報道というのがあります。この災害の緊急の報道というのは、これは、単に編成局がいつだすというふうに決めるものではない側面、当然地震などがありますから、NHKのニュースをになっている報道局があります。朝のニュース、あるいは夜のニュースをだしているところです。そこの報道局と、編成局が共同して、放送をだしています。ということで、私がうかがってお話をさせていただきます。

まず、緊急災害時の障害者の方々向けにどういう報道をしているかということが、今日のテーマですが、それ以前に緊急災害時の報道をどういうふうに出しているかの一般論を簡単に説明させていただきます。緊急災害時の報道といいますと、一番大きなものとしては、ご存知のように、地震があります。今日も阪神大震災のことがずいぶんテーマになっておりましたが、地震の緊急報道というのは、NHKのもっとも大事な放送の一つです。

これは災害対策基本法という法律と、大規模震災対策特別措置法という、そこの法律のなかにNHKが指定の機関にされているということがございまして、テレビ、ラジオをご覧いただいている方には、時々出てきます地震の字幕、テロップといいますが、あるいはあるいはラジオのなかでの緊急の放送というのはご存じかと思います。 地震について、多少細かくなりますが、いくつかの段階のレベルで地震の報道をしてまして、震度というのがありまして、震度の強さによって、報道のタイプを変えています。

地震でいいますと、震度3の地震がおきた場合と、5以上、それから、6弱以上とわけています。震度3から4の間では、テレビで、総合テレビとか、BSの第一、第二、昨年できましたハイビジョン。これに字幕スーパーをつけまして、ご存知かと思います、震度いくつの地震がおきました。震源地はどこですということを字幕スーパーでだして、一方、ラジオでは放送をしているときに、別のアナウンサーが何時何分にありました。とアナウンスしますが、さらに震度があがって、震度5になりますと、番組を中断しまして、テレビですと、アナウンサーが顔を出して、ただいまどこで地震がありましたというような形でやる場合がございます。ラジオは、放送しています番組を中断して、そこでアナウンサーが地震情報を伝える。この5の場合は、地震のエリアが狭い場合ですと、番組中断しないで、先ほどの3と同じような形での文字情報とラジオの放送のうえにかぶせるような形でやる場合もあります。

一番、情報でもっとも、きちんと情報を伝えなければならないのは、震度6弱という、もちろん、神戸の震災、あるいは鳥取西部の地震、昨年は三宅島の噴火がございまして、伊豆諸島で震度6弱以上の地震がおきましたが、その時は、テレビ、ラジオのすべてのなみを中断して、これは、ある種、自動的に地震情報を流すことになっています。ですから震度6弱でいいますと、どんな放送をやっていても、すべての放送を中断して、総合テレビ、教育テレビ、衛星の波がありますが、これとラジオのすべて、放送を中断してやります。これをやりました後、被害の状況、津波があるかないかを含めて、その状況でさまざま判断しながら、基本的には、総合テレビを地震情報を続けるということを基軸にして、他の教育テレビや衛星放送の波は、順次普通の番組に戻していくという形で、基本的には総合テレビで放送しています。これはおわかりのように、大きな地震のときに、すべての方が総合テレビをみているわけではないので、教育テレビをご覧のかたもいますし、衛星をご覧になっている方もいます。その場合には見ている波ですぐにわかるという形をしておりまして、その後、総合テレビで、地震情報を流し続けます。ラジオの場合も総合テレビと同じような役割、同じようなことでラジオ第1放送が地震情報をしています。被害の状況等で、ある程度の状況をつかめて、さまざまな情報が一定程度出たところでその地震の放送をとめる。当然、その後、ニュース等を含めて、さまざまな情報を総合テレビを中心に、ラジオでは第一放送を中心に出していく、という形でやっております。

この地震以外で、昨年ですと、名古屋で洪水があったり、台風、大雨洪水情報がありますが、これについては、そのときどきの判断ですが、まず、警報が出るというときには、その警報の出た地域にテレビの場合ですと、必ず字幕のスーパーを出していく、ラジオ第1放送では、警報が出ますと番組を中断し、あるいは、放送の上にアナウンサーが警報の情報を出す、という形でやっております。その他、緊急報道といいますと、先ほどのお話にもありましたが、東海村のこと、サリンのことですとか、話題が出ておりましたが、こういうものについては、特にマニュアルはありませんが、そのときどきの地域放送局の判断、東京ですと放送局長の判断で適宜ラジオ、テレビを通じて放送していくという形でやっております。

これは今、申し上げましたのは、NHKが緊急災害報道を求められているということもございまして、日本全国のあらゆる方にお伝えするということでやっているわけですけれども、これが今日のテーマで、障害のある方にどういう形で伝えられているか、ということを、さらに申し上げますと、今の緊急災害の報道のなかでは、まずテレビのほうですが、放送の中で地震等の情報がございましたら当然テレビですから、画面で場所とかの情報が色々な形で出ます。画面の上で、聴覚の障害のある方に分かるような形の情報をできるだけ多くだす、映像と字幕スーパーと対応しながら放送を出していくというのを基本にしております。ラジオは一般の方、ラジオを使ってらっしゃる方に届くことになりますが、ラジオの特性もございまして、障害者の方々にとっては、ラジオの情報というものが基本的にきめこまかく出す波ですので、ラジオからそういった情報を得ていただくというようなことを心がけています。

それと最近、ここ何年かですが、今申し上げたもの以外で、ご存知かどうかわかりませんが、特に台風情報とか、そういった情報はある部分、地域が限定されますが、交通機関の問題など、交通情報なども知りたいという情報がございますので、そういうときにはL字画面スーパーという言い方で、画面の下と横に、L字型にとりまして情報を出します。それも文字の情報ですので、聴覚障害のある方にはそういう情報をお出しするという形になっています。

今申し上げましたように、緊急災害報道、他にもいくつかあると思いますが、主なところですと、そういったような形での放送をしております。それと、もう一つ、NHKが放送しております障害者の方向けの放送といたしましては、ニュースで今年の4月からNHKニュース7という番組、生放送ですが、そこに字幕をつけることを始めております。これは、夜の7時のニュース7というところで限定的に今年試行しておりますが、来年度、この4月以降はニュース9という、9時のニュースでも字幕を出しまして、ここはニュースの時間の字幕サービスで今日お話の、緊急災害時の突発に対して、そのへんはどうなるのかとなりますと、すぐに対応は難しいのですがそれ以外では、先ほど申し上げたようなテロップによるものという対応はいまできるものの一つです。それと、もう一つ、放送の中ですが、今年、ご存知のように、デジタル放送が昨年の12月に始まりました。BSデジタル放送ですが、ここのメディアの中で、文字によるサービスが非常に増えました。ひとつは、データ放送というのがございます。このデータ放送を12月から始めましてデータ放送のなかでは、ニュース、気象情報等が画面の中に放送以外でデータ放送を出しますと、いつでも住んでいる地域の気象情報が出る。このデータ放送のところも、緊急報道の時には、緊急の災害の報道が出るという形で対応しております。それともう一つ、放送を補完するといういう形で、昨年の12月26日から始めましたが、インターネットを通じてのニュースの配信をやっております。ここでもデータ放送と同じように、ニュースを順次出しています。これも、緊急放送時には災害に関する情報が出せる、という形で文字情報としての緊急災害のニュースが流れる、ということが可能になりました。

その他に、これは前からありますが、文字放送というところでも、常時ニュースは出しておりますが、緊急対応もできるようになっておりますし、もうひとつNHKボランティアネット、これはインターネットで、ここでは有珠山と三宅島の噴火がおきたとき等、さまざまな災害が起きたとき等の情報を流しております。

今まで申しましたところが、現在、NHKがやっておりますさまざまな放送の中での障害者の方に役立つような災害情報が流れているということでございます。NHKとしてこれからどうするかというのは、これからの議論でもあります。地上デジタル放送が、今のところ2003年の12月頃かな、といっていますが、その時期が確定しているわけではありませんが、我々NHKの中ではそのころを目処に地上デジタル放送を、東京地区、東海地区、大阪地区、東名阪という言い方をしていますが、そこでまずはじめていくということになっております。そのときに、実際どういうことをやるかは、今議論を進めていこうかというところでございます。以上、かいつまんでお伝えしましたが、ご質問等ありましたら後ほどということで、報告を終わらせていただきます。