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障害をもつひとと災害対策シンポジウム

通信を利用した災害時の情報流通

NTTサイバースペース研究所メディア処理プロジェクト  山森 和彦

山森氏
 ただいまご紹介にあずかりました、山森和彦です。接続の間、自己紹介といいますか、基調講演含めて5件の話をきかせていただき、大変ありきたりですが、大変重い課題だなというのが率直なところです。重い課題というのはいろいろあろうと思いますがお話を伺った方々が、非常に雑駁な分け方ですが、ご利用になる方々からの声、私と午後のNHKの方は仕組みを提供する側という認識でおりまして、そこの間のギャップについて午後色々とお話をすることになるかと思いますが、そこのギャップが大変重く感じました。今日は若干資料も用意して参りました。簡潔にお話させていただきます。  まず、私がなぜ今日このような場でお話させていただくかといいますと、今、総務省となりました、当時郵政省だった時に、阪神淡路大震災の教訓を受けて、どなたでも、いざという場合に自分が置かれた状況、自分が相手に送りたいときに自由に送れるような環境を国内に作るべきだという議論が起こりました。野田聖子さんが郵政大臣の時に施策を作りました。昔の役人ですと、郵政省で法律を作って「これを守れ」というのが普通ですが、幸いにして郵政省はそういう施策をとりませんでした。これからお話していけば、多分おわかりいただけると思いますが、こういう技術の分野は日進月歩ですから、そのために、あるべき姿というのを示して、それをどうやって実現するかは自分たちで考えようということで、私どもの業界の中に電気通信アクセス協議会という、例えば電話機を作っている会社、電話のネットワークを提供している会社、そういったものの利用者からコメントをいただく方々も加わって、業界としてできるところから実現していこうということで、活動を始めました。その活動の中で私が提供者部会長ということで電話機を作る側、ネットワークをとりまとめる役目をしています。昨年の7月7日に「現状でできる第1版」をだしまして、今、その鋭意、第2版、第3版という形で自主的にこういうものをしていこうというとりまとめをしております。少し皆様にお役に立つことがあるかと思います。 スライドをごらんいただきながら進めます。一番最初の藤澤様のお話にありましたように、通信と放送という二つがありそうです。放送というのは、多くの人々にいっせいに情報を伝えられるというメリットがあります。新聞ですと朝晩2回ですが、放送ならば即時に非常に多くのかたがたに情報を伝えられる。例えば津波がくる、山崩れがありそうだ、など、大変優れた情報を伝える機関です。しかもたいていの場合、放送設備というのは強固な施設ですから、災害に対しても強くて一番頼りになるところです。放送の中で、技術的な進歩、先ほどの例ですと、デジタル放送も始まるということで日々技術的には進歩しておりますが、ややもすると、いろいろな障害をお持ちの方すべてに対応するのが難しいかという欠点・制約があるというものも放送というものでないかなと思います。NTTは通信です。放送の逆、というか、両方重ね合わせることでいい姿ができる。その一端を担うのが通信かな、と思います。それはなぜかというと、個人個人が自分の状況を伝えたい相手に伝えることができる。ですから津波がくるよという情報は放送ですが、放送ですが、いま海岸にいて逃げろというのは通信でしか今はできない。逆にいうと通信の役立つところです。今の例でもおわかりのように、一人一人が個人個人の情報を伝えることができるということが大変大きな特徴があります。健常者の方も含めてです。それから、現状の技術ですと、放送に比べて多用な通信のしかたができるというも、通信を中心により使いやすいことをねらっていきます。 今までの発表の中でもありましたが、今日のシンポジウムのテーマを実現するのは、こういうものだけではなくて、ものを使う人がどうなるか、それをどうやって日頃から運用していくかという、ものと人と運用、三位一体ではじめて私どもNTTが役立てるのはその一端にしかすぎない。お詫びかたがたご報告しなければなりません。阪神淡路大震災の際、NTTは意外に強かった。使っている方との間に相違がありますが、弊社が提供していた部分はほとんど生き残っていました。大変鋭い質問が以前ありました。つまり途中の電話線はずっと生きていました。電話線の先につながっている受話器が外れていて、その方は通話中とみなされて他からその方に通話しようと思ってもつながらない。これが一番多かったです。電話機がおかれている場所が例えば家具の上家具が倒れて電話機がつぶされた、一番末端のところ、人が直接触れるところが壊れてしまった、燃えてしまった、水をかぶってしまった、というところで通信全体としては役を果たすことができなかった。いくつかご紹介します。 災害の時に通信機器はどうなるのかということにお答えも含めて紹介いたしますが、今申しましたように阪神の例でいいますと、私どものネットワークは非常に強かったもので駅前や避難所に数日以内に2500台、無料の電話をつけまして、数ヶ月間ご利用いただいたという実績があります。三宅島から非難されている方々に、これを同じ趣旨で提供したのですが、行き違いがありまして、学生の方々が自由に使えないというご迷惑をかけましたが、かなり迅速に対応しております。 弊社、電電公社いらい、予備機材の備蓄ということで全国各所に物を配置しており、数時間以内にはどこへでも、機材を運ぶことができます。神戸の方はごらんいただいたと思いますが、パラボラアンテナを積んだ交換車を現地に運びまして、数時間以内には回復できるという余力を持っているということが、残念ながらこういうところで実証されました。当初からの社内の演習どおり対応できたというのが、ざっくりした評価です。 ちょっと変な絵をかかせていただきました。これは災害時の「通信を利用です。災害といっても特殊な例ですが、山の中で遭難された。これは私自身の経験でもありますが。 NHKの気象通報などがありました。山に入っている人に一斉にいろいろな情報を伝えることができました。ただ、個々の登山者がどういった状況なのかは伝えられませんでした。そして、ほんの数年前まで、その状況で災害にあうと、人力にたよって、山の場合は、元気な人が家まで助けをもとめにいきました。その後、みなさまのお使いの、トランシーバー等、そういう時代を経ましたが、最近はほとんどの登山の方が携帯電話機をお持ちです。これは、非常に誤解を招くいいかたですが、日本全国をくまなくカバーするような会社の携帯電話に入っていると、どこから通話してもあたりまえですが、つながる。いかほど最近、登山者の命が救われたかというのは数知れません。 これは、そういうフリをしたかというと、災害時の挙動といいましょうか、災害時の通信というのは、必ずしも何もないときの通信とイコールではない。 これは弊社の通話料金が高いNTTの代表としてしゃべっているからではないということをご理解いただきたいのですが、なにもないときは、1円でもやすいところをえらびますが、自分が生活圏とされているところで、不自由なく通信ができることを選ぶのは当たり前ですが、非常事態のとき、登山の例でいうと、携帯電話がつながるところまでアンテナをはっていることが、登山の例、災害の例では生死をわけます。治にいて乱を忘れずという言葉がありますが、日頃からどう考えておくかが、機械と人と運用の大きな要素だと思っています。弊社としても真剣に取り組んでいます。 通信が災害時に実現すべき課題をまとめています。まずひとつは、どこでも使えないとだめです。営業エリアです。いかに細かいところまでカバーしているか。大都市においては、地下はどうするなど。地下鉄で停電になって大災害にあったことを想像すると、日々安心して乗れない。首都高速でも同じですが、最近非常に多く、神戸以来、反省を踏まえて、たいていのところがつながるようになっています。 これはもちろん放送関係の方も、NHKさんも、地下鉄でラジオが聴ける施策をされていると思います。こういうところのつながり具合は、今後もますます、どこでもつながるように努力すべきと考えています。 それから大変大きな課題ですが、もつか、あるか。これは利用されたい方が常に持ち歩くのか、それとも利用したくなるとどこでもあるのかという、選択をわれわれ提供する側に求められていると考えています。これについては後ほどふれたいと思います。 弊社ではどこにでもあるということを基本として、お客さまにいろいろなサービスを提供してきました。 これからはどこにでもある、プラス、それぞれの方の個性、個人的特性という意味で、どこにでもあるものではやや不満があるときには保管ができるような二つの組み合わせでいきたいと考えています。その一例が公衆電話とか補聴器の、大きな受話器をつけたもの等、公衆電話などすべて改良しています。これがどこでも使えるといったものの実現したものの一例と思ってください。 持つという意味では、障害のある方に使いやすい形の電話機というのを提供させていただいています。ご自宅なり、生活空間の中でお使いになるものを提供しています。2番目は、「いつでも」ということで、何度もでてきましたが、電源ということです。電源がなくなるといけない。携帯電話機、最近は技術の進歩で大変大問題です。 緊急用のラジオでは、手回しが使えたりしますが、いろんな機械を提供する側が知恵とアイデアで電源の確保に取り組んでいかなければなりません。そのあとは宣伝じみていますが、電電公社以来、ちなみに商用電源が停電しても大丈夫なことが課題です。緊急用のラジオでは、手回しが使えたりしますが、いろんな機械を提供する側が知恵とアイデアで電源の確保に取り組んでいかなければなりません。そのあとは宣伝じみていますが、電電公社以来、ちなみに家庭用の電話機や職場でお使いの電話機は、商用電源が停電しても大丈夫なことが設定基準となっています。2番目が設備。これまで以上に今後も進めていかなければならない。神戸の例ですと携帯電話はよくつながりましたが、PHSという簡易型の電話機は、かなりやられました。それは、皆様もご承知のようにPHSの基地局というのは、公衆電話のボックスの上だったり、普通の携帯電話機のアンテナですと、弊社電話機の上についていて、大変堅牢なのですが、建物の壁に間借しているのでアンテナがつぶれてしまうと、半径数百メートルが使えなくなってしまう。このあたりについても、2重か3重かをしていかなければならない。3番目が、サービスの自動化、分散化です。たとえば東京で大震災がおきて、東京のネットワークが使えなくなったときのために、数十年前から、前橋に大きな局がございます。前橋ですべて代替ができるようにしております。普段ですと、他の電話会社との料金の競争だけですが、生き残りというのは、これからもやっていかなければならない課題です。3番目ですが、だれでもがということで、私が今研究所で開発しております。高齢の方、お子様、障害をお持ちの方、外国人、色々な方が自由に通話ができるようにということで、音声でいろいろな制御ができるとか、もろもろの新しい技術を盛り込んで、いろいろな方に自由に使っていただけるようにということです。

通信が実現すべき課題

通信が実現すべき課題

ここで写真の、「あんしん」「ふれあい」というのは、機械の名前ですが、あらかじめ登録されているところに「助けにきてほしい」とアナウンスできるような機器。ふれあいというのは、お体が不自由な方が呼吸の制御だけで電話をかけられる。そんなことができるようなものもすでにご提供申し上げ、かなりの台数が出ています。そういう意味では、持つという分類です。それから、4番目のところ、NTTドコモ、最近、最近、獣医さんがゴルフをしているコマーシャルをテレビでご覧になっていると思いますが、彼が使っている電話機がうちのもので指が自由に動きにくい方のために、例えばご自宅とかかりつけのお医者さんと、などあらかじめ登録しておいた先に、簡単につなげられる。課題の4、だれとでも、ですが、これも「もしもし」「はいはい」というのは、最近はやりのインターネットの場合で状況が違います。電話系の場合につきましては、世界的に規格が統一されていまして、絵文字のようなもの、電話機のところに書いてある絵というものは、世界的に同じですので、いざという場合には、電話機の使い方がわからなくないように、世界的に統一しているものです。身近な例でダイヤルの5というボタンの小さな突起が出ています。それだけのことですが目のご不自由なかたがたには、まず5の位置がわかれば、ボタンの位置がわかる。そのように電話については、かなり統一してきたんですが、先ほども指摘されましたが、iモード、電子メールは、これについては、統一されていません。私どもアクセス協議会の今後の課題として統一に向けて話し合いを進めております。最後にこれからの通信はどうなっていくかというと、先ほどの持つからある。これが大事です。Uという字の上に梅干が二つ乗っている。梅干しというのは人と人というのを表してします。 これは昨年7月に自主的に基準を決めましたが、アクセシビリティ・ガイドラインがありますが、色々な障害をお持ちの方にも使いやすいような、業界の標準的な機能をのせた端末にはこのマークをつけようと、機械そのものにも張ってありますし、お店でご覧になれます。パンフレットなどにものせておりますので、一つ、こういうことを選択基準にしてください、色々な新しい技術が出ますが、それらをどんどんてきようしていく、それによってだれでもが使いやすいということを実現していこうと思います。赤枠で囲ったところですが、通信は双方向の伝達です。先ほど状況を伝えられると申しました。災害の時だけではなく、日ごろからこういう装置を作るときに、作る側と使う側が意思疎通ができなければいけません。弊社の例では、高岡会長、ご自身障害をお持ちの方が、自ら電話機端末に取り組んでおります。実際に使う方と作る側は、これからもいっそう意思疎通を深めていって使いやすいものを作っていかなければならない、そういうことがこれからの課題だと考えております。細かい話は午後の話に出ると思いますが、現状と基本的なところはご説明させていただきました。