日英シンポジウム2001
資料 畠中 洋行
「住民参加による北方地区のまちづくり スライドストーリー」
この下に掲載してある画像は「住民参加による北方地区のまちづくり スライドストーリー」 のスライドです。付随してある説明文は、スライドの内容を表しています。
(1)タイトル:住民参加によるまちづくり(住環境改善) 北方地区における事例 |
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(2)北九州市の位置を説明。
私の所属する研究所(若竹まちづくり研究所)のある高知市の位置を説明 |
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(3)1983年当時の北方地区の全景です。 中心市街地から約4キロメートル離れたところにあります。 面積約30ヘクタール。住戸数1,920戸。人口約4,000人という大規模な既成市街地。 |
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(4)当時の地区の中心部分。お寺を中心にして住宅が密集している様子がうかがえます。 写真上部に見えているのは、建設中のモノレール駅。モノレールの上層部には都市高速道路もあわせて建設中。 このように、北方地区にも都市化の波が押し寄せて来つつある時代でした。 |
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(5)地区全体の57%が老朽化した住宅(この地図のブルーで示した住宅)でした。 | |
(6)当時のメインストリート。 人が横に並んで歩けないほど狭い路地。このような路地が迷路のように入り組んでいました。 こんなふうに密集していたため、日当たりは悪く、風通しも悪い。日常的な車でのアプローチもできません。火災等がおこったら大変な状態でした。 |
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(7)私たちの研究所は、北方地区の住環境改善のための計画づくりを、北九州市から依頼され、1983年に北方に住み込み始めました。(写真左端が私です。このころはヒゲもまだ黒々としていました) 路地に面した家を借り、精力的に地区の人たちへの働きかけを行うようになりました。人の集まっているところ(井戸端会議をしているところ、銭湯など)に顔を出して話をしたり、地元のカラオケ大会に飛び入り参加したり。日々の生活の中で、私たちの存在をアピールすることに力を注ぎました。 |
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(8)計画づくりの話し合いが始まりました。 北方地区全体を17の小さなブロックに分け、ブロックごとに集まってもらってワークショップを行います。 |
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(9)一番最初のワークショップのテーマは、「北方のいいところと問題点を教えてください」です。 私たちプランナーや市の職員は、地区の住民からいろいろなことを教えてもらうことができます。そして、住民同士も、皆で話し合うプロセスの中から思わぬ発見をします。 |
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(10)皆で話し合った内容を確認する参加者の顔に笑顔が生まれ、満足感がただよいます。 | |
(11)こうしたワークショップの中から、北方の大切な宝物を見つけることができました。 「もやい」という言葉です。 この言葉は、この地区の人々が嬉しいことも悲しいことも、皆で分かち合いながら暮らしてきた生活のスタイルを表現していました。 そこで、先に示したような住環境上の問題点の改善を図りつつ、「もやい」の心も継承されるようなまちづくりをめざそう、という目標が定まりました。 |
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(12)子どもたちにもこのまちづくりに参加してもらおうと、イベントを仕組みました。地区内の路地を迷路に見立てて、今写っているマップを片手に、地区の中を楽しみながら歩いてもらおうという企画です。 「いつもとは違う視点で、自分のまちを見直してみると、意外な発見がある」という期待を込めた、タウンウォッチングです。 |
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(13)イベント当日はたくさんの親子が参加しました。 子どもと大人でグループを作り、マップを片手に路地を歩いていきます。 |
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(14)そうすると、路地裏から突然変なおじさんが飛び出してきて、子どもたちはビックリです。 | |
(15)実はこのおじさんたちは「ジャンケンマン」。子どもたちに「3回ジャンケンして勝ったら次に進んでいいヨ」という、ゲームポイントの一つ。 ただ歩くだけでは面白くないので、車が入ってこないからこそできる遊びを、ルートの随所に仕掛けてあります。 保育所や学校の先生、地域の青年たちやおじさんおばさんが協力してくれました。 |
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(16)このイベントを通して、子どもも大人も大切なことを感じ取りました。 それは路地の持っている良さをいかすこと。 例えば、子どもやお年寄りが車に脅かされることなく、安心してたたずん でいられるような道路のつくり方をちゃんと考えることの大切さ。 また、路地を介して建物の「内」にいる人と、「外」を通る人が何となく気配を感じ、心を配りながら暮らせるよう住まい方の大切さ |
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(17)これまでのワークショップやイベントで見つけてきた、まちづくりの「モノサシ」(大事にしなくてはいけないコト)をふまえて、ワークショップは皆で将来の姿を描く段階へと進みます。 | |
(18)皆で描いた将来像をもとに、プランナーが計画案を整理します。そして、その計画案をもとに、皆で話し合い、案の修正を繰り返し、最終的に皆の合意の得られる計画へとまとめ上げていきました。 | |
(19)17のブロックでワークショップを進めながら、地区全体として整理しておかなければならない課題点等や方向性を検討するために、「まちづくり協議会」が月に1回程度開かれました。 この「まちづくり協議会」は、地区内にある5つの自治会の代表者15名、地区周辺の5つの自治会代表者5名、合計20名で組織されていました。 市とプランナーも参加して、話し合いが行われました。 |
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(20)ワークショップや「まちづくり協議会」で話し合われた内容を伝えるニュースの発行も行いました。 1,920戸全部に配布。 |
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(21)こうしたプロセスを経てまとまった計画案です。 各世帯の意向を尊重して作られた計画なので、たとえ老朽化した住宅でも、その所有者がこのままの形で残して欲しいという要望が強ければ、残しておけるような計画になっています(地図の黄色の部分です)。 水色のところは、老朽化した住宅を壊し、土地の区画を整形にしたうえで、個人で住宅を再建するところ。 ちょっと変わった緑色のところは、個人で住宅を再建できない人のために、市が建設する公営住宅。 別の緑色は、公園や子どもの遊び場。 |
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(22)北方地区には、市が建設した公営住宅団地が14団地あります。 その内、「みずき団地」という公営住宅では、居住者参加方式で設計作業を進める試みが行われました。 公営住宅の設計を、居住者参加方式で進めるという取り組みは、全国でも初めてだったと思います。 |
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(23)「みずき団地」に入居を希望する31世帯の人たちに集まってもらい、設計者と市と一緒に作業を進めていきます。 | |
(24)面積や建設費の制限を理解してもらったうえで、一人ひとりが暮らしやすい間取りや、団地の共有空間のあり方を、模型をもとに考えていきます。 あるおじさんが「自分の家をつくっているみたいだ」とつぶやきました。 このつぶやきが、この公営住宅の完成後の姿を、私たちに予感させてくれました。 ともすると「公営住宅=市から与えられた住宅」というとらえ方になり、その結果、管理等は市にまかせることになりがち。 でも「自分の家をつくっているみたい」という人は、この公営住宅に愛着を感じ、きっと、完成後も、上手に住みこなしてくれるし、上手に団地を育ててくれるはず、という期待と希望を与えてくれました。 |
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(25)完成した「みずき団地」です。 この団地の特徴は、2階、3階ともに住戸の南側に路地(通路)をもうけることにより、住戸の「内」にいる人と「外」を通る人が気配を感じ、互いに心を配り、プライバシーは守りつつ上手な人間関係を保ってきた昔の北方の、路地を介した暮らしを再現しているところにあります。 |
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(26)完成した「みずき団地」です。 この団地の特徴は、2階、3階ともに住戸の南側に路地(通路)をもうけることにより、住戸の「内」にいる人と「外」を通る人が気配を感じ、互いに心を配り、プライバシーは守りつつ上手な人間関係を保ってきた昔の北方の、路地を介した暮らしを再現しているところにあります。 |
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(27)完成した「みずき団地」です。 この団地の特徴は、2階、3階ともに住戸の南側に路地(通路)をもうけることにより、住戸の「内」にいる人と「外」を通る人が気配を感じ、互いに心を配り、プライバシーは守りつつ上手な人間関係を保ってきた昔の北方の、路地を介した暮らしを再現しているところにあります。 |
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(28)完成した「みずき団地」です。 この団地の特徴は、2階、3階ともに住戸の南側に路地(通路)をもうけることにより、住戸の「内」にいる人と「外」を通る人が気配を感じ、互いに心を配り、プライバシーは守りつつ上手な人間関係を保ってきた昔の北方の、路地を介した暮らしを再現しているところにあります。 |
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(29)「みずき団地」の管理人さん。 | |
(30)彼はこの団地を見学に訪れる人をつかまえては、「まぁ ちょっと休んでいきなさい」と、おもてなしをしてくれます。 そして、「この団地は世界一の団地ですよ」と自慢げに話をしてくれます。 公営住宅を自分の家のように愛し、誇りに思い、いつもきれいに管理してくれる、このことが居住者参加方式ならではの成果だと言えます。 |
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(31)以上、北方地区における住民参加による住環境整備のプロセス、ならびに居住者参加方式による公営住宅設計の取り組みの様子をご紹介しました。
北九州市では、北方地区の取り組みで培った住民参加型まちづくりのノウ・ハウをさらに進化させながら、丸山・大谷地区や平松地区、西折尾地区等、いくつかの地区において、住民参加型まちづくりの取り組みが進められています。 |