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DAISY活用事例交換セミナー

製作者の立場から
中村 芬
NPOデジタル編集協議会ひなぎく

今回、これまでは私ども視覚障害者の方、全盲の方だけじゃなくて、最近は弱視者の方にマルチメディアのものを提供するようになりました。あるところでLDの方達と話しをする機会がありまして、お母様がとても勇気ある方で、「うちの子の教科書をなんとかしてくれ」ということで12月の中旬、三学期の社会と国語を間に合わせてくれということでした。マルチメディア図書といいますのは、一番最初に教科書をスキャナーで、先程おっしゃいましたけれども、テキストをまずとる、イメージをとる。きれいになっていればいいんですけれども、テキストに化けてくる文字があるもんですから、テキストをまずきれいにする。その次にテキストをHTML化します。先程タイプが大変というお話がありましたけれども、タグ付けをいたします。HTML化したものをパソコンで直接録音します。と言いますのは、テキストがありますので、今こちらの方にありますが、あのようにですねテキストを順番に読んでいきす。その時点でほぼ編集の半分くらいはすんでいるということで、オペレーターがついてやりますと、その場で校正いたします。割と早くできるんですが、悲しいことに12月の末、お正月というのはどこも皆忙しくて、音訳者、編集者を確保するのが大変ですので。12月中に国語だけは読み上げてもらいました。1月、本当にお見せすると恥ずかしい1月1日からずっと編集をしています。恵まれた家庭環境に感謝いたしておりますが。

それで今最初に作りましたものが国語の古典で、ずっと下の方で。こんなふうにですね、国語とうのものは縦書きなんですね、横書きにしますと、この場合は、ルビがありました。ルビ付けもしてあります。どうですか。漢文を横で。素晴らしいでしょう。それでですね、普段、タグ付けされるだけの方はお気づきにならないと思うんですけども、下の方に下に返り点、一、二点で書いて、上におくりというようなことで、行間をあけたりというようなことをいたしました。一番最初、こんなふうに画面にでてきて、「4.古典を楽しむ扇の的」、というふうに順番に反転していきますが、今回の方はですね、これをできたと思って送りました。そうしますと一番先頭のところは読みにくい。スクロールしていくもんですから、いつもあそこで反転するわけです。それでこれは大変だ。情報交換をいたしまして「どんなふうですか。使っていただいている使い具合は。」というふうに申し上げましたら、「うちの子はどうもあの、上の方にスクロールしてしまって大変だ、何とか真ん中で読んでくれないかなあ。」ということでした。これについてはですね、私どもNHKから取材を受けたときに、取材をされる方が「悪いけど真ん中辺で反転させてくれない。上のほうばかりじゃどうにもおもしろくない。」っていうようなのがあったんですけど、一日でそれを今ここでやってるのを直せというのは無理だから、とりあえず、上の方で反転しているのを撮っておいてくれ」というような話を10月頃しているんですね。そんなことで、先程と違うと思います。20%下げてあります。画面を。こんなことができるのが、スタイリングシートというものを使っています。今日皆さんのお手元のところにシートが入っていると思いますけれども、いろんなことをやるには、タグだけではちょっと無理、H1だ、スパンだけでは無理なんだ、じゃあどうするんだ?

今これちょっとご覧いただくとわかりますけれども、大きな画面、または、小さな画面でも必ず見られるように、全体を中央に何%というふうに入れてあります。それから、この文章、もっとずっと下の方にいっていただけますか。もっと下げて、「扇の的」です。この「扇の的」というのは、那須与一のところなんですけど、もとの古典の文があります、それから現代語訳がありますので。現代語訳ともとの古典をどう対比させるか。ここなんだよ、っていうことがわかるような、一見してわかるようなということで、ぐっと中の方に「頃は2月18日の鳥の刻・・・」という、その上のところ見ていただくと、上のところに古典を入れて、そのすぐ下だよ。現代訳は、ということがわかるようにというような工夫をいたしました。これがすべて、その苦労の産物といいますか、スタイルシートでやってあります。見ていただくとわかりますが、H1タイトルのH1は必ず中央にくるよ。左端じゃなくて中央にくるよ。これはH1はこういうふうにセンターだよ、それからボディーのところは少し色がついている方がいいっていうことを伺っていますので、少し色をつけたらこんな色にしようということで色をつける。それからDIVというのを使っています。これが横何%、それから上から中央で反転するように、上から20%というようなことで、全体を20%下げています。「できた」と思ったんですね。そうしたら、一番最後が出てこない。これはどうしたらいい。BRを10なら5つ入れよう、20なら10個つけようということで、全体がやっと見えるようになるというようなことがありました。ということで、なぜ私達がこのスタイリングシートを重視するかって言いますと、この後すぐに、新学期があります。一年間、先生が一番先頭から本をめくってくれるといいんですけれども、「何ページからやるよ」っていう先生もいるかもしれないということで、全員で手分けして短期間でつくらなければいけない。そうするとメンバーで「私は本当はこういうふうにしたい」「私はこういうふうにしたい」というのがでては困る。誰がやっても同じ物ができるということで、「ひなぎく」のデフォルトをつくりました。どうぞ皆さんもこんな様なことで、参考にしていただければいいかなあと思います。以上です。

【質疑応答】
会場/いとでんわの後藤と申します。今のことでお伺いしたいんですが、DAISY図書を「ひなぎく」さんの方でお作りになって、実際に利用者が利用する場合は、どういうソフトを用いて利用するんでしょうか。
中村/LpPlayerを利用していただいております。
会場/弱視の人が見る場合なんかは、文字が大きくなるんですか。
中村/なります。こちらの方で最初に設定せずに作ってありますので、LpPlayer 、再生の時に大きくしていただく機能がついておりますから、そこで最大に作って使っていただいております。
会場/どうもありがとうございました。
司会/LpPlayerというソフトは、リハ協のダウンロードサイトの中で無料でダウンロードすることができます。
会場/音声ソフトにあんまりうまく乗らないんですけども。あれはなんとかならないです僕も使ってるんですが、キー操作上だけで、音声ソフトにうまくのらないんですね。その辺が何とかなれば、非常に使いやすいかとは思うんですが。あともう一つ、MP3ではいったときに、再生っていうか、スピードを変えられないですけれども。この辺の改善する予定はございますか。
河村/ちょっと今のご質問は私が受けた方がよろしいと思いますので。リハ協の情報センター長をしてます河村ですが。このLpPlayerはですね、もうほとんど改良の余地がないので、今別のものを作っております。今音声ソフトと相性がよくないということでしたが、元々ちょっと作りが古くて改良しにくい部分がありまして。AMISというものを、今もうベータVersionはWebの上に上げてあるんですけれども、そちらの方で思い切って大きくフォントも自由にかえられるし、点字のピンディスプレイも同時に出せるし、スピードもかえられるといふうなものを今作っておりますので。もうちょっとお待ちください。ベーターバージョンは今でもすぐダウンロードできますので。URLだけ申し上げておきます。www.amisproject.org です。wwwは普通のwww、その後がですね。アミというのはAMISと書きます。それにプロジェクトという英語をくっつけて、アミス・プロジェクトという一語。ドットorgです。