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■「CBR APネットワークと国内ネットワークに関する経過説明と報告」

(財)日本障害者リハビリテーション協会(障害分野NGO連絡会事務局)
上野悦子

 

上野 閉会の前に、プログラムにございます「CBRアジア太平洋ネットワーク」というのが設立されておりますので、資料がお手元にパワーポイントのコピーしたものと、もう1つ「CBRアジア太平洋ネットワークと国内ネットワーク」と書いたものに沿って、ごくごく簡単に今どんな状況になっているかということをご報告したいと思います。

 

「CBRアジア太平洋ネットワーク」というのは、昨年2月の18日から20日までバンコクで第1回CBRアジア太平洋会議というのが開かれました。世界の58ヶ国から700人も集まる大きな会議で、参加者はCBRの実践者ですとか障害者団体、国際NGO、国内NGOなどが一堂に会したんですね。意義としてはアジア太平洋地域でCBRに関わる人が初めて集まって実践報告や課題を共有したという機会になりました。この結果を受けまして、CBRのアジア太平洋ネットワークというのが設立されました。

その後、2009年12月14日から16日までAPCD(アジア太平洋障害者センター)において、バンコクにあるタイ政府とJICAが設立したセンターで、ネットワークの基礎固めをする会議が開かれました。ここで規約と行動計画が採択されたのです。現在ネットワークには24ヶ国入っていますが、そのうちの18ヶ国から集まり、傍聴者含めて40人が参加して規約とアクションプランを決めました。目的は非常に明解です。インクルーシブ開発と、インクルーシブな社会を促進していくということで、アジアの人たちも皆さん、これしかないということで共有したわけです。そして活動はネットワーク会議を4年に1回開催するなど、詳細なものが決まりました。

これに対応する日本国内のネットワークはどうなっているかと言いますと、まず昨年2月のCBR会議に日本からも20人ほど参りました。この時点でぜひネットワーク会議に出る人を決めてほしいとチャパルさんから連絡が来まして、話し合った結果、団体がいいということで、日本ではこの時点でCBRはないと私たちは考えていたんですが、途上国でのCBRを勉強してきたネットワークで、JANNET(障害分野NGO連絡会)というのがございましたので、そこからも何人か参加したことで、では当面はJANNETが参加をして、JANNETを起点にしてより拡大したネットワークの中でCBRに共感する人を増やしていこうということで、JANNETの中でもそのように話し合いを持ちました。

 

そして2009年10月11日にJANNETが主体となり、国内のネットワークづくりに関する意見交換会を開きました。約45名が集まり、今後のアジア太平洋のネットワークに対応するために詳細なことを話し合うワーキンググループを決めました。ワーキンググループのメンバーは、頼まれてやるのではなくて、自ら手を挙げてぜひボランティアとしてやりたいと言った方々が集まりました。その後、2回会合を持ちまして、ネットワーク会議の結果を報告し合ったり、国内でどういうふうに今後進めるかということを話し合っております。その中で1つ、国内のネットワークの名称について話し合いました。これは10月11日の時点から出ていたことで、CBRというのが最後にR(リハビリテーション)という言葉がついていることから、先ほど尻無浜さんからもご指摘があったことと全く同じなのですが、どうしても専門家がリハビリテーションをコミュニティに出かけていって行っていくというイメージがついて回る。本当はそうではなくて、コミュニティ開発でやっていくものだけれども、どうしても誤解が生じてしまっているということから、思い切ってRをとってしまうのはどうかということで、大多数の賛同を得まして、さらにワーキンググループで考えて、名称は「CBIDジャパンネットワーク」。CBIDは、コミュニティ・ベースド・インクルーシブ・ディベロップメント、今日ずっと1日話し合われたインクルーシブ開発ということですけれども、それを日本国内の名称につけようということで決まりました。

今後の活動ですが、CBR APネットワークの方ではチャパルさんの最後のスライドにもありましたように、2010年11月にマレーシアでCBRガイドラインに関する会議が開かれます。そして2011年にはフィリピンで第2回CBRアジア太平洋会議、2012年にはグローバルCBR会議がインドで開催されることになります。

 

CBIDジャパンネットワークではどんな活動をするかということですが、まずCBRアジア太平洋ネットワークの活動を国内に紹介していく。それからよい事例を見いだして国内で紹介していくということです。それらを集めて報告し合う報告会を来年度、開催できたらいいのではということで検討に入っております。

それと国内での広報というのも大きな課題です。先ほどCBRは日本にはないのではないかということをずっと私たちは考えていたんですが、今日の報告者の報告を聞いても、これは探す努力がちょっと足りなかったということで、探してみれば日本の中でも地域ベースで包括的に取り組んでいるという例が随分あるのではないかということがわかってきました。言い換えますと、障害者と家族とが組み込まれている村おこしとかまちおこし。そういう活動をこれから見いだしていってリンクしていく、アジア太平洋ネットワークと国内の活動とをリンクしていけるような、そういう活動がこれからできればと思いました。「こころん」の熊田さんの活動とか、松本の活動とか、大変興味深いものばかりですが、他にもきっとあるのではないかということを今日のお話から確信いたしました。ワーキンググループの中でもこう言った人がいます。「事例は力になる。事例があれば、どういうふうに進んでいいかということも自信を持てるようになる」と言った人もいます。

また今日のお話からも思ったことは、"change is possible"(「変化は可能である」)ということをチャパルさんはおっしゃいましたけれども、変わらないと思っていたことが変わっていった。そういった活動を今日お聞きしました。また変わっていくということが、それは大変面白いワクワクするような思いを伴っているということもよくわかりました。そんなことをずっと続けて、そのワクワクするような変化というものを、いろいろな文脈の中で発見して、それを多くの人と共有して、私たちも同時に変わっていくような、そういうプロセスが非常に重要だと思いますし、そのプロセスを止めないということではないかということを、今日の報告会からも学びました。

 

そうした活動をネットワークを通してやっていければと思いますので、ぜひ皆さんにも加わっていただければと思っております。今後は情報交換をメーリングリストで行っていきますので、ぜひ参加したいという方は、メールをいただくか名刺を置いていっていただくとか、ぜひそういうふうにしていただけたらと思います。

またこれらのことはすべてJANNETのホームページの中に「CBRネットワーク」というコーナーを設けましてすべて明らかにしておりますので、お時間のあるときにぜひご覧になってください。

ありがとうございました。