音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

講演<3> 「DANIDAの能力開発プロジェクトとモンゴル盲人連合・そしてコミュニティ」

世界盲人連合アジア太平洋地域代表執行委員
田畑 美智子

 

高嶺 次のスピーカー、田畑美智子さんは、当時の筑波大学附属盲学校を卒業されて、明治学院大学の英文学科を卒業して、現在は民間の金融機関に就職をしております。2003年から、日本盲人会連合国際委員として、世界盲人連合の活動に参加をされております。現在は、2008年から、世界盲人連合アジア太平洋地域代表理事、これ、WBUAPというふうに英語で略されているらしいですが、そこの東アジアの地区委員長として活動されております。

今回は、DANIDA(ダニーダ)というデンマークの支援機関である、そこのプロジェクトの支援で行われている、モンゴル盲人連合が実施している活動についての報告をされるということです。田畑さん、よろしくお願いします。

背景説明

田畑 日本盲人会連合の田畑と申します。ご紹介いただきましたように、日本盲人会連合が加盟しております日本盲人福祉委員会を通じまして、世界盲人連合、WBUと略しますが、WBUに国家代表として参加しています。また2008年より、日本が所属しているのは、WBUの中のアジア太平洋地域協議会、これは略してWBUAPといいますが、こちらで執行委員をしております。今日は、WBUAPをプロジェクトパートナーとして、モンゴルと、それから東南アジアのラオスで進められている能力開発プロジェクトについて、主にモンゴルを中心にお話しします。

 

モンゴルは最近、結構いろいろ経済発展してきて、実は今日私が着ていますカーディガンはモンゴル製100%です。それからここに出ている私の写真(写真1)ですが、この帽子はモンゴルに行ったときに現地でいただきました。それからこの赤い服はモンゴルからの留学生にお借りしています。これがモンゴルの伝統衣装です。

モンゴルの民族衣装を着ている筆者(写真1)

いろいろお話ししたのですけれども、実はお金は、デンマークの政府開発援助機関、DANIDAというのですけれども、こちらから出ておりますし、それからプロジェクトの主体も、WBUAPと言うよりもデンマーク盲人協会なのです。ですけれども、このWBUAPに、現在日本から2名、役員が出ております。それから私たちをパートナーとしている意義の1つというのが、今回皆さんにお話ししているように、プロジェクトの話をいろいろな人と分かち合ってもらおうということもあるので、今回ご披露することにしました。

 

本題に入る前にWBUのことを極々簡単にお話ししますと、WBUは視覚障害関連のofの団体とforの団体が一緒に構成する国際NGOです。カナダのトロントに常設事務所とCEOを配置しています。世界をヨーロッパ、アフリカ、それからアジア、ここでいうアジアというのは、中近東や中央アジアも含みます。それからアジア太平洋、北米カリブ、そして中南米、この6つの地域に分けて日々の活動をしております。日本は、先ほど申し上げたように、アジア太平洋に属しています。

ここで1つお断りしたいのですけれども、今申し上げたように、WBUAPの世界では、こうしたアジア太平洋ですとか、欧州のことを「地域」と呼んでいます。そうすると、CBRで言う「地域」と紛らわしくなってしまいますので、私の話では、あえてWBUでの地域を「リージョン」、CBRでの地域を「コミュニティ」と言うことにします。

さて、WBUでも途上国問題は大変重視しております。WBU本体に開発委員会というのがありまして、2名いるWBU副会長のうちの1人が責任者となって活動しています。また、様々な開発プロジェクトの支援をしていたり、WBU独自に途上国の学生向けに奨学金を設定したりしています。さらに、個別の単位でも、北欧諸国が特に多いのですけれども、各国の政府援助機関の助成を受けて、国レベルやリージョンレベルでの様々なプロジェクトを進めています。

デンマークの協力

今回は、デンマークのお話をするわけですけれども、デンマーク盲人協会でも、先ほどご紹介したDANIDAの助成を受けて、アフリカのガーナですとか、WBUAPのリージョンで言うアジアで、インドやネパールなどで様々なプロジェクトをしております。この中でご存じの方、多いかもしれないですが、ちょっとだけデンマークのお話をします。

デンマークには、ご承知の方、多いと思いますが、開発担当の閣僚がいます。傘下に今ご紹介しているDANIDAがあります。DANIDAは2000年に「市民社会戦略」というものを打ち出しています。援助効果ですとか、そういったものを考えて、デンマーク国内の市民社会と、途上国パートナーとの関係の枠組みを利用した開発援助を重視するということを打ち出していまして、どうやら15%ぐらいのデンマーク版のODAは、こうした市民団体の枠組みに向けられていると聞いております。

他方、盲人協会に限らず、デンマークの障害者団体で開発問題に熱心なところが幾つもあるのですけれども、こうしたところを束ねています、デンマーク障害者協議会、これはDPOD(ディーポッド)と略しますが、DPODという団体があります。ここには有給でスタッフがいて、DANIDAのプロジェクトにコンサルティング業務を行ったり、それからDANIDAとDPODの間でミニ・フレームワーク協約というのを結んでいます。DPODに参加している障害者団体は、このフレームワークの資金スキームを使って、数百万円単位のプロジェクトを行うことができるようになっています。

では今回のプロジェクトの話に入ります。当初は、このプロジェクトは2006年からなんですけれども、WBUAPリージョン内で6ヶ国を対象に考えていたのですが、DANIDAの意向があって3ヶ国に削減されました。これは、今回お話するモンゴルと、東南アジアのカンボジアとラオスだったんですが、カンボジアは途中で国内事情から離脱しまして、最終的にはモンゴルとラオスの2ヶ国ということになりました。

この国の選別ですけれども、OECDの基準を見ながら、政治や社会の、国々の体制ですとか、資金規模からいって、プロジェクトの効果がどの程度期待できるかという、そういった側面を考えて国を選別したと伺っています。それからプロジェクトの目標は、両国の視覚障害者の生活向上と、それから両国がWBUという国際的な舞台で、より活発な参加をする、この2つが主な目的です。

今回のプロジェクトは、それまでデンマーク盲人協会が行ってきたプロジェクトと比較しますと、WBUAPという部分をリージョンとして、プロジェクトパートナーとして大きく巻き込むという点でちょっと特別でした。リージョンを巻き込む理由は幾つかありました。リージョンを巻き込むことでプロジェクトの効果に持続性が期待できること、リージョンに詳しい人たちを巻き込むことでプロジェクトの効果自体も期待できること、今回ここで皆さんにお話ししているように、プロジェクトの経験を横展開することができること、それからリージョンでは常に様々な場面でリーダーが活躍しているわけですけれども、そうしたリーダーをリソースパーソンとして活用できることなどです。特に経験を横展開するというのは、DANIDAの支援の有効活用として、我々は大いに重視するべきことだと思います。

すみません、数字を入れるのを忘れてしまいましたが、これ(図1)は全体で約50万ドルというのが当初の予算です。この黄色い部分(<1>)は20万ドルぐらいですけれども、これは個別の国の指導者研修などにあてられている部分です。それから緑色の部分(<2>)が、10万ドルいかなかったと思いますが、モンゴルとラオスの人たちをWBUの活動に参加させるための費用です。それから左上に飛び出ている部分が約5万ドルですけれども、これが小規模プロジェクトという枠組みの予算です。

全体で50万ドルの当初の予算。①は20万ドルで個別の国の指導者研修に当てられている。②は10万ドル以下で、モンゴルとラオスの人たちをWBUの活動に参加させるための費用。左上に飛び出している部分は約5万ドルで小規模プロジェクトという枠組み。(図1)

小規模プロジェクトは、1つの案件について3,000ドルで、それぞれの国に8案件許容するということで、2つの国で、ですから全部で5万ドルぐらいですね。これがかなりコミュニティレベルによい影響を与えたということなので、今回のお話しするきっかけとなったものです。

モンゴルの概要

ご存じのように(図2)、モンゴルは中国とロシアに挟まれた内陸国です。人口は267万人程度ですから、日本の50分の1です。面積は日本の約4倍ですので、モンゴルの特徴は、少ない人口が広範に分散しているという点です。内陸性の気候なので夏は暑く冬は寒く、格差が非常に大きいです。

実は右側に私の写真があるのですが、これは2009年9月にウランバートルにお邪魔した時に観光ゲルの前で撮影したものです。ご覧の通り大雪です。ですが、この前の日はとても良い天気で、日中の気温は25度もあった汗ばむ陽気でした。天気の変化の大きさがおわかりいただけると思います。土地はやせている土地が多くて、農耕に余り適していない上に、遊牧の人たちは農耕があまり好きではないと伺っています。1人当たりのGDPは1,290ドルです。

人口 267万人
面積 日本の4倍
GDP 1290ドル./人
視覚障害者 8000~38000人

モンゴルの地図(図2)

モンゴルの地図と遊牧民のテント「ゲル」(写真1)

 

これは2008年の統計を拾ってきたのですが、同じようなレベルは、他にモルドヴァですとか、ガイアナですとかが大体同レベルです。ちなみに日本は3万7,780ドルです。最近、モンゴルでは手つかずの天然資源が非常に脚光を浴びていまして、日本の商社ですとか、欧米の鉱業企業がどんどん進出しています。天然資源で外貨収入が増えることになれば、モンゴルの障害者を取り巻く環境というのも大きく変わっていくのではないかと思います。

モンゴルの視覚障害者の人数ですが、モンゴルの人に聞きますと、8,000人と言ったり、9,000人と言ったりするのですが、私がいただいたデンマークの資料では25,000と書いてあったり、38,000と書いてあったりするので、あまり数字に信憑性はないかもしれません。盲学校はウランバートルに1校だけあります。

視覚障害者の主な就労ですが、日本から援助が入っていますマッサージ師、それから盲人連合の職員などです。就労している人はおそらく200名程度ではないかと思います。写真(写真2)の左側は旧冷戦時代にソ連の影響で福祉工場として操業していました工場です。この中で、遊牧民のテント「ゲル」を作っています。政府のほうで、都市化が進んでいてホームレスの人が増えているそうなので、ホームレス対策に80超発注したと喜んでお話ししてくれました。写真(写真3)の左側はこの工場の初めての視覚障害当事者のダイレクターです。それから右側は、盲人連合の封筒貼りの部門です。盲人連合は、今年ですか、新しいビルが建つのですけれども、それまではこのゲルの工場の建物で部屋を借りています。

ゲルの工場

旧冷戦時代にソ連の影響で福祉工場として操業していた工場で、遊牧民のテント「ゲル」を作っている。(写真2)

左側は福祉工場の初めての視覚障害当事者のディレクターで、右側は盲人連合の封筒貼りの部門(写真3)

モンゴル盲人連合

モンゴル盲人連合は、1978年に聴覚障害者の人たちと一緒に作った団体でしたけれども、1993年ごろから独立して活動を始めました。理事は8名おりまして、現在、そのうち3名が女性です。会長・副会長の任期は4年で、2期までしか務めることができないということで、新しいリーダーがどんどん登用されるつくりになっています。国土が大変広いのですけれども、プロジェクトのおかげで支部の数が5から18に増えています。プロジェクトが始まる前の会員は370名でしたが、今は1,000を超えています。主な活動はリハビリテーションですとか、情報提供ですとか、政府との折衝ですとか、様々なアドボカシー活動も行っています。

 

右側の写真(写真4)の一番上に、看板にあるのは、これ、キリル文字ですけれども、モンゴルはキリル文字を使っていまして、一番上は視覚障害を意味する「ハラグイ」という単語です。

ドアの上にかかっている看板の一番上にモンゴルのキリル文字で視覚障害を意味する「ハラグイ」という単語が書かれている。(写真4)

 

左側の写真(写真5)の一番左側が、現在の会長のバヤスガラン・マイダールさんです。その隣が副会長で常務のゲレル・ドンドウさんです。右側の写真(写真6)は、私たちが行ったときに、みんなで事務所にお邪魔した時のものです。

一番左側がモンゴル盲人連合の現会長で、その隣が副会長兼常務(写真5)

筆者が盲人連合の事務所を訪問したときの様子(写真6)

プロジェクトの内容

プロジェクトの主な活動内容(図3)です。2006年には、プロジェクトのプレイベントのようなセミナーを行いました。2007年にはそれぞれの国で組織運営などの指導者の養成やワークショップを行ったのと同時に、視覚障害女性に関する調査を行いました。2008年になりますと、この調査に基づいた女性フォーラムを開催したり、それから前年に行った指導者研修のフォローアップなどを行いました。

図3(図3)

2009年5月、ラオスのビエンチャンでビジョナリー・コンファレンスという、ちょっとした会議が行われました(写真7)。この両国のほかに、リージョンの数か国の指導者が集まりまして、私たちのリージョンの抱えている現状ですとか、目指すもの、それから私たちのところにすでにあるリソースなどについて出し合いました。右側の写真は、主な参加者でちょっと市内に出かけた時の写真です。

ラオスのビエンチャンのビジョナリー・コンファレンスの会議の様子(写真7)

2009年9月にはウランバートルで評価ワークショップが開催されました。プロジェクトを通して、それぞれの国での組織強化はどうだったか、アドボカシーはどこまで進んだか、小規模プロジェクトでどのような成功体験があったか、それから何がまだ足りないかといったものをお互いに検証し合いました。

 

さらに12月にはマレーシア、クアラルンプールでロジカル・フレームワーク・ワークショップが開かれました。ここでは両国での今後についてですが、3つの部分で、組織強化について、アドボカシーについて、それからWBUAPのリージョンでどういった強化などを目指していくか、そういったこれからの計画についてお互いに出し合いました。これをもとに先般、DANIDAにはプロジェクトの更新申請が提出されています。

プロジェクトでモンゴル盲人連合は大きく前進しました。数字で言うと、先ほど申し上げましたように、支部の数が大きく増えました。モンゴルには21の県がありますが、すでに18の県に支部があります。政府のほうもモンゴル盲人連合を軽く見ることはもうなくなりまして、さまざまな折衝のテーブルに政府が着くようになりました。財政面ではモンゴル盲人連合独自でFMラジオ局を開設していまして、これで財源の一部となっています。また、支部、地方のレベルでの指導者養成にも非常に力を入れていますので、支部での指導者の持続性にも大きな進展が見えています。

コミュニティでの活動

ここでやっとコミュニティの話が出てくるのですけれども、モンゴル盲人連合は、先ほどお話しした小規模プロジェクトのお金を、支部の対策に非常に上手に使っています。支部で情報センターを作ったり、支部単位での会員の人たちに障害のある人の権利に関するワークショップを開いたり、そういった様々な有効活用に取り組んできました。

この写真(写真8)はトゥヴといいまして、ウランバートルの近郊の県ですけれども、このトゥヴの支部が作りました点字図書館です。この点字図書館はコミュニティを巻き込む非常に良い例として、WBUAPでも大いに注目していました。図書館は政府の建物を使っているのですけれども、当初はプロジェクトのお金から賃貸料を出してもらっていましたが、支部が政府と折衝しまして、現在では地方政府が無料でオフィスを貸してくれるようになりました。また図書館のイベントでも政府の人たちが出てくれるようになりました。

モンゴル盲人連合のトゥグ県支部が作った点字図書館(写真8)

視覚障害当事者は、仲間と会うことで自信をつけるだけではなくて、ここで様々な政府との折衝力などもつけて、先ほど申し上げたように、政府が無料でオフィスを貸してくれるようになったり、ワールドビジョンなどの他の団体に、自分たちでプロポーザルを書いたりするようになったと聞いています。また、額は小さいのですけれども、靴磨きのビジネスを図書館の利用者で立ち上げることにまでこぎつけています。

政府の建物を使ったということで視覚障害者が非常に人々の目につくようになりまして、コミュニティの人たちが役所に来るときに、視覚障害者のパソコンなどの様子を見にくるようになりました。その中から、視覚障害者の外出時に介助のボランティアをする人ですとか、新聞を読むボランティアですとか、それから書類を代筆するボランティアですとか、そういった人たちを生み出すようにまでなりました。また、障害分野以外の市民団体とも協力関係ができつつあるとも伺っています。

モンゴルでの成功体験をきちんと評価するには、まだ少し時間がかかると思うのですけれども、当事者団体が能力をつけることで、地方レベルまでその能力開発が発展することで、地方の人たちを上手に巻き込むという面は、十分考えられることではないかと思います。しかも、能力を持った当事者が関わることで、コミュニティの人たちとの関わりというのも、視覚障害者独自のニーズをきちんと反映しているものになっているのではないかと思われます。

モンゴルを見ていますと、民主的な組織に対して障害者がみな、すごく信頼をしているなという感じがします。私たちも、デンマークの人たちも、内部分裂のようなものを全く経験していませんので、これも良いほうに進んでいるのではないかと思います。

先ほど申し上げましたように、今月の頭にDANIDAに更新申請が行われていますので、これがもし承認されれば、また新たな地方支援などのプロジェクトにもつながっていくと思います。WBUAPとしても、スムーズな運営を進めるとともに、こうした経験を、他の途上国もたくさんAPにはありますので、そちらに生かせるものは生かしていくように、我々の能力も強化していく必要があると考えております。

 

高嶺 田畑さん、どうもありがとうございました。盲人連合の国際貢献をお話ししていただきましたけれども、DANIDA、デンマークからの資金を得て、当事者団体が国際支援をやっているというお話でした。それも小規模プロジェクトというユニークな形で、障害者の組織だけじゃなくて、その地域の、支部の団体までも支援する、そういう民間団体としてはユニークな取り組みで障害者のリーダーを育成をして、それが地域に影響を与えているということでのお話でした。

それでは質問がございましたら、お受けしたいと思います。

 

会場 本日はありがとうございます。私は以前、青年海外協力隊で、2003年から2005年までモンゴルの養護学校に勤務しておりました田島と申します。どうもはじめまして。お伺いしたいことがあります。まず一点。点字コンピュータがさっき写真に映っていたと思うのですけれども、その点字コンピュータについてなんですが、私がいたときは、ウィンドウズのモンゴル語のOSというのが、当時はありませんでした。今はちょっとわからないのですけれども。そのため点字コンピュータを使うときは、英語のウィンドウズを使うと思うのですが、点字コンピュータは多分キリル文字の点字が出ると思うのですが、そのときのコンピュータ上の問題等はなかったでしょうか、というのが一点目。

もう一つ、自分の経験なのですが、盲学校とろう学校が、モンゴルでは当時は一緒の学校にありました。聴覚障害の方々が市場で靴を売るという商売、コミュニティがあって、そこで僕が靴を買いに行くと、いつも聴覚障害の方々が靴を売られていましたが、そことコラボレーションして、今後盲の方々が靴磨き等されるといいのかなというふうな感想もちょっと持ちました。

 

高嶺 はい、では、お答え、お願いします。

 

田畑 ありがとうございます。おっしゃるとおり、モンゴル語のスクリーンリーダーというのがまだないので、今、取り組んでいる最中で、そろそろ何とかモンゴル語対応ができるのではないかという話です。

それから靴の話は、それは私も存じ上げなかったですが、それはなかなか面白い話だと思うので、今度、モンゴルの人たちに会うときにちょっと提案してみたいと思います。

 

高嶺 はい。ではもう1人。クリスナさん。

 

会場 クリスナ・モルディと申します。インドの組織から参りました。視覚障害者の方たちは、地域の他の人たちにどのように組み入れられているのでしょうか。

 

田畑 視覚障害の人たちがどのようにコミュニティに取り込まれているかということですか。

 

会場 はい。視覚障害者向けの活動をしていらっしゃるということですが、しかし社会にはいろいろな人たちがいます。このプロジェクトでは、もちろんいろいろな人たちを取り込んでいかなければならないと思うのですが、視覚障害者とそうでない人たちをどのように取り込んで、このプロジェクトを行っているのでしょうか。

 

田畑 私たちが行っているのは、基本的に視覚障害者の当事者団体の能力開発なのですけれども、これから、例えばこの図書館というのは、つい去年か一昨年にできたものなので、みな、これから進んでいくことだと思います。先ほど申し上げたように、モンゴル盲人連合がウランバートルにFM局を持っていまして、視覚障害に限らず、いろんな情報をそこで流しています。モンゴルにはFMの全国ネットというのがないそうなので、これからモンゴル盲人連合として支部にもFM局を作って、そうして自分たちの話を聞いてもらうとともに、コミュニティの中の人たち、例えばすでにビジネス界と一緒にプロジェクトをしているようなので、そうやってコミュニティの中に出て行くことは、十分考えられるし、これは既に皆さん考えていることだと思います。きちんとした答えではなくて申し訳ありません。

 

高嶺 もうそろそろお時間ですので、これで終わりたいと思います。田畑さん、どうもありがとうございました。質問のある方、またこの次のセッションでお時間がありますので、質問用紙にぜひお書きになっていただきたいと思います。よろしくお願いします。