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講演会「障害児に豊かな読書体験を」

開会の辞

河村宏
DAISYコンソーシアム理事

皆さん、こんにちは。ご紹介いただいた河村です。本日はDAISYコンソーシアムを代表して、IBBY、昔はイビーと呼ばれていましたが、その日本の組織であるJBBYの活動を知る機会が与えられて感謝しています。

先ほど紹介されました、DAISYコンソーシアムは、スイスに法人格をおいています。
やっている仕事は、1997年にデンマークのコペンハーゲンで国際図書館連盟の大会があったときに、そこで採択したDAISYの規格を開発し、発展させるために設けられた国際非営利組織です。

この会員は世界中14カ国で主たるメンバー、フルメンバーと呼びますが、ほかに50カ国ほどにアソーシエイト、賛助会員がおります。さらに産業界からはマイクロソフトその他の企業が賛助会員になっています。これは、フレンドと呼んでいます。

先日はマイクロソフトの本社でビル・ゲイツ会長が、世界中のDAISYの主たる製作団体及び開発者を集め、マイクロソフトとして何をすべきか要望をまとめて欲しいと申しました。

その際、要望のリストをたくさん出しました。
それを盛り込んだものが、Windowsの次のOSになる、という宿題を、同社に渡しました。
ビル・ゲイツ会長は、それにできるだけ応えたいと回答しましたので、私どもは、次に出るビスタと呼ばれるOSがどのように、今後私たちがモノを書いたり、本を作ったり、特に絵のある本をアクセシブルに、誰もが分かるように作る、それに役立つようになるのか注目をしているところです。

特に障害のある子どもたちの読書について、今日、お話があります。やはり本は1回紙になって出てから、それをどういうふうにアクセスするかは大変難しいものです。従って私たちはその前の原稿を作る段階から、障害のある読者に配慮した製作方法とそれを実際に実現できるツールが必要だと考えています。そうすることで、障害のある子どもたちも一緒にみんなが読めるものを作りたいという希いがかなっていくと思います。

ただそのためには、すでに十分にこれまで経験を積んでこられたIBBYやJBBYのノウハウや、あるいはユーザーの希望が、十分に集約されて、それが技術の中にきちんと反映される仕組みが必要です。

その意味で、DAISYコンソーシアムは技術を開発する団体ではありますが、今日ここにお集まりの皆さんがこれから講演がある「このようにしたら豊かな読書体験が得られる」、そのことで子ども達は、このように発達するし、自分たちも豊かな人生が築ける、そういうノウハウについてぜひ学ばせていただき、これからも提携しながら、規格、技術ですが、そこに必要なことを反映していければと思います。

本日ここで、開会の言葉を述べるのは、大変、私どもとしても、有意義であると同時に、今、技術は、どこまでいっているか、ということについても、後ほど、(財)日本障害者リハビリテーション協会からもデモンストレーションがあると思います。それらについても、忌憚のないご意見をいただき、今後の実りある発展が、この会を契機に、さらに進んでいけばというふうに、考えています。

本日は、ノルウェーから、遠路はるばるハイジさんにいらしていただき、また、撹上さんには、これまでの実績、山内さんには図書館現場での実践からの様々な知見を聞かせていただくことを楽しみにしています。よろしくお願いします。