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CBR公開研究会in名古屋「CBRマトリックスを使って考える」報告書

プレゼンテーション2
「日本の状況をCBRマトリックスで見てみよう。」

発表①:社会福祉法人むそう・NPO法人ふわり理事長
戸枝 陽基
発表②:一般社団法人草の根ささえあい代表理事
渡辺 ゆりか
コメンテーター:ナズムル・バリ

◆午後の進行

上野 午後の部を始めたいと思います。発表者からお話をお聞きする前に、CBRマトリックス表をご覧ください。1枚目が私の人生の充足度、2枚目はバリさんのお話しをお聞きしながらチェックしていただきました。3枚目には私の事業・取り組みと書いてあります。これからの時間は戸枝陽基さんと渡辺ゆりかさんのお話をお聞きし、ナズムル・バリさんからはコメントをそれぞれいただきながら進めていきます。その後、休憩があり、3つのグループに分かれます。皆さんの活動に関してマトリックス表に当てはめていただきます。お書きいただいたものは皆さんの自己紹介ということになります。何かわかりにくいところはありますか。大丈夫そうですね。

発表①:戸枝 陽基(社会福祉法人むそう・NPO法人ふわり理事長)

上野 それではお一人目の発表者、社会福祉法人むそう・NPO法人ふわりの理事長をされています戸枝陽基さんをお迎えいたします。30分間お話をお聞きし、その後にナズムル・バリさんから10分間コメントをいただきます。戸枝さん、どうぞよろしくお願いします。

戸枝 こんにちは、戸枝です。よろしくお願いします。障害のある方の地域生活を支えるということで半田市を中心に、周辺の10自治体、人口59万人のエリアを対象に活動しています。昨日はバリさんにうちの活動を見ていただいたのですが、同じようなイメージを皆さんにもっていただけるようにプレゼンテーションをしていきたいと思います。パンフレットもご用意していますので、こちらも参照していただければと思います。

むそうの目指すもの

今のまま福祉をチェンジしなければ、僕たちもプライドや大事にしてきた自分なりの文化、個性など、いろいろなものを否定されながら死んでいくしかありません。これは明日、自分が障害者になったとしても同様です。僕自身は嫌だと強く思っているので、具体的に自分の能力の範囲内で精一杯チェンジしようとしているところです。理念としてはノーマライゼーションを目指しています。共感してくれた若いスタッフたちが集まり、活動しているのがむそうです。今は愛知と東京に事業所があり、愛知は常勤の職員が20名、常勤パートがほぼ同数、登録ヘルパーが約80名ぐらいいます。東京には10名ほどのスタッフがいます。事業規模としては今年の予算でいえば4億円ちょっとぐらいです。

僕たちが何を目指しているのかをお話しします。オレンジ色の丸が施設で、障害のある方、担当職員がいるとします(図1)。日本の施設の場合、グループホーム・ケアホームでは5人の利用者に対し、1人の夜勤が付きます。日中活動は5人から7人の利用者に対し、1人の職員が付きます。真ん中にいるのが施設長です。何をしているのかよくわからない、主任もいます。施設には必ずいます。利用者の個別の暮らしや希望も支援してくださいというと、このように人手が足りないので、無理だと皆さん半笑いになります。人手が足りないのであれば、何をしているのかよくわからない人をとりあえずリストラして、そのお金で地域の中でパートタイムで働きたいという方を雇用すればいい。

(図1)
図1

施設は国のお金をいただいて建てたこともあり、もったいないので、うちの場合はラーメン屋にしました。ラーメン屋には、障害のある方が働き、そこには職員やパートタイムの方もいます。お客さんも来ます。他には、鶏を飼っているグループ、シイタケを育てているグループもあります。竹を粉砕し、固形燃料を作るプロジェクトもしています。今日は滋賀県の東近江の方たちが来ていますが、東近江では雑木林の木を伐り出し、それを障害のある方が薪割りして宅配するというプロジェクトをやっています。それを見た時にこれは素晴らしいなと思いました。エネルギーの問題にもアプローチしているし、山の持ち主はお年寄りが多いので、手を入れることができず荒れてしまっています。大雨が降ると海に木材が流れ着くことがありますが、それは山が死にかけているからです。

知多には常滑という陶芸で有名なところがありますが、そこの窯に、戦後の経済成長期に知多中の木をくべてしまったということがありました。鎌倉時代にも一度全部焼いてしまったことがあるらしいです。だから木が生えてないのです。木は生えていないのですが、そこに竹がものすごく伸びてしまい困っています。今は竹を粉砕してエネルギーにするというプロジェクトに取り組んでいます。この人たちは農地を借りて活動しています。小屋も建てました。そうすると本体施設はがらんとするので、地域の方たちに会議で使っていただいたり、ラーメン屋なのでお食事に来ていただいたりと、コミュニティスペースとして機能しています。こうしたことをやっています。

地域の人たちも以前は、障害のある人はおっかない、どうやって付き合ったらいいのかわからないと思っていたそうですが、思いのほか愉快な人たちだということがわかり、いろんな人が寄ってくるようになりました。去年の忘年会には130人ぐらい集まりました。僕は受付の所に立ち、お一人お一人にご挨拶していきます。すると職員たちが「あの人はシイタケの菌床栽培の指導をしてくださっている方です。戸枝さん、お礼言わないとだめです」とずっとレクチャーしてくれるのですね。わかった、わかったと言いながら、米搗バッタのようにご挨拶をして回りました。そのような感じで、いろんな人がいる訳です。

入所型施設も地域の人たちを雇用しているかもしれないですが、福祉の専門家でないような人が参加しているということは少ないです。ネットワークをつくるのにはここが重要だと考えています。この輪ができてくると、自閉症で水にこだわりがある方でも、洗い物が上手だということであればうちの喫茶店で働かないか、ということで就労につながっていく場合もあります。

今考えているのは、子供が独立していった老夫婦の家庭に、ある程度自立度のあるご本人さんがホームステイのようにお世話になるというグループホーム・ケアホームです。家賃を払ってもいいし、この老夫婦が食事を出してくれるのであれば介護報酬を払ってもいい訳です。夫婦世帯では年金がだいたい15万円ぐらいです。旅行などして豊かな暮らしをするとなると、25万円ぐらい欲しいというのがいろいろなデータで出てきます。障害のある方を一人みてくれると10万円ぐらい払うことは可能です。障害のあるご本人の中には携帯電話を使える人もいるので、老夫婦の病気の急変に気づき、通報することもできるかもしれません。ボタンを押したら連絡が届くような緊急通報システムを考えてみてもいいでしょう。僕たちむそうの職員は、障害のある人とともに、老夫婦の支援もできないかというふうに思っています。

福祉コストの最大化

福祉のコストをどうやって最大化していくのか。無縁社会については湯浅誠さんという方が警鐘を鳴らしていますが、直接サービスの対象にはならない、見守りが必要な人たちがどんどん増えてきています。その時に、僕たちは障害者福祉をやっているので障害者しか見ないのではなく、こうして最大化していくこともできるのではないかという戦略も考えています。

知多半島のアパートでは、マンションほど大きくないので、清掃会社が受託しないというところがあります。そうしたアパートに週2回出向き、きれいにお掃除し、電球が切れていたら交換するという仕事を障害のある方が始めています。大家さんはお年を取られ、自分でやるのはおっくうなので、月5000円でどうかと頼まれます。あとはコミュニティセンターの清掃をさせていただいたりもしています。集団でということも徐々に押し出し始めています。企業で就労できる方たちは一般就労をしてもらっていますが、当然続かないこともあるので、何かあった時にはすぐに戻ってきてもいいという安心感を担保しています。そうすると親御さんたちも怖がらずにアプローチできる訳です。

むそうの10のサービス

(図2)
図2(図2の内容)

むそうでは10のサービスを提供しています(図2)。特に基本的な支援ということでは、7日間親が亡くなっても地域に残れる住まいがあって、5日間頑張る場所があって、2日間はヘルパーさんと一緒に社会参加することです。だんだんとうちのメンバーも年を取ってきています。ダウン症の方は40歳を過ぎるとかなりしんどくなってきますので、外出支援で健康風呂に行き、マッサージを受けるということもあります。あとは外に出たくないという時には家事援助のヘルパーを派遣するなどして支えています。

更に暮らしを包み込む支援ということでは、所得の問題、親御さんが亡くなった後の年金管理、福祉サービスを誰が担うか、医療との連携、家族援助ということが挙げられます。特に子供に障害があるとわかった若い親御さんに、障害の見立てをきちんとし、家庭の中での暮らしの組み立てを一緒にしていくという支援がいるのではないかと思っています。僕らはそれを療育ヘルパーと呼んでいます。

レスパイトも必要です。レスパイトで重要だと思うのは、障害のない兄弟たちが親御さんにべったりと愛情を注がれることです。これを担保していかなければなりません。障害のない兄弟は親よりも長くご本人と伴走してくれるのです。例えば、胃に管を入れないといけない場合、手術の同意を誰がするのか。兄弟がいるというのはすごく重要です。しかし、その兄弟が障害のある兄弟がいるために割り引かれたと思っていると、協力的な関係にはなりません。家族ということでは特に兄弟を大事に支援しないといけないと思います。

これらのサービスを組み合わせてくれるのが相談支援事業です。これが今すごく困っています。うちのまちの相談支援員の中には、ご本人に大量のサービスを取ることが相談員の腕だという考えがあるようですが、サービス漬けになるというのは専門家としか会わない、貧弱な暮らしに内包されていくということです。だからいろいろな社会資源とつないでくれるような相談支援をしないといけません。今はむそう独自で相談支援をし始めています。

地域支援計画ということでは、プロ野球で活躍された元中日ドラゴンズの立浪さんをお呼びしてイベントを開催しました。福祉講演会に来る人というのはもともと理解者なので、全く違う切り口で来た人に福祉を伝えないと意味がない訳です。そんな活動も地道にやっています。あとは人材養成が一番大事だと思いますが、人づくりを一生懸命やることです。今までは箱で障害のある方を守るという概念でいましたが、僕たちは人の質で守ろうとしています。この10のサービスで障害のある方を支えたらいいのではないかということが僕たちの提案です。

先日、琉球大学でCBRの勉強会に参加させていただいた時に、この10のサービスを15年前に一人でひらめいた俺は天才ではないかといいましたところ、笑われるかと思ったら皆さんすごい顔でうなずいていまして。すかさずThank youと言っておきました。僕らはこのターゲットに対してどうやって事業展開するのかを15年前からしてきました。だからCBRマトリックスを見た時は、一つ一つの項目がより高いレベルで練り込まれていて、僕たちの足りない視点も補ってくださっており、これを考えた人は賢いなと思いました。

CBRマトリックスで気づかされたこと

CBRマトリックスの中の、例えば医療というところでは、医療は医者がすることと考え、具体的なアプローチをしてきませんでした。CBRマトリックスを見て、やはり医療との連携は具体的にしていかなければ駄目だろうと思いました。特に満足のいく医療機関、場合によっては医療人材と本当に出会っているのかと思うとそれはノーということでした。そうすると自分たちでそれができるぐらいの力強さと知識を持たなければいけないのではないかと悶々としていた時に、東京のあるドクターと出会って紹介された人がいます。写真(図3)の彼女は、胃ろうという胃のチューブから流動食を入れています。要するにミルクを自分で飲むという力が生まれた時になかったという方です。

(図3)
図3(図3の内容)

こうした子供たちは医療的に治療や手術をすることがなくなると、健康になったと言って病院を出されてしまいます。その際に介護職の人たちは管が付いているので医療職の担当だと言って面倒を見ない。医療職の人たちは既に胃ろうの造営手術が終わっており、手を施すことがないので医療の対象ではないといいます。彼女はその谷間にいました。父子家庭だったので、お父さんが会社に連れていき、職場にベビーベットを置いてそこに寝かせていました。彼女は今3歳で、そういう暮らしを3年間していたそうです。在宅診療所と訪問看護ステーションとむそうが連携し、彼女の暮らしの支援をしています。彼女は今、墨田区にある拠点に来ています。

東京には世田谷にも拠点を作り、立川でもドクターと連携しながら進めていこうと準備しているところです。医療的なケアが必要な子供たちというのは移動力がすごく弱いので、東京中に30分以内で来られるような拠点を作っていき、同じような動きをしてくれる他の法人などにノウハウを提供しながら、この問題を解決していきたいと思っています。こうしたアクションにつながったのもCBRマトリックスのおかげです。むそうでは事業所の展開診断ツールとして有用だったといえるかと思います。

愛知での取り組み

これ(写真1)は愛知での展開です。昨日、バリさんから「マッシュルーム アンド バンブー ナイス」と言われました。バングラデシュでもすぐにやりたいとおっしゃっていました。アジアでならどこでもやれるかと思います。知多でも医療法人や権利擁護センターなどとも連携しながら、冒頭にご覧いただいたような入所型施設に、重度障害者であっても、親が亡くなったとしても行かないということが実現しています。

(写真1)
写真1(写真1の内容)

むそうの活動を見て、いろいろな方からCBRのアジア・アフリカなどでの展開にすごく似ていると言っていただいています。僕たちは建物に依存せずにやってきていますので、そういう意味では似ているのかなという気はしています。住む、働く、社会参加の仕組みです。シイタケ栽培、鶏舎もあります。先ほどもお話ししました竹を粉砕し、ペレットにしているところ(写真2)です。シイタケというのはおがくずを固めたところから出てくるのですが、このおがくずに竹を混ぜてもシイタケは出てくるということがわかりました。おがくずの原材料として竹が使えるということもわかってきました。

(写真2)
写真2(写真2の内容)

知多中が竹林になってしまうことを食い止めることも含め、それを僕たちが実現できれば障害のある方たちのおかげでとなる訳で、障害のある方たちの社会的価値もぐんと上がります。そういう意味で、儲かる・儲からないということも当然大事なのですが、社会性の高い、公益性の高い仕事を選んで取り組んでいきたいと思っています。

(写真3)
写真3(写真3の内容)

(写真4)
写真4(写真4の内容)

廃園になった保育園が空いていたので地域の人たちが集まる喫茶店(写真3)にしました。これ(写真4)はリハビリ専門の病院の中にある喫茶店です。障害のある方が生き生きと働いていれば、リハビリに来ている人ももう一度頑張ろうと思うのではないかということで、病院の院長先生から家賃は要らないので来てほしいと言われて始めました。うちのメンバーの手を取って、私も負けないからねとおっしゃる方もいらっしゃいます。こういう仕事は障害福祉でなければできないと思います。

親子関係が元で不安定になっている自閉症・精神障害の方たちというのは、僕たちも支援に苦労しています。住環境から全て一度リセットしないと立ち直ることができない人が多いです。

駅前の証券会社だったビルを改修し、住まいにして、自立生活をしていただいています(図4)。

(図4)
図4(図4の内容)

これ(図5)は会社の社員寮だった所をケアホームと支援センターに改修しました。

(図5)
図5(図5の内容)

これ(図6)は一軒家で、1階が4部屋、2階が4部屋のケアホームです。

(図6)
図6(図6の内容)

これ(図7)はガレージだった所はバリアフリー改修し、リフト付きのケアホームにしました。身体的な障害のある方の場合にはこうした環境を作らなければいけません。今はケアホームを次々に作って、親御さんがいなくなっても受け止められる仕組みを整えています。ここで皆さん暮らされて、昼間の活動に行かれています。土日はヘルパーと一緒に好きなことをして過ごす、そんな生活をしています。

(図7)
図7(図7の内容)

むそうの活動の特徴

まとめということで、民間のあき空間の再活用、事業継承、公共のあきインフラの再活用、リハビリ支援、新たな社会課題の解決といったことがむそうの活動の特徴ではないかと思っています。事業継承ということでは、例えばシイタケ栽培は経営者の方が年を取ったので辞めるということで、道具や販路などを全部いただきました。その方は週5日やるのは大変だから辞めるとおっしゃっていたので、では週3日教えに来てくださいとお願いし、若い職員を雇って技術継承しています。ほうっておくと失われてしまう仕事を障害のある方と職員が継承するというパターンは結構ありではないかと思っています。

むそうとしては税金を使わせてもらっているので、経済効果が最大化することを意識しています。自分のところにお金が留まるのではなく、いろいろな所と連携することを丁寧に仕掛けていくことです。例えば夕飯は自分のところで作ってもいいのですが、できれば地元のお弁当屋さんにお願いしています。そうするとそこにお金が流れます。むそうや障害のある方がいなくなるとお店の報酬が減るということで、いろいろな人に影響を与えるようになります。そうすると役所への反対運動が起こったりする訳です。これを当事者だけが言っているのではやはり弱いです。これからは厳しいと思います。

福祉サービスを構成する3つの要素

冒頭から人材づくりが一番大事だといってきましたが、僕自身は福祉サービスというのは3つの要素(図8)で構成されていると思っています。1つは介護スキルです。特に障害の理解力と書きましたが、この人の発達の状態はどれぐらいのところにあるのか、更には障害特性の正しい見立てが欠かせません。例えば就労ということでは、やれることを見出すのはやはり難しい訳です。住まいの場所も、例えば光に対する反応が過剰で夏になると不眠になってイライラしてしまう人というのは、自閉症の方の中にすごく多くいらっしゃいます。そういう方の場合には、外側だけでなく、中側にも雨戸を付けます。そうすると真っ暗になり、それを開けない限り8時までちゃんと寝ています。そうした配慮をしないと4時半ぐらいに起きてしまい、寝るのは遅くなるので睡眠不足で夏はイライラする訳です。

(図8)
図8(図8の内容)

こうした見立てができるようになるためには、やはり障害のある方と一緒に暮らすということを10年ぐらい丁寧にやらないと駄目なのではないかと思っています。うちにも相談支援員ならやってもいいですという高飛車な大学生が採用試験に大勢来ますが、ジャージを履いて、オムツをかえて、ウンコをつかむということができないなら無理ですと言って、入り口で落とします。それができた人がこの人を幸せにするにはただ自分が頑張っているだけではなく、たくさんの人と協働しなくてはいけない、使える制度を知らないといけない、制度外にいろいろな社会資源はないだろうかと意識を伸ばしていく中で、ケアマネジメントや相談支援ができるようになってきます。

相談支援をやっていると、こんな社会資源があったらいいのにな、制度がもう少しこういうふうに変わればいいのにな、ということに気づく訳です。それを作ってしまおうというのがソーシャルワークだと思っています。それぞれの専門性をもった人がチームでやってもいいのですが、できればこの3つがきちんと積み重なった人材がたくさん出てくると日本ももっともっと変わるし、場合によってはアジアの方たちと貢献的に付き合い、学ばせてもらうようなプロの地域福祉人が日本の中で出てくるのではないかと思っています。それをまずはむそうでつくれるように頑張りたいと思います。

以上で報告を終わります。

上野 戸枝さん、どうもありがとうございました。

バリ ご発表、どうもありがとうございます。昨日、実際に半田のむそうを見学させていただきました。とても印象的な事がありました。

最初に生計手段のプログラムを見ました。とても面白いと思いましたし、学べると思ったこともありました。様々な障害をもった人たちが従事していると同時に地域の人たちも一緒にそれを行っている、ということが一つです。地域の高齢の方が障害をもった人たちを手助けしていましたが、そのような姿を実際にコミュニティの他の人たちにはっきりと示すことは大変重要だと思います。障害をもった人たちを支援するという一方通行ではなく、地域の人たちとお互いに支え合いができることが重要だと思います。

このような活動は非常に重要です。障害をもった人たちも収入が得られるようになりますし、自分たちがやっている仕事なんだというオーナーシップ(当事者意識)もそこに帰属しているという意識も生まれて、満足に思い、かつ、やる気も出てきます。もちろん、社会の中でのインクルージョンにもつながってきます。このような活動がコミュニティの中心部で行われているということが非常に重要です。シイタケ栽培もすごく面白いと思いました。バングラデシュでもやりたいと思いました。いろいろな野菜の栽培も見ました。バングラデシュと同じものもいくつかありました。

もう一点私が非常に高く評価するのは、CBRのプログラムは世界各地で様々見てきましたが、むそうでは重度の障害をもった人のみを対象としているのではなく、知的障害や精神障害をもっている人も一緒に参加しているという事です。

健康面でのケアに関する支援が、施設内だけではなくそれぞれの家庭でも、様々な時間帯で夜も昼も提供されていました。今日のバングラデシュでは資源が不足しているので、同じことが必ずしも実現可能ではありません。資金的には地方自治体である県がコストの75%をカバーしているとお聞きしました。バングラデシュでは将来に希望を託したいと思います。

CBRマトリックスに当てはめると様々な要素がむそうの活動の中でカバーされていることがわかります。私がお話ししたCBRにとっての3つの大きな要素であるリハビリテーション、社会的インクルージョン・地域への働きかけ、障害をもった人たちに機会を与えてエンパワメントを図る、その3つともが含まれています。今後の課題は、このようなニーズを持つ、より多くの障害のある人にどう対応していくかということでしょう。

昨日の視察で拝見したこと、そして今日のお話しからいろいろと学んだことを国に持ち帰りたいと思います。今後もご成功をお祈りします。ありがとうございました。