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自立生活 国際フォーラム 日本語版

第4分科会資料:障害分野における我が国の国際協力・国際交流

 日本社会事業大学  植村英晴

1.はじめに
 我が国の障害者福祉は、「国際障害者年(1981)」とその後の「国連・障害者の十年(1983~1992)」を契機に大きな進展が見られた。そのポイントとして、多くの人が障害者問題に目を向けるようになったこと、障害を個人の問題としてだけではなく、環境や社会との関連で捕らえるようになったことなどが挙げられる。これをアジア太平洋地域で継承するための「アジア太平洋障害者の十年(1993~2002)」は、アジア諸国が経済開発だけでなく、社会開発も課題とした点で意義がある。
 国際協力の分野では、政府開発援助大綱(平成4年6月30日閣議決定)で「子供、障害者、高齢者等社会的弱者に十分配慮すること」を明確に掲げた。「障害者対策に関する新長期計画(1993~2002)」においても、「アジア太平洋障害者の十年」への対応を挙げ、アジア太平洋地域における障害者問題に係わる国際協力において主導的な役割を果たすとしている。さらに、「障害者プラン(ノーマライゼーション7ヵ年戦略)」においても施策を重点的に推進する7つの視点の1つとして国際協力・国際協力を掲げている。

2.国際協力の現状
 政府開発援助(ODA)による国際協力として、プロジェクト方式技術協力(中国リハビリテーション研究センター、タイ労災リハビリテーションセンター、インドネシア・ソロ身体障害者リハビリテーションセンター)、一般無償資金協力(インドネシア巡回リハビリテーション機材)、小規模(草の根)無償資金協力、集団研修(障害者リハビリテーション指導者研修等9コース)、個別研修、第三国研修、専門家派遣、青年海外協力隊派遣などが実施されている。
 民間団体は、国際ボランティア貯金や国際開発協力関係民間公益団体補助金(NGO事業補助金)を活用したり、また、独自の事業として国際協力を実施している。

3.障害者の国際協力事業への参加
国際協力事業団(JICA)は、1995(平成7)年度と1996(平成8)年度に我が国のODA事業に障害者の一層の参加を促進するための方策を検討することを目的に調査を実施している。この調査で国際協力に障害者自身が参加することの意義を次のように要約している。
(1).同じ障害を持つという立場から、途上国の障害者が必要としている援助ニーズを的確に把握することが用意であること
(2).障害者自身が参加することにより、相手側に大きな影響を与え、効果的な協力が可能であること
(3).途上国への協力により、我が国の障害者のエンパワーメント、自己改革、社会参加を推進できること

4.まとめ
 障害者の当事者運動や自立生活運動は、アジア諸国においても発展してきている。これをさらに発展させるためには、それぞれの国の文化的社会的背景を十分に考慮した上での理念的な支援や連帯と国際的な支援援助を有効に活用することが必要であろう。