音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

障害者の「20年」―その成果と課題、施策への提言―

板山賢治
(財)日本障害者リハビリテーション協会 副会長

項目 内容
備考 Webマガジン ディスアビリティー・ワールド 2002年6月号掲載

「10年の成果と課題」

 「完全参加と平等」の実現を目指したこの10年は、わが国の場合、相当の評価が与えられて良さそうだ。 
 第1に、特に障害を持つ当事者・団体の意識や活動の変化といった面では、「街に出る」「挑戦する」「参画・提言する」動向が、街角やマスコミで目・耳に触れることが増えた。障害者組織・運動でも障害種別を超える相互理解や共同が広がり、政策研究やソーシャルアクションの展開が見られるようになっている。半面、若い世代への広がりを欠き、ハングリー精神の欠如やエネルギーの低下が憂慮されている。
 第2に、法制度、行政施策では、障害者基本法の制定、欠格条項の総点検、障害者関係3法の改正、建築、交通、通信などの分野におけるバリアフリー化が確実に推進されてきた。問題は、わが国の障害者関係法制が、ADA(障害を持つアメリカ人法)などと異なり、「権利性」「義務性」に乏しく、法制度の強制力、実行力に欠けることだ。市町村障害者計画の策定状況の不十分さ、教育、就労面での停滞は、その証左とされている。
 第3は、市民意識・社会環境分野の変革だが、総論としては「差別・偏見」の払拭は着実に前進しつつある。ただし、各論では、障害者施設建設への反対論に象徴されるように、なお多くの課題が残されている。

「ポスト10年」の目指すもの

 国内的には、第1に法制度に一本筋を通すことである。各種法制に可能な限り「義務規定」「罰則規定」を明定するよう法改正運動を「国連・人権規約」とも関連して進める必要があろう。
 第2は、市区町村障害者計画の策定及びその充実の推進であり、特に町村窓口態勢の整備に強力な運動が求められている。支援制度がスタートする来年4月が目前に迫っているのだ。
 第3は、障害者運動の活性化である。まず、障害者組織への若い人々の参加による世代交代を実現すること。そして、都道府県社会参加推進センターを拠点とする都道府県レベルでの結集体の組織化である。さらには、戦後50余年の障害者運動の歩みを検証し、先人に学ぶための「障害者団体機関紙文庫」の設立も1案と思われる。
 第4は、アジア・太平洋地域との連帯の推進である。今年10月の3つの国際会議を機に政府レベルのODA(開発援助)、JICA(国際協力事業団)による障害分野への支援の拡充を求めるとともに、民間サイドにおける人材育成・交流財団の設立などが期待される。そのためには「ポスト10年プラン」の提言が政府レベル「ESCAP琵琶湖会議」で採択されるようアジア・太平洋地域の障害者、専門家の総意が「大阪フォーラム」に結集されなければならない。フォーラムの目指すものは、まさにアジア・太平洋地域の国々の障害者に橋を架けることであろう。

詳しい情報はこちらをご覧下さい。 http://www.secretariat.ne.jp/osaka-forum/jpn/