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イラク戦争、 障害者権利運動家達を立ち上がらせる

ケイ シュライナー (kays@uark.edu)
アーカンソー大学、アメリカ

項目 内容
転載元 webマガジン ディスアビリティ・ワールドNo.17(2003年1月-3月)
(英語)http://www.disabilityworld.org/index.htm

障害者のコミュニティーは、戦争が政治経済を不安定にさせ、本来戦争がなければ全ての男性、女性、子供が公正な社会を形作りまともな生活を送っていくために有益な資源を吸い尽くしてしまう事を知っている。また、多くの障害者権利擁護運動家達は、戦争が多くの人々に障害や痛み、苦しみを与え長期的な治療、リハビリテーションや支援のための経済的負担を強いると指摘する。障害者のコミュニティーにとって戦争が意味するものは、世界的な障害者権利運動の焦点である平等の達成への新たなバリアになるという事である。

DPI(障害者インターナショナル)

DPIが指摘するように「平和は障害の問題」である。DPIは2002年10月に札幌で開催されたDPI世界会議で札幌綱領を発表した。綱領では、アメリカが第二次世界大戦において、民間人に向けて原爆を使用した広島の地でDPIが1982年に出した障害者にとっての平和の位置づけの声明を再提示した。

DPIはこの声明の中で平和と障害の関係を明白にうたっている。声明は以下の通りである。

「世界中の障害者は、最も深い個人的な経験を通して、生命と身体を死と破壊の雲でおおう戦争のおそろしさを知っています。一国の人びとを破滅に追いやり、永久に消えることのない悲劇の傷跡を人間の脳裏に焼きつけ、子どもたちの夢と希望を打ち砕き傷つける現代の兵器の威力を、この広島平和記念公園ほど雄弁に物語る場所はありません。 この地球上に存在する五億の障害者は、絶対的な生命の尊厳の獲得を切に望んでいます。戦争が引き起こす障害の発生と生命の終焉は、ぜひとも避けなければなりません。しかしながら、戦争の危険性はますます加速度を増しています。

人類は、自らの才能を自らのニーズを満たすために使用することから、より多くの狂暴な破滅手段を開発することに向けています。

  幾世代にもわたってつちかわれてきた、人間のあらゆる才能をふりしぼって生まれた人類労働力の産物が、人類にとって、まったく無益な兵器の大量生産に使われています。 個人相互の協力と人類の組織力が、人間の破壊を唯一の目的とする、巨大な軍産複合体の設立に浪費されています。」

障害者は他団体の進歩的な運動と強い絆を持ち始めており、2月の土曜日にロンドンでは、障害者が他の多くの参加者とともにイラク戦争反対のデモ行進を行った。カナダ障害者協議会(CCD)はカナダ一般市民に、今後開催されるあらゆる公の集会でイラク戦争の議題が出た場合は反戦の姿勢を共有するよう呼びかけた。