音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

スウェーデン国際開発協力庁(Sida)の障害児者のための開発協力に関するガイドライン

6. 結論

6.1 国連の標準規則-開発協力のための基本原則

すべての社会は、 障害者が可能な限り地域社会活動に平等の条件で参加出来るように適応しなければならない。 従って、 社会の総ての分野がその運営や企画に障害問題を考慮に入れて取り込まなくてはならない。 国は障害をもつ人の権利を尊重する義務がある、これが国連の標準規則が意図することであり、 障害分野における開発協力の基本原則を標準規則に設定している。

障害についての見方は医学からより社会指向の展望に変わって来た。 隔離を伴う特別な解決策以前に通常の社会活動への統合が推進されるべきである。 障害が社会的不利となるか否かは、 社会や環境がどのように形作られているかによるものである。 22の標準規則は障害者の状況の改善のための方策において最も重要なことを描いている。これが適用できるのは、 自身の生活状況に関する意志決定に影響を与える権利とともに、 とりわけ、 意識の向上とリハビリテーションを受ける権利、 治療、 支援、サービス、教育、 仕事、 文化、 順応した環境を享受する権利である。 下記の領域は開発協力に特に関連している。それは、様々な領域でより総合的な変革をもたらす前提条件を創出するからである。

  • 政策展開の為の全体的な責任:各国毎に障害をもつ男女、少年少女に関する政策展開や企画の為の総体的な責任を持つ中央機関が存在すること。
  • それが、標準規則の順守についてフォローアップし、 国連に報告する。
  • 態度と人権擁護に影響を与えること:様々な種類の障害について、 また、 障害者の社会統合にどのような機会があるのかについて一般市民と政府当局の意識をより豊かにするためのもの。
  • 技能開発:障害をもつ人の状況改善に適用する種々の異なった物事の見方、 方法、 施策についての知識を増やすことを目的とする様々なレベル、 かつ、 様々な分野において技能開発。
  • 障害者団体の発展:長期的な権利擁護のために重要な第一歩。

目次に戻る

6.2 国際的政策-意識の向上

スウェーデンは標準規則の作成に積極的に参加した。 標準規則の目的が実行されているかどうかをフォローアップするために、 更なる規範的な政策と施策開発の仕事が重要である。また、 国連組織内やその他の国際的な場での意識の向上と情報提供事業を継続することは、 開発途上国の代表者や政府当局との関連と同様、 極めて重要である。

スウェーデンの障害問題についてのしせいは高く評価されている。 スウェーデンが様々な国際的な場において障害問題を追求し続け、 そして、 スウェーデンがその専門知識を提供する力を維持し、 様々の関連において経験、 知識とアドバイスを以て貢献して行くことは重要である。

6.3 調整-中心的課題

経験によれば、社会の様々な分野間の障害関連プログラムの調整が標準規則に従って増えることは、それぞれ個々の実際効果を増強することとなる。従って、 Sidaやその他の貢献者は全国的な調整に向かって努めるべきである。 Sida自体の内部での相談や情報の交換を増すこともまた障害をもつ人の立場をより効率よく推進する結果となり得る。

6.4 目標グループ

上述のように、 Sidaは開発協力の中で標準規則の実施に向け努めている。 それに関して、障害をもつ児童、 少年、 少女ともに格別に優先されるものとする。

6.5 対象国の選択

障害分野の援助における二国間プログラムをもっと幅広く展開して行くためには、 標準規則の精神にそって各国政府の課題において政治的意志や前向きな態度を示すことが必要である。より幅広い援助の基準としては以下の事項が挙げられる:

  • 一ないし幾つかの分野に障害もその中に含む現在の開発協力における前向きな体験。
  • NGOを通して成功を遂げている開発協力で、 その活動をより大きな規模に拡大出来る可能性を有するもの
  • 分野別支援の枠組み内での建設的な対話。 主として教育もしくは保健分野で障害を含めて活動を展開することが適切と示されているところ
  • 国が標準規則のフォローアップや実施のための支援を要求していること

6.6 協力の優先領域

6.6.1 一般的な戦略領域(分野にとらわれない)

A)政策展開と標準規則のフォローアップ  

標準規則では政策展開の全体的な責任は中央の組織にあることが強調されている。Sidaが障害分野でより幅広い活動をしたいと願っている国々では、 こうした中央の機能の開発を支援することが重要である。 一つの前提条件は、 当事国の政府が標準規則の精神に則って努力すると明確かつ具体的に公約していることである。支援は政策展開や標準規則のフォローアップに関わるが、 調整、 意識向上、 人権・社会立法、支援技術問題、 施設や技能の開発、専門家教育、調査研究などにも関わる事が出来る。

B)技能開発、 態度に対する影響、 意識の向上

障害はその原因や意味に対して多くの場合知られていない。従って、あらゆる領域であらゆるレベルにおける情報と教育により態度に影響を与えることは支援されてしかるべきである。

C) 障害者団体の開発

障害をもつ人を代表する団体の発展は、 長期的に見て障害をもつ人の人権や利害関係を尊重し、保護し、 監視することに関して重要な要素である。 活発な組織も、多くのプロジェクトの持続性を保つためにも重要である。 組織の発展のための支援はスウェーデンのNGOを通して行われる方が望ましい。 Sidaも、また、 受益国を刺激してこうした組織が運営するのを支援し、その前提条件を作り、それが民主的発展のためには重要な構成要素であることを強調する。

D)世界的な規範方策開発と研究

開発協力においては障害分野はむしろ未開発の領域である。 標準規則は障害問題が強調され考慮されるべき分野と方策を述べている。 情報を評価・収集し、 知識や様々な活動の活動から得た経験を知らせることは重要である。 このことは、 様々な分野においてさらに新しい方法や世界的な基準を開発することにも応用出来る。従って、 Sidaはそのような二国間開発協力と関連した調査研究、 世界中または地域内での情報交換を支援すべきである。

6.6.2 分野別活動

それぞれの分野で、三つの異なる開発協力に分別されるべきである。すなわち:

A)障害者対象の特別プロジェクト(分野別プログラム支援における個別の要素を含み、直接障害者を対象にしたものを含む)

B)統合された支援(障害の視点が統合されたプログラム)

C)間接支援(他のプロジェクトで少なくとも障害者の状況が悪化しないように障害の視点に留意するもの)

A) 障害者のための特別プロジェクト

障害の領域で具体的なプロジェクトはSidaが教育分野で実施している開発協力を通して支持されて来た。この分野での積極的な経験でさらに進展の可能性がある。 例えば、 特殊教育教材、 教員の特別教育、 障害をもつ少年少女のための参加支援技術が挙げられる。 ろうの生徒通常一般の教育に統合され得ない。 従って、 彼らは、 例えば手話の開発などを必要とする特別プログラムが必要である。

保健領域では、 プライマリーヘルスケアによって障害を見いだし、 治療、 リハビリテーション、 参加支援技術や支援を提供するという重要な機能を持っている。

保健の領域内で扱われる障害特別プロジェクトは、 主として、 いわゆるCBR(地域に根ざしたリハビリテーション)であって、 それは簡易なリハビリテーション手法を用いて多くのの障害者に到達し、 かつ、 地域社会への統合の推進を目的とするものである。 CRB活動は保健、社会その他の関連当局あるいは団体によって開始し、また支援することが出来る。 国毎のCBRプログラムに対しては、 もし、それが総合的な政策においてしっかりした基盤を持ち、 中央かつ地方レベルで様々な分野の調整が良く取られている場合は、 優先して支援が与えられるべきである。

参加支援技術は、 視覚、 聴覚、 移動、 他の器官における障害を軽減するのに重要である。参加支援技術には、 良いもの悪いもの、 費用効果の高いものも、 必要以上に高価なのがある。最大限に活用するのはデリケートな作業である。 スウェーデンは、 この分野では良い技術を持っており、主としてSwedish Handicap Instituteを通して提供される。 適切な参加支援技術についての課題は総合的に検討される必要がある。参加支援技術へ向けられた支援は、 他の障害に関する活動との関連で提供されるべきである。

B) 統合された支援
障害問題は、 通常、 下記の分野内で統合されるべきである。
*(教育分野内での)教員訓練
*(教育分野内での)教育課程の作成
*(教育分野内での)教材
*教育改革/政策開発
*保健改革/政策開発
*地区内プライマリーヘルスケア
*(全分野にわたる) 児童のための他の活動
*(大部分の分野において) 統計整備

C)間接的支援
障害問題で留意されるべきその他の領域は:
*人権と効果的な法律による保護、 特に子供に関して
*都市計画
*人道的援助

6.7 方法

障害分野での開発協力の大部分は引き続きスウェーデンのNGOを通した支援の形を取るべきである。 方法開発、 情報交換、そして、 地域ならびに国際団体の選択について支援がなされるべきである。 二国間プログラムでは、 直接障害をもつ人に向けられた特別プロジェクトの数を増やすという要望を持つべきであると同時に、 開発協力プログラムの中に障害問題を統合することについてもっと高い関心が払われるべきである。

6.7.1 国毎の分析/戦略、 統計、 事実調査

開発協力の目標に関連がある場合にはいつでも、 国別・分野別分析や戦略といった主要文献に障害をもつ人の状況が説明されるべきである。 民主主義、 人権、 社会開発、 教育、 保健、 子供の状況の分析には障害をもつ人達の状況についての情報が含まれるべきである。 差別があれば、それは、当該国の障害者団体の役割同様、留意されるべきである障害問題は、また、他の関連調査や、 統計の集計に含まれSidaが資金協力したり、参加している事実とともに記述されるべきである。

6.7.2 政策対話

政策に関する対話は政府、 NGO, 国際組織に影響を与えるのに重要な手立てである。

6.7.3 受益国における技能と機関の開発

パートナー国での関連技能と機関の開発は優先されるものとする。 技能開発の手段としてはスウェーデン国内で受益国の人材養成研修コースは控えめに用いるべきである。 しかしながら、 障害の領域に置けるスウェーデンの経験を開発協力にスウェーデンの資源基盤の参加を通して活用するのは重要である。

6.7.4 協調と調整

Sidaとスウェーデンの様々な関係機関、 NGO間の協調、 時に調整は、 最も効率的な開発協力を得るために重要である。 Sidaは、 パートナー国において、 その支援につき他の関係機関、 例えば、地方もしくは全国規模のNGO, 各省庁、 各分野と、 また他の資金提供者とも協調かつ調整を図るべきである。 ここでは、 相手国自体による調整が最重要課題である。

6.7.5 Sidaの内部組織

SidaはSida内に障害問題を取り扱う拠点を設置する。 この活動は標準規則に基づき障害をもつ少年少女の状況に特に注意を払うものである。