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発行によせて

インクルージョン・インターナショナルによる、過去2年間にわたる決める権利に関するグローバルキャンペーンを通じて、知的障害のある人々の人生における意思決定の権利をめぐり、国際的な議論が進められてきた。

本人からのメッセージは明白である。私たちの話を聞いてほしい。自分がどう生きるかは、自分で決めたい。ときには意思決定のために支援が必要かもしれない。しかし、それは自分で決められないということではない。

家族からは、次のような声が寄せられた。私たちは、家族の一員である知的障害のある人が決める権利を持てるよう支援するに当たり、助けを必要としている。知的障害のある人々の主たる支援者として、家族は多くの場合、孤立感を抱いており、将来を案じている。

インクルージョン・インターナショナルの会員組織は、知的障害のある人々を、本人の「意思と選好」を尊重する形で支援するに当たり、直面している課題について語ってくれた。

知的障害のある人々が体験する、決める権利の歴史的および制度的な否定は、社会的偏見と、地域社会による人間であること(personhood)の理解と尊重の失敗を反映している。

障害のある人々の個人の自律(自ら選択する自由を含む)の尊重を求める国連障害者権利条約(以下、条約)第3条を踏まえ、同第12条では、代替的意思決定から支援付き意思決定へと移行するために、政府が法的枠組みを改革する義務を定めている。しかし、これらの改革を進めるには、地域社会における経済的、社会的および政治的生活への障害のある人々の参加を支援する方法を、根本的に変革する必要がある。

インクルージョン・インターナショナルは、この報告書が伝えるメッセージを基に、将来に向けて独自の課題をまとめることができるであろう。他の人々も、この報告書を利用し、政府や権利擁護者および政策立案者が共有する課題を具体化していくことが期待される。

決める権利の促進に向けて、インクルージョン・インターナショナルが果たすべき責任:

  • 国内レベルでのモニタリングと権利擁護活動および国連障害者権利委員会への報告を通じて、条約第12条を実施するよう政府に圧力をかけ続けるために、会員組織を支援する。
  • 知的障害のある人々の自分自身の生活にかかわる意見を、本人の集合的な意見として強化する。
  • 知的障害のある人々のための支援ネットワーク構築に向けて、彼らの家族を援助する。
  • 自己決定と決める権利の実現を可能にする支援を提供している会員組織の取り組みを支援する。

この報告書は、知的障害のある人々とその家族が打ち立てた、決める権利を達成するための明確なビジョンとロードマップを示すものである。インクルージョン・インターナショナルは、世界各国の政府と市民社会のリーダーが、改革に向けた共通の課題にともに取り組むことを歓迎する。

インクルージョン・インターナショナル
会長
クラウス・ラシュウィッツ