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板橋区地域福祉計画 いたばし生涯福祉のまちづくり

第二次実施計画(平成8年度-平成10年度)

第2部 基本計画

 第1章から第5章までは、当初計画策定時のまま掲載した。
 第6章は、当初計画策定時の状況と対比できるように7年度の状況を新たに加えた。

第1章 地域福祉計画の背景と意義

1.地域福祉計画の背景

 近年、人口の高齢化や世帯規模の縮小、女性の雇用機会の拡大、扶養意識の変化、福祉ニーズの多様化・複雑化等により社会福祉の領域は大きく変化してきた。21世紀の高齢社会を目前に控えた現在、このような変化に対応しながら、社会福祉の新たな展開を図ることは緊急かつ重要な課題である。
 そこで、社会福祉を取り巻く環境の変化の中で、区民の福祉ニーズ(需要・要望)に的確に応え、人生八十年時代にふさわしい長寿・福祉社会を実現するためには、地域に根ざした総合的かつ計画的な関係施策の展開が必要となってくる。こうした目的を達成するうえで地域福祉計画は、重要な役割を果たすものである。

2.地域福祉計画の意義

 地域福祉計画は、区民の誰もが、住み慣れた地域でいつでも必要なサービスが利用でき、かつ、健やかに安心して暮らしていくことができる「いたばし生涯福祉のまちづくり」を実現していくために策定する。
 従って、地域福祉計画は、地域における住民の福祉ニーズを的確に把握し、これらのニーズを充足するため、必要な福祉サービスを明らかにするとともに、それぞれのサービスの目標量及びその目標水準を設定し、かつ、この目標を達成するためのプロセスを具体的に示すものである。
 また、区は地域福祉計画をすべての住民の福祉ニーズを充足するため、必要な施策が区の責任のもとで公私協働によって具体化される事業を体系的に計画化し、併せて縦割り行政の弊害をなくすとともに、各種の社会資源を開発し、保健医療と福祉の連携など多様な諸施策のネットワークづくりに努める。

第2章 地域福祉計画の位置づけ

1.地域福祉計画の役割

 地域福祉計画は、平成3年度に策定された「板橋区総合実施計画」のもとに、「基本構想」のなかで掲げられた理念に基づき、その目標をより具体的に実現するための役割を担うものである。
 この点で本計画は、板橋区の社会福祉分野全体にわたる基本的な考え方、方向及び具体的なプログラムを示すものである。
 また、併せて、上述した福祉分野だけでなく区政全体に対し、福祉の視点から積極的に展開していく指針となるものである。

2.地域福祉計画の期間

 地域福祉計画の期間は、21世紀の高齢社会を視野に入れた平成5年度から14年度までの10年間という長期的な展望を持ったものである。
 このうち、平成5年度から7年度までの3年間は年度別の実施計画の期間である。

3.地域福祉計画の性格

 地域福祉計画は、板橋区基本計画(昭和60年度~平成7年度)に基づく総合実施計画(平成3年度~平成7年度)との整合性を保ちつつ、地域福祉をより発展させるとともに、推進するための指針であり、福祉施策の総合計画としての性格をもつものである。
 なお、取り組むべき計画事業については、出来る限り具体的な事業目標等を設定し、実現可能性の確保に努めた。
 また、この計画は、東京都地域福祉推進計画による「三相の計画」のうちの「地域福祉計画」であるとともに、老人保健法・老人福祉法に基づく老人保健福祉計画を包含するものである。
 さらに、この計画は、障害者に関する行動計画という性格を併せもつものである。

4.地域福祉計画推進のための視点

 地域福祉計画は、次のような地域福祉推進のための視点にたって進める。

(1)統合化への視点
 統合化への視点には三つの意味がある。
 第一の意味は、区民の生活を支援するためには、これまでの高齢者、障害者、児童といった対象者ごとの施策にこだわることなく、すべてのサービスがすべての区民に対応することが必要という点である。
 第二の意味は、区民の福祉ニーズを部分的ではなく、生活全般に係わる総合的なニーズとして統合し、把握するということである。
 第三の意味は、個々のライフステージ(人の一生を、幼年期、青年期、壮年期、老年期などと分けたそれぞれの段階)における福祉ニーズに対するサービスの統合化ということである。

(2)協働化への視点
 区民は、福祉サービスの受け手であるとともに、その担い手でもある。
 そこで、区民のニーズに対応したサービスを効果的に提供するためには、これまでの行政を主体としたものだけではなく、社会福祉協議会、民間団体、区民等、公的部門と私的部門との適切な協働を図るという協働化の視点が必要である。

(3)地域化への視点
 区民であれば誰でも、いつでも、どこでも気軽にサービスを受けられるような地域に密着したサービスの提供を実現することが必要である。このためには、区民の福祉ニーズを具体的に把握すること、地域の実情に応じたきめ細かな福祉サービスを提供すること、地域特性を踏まえた小地域単位の拠点の確保を行うこと、区民の具体的な生活実態に根ざしてサービスを提供していくことなどが必要である。

(4)効率化への視点
 多様化、複雑化する福祉ニーズに応じ、サービスを提供するためには、画一的なサービス供給では不十分である。と同時に、「予防的福祉」という観点からは、個人の自助努力のための支援や過剰なサービスの防止といった点を考えなければならない。
 このような内容を検討し、区民の誰もが、いつでも、どこでも、気軽に利用できるサービスを提供するには、縦割り行政の弊害をなくし、迅速にサービス提供を行うことができるようにしなければならない。そのためには、効率的なサービス提供システムを構築するという、効率化のための視点が必要である。

(5)国際化への視点
 今後、地域福祉推進のためには、急速に増加している外国人の区内流入についても十分に検討していく必要がある。外国人への各種サービスについて、たとえ国籍や生活習慣が異ったとしても、同じ地域の住人として、どのような対応が必要かといった国際化のための視点が必要である。

第3章 地域福祉計画の基本理念

 地域福祉計画は、「いたばし生涯福祉のまちづくり」をめざし、「板橋区基本構想」の理念を基に、新たに福祉の視点から次のような基本理念に基づき策定した。
 具体的には、まず、基本構想で示された理念は、【人間性の尊重】であり、その内容は「誰もが個性ある人間として尊重され、自由でかつ健康で安全な生活を営み幸福を追求する基本的権利は、将来にわたって保証され尊重されなければならない。」である。
 そこで、地域福祉計画では、これを福祉的視点からとらえ、以下のような新たな理念を設定した。
 第一の理念は、すべての区民が個性ある人間として尊重され、かつ、自立した生活を享受する権利の確保をめざして、「人間性の尊重」を掲げた。
 第二の理念として、すべての区民が平等で、あらゆる社会参加の機会が保証されるという「平等性(ノーマライゼーション)の尊重」を掲げた。
 そして、第三の理念として、すべての区民が健康で安全な生活を送るとともに、生活の質的向上をめざし、「生活の質(QOL)の実現の尊重」を掲げた。
 次に、【地域性の尊重】という基本構想の理念の内容としては、「地域の人々が、地域問題の解決にあたって自ら主体的に参加し、連帯していくことが重要であり、こうして生じた地域からの発想は、十分尊重されなければならない。」としている。
 この内容に述べられているように、地域の人々が地域問題の解決にあたって、自ら主体的に参加していくことが重要であるという点から「いたばし生涯福祉のまちづくり」のため、「地域住民の主体的参加・参画の尊重」という理念と「福祉のいたばし」の達成を公私による協力という「公私協働の尊重」という理念及び地域特性に応じ、地域発想が十分に生かされなければならないという「地域化の尊重」という理念をあげた。

板橋区地域福祉計画の基本理念

いたばし生涯福祉のまちづくり
人間性の尊重 人間性の尊重
平等性(ノーマライゼーション)の尊重
生活の質(QOL)の実現の尊重
地域性の尊重 地域住民の主体的参加・参画の尊重
公私協働の尊重
地域化の尊重


第4章 地域福祉計画の基本目標

 板橋区は、地域福祉計画の基本理念に基づき、次の5つの基本目標のもとに、「いたばし生涯福祉のまちづくり」をめざす。

1.安心して暮らせるまちづくり

 区民の誰もが、人間としての尊厳が最大限に尊重され、乳幼児から高齢者まで、障害を持つ人も持たない人も、住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らしていくことができる「生涯福祉のまちづくり」をめざし、区民がいつでもどこでも安心して気軽に利用できる在宅福祉サービスや施設の整備・拡充を図る。

2.健康で生きがいの持てるまちづくり

 区民の誰もが、生涯を通じて、心身の健康が保持できるだけでなく、それぞれのライフステージに合った生きがいを持てるようにしていくことが重要である。そのために予防的福祉の推進や各種団体への支援強化及び相互連携を図る。

3.ふれあい豊かなまちづくり

 老いも若きも、障害を持つ人も持たない人も、区民の誰もが住み慣れた地域社会の中で、ふれあいと連帯のもとで、共に生き、人間らしい生活を送ることができるまちづくりをめざす。そのためには、区民の福祉に対する意識の向上や福祉教育の推進、文化の創造のための施策を講ずる。

4.公私協働のまちづくり

 区民の誰もが、生涯を通じて、地域生活を継続していくために多様な支援が必要である。この支援を実現するために、区と区民をはじめ、民間福祉活動団体、事業者等各方面の関係者による公私協働による支援のネットワークづくりを図る。

5.生涯福祉のまちづくり

 あらゆるライフステージにおいて区民が、いつでも安心して気軽に利用できる保健医療・福祉サービスの総合的なシステムや施設の整備・拡充及び住宅や生活環境の整備、社会資本の整備等による生涯福祉のまちづくりを推進する。

板橋区地域福祉計画の基本目標

いたばし生涯福祉のまちづくり 生涯福祉のまちづくり
公私協働のまちづくり
ふれあい豊かなまちづくり
健康で生きがいの持てるまちづくり
安心して暮らせるまちづくり


第5章 地域福祉計画の基本的方向

 板橋区地域福祉計画の基本理念に基づき、前章で示した地域福祉の課題を解決し、施策の総合的な推進を図るため、地域福祉計画の基本的方向について、次の7点を設定する。

第1「相談・情報サービスの充実」

 区民の誰もが、身近な所で容易に福祉サービスに関する情報を入手することができるよう、情報提供や総合相談機関のネットワークづくりを進める。

第2「在宅ケアシステムの推進」

 区民の誰もが、病気や事故等、不測の事態や緊急時でも、身近な所で保健医療・福祉等のサービスが受けられるよう、関連施策の連携を図り総合的推進に努める。

第3「施設の整備と有効活用」

 区民の誰もが、身近な所で在宅福祉サービス等を効率的かつ迅速に受けることができるよう、各種施設の整備と有効活用を図る。

第4「健康の増進と生きがいづくりの推進」

 区民の誰もが、いつまでも健康で安心して暮らしていくことができるよう、関連施策の総合的な展開を図るとともに、とくに高齢者や障害者の積極的な社会参加を促進する。

第5「生活基盤の整備」

 区民の誰もが、どのようなハンディキャップを負っていようと、日常生活に支障がないよう、生活基盤の整備をめざす。

第6「参加と交流」

 区民の誰もが、地域福祉の推進に理解と協力を示し、世代間交流を行うとともに、その担い手としての役割を果たすため、福祉教育を通じ身近な地域でその推進を図る。

第7「地域福祉推進体制の整備」

 地域福祉計画の実現を図るため、地域福祉推進体制の体制づくりを進める。

 これらの基本的方向は、地域福祉計画として、「いたばし生涯福祉のまちづくり」を具体的に推進していくうえでの枠組みである。


主題:板橋区地域福祉計画 第二次実施計画
第2部 第1章~第5章 (45頁~56頁)