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田辺市障害者に係る新長期計画

 生活支援(福祉)サービスの充実

 障害者に対する福祉サービスは、障害者福祉の目標である「安全参加と平等」の実現を図れるように充実する必要があります。
 そのためには、障害者の特性やニーズに応じた適切な在宅福祉サービスと施設福祉サービスを提供することにより、障害者の生活の質の向上を図るとともに、地域での自立生活かできるように努める必要があります。
 また、保健・医療・福祉・教育・雇用の関係機関との連携強化を図り、障害者の地域生活の向上に努めることが大切です。

(1)生活安定のための施策の充実

・現状と課題

 障害者の地域での自立生活及び生活の質の向上を図るためには、障害者本人とその家族の所得保障が大きな条件となります。
 そのためには、障害基礎年金、特別障害者手当等の各種手当の充実が必要です。
 昭和61年の国民年金法の改正により障害基礎年金が創設されてから障害者に係る年金は大幅にアップしましたが、平成6年度に実施した「障害者福祉に関するアンケート調査」の結果によると、身体障害者の44.3%、知的障害者の38.5%、精神障害者の40.9%が、障害者や家族に対する年金や各種手当等の経済的援助の充実を希望しています。
 今後も、年金等の充実とともに、併せて、心身障害者扶養共済制度、税の減免、資金の貸付等の充実を国及び県に対して姫続して要望する必要があります。
 また、これらの年金や手当等の制度について周知を徹底し、有効に活用できるようにする必要があります。

・施策の方向と取り組み
1.年金・手当等の充実と制度の周知
1)障害者の生活の安定に寄与している障害基礎年金、特別障害者手当等の各種年金、手当等の制度の充実について、国、県に要望していきます。
2)「広報たなべ」や制度案内パンフレットの配布等を通じ、各種年金、手当等の周知を図り、制度の活用を促進します。
2.関連制度の活用促進
1)障害者の保護者が死亡または、重度障害者になった場合に、障害者の生活安定を目的として年金を支給する心身障害者扶養共済制度の周知を図り、加入を促進します。
2)障害者に対する医療費自己負担の助成、税の減免、各種運賃、料金割引等の周知を図ります。
3)社会福祉協議会で実施している「生活福祉資金貸付事業」の周知を図り、効果的な活用を促進します。

(2)地域福祉の推進

・現状と課題

 障害者が地域での自立生活を促進するためには、やさしいまぢづくりを始めとする生活環境の整備や障害者や介護にあたる家族に対して、適切な福祉サービスを地域で提供できる体制づくりが必要です。
 これからは、在宅福祉サービスの3つの柱である、*ホームヘルプサービス、*デイサービス、*ショートステイの更なる充実が求められます。
 今後、障害者の高齢化、重度化に適切に対応し、障害者の生活の向上を図るために、高齢者施策との一層の連携を図り、地域のニーズに即した福祉サービスを推進する必要があります。
 また、在宅障害児の夏季保育事業等を継続して実施する必要があります。

・施策の方向と取り組み
1.地域で生活の支援
1)在宅介護支援センターの活用等高齢者施策と連携を図り、障害者や介護者の在宅介護等に関する総合的な相談に応じ、ニーズに対応した適切な保健・福祉サービスが受けられる体制づくりを推進します。
2)在宅福祉の中心となるホームヘルプサービスについては、「高齢者保健福祉計画」における実施の中で調整を図りながらその充実を図ります。
3)デイサービス・ショートステイについては、入所施設への併設を推進するとともに、「高齢者保健福祉計画」と調整を図りながらその充実を検討します。
4)日常生活に適するような居室その他の設備を利用することができる*福祉ホームや自立支援事業の充実を推進します。
5)日常生活における援助及び自立生活を助長することができる*グループホームの充実を検討します。
6)社会参加を促進するため、コミュニケーション、移動手段の確保等の充実を図ります。
7)存宅障害児の夏季保育事業等を継続し、充実に努めます。

2.相談活動の充実
身体障害者や知的障害者の医学的、心理的判定や相談を行う巡回相談の更なる充実を県に柴望していきます。

3.地域福祉活動の充実
1)地域のニーズに即した福祉サービスを実施するために、県が実施している「市町村支援事業」を積極的に活用し、その推進に努めます。
2)社会福祉協議会が実施している「ふれあいまちづくり事業」を推進します。
4.福祉機器の活用促進
1)補装具・日常生活用具の種目や適用範囲の拡大を国、県に要望していきます。
2)「広報たなべ」を通じて、福祉機器に関する制度の周知を図るとともに、在宅介護支援センターにおける福祉機器の相談体制の充実を図ります。

(3)施設福祉の充実

・現状と課題

 障害者福祉は、在宅福祉の流れの中で、障害者が地域での自立した生活が進められていますが、障害の内容、程度等により在宅生活が困難であり、施設の援護のもとでの生活が必要な障害者も数多いのが現状です。
 このため、施設整備については、障害者のニーズ、施設の役割、地域のバランス等を考慮しながら、適正配置を進めることが必要です。
 また、施設のもつ介護等の専門技術は、地域におけるデイサービス、ショートステイ等の在宅福祉サービスとの一貫性が求められており、今後、施設福祉と在宅福祉の一層の達携か必要です。

・施策の方向と取り組み
1.施設整備の促進
1)障害の内容、程度に応じた障害者のニーズに適切に対応するため、施設の役割、地域のバランスを考慮した施設整備を促進するため、国、県に働きかけます。
2)福祉ホーム、在宅サービスセンター等障害者の地域での自立に向けた施設については、関係機関と連携して整備を促進します。
3)精神障害者については、これまでの病院における医療及び保護から社会復帰の推進を図るため、生活訓練施設(援護寮)等の社会復帰施設の整備を関係機関、団体と連携しながら促進します。

2.処遇の内容
 施設での生活を豊かなものとするために、施設設置者と連携して、障害の内容、程度等に応じた適切な処遇、地域との交流を推進し、入所者の処遇の向上を図ります。
3.地域福祉との連携
 施設のもつ専門的機能等の地域福祉への活用のため、地域に密着した施設を目指し施設のオープン化を促進するため、施設との連携を図ります。

 福祉のまちづくりの推進

 障害者にとって安全で快適なまちづくりの推進は、高齢者をはじめすべての人々にとって安心して暮らせるまちづくりでもあります。
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、道路、建物、交通ターミナル等の物理的障害の除去や情報伝達手段の確保、障害に応じた住宅の整備等が必要であります。こうした生活環境面の改善の必要性を市民全体が理解し、協力することが重要であります。

(1)やさしいまちづくりの総合的推進

・現状と課題

 障害者や高齢者が道路や建物などを円滑に利用でき、地域での自立した生活を営めるためのまちづくりは、すべての人々にとっても「やさしいまちづくり」であるという認識のもとに、総合的なまちづくりに取り組む必要があります。
 市では、平成2年に「田辺市開発指導要綱」を制定し、事業者が開発にあたって、公共、公益施設、交通安全施設等に関し、障害者や高齢者の利用について十分配慮して計画するよう義務づけ、市民の良好な生活環境を確保するように努めています。
 また、ハード面の整備に加えて、ソフト面の対応として、学校教育における青少年期からの意識の啓発や市民への啓発活動の積極的な取り組みにより意識の高揚を図ることが必要であります。

・施策の方向と取り組み
1.やさしいまちづくりの推進
1)「田辺市開発指導要綱」及び「田辺市公共施設の整備基準」の改正を図り、市民の良好な生活環境を確保するように努めます。
2)「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」の主旨に則った積極的な対応や、同時になされた附帯決議をも十分尊重して、公共施設の設計及び民間建物の指導に努めます。
2.やさしいまちづくりの啓発
1)平成5年策定の「まちづくりマニュアル」を積極的に利用し、やさしいまちづくりのための意識の高揚を図ります。
2)市民団体や障害者団体等が行う啓発活動に対し、連携して支援します。

(2)住宅・生活環境の整備促進

・現状と課題

 建築物、道路、交通ターミナル等における物理的な障壁の除去、情報収集、コミュニケーションにあたってのハンディキャップの軽減、障害の特性等に適応した住宅の確保など生活環境面における各種の改善は、障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための基礎的な条件であり、一層の改善を図ることが必要であります。
 市では、「田辺市開発指導要綱」や「田辺市公共施設の整備基準」を定め、障害者や高齢者が公共、公益施設等の円滑な利用に配慮を行うほか、平成4年度より「障害者にやさしいまちづくり事業」に取り組んでいます。
 また、手話通訳者の設置や手話奉仕員及び要約筆記奉仕員の派遣制度によりコミュニケーションの確保に努めています。

・施策の方向と取り組み
1.障害者・高齢者に配慮した住宅の整備促進
1)生活福祉資金、県身体障害者住宅整備資金特別貸付事業、田辺市身体障害者住宅整備資金特別貸付事業、田辺市高齢者住宅整備資金貸付事業などの貸付事業の活用促進を図り、居住環境の整備に努めます。また、重度身体障害者の住宅改造費の助成事業に取り組み、日常生活の便宜を図ります。
2)障害者世帯の市営住宅への優先入居について、積極的な実施に努めます。
3)一般住宅の新築や改造の際の、住宅に関する相談体制づくりに取り組みます。

2.生活環境の整備促進
 平成4年度から実施の「障害者にやさしいまちづくり事業」により、公共施設へのスロープや障害者用便所、手すりの設置、歩道の段差解消、点字ブロックの敷設等を実施しているが、今後とも快適な生活環境づくりを促進します。

3.情報提供の充実
1)「声の広報」や点字による「広報たなべ」の発行、ラジオでの「田辺市広報タイム」の充実を図り、情報の提供に努めます。
2)録音図書、点字図書、点字情報誌、大型活字図書などの充実を図り、引き続き郵送配本サービスや自動車文庫を実施します。
3)手話通訳者の設置や手話奉仕員及び要約撃記奉仕員の派遣によりコミュケーションの確保を図るとともに、手話通訳者の育成に努めます。
4.安全確保対策の推進
1)地域住民による自主防犯・防災組織形成や協力体制の確立、住民、警察署、消防署等による防犯・防災ネットワークの確立に努めます。
2)緊急通報システムや聴覚障害者の緊急用ファクシミリ等の通信体制の一層の充実と、災害時・緊急時の情報伝達、避難誘導方策のあり方について田辺市地域防災計画へ位置づけます。

(3)交通・移動対策の推進

・現状と課題

 障害者の地域での自立生活を推進し、社会参加の機会を増やすためには、一人ひとりに過した移動手段の確保と生活環境の整備が重要です。
 公共施設や公益施設、交通ターミナルでの物理的障壁の除去や道路の段差解消、点字誘導ブロック等移動を取り巻く環境を整備する必要があり、平成4年度より「障害者にやさしいまちづくり事業」を実施し、公共施設へのスロープの設置や歩道の段差解消、点字誘導ブロックの敷設に取り組んでいます。
 今後も、障害者や高齢者に配慮した「安心して暮らせるまちづくり」の推進に努める必要があります。

・施策の方向と取り組み
1.交通関連施設・道路等の整備
1)公共交通機関の整備について*リフトタクシーの運行等の検討や各々の事業者に対し、障害者や高齢者への配慮について、理解と協力を求めていきます。
2)障害者や高齢者の利用について十分配慮しながら、今後も「障害者にやさしいまちづくり事業」を実施します。
3)歩行者の安全を図るため、ガードレール、カーブミラー、側溝、溝蓋等の整備、改善を図ります。
4)「田辺市自転車等の駐車秩序に関する条例」等により、通行機能及び歩行者の安全保持に努め、また、歩道上の障害物の除去に関し啓発活動を行います。
2.移動支援の充実
1)市祉会福祉協議会が実施している「福祉タクシー券」への助成や車椅子の貸出しの推進に努めます。
2)重度視覚障害者ガイドヘルパーの派遣や養成に努めるとともに、市民が進んで障害者や高齢者の移動に対し必要な援助を行う等、理解と協力を求めながら、そうした環境づくりを維進します。

 スポーツ・レクリエーション

 スポーツやレクリエーション活動に参加することは、仲間づくりや喜びを味わうことができ、生活に生きがいやうるおいをもたらします。
 また、参加機会を確保することにより、障害者の社会参加の促進や障害に対する理解を得るための啓発広報活動としても重要であります。
 これらの活動は、障害者の生活を豊かにするものであり、積極的に振興を図ることが必要であり、特に、スポーツについては、健康の保持増進という視点からも有意義であります。

(1)スポーツ・レクリエーション等への参加促進

・現状と課題

 障害者のスポーツ・レクリエーションは障害者のリハビリテーションに大きく活用され、また、障害者の生活の質や自立意欲の向上、健康維持、体力増強などにさまざまな役割を果たしています。
 更に、スポーツ・レクリエーションを通じて地域の人々との交流や相互理解を深めることは、障害者の社会参加の促進を深め、障害者に対する理解を深めることにつながります。
 このため、田辺市体育指導委員協議会を中心に、障害者に対する軽スポーツの普及や、身体障害者スポーツ指導員養成研修会への参加など研修、研究に取り組んでいます。
 また、社会体育施設の整備や使用料の免除を行い、施設利用の促進を図っています。
 障害者の競技スポーツについては、バラリンピック東京大会以降、全国的に普及し、今や職業を持ちながらスポーツを楽しむ人が増加してきています。しかし一方では、重度の障害者や高齢障害者が増えている現状を考えると、競技スポーツばかり推し進めるのではなく、これらの方々にスポーツ・レクリエーションを提供し、豊かで明るい社会生活が続けられるようにすることも大切であると考えます。

・施策の方向と取り組み
1.スポーツ・レクリエーション人口の拡大
1)体育指導委員を中心に、技術やルールが簡単なニュースポーツ・レクリエーションの普及に努めます。
2)障害者がスポーツ・レクリエーションに親しむ機会を増やすために指導員等の人材養成を図ります。
3)社会体育施設について、障害者の利用に配慮した整備を進めます。

 総合的な障害者施策の展開

 これまでに各論において施策の方向を示してきたように、障害者施策には、障害者の年齢、障害の種別、程度等に応じた広範多岐にわたる事業があります。これからの事業を総合的に推進し、また、障害者や住民がわかりやすいものとする必要があります。そのためには、障害者に関する情報が最も多い行政の保健福祉部門が中心となり、関係部局や関係機関・施設との定期的な協議の場を設けるとともに個別の事項の対応のために、関係機関相互の連携がスムーズに行われるようネットワークを整備していくこととします。

・現状と課題

 平成5年12月に公布された「障害者基本法」は23年ぶりの改正であり、今後の障害者施策の基本的方向を示しています。この法律は、障害者を身体障害、知的障害、精神障害の3つで定義しており、個別の障害に対応した施策からすへての障害者に均衡のとれた総合的な施策への発展が望まれるようになってきています。
 こうした中、現在の障害者とその家族等の相談窓口は、各分野別に専門的に受けられるように整備されています。(別紙参考資料1)しかし、各都道府県に1か所しかないものもあり、その量と各相談窓口間の連携をもった総合的な情報提供において、大きな課題があると言えます。
 また、個別の障害に対応し細分化された現在の施策体系を子ども、大人そして老後のライフステージを通じた住民に分かりやすい総合的な障害者施策体系をいかにつくりあげるのかも課題となっています。
 さらに、現在の保健・福祉分野における施策(別紙参考資料2)においても、障害種別を越えて連携が十分とれているか、また、各施策間で異なるサービスをいかに充実させていくかが、課題となっています。特に、精神保健とりわけ精神障害者の社会復帰等の福祉施策の整備が重要な課題となっていますが、平成7年5月に「精神保健法」が改正され「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」となり、「精神障害者保健福祉手帳」の交付や、相談指導における市町村の位置付け、社会復帰施設等の位置付けなど行われました。この改正を県・保健所及び市における保健福祉部門がどう実施に移すかが大きな課題となっています。

・施策の方向と取り組み

1.総合的な情報提供と相談体制の確立
 障害者に関する情報が最も多い市の保健福祉部門が中心となり、各相談窓口間との連携を図るよう努力していくとともに、相談体制の充実を図るため、担当職員の研修等をさらに充実させ総合的な相談能力を高めるものとします。また、情報提供の更なる充実のため 情報のコンピュータ化や施策等の広報活動を積極的に行うものとします。
2.子ども、大人そして老後のライフステージを通じた総合的な障害者施策の検討
 人が一生涯を過ごす間、様々なできごとがあります。障害者施策もそれに対応して、施策が連続性を持ち、平均化していなければなりません。高齢化時代の到来で、高齢になって障害を持つ人、また、障害のある人が高齢になる場合が増えてきでいます。障害のある高齢者への対応は「田辺市高齢者保健福祉計画」でその施策の方向を示していますが、知的障害者が高齢になる場合等、特に施設における処遇の問題や特別養護宅人ホーム等との連携について今後十分研究を行っていく必要があります。
 これらについての専門的検討は、国の障害者保健福祉推進本部において行われており、それを待ち、市において現在もっている身体障害者手帳や療育手帳の資料や各種福祉施策の資料を生涯を通じて活用できる具体的な検討を進めるものとします。
3.障害種別ごとに異なる施策体系、サービス等の連携の検討
 障害者にかかる主要な施策に関する法律及び指針等は次の通り広い分野にわたっています。(別紙資料3)
 障害の種別ごとに個別に施策が発展した経過として見ることができますが、さらにこれらの連携を深め、障害者及び住民にわかりやすくする必要があります。市においては、平成7年4月、従来の福祉事務所と民生部健康環境課健康対策係を統合し、保健福祉部を新設するとともに保健・福祉及び生涯学習の拠点として「田辺市民総合センター」を開館しました。これにより、保健・福祉部門が一体となって、障害者施策の中心的部門としてこのセンターを活用していきます。具体的には、次の6点を重点的な課題として、関係機関等と施策相互間の連携を深めていきます。

-保健・医療と福祉-
 障害を持ちつつ定期的な医学的管理を必要とする人が増えており、高齢者サービス調整チームを参考に保健・医療サービスと福祉サービスの連携を深めます。
-教育と保健・医療・福祉-
 幼児期の障害児の早期療育のため教育委員会、幼稚園、保育所、児童福祉施設、医療機関等専門家間の連携を密にし、適切な相談体制を整えます。また、盲・聾・養護学校、特殊学級等の卒業後の進路指導について、福祉関係機関と教育部門との連携を強化します。
-雇用と福祉-
 授産施設入所者で一般雇用の可能なケースについて、福祉事務所、福祉施設等の福祉部門と公共職業安定所等の雇用部門の連携を深めます。
-雇用と教育-
 盲・聾・養護学校、特殊学級等の卒業者に対する職業指導・進路指導等について雇用部門と教育部門が連携を深め、雇用確保に努力します。
-福祉と建設-
 市立の建築物整備や福祉のまちづくりの推進、障害者世帯、高齢者世帯向け住宅の企共住宅の建設、また、住宅の改造等について建設部門と福祉部門の連携を強化します。
-福祉と交通-
 障害者の社会参加促進のためには、移動手段を確保することが不可欠であり、福祉部門と交通事業部門との連携を深めます。

 さらに今後は、保健福祉が一体となって国の各種法令、指針を積極的に活用し田辺市の実情にあった障害者施策の展開を検討していくとともに、障害種別ごとに異なる施策体系、サービス等については、国・県等閑係機関に「ノーマライゼイション理念」に基づいた制度改正等を要望していきます。

 計画推進のための条件整備

 本計画の内容は、保健、医療、教育、雇用、生活環境等広範な分野にわたっています。これらを着実に実行に移すためには、関係行政機関の相互の緊密な連携を深めるとともに専門職の養成、働きやすい職場づくりさらには、施設整備や事業実施にかかる財源の確保等広範な取組みが必要となります。
 また、地域における福祉活動の展開には、公的サービス、民間サービス及び住民の主体的な参加によるボランティア活動が組み合わされ、障害のある人もない人も共に住み良い地域をつくりあげていかなければなりません。
 これらの活動が各々連携を持ち調整を図るための推進組織と本計画の見直し等を協議する場を「田辺市障害者施策推進協議会」を軸に行うものとします。
 

・施策の方向と取り組み

1.福祉をささえる人づくり
 社会サービスを充実していくためには、拠点施設の整備と並んで、専門職の確保が重要な課題となります。専門職養成のための支援策や介護現場や相談現場における魅力ある職場づくりについて、関係団体・施設等と連携を持ち取り組みます。
2.ボランティア活動の促進
 市民参加の福祉のまちづくりを進めるためには、ボランティア活動の振興がなくてはなりません。ボランティアとは、自立連帯の地域づくりを目指して自発的、自立的、自覚的及び社会的に活動することであり、障害者施策の分野では点訳奉仕、手話通訳、障害者移送サービス等のボランティア活動は重要な役割を占めており、地域住民さらには障害者自身もボランティア活動に気軽に参加できるような支援策を社会福祉協議会と連携し推進します。
 市においては、地域における民間団体のボランティア活動や先駆的な在宅保健福祉活動を推進するため、「田辺市地域保健福祉推進補助金交付要綱」をつくり活動の支援をしています。また、社会福祉協議会が実施している「ふれあいのまちづくり事業」では、給食サービスの実施や「田辺市ともしび友愛ヘルプの会」による住民参加型在宅福祉サービス等の事業に取組むとともにボランティアスクールの開講を行っています。今後とも、ボランティア活動を行いたい人が気軽に参加できる環境づくりに社会福祉協議会とともに努力していきます。
3.地方財政の確立
 本計画の実施にあたっては、市が直接事業を実施できるものから国、県において制度改正をまたなければならないもの、また、民間団体の主体的な事業展開をまたなければならないもの等があります。
 市においては、本計画を「田辺市総合計画」の部門計画と位置付け、計画熟度の高いものから順次実施計画に採択されるよう取り組みます。また、国・県の補助金の充実を求めなければならない課題や新頻事業の採択については、関係団体等と協調しながら国・県への要請活動を強めます。
 さらに、民間社会福祉施設等の整備にあたっては、「田辺市社会福祉施設等の整備に関する助成要綱」により支援を行い、民間社会福祉施設等の運官の安定を図るとともに、施設整備の推進を誘導していくものとします。
4. 計画の推進体制
 「田辺市障害者施策推進協議会」を中心に市行政内部に堆進組織をつくるとともに、本画の内容を広く市民に啓発していくものとします。本計画は、今後10年を目途に各分野における障著者施策の進むべき指針を明らかにするものでありますが、毎年開催される予定の「田辺市障書者施策推進協議会」で本計画の進捗状況を確認するとともに、中間年における見直しを検討します。


主題(副題):田辺市障害者に係る新長期計画

発行者:田辺市

発行年月:1996(平成8)年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒646-8545 和歌山県田辺市新屋敷町1
電話 (0739)22-5300