音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

障害者の自立と共生社会の実現をめざして

春日市障害者福祉長期行動計画

1995年~2004年

春日市

5 福祉事業の充実

(基本方針)

 障害者の自立を支援し、社会参加を促進するために、障害者やその家族の立場にたった施策やニーズにあった福祉事業を展開する必要があります。そのためには、社会情勢の変化等に伴い多様になった障害者等のニーズを的確に把握することによって、現行事業を見直し、また、今後の高齢化社会の進展に対応できる新規事業の導入を検討するなど、在宅福祉、施設福祉両面からの事業の充実を図ります。

(1)相談体制の充実

 障害者やその家族が、自立し、積極的な社会参加を行い、充実した日常生活を送るために抱えている様々な問題や悩みを解消するための相談体制の整備・充実を図る必要があります。
 現在、民生委員児童委員、身体障害者相談員、精神薄弱者相談員等が各市町村単位に国や県から委嘱され、様々な相談業務に対応しています。これらの相談員は、地域における身近な相談相手として、行政職員とは異なった立場での相談に応じることができる特性を最大限に生かしています。今後も、相談員の資質の向上と相談活動の活性化を図るため、相談員研修の充実と連携の強化を推進します。
 社会福祉協議会事業の「心配ごと相談」も、人権擁護委員など専門の相談員がそれぞれの立場からの相談に応じていますが、行政との密接な関わりのもとに推進する必要があるため、連携を深め情報交換を行い相談事業の充実に努めます。
 また、行政における直接の担当所管となる福祉事務所職員の窓口相談業務を充実するため、医療、年金、健康等の関係所管と連携した相談体制を確立します。
 聴覚・言語障害者との円滑なコミュニケーションを確保し、特有の相談に対応することを目的として、ろうあ者相談員を配置しています。今後も、複雑、多様化する相談内容に応じられるように、専門研修の受講などにより相談員の資質の向上に努めます。
行政相談の窓口  のイラスト

(2)在宅支援事業の充実

 重度障害者の家庭生活を支援する在宅支援事業は、在宅福祉事業の根幹となるもので、ホームヘルプ事業、デイサービス事業、短期入所事業(ショートステイ)のいわゆる在宅福祉3本柱を充実することによって、障害者とその家族の日常生活を援助します。
 また、心身障害者通園施設「螢光園」や心身障害者共同作業所「白ゆり園」の充実により、仲間との交流や社会生活を体験することによって通園者の自立を促進します。
 障害者や介護者の負担を軽減するこれらの事業と併せて、保健婦等による家庭訪問を充実させ、外出が困難な障害者世帯の介護相談や機能回復訓練指導を行い、コミュニケーションを図ることによって、これらの障害者や介護者の福祉向上に努めます。
 居宅で重度障害者を介護している介護者に、重度心身障害者介護手当を支給していますが、対象者の範囲や支給額等この制度の拡充を検討するとともに、他の市町村と連携して、国・県の補助事業化を要望するなど在宅福祉事業の推進に努めます。

(3)日常生活の支援

 国・県の補助事業として、障害者の障害を補完する白杖、補聴器、車いすなどの補装具や、日常生活を送る上で必要な特殊寝台、ファックスなどの日常生活用具の給付(貸与)を行っています。今後も、障害者の要望に応じた給付品目の拡充を関係機関に要望します。
 平成4年度から高齢者日常生活支援事業として国・県の補助事業となり、市が事業主体となって社会福祉協議会に運営委託している「配食サービス」事業は、全国にさきがけて実施された制度であり、安定した食生活とコミュニケーションを確保し、障害者や高齢者等が孤立することのないよう今後も積極的に事業を推進します。
 今日の情報社会において、情報収集・伝達手段が不足している視覚障害者、聴覚・言語障害者については、市の単独事業である「声の広報」事業を充実し、聴覚障害者通信装置(ファックス)や文字放送デコーダーの普及に努めるとともに、「春日あじさいの会」、「春日手話の会」などの福祉ボランティアとの連携により、これらの障害者が日常生活に必要な情報を容易に収集できるように配慮します。
 また、重度障害者を対象とした福祉タクシー料金助成制度は、需要も多く、障害者の移動に有効な手段であり、対象者の見直しや制度の拡充を検討するとともに、他の市町村と連携し、国・県の補助事業化を関係機関に要望します。

(4)施設福祉の充実

 在宅生活が困難な障害者や自立・社会復帰のための訓練を必要とする障害者を受け入れる入所施設がないため、他市町村の生活施設、訓練施設を利用している現状であり、今後の課題として、近隣市町村との協議のもとにこれらの施設設置を検討する必要があります。在宅福祉事業の拠点施設としての機能をも併せ持たせることで、施設が持っている知識・技術の在宅福祉事業への導入や、デイサービスなどの在宅支援事業の推進も可能であり、長期的展望にたった障害者福祉に対応できる施策の検討を進めます。
 また、生活施設や訓練施設に入所している障害者との交流やコミュニケーションを図るために定期的な施設訪問を実施し、入所者の希望や現況を把握して、充実した施設生活を送ることができるように支援します。
 さらに、これらの施設との連携、協議を深め、施設職員が地域における福祉ボランティア等の指導者的役割を果たすようなシステムを確立するなど、行政と施設が一体となった福祉行政を目指します。 

5 福祉事業の充実 在宅福祉 相談体制の充実 身体障害者相談員、精神薄弱者相談員の充実
「心配ごと相談」の充実
窓口相談システムの整備
ろうあ者相談員の充実
在宅支援事業の充実 ホームヘルプサービス事業の充実
デイサービス事業の充実
短期入所事業の充実
通園事業の充実(螢光園、白ゆり園)
訪問相談・指導の充実
重度心身障害者介護手当の充実
日常生活支援 補装具・日常生活用具給付品目の充実(要望)
「配食サービス」事業の充実
「声の広報」事業の充実
福祉タクシー制度の拡充
施設福祉 入所施設整備 設置の検討と拠点施設づくり
施設との連携 入所者との交流、コミュニケーションの充実
定期的な施設訪問による施設生活の把握
施設職員との連携、地域福祉への援助依頼


6 生活環境の整備

(基本方針)

 障害者や高齢者だけでなく、すべての住民が安心して生活でき、行きたい所に自由に、安全に行けるように当然に配慮することが、これからのまちづくりに求められています。
 1994年(平成6年)に制定した「春日市公共施設における福祉環境整備指針」は、点の整備を基本とし、しかも公共施設に限定しています。日常生活の拠点となる住居、それを取り巻く地域、その集合体である春日市全域にこの「環境整備指針」の意志を浸透させ、点から線へ、さらに線から面への整備を行うことで、誰もが住みよい「人にやさしいまちづくり」を推進します。
自動券売機の点字ガイド  のイラスト

(1)都市基盤の整備

 市内の公共施設(建築物、市道、公園等)については、「環境整備指針」に基づき計画的に整備を推進します。特に、学校舎にエレベーターを順次設置することとし、障害児の利用はもちろん、将来の地域住民への学校開放を念頭において、障害者や高齢者等にも対応できるようにします。
 また、障害者の日常生活に欠かせない病院、金融機関、スーパーマーケットなど、たくさんの住民が利用する公共的な施設についても、公共施設に準じた整備が図られるよう関係機関に積極的に要請していきます。
 これらの施設を結ぶ道路の整備にも積極的に取り組むこととし、併せて、歩行者ネットワーク環境デザイン基本方針に基づき整備を促進します。
 このように都市基盤を整備するために、建築基準法の改正を要望したり、県の「まちづくり条例」制定の検討状況や「県環境整備指針」の見直しなどとの整合性を図りながら、「環境整備指針」の見直しや上位規定(条例、規則等)の制定について検討を行うとともに、民間の公共的施設など整備対象範囲の拡大、環境整備を促進する補助制度の創設などについても調査、研究を行います。

(2)住宅の整備

 市営住宅は、老朽化が進み、部分改造が困難な状況であり、大規模改造などによる抜本的な施策の転換を必要としますが、一階部分を障害者、高齢者世帯仕様に住宅改造することで住み替えが可能かなど関係機関の協議により、福祉住宅としての方向性を研究します。
 高齢化社会の進展に伴い、保護者や介護者がいない障害者が増加することが予想され、福祉住宅施策の必要性は、ますます高まっています。この課題に対処するために、ケアハウス、グループホームなどの施設整備、民間集合住宅の借り上げによる福祉住宅の提供など様々な方法について調査・研究を行います。
 また、個人住宅についても、障害者・高齢者対応を前提とした住宅建築を促進するために、住宅相談窓口の設置による情報提供体制を充実し、併せて、住宅改造資金貸付制度の拡充を国・県に要望するなど、在宅福祉を基本とした施策の充実に努めます。
 これらの多様な住宅形態を有機的に連携させた総合的な福祉住宅構想を確立する必要があり、その基本方針について様々な角度から研究を進めます。

(3)交通環境の整備

 障害者の行動範囲を広げることは、豊かな社会生活の実現に欠かせない要素であり、障害者の自立を促進する効果的な手段です。
 ノーマライゼーションの理念の広がりとともに、公共交通機関の駅舎にエレベーターやエスカレーターが設置されたり、リフトバスを運行するなど障害者の利用を前提とした事業も徐々にではありますが進められており、今後も運賃割引制度の拡充と併せて、これらの事業、制度の一層の推進を関係機関に積極的に要望していきます。
 また、視覚障害者の歩行時の安全を確保するため、歩道改築や視覚障害者誘導ブロックの敷設を促進し、視覚障害者が頻繁に利用する交差点には音声誘導信号機の設置を県に要望するなど道路環境整備に努めます。
 障害者にとっても身近で有効な交通手段である自動車について、運転免許取得補助、自動車改造費補助制度の充実を図り、併せて、福祉タクシー助成制度の拡充を検討します。
 1994年(平成6年)10月に改正された有料道路割引制度は、身体障害者について対象者の拡大など大幅に改善されましたが、引き続きその制度の拡充について要望していきます。

(4)防災体制

 ひとり暮らしの重度障害者や高齢者が災害等によって生命を脅かされることがないように、日ごろから世帯の状況を把握し、火災や地震等の緊急事態や急病の際に対処できるシステムの導入や連絡体制の整備を図る必要があります。
 春日市では、民生委員児童委員の協力を得て、このような緊急対応が必要な世帯の把握を行い、春日大野消防署と連携した緊急通報システムを導入していますが、対象者が限定されていることから、今後もこの制度の拡充を検討し、安心して生活できるよう防災体制の整備を推進します。
 また、火災警報器、自動消火器といった日常生活用具給付事業の周知を図り、その普及に努めます。
 さらに、「配食サービス事業」での配食時の利用者への声かけ、世帯とのコミュニケーションを継続、充実させることによって、温かみのある安全確保に努めます。

6 生活環境の整備 都市基盤の整備 公共施設 「福祉環境整備指針」の推進(建築物)
「福祉環境整備指針」の推進(歩道拡充)
「福祉環境整備指針」の推進(公園整備)
公共的施設 病院、金融機関、スーパーマーケットなどの施設整備、改善(要望)
環境整備指針 現行指針の見直し、上位規定(条例、規則等)の検討
整備資金補助制度の調査研究
住宅の整備 市営住宅 障害者、高齢者世帯向け住宅への改造検討
福祉住宅 ケアハウス、グループホームの設置調査研究
民間住宅の借り上げ調査研究
個人住宅 改造資金助成制度の検討、貸付制度の拡充(要望)
情報提供、相談窓口の充実
交通環境の整備 公共交通機関 リフトバス導入推進(要望)
駅舎施設整備(要望)
運賃割引制度拡充(要望)
交通安全設備 歩行者ネットワークに基づく歩道の新設、改築
視覚障害者誘導ブロックの敷設促進
交通手段補助 運転免許取得補助、自動車改造費補助制度の充実
福祉タクシー助成制度の拡充
有料道路割引制度の拡充(要望)
防災体制 安全確保 春日大野消防署との連携強化による緊急通報システムの制度拡充
配食サービスによる声かけ、安全確保の推進


7 組織の育成

(基本方針)

 障害者福祉を推進するためには、障害者自身の自立に向けた努力と、社会福祉協議会や福祉ボランティア団体、民生委員児童委員、地区世話人などの障害者を支援する関係機関・団体の協力が必要です。
 特に、社会福祉協議会については、地域における福祉関係団体の育成や支援、地域福祉推進のための主体事業の一層の充実が求められています。このような役割が期待される社会福祉協議会に対して、行政としても積極的に支援すると同時に、地域福祉を推進する組織体制の整備等に対しても十分な連携をとり推進します。

(1)団体等の育成

 地域福祉の推進において、車の両輪に例えられる行政と社会福祉協議会は、緊密な連携のもとに事業展開を行う必要があります。社会福祉協議会主体事業のひとつである障害者団体、福祉団体の育成について、行政は、情報提供など社会福祉協議会に対する側面からの支援を行います。
 障害者団体の現状を見ると、身体障害者福祉協会、あけぼの会、白ゆり会、五筑会などいくつかの障害者(保護者)団体が組織されています。それぞれの団体が独自に活動していますが、会員が少ない、参加者が少ない、運営資金が不足しているといった様々な課題を抱えています。このため、社会福祉協議会によるこれらの団体の育成、活動支援と併せて、行政も、団体の独自性、自主性を尊重した上で積極的に活動を支援し、活性化を推進します。
 1994年(平成6年)4月に開設されたボランティアセンターは、障害者等の自立や社会参加を援助する福祉ボランティアの需要と供給のコーディネーター(調整役)として重要な役割を担っています。また、福祉ボランティアの育成、組織体制の整備を推進することが今後の課題であり、「春日市福祉ボランティア連絡協議会」の活動をさらに充実するとともに、中核施設としてのボランティアセンター機能の拡充を図ります。
 さらに、地域住民と日ごろから密接に関わっている民生委員児童委員や地区世話人(区長)については、その存在を市民に積極的にPRすることと併せて、委員自身もすすんで地域にとけ込む「静」から「動」への活動の転換を図るなど、地域に根ざした福祉活動の推進を支援します。

(2)連絡体制の整備

 障害者団体と福祉ボランティア団体などの福祉関係団体とが意思の疎通を図り、十分な連携のもとに充実した活動を行うために、社会福祉協議会を中心に行政を含めたこれらの団体が定期的に情報交換したり交流したりできる場の設定が必要です。
 それぞれの障害者団体が組織力を高め、活動の活性化を推進することと併せて、団体間の連絡組織を確立し、相互交流や情報交換を行うことにより、障害者全体の福祉向上と社会参加の促進を目指します。
 同様に、福祉ボランティア連絡協議会や、民生委員児童委員協議会、地区世話人会、老人クラブ連合会などの福祉関係団体間の連絡組織を整備し、さらに、障害者団体間の連絡組織をも統合した「(仮称)地域福祉推進協議会」を設立し、福祉推進のための基盤づくりを行います。この協議会の運営等に社会福祉協議会が主導的役割を果たし、行政も積極的に支援することで地域福祉を推進します。

(3)交流の推進

 それぞれの障害者団体が、他の団体の活動内容を理解し、団体活動に対する協力体制を築くために、「障害者福祉大会」を開催したり、「障害者運動会」等の障害者の事業に精神障害者など他の障害者関係団体の参加を呼びかけるなど、障害者間の交流を推進することが重要です。そして、これらの交流は、春日市内の団体間にとどまらず、近隣市町村の団体との交流へと広げることが大切です。行政は、これらの団体事業の拡充に向けて、情報提供や連絡調整など側面的な支援を行います。
 また、これらの障害者間の交流に併せて、民生委員児童委員、地区世話人などの協力を得て実行委員会組織による、だれもが参加できるイベントを開催するなど、新しい事業の企画・立案を検討します。

7 組織の育成 団体等の育成 障害者関係団体 団体の紹介、会員の募集等の支援による組織力向上(障害者団体、保護者団体)
団体活動、事業活性化への支援
団体の独自性、自主性の尊重
福祉関係団体 社会福祉協議会への支援
ボランティアセンターの機能拡充
福祉ボランティア連絡協議会の充実
民生委員児童委員、地区世話人活動の充実
連絡体制の整備 組織体制づくり 障害者福祉関係団体の連携体制整備
定期的な情報交換の場の設定
交流の推進 障害者間交流 「障害者福祉大会」の開催検討
「障害者運動会」の参加者拡大
障害者交流会の開催呼びかけ
地域住民との交流 だれもが参加・交流できるイベントの企画・立案
障害者事業の市民への広報・周知


8 文化・スポーツ活動の推進

(基本方針)

 障害者が文化・芸術活動にふれ、スポーツを楽しむことは、個人の能力を伸ばし、生活の質を高め、心を豊かにすると同時に、機能回復や二次障害の防止などにも効果があり、さらに、これらの活動を通じて、障害者に自信が芽生え、積極的に社会参加しようとする意欲が育成され、障害者の自立を促進することにつながります。
 これらのことを市は深く認識し、文化、スポーツ施設の整備、障害者の参加を前提とした催し物の開催機会の拡充や、参加を促進する支援組織の確立など積極的にその推進に努めます。
文化・スポーツ活動の推進  のイラスト

(1)施設整備

 文化会館、ふれあい文化センター、地区公民館、市民スポーツセンターなど文化・スポーツ活動の拠点となる市の公共施設については、「環境整備指針」に基づいて、障害者や高齢者に配慮した整備を推進します。同様に、地域における身近なスポーツ施設である市内小・中学校の体育館等も、地域への施設開放を念頭において、大規模改修工事にあわせ順次整備に努めます。
 また、「創造と体感の森」整備事業で野外活動場の施設拡充を行い、障害者も野外活動が体験できるように配慮します。
 さらに、市内の民間スポーツ施設についても、春日市の障害者の利用機会が多いことから、市の施設に準じた配慮がなされるよう関係機関に要請します。
 平成8年度に完成予定の県総合福祉センターは、施設整備面でも各市町村が注目している大規模施設であり、県の福祉モデル施設として、障害者、高齢者に配慮したものになるように積極的に要望していきます。

(2)参加機会の拡充

 文化祭、弥生の里フェスタ、スポーツフェスタ等のイベントや、各種教室・講座に、障害者の参加が少ない状況があります。これは、障害者の受入れ体制が十分でないため、参加できない、あるいは参加しにくいということが要因のひとつとして考えられます。
 これらのイベント等を障害者に開かれたものとするために、障害者の参加を前提としたプログラムを構成するとともに、福祉ボランティアとの連携により手話通訳、要約筆記、ガイドヘルパー、介助ボランティアなどの配置を充実し、障害者の参加を積極的に呼びかけます。
 また、障害者もイベントの実行委員会に参画し、障害者の意見の反映、参加の促進を図るといった発想の転換が必要で、競技者としての参加はできなくてもバザー会場への出店等により何らかの形でイベントにかかわるなど、参加の形態についても、多様なかかわり方、その可能性を検討します。
 同様に、障害者・寝たきり老人等の家族、介護者も、日常生活の介護のためにこれらのイベントや講演会、社会教育学級・各種講座等に参加しにくい状況があるため、介護ボランティア団体等との連携のもとに託児室等を設置したり、ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ制度等の広報周知を行い、参加しやすい体制を整備します。
 一方、障害者団体においても、様々な文化・スポーツ活動が実施されています。会員の募集や団体の広報活動を積極的に行うことで、運営が活発になり、クラブ活動やサークル活動といった新しい活動機会が生まれます。今後は、障害者の枠を超えた障害者スポーツ大会等の開催により、障害者団体間の交流の推進や、活動の活性化を積極的に支援していきます。

(3)参加奨励

 障害者に対する理解と交流、障害者の社会参加を目的とした「とさめきフェスタ」や「ふれあいフェスタ」など、県・都市圏主催の事業への障害者の積極的な参加を呼びかけるとともに、障害者以外の市民に対しても市報等を利用して広報・周知に努めます。
 障害者作品展も毎年開催されていますが、数少ない発表の場であり、個人の趣味や楽しみにとどまらず、積極的に出品することで、仲間づくりなど新しい交流の輪を広げるきっかけになることから、積極的に広報に努め出品を奨励します。
 スポーツ活動については、毎年開催されている福岡県・福岡市障害者体育大会や、「アジア太平洋障害者の十年」を記念して平成4年から福岡市で開催されている全国障害者ポウリング大会への積極的な参加を呼びかけます。
 また、県身体障害者福祉協会主催のソフトポール大会にも毎回参加し、優秀な成績を収めていますが、より多くの障害者の参加を呼びかけ、年間を通したクラブ活動にするなど、今後の活性化に向けその活動を支援します。
 平成8年度に完成予定の福岡県総合福祉センターでも、様々な文化・スポーツ事業が開催されることになります。春日市内の施設でもあり、積極的な参加、利用を呼びかけることで障害者の自立と社会参加を促進します。
 これらの競技スポーツ以外でも、健康維持、体力づくりを目的とした、気軽に楽しめるレクリエーションや障害者スポーツ教室などの社会体育施策究・推進します。

(4)支援体制の整備

 障害者が、文化・スポーツ活動を行うためには、その機会の提供とともに、移動が困難な障害者に対する会場までの輸送手段の確保や、介助ボランティア、スポーツ指導員などの人的支援が必要になります。
 文化協会、体育協会、社会福祉協議会、福祉ボランティア連絡協議会等との連携により、これらの支援体制の整備を行い、福岡県障害者スポーツ協会の協力を得て、障害者スポーツ指導員の養成や障害者スポーツ教室の開催などにより、障害者の競技力の向上と、レクリエーションの普及に努めます。
 同時に、ボランティア活動中の事故等による当事者との補償トラブルがあり、活動の活性化のためにもボランティア保険の充実と併せて、トラブルを未然に防止するルールづくりについても研究を進めます。
 また、障害者が参加できるイベント、各種教室・講座の情報は、市報、地区回覧等で広報されていますが、障害者への伝達が十分になされるように関係団体との連携による情報伝達システムの整備を検討します。

8  文化・スポーツ活動の推進 施設整備 公共施設 文化施設の整備(文化会館、ふれあい文化センター等)
体育施設の整備(市民スポーツセンター、西スポーツセンター等)
小・中学校体育館の整備
県総合福祉センターの整備(要望)
その他の施設 民間スポーツ施設等の整備(要望)
参加機会の拡充 市の主催事業 イベント実行委員会への障害者の参加
障害者の参加を前提としたイベントの開催(文化祭、弥生の里フェスタ、スポーツフェスタ等)
障害者対象の教室・講座の開催
障害者団体の主催事業支援 障害者運動会の拡充
障害者クラブ活動の結成
参加奨励 文化芸術活動 ときめきフェスタ、ふれあいフェスタへの参加促進
障害者作品展への出品奨励
スポーツ活動 福岡県・市障害者体育大会
ポウリング大会、ソフトポール大会等
軽スポーツ、レクリエーションの普及、奨励
福岡県総合福祉センター開催事業への積極参加、施設利用の促進
支援体制 指導員の養成 障害者スポーツ指導員・ポランティアの養成
福岡県心身障害者スポーツ協会との連携
補償制度 ボランティア活動中の事故補償の制度研究
情報伝達手段 情報伝達システムの整備検討

主題(副題):
春日市障害者福祉長期行動計画 1995年~2004年

発行者:
春日市

発行年月:
1995(平成7)年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒816-0804 福岡県春日市原町3丁目1番地の5