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高山市障害者福祉計画

いきがいと思いやりのある福祉のまちづくり

~人にやさしい福祉の生活空間づくり~

平成10年 3月

第1部 計画の概要

1 計画の趣旨

 障害者福祉問題に対する関心が広く社会の間で高まりを見せる中、平成5年12月に「心身障害者対策基本法」が「障害者基本法」コに改正され施行されました。「障害者基本法」では、基本理念に「障害者は社会を構成する一員として社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする」という内容を加え、法律の対象となる障害の範囲を「身体障害、精神薄弱又は精神障害」として旧法より拡大しています。
 この法律において、国は障害者の福祉等に関する施策の総合的且つ計画的な推進を図るため、障害者基本計画を策定しなければならないとするとともに、地方公共団体においても、これに準じた計画の策定につとめなければならないとしています。
 一方、平成7年度障害者白書は、「ハンディを乗り越えて」と称賛をする社会、障害者に「不屈の精神力」や「不断の努力」を強いる社会は、間違っているのではないか、という根源的な問いかけで始まっています。白書は、日本の社会は障害のない人を前提に創られてきたために障害のある人たちは大きなハンディキャップを負わされてきたと指摘し、障害者を取り巻く「物理的バリア」「制度のバリア」「文化、情報のバリア」「意識のバリア」の四つのバリア(障壁)を除いた「バリアフリー社会」を目指す方向を打ち出しています。
 岐阜県においては、「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念の下「完全参加と平等」を目標に「岐阜県障害者基本計画」が平成7年3月にこ策定され、障害者施策についての基本的な課題と方向が示されました。そして、平成10年2月には、この計画の重点施策実施計画として「岐阜県障害者プラン~自立して共に生きる社会をめざして~」が発表されたところです。
 現在高山市には、身体障害者手帳所持者2,803人、療育手帳所持者248人、精神保健福祉手帳所持者15人(平成9年4月1日現在)を数え、実に市民の4.6%にあたる人が障害を抱えています。このように本市においても「障害者」は市内のいたるところに暮らし、あらゆる年齢層に「市民」として確固として存在しています。
 「高山市障害者福祉計画」は、このような状況を踏まえ、本市の「高山市第六次総合計画」並びに「高山市老人保健福祉計画」等の上位計画や関連計画との連携を図り、また、障害者に関わる法律(本計画書135頁)の障害者個々の状況にあった有効的な適用や、国の障害者プランや障害者施策に関する指針(同143頁)に配意にしながら、障害者が地域社会の中で主体的に生きがいを持って豊かな生活を営むことができるような地域社会を目指し、「完全参加と平等」の実現を図るため「ノーマライゼイション」と「リハビリテーション」を基本理念として施策を定めたものです。
 この計画は、21世紀の社会を視野に入れた長期的展望に立つ計画です。本市では、この計画を障害者のみを対象とするのではなく、全ての市民に関係する基本計画であると認識し、引き続き障害者施策を総合的且つ計面的に推進してい、きます。

2 計画の基本理念

 「高山市障害者福祉計画」の基本理念は、障害者も、高齢者や子供も、青壮年も、地域で生活する全ての人々が、高山市の市民として人間らしく尊重され、共に生活できることの喜びが実感でき、市民が人生のライフサイクルの中でそれぞれのライフステージにあった最も自分らしい生活を築ける社会、それと同時に高山市を訪れる全ての人にとっても同様に快適で安心できる社会の実現にあります。
 これまで、障害者は、ややもすると特別の存在であるかのように見られ差別されてきた経過がありました。しかし、人は皆平等であり、同一の権利と義務を有しています。全ての障害者が、居住する地域社会の中で社会活動に参加し、地域社会の発展に参画し、その恩恵を平等に享受できる社会システムの構築が求められています。
 本計画は、ライフステージの全ての段階において全人間的復権を目指す「リハビリテーション」の理念と、障害者が障害を持たない人と同等に生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼイション」の理念の下、「完全参加と平等」を実現することを基本理念として策定し、今後、この基本的方向に基づき障害者福祉施策を実施していくこととします。

3 計画の期間

 この計画の期間は、平成10年度(1998年度)から平成17年度(2005年度)を目標年次とする8か年とし、計画の進捗状況及び社会経済状況の変化等により必要がある場合は、見直しを行うこととします。

4 計画の位置づけ

 この計画は、高山市が平成17年を目標年次とした基本構想に基づき策定した「高山市第六次総合計画」を実現するために必要な課題毎の部門別計画とします。
 名称を「高山市障害者福祉計画」とし、本市が障害者の福祉に必要な施策、事業を課題別に体系化し、総合的な施策を推進するための行政計画であり、「高山市老人保健福祉計画」等と連携を図りながら推進していくこととします。
 また、障害者基本法第7条の2第3項に定める高山市の障害者福祉計画です。

5 計画の基本目標

 「完全参加と平等」を実現するためには、障害者に対する社会環境における物理的な障害や意識上の障害の除去や、生活環境の改善を図ることにより、障害者が各種の社会活動に自己の意志に基づいて自由に参加できるような平等な社会づくりと安心して生活できる環境の整備、また、市民が障害者に対する深い理解を持ち、平等な社会づくりに主体的に取り組んでいくことが必要です。「高山市障害者福祉計画」は、これらを踏まえつつ、生きがいとおもいやりのある福祉のまちづくりを推進していくために、次の基本目標を掲げ事業の推進を図るものとします。

(1)障害者の主体性、自主性の確立

全ての障害者は、一人の独自の生活者としての基本的人権を有しています。その権利を擁護し、障害者自身が主体性、自立性を確保し、社会活動へ積極的に参加していくことを期待するとともに、主体的な自立生活の確立を支援することを目的とした施策の充実を図ります。

(2)誰もが平等で暮らせるバリアフリー社会の実現

障害者が自己の意志と可能性に基づいて平等に社会参加ができ、安心して暮らすことのできるまちづくりを進めるには、障害者を取り巻く、交通機関、建築物等における物理的な障壁、資格制限等による制度的な障壁、点字や手話サービスの欠如による文化・情報面の障壁、障害者を庇護されるべき存在として捉える等の意識上の障壁の四つの障壁(バリア)を取り除くことが不可欠であり、そのために全ての施策にバリアフリー(障壁除去)の視点を盛り込みます。

(3)ノーマライゼーション社会の実現

 地域に根ざした福祉を目指す上で、障害と障害者に対する理解と認識をさらに深めるため、市民の一人ひとりが障害者を取り巻く諸問題を共通の課題であることを認識し、その解決に向けて市民金体が主体的に行動していくことを基本とした施策の展開を図ります。

6 計画の重点課題

(1)総合的施策の推進

障害者施策は、生活環境、労働、福祉、保健医療、教育、文化活動等広範な分野にまたがり、且つ、全てのライフステージに及ぶことから、その実施については、関連機関の密接な連携により施策の相互協力を図るとともに、障害者のそれぞれのライフステージに対応するため、総合的な施策の推進を図ります。

(2)障害の重度化・重複化及び障害者の高齢化への対応

障害が重かったり、重複している等のため、常時援護や保護を受けている障害者の割合は、増加する傾向にあります。また、人口構造の高齢化に伴い障害者の高齢化や、高齢者の障害者が多くなってきています。このような状況こ即応した障害者の自立生活の向上と自己実践を実現するための施策の展開につとめます。また、障害者施策と高齢者施策は、在宅福祉サービスの提供等の分野において、重複することが多いので、障害者及び高齢者双方のニーズに応えていくために適切と認められる場合には、その施策の一体的な推進につとめます。

(3)障害の早期療育、自立促進

各種検診による障害発生予防や障害発生後のリハビリテーションを保健.医療や教育・育成施策と連携し、推進を図ります。

(4)マンパワーの確保

福祉はたくさんの人の手によって支えられています。専門知識を必要とすることもあり、そうした知識を習得するための支援や、ボランティア活動に気軽に参加できる環境づくりの推進を図ります。

7 計画の内容

本計画における計画の内容は、次のとおりです。

(1)啓発と交流の推進

(2)保健・医療の充実

(3)福祉の充実

(4)教育・育成の充実

(5)雇用・就労の促進

(6)生活環境の整備

(7)スポーツ・文化活動等の充実

(8)推進基盤の整備

8 計画の策定方法

(1)策定体制

福祉、保健、建設、就労、教育等の庁内関係部門の職員で構成する「高山市障害者福祉計画策定専門研究会」、市議会、各種団体、行政機関の代表及び学識経験者で構成する「高山市障害者福祉計画策定委員会」の協議を経て策定しました。

(2)「高山市障害者福祉に関する調査」

計画は、障害者の生活実態や福祉要望を把握した上で策定する必要があるため、平成9年6月に約1ヶ月間に渡り、身体障害者2,352人(悉皆)、知的障害者277人(悉皆)、精神障害者43人(抽出)及びその家族37人(抽出)を対象として実態調査を実施し、計画策定の基礎資料としました。

計画策定の体制

                  ┌────┐
                  │ 市民 │
                  └────┘
                     ↑
                  ┌──┴─┐
                  │ 議会 │
                  └────┘
                     ↑
                  ┌──┴─┐
                  │ 市長 │
                  └────┘
                     ↑
           ┌─────────┴────────┐
           │       計画の策定      │
           │                  │
           │┌───────────────┐ │
           ││高山市障害者福祉計画策定委員会│←┼────┐
           │└───────────────┘ │    │
           │         ↑        │    │
           │         ↓        │    │
           │  ┌──────────────┐│    │
           │  │ ┌──────────┐ ││    │
           │  │ │高山市障害者福祉計画│ ││    │
     ┌─────┼──┼→│  策定専門研究会 │ ││    │
     │     │  │ └──────────┘ ││    │
   ┌─┴──┐  │  │      ↑       ││  ┌─┴─┐
   │各課部局│←→│  │      ↓       ││←→│障害者│
   └────┘  │  │  ┌────────┐  ││  │市民 │
     各課調整  │  │  │  事務局   │  ││  └───┘
           │  │  │(福祉課援護係)│  ││ アンケート調査
           │  │  └────────┘  ││ ヒアリング等
           │  └──────────────┘│
           └──────────────────┘

主題:
高山市障害者福祉計画

発行者:
高山市

発行年月:
平成10年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒506-8555
 岐阜県高山市花岡町2丁目18番地
  高山市福祉保健部福祉課
   (TEL)0577-32-3333