井川町障害者福祉計画
No.1
喜びとぬくもりのある福祉のさと いかわ
平成10年3月
井川町
項目 | 内容 |
---|---|
立案時期 | 平成10年3月 |
計画期間 | 平成9年度~平成14年度 (5年間) |
はじめに
本年、長野冬季オリンピックが大きな感動の中で開催されました。また、「ふれあいと感動」をテーマに開かれたパラリンピックでは、社会全体に障害者のもつ可能性と勇気を与えるとともに、障害者スポーツに目を向ける大きなきっかけとなりました。井川町におきましても、町民の皆様のご協力のもと、「井川スキーパルク腕山(かいなやま)」がリニューアルオープンし、町の活性化の交流拠点に向けて大きく飛躍した記念すべき年となりました。
一方、社会におきましては、人口の少子化、高齢化、核家族化の急速な進行など、障害者を取り巻く環境は大きく変化しております。また、障害の重複化などからも障害者福祉の急速な対応が求められてきました。このようなことから徳島県におきまして、本年3月「障害者プラン」が掲げられ、今後の障害者施策の具体的方向が示されたところであります。
町におきましても、障害者福祉に関するきめ細かい施策や事業を実現していくために、「井川町障害者福祉計画」を平成9年度に策定いたしました。この計画は、障害を持つ人や高齢者が、安心して活き活きと生活していくための環境を整備していくためのものです。町民すべてがお互いを思いやり助け合える、ぬくもりのあるまちづくりを目指し、ボランティアセンター、小規模シルバー人材センターを設置すると共に、今後の福祉社会の実現に向けて町をあげて推進していく所存です。住民の皆様におかれましても、本計画の趣旨をご理解いただき、ご協力をお願い申し上げます。 最後になりましたが、計画の策定にあたりまして多くの皆様のご指導、ご協力を賜りましたことに厚くお礼を申し上げます。
平成10年3月
井川町長 中瀧清文
井川町障害者福祉計画・目次
- 1. 障害保健福祉圏域
- 2. 障害者福祉施設の立地状況
- 3. 西部第2サブ圏域障害者施策連絡調整会議設置運営要綱
- 4. 井川町障害者福祉計画策定委員会の設置趣旨
- 5. 井川町障害者福祉計画策定委員会設置要綱
- 6. 井川町障害者福祉計画策定委員会名簿
- 7. 障害者基本法
第1編 序論
第1章 計画策定にあたって
1. 井川町障害者福祉計画策定の趣旨
国連は、1981(昭和56年)を国際障害者年、1983年(昭和58年)からの10年を「国連・障害者の10年」と定め、各国に「障害者施策行動10カ年計画」の策定を呼びかけました。
国は、これを受けて、昭和57年に「障害者対策に関する長期計画」を策定し、また平成5年3月には、「国連・障害者の10年」終了後の長期的な障害者対策のあり方を明らかにするため、「障害者対策に関する新長期計画」を策定しました。
さらに、平成5年12月には「障害者基本法」を策定し、平成7年12月には「障害者対策に関する新長期計画」の具体化を図るため「障害者プラン(ノーマライゼーション7カ年戦略)」を策定する等、21世紀の障害者福祉行政を展望した施策の展開が図られてきています。
県においても、平成7年3月に「徳島県障害者施策長期計画」が策定され、総合的な福祉施策の推進を図ってきました。
こうしたことから井川町においても、さらなる福祉向上を目指し、今後の障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、関係する各位のご意見をいただきながら、地域の実情を踏まえた計画を平成9年度中に策定することとします。
2. 計画の基本的性格
この計画は、障害者基本法第7条の2第3項に基づくもので、障害者施策の現状と課題、及び今後の具体的な目標と方策等を盛り込んだ内容とする。
3. 計画策定の体制
厚生課を事務局とし、関係する団体代表者、福祉関係者等で構成する計画策定委員会を開催し、幅広い意見を聞きながら策定を進めていく。
4. 計画策定の時期
国、県の計画と整合性を図りながら、平成14年度(国、県の計画の終期)までの間に実施する障害者施策の課題、目標等を盛り込んだ計画を、平成9年度中に策定する。
第2章 障害者をとりまく現状
1. 井川町の概要
井川町は、県西部に位置し吉野川、四国山地の豊かな水と緑に恵まれ、地域条件を生かした農業が営まれ、また国道32号線と192号線、徳島線と土讃線の交差する交通の要衝として発展してきた。平成11年には、井川・池田インターチェンジが開設予定であり今後益々の地域の活性化が期待されている。
平成9年12月には、井川スキー場腕山がリニューアルオープンし、県内外各地から多数のスキー客が訪れ、新たな観光拠点としても発展している。
一方近年の高度経済成長により過疎化が進行し人口の高齢化をもたらし、経済や生活福祉に深刻な問題をあたえている。
2. 世帯数・人口の推移
井川町の総人口は減少傾向にある。また世帯当たりの平均人員は減少しており、単身世帯や核家族の増加がみられる。
年次 | S40 | S45 | S50 | S60 | H1 | H3 | H5 | H6 | H7 | H8 | H9 |
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総人口 | 8,158 | 7,186 | 6,850 | 6,159 | 5,983 | 5,910 | 5,810 | 5,722 | 5,655 | 5,581 | 5,520 |
男 | 3,856 | 3,378 | 3,223 | 2,910 | 2,839 | 2,806 | 2,741 | 2,702 | 2,686 | 2,661 | 2,645 |
女 | 4,302 | 3,808 | 3,627 | 3,249 | 3,114 | 3,104 | 3,060 | 3,020 | 2,969 | 2,920 | 2,875 |
世帯数 | 1,813 | 1,791 | 1,892 | 1,848 | 1,829 | 1,810 | 1,814 | 1,807 | 1,801 | 1,795 | 1,869 |
1世帯当人員 | 4.51 | 3.98 | 3.72 | 3.35 | - | 3.16 | - | - | 3.06 | - | - |
- | 男 | 女 | 計 |
---|---|---|---|
0~14歳 | 435 | 356 | 791 |
15~64歳 | 1,571 | 1,567 | 3,138 |
65歳以上 | 639 | 953 | 1,591 |
計 | 2,645 | 2,875 | 5,520 |
3. 障害者の状況
・ 障害者の人数
本町における身体障害者と知的障害者は、それぞれ402名と32名となっています。また、身体障害児・者の93%、知的障害児・者の40.6%が在宅で生活しています。
- | 在宅者 | 施設入所者 | 総数 | ||
---|---|---|---|---|---|
身体障害児・者 | 374 | 28 | 402 | ||
- | 身体障害児(18歳未満) | 1 | 1 | 2 | |
身体障害者(18歳以上) | 373 | 身体障害者更正援護施設 | 5 | 400 | |
老人ホーム等 | 22 | ||||
知的障害児・者 | 13 | 19 | 32 | ||
- | 知的障害児・者(18歳未満) | 1 | 精神薄弱者施設等 | 2 | 3 |
知的障害児・者(18歳以上) | 12 | 精神薄弱者施設、病院等 | 16 | 29 | |
老人ホーム等 | 1 |
・ 障害程度別人数
表4 障害程度別人数(平成9年6月1日現在) (単位:人)
手帳区分 | 6級 | 5級 | 4級 | 3級 | 2級 | 1級 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
身体障害児・者 | 50 | 37 | 79 | 69 | 65 | 102 | 402 |
手帳区分 | B2 | B1 | A1 | A2 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
知的障害児・者 | 2 | 9 | 6 | 15 | 32 |
・ 身体障害児・者の年齢別人数
平成9年6月1日現在、町内で身体障害者手帳を所持している人数は402人で、総人口の約7.27%となっています。年齢別では、65歳以上が305人であり身体障害児・者全体の約74.9%を占めています。(井川町人口:5,525人 平成9年6月1日現在)
0~17歳 | 2人 |
18~29歳 | 2人 |
30~49歳 | 31人 |
50~64歳 | 66人 |
65歳以上 | 301人 |
・ 身体障害児・者の障害の種類
肢体不自由者がもっとも多く、201人で50%を占めています。
障害種類 | 肢体不自由 | 内部障害 | 聴覚障害 | 視覚障害 | 音声・言語障害 |
---|---|---|---|---|---|
人数 | 201 | 78 | 71 | 50 | 2 |
障害種類 | 肢体不自由 | 内部障害 | 聴覚障害 | 視覚障害 | 音声・言語障害 |
---|---|---|---|---|---|
人数 | 201人(50%) | 78人(19.4%) | 71人(17.7%) | 50人(12.4%) | 2人(0.5%) |
・ 知的障害児・者の年齢別人数
平成9年6月1日現在、町内で療育手帳を所持している人数は32人です。
5歳未満 | 0人 |
6~17歳 | 3人 |
18~29歳 | 5人 |
30~39歳 | 5人 |
40~49歳 | 9人 |
50~64歳 | 6人 |
65歳以上 | 4人 |
・ 精神障害者
池田保健所にて把握されている、井川町における精神障害者の患者数は表5のとおりです。
年月日 | 入院患者概要 | 在宅患者概数 | 計 | ||
---|---|---|---|---|---|
措置 | その他 | 計 | |||
H9.3.31 | 1 | 25 | 26 | 46 | 72 |
H8.3.31 | 2 | 25 | 27 | 46 | 73 |
・ 障害児の保育・教育
井川町には1カ所の保育所(3町合同)があり、平成9年10月現在60人(井川町のみ)が入所していますが、現在障害児の入所はありません。幼稚園は3カ所あり94人が通園していますが現在障害児はいません。
障害児の就学については、普通校に設置された障害児学級に11人(小学校7人、中学校4人)が通学しています。
- | 保育所入所児総数 | 障害児数 |
---|---|---|
合計 | 60 | 0 |
1・2歳児 | 25 | 0 |
3歳児 | 29 | 0 |
4歳児 | 4 | 0 |
5歳児 | 2 | 0 |
- | 児童総数 | 障害児学級数 | 障害児学級児童数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
辻小学校 | 151 | 0 | 0 | - |
西井川小学校 | 103 | 1 | 4 | 2年1人 3年1人 6年2人 |
井内小学校 | 81 | 1 | 3 | 3年1人 4年1人 6年1人 |
井川中学校 | 192 | 1 | 4 | 1年1人 2年1人 3年2人 |
第2編 基本構想
1 施策の体系
[基本理念] | [基本目標] | [施策展開] |
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障害者が活き活きと暮らせる町づくりを目指して | 1 啓発・広報活動の推進 |
|
2 教育の充実 |
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|
3 雇用就労の場の確保 |
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4 保健・医療サービスの充実 |
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5 福祉サービスの充実 |
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|
6 生活環境の整備 |
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2 基本目標
井川町では、基本理念の具体化を図るため、まちづくりの基本目標を次のように設定します。
- 目標1. 啓発・広報活動の推進
- 障害者に対する町民の正しい理解と認識を深め、町民の自発的な行動を促すため、町民意識の把握に努めるとともに、積極的な啓発活動が必要です。特に、交流の機会を利用して日常的に啓発活動を推進します。
- 目標2. 教育の充実
- 個々の障害の種別や程度に応じた適切な教育を提供することを基本に、積極的に社会に参加できる機能の育成を図るよう努めます。本人や保護者が安心して進路を選択できるような体制を確立するために、医療・福祉・教育等関係機関との連携を強化していきます。
- 目標3 雇用・就労の場の確保
障害者が社会の一員として働き、安定した生活を確保することは、生活の糧を得る手段としてだけでなく、生きる喜びにつなぐための基本です。町としては、働く意欲を持つ障害者の適性と能力に応じた働く権利を保障していかなければなりません。障害者の雇用・就業を促進するために、事業主や共に働く人々の理解を得られるような体制を確立していきます。
- 目標4 保健・医療サービスの充実
- 障害者が地域社会において生きがいのある生活を送るには、健康の保持・増進が極めて重要であり、疾病や障害の予防、早期発見、治療などの総合的な保健医療対策を推進しなければなりません。また、社会資源の活用を図るとともに、地域社会において、障害者が適切な医療サービスを容易に受けられる施設の整備、さらに、社会復帰を図るためのリハビリテーション機能の拡充が必要とされます。 精神障害者についても心の健康教育等を通じて、社会復帰の促進に努めます。
- 目標5. 福祉サービスの充実
- 障害者が地域で自立した生活を送るためには、きめ細かな福祉サービスの充実が必要です。個々の障害に応じた各種の福祉サービスを提供するために、積極的に各種施策を推進していきます。
また、高齢者施策として実施している事業についても、障害者が利用できるようにするなど柔軟な対応をめざします。
- 目標6. 生活環境の整備
- 心身障害児・者が地域社会の中で自立し、社会の一員としてその役割を果たしていくために、障害者を取り巻く物的条件の改善、整備は前提条件です。障害者にとって安全で住みやすい生活環境は、幼児、妊婦、老人をはじめ、すべての町民にとっても快適なものになるはずです。井川町総合計画と整合性を図りながら、すべての町民が共に生きるためのきめ細かな配慮に基ずくまちづくりをめざします。
第3編 基本計画
第1章 啓発・広報活動の推進
[現状と課題]
障害者問題は、障害者が障害をもっているために社会との関わりにおいて極めて不利な状況におかれており、その解決を社会全体の責務としてとらえる必要があります。
「ノーマライゼーション」の理念の一層の浸透を図り、思いやりや助け合いの心に満ちた人間性豊かな社会を築き上げるためには、様々な分野において、障害や障害者に対しての理解や認識を深め、豊かにしていくことが必要です。このために、啓発広報活動や福祉教育は極めて重要となります。井川町では平成3年度より「社会福祉大会」を毎年開催し、地域福祉の啓発や、障害者福祉の啓発普及を図っています。また、町内の保育所、小学校、中学校では、老人ホームを訪問し、地域の老人との交流を深めることにより高齢者や障害者への理解を図っています。今後も福祉施設等の訪問、障害児学級との交流等を通じて福祉教育の充実を図っていくことが望まれます。
スポーツ・レクリェーション等による交流も大きな意義を持っています。町身体障害者会ではゲートボール、アーチェリー、グランドゴルフ等のクラブ活動を活発に実施し、障害者の社会参加や地域交流を促進しています。
アンケート調査においては、障害者が日頃感じていることとして「生活実状をもっと知ってほしい」「行政の積極的な支援がほしい」についで「福祉に関する教育を充実してほしい」という意見が多いことから、障害者に対する住民の理解を強く望んでいることがわかります。
今後、障害や障害者に対する「心の壁」の除去を一層推進する啓発公報の充実を図り、障害者福祉にかかわる教育、ボランティア活動、交流活動等の推進や支援をさらに活発化することが必要です。
[基本方針]
- 「ノーマライゼーション」の理念を実現するために必要な啓発活動を行う。
- 児童、生徒をはじめとして、全町民が、障害者や高齢者に対して正しい知識を持ち、お互いの立場や心情を思いやり、相互に協力しあう精神や態度がはぐくめるよう、福祉教育等を推進していく。
- 障害者が積極的に、文化・スポーツ・レクリェーション活動に参加できるよう条件整備に努めるとともに、障害をもたない人との交流を促進する。
[施策の方向]
1. 普及・広報活動の推進
- 障害者問題について周知するため、町報いかわ・パンフレットなどあらゆる広報手段を通じて、広く町民に対する啓発に努める。
- 障害者福祉に対する町民の理解を促進するため、町民祭、福祉大会等の機会に、障害者団体・障害者関係施設・学校等の紹介・展示を図っていく。
- 様々な活動を行う各種団体(障害者団体、民生委員、ボランティア)を対象に、障害者問題についての研修などに努める。
- 障害者社会参加促進事業について
近隣町村と連携して、障害者のニーズに応じた事業を検討し、推進する。
(例 点訳奉仕員等養成事業、手話奉仕員派遣事業、手話通訳者設置事業、点字・広報・声の広報等の発行事業、自動車運転免許取得助成・自動車改造助成事業、重度身体障害者移動支援事業、生活訓練事業、身体障害者スポーツ振興事業、福祉機器リサイクル事業等)
2. 福祉教育の推進
- 人権尊重の視点にたった障害者に対する正しい理解と認識を深めるため、同和教育との連携を図りながら、福祉教育を積極的に推進する。
- 児童・生徒・一般住民に対して、障害児(者)についての理解や認識を深めるため、障害者による福祉講話の実施や福祉教育を推進する。
- 児童・生徒の障害者への理解と交流を深めるため、ボランティア活動を推進する。
- 家庭・学校・職場・地域社会のあらゆる場面において、福祉教育を推進するため、保健・医療・福祉・教育等の関連機関や社会福祉協議会との情報交換を密にし連携を強化する。
3. 交流・ふれあいの推進
- 身体障害者会等が実施する、スポーツ大会等の開催を支援する。
- 障害者と障害を持たない人が、文化活動やスポーツ・レクリェーション活動を通して交流を深められるよう、障害者の社会参加を促進する。
第2章 教育の充実
[現状と課題]
心身障害者がいきいきと個性を発揮し、その能力・特性を最大限に伸ばしていくためには、成長のあらゆる段階において障害児一人ひとりの障害の種類、程度、能力、適正等に応じた適正な教育・育成の場と機会が必要です。平成9年度現在、井川町では就学前の幼児1名が精神薄弱児通園施設「池田療育センター」に通っているほか、小学校に2学級、中学校に1学級の障害児学級があり、合わせて11人の知的障害児が勉学しています。学校では、障害を持つ児童・生徒の発達の程度や障害の程度に応じた適正な就学指導に努めていますが、就学前の障害児を持つ保護者には、就学や学校生活に不安をもつ人も少なくありません。障害の早期発見、早期療育を図るためにも、母子保健分野において健康診査・相談の実施を充実し、保健所の発育相談事業や心身障害児交流会「チビッコ倶楽部」への参加へとつなげていくことが望まれます。
また、義務教育卒業後の進路についても、障害児やその保護者の大きな心配ごととなっています。労働及び福祉の分野と連携しながら、障害の状態に応じた進路指導を充実するとともに、進路の拡大を図る必要があります。
[基本方針]
- 障害児がひとりの人間として成長発達し、その能力を最大限に伸ばしていけるよう、早期からの教育内容の充実と教育環境の整備に努める。
- 適切な就学ができるよう、就学前からの教育相談の充実を図る。
- 児童、生徒が能力を最大限に伸ばし、充実した学校生活が送れるよう教育内容や相談体制の充実を図る。
- 労働及び福祉の分野と連携しながら、障害の実態に応じた進路指導に努める。
[施策の方向]
1. 就学前教育・療育の充実
- 障害児の保護者が早期から継続して、療育や教育相談などの助言・指導を受けられるよう、保健所、施設等との連携を強化し県療育システムとつなげていく。
- 乳幼児発達相談指導事業
- 心身障害児交流会「チビッコ倶楽部」
- 施設による外来療育相談、訪問療育
- 施設による短期療育事業(池田療育キャンプ)
- 乳幼児発達相談指導事業
- 在宅の重度障害児の保護者に対しては保健婦による訪問相談を実施し、家庭療育に関する助言・指導の推進に努める。
- 保育所及び幼稚園への障害児の受け入れに努める。
2. 学校教育の充実
- 心身の障害状況を改善・克服するために必要な教育が受けられるように、本人や保護者の意見を尊重しながら、適切な就学指導に努める。
- 障害者及び保護者の多様な教育相談に対応できるよう、関連機関との連携を深める。
- 障害児教育担当教職員の資質向上をはかるための研修等の実施を図る。
- 義務教育卒業後の社会的自立を支援するため、池田公共職業安定所、県障害者職業センター及び各企業、作業所、福祉施設等との連携を強化し、進路指導の充実に努める。
3. 社会教育の推進
1 障害者と障害を持たない人の学習交流の機会を増やし、地域に住む障害者の積極的な社会参加を促進する。
第3章 雇用就労の場の確保
[現状と課題]
すべての人間にとって働くことは憲法で保障された基本的権利です。この権利は、身体の不自由な者とそうでない者がすべて等しく保障されなければなりません。しかし、障害者が職業的に自立していくうえにおいては、種々の社会的制約があり、憲法で保障された勤労の権利を保障されているとは云い難い状況です。
一般企業における身体障害者と知的障害者の平成9年6月1日現在の実雇用率は全国では1.47%、徳島県では1.66%と、法定雇用率1.6%を上回っているものの、まだまだ障害者に対しての雇用保障がなされていない現状であります。
またアンケート調査によると、働いている障害者の人は33人で回答者全体の11.7%と、退職などをして年金生活をしている人の74人を除いても15.8%にすぎません。
精神障害を持つ人が更生し、職業につくために必要な技術を習得するための小規模作業所は、三好郡では精神障害者小規模作業所が山城町(すずらん作業所)と三好町(末広作業所)にあり、井川町からは、約2名が末広作業所に通っています。
このほかに、精神障害者の人を対象に、社会復帰にむけて一定期間就労訓練する通院患者リハビリテーション事業(職親制度)を池田保健所が行っています。
今後は、障害者の働く権利、自己実現、社会への貢献の観点から、障害者の適性と能力に応じた働く場を確保するとともに、障害者が働きやすい職場環境づくりを進める必要があります。
[基本方針]
- 障害者に対して、そのニーズに応じた職業相談を行い、就労の促進を図る。
- 障害者が、その適正と能力に応じて就労できるように就労支援の充実を図る。
[施策の方向]
1. 雇用の促進
- 公共職業安定所が実施する障害者の職業相談、会議の開催等に対する積極的な参加・協力を行う。
- 障害者の雇用に関して正しい理解と認識を深めるために、広報誌等を活用し啓発活動の推進を図る。
- 重度障害者や精神障害者の雇用を促進するため、関連機関と連携し啓発を強化していく。
2. 就労の促進
- 作業能力の高い障害者が施設に滞留することなく、一般企業へ円滑に移行できるようにするため、施設における職業自立訓練・評価の機能を充実するとともに、就職後のフォローアップの体制を整備していく。
- 在宅就労については、企業等に積極的な協力を求めることが重要であり、内職に従事する障害者とその家族に作業の受注を確保するため、関係機関との連携を図っていく。
3. 福祉的就労サービスの充実
- 精神障害者小規模作業所・心身障害者小規模通所作業所設置にむけて近隣町村、障害者団体、保健所等と協議し、積極的に検討する。
- 小規模作業所等の通所者に対して、交通費の半額補助を継続して行う。
第4章 保健・医療サービスの充実
[現状と課題]
障害の発生予防、早期発見・早期療育、軽減、健康の保持・増進については、保健・医療の果たす役割は大変大きく、特に、誰もが安心して日常生活を送るためには、いつでも必要な時に地域で保健・医療サービスが提供される必要があります。
本町の保健サービスとしては、母子保健対策として産前教育(母親学級)、乳児及び1歳6ヵ月、2歳6ヵ月、3歳児健康診査ならびに母子保健相談、成人病対策として40歳以上を対象に基本健康診査を実施しています。しかし、障害の発生予防に重要な基本健康診査については平成9年度受診率は、48.4%であり50%に達していない状況です。
医療サービスとしては、3歳児未満児医療費助成、重度心身障害者医療費公費負担、更生医療等があります。今後これらの制度の普及を促進するとともに、保健所等との協力の中で地域生活を支援していく必要があります。
町内の医療機関は、医院が1カ所、診療所が2カ所ありますが、アンケート調査によると井川町で暮らしにくい点として「病院などの医療機関が少ない」という意見が最も多くみられました。また、障害者の約7割が治療中もしくは病気がちと答えており、病院などの医療機関の充実についての需要が多くみられます。また、障害者本人だけでなく、介助者についても高齢になるほど病気がちな人が増えています。障害の2次障害を防ぐため、保健・医療に関する知識の普及を図るとともに、高齢化が進んでいる介助者をはじめ、障害者の生活を支える家族等の健康対策も求められます。
また、アンケート調査によると、今後の重点障害者施策として「リハビリテーションの充実」を望む声が多くみられました。現在井川町では65歳以上の高齢者に対してデイサービスを実施し日常生活訓練、各種サービスを行っていますが、65歳未満の障害者に対するデイサービスはありません。今後は、広域圏の中で身体障害者デイサービス事業の実施について検討し、障害者の機能回復訓練の充実を図る必要があります。
特定疾患(難病)対策については、平成8年度末から特定疾患医療給付の申請受付事務を保健所で実施し、難病患者の支援がなされていますが、住民の中には難病でありながら制度を知らない者もいると思われます。難病対策については、保健所との連携を図りながら取り組んでいく必要があります。
保健サービス | 内容 |
---|---|
母子健康手帳交付 | 妊娠届出時面接を実施 |
妊婦訪問指導 | 医療機関の妊婦一般健康診査票から早期に問題を把握し対応する。 |
母親学級 | 年4回実施 |
妊婦健康相談 | 電話による相談を実施 |
乳児検診 | 年6回実施 |
1歳半健診 | 年4回実施 |
2歳半健診 | 年2回実施 |
3歳健診 | 年2回実施 |
乳児相談 | 年8回実施 |
医療サービス | 内容 |
医療費助成制度 | 3歳未満児の医療費を助成 |
小児慢性特定疾患医療給付 | - |
養育医療の給付 | 重度の未熟児に対する医療給付 |
育成医療の給付 | 治療効果が期待できる障害への医療給付 18歳未満 |
更生医療の給付 | 治療効果が期待できる障害への医療給付 18歳以上 |
重度心身障害者(児)医療費公費負担 | 身体障害者手帳1.2級所持者 療育手帳A所持者 |
事業名 | 受診人数等 |
---|---|
健康教育 | 1,680人 |
健康相談 | 575人 |
基本健康診査 | 1,106人(48.4%) |
胃がん検診 | 452人(19.8%) |
子宮がん検診 | 348人(22.8%) |
肺がん検診 | 843人(36.9%) |
乳がん検診 | 369人(24.1%) |
大腸がん検診 | 514人(23.1%) |
生活習慣改善指導 | 16人(23.1%) |
[基本方針]
- 障害の早期発見・早期療育を図るため、母子保健対策を総合的に推進する。
- 啓発活動を推進し「寝たきりは予防できる」という意識を普及する。
- 在宅の心身障害者や難病患者とその家族が、安心して生活できる在宅医療支援体制の整備に努める。
- 関係医療機関との連携を一層強化し、医療の整備に努める。
- 精神保健知識の普及・啓発を推進し、精神障害者の社会復帰を進めるための体制整備に努める。
[施策の方向]
1. 障害の発生予防の充実
- 妊婦に対し、母子健康手帳の交付・ハイリスク妊婦に対する訪問指導・電話相談を実施し、妊婦に対する健康管理を徹底する。
- 健康教育、健康相談、各種健康づくり事業の充実を図り、疾病の予防に努める。
2. 障害の早期発見・早期療育体制の充実
- 乳幼児の成長段階に応じた健康診査を実施し、障害の早期発見早期療育に努める。
- 各種健康診査受診のPRを推進し、未受診者に対する対策に努める。
- 障害児が早期に適切な療育が受けられるよう、保健所等の関連機関との連携を密にする。
3. 医療・リハビリテーションの充実
- 医療機関、福祉施設等との連絡を密にし医療体制の充実を図る。
- 障害者の各種医療サービスについて該当者に対する周知を徹底する。
- 在宅障害者及び介護を行う者の生きがいを高め自立を図る為、広域東部圏における身体障害者デイサービス事業の実施に向けて検討する。
- 難病患者に対する保健・医療・福祉の総合的なケアシステムを構築するため、保健所が進める難病対策事業との連携を図る。
- 透析患者の保健医療のケアシステムを充実させるため関係医療機関、徳島県腎臓病患者連絡協議会、腎友会等との連携を密にし、患者の生活の質の向上に努める。
- 医師会等の協力により、関係機関相互の連携強化が図られるよう働きかける。
- 歯科医師会の協力を得て、訪問診療が実施できる体制づくりを検討する。
- 重度心身障害児(者)が診療を受けた場合の自己負担金を助成する。
- 身体障害者が心臓疾患、腎臓疾患等の更生医療が必要な場合、その費用の給付を行う。また障害児に対する育成医療の周知を図る。
4. 精神保健対策の充実
- 精神障害者保健福祉手帳に対して、各種福祉サービスの対象となるよう関係諸団体と連携し国に要望していく。
- 地域住民、町職員の精神保健に対する関心や理解を促進するため、家族会、保健所等の協力を得て福祉講話や福祉教育の実施に努める。(町民祭、福祉大会等の機会を利用)
- 山城町、三好町の既存作業所の運営を支援する。また精神障害者小規模作業所の設置について近隣町村保健所、家族会と連携し、広域的実施に向けて検討。
- 三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)、保健所、病院等の関係団体による啓発活動の推進を支援する。
第5章 福祉サービスの充実
[現状と課題]
障害者が地域社会の中で自立し、主体的な生活を送るためには、障害者の実態や家族の状況をふまえて、きめ細かい福祉サービスを充実する必要があります。現在、町・社会福祉協議会・在宅介護支援センターが実施している在宅福祉に関するサービスは、表10のとおりです。当町では平成8年度より新たに、心身障害者扶養共済制度を町単独で半額負担するなど、国・県のあらゆる制度を活用しながら充実を図っています。また平成9年度より小星園における重度身体障害者のショートステイを推進しています。しかし、介護・派遣・交流・生活支援に関する福祉サービスについては65歳以上の高齢者を対象とするものが多く、障害者を対象とした福祉サービスについてはまだ充分とはいえません。アンケート調査でも、障害者を対象としたホームヘルパーや、デイサービス等の福祉施設がないという意見が多くみられました。今後は、平成12年度に創設される介護保険制度や現在実施されている高齢者サービスの供給体制を活用しつつ、人数的には少ない65歳未満の障害者にも対象を広げるなどの方向を検討していく必要があります。
ボランティアに関しては、その活動の促進・支援を図るため、平成9年10月にボランティアセンターを設置したところであり、今後は、その効果的な運営を通じ、ネットワークづくりや人材育成等、町民のボランティア活動促進に向けた取り組みの充実が必要となってきます。また、障害者の相談窓口としては、身体障害者相談員(3名)、精神薄弱者相談員(1名)、民生・児童委員、役場厚生課担当窓口、教育委員会、保健婦、在宅介護支援センター、社会福祉協議会等があります。今後は、これらの相談機関の充実を図るとともに、公的サービスと併せて、家族や地域住民組織、ボランティアなどの参加のもとに有機的な連携が図れるよう、地域に根ざしたサービスの推進体制を整備するよう努める必要があります。
- | サービス | 内容 |
---|---|---|
補装具・生活用品等 | 補装具の交付・修理 | 身体上の障害を補うための用具の交付・修理。つえ、義眼、眼鏡、補聴器、喉頭、義肢、装具、車椅子、歩行車、ストマ用装具 |
日常生活用具の給付及び貸与 | 重度障害者の日常生活がより円滑に行われるための用具の給付等 浴槽、便器、特殊寝台、盲人用時計、ワープロ、ファックス等 |
|
福祉機器の貸出し | 寝たきり及び虚弱老人の方、身体に障害のある方への貸出し(車いす、エアーマット、ベット) | |
介護・派遣 | 在宅重度身体障害者短期入所事業 | 重度身体障害者を介護している保護者が疾病等によって家庭における介護困難な場合、施設に一時保護します。 |
老人短期入所事業 | 寝たきりや痴呆の老人を世話している家族が病気、冠婚葬祭、旅行などで一時的に介護できない場合に特別養護老人ホームで短期間世話をする。 | |
ホームヘルパー派遣 | 寝たきりや日常生活での援助の必要なひとり暮らしの老人に、家事や介護など必要なサービスを提供 | |
デイサービス | (B型)おおむね65歳以上の身体虚弱又は寝たきりの方を専用車で送迎し、入浴・食事・日常生活動作訓練等いろいろなサービスをする。 (E型)在宅で常時介助が必要な痴呆老人の方を専用車で送迎し、入浴・食事・日常生活動作訓練等各種サービスを提供する。 |
|
入浴サービス | おおむね65歳以上の寝たきり老人の家庭に訪問し、入浴介助を行う | |
移送サービス | 65歳以上の者で、車椅子・ストレッチャー使用者、又は指定された山間部で一般の交通機関を利用することが困難な者 | |
住宅改善 | 重度身体障害者住宅改造助成事業 | 重度の視覚障害・肢体不自由者の日常生活がより円滑に行われるように、浴室や便所等の改造を助成 |
高齢者等住宅改造助成 | 日常生活に介助を要する高齢者が、住みなれた住宅で安心して生活が送れるよう家屋内の浴室や便所等の改造助成 | |
その他 | 給食サービス | 71歳以上の一人暮らしの老人を対象に、月一回程度民生委員ボランティアが調理宅配を行う |
公共料金の割引 | バス運賃の割引 | 第1種身体障害者、第1種精神薄弱者は、本人及び介護者とも。その他の者は本人のみ |
JR運賃の割引 | 第1種身体障害者、第1種精神薄弱者は介護者が同行する場合は区間制限なし、単独の場合は100キロメートルをこえるとき。第2種身体障害者、第2種精神薄弱者は100キロメートルをこえるときで本人のみ | |
航空運賃割引 | 国内線全区間、本人は25%割引、第1種身体障害者および第1種精神薄弱者は25%割引 | |
タクシー運賃の割引 | 身体障害者手帳又は療育手帳の交付を受けた者(児) | |
有料道路通行料金の割引 | すべての身体障害者が自ら運転する場合。重度の身体障害者又は重度の知的障害者を乗せて介護者が運転する場合 | |
NHK受信料の減免 | 身体障害者の居る貧困家庭、重度の知的障害者のいる非課税世帯は全額免除。視聴覚障害者又は肢体不自由者(1,2級)が世帯主の場合は半額免除。 | |
貸付 | 生活福祉資金の貸付 | 身体障害者更生資金、生活資金、福祉資金、住宅資金 |
経済給付・手当 | 心身障害者扶養共済制度 | 保護者なき後の心身障害者(児)の生活の安定と福祉の向上を図るため、保護者の死亡後、年金を支給します。 |
特別障害者手当の支給 | 住宅の最重度障害者で常時特別の介護を要する状態にある20歳以上の者に対し月額26,230円を支給します。 | |
障害児福祉手当 | 在宅の重度障害児で日常生活活動が著しく制限され、介護を要する状態にある20歳未満の者に対し支給される手当 | |
特別児童扶養手当の支給 | 障害児を監護する父母又は養育者に対して支給します。 | |
障害基礎年金 | 国民年金加入中障害者になったり20歳前の障害で障害者になった人へ支払われる年金 | |
税の軽減 | 所得税控除 | 障害者控除、特別障害者控除、同居特別障害者扶養控除 |
住民税控除 | 障害者控除、特別障害者控除、同居特別障害者扶養控除。前年度所得が125万円以下の障害者。 | |
自動車税(軽自動車税)減免 自動車取得税減免 |
歩行困難な身体障害者本人又は身体障害者等を常時介護するか、生計を一にするものが運転し、専ら当該身体障害者等の用に供する自動車など。 |
[基本方針]
- 障害者のニーズにそった制度の充実を図る。
- 障害者の相談に応じ、必要な指導や助言を行うことができるよう相談体制の充実を図る。
- 必要なときに必要な施設を利用できるよう各種施設の整備を、関係機関へ働きかけていく。
[施策の方向]
1. 在宅福祉サービスの充実
- 障害者の自立と社会参加の促進を図るため、市町村生活支援事業の広域的な実施を検討し進めていく。
事業内容
- ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ等の利用援助
- 社会資源を活用するための支援(授産施設、作業所等の紹介、福祉機器、情報機器の利用助言 外出・移動の支援など)
- 社会生活力を高めるための支援(社会生活訓練プログラム等の実施)
- ピアカウンセリング(障害者自身がカウンセラーとなって、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力の習得に対する個別的援助・支援)
- 専門機関の紹介
- ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ等の利用援助
- 在宅の身体障害者又はその介護を行う者に対するデイサービス事業について、近隣町村と連携して、広域的な実施にむけて検討する。
- 介護が必要な障害者、難病患者、家族に対するホームヘルパーの派遣に努める。
- 補装具の交付・修理、日常生活用具の給付・貸与の制度の周知を徹底し、福祉機器の普及を図る。
- 身体障害者相談員、精神薄弱者相談員、民生・児童委員、在宅介護支援センター、社会福祉協議会、保健所、福祉事務所等との連携を強化し、相談体制の充実を図る。
- 身体障害者短期入所事業の周知を図り、利用者を増やすことにより、介護背負担を軽減し、在宅の障害児(者)の福祉の向上をめざす。
- 在宅介護支援センターにおける福祉機器リサイクルを充実させるとともに制度の周知を図る。
2. 施設サービスの充実
- 障害者のもつニーズに応えられるよう、授産・療護・更生・通園等の施設整備について、県及び近隣町村との調整を行い、関連機関への働きかけを行う。
- 広域東部圏における身体障害者デイサービスセンターの整備に努める。
3. 人材の確保と育成
- 常勤ヘルパー及び登録ヘルパーの拡充と介護福祉士等の専門員の確保に努める。
- 若年層や男性のボランティア参加を促進し、ボランティア活動の支援と、機能の充実を図る。
4. 生活安定のための施策の充実
- 障害者を監護する保護者・養育者に対し特別児童扶養手当を支給する。
- 在宅の重度障害児で日常生活に常時特別の介護を要する20歳未満の人に障害児福祉手当を支給。
- 在宅の最重度障害者で、日常生活に常時特別の介護を要する20歳以上の人に特別障害者手当を支給。
- 国民年金加入中に障害者になったり、20歳前に障害者になった人に対して一定条件のもとに障害基礎年金を支給。
- 保護者なき後の心身障害者(児)の生活の安定と福祉の向上を図るため、保護者の死亡後年金を支給する心身障害者扶養共済制度の掛金の半額補助を行う。
第6章 生活環境の整備
[現状と課題]
障害者が安心して生活ができ、社会の一員としてその役割を果たしてゆけるためには、物的条件の改善、整備が必要です。
県においては、「ひとにやさしいまちづくり条例」を交付し、公共施設や公的施設の環境整備基準を示しています。本町においても、役場玄関にスロープを設置するなど改善整備を順次進めていますが、公共施設や歩道の安全整備等への取り組みは、必ずしも充分とはいえない状況にあります。アンケート調査でも、「道路や建物の中に段差が多い」「バス・汽車の利用がしにくい」という意見が多くみられました。また約32%の人が「当町の公共施設を利用したことがない」と答えています。今後は、障害者が安全かつ自由に移動し、活動の幅を広げられるよう、障害者に配慮した移動・交通手段を整備するとともに、施設や道路等の段差の解消などの物理的な障壁を除く、福祉のまちづくりの推進が重要です。
住宅については、アンケート調査によると障害者の約4割が現在住んでいる住宅に支障を感じていますが、「資金がない」「構造上難しい」という理由から改造をあきらめています。家庭での障害者の生活的自立を助け、介護者の負担を軽減するためにも障害者の生活に適応できるよう住宅を改造するための支援が必要です。
また、障害者が地域で安心して生活するためには、火災や地震などの非常時における障害者の支援体制の確立が不可欠です。阪神大震災を教訓にして、障害者や高齢者を含め、地域において災害時の情報伝達や避難誘導体制の整備が必要です。
[基本方針]
- 障害者が自由かつ容易に社会生活に参加できるよう、福祉のまちづくりを総合的に推進する。
[施策の方向]
1. 福祉のまちづくりの推進
- 「井川町総合計画」との整合性を図り、関連各課が連携し、障害者福祉の具体的事業について検討する。
- ふるさと交流センターのエレベーター設置等、公共施設の改善
- 道路、公園、通路等公共空間におけるバリアフリー化への推進
- ふるさと交流センターのエレベーター設置等、公共施設の改善
- 公共施設の新築または改築する際には、県の条例に基ずく整備を図る。
- 「人にやさしいまちづくり」の推進を図るため住民に対する意識啓発を充実する。
2. 交通・移動手段の整備充実
- 山間部などの路線バスの維持に努める。
- 交通マナーの向上を図り、障害者や高齢者が安心して通行できるまちづくりを推進する。
- 鉄道・バス・タクシー・航空運賃・有料道路通行料金の割引等の制度の周知を図る。
- 障害者社会参加促進事業のなかで重度身体障害者移動支援事業の取り組みについて検討する。
3. 住宅の整備
- 町営住宅については、障害者や高齢者の生活に適応できるような整備を検討。
- 住宅改造に関する相談事業を充実し、障害者の住宅改造を助成補助をしていく。
4. 防災対策の充実
- 防災知識の向上と災害時の的確な対応を図るため、障害者の実態や地域の実情を把握し、障害者のいる家庭及び住民への防災教育と防災訓練の推進を図る。
- 災害時における迅速な救助活動を行うため、緊急通報システムの拡大を図る。
- 町内のすべての地域において自主防災組織を育成し、地域における緊急時の避難誘導など障害者に対する支援体制を整備していく。
第4編 重点プロジェクトの設定
各種の施策のうち、全体をリードする役割を担うものとして特に重点的に取り組むプロジェクトを次の4つとし推進を図ります。
1. 障害者社会参加促進事業
2. 障害者生活支援事業
3. 身体障害者デイサービス事業
4. 心身障害者・精神障害者小規模作業所の充実
主要事業1 障害者社会参加促進事業
障害者にとって最も身近な町村において、障害者のニーズに応じた事業を実施することにより、障害者の自立と積極的な社会参加の促進を図ることを目的に西部第2サブ障害保健福祉圏域で次のような事業を行う。
1 基本事業
〔第1 コミュニケーション支援〕
1. 点訳奉仕員等養成事業
(1) 事業内容
点訳又は朗読、手話、要約筆記に必要な技術等の指導を行って、これらに従事する奉仕員(以下点訳に従事する奉仕員にあっては「点訳奉仕員」、朗読に従事する奉仕員にあっては「朗読奉仕員」、手話に従事する奉仕員にあっては、「手話奉仕員」、要約筆記に従事する奉仕員にあっては「要約筆記奉仕員」という。)を養成する。
(2) 養成対象者
点訳又は朗読の奉仕を申し出た者のうち、適当と認めた者とする。
(3) 実施方法等
養成対象者に対しては、講習会等の方法により、概ね次の科目について講習を実施する。
ア 点訳奉仕員に対する講習
(ア) 点字図書の基礎知識
(イ) 点訳の方法及び実技
(ウ) 身体障害者福祉の概要
イ 朗読奉仕員に対する講習
(ア) 声の図書の基礎知識
(イ) 朗読の方法及び実技
(ウ) 身体障害者福祉の概要
ウ 手話奉仕員に対する講習
(ア) 手話の基礎知識
(イ) 手話の方法及び実技
(ウ) 身体障害者福祉の概要
エ 要約筆記奉仕員に対する講習
(ア) 要約筆記の基礎知識
(イ) 要約筆記の方法及び実技
(ウ) 身体障害者福祉の概要
(4) 奉仕員の登録
ア 講習を終了した者等のなかから、本人の承諾を得て、奉仕員としての登録を行う。
イ 登録された奉仕員に対しては、これを証明する証票を交付する。
(5) 奉仕員の協力内容
ア 点訳奉仕員
点訳奉仕員は、点字図書の増冊及び普及に協力する。
また、町村等からの依頼による点字による相談文書の翻訳や回答文書の作成、広報活動、文化活動等に協力する。
イ 朗読奉仕員
朗読奉仕員は、声の図書の増冊及び普及に協力する。
また、町村等からの依頼による広報活動、文化活動等に協力する。
ウ 手話奉仕員
手話奉仕員は、町村等からの派遣依頼を受けて、聴覚障害者と障害のない者との通訳を行う。
また、町村等からの依頼による広報活動、文化活動等に協力する。
エ 要約筆記奉仕員
要約筆記奉仕員は、町村等からの派遣依頼を受けて、中途失聴者、難聴者等と障害のない者との意志伝達の仲介を行う。
また、町村等からの依頼による広報活動、文化活動等に協力する。
(6) 留意事項
奉仕員は、身体障害者の人格を尊重して活動するとともに、当該身体障害者の身上及び家庭に関して知り得た秘密を守ること。
2. 手話奉仕員等派遣事業
(1) 事業内容
聴覚障害者等(聴覚障害者及び音声又は言語機能障害者を含む。以下同じ。)のコミュニケーションの円滑化の推進のため、手話奉仕員・要約筆記奉仕員を派遣する。
(2) 派遣対象者
町村等が必要と認めた場合で、適当な意志伝達の仲介者が得られない聴覚障害者等とする。
(3) 留意事項
奉仕員は、身体障害者の人格を尊重して活動するとともに、当該身体障害者の身上及び家庭に関して知り得た秘密は守ること。
3. 手話通訳設置事業
(1) 事業内容
コミュニケーションの円滑化を推進するため、手話通訳を行う者を福祉事務所等・公的機関に設置する。
(2) 手話通訳の業務内容
聴覚障害者等とその相手方との、意志伝達の仲介を行う。
(3) 留意事項
ア 手話通訳を行う者には、これを証する証票を発行し携行させること。
イ 手話通訳を行う者は、身体障害者の人格を尊重して活動するとともに、当該身体障害者の身上及び家庭に関して知り得た秘密は守ること。
〔第2 情報支援〕
4. 点字広報・声の広報等発行事業
(1) 事業内容
点字や声の広報等の発行により、必要な行政情報等を提供する。
(2) 提供内容
ア 地方公共団体等の広報
イ 点字・声の図書の関係情報
ウ 視覚障害者関係事業の紹介
エ 生活情報
オ その他必要な情報
(3) 留意事項
視覚障害者の求めている情報をよく把握して、発行に努めること。
また点字を理解できない視覚障害者に配慮し、録音による情報提供も行うこと。
〔第3 移動支援〕
5. 自動車運転免許取得助成事業・自動車改造助成事業
(1) 事業内容
自動車運転免許の取得及び自動車の改造に要する費用の一部を助成する。
(2) 対象者
ア 自動車運転免許取得助成事業
免許の取得により、社会参加が見込まれる者とする。
イ 自動車改造助成事業
次の要件のいずれかに該当する者とする。
(ア) 自らが所有し運転する自動車の手動装置等の一部を改造することにより、社会参加が見込まれる者
(イ) 前年の所得税課税所得金額(各種所得控除後の額)が、改造助成を行う月の属する年の特別障害者手当の所得制限限度額を超えない者
(3) 助成額
ア 操作訓練
免許の取得に直接要した費用の2/3以内とする。ただし、10万円を限度とする。
イ 改造助成
自動車の改造に直接要した費用とする。ただし、10万円を限度とする。
(4) 留意事項
町村等は、免許取得、改造助成いずれの申請に対しても対応できるように配慮すること。
6. 重度身体障害者移動支援事業
(1) 事業内容
車いす使用者等が利用できるリフト付き乗用車を運行する事業。
(2) 利用対象者
車いす使用者等で一般の交通手段を利用することが困難な身体障害者とする。
(3) 留意事項
町村等は、利用対象者の把握に努めるとともに、利用対象者の利便を考えた方法で実施すること。
また、実施に当たっては、他の法令等に抵触しないよう留意すること。
〔第4 生活訓練〕
7. 生活訓練事業
(1) 事業内容
視覚障害者、聴覚障害者に対して、日常生活上必要な訓練・指導を行う。
(2) 実施方法等
講習会等の方法により、概ね次のような内容の事業を行う。
ア 視覚障害者に対する生活訓練
(ア) 歩行訓練
(イ) 身辺・家事管理
(ウ) コミュニケーションに関すること(点字、ワープロ、パソコン等)
(エ) 福祉機器の活用方法
(オ) 社会資源の活用方法
(カ) 家庭生活に関すること(生活設計、家族関係、育児等)
(キ) その他社会生活上必要なこと
イ 聴覚障害者に対する生活訓練
(ア) コミュニケーションに関すること(手話、読語、ワープロ等)
(イ) 情報収集に関すること
(ウ) 福祉機器の活用方法
(エ) 社会資源の活用方法
(オ) 社会生活・職業生活に関すること
(カ) 家庭生活に関すること(生活設計、家族関係、育児等)
(キ) その他社会生活上必要なこと
(3) 留意事項
ア 本事業の対象者の中には就労している者が含まれることから、講習会等の開催時期、期間等に充分留意すること。
イ 各々事業について的確な訓練・指導のできる者を講師等として選任すること。
〔第5 身体障害者スポーツ振興〕
8. 身体障害者スポーツ教室開催等事業
(1) 事業内容
身体障害者スポーツの振興と身体障害者のスポーツへの積極的な参加を図るため、身体障害者スポーツ大会・教室の開催、身体障害者スポーツの啓発・普及に関する事業を実施する。
(2) 留意事項
ア スポーツ教室やスポーツ大会の開催等に当たっては、初心者から経験者まで全ての者がこれに参加できるよう、それぞれの意向を十分把握して実施内容を決定すること。
イ スポーツ教室及びスポーツ大会等の開催に当たっては、これに参加する身体障害者の健康管理及び事故の防止に十分留意すること。
ウ 本事業の実施に当たっては、身体障害者スポーツ指導員の協力を得て、効果的に実施すること。
〔第6 福祉機器リサイクル〕
9. 福祉機器リサイクル事業
(1) 事業内容
不要になった福祉機器について、これを必要とする他の者等に斡旋する事業。
(2) 留意事項
ア 実施に当たっては、事業内容を広報紙等により広く周知すること。
イ 斡旋が円滑に行われるよう、受取り者による福祉機器の確認及び引き取り等十分な調整を行うこと。
ウ 福祉機器の引渡し等に要する費用については、原則として受取る者の負担とすること。
〔第7 その他〕
10. 地域のニーズに即した事業
在宅の身体障害者の社会参加を効果的に促進するため、地域の身体障害者のニーズに応じてモデル的・先駆的な事業を実施する。
2 リフト付福祉バス運行事業
1. 事業内容
身体障害者の社会参加を促進するため、移動支援としてリフト付福祉バスを運行させる。
2. 利用対象者
原則として・在宅の身体障害者とする。
3. 利用科
無料とする。ただし、民間輸送業者に運行を委託する場合は、当該リフトバス運行地域内の他のバスの料金を上限に徴収することができる。
主要事業2 障害者生活支援事業
在宅の障害者に対し、在宅福祉サービスの利用援助、社会資源の活用や社会生活力を高めるための支援、ピアカウンセリング、介護相談及び情報の提供等を総合的に行うことにより、障害者やその家族の地域における生活を支援し、もって在宅の障害者の自立と社会参加を図ることを目的に西部第2サブ障害保健福祉圏域で共同して取り組む。
1. 利用対象者
生活支援事業の対象者は、地域において生活支援を必要とする身体障害者等及びその家族とする。
2. 事業内容次に定める事業を行うこととする。
(1) ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ等の利用援助
ア サービス情報の提供
イ サービス利用の助言
ウ 介護相談
エ 利用申請の援助
オ その他必要な保健医療サービスの利用援助
(2) 社会資源を活用するための支援
〔支援の具体例〕
- 授産施設、福祉工場、作業所等の紹介
- 福祉機器の利用助言
- 情報機器の使用指導
- 料理等の指導(料理、裁縫)
- コミュニケーションの支援(代筆、代読等)
- 外出の支援
- 移動の支援
- 住宅改修の助言
- 住宅の紹介
- 生活情報の提供(交通、ホテル、買物、映画、音楽等)
(3) 社会生活力を高めるための支援
社会生活力を高めるために、社会生活訓練プログラム等を実施する。
〔プログラムの具体例〕
- 自分と障害についての理解
- 家族関係、人間関係
- 介助サービスと介助者
- 身だしなみ
- 健康管理
- 家事、家庭管理
- 金銭管理
- 安全管理
- 生活情報の活用
- 交通・移動手段の利用
- 趣味、余暇活動
- 人生設計
(4) ピアカウンセリング
障害者自身がカウンセラーとなって、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力の習得に対する個別的援助・支援
(5) 専門機関の紹介
障害者のニーズに応じ、身体障害者更生相談所、職業安定所、「障害児(者)地域療育等支援事業」及び「精神障害者地域生活支援事業」の実施主体、医療機関、保健所等専門機関の紹介
3. 町の役割
(1) 事業実施主体としての役割をふまえ生活支援事業実施者と緊密な連携を図り事業の円滑な実施に努めること。
(2) 生活支援事業実施者の意見を十分尊重し、公的保健福祉サービスの提供に努めること。
(3) 生活支援事業実施者が他の市町村の障害者等も対象として実施する場合には、関係市町村との積極的な連携を図り、円滑な事業の実施に努めること。
主要事業3 身体障害者デイサービス事業
地域において就労の機会等が得がたい在宅障害者又は介護を行う者を通所させ、創作軽作業、機能訓練、介護方法の指導等を行うことにより生きがいを高め、その自立を促すことを目的に、東部4町での広域的な実施を図る。
1. 実施事業
(基本事業と創作的活動事業は必須)
(1) 基本事業(機能訓練、介護方法の指導、社会適応訓練、更生相談、健康指導等)
(2) 創作的活動(手芸、工芸、絵、書、陶芸、園芸等の技術援助及び作業)
普通型(週に2日以上実施)
(3) 入浴サービス(一般浴、介護浴)
(4) 給食サービス(食事の提供)
(5) 介護サービス(更衣、排せつ等の身体介助)
(6) 送迎サービス(車いす利用者等のリフトバスによる送迎)
2. 利用定員等
事業の一日あたりの利用人員は、おおむね15人程度とする。
主要事業4 精神障害者・心身障害者小規模作業所の充実
作業所の目的は、在宅で生活している心身障害児(者)、精神障害者を通所させ、地域社会の理解と協力を得て、障害に応じた生活指導や訓練を行うと共に、作業収入による工賃収入を確保することによる福祉的就労の場としても機能し、心身障害者の社会参加と生きがいを高めようとするものである。
井川町では、現在作業所の設置はしていないが、今後は隣接町村と協力し検討していく。
主題:
井川町障害者福祉計画 No.1
1頁~37頁
発行者:
井川町役場
発行年月:
平成9年3月
文献に関する問い合わせ先:
井川町役場
徳島県三好郡井川町辻73
電話 (0883)78-2111