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笑顔でこころふれあうふくしのまち山城

山城町障害者福祉計画

No.2

平成10年3月

第2章

基本計画

2-1 計画の基本的な考え方

(1)計画策定の背景

 昭和56年(1981年)の国際障害者年を契機に、障害者に対する「完全参加と平等」の理念を実現させるため、国、県においても障害者に関する長期計画を策定し、さまざまな福祉制度の取り組みを進めてきたところでありますが、急速な高齢化や核家族化の進行に伴い、障害者を取り巻く現代の社会環境はめまぐるしく変化しています。
 この変換期にたった今、国、県、市町村が互いに連携し、それぞれの役割分担を明確にしながら、自立と共生を基本とした活力あふれる社会福祉を目指して、主体的な障害者計画を策定し、施策の推進を図ることが求められています。
 すでに、国では障害者基本法に基づき、平成5年に「障害者対策に関する新長期計画」を、また、県も平成7年に「徳島県障害者施策長期計画」を策定しており、同法においては、市町村に対しても障害者施策の基本的な計画を策定するよう努めなければならないと明記されています。そして、その計画をもとに、障害者にとって身近な存在である市町村が中核となり、地域、関係各機関と連携を図りながら、障害者の意見を反映したきめ細やかな施策の推進に努めていく必要があります。
 高齢化とそれに伴う障害者の増加が顕著な本町においても、その実情を踏まえ、それぞれのニーズに適正に対応し、全員参加による全ての人のための平等な地域づくりを目指した「山城町障害者福祉計画」を策定し、より一層の障害者福祉の向上を図ります。

(2)計画の理念

 国際障害者年(1981年)の「完全参加と平等」は、障害者福祉の目標であり、この目標に向かってすべての人たちが取り組むことが重要であります。すべての人が等しく豊かな生活を営むことができる基本的人権を保障する「日本国憲法」の理念に基づき、すべての障害者が個人の尊厳を重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有することを基本とし、家庭や地域社会の中で人権が尊重され可能な限りその能力を生かし自立して生活するとともに、社会、経済、地域、教育、福祉、文化等の活動に参加して人生における夢と希望と感動を実感できる地域社会を実現することにあります。
 この障害者福祉計画は、「ノーマライゼーション」の理念に基づき、障害のある人が障害のない人と同じように生活し活動できる社会、また、家庭や住みなれた地域において、共に生涯安心して暮らせる地域福祉社会の実現を目標としているものです。

(3)計画期間

 この計画は、平成10年度(1998年)を初年度とし平成14年度(2002年)を目標年度とする5カ年計画とします。

計画の期間:平成10年度~平成14年度(5年間)

(4)計画の性格

 山城町障害者福祉計画は、障害者基本法第7条の2第3項に基づき、目標年度における障害者の保健及び福祉サービスの実施目標等を定め、これらのサービスが総合的、一体的に提供されるための計画です。
 また、この計画は、国や徳島県の障害者計画とも整合性を図り、事業等の実施に際しては「西部障害保健福祉圏」や「山城町老人保健福祉計画」などの事業との整合性をはかりながら、ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者が地域で、障害のない人とともに協力し、心豊かな生活がおくれる社会の実現をめざすため、各分野にわたり関連の深い諸施策を課題別に体系化して位置づけたものです。

(5)基本目標と重点課題

 山城町障害者福祉計画は、リハビリテーションとノーマライゼーションの理念を踏まえ、次の4つの基本目標を達成するため7つの重点課題を設定し、この重点課題ごとに施策を展開します。

目標1:心のバリア(障壁)を取り除く
障害や障害者に対する無理解や偏見・差別を、啓発・広報の展開や、ボランティア活動等を通じた障害者との交流等により解消し、障害者と障害のない人のお互いの理解を深め、心の障壁を取り除くことが重要であります。
<重点課題>
1.啓発・広報活動の推進
目標2:社会参加と自立を促進する
障害者が社会の一員として、その適性と能力に応じた職業に就き、社会経済活動に参加することができるような支援体勢を整備する必要があります。
<重点課題>
2.教育の充実
3.雇用・就業の促進
目標3:地域社会の中で共に暮らす
ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者が社会の一員として、住み慣れた地域社会で尊重され、安心して共に生活できる地域づくりを進める必要があります。
<重点課題>
4.生活環境の整備
5.保健・医療サービスの充実
6.福祉サービスの充実
目標4:暮らしの質を高める
障害者がスポーツ・レクリエーション及び文化活動等の社会参加を通じて、生活の質の向上をはかり、生きがいのある豊かな生活が送れるよう条件整備を進める必要があります。
<重点課題>
7.スポーツ・文化レクリエーション活動の充実

2-2 計画の内容

重点課題1 啓発・広報活動の推進

《現状と課題》

 我が国の障害保健福祉施策は、第二次世界大戦後に社会福祉の充実が進められる中で発展してきました。当初は、主として重度障害者に対する入所施設の整備等に力点を置いていたが、近年では、障害者の地域社会での自主的な生活を目指した施策が一層重視されるようになり、こうした背景には、ノーマライゼーションの理念が徐々に浸透してきたことが深く関わっていますが、障害者に対する偏見や差別はまだまだ根強いことも事実です。
 本町の場合は、これらの障害者に対する偏見や差別等の解消を図るための施策や啓発活動が充分にできていない状態であります。
 障害者問題は、障害者が障害をもっているために、社会とのかかわりにおいて極めて不利な状況におかれており、その解決を社会全体の責務としてとらえる必要があります。行政、地域社会、企業、個人などすべての町民はこの認識に基づいて、障害者問題の解決を自らの課題として受けとめ、障害者との連帯のなかで「共に生きる社会」の形成を目指さなければなりません。
 障害者福祉を推進させるためには、このような基本的な考えを幼児期から町民一人ひとりに根づかせることが極めて重要であり、また、障害者の自助努力とその家族の協力による社会参加を促進するため、総合的な啓発活動をすすめる必要があります。

《施策の方向》
(1)啓発活動の推進
  • 障害者問題に対する町民の正しい理解と認識を深めるため、町広報・パンフレット・地域で展開する健康教育・定期的な講演会の開催を通じて、町民の障害者に対する理解・認識を深める啓発を進め、障害者に対する偏見や無理解の解消につとめます。また、障害者社会参加促進事業の広域的な導入により、ボランティアの育成を進め、点字広報や声の広報などの発行に向け努めます。
  • 障害に対する正しい理解と認識を深めるため「障害者の日」(12月9日)の周知をはかるとともに、身近な交流イベント等の開催に向けて努めます。
  • 社会的偏見が根強い精神障害者に関しては、講演会・研修会の開催やパンフレット等によって、社会復帰、社会参加に対する町民の理解を深めます。
  • 障害者や障害者の家族に対して、社会参加を促進するための啓発を行い、障害者に対する啓発広報については、視覚障害・聴覚障害・知的障害などそれぞれの障害に配慮した方法を工夫します。
(2)交流の促進
  • 相互に理解・認識を深めるため、様々な機会と場を活用して、障害者と障害のない人の交流をすすめます。
  • 地域コミュニティーの構成員として、障害者の地域行事への参加を促進し、地域活動を通して、障害者と地域住民の相互理解を深めるよう努めます。
(3)福祉教育の推進
  • 人権尊重の視点にたった障害者に対する正しい理解と認識を深めるため、福祉教育を積極的に推進します。
  • 福祉教育を推進するため、保健・医療・福祉・教育等の行政機関や社会福祉協議会との情報交換を密にし、連携を強化します。また、町職員の障害者に対する理解を深めるため、研修機会を拡充します。
  • 社会福祉施設での体験学習や、障害児との交流教育の促進を図ります。
  • 児童、生徒の社会福祉への理解と関心を深めるため、ボランティア活動協力校を指定し、体験学習を通じて福祉意識の向上を図ります。

重点課題2 教育の充実

《現状と課題》

 心身に障害のある児童、生徒に適切な学校教育を保障するため、教育環境の整備とともに、児童、生徒の障害の種別、程度等の実態に応じた学校への就学指導を行うため、町教育委員会では心身障害児就学指導委員会を設置し指導にあたっていますが、今後、町の就学指導委員会をより充実したものにするため、あらゆる機関と連携し心身障害児の早期発見とその障害児にとって最も適した就学指導ができるよう体制を作ることが必要です。
 障害児学級の設置にあたっては、情緒障害は3名以上、それ以外にあっては6名以上の入級者が必要とされています。
 小学校では山城小学校において昭和46年度から障害児学級が設置され、教育指導が行われてきましたが、平成9年度には対象児がいなくなったことから廃止されています。
 中学校では小学校からの一貫した障害児教育が以前から望まれていましたが、設置基準の人数に制約があり、障害児学級の認定がされない状況でした。平成9年度には小学校、保護者及び山城町手をつなぐ育成会からの強い要望により、県教育委員会に要請を行った結果、認可学級とはならないものの特例として山城中学校に障害児学級が設置されました。
 町内には幼稚園6園(平成9年度開園4園)、小学校9校、中学校2校と学校数が多いため障害児も学校単位では少数であり、障害児学級が開設されない学校現場では指導面で苦慮しています。将来的には認定基準の数値にこだわらず障害の内容、程度を重視した障害児学級が開設され、障害を持つ児童、生徒に対してその適性に応じた教育機会を確保しなければなりません。

《施策の方向》
(1)幼児教育の充実
  • 指導担当教職員の育成につとめ、人権教育の推進を図ります。
  • 保育所及び幼稚園への障害児の受け入れに努めます。
  • 障害児の保護者に就学に関する情報を提供し、保護者が適切に判断できるよう相談、援助体制を充実します。
  • 施設、設備、教材等の充実を図ります。
(2)学校教育の充実
  • 障害児が安心して楽しい学校生活が送れるよう、スロープ、手すり等の設置、トイレの改善など学校施設・設備の充実に努めます。
  • 適切な教育指導が行えるよう、障害児学級の設置に努めます。
  • 幼・小・中学校の連携を密にし、教育指導内容の向上に努めます。
  • 障害児担当教職員をはじめ全ての教職員の資質向上を図るため、研修の充実に努めます。
  • 障害児が将来自立した生活を送ることができるよう、生活技術の基礎、基本が習得できる教育をすすめます。
  • 障害児や保護者の意向を尊重し、適切な就学指導に努めます。
  • 保護者の様々な教育相談に対応できるよう、教育相談体制を構築します。
  • 教育現場においては、障害児が楽しい学校生活が送れるように交流、学習を深め、支え合う集団づくりに努めます。
(3)社会教育の充実
  • 生涯学習を基本に据え、人権教育の啓発・広報活動を推進します。
  • 各種会合やイベントに参加できるよう、公民館等の施設の改善・整備に努めます。
  • 特殊な技術が習得できるよう研修・講習会を行います。

重点課題3 雇用・就業の促進

3-1.職業能力の開発

《現状と課題》

 障害者の就業や職業的自立を促進するためには、就業のための職業能力の開発が重要です。現在、徳島障害者職業センターや徳島県職業能力開発校において、職業訓練を実施しています。
 また、一般事業所に委託し、実地訓練を行う職場適応訓練があります。
 その他には、精神障害者を対象に社会復帰促進のため、一定期間就労訓練する通院患者リハビリテーション事業を、池田保健所が実施しています。
 今後、障害者の能力や障害の状況に応じた幅広い職業訓練の機会が確保されるよう、能力開発機関などの情報提供に努める必要があります。

《施策の方向》
  • 徳島障害者職業センターをはじめ、関係機関と連携をし、情報提供に努めます。
  • 阿波池田公共職業安定所と連携し、職場適応訓練等への参加を進め、職場への適応能力の向上を図ります。
  • 池田保健所と連携して、通院患者リハビリテーション事業の推進に努めます。

3-2.雇用の促進と安定

《現状と課題》

 障害者の雇用・就業を促進するために、事業主や共に働く人々の理解は不可欠といえます。
 阿波池田公共職業安定所管内には、徳島県障害者雇用促進協会会員(障害者雇用協力事業所)が15カ所ありますが、町内には設置されておらず、障害者の求職状況からみてまだまだ十分とはいえません。
 平成8年6月1日現在、徳島県の実雇用率は1.76%で、法定雇用率の1.6%を0.16ポイント上回っています。しかし、法定雇用率未達成企業の割合は4割を超えている状況です。また、公共団体の法定雇用率は、2.0%ですが、山城町においては、平成10年1月現在、雇用率は2.15%で、法定雇用率を上まわっています。
 障害者アンケートによると、内職等在宅での就労希望が多く、家庭を離れて就労することが困難な障害者に対しても家庭で働く機会を確保することが必要です。
 今後は、職業安定機関、福祉機関、教育機関等との連携を密にし、職業相談、雇用情報の提供、事業者への助成金制度や税制上の優遇措置について周知をし、障害者の適性と能力に応じた多様な働く場を確保するとともに、働きやすい職場環境づくりを進めることが必要です。また、町が率先して障害者の雇用を進める必要があります。

《施策の方向》
  • 障害者の雇用に関して、事業所の理解を深めるための啓発を充実します。
  • 町は、民間企業に率先して障害者雇用の促進に努めます。
  • 阿波池田公共職業安定所と連携を密にし、法定雇用率未達成企業に対し、雇用に関する指導援助を行い、未達成企業の解消に努めます。
  • 特定求職者雇用開発助成制度をはじめとする各種助成金制度の情報の提供に努めます。
  • 重度障害者や知的障害者の雇用機会の拡大を図ります。
  • 家庭を離れて就業することが困難な障害者のために在宅での就労を支援します。
  • 就職を希望する障害者に対し、阿波池田公共職業安定所と連携を図り、相談事業の充実や情報の提供に努めます。

3-3.福祉的就労対策の充実

《現状と課題》

 一般企業で雇用されることが困難な障害者にとって、更生し、職業につくために必要な技術を修得するための場が必要です。
 現在、「仲間が集まれる場」、「少しでも自分が働いて、稼ぐ喜びを味わえる場」としての【共同作業所】の設立が強く望まれ、三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)等により、平成2年には町内に「すずらん共同作業所」が、平成3年には三好町に「末広共同作業所」が開設されています。
 「すずらん共同作業所」には、8人が登録し、軽作業を行っていますが、授産施設としての機能の充実は今後の課題となっています。
 一方、身体障害者や知的障害者のための授産施設は広域的にも設置されていない状況ですが、現在箸蔵山荘では、週3回、一日3時間ということで、本人の自立は勿論のこと、就労するという意欲をもたせる為に、1名の方が雇用されています。4月からは様子をみながら時間的な延長も図られる予定です。
 今後、送迎手段等も考慮しながら、自宅から通うことのできる地域において、福祉的就労の場を確保していくことが必要です。

《施策の方向》
  • 精神障害者共同作業所「すずらん共同作業所」の施設整備を推進し、一般事業所へ円滑な就業がはかれるよう、職業訓練や生活指導を充実します。
  • 授産事業の安定的な確保をはかるため、製品の販路の拡大に努めます。
  • 心身障害者小規模通所作業所の設置について、近隣町村や障害者団体と協議し、町単独設置、町村共同設置の両面で検討します。

重点課題4 生活環境の整備

4-1.まちづくりの総合的推進

《現状と課題》

 障害者が障害のない人と同じように社会の重要な一員として尊重され、地域社会の中で「ともに生きる」というノーマライゼーション理念のもと、障害者が心豊かに安心して暮らせるまちづくりへの取り組みが重要となります。また、障害の重度化や高齢化が進む中で、在宅、地域福祉サービスの提供や一人ひとりの障害の特性に応じた施設福祉の充実が必要であります。
 障害者の社会的自立や幅広い社会参加を促進するため、障害者の主体性や自立性と生活の質の向上に向けた総合的な施策の一層の充実を図る必要があります。さらに、「障害者にやさしいまちづくり」は、障害者の多様な活動の場を拡げ、主体的で自由な社会参加や、本格的な高齢社会の到来への対応へといった観点から、安全で快適な生活環境の整備に向けたまちづくりを積極的に推進する必要があります。

《施策の方向》
  • 「やさしいまちづくり」推進を図るため、行政、民間、福祉団体、ボランティア等で推進組織をつくります。また、プロジェクトの組織化とその推進を検討します。
  • 身体障害者会等との連携を密にした「やさしいまちづくり」推進キャンペーンの展開により住民への啓発と意識の高揚を図ります。
  • 「山城町老人保健福祉計画」や「山城町地域福祉推進計画」との整合性を図り障害者福祉の具体的事業の検討します。

4-2.交通・移動手段の整備

《現状と課題》

 国道、県道及び町道等には一部歩道が整備され、歩行者への安全対策がなされていますが、多くは路側帯を通行しているのが現状です。また、段差が多くあり障害者の通行には支障があります。
 鉄道は、JRが運行しており、駅には点字時刻表や点字ブロックが設置されています。しかし、車両に障害者用トイレはなく、駅ホームの移動のための跨線橋はエレベーターなどがないため障害者の単独での移動には支障があります。
 民間バスは運行していますが、過疎化による乗客の減少で経営が厳しくなっているため、リフト付き車両や低昇降ステップバスなどは運行されていません。バス停留所の多くは道路上にあり、ベンチや点字時刻表、音声によるバス案内などは整備されていません。

《施策の方向》
  • 国道、県道、町道などの道路改良時に、関係機関と協議し、歩道の整備を図ります。
  • 鉄道では、運行会社に対して、車両や駅舎への障害者用トイレの設置などを要望していきます。
  • バスについては、障害者に配慮した車両の整備及び便数の確保を運行会社へ要望するとともに、道路改良時には停留所の改善も要望していきます。
  • バス料金等の障害者に対する割引制度等各種助成制度の周知を図ります。
  • 障害者に配慮した思いやりのある運転及び交通マナーの向上に努めます。

4-3.住宅・生活環境の整備

《現状と課題》

 本町のように殆どの住居は急傾斜地に点在し、しかも農家住宅が多くいたるところに段差があり、改修するにも出入り口だけに止まらず、便所、浴槽、台所及び各室間等の段差、さらには、戸外へ出ても急峻な地形は障害度によっては生活が非常に困難な現状にあります。本町が実施したアンケート調査によると、障害者の80%が持家住まいで、うち約50%の者が改造したい意向を持っていますが、資金不足等から60%の者は改造をあきらめており、障害者の家庭での日常生活の自立を助け、介助者の負担を軽減するためにも、障害者の生活に適応できるよう住宅を改造するための支援が必要です。
 一方、既存の町営住宅は、すべての建物の出入り口が階段になっていることから車椅子等の使用はできません。改修についても建物の構造上、施工面での技術的対応が図りにくいうえ、新築時以上に多額の経費を要することから改善に至らないのが現状です。アンケート調査によると、老後は何らかの施設で生活したいと考えている者が20%以上あり、町の障害者施策については、「日常的な介護などの福祉サービスの充実」「リハビリテーションの充実」が10%を越えています。また、山城町で暮らしにくい点では「病院などの医療機関が少ない」「汽車、バスの利用がしにくい」「近くに働く場所がない」「道路や公園にベンチや椅子など休める場所がない」「公共施設や商店街に車椅子で使えるトイレがない」等が掲げられていることからも、総合的な障害者向けの住い、生活環境を考慮した施設の整備が望まれています。

《施策の方向》
  • 障害者の住居及び生活環境を調査する組織を確立し、具体的対策に向けた点検調査活動の展開を検討します。
  • 住宅改修等の支援として、融資制度等の拡充、活用、指導及び相談の場を検討します。
  • 山城町の「福祉の里」に公園、リハビリ、相談サービス及び医療サービス等障害者施設整備の検討をします。
  • 障害者向け町営住宅整備の検討をします。

4-4.防火・防災対策の推進

《現状と課題》

 山城町の地形は山地が大部分を占め、その間を吉野川とその支流である藤川谷川、白川谷川、銅山川が流れています。このため山地は侵食され、急傾斜地が非常に多くなっています。地質は三波川地層でできており、町内には多数の断層が確認されています。これら地形、地層は風水害や地震災害の被害を大きくする要因となります。
 また、人家の大部分が急傾斜地に点在するのが山城町の特徴でもあります。このことは、災害時の早期救助、避難誘導にとって大きな障害となります。
 障害者のための防火、防災対策としては連絡体制の確保、災害時の避難誘導体制の整備がとくに重要です。

《施策の方向》
  • 山城町地域防災計画の災害弱者安全確保計画に基づき各種施策を進めます。
  • 災害時の避難誘導のため、障害者に関する情報を常に把握し、県福祉事務所などの関係機関との連携を図ります。
  • 広報紙、パンフレットなどにより、障害者への災害、防災の知識の普及啓発に努めます。
  • 自主防災組織の結成を促進し、災害時の障害者の避難誘導などの支援体制づくりを指導していきます。

4-5.情報提供の充実

《現状と課題》

 今日の情報化社会の中にあって視聴覚障害者の社会的なハンディキャップは増大しています。障害者の自立と社会参加を促進するためには、特に、視聴覚障害者や知的障害者に配慮した情報提供やコミュニケーションを確保していく必要があります。そのため、最近急速に普及している携帯電話等については、中継局の増設が図られ通信可能エリアが拡大されましたが、まだ一部の地域では利用ができないため、今後全町的に利用できるよう整備が必要です。
 また、災害時の対応は不十分で、昭和60年度に消防防災行政無線を設置し、災害その他行政面にも利用されていますが移動系施設であるため、各戸に直接伝達する機能を有していません。そのため行政、緊急事項は町広報紙、広報車、電話及び回覧板に頼っているのが現状です。
 今後、新たな通信連絡施設の整備、点字図書、録音図書、字幕(手話入り)ビデオ等障害者のニーズに応じた多様な情報提供に努める必要があります。

《施策の方向》
  • 障害者福祉サービスに関する情報提供の体制を図ります。また、点字図書、録音図書、字幕(手話入り)ビデオカセットテープの貸出制度と備品化の検討をします。
  • 点訳奉仕員、朗読奉仕員、手話奉仕員養成の講習研修及び派遣制度の確立を検討します。
  • 各家庭にファクシミリー等双方向通信施設の設置を検討し、障害者等に対しは周辺のボランティアの協力を得て行政、福祉団体及び地域住民とのコミュニケーションがさらに図られるよう情報提供設備の整備に努めます。
  • 既存の福祉電話の拡充、テレビ電話の導入と有効利用の検討をします。

重点課題5 保健・医療サービスの充実

5-1.障害の早期発見と早期療育

《現状と課題》

 本町の障害者の状況を見てみると、先天的及び後天的障害により、身体障害者手帳を交付された者377名、療育手帳を交付された者63名となっています。
 先天的な障害については、ライフサイクルの原点である母子保健活動の充実を図っていく必要があり、妊婦一般健康診査や各期の健診(乳児・1才6カ月児・2才児・3才児・脱臼)、健康相談、訪問指導を実施し、経過観察の必要なものに対しては、県の事業となる乳幼児発達相談指導事業や医療、療育につなげています。
 しかし、健診も1才頃までは積極的な受診がありますが、節目の2才児、3才児頃になると、母親の就労等により、受診率の低下がみられます。未受診者のフォローアップ体制を確立するとともに、障害の早期発見・早期療育のために大切な健診に対する啓蒙が必要です。
 また、障害が発見された場合は、関係機関との相互の連携のもとで、必要な医療提供、療育相談、指導訓練など障害の発見段階から一貫した対応をしていかなければなりません。しかし、県西部では専門機関に恵まれておらず、乳幼児発達相談指導事業へも適切な時期につなげることが出来ず、他県での医療・療育につなげることが多くなっている現状にあります。
 成人期以降の障害の発生は後天的なもので、疾病や事故、労働災害などであり、特に、脳卒中発作後の後遺症や骨粗鬆症による骨折等の障害が多く、その原因となる疾病の予防が不可欠です。そのためには、老人保健事業の各種健診、健康教育、健康相談をより積極的に行い、疾病を早期発見し、早期治療につなげる必要があります。

《施策の方向》
  • 健診・相談・訪問指導等の充実・強化をはかることにより、出産・育児に対する不安をもつ妊婦や、母親の早期把握に努め、支援体制を整備します。
  • 関係機関との連携、協力体制を密にします。
  • 老人保健事業を推進し、障害の発生の原因となる疾病を早期発見し・早期治療を図ります。
《主要事業》
事業名 事業内容 事業主体
母子訪問指導事業 妊産婦、新生児、未熟児について必要がある場合に保健婦等による家庭訪問を行い、保健指導等を実施
(未熟児は県)
先天性代謝異常等検査事業 ●新生児の血液検査によるマススクリーニングにより、フェノールケトン尿症等の先天性代謝異常を早期に発見し、心身障害等の発生を予防
●6~7カ月児の尿検査を行い、神経芽細胞腫の早期発見、早期治療を促進

(窓口として血液検査は医療機関)
(尿検査は町)
妊婦乳児健康診査事業 妊婦乳児の健康診査を医療機関に委託して行うことにより、疾病の早期発見早期治療を促進
●一般診査 ●HBS検査 ●超音波検査
●1歳6カ月児健康審査事業
●3歳児健康診査事業
身体発育及び精神発達の遅滞の障害を早期発見し、早期予防を図るため、1歳6カ月児及び3歳児の健康診査を実施
●1歳6カ月児精神発達精密検診及び事後指導
●3歳児精神発達精密検診及び事後指導
【精密検診】健康診査の結果、言葉や対人関係などの発達面の遅れ、神経性習癖、行動上の問題などの疑われるケースを個別に面接・判定し、発達障害情緒障害の早期発見と指導を実施
【事後指導】精密検診の結果、発達上の問題で継続指導を要するケースを、判定員、保健婦、家庭相談員によるチームが一貫した指導を実施

(保健所)
在宅重症心身障害児(者)訪問指導事業 整形外科医、保健所保健婦、福祉事務所家庭相談員、心理判定員による在宅重症心身障害児(者)への療育指導を実施
在宅重度身体障害者訪問審査事業 医師、看護婦、身体障害者福祉士による訪問診査で、手帳交付、補装具支給及び療育指導を実施

5-2.障害の予防

《現状と課題》

 先天的な障害を防止するためには、障害の実態と原因の把握に努めるとともに、母子保健対策として、妊娠届、母子手帳の交付を出発点として、妊産婦、新生児・乳幼児の訪問指導や健診、親子ふれあい教室、育児サークルの育成、妊婦健康診査、妊婦超音波検査、妊婦HBS検査の充実等の、母子保健活動の一層の充実に努める必要があります。
 また、核家族化や地域の人間関係の希薄化、出産・育児が身近かでなくなり、育児情報の氾濫等により、育児不安を持つ親も増えているため、早期の新生児期訪問指導を行い、保健所や児童相談所、育児サークルなどを周知し、相談や参加しやすい場面作りをしていかなければなりません。その一貫として、中学2年生を対象とした思春期ふれあい体験学習を実施し、赤ちゃんとのふれあいを通して命の尊さ、性の尊重を学んでもらうとともに、母性および父性の育成をはかることを目的としています。この事業をより充実させるために教育委員会、中学校との連携を密にしていく必要があります。
 感染症からひきおこされる小児麻痺等の疾病の予防として、生後3カ月から適齢期に、各種予防接種を実施しています。極めてまれに生ずる健康被害のため、予防接種に対する賛否が問われていますが、その対策として平成6年10月に予防接種法が改正され、集団接種から日常の健康状態を見ながら受けられる個別接種への移行がなされつつあります。
 後天的障害の発生は、脳卒中、筋骨格系及び結合組織の疾患、骨折等に原因することが多く、その原因となる疾病の予防が不可欠です。
 発生の原因である成人病は、日常生活に起因することが多く、健康診査、健康教育、健康相談をいっそう充実し、事後指導により生活習慣の改善を図り、障害の発生を未然に防ぐ知識を普及していく必要があります。

《施策の方向》
  • 妊娠、出産及び育児に対する知識の普及啓発を行います。
  • 出産や育児に対する不安をもつ妊婦や母親を早期に把握し、訪問・相談の充実を図ります。
  • 高齢出産や若年出産など、ハイリスクの妊婦に対して、医療機関との連携を密にします。
  • 母子保健対策をより充実するため、関係機関の連携協力体制を作っていきます。(学校・保健所・福祉事務所・医療機関)
  • 老人保健法に基づく健康教育、健康相談、健康診査等の充実を図り、後天的障害の原因となる疾病の予防対策を充実します。
  • 機能訓練や訪問指導の充実を図り、寝たきりを予防し、在宅療育を充実します。
《主要事業》
事業名 事業内容 実施主体
母子健康診査事業 安全な分娩と健康な子供の出生を促進するとともに、疾病等の発生を予防するため、妊婦・乳幼児に対して各種健康診査及び相談を実施
●妊婦健康診査
●乳児健康診査
●1歳6カ月児健康診査
●3歳児健康診査
市町村母子保健事業 母子保健事業を地域住民に密着したきめ細かい事業として推進するため、市町村に必要な経費を助成
●母子保健相談指導
●乳幼児の保健・栄養・育児などの指導
●育児学級等による正しい知識の普及
老人保健法に基づく健康教育・健康相談 成人病の予防、健康増進等健康に関する正しい知識の普及や、心身の健康に関する個別の助言・指導等を実施
老人保健法に基づく健康診査 成人病の早期発見、早期治療を目的として基本健康診査及び各種がん検診を行い、健康診査結果に基づく事後指導を実施
老人保健法に基づく機能訓練 疾病、負傷等により心身の機能が低下している者の日常生活動作能力の維持向上を図るため、機能訓練を実施
老人保健法に基づく訪問指導 家庭において寝たきりの状態等にある者等に対し、看護方法、療養方法などの助言・指導を行う訪問指導を実施

5-3.医療と機能回復訓練

《現状と課題》

 本町の医療機関は、医院4、出張診療所2です。郡内の医療の中核となる県立三好病院が池田町にあります。大病院志向のある現在ですが、身近で受診しやすく家庭環境をはじめ病気以外にも理解があり、地域のさまざまな機関と連携でき、病気や病気に伴う諸問題について相談でき信頼できる医療体制が理想であり、「かかりつけ医」が位置づけられると適切な段階で医療処置ができると思われ、「かかりつけ医」をすすめていく必要があります。
 乳児医療費給付が3歳未満児まで拡大し、未熟児に対する養育医療、障害児に対する育成医療、小児慢性特定疾患医療給付、妊娠中毒症等の療育援助など医療対策が市町村及び県において行われています。
 難病のうち原因が不明であって治療方法の確立していない特定疾患については、「特定疾患治療研究事業」「小児慢性特定疾患治療研究事業」の普及をはかり、相談窓口を明確にし、県や医療機関との連携を密にし、患者本人及び家族の抱える問題を、解消していかなければなりません。
 歯科保健サービスに恵まれていない障害者に対する歯科医療は特別の設備や専門の技術を必要とするため、本人も家族も歯科治療はできないものとあきらめ感がありました。その結果、食物摂取状況は、雑炊のような軟食がほとんどでした。こういった状況をふまえ、在宅要介護者の口腔衛生の改善を図り、より快適な生活がおくれるよう支援する必要があり、「在宅要介護者歯科保健推進事業」について普及し、推進していく必要があります。歯の治療を受けたくても受けられなかったという人がなくなるよう考慮し、今後の歯科診療体制の確保及び訪問歯科診療や、訪問口腔衛生指導の充実徹底を図る必要があります。
 次に、アンケート調査の結果、251人中1年間の通院・入院の有無から229人(85.7%)が何らかの疾病を持っています。年齢構成としては、65才以上の人が61.8%を占め、介護者の高齢化も考え、障害者及び介護者も含めたフォロー体制が必要になってきています。サービスの希望は、機能訓練が19.1%で需要がたくさんありました。その機能訓練は、保健センターで平成9年10月より、40歳以上の心身の機能が低下している人で、医療終了後も継続して訓練の必要な人たちに理学療法、作業療法等週1回実施しています。デイサービスセンターでも週1回デイサービス利用者を対象に委託し行っています。その中で、訓練室の開放を望む声もあり、そのためには、OT,PTの確保に努めるとともに、リハビリ推進のための専門スタッフの確保・研修等、機能訓練の充実を図る必要があり、今後の検討課題であります。
 以上のように、障害を持った人にとっての医療・リハビリテーションの充実は、病気の治療だけでなく、障害の軽減を図り、社会自立を促進するためには不可欠で、障害に伴う二次障害の発生予防に対応するためにも、健康管理や医療の充実を図るため、施策を総合的に展開していかなければなりません。

《施策の方向》
(1)医療
  • 医療機関、医師会、福祉関係者等関係機関との連携を強化し、医療体制の整備に努めます。
  • 難病の特定疾患については、「特定疾患治療研究事業」「小児慢性特定疾患治療研究事業」の普及をはかり、手続き窓口を明確にします。
  • 障害者医療費負担を軽減する事業について、該当者に周知を徹底します。(未熟児養育医療・育成医療・更生医療など)
  • 歯科保健サービスに恵まれない障害者等に対して、在宅要介護者歯科保健推進事業をすすめるため、歯科医師・歯科衛生士との連携を密にし、町内だけでなく郡内のどこの医院でも治療が可能になるような体制作りに努めます。
(2)リハビリテーション
  • 山城町保健センターを中心に、関係機関と連携して総合的なリハビリテーションを提供できる体制を整備します。
  • 理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門技術者の確保に努めます。
  • 在宅でできるリハビリテーションの知識の普及に努めます。
  • 送迎体制を充実させ、対象者の拡大を図ります。
《主要事業》
事業名 事業内容 実施主体
未熟児養育医療給付事業 身体の発育が未熟なまま出生した乳児の健全な育成に必要な医療を給付
育成医療給付事業 身体に障害のある児童に対し、生活の能力を得るために必要な医療の給付を実施
更生医療給付事業 障害を除去または軽減し、生活能力の向上や社会活動を容易にするために必要な医療を指定医療機関で実施
【例】目、耳、肢体、心臓等の手術や人工血液透析療法、腎移植術など
心身障害者(児)歯科診療事業 民間歯科診療所で対応が困難な心身障害者(児)の歯科診療業務を(社)徳島県歯科医師会に委託して実施
心身障害者(児)施設等巡回歯科検診事業 心身障害者(児)施設の入所者に対する歯科診療業務を(社)徳島県歯科医師会に委託して実施
在宅要介護者歯科保健推進事業 在宅要介護者(児)に対して訪問診査による歯科保健サービスを行い、在宅要介護者の口腔衛生の改善を図る
小児慢性特定疾患治療研究事業 小児慢性疾患のうち、特定疾患にり患している患者の医療費を支給
対象疾病 10
年齢制限 18歳未満(一部の疾患については20歳未満)
特定疾患治療研究事業 原因が不明で、治療方法が確立していない難病のうち、国が治療方法の研究及び公費負担の対象とした疾患について、医療の確立・普及を図るとともに医療保険の自己負担分を公費負担することにより、患者家族の医療費負担を軽減
臓器移植推進事業 角膜、腎臓、骨髓移植に対する県民への普及・啓発及びネットワークづくりの推進

5-4.精神保健対策の充実

《現状と課題》

 精神保健対策等は、池田保健所において「地域精神保健対策」「社会復帰対策」「老人精神保健対策」「精神医療対策」等を中心に施策を展開しています。我が国では歴史的に精神疾患の治療が精神病院において、地域から隔絶された閉鎖的な形で行われてきたことから、精神疾患に対する正しい理解が社会的に形成されなかった面があり、これらに関する知識が不十分で、不正確なこともあり、社会の中に精神障害に対する「心の障壁(バリア)」が形成されてしまっているとの指摘もあります。今後、ノーマライゼーションの考え方を普及していくためには、こうした精神障害に対する社会の誤解や偏見を地道に解消していく努力が重要であり、これらを解消することにより、社会復帰や自立と社会参加を推進する大きな原動力となるものであります。そのためには、正しい理解の啓発や、教育面において障害者に対する偏見をなくす教育の充実を図ることも重要であります。
 精神疾患は、特別な病気でなく、早期発見や早期の適切な対処により、治療や症状の管理が可能な病気であるともいわれており、成因解明と新しい診断・治療・予防技術の開発が重要であります。また、現在、入院患者約32万人のうち数万人は、社会復帰が可能ないわゆる社会的入院であると考えられており、今後、精神病院から、社会福祉施設、さらには地域社会へという流れを一層進め、社会的入院を是正するためには、社会復帰施設の整備のほか、社会復帰の支援を行う人材の養成確保が重要となります。
 本町においては、平成2年10月に、小規模作業所「すずらん作業所」が設置されました。共同作業所は、地域で自立した生活を送るために、通所により、仲間づくりの輪を広げたり、生活リズムを整えることや簡単な作業を行う場として機能しており、保健所・町等の連携や民生委員などの協力を得ています。また、平成6年には県下2番目に開所した、グループホーム池田(定員6名、男性)が医療機関の協力のもとに、地域での生活を実践しています。
 このほかに、社会復帰を促進するために、社会復帰相談指導事業(デイケア)や通院患者リハビリテーション事業、保健婦による訪問相談、精神保健相談、医療機関による精神科デイケア等が実施されています。
 今後は、入院医療から社会復帰、さらには「地域ケア」へと「障害者計画」に掲げられた整備目標を着実に実行していく必要があります。

《施策の方向》
(1)社会復帰・福祉施策の充実
  • グループホームの設置については、家族会、保健所、近隣町村等との連携を図り、広域的設置に向け努めます。
  • すずらん共同作業所の運営を支援するとともに、施設整備の推進に努めます。
  • 共同作業所へどの地域の人も通勤できるように、交通手段の支援に努めます。
  • 広域圏の中で、日常生活の相談が可能な施設(地域生活支援センター)等の確保に努めます。
  • 保健所による社会復帰相談事業(デイケア)や精神保健相談等の周知に努めます。
  • 保健所や関係機関と連携を図り、地域住民を対象とした講習会を開催するなど精神障害に対する知識の普及啓発に努めます。
  • 家族会活動を支援するとともに、地域住民とのふれあい交流の場を広げ、精神障害者に対する地域の理解と協力の促進を図ります。
(2)医療等助成制度の充実
  • 医療費の助成や、各種福祉サービス(交通機関の運賃割引、公的施設の利用料免除、障害者手当の支給等)について、関係諸団体と連携し国・県へ要望していきます。

重点課題6 福祉サービスの充実

6-1.在宅福祉サービスの充実

《現状と課題》

 障害者が地域でいきいきと生活をするためには、行政を中心とする生活支援サービス等の充実整備とともに、日々ともに生活する地域住民の福祉への理解と参加が不可欠です。
 また、障害者に対する諸制度・福祉サービスなど障害者施策は多岐にわたり、サービスの実施や相談も多様な機関がかかわっています。これらの相談窓口としては、身体障害者相談員(2名)・精神薄弱者相談員(1名)、民生・児童委員等を委嘱するとともに、役場福祉担当窓口・教育委員会・保健婦・在宅介護支援センター、社会福祉協議会等があります。なお、知的障害者福祉や精神障害者の専門的な相談に関しては県事務となっていますが、これらを含め地域における相談機能の充実が必要です。
 本町の在宅福祉サービスは、ホームヘルパー(11名)の派遣、デイサービス、ショートステイ、日常生活用具の給付・貸与をはじめとして様々なメニューがありますが、ホームヘルプサービスやデイサービスなどは主として老人の在宅福祉事業として実施しており、その利用者は高齢者がほとんどを占めています。一方、障害者の在宅福祉サービスについては対策が遅れており、今後、重度障害者の在宅化の傾向も強まることから、介護型を中心としたホームヘルプサービスや、デイサービス事業の実施にむけ取り組むことが必要です。特に、身体障害者のデイサービス事業については、広域的にサービス需要や通所区域等を勘案しながら、県が指定した障害保健福祉圏域にそって事業の実施にむけ取り組む必要があります。
 また、福祉施設(箸蔵山荘等)の専門的な機能を活かし、市町村障害者生活支援事業の導入により、在宅福祉サービスの利用援助や社会生活訓練プログラムなどを実施する生活支援センターの設置を進めていくことが求められています。

《施策の方向》

 障害者が地域社会で自立し、積極的に社会へ参加するなど、生きがいのある生活が送れるよう、障害者の実態や家族の状況をふまえ、きめ細かい福祉サービスの充実や、日常生活用具等福祉機器の普及に努め、障害者の日常生活の利便を図ります。

  • 在宅の介護が必要な障害者・難病患者・家族に対し、ホームヘルパーの派遣に努めます。
  • 在宅の重度障害者の通所による入浴・給食サービス等介護を専門的に実施する身体障害者デイサービス事業を近隣町村と連携を取り、実施します。
  • 障害者を介護している家族の介護の軽減を図るため、短期入所事業(ショートステイ)の周知を図ります。また、福祉施設等の機能を活かし、短時間の預かり等を実施するレスバイトサービスなどについて研究していきます。
  • 視覚障害者や脳性マヒ等全身性障害者などの外出支援を図るため、ガイドヘルパーの派遣について検討します。また、ホームヘルパーやボランティアへのガイドヘルプ研修を実施します。
  • 広域的な市町村障害者生活支援事業の導入により、在宅の障害者に対し在宅福祉サービスの利用援助、社会資源の活用や社会生活力を高めるための支援、ピアカウンセリング、介護相談及び情報の提供等を総合的に行うことにより、障害者やその家族の地域における生活を支援し、在宅の障害者の自立と社会参加の促進を図ります。
  • 広域的な市町村障害者社会参加促進事業等の導入により、リフト付乗用車の運行等を研究していきます。
  • 身体上の障害を補い、日常生活をしやすくするために必要な補装具の交付・修理の充実に努めるよう関係機関に要望します。また、日常生活がより円滑に行われるように、日常生活用具の給付・貸与を拡充するとともに制度の周知を図ります。
  • 障害者の介護や日常生活の相談については、必要な指導や助言が受けられるよう専門相談体制の充実を図ります。また、専門的な相談先の照会を積極的に推進し、地域における身近な在宅サービス等の利用促進を図るため、在宅介護支援センターにおける障害者サービスの相談事務を強化します。

6-2.施設福祉サービスの充実

《現状と課題》

 本町の施設福祉は、高齢者を対象とした特別養護老人ホーム(ベッド数50床)と軽費老人ホーム(定員30人)がありますが、身体障害者の施設はないため、近隣の障害者施設に入所しています。
 現在(平成9年3月31日)本町の障害者では、身体障害者療護施設・身体障害者授産施設・精神薄弱者更生施設・精神薄弱者授産施設に、合わせて21人が入所しています。児童福祉法等に基づく施設では養護施設・精神薄弱児施設・重症心身障害児施設・精神薄弱児通園施設に、合わせて11人程入所しています。
 このほかに特別養護老人ホームや養護老人ホームには57人が入所、また、軽費老人ホームに24人入所しており障害を持つ高齢者が多くを占めています。
 本町が実施した障害者アンケート調査の障害者施策の結果についてみてみると、特に力を入れたら良いと思われるもの(3つ以内の複数回答)では、年金や各種手当の充実・医療費の軽減が22.1%で圧倒的に多く、続いて日常的な介護などの福祉サービスの充実が11.4%となっております。また、障害者福祉施設の充実も6.3%を占め、順位では5番目であり、福祉施設の充実を望む人もかなり高い数字となっています。
 今後、施設整備については障害保健福祉圏域内で、各町村が広域的な観点から地域需要にあう適性配置を求めていくとともに、これらの施設入所者及び学校卒業者・在宅障害者の適切な生活・訓練等の場を確保するため、入所施設・グループホーム等生活施設をはじめ、在宅福祉サービスや作業所等を組み合わせた地域支援体制の整備を進める必要があります。
 このため、広域的に設置されていない知的障害者のグループホーム等の確保に向け、福祉施設・障害者・家族会等との連携を図りながら、計画的導入に努める必要があります。

《施策の方向》
(1)施設の整備・促進
  • 県及び近隣町村との調整を行い、障害者のもつニーズに応えられるよう、授産・療護・更生・通園等の施設整備を、関係機関へ働きかけていきます。特に、身体障害者デイサービス施設については、県が指定した障害保健福祉圏域にそって近隣の町村の協力を得て整備します。なお、身体障害者療護施設・精神障害者生活訓練施設(援護寮)等については、西部障害保健福祉圏への設置について、圏域町村・病院等関係施設とともに、協同で調査研究を進めます。
(2)障害者施設等による在宅支援事業の促進及びグループホーム等の確保
  • 郡内の障害者施設等に入所している障害者の生活支援の充実に向け、施設の専門機能を活かした在宅支援事業の拡充・導入を促進します。
  • 在宅の障害者が協同で生活する場としてのグループホームを、福祉施設等と連携しながら、家族会とともに設置に向け支援策のあり方等を研究していきます。

6-3.生活安定のための施策の充実

《現状と課題》

 障害者が地域社会の中で自立した生活を営んでいくためには、生活の基盤となる所得保障の充実が必要となります。
 この所得保障の基本となるのが、年金・手当制度であり、障害基礎年金等の年金、特別障害者手当等の各種手当、重度心身障害者等の医療費の自己負担分の助成、税の減免、運賃・料金の割引、各種資金の貸付などは、障害者やその家族の生活を保障する上で大きな役割を果たしており、今後とも、これらの制度の一層の充実に努めていく必要があります。
 本町では、特別障害者手当(27人)、経過的福祉手当(5人)、特別児童扶養手当(6人)など各種手当、障害基礎年金(133人)など年金制度、各種資金の貸し付けなどがあります。
 なお、本町の障害者アンケート調査の、町の障害者施策についての回答では、1番目の、「年金や各種手当の充実・医療費の軽減」が22.1%と一番多く、次の「日常的な介護などの福祉サービスの充実」11.4%を、10ポイント以上上まわっており、年金や手当、医療費の軽減は、地域社会の中で自立した生活を営む上で、いかに大切であるかがうかがわれています。こうした生活安定のための各種年金や、手当及び関連制度の有効利用を促進するため、積極的な広報・相談活動を展開し周知徹底を図る必要があります。

《施策の方向》
(1)年金・手当や資金貸付の充実及び制度の周知
  • 障害者の所得保障のため、障害基礎年金等の公的年金制度や特別障害者手当、特別児童扶養手当等の各種手当制度の周知につとめるとともに、各種制度の充実を働きかけていきます。
  • 障害者の経済的自立と、生活の安定・向上を図るため、障害者のニーズに応じ必要な資金の貸付を行う生活福祉資金制度の効果的活用を促進します。
(2)経済的負担の軽減
  • 重度心身障害者などの医療費負担の軽減や、更生医療等の給付、また障害者の社会参加や通院などに要する経済的負担を軽減するため、税の減免制度や、JR等の運賃料金の割引制度について、内容の充実や拡大を国等に働きかけていきます。

6-4.ひとづくりの促進

《現状と課題》

 人口の高齢化や核家族化が進むなかで、身体障害者の高齢化も進んでおり、今後増大する福祉ニーズに対応するため、福祉、保健人材の確保・育成をはじめ、ボランティア組織の育成、住民参加型の福祉サービスや、専門協力者の組織的要請が必要であります。
 本町は障害者の施設もなく、施設サービスや在宅サービスは充実していませんが、障害者が住み慣れた地域で安心して生活が出来るよう、在宅福祉サービスのデイサービス事業とホームヘルプ事業を計画しています。このため常勤ヘルパー及び登録ヘルパーをはじめ、介護福祉士等の専門的な人材の確保に努めなくてはなりません。
 また、ボランティアについては、活動の中心となる層の高齢化が進んでいますが、山城町単独ボランティア(6グループ)、山城町ボランティア会(9グループ)、制度ボランティア(3組)が連携をとりながら、福祉等のサービスをしているところであります。特に、高齢者を対象として実施している給食サービスや、美容サービスは好評であり、今後は障害者についても、これらのボランティアサービスが必要であります。
 このような中で、現在視覚障害者に対しての朗読ボランティアがありますが、今後の障害者の社会参加等の促進を図るためには、点訳・手話・要約筆記奉仕員等の養成や、派遣、情報支援等に取り組まなくてはなりません。
 このため、障害者団体やボランティア連絡協議会、郡内町村等との連携をはかり、三好郡共同事業として専門的な技術により、コミュニケーション等の円滑化を図る人材の確保・養成等をめざし、市町村障害者社会参加促進事業の導入を図ることが必要です。さらに、これらの専門的マンパワーを組織し、各障害者団体や家族会と連携する団体として育成し、それぞれの障害者ニーズに応じた、社会活動の支援体制を整えていかなくてはなりません。
 このほかに、障害者福祉等にたずさわる多様な人材の確保・育成を進めていくなかで、社会福祉協議会事業等として、住民参加型の家事援助サービスの実施等についても、検討して行く必要があります。

《施策の方向》
(1)ホームヘルパーの増員及び専門研修
  • 障害者や高齢者の増大かつ福祉ニーズに対応した適切な在宅サービスを提供するため、ホームヘルパーや介護士の増員に努めます。
  • それぞれの専門分野に従事する人に対し、研修を実施し、資質と専門性を向上させます。
(2)市町村障害者社会参加促進事業等の導入
  • 西部第2サブ障害保健福祉圏(三好郡)において、市町村障害者社会参加促進事業を導入し、下記事業を実施することにより障害者の自立と社会参加の促進を図ります。
a:聴覚障害者や視覚障害者の日常生活上のコミュニケーションを援助するため手話奉仕員・要約筆記奉仕員・点訳奉仕員や朗読奉仕員の養成事業
b:点字広報等の(点字広報・声の広報)発行事業
c:手話通訳者設置事業
d:自動車運転免許取得助成事業
e:生活訓練事業(視覚障害者・聴覚障害者)
f:身体障害者スポーツ振興(スポーツ教室開催等)事業
(3)ボランティア活動の活性化及び社会福祉協議会等への支援
  • ボランティア団体・クラブの活動の中心になる層の高齢化が進んでいる現在、ボランティアに関する情報提供やボランティアの登録斡旋等が実施できるような体制整備に取り組み、社会福祉施設での体験学習を、主婦やサラリーマン等の一般住民にも拡大して実施し、地域における住民参加を中心にしたボランティア活動の推進に努めます。また、ボランティアのリーダー等の養成や研修を実施します。
  • 人口の高齢化等福祉ニーズの多様化に対応し、福祉マンパワーの資質の向上を図るため、福祉行政職員・社会福祉施設職員・民間指導者等に対し研修を実施します。
(4)住民参加型家事支援サービスの推進
  • 社会福祉協議会事業等として、会員制の有償ボランティアによる家事援助サービスの実施や公的ホームヘルプサービスを補う、サービス提供のあり方等を研究していきます。

重点課題7 スポーツ・文化・レクリエーション活動の充実

《現状と課題》

 障害者のスポーツ・レクリエーション及び文化活動を保障することは、障害者の地域生活を豊かなものにするだけでなく、地域住民の障害者観を変容させ、共に生きる生活感覚を豊かにしていく上でも欠かせないものです。障害者がスポーツ・レクリエーション及び文化活動に参加することは、自立と社会参加を促進するだけでなく、生きがいのある豊かな生活を送る上で重要であります。また、これらに参加することにより障害者の健康増進やリハビリテーションにも役立ち、地域社会の人々の障害者に対する理解を得る機会としても極めて重要です。
 障害者のためのスポーツ活動としては、徳島県のスポーツ・レクリエーション大会や、三好郡の体育大会が年1回開催されているほか、西阿四郡身体障害者連合会主催による、ゲートボール大会や、三好郡身体障害者アーチェリークラブ連合会主催によるアーチェリー等の大会があります。
 レクリエーション活動としては、町身体障害者会や、手をつなぐ育成会主催による日帰り旅行等があり、スポーツ・レクリエーション活動とともに一応の盛況をみていますが、参加者の顔ぶれが決まっており、いかにして参加増をしていくかが問いかけられています。
 また、町が実施したアンケート調査によると、地域の行事や祭事への参加について「参加したことがない」人が34.6%と3分の1以上を占めています。さらに、地域での疎外感を「よく感じる」・「時々感じる」を合わせると4割近くの人が疎外感を感じています。
 障害者が自己の能力を開発し、生きがいと潤いのある生活をおくるため、スポーツ・文化・レクリエーションなどの活動への参加機会を充実するとともに、地域の構成員として、地域行事等に積極的に参加できるよう条件整備をすすめることが必要です。

《施策の方向》
(1)スポーツ・文化・レクリエーション活動の振興
  • 町民が一般住民を対象にしたスポーツ大会、講演会、社会教育講座等を開催するにあたっては、障害者の参加が可能となるよう配慮します。
  • 障害者と障害のない人が一緒に参加できるスポーツ大会・レクリエーション大会などを開催するとともに、一般のスポーツ・レクリエーション活動に可能な範囲で障害者の参加を呼びかけます。
  • 家庭にとじこもりがちな障害者に、野外活動の機会の提供やスポーツ・文芸クラブなど、趣味活動を通じた障害者グループづくりをすすめます。
(2)地域行事・祭事への参加の促進
  • 障害者に地域行事・祭事への参加を呼びかけたり、障害者の参加を支援するために近隣住民のネットワーク形成を推進します。また、地域の役員等への障害者の登用を促進し、地域社会に入っていきやすい雰囲気づくりに努めます。
(3)活動参加への支援
  • 家族会や障害者団体に、各団体等で実施されている活動の周知を図るとともに活動の促進や相互、連携等に向けた支援を進めます。また、介護ボランティア、ガイドヘルパー、手話通訳など障害者の活動を支援する人材確保に努めます。
  • 障害者の利用を前提として、町内の公共施設(役場・スポーツ施設・文化施設・公園や公民館)の出入口、階段、便所等について、段差の解消やてすり等の改善整備をすすめます。

施策体系

基本目標 重点課題 施策展開 内容
目標1
心のバリア(障壁)を取り除く
1 啓発・広報活動の推進 (1)啓発活動の推進 ●広報紙や講演会等による町民啓発の推進
●精神障害者に対する理解を深めるための啓発の推進
●障害者や家族に対する社会参加促進のための啓発の推進
●障害者に配慮した啓発広報や情報提供の実施
●「障害者の日」の周知と行事の開催
(2)交流の促進 ●障害者と障害のない人の交流機会の拡充
●障害者の地域行事への参加促進
(3)福祉教育の推進 ●人権尊重の視点にたった福祉教育の推進
●行政職員や学校教職員等を対象とした研修の実施
●ボランティア活動協力校の指定
●生涯学習における障害者問題に関する学習・講座の開設
●福祉施設での体験学習や障害児との交流教育の促進
目標2
社会参加と自立を促進する
2 教育の充実 (1)幼児教育の充実 ●指導担当教職員の育成および人権教育の推進
●早期からの継続的な相談・援助体制の充実
●保育所及び幼稚園への障害児受け入れの促進
●施設・設備・教材等の充実
(2)学校教育の充実 ●適切な就学指導の実施
●関連機関との連携による教育相談体制の整備
●自立した生活を送るための基礎・基本習得の指導
●障害児に配慮した学校施設・設備の充実
●重度障害児の教育機会の確保
●障害児教育担当教職員の資質向上
(3)社会教育の充実 ●生涯学習を基本にした人権教育の啓発・広報活動の推進
●障害者に配慮した公民館等施設の改善・整備
●特殊な技術が修得できるような研修・講習会の開催
3 雇用・就業の促進 (1)職業能力の開発 ●徳島障害者職業センター等と連携し情報提供
●就業のための職業能力の開発
●通院患者リハビリテーション事業の推進
(2)雇用の促進と安定 ●障害者の町職員等への計画的な採用
●在宅での就労支援
●障害者雇用協力事業所の拡大
●雇用に関した各種助成金制度の情報の提供
●重度障害者、精神障害者の雇用促進のための啓発の強化
(3)福祉的就労対策の充実 ●精神障害者等の共同作業所の整備
●一般事業所への就業にむけた職業訓練や生活指導の充実
●授産事業の安定確保のための製品の販路拡大
目標3
地域社会の中で共に暮らす
4 生活環境の整備 (1)まちづくりの総合的推進 ●「やさしいまちづくり」推進のためのプロジェクトの組織化の検討
●福祉のまちづくりに関する住民の意識啓発の充実
●既設の福祉計画と整合性を図った事業を検討
(2)交通・移動手段の整備 ●交通弱者が安心して通行できるまちづくり
●障害者に配慮した車両の整備
●交通便数の確保等の要望
(3)住宅・生活環境の整備 ●障害者の住居及び生活環境を調整する組織の確立
●障害者・高齢者の生活に適応した町営住宅の整備
●障害者の住宅改造への支援及び融資制度等の充実
●「福祉の里」に医療サービス等障害者施設整備の検討
(4)防火・防災対策の推進 ●町防災計画等に基づき各種施策の推進
●災害・防災に関する知識の普及啓発
●自主防災組織における障害者支援体制の整備
(5)情報提供の充実 ●福祉サービスに関する情報提供
●町内各家庭にファクシミリの設置
●福祉電話の拡充
5 保健・医療サービスの充実 (1)障害の早期発見と早期療育 ●障害の早期発見・早期療育のための、相談・訪問指導の支援体制の充実
●老人保健事業を推進し、疾病の早期発見・早期治療の充実
(2)障害の予防 ●妊娠・出産・育児に対しての知識の普及啓発及び訪問・相談の充実
●母子保健対策をより充実するため、関係機関との連携
●疾病の予防対策や、機能訓練・訪問指導の充実
(3)医療と機能回復訓練 ●医療体制の整備
●医療費負担を軽減する事業等についての周知徹底
●歯科保健サービスの充実
●リハビリテーションの充実及びリハビリ専門技術者の確保
(4)精神保健対策の充実 ●精神障害者保健福祉手帳の普及と保健・医療・福祉サービスの充実
●グループホームの設置及び共同作業所の充実
●相談事業の充実 
●より良い精神医療の確保
●医療等助成事業の充実
6 福祉サービスの充実 (1)在宅福祉サービスの充実 ●ホームヘルプ・デイサービス・ショートステイ事業の充実
●各種事業の導入により、ホームヘルパー等の職員研修やガイドヘルパーの派遣
●補装器具・日常生活用具の給付・貸与等の充実
●障害者の介護や日常生活の相談についての専門相談体制の充実
(2)施設福祉サービスの充実 ●在宅生活が困難な障害者(児)への施設入所の促進
●広域型入所施設の整備推進
●グループホーム等の確保
(3)生活安定のための施策の充実 ●年金や各種手当制度の充実
●生活福祉資金制度の効果的活用の促進
●医療費負担等の軽減及び税の減免制度等国・県へ要望
(4)ひとづくりの促進 ●ホームヘルパーや介護福祉士等の人材確保
●社会参加促進事業等により人材育成講座等の開催
●ボランティア団体等活動の支援
●住民参加型家事支援事業の推進
目標4
暮らしの質を高める
7 スポーツ・文化・レクリエーション活動の充実 (1)スポーツ・文化・レクリエーション活動の振興 ●スポーツ・レクリエーション参加機会の拡充
●芸術・文化に親しむ機会の拡充
●障害者団体が開催する活動への支援
●野外活動機会の提供
●趣味活動を通じた障害者のグループづくりの促進
(2)地域行事・祭事への参加の促進 ●障害者の地域参加を援助する近隣ネットワークの形成
●地域団体等の役員への障害者の登用
(3)活動参加への支援 ●公園・野外活動施設に障害者に配慮したトイレ等の整備
●障害者に配慮した地域活動拠点施設の改善・整備
●障害者の活動参加を支援する人材の確保

おわりに

 障害者福祉計画の策定にあたっては、障害者アンケート調査や障害者団体からの提案シートを基本とし、学識経験者や福祉・保健・医療関係者をはじめ幅広い町民の御意見をいただきながら、平成14年度までの障害者の保健福祉サービス目標の検討を行いました。
 障害者を取り巻く諸環境は、ノーマライゼーションの理念の普及とともに、徐々に適切なものへと改善されつつありますが、障害者に対する町民の理解の深まりや、障害者自身の社会参加意欲の向上など「完全参加と平等」は実現途上にあります。また、急速な高齢化や核家族化の進行は、障害者を取り巻く社会環境をめまぐるしく変え、障害の重度化・重複化等新たな課題への対応も求められています。
 このような状況のもと、障害者が家庭や地域社会の中で人権が尊重され、可能な限りその能力を生かし自立して生活できる社会、また、家庭や住みなれた地域において、共に生涯安心して暮らせる地域福祉社会の実現を目標として本計画を策定しました。
 この計画は、行政計画であるとともに、社会福祉協議会や社会福祉施設等の民間サイドによるサービス、さらには住民参加によるサービスとの連携のもとに供給体制を確保するものであることから、行政、社会福祉協議会、老人福祉施設、学識経験者、医療機関等が有機的に連携しつつ、計画の推進にあたることが必要です。
 また、本計画の推進にあたっては、介護保険の施行に伴うサービス体制等の再編に留意しながら、在宅・施設福祉サービスの充実をはじめ総合的、効果的な施策の推進にあたることが必要です。
 今後は、このような観点にたって、諸事業の実現に向け、国・県に要望するとともに、広域的な連携を強化しながら、自主財源の確保に努め効果的な運用を図るよう努めなくてはなりません。
 最後に、この計画は、計画の達成状況や社会・経済情勢の変化等により必要に応じ見直しを行います。

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主題:
山城町障害者福祉計画  No.2
20頁~57頁

発行者:
山城町

発行年月:
平成10年3月

文献に関する問い合わせ先:
山城町