音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

笑顔でこころふれあうふくしのまち山城

山城町障害者福祉計画

No.1

平成10年3月

項目 内容
立案時期 平成10年3月
計画期間 平成10年度~平成14年度(5年間)

計画策定にあたり

 21世紀の少子・高齢化社会を目前に控え、だれもが生まれ育った地域や家庭で暮らしたいという願いは共通のものです。しかし、身体に障害を持ったり介護が必要になってくると、多くの人々がこの願い通りにいかないというのが現状です。
 国においては、少子・高齢化社会の到来に備えて、高齢化対策では新ゴールドプラン、少子化対策ではエンゼルプラン、障害者施策については障害者プランを策定し、各施策を総合的・計画的に推進しているところであります。
 このため、高齢化とそれに伴う障害者の増加が顕著な本町においても、その実情を踏まえ、それぞれのニーズに適正に対応し、全員参加による全ての人のための平等な地域づくりを目指した「山城町障害者福祉計画」を策定いたしました。しかし、計画の達成は計画ができればそれで果たせるものではありません。
 町民すべてが助け合い、思いやり、励まし合い、分かち合う「共に生きる社会」をつくり上げることが大切であると思います。そのような社会でこそ計画の達成が可能であり、真の福祉の推進につながるものと思います。町としましても、今後この計画の基本理念を大切にし、その実践にあたっては、町民の皆さま方の深いご理解とあたたかいご支援をいただきながら、効果的に目標実現をめざす所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、この計画の策定にあたり貴重なご意見とご熱心なご討議をいただきました計画策定委員の皆さま、また、計画策定にあたりご指導をいただきました関係者の皆さまに厚くお礼申し上げ、ごあいさつといたします。

平成10年3月

山城町長 西 徹

山城町障害者福祉計画・もくじ

第1章 障害者をとりまく現状

第2章 基本計画

第3章 障害者(児)アンケート調査結果

附 参考資料

第1章

障害者をとりまく現状

1-1 山城町の概要

 山城町は、徳島県の最西部に位置し、本町の東端を南から北に清流吉野川が流れ、景勝地大歩危・小歩危の深い渓谷を刻み、この吉野川に沿ってJR土讃線、国道32号が走り徳島市へ85km、高松市へ70km、高知市へ70kmの位置にあり、東は池田町及び西祖谷山村に接し、西は愛媛県新宮村、南は高知県大豊町、北は池田町に接しています。
 総面積は、131.57平方キロメートルで、急峻な山地が大部分を占めています。
 昭和28年、町村合併促進法が施行されたことに伴い、昭和31年に三名村が山城谷村に編入合併され、山城谷村となると同時に町制を施行し、山城町が誕生し現在に至っています。

山城町の概要の図

1-2 人口構成の推移

 本町の人口構成は表1-2のように推移しています。
 総人口は、昭和31年の町村合併当時14,284人であったが、昭和60年には7,177人と減少し、この間の減少率は50%に達しています。総人口が減少を続けているにもかかわらず、65歳以上の人口が増加し、高齢化率も30%を越へ国の平均2倍であり、超高齢化社会を迎えています。
 この原因として、平均寿命の伸びや出生率の低下などがあげられます。本町においては、地元に就労の場が少ないため、若年層の流出が激しく、人口減少に拍車をかけていると考えられます。

<図1-2>年齢3区分人口比率の推移
0~14歳 15~64歳 65歳以上
昭和50年(山城町) 19.6% 66.6% 13.8%
昭和50年(徳島県) 22.1% 67.1% 10.8%
昭和60年(山城町) 16.8% 64.8% 18.4%
昭和60年(徳島県) 20.4% 66.3% 13.3%
平成7年(山城町) 13.8% 56.7% 29.5%
平成7年(徳島県) 15.9% 65.1% 18.9%
<表1-2>人口構成の推移
区分 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年
山城町(人) 総数 8,904 7,721 7,177 6,531 6,045
0~14歳 1,742 1,341 1,207 999 832
15~64歳 5,934 5,111 4,649 4,048 3,427
65歳以上 1,228 1,269 1,321 1,484 1,786
内75歳以上 461 527 533 586 681
徳島県(人) 総数 805,165 825,261 834,889 831,598 832,427
0~14歳 177,755 175,295 170,062 149,770 132,495
15~64歳 540,670 550,779 553,858 551,067 541,945
65歳以上 86,680 98,904 110,921 129,105 157,461
内75歳以上 29,605 36,052 44,273 53,753 63,466

資料:昭和50年から平成7年は国勢調査

1-3 障害者の現状

(1)身体障害者

 身体障害者手帳の所持者は、平成9年3月31日現在377人で、18歳以上の障害者です。
 障害の級別でみると、4級が多く21.5%、次いで3級が17.5%となっていますが、等級は分散しています。
 障害別では、肢体障害の割合が最も高く半数を占めています。

<表1-3-1>身体障害者手帳所持者数の推移
合計 0~17歳 18歳以上
障害者数(人) 構成比(%) 障害者数(人) 構成比(%) 障害者数(人) 構成比(%)
平成元年 379人 100.0% 5人 1.3% 374人 98.6%
平成4年 395人 100.0% 5人 1.2% 390人 98.7%
平成8年 382人 100.0% 0人 382人 100.0%

資料:池田福祉事務所

<表1-3-2>身体障害者手帳所持者の年齢別級別状況(上段:実数(人)、下段:構成比(%))
総数 1級 2級 3級 4級 5級 6級
合計 377人 63人 60人 66人 81人 46人 61人
100.0% 16.7% 15.9% 17.5% 21.5% 12.2% 16.2%
0~17歳 0人 0人 0人 0人 0人 0人 0人
18歳以上 377人 63人 60人 66人 81人 46人 61人
100.0% 16.7% 15.9% 17.5% 21.5% 12.2% 16.2%

(平成9年3月31日現在)

<表1-3-3>身体障害者手帳所持者の年齢別障害状況(上段:実数(人)、下段:構成比(%))
総数 視覚障害 聴覚・平衡機能 言語 音声・言語障害 肢体障害 内部障害
合計 377人 59人 58人 3人 207人 50人
100.0% 15.6% 15.4% 0.8% 54.9% 13.3%
0~17歳 0 0人 0人 0人 0人 0人
18歳以上 377 59人 58人 3人 207人 50人
100.0% 15.6% 15.4% 0.8% 54.9% 13.3%

(平成9年3月31日現在)

(2)知的障害者

 療育手帳の所持者は、平成9年3月31日現在58名で、2つの年齢層に大別すると、表1-3-4のとおりです。
 障害の程度別でみると、A判定(重度)が75.9%と最も多くなっています。
 年齢別でみると、0~17歳ではB1判定(中度)が、57.2%と半数以上を占め、18歳以上ではA判定(重度)が92.9%と最も多くなっています。

<表1-3-4>療育手帳所持者の年齢別級別状況(上段:実数(人)、下段:構成比(%))
総数 重度
(A判定)
中度
(B1判定)
軽度
(B2判定)
B 次判定日以降
判定を受けていない者
合計 58人 44人 11人 1人 2人
100.0% 75.9% 19.0% 1.7% 3.4%
0~17歳 14人 5人 8人 1人 0人
100.0% 35.7% 57.2% 7.1%
18歳以上 42人 39人 3人 0人 2人
100.0% 92.9% 7.1% 3.4%

(平成9年3月31日現在)

<表1-3-5>療育手帳所持者数の推移
0~17歳 18歳以上 合計
平成元年 10 42 52
平成4年 13 45 58
平成8年 14 49 63

資料:池田福祉事務所

(3)精神障害者

 精神障害者医療費負担受給は申請主義のため、精神保健法により保健所が把握しうる患者の状況は、表1-3-6のとおりです。
 疾病内容別でみると、精神分裂病精神障害が66.7%と最も多くなっています。
 なお、平成7年10月より発行している「精神障害者保健福祉手帳」の交付数は、池田保健所管内で59人、このうち山城町民は8人です。

<表1-3-6> (1)精神障害者の患者数
年月日 入院患者概要 在宅患者概数
措置 その他
平成4年3月31日 0 46 46 26 72
平成5年3月31日 0 39 39 35 74
平成6年3月31日 1 39 40 29 69
平成7年3月31日 0 51 51 36 87
平成8年3月31日 0 51 51 39 90
平成9年3月31日 0 51 51 39 90

資料:池田保健所

<表1-3-7> (2)疾病別患者数
精神分裂病
精神障害
アルコール性
精神障害
そううつ病 てんかん 心因反応 老人性
精神障害
その他 合計
27人 3人 1人 1人 2人 2人 1人 37人
9人 0人 2人 1人 2人 1人 2人 17人
合計 36人 3人 3人 2人 4人 3人 3人 54人
割合 66.7% 5.55% 5.55% 3.7% 7.4% 5.55% 5.55% 100%

資料:池田保健所/平成9年11月25日現在

1-4 障害児の保育・教育

 山城町内には2カ所の保育所があり、平成9年10月1日現在82人が入所していますが、そのうち障害児は4歳児1人(身体障害)です。幼稚園は4カ所あり、27人が通園していますが、現在障害児はいません。
 障害児の就学については、中学校には障害児学級が設置されており2人が通学しています。小学校については、障害児学級が必要人数にたりないため、設置されておらず、普通学級に通学しています。そのほか、国府養護学校池田分校の中等部に3人(知的障害)、高等部に1人(知的障害)が通学しています。

<表1-4-1>障害児の保育所入所状況
保育所入所児総数障害児数
合計811
1歳児130
2歳児140
3歳児200
4歳児281
5歳児60
(平成9年10月1日現在)
<表1-4-2>障害児学級数と在学者数
学校数 障害児学級
設置校数
障害児
学級数
在学児童
生徒数(人)
備考
小学校 9 0 0 2 2年生1人、6年生1人
すべて知的障害
中学校 2 1 1 2 1年生2人
すべて知的障害

1-5 障害者の雇用・就業

(1)一般雇用状況

 一般民間企業における身体障害者と知的障害者の平成8年6月1日現在の実雇用率は、全国平均では1.47%、徳島県では1.76%となっています。全国平均より0.29ポイント上回っており、法定雇用率の1.6%についても0.16ポイント上回っています。
 阿波池田公共職業安定所における障害者の求職状況は表1-5-2のとおりです。

〈表1-5-1〉法定雇用率(雇用義務数)
- 民間事業主の労働数 官公庁・地方公営企業の職員数
一般の民間企業 公庫・公団等の特殊法人 官公庁(非現業部門) 官公庁(現業部門)
雇用義務数 1.6% 1.9% 2.0% 1.9%
〈表1-5-2〉阿波池田公共職業安定所における職業紹介等取り扱い状況(単位:件)
身体障害者 身体障害者のうち重度障害者 知的障害者
登録者数 168 48 39
有効求職者数 12 3 4
就職件数 8 4 5

資料:阿波池田公共職業安定所/平成8年度

※有効求職者数-登録している者のうち安定所で仕事を捜している者。

(2)障害者の雇用や就業に関する支援

1 これから就業する障害者への援助

 心の病をもつ人たちが社会復帰、生活の自立をめざして室内作業をする通所施設として、三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)等により、平成2年に本町へ「すずらん共同作業所」が、平成3年には三好町へ「末広共同作業所」が開設されています。すずらん作業所には、現在8人が登録しています。また、保健所で行っている通院患者リハビリテーション事業には1名が登録しています。
 一方、身体障害者や知的障害者のための授産施設としては、広域的にも設置されていない状況ですが、現在1名が箸蔵山荘で短時間労働に就いています。
 また、阿波池田公共職業安定所では、求職障害者に対する職業相談、雇用情報の提供、事業所に対する適応指導などの相談及び情報提供を行っています。

2 雇用促進のための事業者への援助

 事業主に対する援助としては、公共職業安定所で取り扱う「特定求職者雇用開発助成金」、「障害者雇用継続助成金」などの制度があります。
 また、障害者を雇用する事業所に係る税制上の優遇措置があります。
 その他「職場適応訓練」、「短期職場適応訓練」といった都道府県知事が、事業主に委託し、実地訓練期間中事業主に対して委託費又は訓練費を、訓練生に対しては訓練手当が支給される制度があります。

3 働く障害者に対する援助

 障害者雇用促進協会では、障害者がその能力を十分に発揮できるような職場環境を作り、障害者の職場適応の促進を目的として「障害者職場定着推進チーム育成事業」を行っています。

阿波池田公共職業安定所 山城町内
徳島県障害者雇用促進協会会員 15 0
身体障害者職業生活相談員選任事業所 1 0
障害者職場定着推進チーム設置事業所 3 0

1-6 生活環境の整備

 障害者や高齢者が社会のなかで、自立した生活を営んでいくためには、安全性、利便性、快適性が確保されていることであり、住宅や公共的施設が障害者等にとって安全で利用しやすい構造に改善・整備することが大切です。
 徳島県では、昭和52年に「生活環境の手引き」を、平成2年には「障害者等社会環境改善整備指針」を策定し、県下市町村や民間事業者に公共施設、公共的施設の整備・改善に努めるよう指導、啓発を推進しています。山城町でもこれらの施策に基づいて、公共施設の出入口やトイレ等の改善、また、道路の舗装や公園を新設し、生活環境の整備に取り組んできたところでありますが、十分な整備・改善が図られているとは言えません。
 今後は、平成8年度に作成した「山城町住宅マスタープラン」や県の「ひとにやさしいまちづくり条例」の指針に基づき、行政だけでなく民間企業・団体・町民が一体となって取り組む必要があります。

役場前スロープの写真
役場前スロープ

役場3階[身体障害者トイレ
役場3階[身体障害者トイレの写真

1-7 保健・医療サービス

 障害者に関連する保健・医療サービスは、表1-7-1のとおりです。
 母子保健対策としては、平成8年度に山城町母子保健計画を策定し平成9年9月に完成した保健センターを中核として保健事業を推進しています。
 母子をとりまく社会環境は、核家族化、女性の職場進出、出生率の低下により大きく変化してきているところです。そのような中で、乳幼児期に発生すれば将来、心身に障害を起こす恐れのある疾患の早期発見・早期治療を目的とした、健康管理対策として、健診とスクリーニング検査を実施しています。健診としては乳児・1才6ヵ月児には3ヵ月毎に、2才児・3才児には6ヵ月毎に実施しており、スクリーニング検査としては、先天性代謝異常検査、神経芽細胞腫検査、B型肝炎母子垂直感染等の検査を適齢期に実施しています。各種健診、検査の結果、要精密・要治療となった児に対しては医療機関への受診、また、経過観察となった児に対しては保健所の実施している乳幼児発達支援事業につなげています。健診の中には、受診率の低下傾向にあるものがあり、疾病や障害の発見と予防のための健診の必要性を再認識してもらえる充分な啓蒙が必要となっています。
 一般成人に関する施策は老人保健法の保健事業に基づいて実施していますが、保健センターの開設によって機能訓練が可能になり、山城町民の健康の保持と増進のための保健事業(健康手帳の交付・健康審査・健康教育・健康相談・訪問指導・機能訓練)が総合的に実施できるようになりました。在宅要介護者を対象として、歯科保健推進事業を平成9年4月から実施しています。これは医療機関へかかりにくい寝たきり病人等の口腔歯科の改善を行うことを目的に行っています。
 医療サービスとしては、乳児医療給付が3歳未満児まで拡大しました。また、更生医療の給付や重度心身障害者(児)の医療費公費負担を行っています。

〈表1-7-1〉障害者のための保健・医療サービス一覧
区分 サービス名称 内容 平成9年度実績(見込)
保健 乳児健診 発育途上の乳児の異常の有無を早期に確認し必要に応じて適切な指導、及びフォローアップを行う。 81人
脱臼健診 先天性及び後天性脱臼を早期に発見し、歩き始めまでに治療が完了できることを目標としている。 29人
1歳6ヵ月・2歳児健康診査 幼児初期の発育の標識が容易に得られるこの時期に運動・視聴覚・精神の発達障害を持つ児の発見につなげる。 58人
3歳児健康診査 3歳児の一般健診及び歯科健診、視聴覚健診を行う。 26人
親子ふれあい教室 集団生活をしていない3才~5才までの児を対象に在宅保母の指導のもと、母と子のスキンシップ、子供の健全な体、心づくり支援。 107人
思春期ふれあい体験学習 中学2年生を対象に脱臼健診時に赤ちゃんにふれてもらい「生」「性」の大切さを知ってもらう機会にする。 大野中学校 21人
山城中学校 43人
総合健診 19才以上の住民に対して、成人病・肺・胃・大腸・子宮・乳がん健診を行う。 成人病健診 390人
老人病健診 1,180人
胃がん健診 406人
子宮がん健診 186人
乳・甲状腺がん健診 222人
肺がん健診 1,011人
大腸がん健診 288人
結核レントゲン 1,053人
在宅介護者歯科保健推進事業 歯科受診のできにくい重度在宅障害者に対して、歯科医師及び歯科衛生士の訪問診査を行い、口から物が食べられるよう援助する。 訪問診査 30人
保健指導 160人
機能訓練 保健センターにおいて平成9年11月より月4回、40歳以上の心身機能の低下した在宅障害者に対し理学・作業療法を行う。 (平成9年11月~)
170人
健康相談 各校区分館、集会場、保健センターにおいて、個人の健康の相談に応じたり、集団で健康の知識を普及する。 987人
医療 更生医療の給付 身体上の障害を軽減又は除去する医療を給付(所得により一部自己負担) 2人
育成医療の給付 18歳以上は更生医療、17歳以下は育成医療。 (窓口は県) 1人
重度心身障害者(児)
医療費公費負担
保険診療を受けた際の自己負担額を公費負担(所得制限あり)。 112人
訪問看護 高齢者ができる限り家庭や住み慣れた地域社会で療養ができるよう在宅ケアを支えるサービス。

1-8 精神保健対策

 精神保健対策は、池田保健所において「地域精神保健対策」「社会復帰対策」「精神医療対策」「老人精神保健対策」等を中心に施策を展開しています。
 地域精神保健対策としては、保健福祉医療関係者や一般住民に、会議や講演会、精神保健講座や家族教室などの講座や各種イベントを通じて精神保健思想の普及啓発を推進しています。また、保健婦による訪問指導や精神科嘱託医による精神保健相談を実施しています。更に、『池田保健所地域精神保健福祉連絡協議会』を設置し、下部組織として“こころの健康づくり部会”“社会復帰施設部会”“就労部会”を設け地域の実情に応じた対策について協議しています。
 社会復帰対策としては、社会復帰相談指導事業(デイケア)や通院患者リハビリテーション事業を実施しています。また、精神障害者家族会(やまなみ会)や断酒会など自助グループの育成・支援を行っています。なお、やまなみ会では、2カ所の作業所と1カ所のグループホームを運営しており、山城町においても、県下で3番目に小規模共同作業所を設立しています。
 この他、池田保健所では、痴呆性老人の対策や思春期保健事業、保健福祉手帳や通院医療費公費負担等各種申請事務等の施策を展開しています。
 一方、改正された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」では、市町村においても(1)精神障害についての正しい知識の普及、(2)精神障害者の社会復帰施設の設置や地域生活援助事業、(3)精神保健及び精神障害者福祉に関する相談・指導等につとめることが明文化されています。また、「地域保健法」の基本指針では、精神障害者の社会復帰対策のうち身近で利用頻度の高いサービスは、市町村において保健所の協力の下に実施することが望ましいと述べられており、今後の対応策を検討していく必要があります。

〈表1-8-1〉精神保健福祉サービス一覧
サービス名称 内容
家庭訪問指導 主治医や家族の依頼等によって、保健婦(精神保健福祉相談員)等が訪問して、生活指導や社会適応援助を行ったり、家族全体の問題について相談にのっています。
精神保健福祉相談 嘱託医によるノイローゼ、精神分裂病、うつ病等の治療のことばかりでなく、飲酒・シンナー・薬物乱用の問題、お年寄りの心の健康、職場での人間関係、不登校、家庭内暴力の問題等について相談を受けています。
社会復帰相談指導事業(デイケア) 心の病をもった人たちがお互いの悩みや不安を話し合い、助け合いながら生活のリズムを整え、新しい体験を通して、自信を回復しながら生活の幅を広げ、社会復帰をめざして通所するグループ活動です。
精神保健講座 精神保健に関心を持ち、「心病む人たち」に対して地域の中で具体的に「ボランティア活動」をしていく人たちにする講座です。(年1回)
心の健康講演会 一般の住民を対象に、精神保健に関心を持ち、正しい理解を深めてもらうための講演会。(年1回)
家族教室
身内に心の病をもち、ともに悩む家族が精神保健の知識や、情報を学んでお互いに支え合える場を提供するもので4日間1コース年2回開催しています。
家族会
三好郡精神障害者家族会
(通称やまなみ会)
三好郡内の心の病をもつ者の家族が集まり、病気について理解を深めたり、家族同士が親睦や交流を図る等、同じ悩みをもつ家族の集まりの場です。
断酒会 アルコール依存症等で悩み、断酒を決意した仲間が集まり、それぞれの体験を語り合うと共に、いままでの生活反省と断酒断続を相互に誓い合う会です。県外からの例会出席もあり熱気のある仲間同志の会です。

1-9 在宅福祉サービス

 町及び社会福祉協議会が実施している在宅福祉に関するサービスは、表1-9-1のとおりです。しかし、本町では高齢者福祉を中心に福祉対策を展開してきたことから、介護・派遣や交流・生活支援に関する福祉サービスは65歳以上の高齢者を対象とするものが多くなっており、64歳以下の障害者に対する支援は十分とはいえない状況です。

〈表1-9-1〉福祉サービス一覧
区分 サービス名称 内容
補装具・生活用品等 補装具の交付・修理 身体上の障害を補うための用具の交付、修理、車いす、義肢、装具、補聴器、義眼、つえ、収尿器等
日常生活用具の給付 重度障害者の日常生活を便利にするための用具等を給付
福祉器具の貸出し 寝たきり及び虚弱老人の方、身体に障害のある方への貸出 車いす、エアーマット、ベッド
緊急通報システム装置の貸与 65歳以上の一人暮らし老人、高齢者夫婦世帯、身体障害者等で緊急事態に対応できない方への装置の貸与
介護・派遣 ホームヘルパー派遣 寝たきりや日常生活での援助の必要なひとり暮らしの老人に、家事や介護など必要なサービスを提供
老人短期入所運営事業 寝たきりや痴呆の老人を世話している家族が病気、冠婚葬祭などで一時的に介護できない場合に老人ホームで短期間世話をする
在宅重度身体障害者短期入所事業 重度身体障害者を介護している保護者が疾病等によって家庭における介護が困難な場合、施設に一時保護します
デイサービス 体の弱いお年寄りにデイサービスセンターで入浴、食事、日常動作の訓練、健康チェックなどいろいろなサービスをし、送迎する
訪問入浴 おおむね65歳以上の寝たきり老人の家庭に訪問し、入浴介助を行う
介護相談及び支援 家庭介護者の精神的肉体的負担軽減のため、保健センターや在宅介護支援センターで、保健婦やソーシャルワーカー、看護婦による介護への助言指導等を行う
住宅改善 高齢者等住宅改造助成 日常生活に介助を要する高齢者が住み慣れた住宅で、安心して生活が送れるよう家屋内の浴室や、便所等の改造を助成
重度身体障害者住宅改造助成 重度の視覚障害、肢体不自由者の日常生活がより円滑に行われるように、浴室や便所等の改造を助成
交流・その他 給食サービス 70歳以上のひとり暮らしの老人を対象に、月1回程度、民生委員、ボランティアが調理、宅配を行う
友愛訪問 老人クラブがひとり暮らしの老人の安否確認、話し相手等の訪問
高齢者毛布洗濯サービス事業 65歳以上のひとり暮らしの老人を対象に、ボランティアが毛布の洗濯サービスを行う
車・移動 自家用自動車改造費助成 重度の上肢、下肢、体幹の機能障害者が所有し、運転する車の改造に要する費用を助成します
(1件10万円以内)
自動車運転免許取得費助成 新規に運転免許を取得する費用の一部を助成
駐車禁止規制の適用除外 身体障害者および知的障害者の利用する自動車に対し、駐車禁止規制除外標章を交付
公共料金の割引 バス運賃の割引 第1種身体障害者・第1種精神薄弱者は、本人及び介護者共。その他の者は本人のみ
JR運賃の割引 第1種身体障害者・第1種精神薄弱者は、介護者が同行する場所は区間制限なし。単独の場合は100kmをこえるとき。第2種身体障害者・第2種精神薄弱者は、100kmをこえるとき
タクシー運賃の割引 身体障害者手帳又は療育手帳の交付を受けた者(児)
有料道路通行料の割引 全ての身体障害者が自ら運転する場合。
重度の身体障害者又は重度の知的障害者を乗せて、介護者が運転する場合
国内航空運賃の割引 障害者本人や障害者本人又は介護者と共に旅行する場合25%割引
NHK受信料の減免 身体障害者のいる貧困世帯、重度の知的障害者のいる非課税世帯(全額)
視・聴覚障害者又は肢体不自由者(1・2級)が世帯主(半額)
NTT無料電話番号案内 身体障害者で視覚障害、上肢などの障害(1・2級)、戦傷病者で、視力の障害、上肢の障害(1~6級)の方には電話番号案内無料
貸付 生活福祉資金の貸付 生活、福祉、住宅、修学の各資金の貸付
身体障害者更生資金貸付 生業費、支度費、技能習得費の貸付
経済給付・手当 特別障害者手当 在宅の最重度障害者で、常時特別の介護を要する状態にある20歳以上の人へ支給される手当
障害児福祉手当 在宅の重度障害児で日常生活活動が著しく制限され介護を要する状態にある20歳未満の人へ支給される手当
特別児童扶養手当 障害児を監護する父母又は養育者に支給される手当
心身障害者扶養共済制度 障害者の保護者が毎月掛金を払い、将来万一保護者が死亡した場合、障害者の終身年金を支給
(保護者加入年齢65歳未満)
障害基礎年金 国民年金加入中に障害者になったり、20歳前の障害で障害者になった人へ支払われる年金
税の軽減 所得税控除 該当する障害者への所得税控除
住民税控除 該当する障害者への住民税控除
自動車税減免 該当する障害者が自ら所有し運転、または生計を一にする者が該当障害者のため所有又は運転する場合の税金の減免
自動車取得税減免 該当する障害者が自ら所有し運転、または生計を一にする者が該当障害者のため所有又は運転する場合の税金の減免
軽自動車税減免 該当する障害者が自ら所有し運転、または生計を一にする者が該当障害者のため所有又は運転する場合の税金の減免

1-10 施設福祉サービス

 山城町内の障害者福祉施設としては、小規模共同作業所の「すずらん共同作業所」があります。「すずらん共同作業所」では、精神障害者の人が8人登録しており、軽作業を行っています。
 広域福祉圏域における施設サービスは表1-10-1のとおりです。精神薄弱者(児)施設については池田町と三加茂町にありますが、身体障害者(児)の施設は近くにないといった状況です。

〈表1-10-1〉障害児者福祉施設一覧
施設名称 所在地 開設時期 定員
(人)
町内の入(通)所者数(人) 施設区分 施設内容
池田学園 三好郡池田町 S38.4.1 50 3 精神薄弱児施設 18歳未満の知的障害児の入所施設
池田療育センター 三好郡池田町 S54.4.1 30 2 精神薄弱児通園施設 義務教育前の乳幼児知的障害児通園施設
小星園 美馬郡脇町 H6.4.1 50 1 身体障害者養護施設 18歳以上の重度身体障害者の入所施設
箸蔵山荘 三好郡池田町 S43.5.1 75
(5)
8 精神薄弱児(者)更生施設 18歳以上の知的障害者の更生施設
博愛ヴィレッジ 三好郡三加茂町 H7.4.1 60
(10)
2 精神薄弱者更生施設 18歳以上の知的障害者の更生施設
末広共同作業所 三好郡三好町 H3.4.23 登録 18 0 小規模共同作業所 精神障害者小規模共同作業所
すずらん共同作業所 三好郡山城町 H2.10.15 登録 8 4 小規模共同作業所 精神障害者小規模共同作業所

1-11 文化・スポーツ・レクリェーション活動

 障害者のためのスポーツ・レクリェーション活動は、表1-11-1に示すとおりです。大規模なスポーツ大会は、徳島県、三好郡など広域で開催される大会に参加しています。
 町内では、身体障害者を対象とするものとしては、身体障害者会が主催する「身体障害者会研修旅行」があります。また、身体障害者会にアーチェリークラブがあり、三好郡身体障害者アーチェリークラブ連合会主催のアーチェリー大会他、県内外の各種大会に参加しています。知的障害者を対象としたものでは「あけぼの会研修旅行」があります。
 一方、文化行事・スポーツ大会については、特に障害者だけを対象としたものはなく、町内で開催される催しに、障害のない人とともに参加しています。

<表1-11-1>障害者のための文化・スポーツ・レクリェーション活動一覧
名称 実施主体 平成8年度開催日 内容
徳島県西部地区アーチェリー競技大会 三加茂アーチェリークラブ 4月7日 身体障害者と健常者がともに競えるアーチェリーを通して会員相互の親善と交流の輪を拡げ、お互いの技術の向上に向けて精進し、社会参加することを目的とする。
三好郡身体障害者体育大会 三好郡身体障害者連合会 4月27日 スポーツを通じて体力の増強、機能回復等を図るとともに明朗快活かつ積極的な性格と協調精神を養い併せて地域住民との交流を深め、身体障害者の社会参加の促進に資することを目的とする。
徳島県身体障者スポーツ競技大会 徳島県(財)とくしまノーマライゼーション促進協会 5月19日 身体障害者のスポーツ競技力向上を図るとともに、スポーツ活動を通じて身体障害者の社会参加を促進する。
アーチェリー三加茂大会 三好郡身体障害者アーチェリークラブ連合会 6月16日 身体障害者と健常者がともに競えるアーチェリーを通して会員相互の親善と交流の輪を拡げ、お互いの技術の向上に向けて精進し、社会参加することを目的とする。
三好郡身体障害者ゲートボール大会 三好郡身体障害者連合会 8月9日 身体障害者の健康増進と積極的な社会参加を促すとともに、障害者相互の親睦を図ることを目的とする。
アーチェリー山城大会 三好郡身体障害者アーチェリークラブ連合会 9月8日 身体障害者と健健者がともに競えるアーチェリーを通して会員相互の親善と交流の輪を拡げ、お互いの技術の向上に向けて精進し、社会参加することを目的とする。
中・四国身体障害者福祉大会 日本身体障害者団体連合会
中・四国ブロック連絡協議会
9月11日 自立更生及び社会経済活動への参加の促進と障害者福祉の向上を図る。
うずしお杯アーチェリー競技大会 徳島アーチェリーうずしお会 9月16日 県内外の身体に障害を持つアーチェリー愛好者が集い競技を通じて相互の交流を深め、体力の維持、増進、技術の向上を図るとともに社会参加への意識を高め、障害者に対する社会の理解と認識を高めることを目的とする。
西阿四郡身体障害者ゲートボール大会 西阿四郡身体障害者連合会 10月2日 健康増進と社会参加を促すとともに、相互の親睦を図ることを目的とする。
井川町なでしこまつり杯アーチェリー競技大会 井川町身体障害者会 10月6日 アーチェリーを通して身障者がスポーツへの関心を深め、機能回復、健康維持、増進を図るとともに、お互いの交流を深めることを目的とする。
徳島県障害者スポーツ・レクリェーション大会 徳島県(財)とくしまノーマライゼーション促進協会 10日10日 健康及び体力の保持・増進を図り、自立と社会参加を促進するとともに一般県民の障害者に対する理解を深める。
手をつなぐ育成会四国大会 全日本手をつなぐ育成会
四国連絡協議会社会福祉法人
10月12日 地域に根ざした活動を如何になすべきか、本人たちの意思を尊重し共に今後の活動目標を見極め、その実現をめざす。
身体障害者会研修旅行 山城町身体障害者会 10月15日 観光地を視察し、社会見聞を深めるとともに会員の親睦を深め、組織の強化と福祉の一層の向上を図る。
アーチェリー三野大会 三好郡身体障害者アーチェリークラブ連合会 10月27日 身体障害者と健常者がともに競えるアーチェリーを通して会員相互の親善と交流の輪を拡げ、お互いの技術の向上に向けて精進し、社会参加することを目的とする。
郡スポーツ・レクリェーション開催事業 池田町手をつなぐ育成会
池田町しらさぎ会
10月28日 在宅の知的障害のある人の社会的生活能力の向上を図ると共に、社会活動を育成し支援することにより、自立と社会参加の促進及び在宅者間の親睦を図る。
身体障害者スポーツ講習会 三好郡身体障害者連合会 11月28日 身体に障害を持つ者が集い競技を通じて相互の親睦と交流を深め、体力の維持増進、技術の向上を図り社会参加の促進に資することを目的とする。
障害者の集い県民大会 徳島県(財)とくしまノーマライゼーション促進協会 12月8日 県民すべてが障害及び障害者に対する理解と認識を深め障害のある人もない人もすべての人が住みなれた地域社会の中で個人として尊重され、安心して共に暮らせる社会の実現をめざす。
美馬・三好在宅知的障害児(者)地域交流促進事業 三好郡手をつなぐ育成会 平成9年
1月21日
外出の機会の少ない在宅の知的障害児(者)の社会見学と相互の交流、社会参加を図る。
あけぼの会研修旅行 山城町手をつなぐ育成会あけぼの会 3月28日 知的障害児(者)の相互の親睦を深め、社会参加を図る。

1-12 山城町障害者団体

 山城町には、次の障害者団体があり活動しています。

名称 会員数 内容
山城町身体障害者会 170名 山城町在住の身障者手帳所持者で、本会の趣旨に賛同する者をもって構成し、会員相互の親睦、互助、更生を図るとともに、操守を固くし、身障者の福祉の向上に努めることをもって目的とする。
山城町身体障害者会
アーチェリークラブ
6名 山城町在住の身体障害者手帳保持者で、本クラブの趣旨に賛同するものをもって構成し、会員相互の連絡を密にし、親睦互助更生を図るとともに、身体障害者の福祉の向上に努めることを目的とする。
山城町手をつなぐ育成会
「やましろあけぼの会」
28名 本会の趣旨に賛同する団体又は個人の会員をもって組織し、知的障害児(者)の福祉を増進することを目的とする。

福祉の里の図

▲戻る


主題:
山城町障害者福祉計画  No.1
1頁~19頁

発行者:
山城町

発行年月:
平成10年3月

文献に関する問い合わせ先:
山城町