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三好町障害者福祉計画

No.1

思いやりの心で仲よくすみよい町づくりをめざして

平成10年3月

三好町

項目 内容
立案時期 平成10年3月
計画期間 平成10年度~平成14年度(5年間)

はじめに

 経済的効率性中心の社会から、障害者や高齢者を含む生活者重視の経済社会システムへの変容が今日求められています。地域における生活支援という観点から、住民に最も身近な行政主体である市町村の、障害者行政における役割と期待は益々高まってきています。
 このような中、障害者施策の向上を図り、適切なサービスを提供し、ライフステージの全ての段階において、障害者が健常者と同等に生活、活動できる社会の実現を目指して、三好町障害者福祉計画を策定致しました。本計画は、高齢者や障害者のためだけのものではなく、すべての人々にとって住みよい町づくりをめざします。
 今後は、本計画に基づいて、その実現に向け格段の努力をし、障害者施策の推進に努めたいと考えております。町民の皆様におかれましても、本計画の趣旨をご理解いただき、ご協力をお願い申し上げます。
 最後になりましたが、本計画の策定にあたり、ご協力いただきました関係機関の皆様と熱心にご審議いただきました策定委員の皆様に心から厚くお礼申し上げます。

平成10年3月

三好町長 真鍋 晃

目次

序論

基本構想

基本計画

障害者(児)アンケート調査結果

資料

  1. 三好町障害者福祉計画策定委員会名簿
  2. 三好町障害者福祉計画策定委員会設置要綱
  3. 三好町障害者福祉計画策定経過
  4. 用語解説
  5. 障害保健福祉圏域
  6. 障害者基本法

序論

第1章 計画の策定にあたって

1.計画策定の趣旨

 近年、障害者を取り巻く環境は、高齢化の急速な進行、障害の重度化・重複化、家族形態の変化、価値観の多様化等の諸要因により、大きく変化しており、こうした環境変化に対応した障害者施策の展開が必要となっています。
 そして障害のある人も障害のない人も、全ての人は、その尊厳と権利において平等であり、地域の中で共に生きていくことができる社会をめざすノーマライゼーション理念も浸透しつつあります。また、ライフステージの全ての段階における全人間的復権を目指すリハビリテーション理念も、それぞれの人の“生活の質(QOL)”を高める取組の中で、極めて重要な考え方であり広がりつつあります。
 このような中で、福祉関係8法の改正、障害者基本法の整備などに続き、平成7年3月に「徳島県障害者施策長期計画」、平成7年12月には国全体の「障害者プラン」が策定されたところであり、これを受けて、各市町村が中心となって横断的な障害者福祉施策を考え実践していくことが求められています。
 本計画は、県の関連計画や三好町総合計画等との整合に留意しつつ、取り組むべき施策・事業などを総合的・体系的に示し、ともに生き、完全参加と平等の実現された地域づくりを実現していくための指針・目標とするものです。

2.計画の期間

 本計画の期間は、国及び県の障害者計画に合わせ、平成10年度(1998年)から平成14年度(2002年)の5年間とします。なお、計画の達成状況や諸変化などにより、必要に応じ見直しを行います。

□計画の期間
基本構想 平成10年度~14年度(5年間)
基本計画 平成10年度~14年度(5年間)
3.計画の性格

 本計画は、次の性格を有するものとします。

  1. 障害者基本法にもとづく計画です。
  2. 障害者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画です。
  3. 住民や企業、各種団体などが、自主的かつ積極的な活動を行うための指針です。

 また、計画対象は、身体障害者・知的障害者・精神障害者及び難病患者を含み、住民すべてが関わるものとします。

4.計画推進の指針

 障害者福祉計画は、福祉のみならず生活やまちづくりなどの全ての分野に関する包括的な計画としますが、その基本的な推進指針を以下に示します。

(1)障害者の主体性・自立性の確立

 障害者が、基本的人権をもつ一人の人間として、自らの生き方を選択し、社会活動に積極的に参加するとともに、その能力を十分に発揮できるようにすることは障害者福祉の基本原則です。このため、障害者の主体性、自立性の確立をはかるため、生活環境、雇用・就労面をはじめ条件整備のための施策を検討します。
 また、障害者の自立と社会参加を促進するためには、障害者のライフステージに合った体系的かつ総合的なリハビリテーションが欠かせません。このため、障害者の可能な限り心身の発達もしくは機能の回復を図るための施策の拡充に努めるとともに、障害者のライフステージに沿って医療・教育・職業・社会的リハビリテーションの体系的かつ総合的なリハビリテーションの推進を図るよう検討します。

(2)ノーマライゼーションの推進

 障害者の社会活動への参加が十分とはいえない状況にあり、障害者が一人の住民として、地域社会での生活が常態となるよう、そしてその生活が障害のない人々と変わりないよう施策を検討します。特に、障害者をとりまく人たちの意識や認識の改革が重要であるため、住民全体の理解と協力を得るための啓発広報の充実に一層努めるとともに、障害者との交流を促進する施策を検討します。
 また、障害者にとって利用しやすい、暮らしやすい環境の整った社会は、だれにとっても暮らしやすい社会と言えます。このため、すべての人々が同じように生活できる条件を整えていくといった考え方で施策を検討します。

(3)障害の重度化・重複化及び障害者の高齢化への対応

 障害の重度化、重複化は年々進んできており、在宅の重度障害者が、住み慣れた地域で、家族などとともに充実した社会生活を送られるよう、ホームヘルパー・ガイドヘルパー、デイサービス、日常生活用具の給付などをはじめとしたさまざまな施策をニーズに応じてきめ細かく推進するよう検討します。また、人口構造の高齢化に伴い障害者の高齢化も進み、また高齢者の中にも障害のある人が多くなってきており、高齢者施策との一体的な推進に努めるとともに、高齢化した介護者が、病気や事故で長期的に介助できなくなったり、亡くなったりした時のために、ショートステイ、グループホーム、障害者向け公営住宅の確保などの施策の充実を図るよう検討します。

(4)施策間のネットワークづくり及びコーディネート機能の整備

 障害者施策は、福祉、保健医療、教育、雇用、生活環境など幅広い分野にわたるため、施策を個別的、具体的に行っていかなくてはなりません。このためそれぞれの分野が共同歩調をとってネットワークをつくるとともに、各施策を具体的にコーディネートできる機能を整備するよう検討します。

第2章 障害者を取り巻く現状

第1節 地域の概要

(1)都市構造

1.立地・交通

 本町は、県北西部吉野川上流の北岸、阿讃山地の南側に位置する自然豊かな町です。JR四国土讃線が町内を通過していますが駅はなく、箸蔵駅やJR徳島線の辻駅・佃駅が最寄り駅となります。バス路線は、吉野川を沿い主要地方道鳴池線を走る西部交通バスと、主要地方道丸亀・三好線に沿い山間部を走る町営バスがあります。全般に公共交通機関の利便性は低く、自家用車の利用が中心となっています。なお、四国縦貫自動車道路・井川池田IC(仮)の整備が予定され、都市間交通の利便性が高まることが期待されます。

2.市街地構造

 吉野川沿岸の平坦地に立地する昼間地区・足代地区南部に人口の約8割が集まり、市街地を構成しています。山間部には、小規模な集落が点在していますが過疎化の傾向が続いています。

3.都市圏

 本町は、県総合計画の地域区分としては西部地区の吉野川流域ゾーンに属しています。この地域は第2国土軸としての広域交通ネットワーク機能を活かし内陸工業拠点、広域観光・レクリエーション活動の場などとして発展を図るものとしています。なお、三好郡8町村は、三好地区ふるさと市町村圏を構成するとともに、池田保健所・池田福祉事務所の管内となり、広域的連携・協力が進められています。

(2)人口・世帯動向

1.人口・世帯数の推移

 本町の総人口は減少を続けていましたが、昭和50年から増加基調に転じています。近年では増加傾向が停滞しつつありますが、平成7年には6,228人となっています。また、世帯数は1,857世帯、1世帯当り人員3.35人となっています。

□人口・世帯数の推移(資料:国勢調査。但し、平成10年は3月1日現在の住民基本台帳による)
- 人口 世帯
昭和50年 6,054人 1,581戸
昭和55年 6,166人 1,666戸
昭和60年 6,206人 1,704戸
平成2年 6,213人 1,796戸
平成7年 6,228人 1,857戸
平成10年 6,648人 2,009戸

2.年齢構成

 本町の年齢3区分別人口構成は、年少人口及び生産年齢人口が減少し、老年人口が増加する傾向を続け、平成7年には、年少人口1,188人(19.1%)、生産年齢人口3,613人(58.1%)、老年人口1,421人(22.8%)の構成となっています。なお、老年人口は、この10年間で倍増しています。

□年齢3区分別人口の構成比(%)(資料:国勢調査。但し、平成10年は3月1日現在の住民基本台帳による)
- 0~14歳 15~64歳 65歳以上
昭和50年 21.0% 66.7% 12.3%
昭和60年 20.1% 59.8% 20.1%
平成7年 19.1% 58.1% 22.8%
平成10年 16.0% 58.9% 25.1%
※年齢不詳は除く

第2節 障害者等の状況

(1)障害者等の状況

1.障害者等の人数

 手帳交付状況調(平成9年3月31日.池田福祉事務所調)によると、身体障害者(児)は465人で、総人口(平成7年国勢調査)の7.5%を占め、知的障害者(児)は39人、同0.6%程度となっています。
 精神障害者(児)に関しては、把握は難しく、精神障害者通院医療費公費負担制度を申請している人が47人(平成8年10月1日.池田保健所調)となっています。厚生省「患者調査平成5年」による精神障害者の推計では、対人口比は1.2%程度であり、本町ではおおよそ70人台程度と考えられます。
 また、難病患者は、特定疾患医療給付者31名(平成9年5月現在.池田保健所調)と小児慢性特定疾患4名(同年4月現在)です。
 これらの何らかの障害をもつ人及び難病患者の総数(延べ人数)は、約600人程度と考えられ、総人口のおおよそ1割弱となります。
 なお、この人数には、重複している人が含まれる一方、申請に基づき手帳発行や給付を行うため、申請していない人等は含まれていません。

□障害者等人数(平成9年3月31日現在、池田福祉事務所調べ)
(単位:人)
- 総数 施設入所者
身体障害者・児 465 10
- 身体障害児(18歳未満) 6 0
身体障害者(18歳以上) 459 10
知的障害者・児 39 9
- 知的障害児(18歳未満) 13 3
知的障害者(18歳以上) 26 6

2.障害の程度

 身体障害者(児)では、重度の人(1級・2級)が約4割となっています。
また、知的障害者(児)では、重度の人(A)が8割に達しています。

□障害程度別人数(平成9年3月31日現在.池田福祉事務所調)
(単位:人)
身体障害者手帳 1級 2級 3級 4級 5級 6級 合計
人数 118 82 32 75 45 63 465
療育手帳 合計
人数 32 7 39

3.年齢別の障害者(児)・難病患者の構成

 身体障害者(児)では、65歳以上の人が約7割を占める一方、知的障害者(児)では、若い人がめだちます。また、難病患者では、60歳以上の人が約35%程度とめだっています。
 なお、徳島県では、65歳以上の身体障害者は約6割となっており、本町は高齢者の人口に占める割合が多いのに影響されています。

□年齢構成
- 18歳未満 18歳~64歳 65歳以上
身体障害者・児 6人 120人 339人
1.3% 25.8% 72.9%
知的障害者・児 13人 26人
33.3% 66.7%1
- 20歳未満 20代~50代 60歳以上
難病患者 6人 17人 12人
17.1% 48.6% 34.3%
※小児慢性特定疾患患者は20歳未満

第3節 障害者施策の現状

(1)障害者福祉施設の立地状況

 三好郡の8町村は、西部障害保健福祉圏(15町村)の西部第2サブ障害保健福祉圏を構成しています。なお、障害保健福祉圏は、障害者施策がほぼ完結することをめざす単位で、サブ圏は通所型施設の整備や在宅福祉施策の適正実施をはかる観点から設けられ、池田福祉事務所・池田保健所など県機関、三好地区ふるさと市町村圏の範囲です。
 西部第2サブ圏の障害者福祉施設の立地状況及び広域的在宅支援事業は以下の通りです。

施設種別 施設名・概要
精神薄弱児施設 池田学園(池田博愛会,定員50,池田町)
精神薄弱児通園施設 池田療育センター(池田博愛会.定員30,池田町)
精神薄弱者更生施設 箸蔵山荘(池田博愛会.定員75、通所5,池田町)
博愛ヴィレッジ(十字会.定員60、通所10、三加茂町)
精神薄弱者グループホーム 箸蔵ホーム(定員4、バックアップ箸蔵山荘、池田町)
つくしホーム(定員4、バックアップ箸蔵山荘、池田町)
精神障害者小規模共同作業所 すずらん共同作業所(三好郡精神障害者家族会、定員13、山城町)
末広共同作業所(三好郡精神障害者家族会、定員20、三好町)
精神障害者グループホーム グループホーム池田(池田町)
肢体不自由児(者)巡回療育相談事業 1か所
心身障害児(者)短期入所事業 3施設(精神薄弱者(児))
心身障害児(者)短期療育事業 1施設(精神薄弱者(児))
心身障害児(者)療育相談事業 3施設(精神薄弱者(児))
精神薄弱児(者)地域療育等支援事業 1施設(精神薄弱者(児))
保健所デイケア 2か所(池田保健所/東祖谷山村出張)
(2)三好町の主な障害者施策の現状

 現在、本町で実施している障害者に対する主な在宅支援施策は以下の通りです。

サービス名称 内容
診査・更生相談 医療、生活、職業等の各種相談、施設への紹介(対象:心身障害者)
更生医療の給付 身体上の障害を軽くしたり、取り除いたりするための医療の給付(対象:身体障害者)
補装具の交付・修理 身体上の障害を補うための用具の交付・修理(対象:身体障害者・児)
○盲人用安全つえ、義眼、眼鏡、補聴器、義肢、装具、車いす、歩行車、歩行補助つえ、電動車いす、ストマ用装具等
日常生活用具の給付・貸与 重度障害者の日常生活がより円滑に行なわれるための用具の給付等(対象:身体障害者・児、知的障害者)
○浴槽、特殊マット、特殊寝台、体位変換器、盲人用テープレコーダー、拡大読書器、屋内信号装置、ネブライザー、火災警報機、緊急通報装置、福祉電話、ファックス等
重度心身障害者医療費助成 重度の心身障害者、重複障害者が医療保険による医療給付を受けた場合の自己負担分、入院時食事療養費の助成
障害児福祉手当の支給 在宅の重度障害児で、日常生活活動が著しく制限され、介護を要する状態にある20歳未満の人への手当支給(月額14,270円)
特別障害者手当の支給 在宅の最重度障害者で、常時特別の介護を要する状態にある20歳以上の人への手当支給(月額26,230円)
特別児童扶養手当の支給 障害児を監護する父母・養育者に対して支給(月額 1級50,350円 2級33,530円)
在宅重度身体障害者訪問診査 歩行困難な在宅重度身体障害者の家庭を訪問し、必要な診査や更生相談を実施
ホームヘルパーの派遣 一人では日常生活を営むことのできない重度障害者の家庭を訪問し、食事洗濯等身のまわりの世話及び外出時の付き添いを実施(対象:心身障害者)
身体障害者用自動車改造費助成 重度の上肢、下肢、体幹の機能障害者が所有し運転する車の改造に要する費用の助成(対象:身体障害者)
自動車操作訓練費の助成 身体障害者(概ね4級以上)の自立更生の促進を図るため、自動車運転免許の取得に要する経費のうち20,000円を限度に助成
重度身体障害者住宅改造助成 重度身体障害者の日常生活がより円滑に行なわれるように住宅改造に要する費用に対し助成
心身障害者扶養共済制度 保護者なき後の心身障害者(児)の生活の安定と福祉の向上を図るため、保護者の死亡後、年金を支給

基本構想

第1章 障害者福祉の理念

 国際障害者年は「完全参加と平等」を目標テーマとし、障害者が障害を持たない人と同等に生活し、活動する社会をめざすという「ノーマライゼーション」の理念を普及させる契機となりました。「ノーマライゼーション」の理念は、人はだれもが生まれながらにして、その尊厳と権利において平等であり、お互いの理解においてそれを保障し、共に生きていこうという考え方です。
 今後、「ノーマライゼーション」の理念の一層の定着を図り、障害者が住み慣れた地域や家庭で豊かな自立生活と社会参加が実現できるよう、必要な施策の展開を総合的・計画的に推進していかなければなりません。加えて、「完全参加と平等」をめざすには、障害者のライフステージの全ての段階において、全人間的な復権をめざすという「リハビリテーション」の理念を追求し、それぞれの人にとっての「生活の質」を高めていくことが必要です。

障害者福祉の目標テーマの図

*「ノーマライゼーション」
障害者や高齢者等社会的に不利を負う人々を当然に包含するのが通常(ノーマル)な社会であり、誰もが同等の権利を享受できるようにするという考え方・方法。
*「リハビリテーション」
心身に障害をもつ者の人間的復権を理念として、障害者の能力を最大限に発揮させ、その自立を促すために行われる専門的技術のこと。リハビリテーションには、医学、工学、職業、社会等の各専門分野があるが、障害者の人間的復権を図るためには、それら諸技術の総合的推進が肝要である。


第2章 計画の基本的考え方

(1)計画の基本理念

 徳島県では、「ノーマライゼーション」の理念と「リハビリテーション」の理念のもと、「ともに生きるぬくもりのある福祉社会をめざして:徳島県障害者施策長期計画」(平成7年3月策定)等に基づいて、障害者施策を推進してきました。
 しかし、「完全参加と平等」の目標の実現にはまだ残された課題が少なくありません。この計画の考え方を受け継ぎながら、新しい時代や具体的な地域のニーズにも対応できるよう、さまざまな課題等を考慮して、福祉・保健・教育・労働・都市整備等の各分野が連携し一体となって「行動」に結びつけていけるよう「障害者の人権が尊重される福祉のまちづくり」をめざします。
 そして、この考えかたをもとに、めざすべき地域像を以下のように設定します。


【計画の基本理念】
障害者の人権が尊重される福祉のまちづくりをめざして
障害者が自分の人生の主人公となることを妨げている要因を取り除き、必要なサービスを充実し、生活しやすい環境を整える等の総合的な施策の推進により、生き生きとした暮らしができるようまちづくりを進めます。
【めざす地域像】
思いやりの心で仲よくすみよい町づくりをめざして
(2)基本目標

 基本理念の実現を図るため、福祉まちづくりの基本目標を次のように設定します。

目標1.理解と交流の促進
 障害者に対する理解は少しずつ進んできましたが、まだ十分とは言えません。全ての人から「心のバリア」を取り除き、友人として共に地域に生きる姿をめざします。
 このため、障害や障害者についての啓発活動は重要であり、特に、スポーツ・レクリエーション・文化活動等を通し、交流の機会を拡充するなど日常的に啓発活動を推進し、地域の人々の正しい理解と認識を育みます。また、住民がボランティア活動に積極的に参加できるよう機会を拡充します。
目標2.教育と育成の充実
 障害のある子供がその可能性を最大限に伸ばすための適切な教育を提供することを基本に、積極的に社会に参加できる力の育成を図るよう努めます。本人や保護者が安心して進路を選択できるような体制を確立するために、医療・福祉・教育等関係機関との連携を強化していきます。
目標3.雇用・就業の促進
 障害者が働く場を得て社会経済活動に参加し、自立した生活を確保することは、生活の糧を得る手段としてだけではなく、生きる喜びにつなぐための基本です。
 そして、働く意欲を持つ障害者の適性と能力に応じた働く権利を保障していかなければなりません。障害者の雇用・就業を促進するために、事業主や共に働く人々の理解を得られるような体制を確立するとともに、福祉的就労機会の拡充を進めます。
目標4.保健・医療の充実
 保健・医療体制は、新生児から高齢者まで、そのライフステージに応じた適切な時期に適切な対応ができることが必要です。さらに、社会復帰を図るためのリハビリテーション医療の拡充が必要です。
 また、在宅の障害者本人の危機的状況や家族の緊急事態に対応できるようなシステムづくりを、保健・医療・福祉等の関係機関が連携し積極的に推進していきます。
 精神障害者についても、心の健康教育等を通じて、社会復帰の促進に努めます。
目標5.福祉サービスの充実
 「完全参加と平等」を実現するには、障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、きめ細かな福祉サービスの充実が必要です。その障害に応じた各種の福祉サービスを提供するために、積極的に各種施策を推進していきます。また、高齢者施策として実施している事業についても、障害者が利用できるようにするなど柔軟な対応をめざします。さらに、障害者福祉を推進するためには、福祉人材の確保が必要です。障害者のニーズに対応した福祉人材の養成・確保を進めます。
目標6.生活環境の整備
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、障害者を取りまく生活環境の整備が不可欠です。今後は、まちづくりにおける障害者への配慮とアクセスの連続性の確保とともに、積極的に啓発を行って、公共施設はもとより民間施設においても一層の理解と協力が得られるよう努力していきます。
 また、地域生活の基本となる障害者も住みやすい住宅の確保、道路や移動手段の整備、災害時における安全対策を含めて総合的な環境整備を行っていきます。

第3章 計画の基本的視点

 基本理念である「障害者の人権が尊重される福祉のまちづり」をめざして、5つの基本目標の実現のために、施策を推進していきますが、推進にあたっては、次の3つを基本的視点とします。

(1)障害者の主体性・自立性の確立

 障害者の主体性の発揮と自立性の確保を支援し、社会活動への積極的な参加を促し、能力が十分発揮できるような施策・事業の立案と推進に努めていきます。

(2)障害の重度化・重複化及び障害者・介護者の高齢化への対応

 障害が重く重複しているため常時介助・介護が必要な障害者が、基本的人権を尊重されるよう、生活の質の向上に必要な支援に努めます。
 また、人口構造の高齢化に伴い、障害者自身の高齢化やその介護者の高齢化が同時に進行しています。今後の施策展開にあたっては、障害者の重度化・重複化や障害者・介護者の高齢化に基本的な視点を置き、必要な施設整備等を高齢者福祉との連携を図りながら、総合的・体系的に推進していきます。

(3)広域的連携の推進

 三好郡の8町村は、いずれも人口規模も小さく財政的にも豊かとは言えません。しかし、障害者のニーズに対応する福祉サービス等の拡充は、その必要性の上からも推進していかなければなりません。そこで、西部第2障害保健福祉圏(三好郡)の中で、相互に協力しあい、必要なサービスが適切な生活圏において不足なく利用できるよう町村間の調整・役割分担を進めます。

(4)住民参加の推進

 障害者施策の推進については、今後も行政が中心となって取り組んでいくべきことは言うまでもありませんが、地域の住民、企業、団体等社会のすべての構成員が障害や障害者を理解し、障害者を取りまく問題に取り組んでいく必要があります。こうした取り組みができるよう、施策・事業を推進していきます。

第4章 施策の体系

 基本理念に基づく基本目標を実現するために推進する施策の基本方向については、基本目標毎に体系を次のとおり構成し、総合的・計画的に展開していきます。

全体的な施策体系図
<基本理念> <基本目標> <施策の基本方向>
障害者の人権が尊重される福祉のまちづくりをめざして 1.理解と交流の促進 普及・啓発活動の充実
福祉教育等の充実
交流・ふれあいの促進
2.教育・育成の充実 就学前教育・療育の充実
学校教育の充実
3.雇用・就業の促進 職業能力の開発
雇用の促進と安定
福祉的就労対策の充実
4.保健・医療の充実 障害の早期発見・早期療育の推進
医療・リハビリテーションの充実
精神保健対策の充実
5.福祉サービスの充実 在宅福祉サービスの充実
施設サービスの充実
生活安定のための施策の充実
ひとづくりの推進
6.生活環境の整備 福祉環境の総合的推進
住宅・生活環境の整備
交通・移動手段の整備充実
防災体制の充実

第5章 重点プロジェクトの抽出

 各種の施策の内、全体をリードする役割を担うものとして、特に重点的に取り組むプロジェクトを次の5つとし、積極的に推進します。

  1. 市町村障害者生活支援事業の導入
  2. 市町村障害者社会参加促進事業の導入
  3. 障害者デイサービス事業の実施
  4. 心身障害者小規模通所作業所の確保
  5. 精神障害者関係の施策充実

基本計画

第1章 理解と交流の促進

第1節 普及・啓発活動の充実
第2節 福祉教育等の充実
第3節 交流・ふれあいの促進

第1節 普及・啓発活動の充実

「現状と課題」

 障害や障害者についての関心を高めるため、町広報での「ふれあいまちづくり事業」への参加の呼びかけや「障害者の日」等の掲載、県パンフレット等の配付を行っていますが、全般には十分とは言えない状況にあります。
 「障害者に対するアンケート調査、平成9年」では、障害者への理解が深まったと考える人が56.3%程度と以前に比べ改善している様子が伺えますが、一方、「精神障害者の社会復帰ニーズ調査、池田保健所、平成9年」での一般住民向けアンケートでは、啓発活動の必要性を答えた人が64.8%となっており、今後、共に生きる社会をめざして、正しい知識と理解の普及をめざすことが必要です。
 障害者に対する広報活動としては、まだまだ十分とは言えない状況にあり、点字や音声等を含め情報提供を促進していく必要があります。また、障害者福祉サービスの利用方法については、県発行のしおり等を配付していますが、生活圏の中で利用できるサービス内容や施設など具体的な情報提供を促進する必要があります。
 広聴活動に関しては、各障害者団体等を通じ実施していますが、一層の促進が必要です。さらに、障害者福祉施策の企画段階においては、当事者としての十分な意見の反映が必要であり、委員参加をはじめ意見の反映などを進めることが重要です。

「基本方針」

 「ノーマライゼーション」の理念を実現するために必要な啓発活動を行うとともに、障害者への情報提供・広聴体制を強化していきます。

「主要施策」

(1)広報活動の充実

○「広報みよし」等を積極的に活用し、障害や障害者について町民の正しい理解が得られるよう努めるとともに、障害者理解のためのパンフレット等の提供を進めます。
○地域で展開する健康教育を利用し、障害者への正しい理解が広がるよう、直接的な啓発の場を設けます。
○市町村障害者社会参加促進事業の広域的な導入により、ボランティアの育成を進め、点字広報や声の広報などをニーズに応じて発行します。

(2)障害者の日等の普及

○「障害者の日(12月9日)」の周知徹底を進めます。また、県事業への参加を継続するとともに、身近な交流イベント等の開催に向け努めます。

(3)広聴活動の推進

○アンケート調査の実施・相談窓口の開設等により、障害者を含む多くの町民の意向を把握し、障害者福祉施策に反映させます。
○障害者施策の実施や計画にあたっては障害者の参加を得て進めていきます。

(4)障害者向けの情報提供の推進

○わかりやすいPR活動を行うために、関係機関と連携し、教育・保健・医療・福祉・レクリエーションなどの内容や利用方法等についてのパンフレットを作成配布します。
○パソコンのマルチメディア化などに伴い、インターネット等を利用した画像情報なども含め、効果的な情報提供手段について研究していきます。

第2節 福祉教育等の充実

「現状と課題」

 障害児教育や社会福祉への理解の推進を図るため、本町の1校が福祉教育協力校に指定されています。中学校の末広共同作業所への訪問、東山小(ボランティア協力指定校)のボランティア活動、足代小運動会へのみよしの山荘入所者の招待、増川小のデイサービスセンター訪問などを通じ、高齢者や障害のある人とのふれあい機会を設けるなど、学童期からの交流教育の場の確保に努めています。
 今後、本町からも入所・就学している池田学園や国府養護学校池田分校等との交流教育を進めるとともに、障害児学級の開設を通し、地域でのふれあいの機会を拡充し「共に生きる社会」の促進を図ることが望まれます。
 生涯学習やレクリエーション活動においては、障害のある人が参加できるよう条件整備の促進に努め、日常的にふれあう機会を拡充していくことを重点目標とし、また精神保健講座など障害に関する学習機会の提供や社会福祉協議会による福祉教育の展開等を進めていくことが必要です。

「基本方針」

 児童・生徒をはじめとして、全町民が、障害者や高齢者に対して正しい認識を持ち、お互いの立場や心情を思いやり、お互いの人権を尊重し、相互に協力しあう精神や態度が育めるよう、福祉教育等を推進していきます。

「主要施策」

(1)心身障害者理解教育の充実

○福祉教育協力校の指定拡大等により、社会福祉施設での体験学習や障害児との交流教育の促進を図ります。

(2)福祉教育の普及

○全世代にわたって、家庭・学校・職場・地域社会の様々な場面において、福祉教育を推進するため、保健・医療・福祉・教育等の行政機関や社会福祉協議会との情報交換を密にし連携を強化します。
○障害者(児)に関する教育カリキュラムを作成し、社会福祉協議会の事業において、教育関係者の理解を得て、福祉教育の機会を増やしていきます。
○障害者問題の理解や交流の促進がより進展するよう、障害者による発表機会の確保やレクリエーション等を通した交流機会の拡充を図ります。
○町職員に障害者(児)理解を深めるため、研修機会を拡充します。

(3)児童・生徒のボランティア活動の普及

○児童・生徒の社会福祉への理解と関心を深めるため、ボランティア活動普及協力校を指定し活動を推進します。

第3節 交流・ふれあいの促進

「現状と課題」

 障害のある人の社会参加や交流の促進を目的に、各種スポーツ・レクリエーション・文化活動の参加機会の拡充を進めています。県や郡単位の各種スポーツ・レクリエーション大会や講習会などへの参加とともに、本町で開催される町民体育祭、三好町ふれあい大運動会、ふれあい夏まつりなどがあります。また、町身体障害者会のスポーツ講習会・卓球クラブや町知的障害者育成会「あすなろ会」のボーリング大会・ぶどう狩りなどをはじめ、郡心身障害児父母の会「あゆみ会」のサマーキャンプ、郡精神障害者家族会「やまなみ会」及び在宅精神障害者との交流会、社会福祉法人池田博愛会等による博愛まつりなど障害者団体や施設による行事が活発化しています。
 しかし、これらのスポーツ・レクリエーション活動に参加したことの無い人も多くあるとともに、地域の行事や祭事についても大半の人は参加していない状況にあります。
 今後、各種活動機会への参加呼びかけの促進、障害者団体等による活動を支援していくことが必要です。また地域行事への参加促進に向けて、障害者を含む近隣住民のネットワーク形成を進める取り組みが必要です。
 現在、ボランティア連絡協議会に133名(平成8年)が登録しており、主に高齢者を対象とした食事サービスや「クローバーの会」等による各種行事の援助などが実施されています。また、障害者団体によるボランティア活動の参加もあります。
 今後、近隣単位やグループ・団体単位のボランティア活動の促進をめざし、ボランティア活動メニューの拡充や参加機会の拡充をはじめ、障害者のコミュニケーション手段の拡充等に資する専門的なボランティアの確保に努めることが必要です。

「基本方針」

 障害者が積極的に、文化・スポーツ・レクリエーション活動に参加できるよう条件整備に努めるともに、地域住民との交流を促進します。
 ボランティア活動の振興を図るため、ボランティアグループを支援します。

「主要施策」

(1)スポーツ・文化・レクリエーション事業の推進

○ふれあい大運動会などだれもが参加できるスポーツ・レクリエーション大会等を開催するとともに、一般の活動への参加を呼びかけていきます。
○県・郡・社会福祉協議会、障害者団体等の開催するスポーツ・レクリエーション活動の情報提供を促進します。

(2)地域行事・祭事への参加の促進

○地域行事等への参加の呼びかけをはじめ、参加支援を図るため近隣住民のネットワーク形成を進めます。
○地域の役員等への障害者の登用を促進し、地域社会に入っていきやすい雰囲気づくりに努めます。

(3)家族会・障害者団体の交流会等の促進

○会員以外も含め各障害者団体等で実施されている活動の周知を図るとともに活動の促進や相互連携等に向けた支援を進めます。

(4)障害者団体等の連携組織の育成

○障害者団体等の相互連携及び行政との協力体制の強化をめざし、障害者団体連絡協議会等の組織化に向け支援を進めます。

(5)ボランティア活動の推進

○ボランティア活動の活発化をめざし、各種のボランティア機会の開発に努めます。

第2章 教育・育成の充実

第1節 就学前教育・療育の充実
第2節 学校教育の充実

第1節 就学前教育・療育の充実

「現状と課題」

 障害児が生き生きと個性を発揮し、その能力を最大限に伸ばしていくには、成長の各段階において、障害児一人ひとりの障害の状況に応じた多様な教育・育成の場と機会が必要です。
 本町の保育所では、平成7年度より障害児(3名)を受け入れ障害児保育を行っています。また、精神薄弱児通園施設「池田療育センター」等への通所や同施設の外来療育相談事業(週1回程度)・訪問療育などがあります。
 また、母子保健サービス分野では、障害の早期発見・早期療育を図るため健康診査等を実施するとともに、保健所の発達相談事業や障害児を持つ保護者を支援するため、障害児父母の会「あゆみ会」や心身障害児交流会「チビッ子倶楽部」への参加へとつなげています。さらに、町教育委員会による教育相談や就学指導、県巡回就学相談などが実施されています。
 今後、幼児の発達段階や障害状況に適した教育・育成機会が提供されるよう、また保護者の支援も含め、地域の中で共に育っていくことのできる条件を整備することが必要です。このため、保育所においては受け入れ体制の充実を進めるとともに、保健サイドからの地域での育児支援機能の拡充、保健所や医療機関・福祉施設・学校など関係機関の連携強化が求められます。

「基本方針」

 就学前障害児の適切な療育・教育を進めるとともに、地域との関係の中で、安心して子育てができるよう条件整備を進めます。
 適切な就学ができるよう、就学前からの教育相談の充実を図ります。

「主要施策」

(1)障害児保育の促進

○保育所・幼稚園における障害児受け入れ環境を充実するため、保母の加配や民間施設への助成の促進、専門研修などを進めます。
○母子保健事業との一体的推進や福祉施設など関係機関の連携の強化を進め、地域育児支援機能を強化します。

(2)心身障害児通園事業の充実

○在宅の障害児の日常生活における基本的動作の指導や集団生活への適応訓練等を行う通園事業の充実を図ります。

(3)障害児就学前教育相談の充実

○保護者・障害児が指導援助を受けるために、各種相談事業の充実を図るとともに、教育委員会等による訪問相談の実施など相談体制を強化します。

第2節 学校教育の充実

「現状と課題」

 平成9年現在、本町の障害児学級は、小学校に1学級があり、1人が在籍しています。このほか障害児教育諸学校としては、知的障害児の養護学校である県立国府養護学校池田分校をはじめ、県内に8校2分校が設置されています。
 学校では、障害を持つ児童・生徒の発達の程度や、障害の程度に応じた適正な就学指導に努めていますが、就学前の障害児を持つ保護者には就学や、学校生活に不安を持つ人も少なくありません。また、人数が少ない場合などで障害児学級の設置が困難となり、地元の学校に就学しにくい面もあります。
 学齢児の保護者を中心とした「障害児アンケート、池田保健所、平成8年」では、学校に望むこととして、日常生活面で自立できるような教育の充実や障害児専門の先生の確保、地元への障害児学級の設置希望などが多く見受けられます。
 今後、県下障害児教育諸学校への通学が困難であることも考慮し、できるだけ身近な場所での障害児学級の開設に努めるとともに、障害に適した教育内容や指導方法の充実、養護・訓練機能を拡充、専門教員の確保・教職員研修の促進などを進めていくことが必要です。また、学校の施設環境に関しても、充分配慮したものへと整備し、全ての児童・生徒が安心し、楽しく学校生活が送れるよう条件を整えていくことが重要です。
 義務教育学校卒業後については、県内の県立特殊教育諸学校(8校2分校)や一般の高等学校への就学、職業能力開発校、就業等といった多様な進路が選択されていますが、この点も保護者にとっては大きな関心事といえます。このため、一般高等学校への就学の拡大をはじめ、スムーズな就業や生活の場の確保をめざし、関係機関との一層の連携が求められます。

「基本方針」

 児童・生徒が能力を最大限に伸ばし、充実した学校生活が送れるよう教育内容や相談体制の充実を図ります。
 職業教育の開発・実践と、労働及び福祉の分野と連携しながら障害の実態に応じた進路指導に努めます。

「主要施策」

(1)教育方法・内容の充実

○障害児がその可能性を伸ばし、将来、自立した生活を送ることができるよう、生活技術の基礎・基本を習得できる教育を進めます。
○障害児学級の開設を促進するとともに、内容の充実に努めます。

(2)就学相談・指導体制の充実

○障害児一人ひとりの実態に即した就学を進めるため、本人・保護者の意向を尊重しながら適切な就学指導に努めます。また、重度障害児の教育機関を保障するよう努めます。
○多様な教育相談に対応できるよう、県の巡回教育相談の活用を進めるとともに関係機関との連携を深め、教育委員会において教育相談体制を整えます。

(3)特殊教育・教育課程研究の推進

○障害児担当教職員の資質向上を図るため、各種研修会への参加を促進するとともに、専門的知識等を習得する派遣研修を促進します。

(4)学校施設・設備の改善

○障害を持つ児童・生徒が安心して楽しく学校生活が送れるよう、スロープ・手すり・車いす専用トイレ等を設置するほか、学校設備等を改善します。

(5)進路指導の充実

○池田公共職業安定所、県障害者職業センター及び各企業や障害者小規模共同作業所・施設等関係機関との連携を強化し、進路の拡大及び進路指導の充実を図ります。

第3章 雇用・就業の促進

第1節 職業能力の開発
第2節 雇用の促進と安定
第3節 福祉的就労対策の充実

第1節 職業能力の開発

「現状と課題」

 障害者の就業や職業的自立を促進するためには、職業能力の開発が重要です。
 現在、徳島障害者職業センターや県職業能力開発校での職業訓練、特殊教育諸学校高等部での職業教育をはじめ、福祉施設・障害者小規模共同作業所による取り組みが行われています。
 また、精神障害者の就労を促進するため、郡内の民間8企業の協力を得て、池田保健所が通院患者リハビリテーション事業を実施しています。
 このほかに、民間企業に委託して行う職場適応訓練などもありますが、全般に協力事業所の開拓が必要な段階にあります。
 今後、障害者の職場の開発とともに、県機関等による職業訓練の促進や福祉施設・障害者小規模共同作業所における職業訓練機能の確保などを促進していくことが望まれます。

「基本方針」

 障害者の能力や状況に応じた職業能力開発の機会を確保するため、関係機関との連携を強化し、訓練機関の紹介をはじめ協力事業所の開拓に努めます。

「主要施策」

(1)関係機関との連携強化

○徳島障害者職業センターをはじめ、池田職業安定所や池田保健所等との連携を強化し、機関の紹介等を進めます。

(2)通院患者リハビリテーション事業等の促進

○池田保健所・池田職業安定所などと連携し、通院中の精神障害者の社会適応訓練などを実施する通院患者リハビリテーション事業や職場適応訓練などの協力事業所の開発を進めます。

第2節 雇用の促進と安定

「現状と課題」

 障害者の雇用が義務づけられている民間企業の身体障害者雇用率は、三好郡内では1.68%(池田公共職業安定所調査、平成9年6月)と法定雇用率(1.6%)を上回ります。またその他の企業も含め、就業している身体障害者は161人、知的障害者は31人(平成9年10月)となっています。また、公共団体の法定雇用率は2%となっており、本町での雇用率が常時上回るよう努めなければなりません。
 障害者アンケートからは、本町の回答者のうち福祉的就業も含め仕事をしている人は3割程度、また広域的には就業年齢(18歳~64歳)の人で、仕事をしている人が4割程度となっています。その内容としては家の仕事が約5割りを占めており、企業等へ就業している人はあまり多くはないのが現状です。
 現在、障害者の雇用を促進するための施策としては、池田公共職業安定所が窓口となり、特定求職者雇用開発助成制度をはじめ障害者雇用継続助成金や合同求人選考会などにより、障害者雇用協力事業所の拡大、職場の斡旋・紹介・相談業務を実施しています。
 今後、県機関との連携を強化しながら、町内事業所への障害者雇用優遇諸制度の周知と協力事業所の拡大に努めるとともに、障害者が働きやすい職場環境づくりを進めることが必要です。また、町は、民間事業所に率先し障害者雇用を促進すべき立場にあり、計画的な障害者の採用を進める必要があります。

「基本方針」

 企業に対し、障害者雇用の促進を図り、法定雇用率が達成できるよう働きかけます。
 町では、法定雇用率を上回る雇用をめざして、計画的な採用を進めます。
 障害者のニーズに応じた職業相談を行い、就労の促進を図ります。

「主要施策」

(1)雇用啓発事業の重点的推進

○障害者の雇用について、正しい理解と認識を深めるために、広報紙等を活用し啓発活動をより一層推進します。
○パンフレット等の配布を進めるとともに、県主催の巡回キャンペーン等の周知を図ります。

(2)公共団体等での雇用の促進

○町における障害者雇用を促進するとともに、社会福祉協議会など公的団体を含め、障害者の職域開発や多様な就業形態の開発を進め、雇用拡大に努めます。

(3)企業に対する指導の強化

○池田公共職業安定所と連絡を密にしながら法定雇用率未達成企業に対し、雇い入れに関する指導援助を強化し、未達成企業の解消に努めます。
○職場適応訓練制度の導入促進などを通し、企業側の受け入れ能力を高める取り組みを進めます。

(4)障害者に対する就業相談、指導の充実

○障害者に対しての就業相談会の実施・指導等を池田公共職業安定所と協力して開催します。
○町内でのパート・アルバイト情報の収集・流通に努め、多様な就業機会の確保を進めます。

第3節 福祉的就労対策の充実

「現状と課題」

 一般企業等への就業が困難な障害者についても、様々なかたちで仕事を通じて社会との係わりや、職業に就くために必要な技術等を習得する場が必要です。
 三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)等により、平成2年には「すずらん共同作業所」(山城町)が、平成3年には本町において「末広共同作業所」が開設されています。これら精神障害者小規模共同作業所では、地域で自立した生活を送るために、仲間づくりの輪を広げることや、生活リズムを整えたり、簡単な作業を指導したりしています。また「末広共同作業所」は、障害者と地域住民との交流拠点として大きな役割を果たしています。
 一方、知的障害者や身体障害者のための授産施設は広域的にも設置されておらず、精神障害者小規模作業所についても通勤等を考えた場合、不十分な状況にあります。
 今後、送迎手段等も考慮しながら自宅から通うことのできる地域において、福祉的就業の場を確保していくことが必要です。このため、近隣町や広域市町村圏、関係団体との協議の中で、地域的な配分や補助制度の活用等を留意した上、設置に向け準備を進めることが必要です。
 また、自宅の仕事を希望する人が相当数いますが、これに対する援助は現段階ではほとんどない状態です。
 今後、障害者小規模共同作業所での授産事業の安定化や福祉施設での作業訓練、在宅就業の促進など就業の多様性を拡大するため、製品受注・手作り産品の開発、販路の確保などをめざし、関係諸機関との連携の中で、総合的に取り組んで行くことが望まれます。

「基本方針」

 障害者が、その適性と能力に応じて就労できるように就労支援の充実を図ります。

「主要施策」

(1)障害者小規模共同作業所の充実

○精神障害者小規模共同作業所「末広共同作業所」への空き公共施設の貸与の検討も含め施設環境の充実に努めます。
○一般事業所への円滑な就業がはかられよう、職業訓練や生活指導など機能の充実に向けた支援を促進します。

(2)福祉的就業の場の拡大

○一般就業が困難な障害者に向け、障害者団体や近隣・広域町村との協議の上、心身障害者小規模作業所等の設置を進めます。
○障害の枠にとらわれない作業所運営の可能性について、関係諸団体・機関と検討を重ねるとともに、指導員の確保や福祉施設のバックアップ体制の確立などに努めます。

(3)授産事業への支援

○町内・広域事業所・農家等からの受託作業、公共施設等の清掃等作業情報が円滑化するよう広域的な調整システムの確立を研究します。
○手作り作品等を含めた独自授産品の生産を促進するともに、各福祉施設等との相互委託販売制度の導入や福祉の店の設置支援などを通し、安定した授産事業の確立に努めます。

(4)通所手当ての支給促進

○作業所の通所者支援に向け、交通費の半額補助を継続します。

(5)自営業に対する資金援助の検討

○生活福祉資金の貸付制度などにより操業支援融資、運営資金等を低利で貸付けるなどの援助を検討します。

第4章 保健・医療の充実

第1節 障害の早期発見・早期療育の推進
第2節 医療・リハビリテーションの充実
第3節 精神保健対策の充実

第1節 障害の早期発見・早期療育の推進

「現状と課題」

 障害の発生予防や早期発見・早期療育、健康づくりについては、大きくは母子保健と老人保健分野に分けられます。特に、平成9年度からの母子保健事業の市町村実施に伴い、ライフステージに沿った包括的健康づくりの確立が必要となっています。
 母子の健康づくりとしては、妊婦健康診査や母親学級をはじめ、各期の健康診査・相談事業・訪問指導を実施し、経過観察等が必要な場合などには県・保健所による乳幼児発達相談指導事業・育成医療給付・心身障害児交流会「チビッ子倶楽部」や心身障害児父母の会「あゆみ会」等へとつなげています。また、障害の早期発見・療育につなげるマススクリーニング検査及び健康診査については、全員受診に向けての取り組みを必要としています。
 さらに、病気や障害をもつ小児への一貫した支援を促進するため、学校保健や関係機関との連携の中で療育システムの強化を図るとともに、全ての母子が安心し共に子育てができるような地域条件の整備に向け、育児支援機能の充実を必要としています。
 成人・老人保健面では、40歳以上(一部30歳以上)を対象に、各種の健康教育・健康相談・健康診査を実施し、脳卒中などの後遺症による後天的障害の発生予防に努めています。今後、特に日常生活の改善を図り生活習慣病の予防をめざし、取り組みを強化していくことが必要です。

「基本方針」

 障害の早期発見・早期療育を図るため、母子保健対策を総合的に推進します。
 健康教育を推進し、生活習慣等による疾病・障害の発生を予防します。

「主要施策」

(1)母子健康診査事業の充実

○妊婦に対し、母子健康手帳の交付・健康診査を実施します。未受診者に対する対策等、妊婦の健康管理を充実します。
○乳幼児の成長段階に応じて健康診査を実施し、障害の発見及びフォロー体制の充実を図ります。
  • 妊婦健康診査
  • 乳児健康診査
  • 1歳6カ月児健康診査
  • 3歳児健康診査
  • B型肝炎母子感染防止事業
  • 神経芽細胞腫検査
  • 先天性代謝異常検査

(2)母子相談指導事業の推進

○保健婦・助産婦等により、各種健康教育及び訪問指導を実施し、母子の育児支援と病気や障害の早期発見・早期療育、発生の予防に努めるとともに、関係機関との連携を図りながら適切な療育指導へとつなげていきます。
  • 母親(両親)学級
  • 乳児相談
  • 家庭訪問(妊産婦・乳幼児)

(3)障害児療育システムの充実

○個々の障害児が必要な療育を受けることができるように、保健所等関係機関との連携を強化し、県事業へとつなげて行きます。
○広域的施設機能を活かした障害児(者)地域療育等支援事業を充実します。
○障害児の保護者団体への支援を充実します。
  • 心身障害児交流会「チビッ子倶楽部」
  • 三好郡心身障害児父母の会(あゆみ会)の支援
  • 肢体不自由児巡回療育相談
  • 施設による外来療育相談
  • 訪問療育
  • 施設による短期療育事業(池田療育キャンプ)
  • 障害児(者)関係者会議(保健所)

(4)育児支援の充実

○ぞうさんクラブなど自主育児サークルの活動支援により、全ての母子の相互相談機会の拡充に努めます。
○離乳食実習等と組み合わせた育児教室の設置、電話・訪問育児相談の強化、育児支援ボランティアの育成、心理判定員など専門職の確保により、地域の中で安心して子育てができる支援策を強化します。
○これらの子育て支援拠点として保健センター等に機能整備を進めます。

(5)成人期の健康づくりの推進

○各種健康診査受診のPRをはじめ、健康手帳の活用、健康教育・相談事業の充実を図ります。
○障害者の健康診査の受診のしやすさを高める配慮に努めるとともに、訪問健康診査の活用に努めます。
○在宅重度重症心身障害児(者)訪問診査などを促進します。

第2節 医療・リハビリテーションの充実

「現状と課題」

 本町の医療機関は、医院2、診療所1ですが、車で10分程のところに県立三好病院があります。障害者アンケート調査では、本町の障害者の約2割は「入院中あるいは入院することがよくある」、5割強の人は「時々病院でみてもらう」となっており、高齢化の進展とともに医療・リハビリテーション(機能回復訓練)の需要が拡大しています。
 機能回復訓練事業としては、老人保健事業として老人福祉センター(中央公民館)と三好町デイサービスセンターで実施し、また保健婦の訪問指導による日常動作訓練などもありますが、40歳以下の障害者に対する専門的訓練は一部の医療機関で実施されるもののみです。
 今後、デイサービスセンター等での障害者利用の配慮を進めるとともに、広域圏の中で身体障害者デイサービスセンターなどの設置を検討し、専門的な機能回復訓練を充実していくことが望まれます。
 また、障害等を持つ人に対する各種医療給付制度がありますが、重度心身障害者医療費助成を受給している人は99人(平成8年2月26日現在)、小児慢性特定疾患医療や特定疾患医療を受給している難病患者が合わせて34人(平成9年4・5月)となっています。今後、これらの制度の普及を促進するとともに、保健所等との協力の中で地域生活を支援していく体制の整備が望まれます。

「基本方針」

 心身障害者や難病患者とその家族が、安心して生活できる医療支援体制の整備を促進します。
 救急医療を含め、関係医療機関・医師会との連携を一層強化し、医療及び歯科医療体制の整備に努めます。
 障害者の医療費負担を軽減するため、一層の充実を国・県へ働きかけます。

「主要施策」

(1)訪問指導・健康相談の充実

○保健婦・看護婦等により、在宅心身障害者や難病患者やその家族を訪問し、精神的支援や療養上の介護・看護方法の指導・援助等を積極的に行います。

(2)難病患者地域保健医療推進事業の充実

○難病患者とその家族に、難病専門の医師・保健婦・ケースワーカーによる医療相談事業を含めた地域保健福祉医療推進事業(保健所)をPRしていきます。
○高齢者サービス調整会議等を活用したケースワークを実施し、生活支援サービスの提供などを促進します。

(3)機能回復訓練事業の充実

○病院を退院後の身体障害者に向け、個別・集団の訓練により、機能の維持向上や交流を深めるなど地域生活に適応できるよう、障害レベル・年齢に応じた指導を充実します。
○広域的な身体障害者デイサービスセンター等の設置・通所バスの運行に向け調整していくとともに専門的・継続的なリハビリテーションの実施を検討します。

(4)地域保健医療計画の推進

○西部2保健医療圏地域保健医療計画に基づき、地域における総合的な保健医療供給体制の計画的な整備を推進します。
○地域保健医療計画に基づき救急体制が整備されるよう働きかけます。
○医師及び専門技術者が確保されるよう働きかけます。
○医師会等の協力により関係機関相互の連携強化が図られるよう働きかけます。

(5)在宅医療体制の整備

○在宅で安心して療養できるように夜間・休日等の体制の整備や訪問看護等が充実するよう働きかけます。

(6)歯科医療体制の充実

○歯周疾患の予防等を中心に、口腔衛生知識の普及を図ります。
○歯科医師会の協力を得て、訪問診療が実施できる体制づくりを検討します。

(7)医療費の給付等

○精神科医療において、外来診療に関する医療費を負担する通院医療費公費負担制度(保健所事業)の周知を図ります。
○重度心身障害者医療助成として、重度障害児(者)が診療を受けた場合の一部自己負担分を助成します。
○心臓疾患・腎臓疾患等の更生医療制度(18歳未満等は育成医療制度)の周知を図ります。
○特定疾患・小児慢性特定疾患医療費公費負担制度(県事業)の周知を図ります。

第3節 精神保健対策の充実

「現状と課題」

 精神障害者は特別な存在ではなく、医療の対象であるとともに生活していくうえでたくさんの困難を抱えている「生活障害者」であるといった意識が定着しつつあります。また、全ての住民が精神保健の対象であり、心の健康を保持するため、様々な取り組みがなされつつあります。
 しかし、精神障害に対する誤解や偏見により、自立や就労が可能でありながらも、地域社会での生活がしにくい状況が続いていました。
 このような中で、本町においては、三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)による、小規模共同作業所「末広共同作業所」(定員20人週5日)が、町営住宅を利用し平成3年に設置されました。小規模共同作業所は、地域で自立した生活を送るために、通所により、仲間づくりの輪を広げたり、生活リズムを整えることや簡単な作業を行う場として機能しており、保健所・町等の連携や、ボランティアグループのクローバーの会などの協力により運営されています。また、平成6年には県下2番目に開所した、グループホーム池田(定員6名男性)が隣町の池田町に設置され、医療機関の協力のもとに、地域での生活が定着しています。
 このほかに、社会復帰を促進するために池田保健所の精神障害者社会復帰相談指導事業(生活指導等月3回)や通院患者リハビリテーション事業(職業リハ)、保健婦による訪問指導・精神保健相談、医療機関による精神科デイケア等が実施されています。
 なんらかの精神病にかかる人は、おおよそ100人に一人といわれますが、精神障害者保健福祉手帳や通院医療費公費負担制度など諸制度を利用している人はそのうち一部の人という状況にあります。これら諸制度の普及をはじめ、今後、地域の中で社会復帰ができるよう保健所等と協力しつつ生活の場の確保と支援サービス体制の確立を中心とした保健福祉施策を推進していくことが望まれます。
 さらに、心の健康に関する学習やボランティアの育成を図る精神保健福祉講座の開催や思春期精神保健施策等への取り組みを促進し、精神障害への理解を広げていくことが必要です。

「基本方針」

 精神保健知識の普及・啓発を推進し、精神障害者の社会復帰を進めるための体制整備に努めます。

「主要施策」

(1)精神障害者小規模共同作業所等への支援

○末広共同作業所の運営を支援するとともに、作業所環境の改善や事業拡大に向け、家族会とともに検討を重ね、社会復帰・交流の場としての機能を拡充していきます。
○職業訓練などを実施する精神障害者授産施設(通所)については、保健所や医療機関みよしの山荘等との連携の上で、広域的な確保に向け検討します。
○作業所と授産施設は類似機能もあり地域需要や運営手法等についての充分な調査検討を行います。

(2)グループホームの確保

○家族会をはじめ、保健所・支援医療機関・近隣町等との連携の中で、広域的に複数施設の確保に向け努めます。

(3)地域生活支援事業(地域生活支援センター)の確保

○給食サービスなど日常生活支援・相談体制・交流機能などを拡充するため、関係医療機関と充分な連携をとりながら、広域圏の中で地域生活支援センターの確保に努めます。

(4)精神保健知識の普及・啓発

○精神保健に対する関心や理解を促進するため、県精神保健福祉センター・池田保健所・関係施設等による組織化に向け協力していきます。
○健康まつり等町事業や保健所で実施している精神保健福祉講座・家族教室などへの参加により学習機会を拡充していきます。
○学童期・思春期・成人などライフステージに応じた心の健康教育等を通じ、精神保健知識の普及を図ります。

(5)社会復帰相談指導事業等の充実

○保健所による社会復帰相談指導事業(保健所デイケア)・精神保健相談等や医療機関による精神科デイケアの拡充を要請していきます。

(6)家族会等への支援

○家族会活動のPRや作業所でのふれあい行事への支援などを通じ、地域住民の理解を深めることに努めます。

(7)各種福祉サービス対象の拡大要請

○手帳制度の創設に伴い、他障害者が利用している福祉サービスの適用に向け、関係諸団体と連携し国に要望していきます。

第5章 福祉サービスの充実

第1節 在宅福祉サービスの充実
第2節 施設サービスの充実
第3節 生活安定のための施策の充実
第4節 人づくりの促進

第1節 在宅福祉サービスの充実

「現況と課題」

 障害者に対する諸制度・福祉サービスなど障害者施策は多岐にわたり、サービスの実施や相談も多様な機関がかかわっています。現在の最も身近な相談窓口としては、身体障害者相談員(2名)・精神薄弱者相談員(1名)、民生・児童委員等を委嘱するとともに、役場福祉担当窓口・教育委員会・保健婦・在宅介護支援センター、社会福祉協議会等となります。これらを含め地域において社会生活に欠くことがないよう、相談機能の充実が必要です。
 主な在宅福祉サービスとしては、ホームヘルパー(7名)の派遣、三好町デイサービスセンターさざんか荘での入浴・給食等サービスなどを実施しています。
また、身体障害者補装具の交付・修理、日常生活用具の給付等を行っています。
 現在、本町のホームヘルプサービスやデイサービスなどは在宅老人福祉対策事業として実施しており、その利用者は高齢者がほとんどを占め、若年層の障害者の利用は少数です。
 今後、重度障害者の在宅化の傾向も強まることから、介護型を中心としたホームヘルプサービスの拡充や町内高齢者施設を利用するデイサービスの拡充などに取り組むことが必要です。
 また、広域的にサービス需要や通所区域等を勘案しながら身体障害者デイサービス事業・ショートステイ事業の実施を検討する必要があります。さらに、福祉施設(池田学園等)の専門的な機能を活かし、市町村障害者生活支援事業の導入により、在宅福祉サービスの利用援助や社会生活訓練プログラムなどを実施する生活支援センターの設置を進めていくことが求められます。

「基本方針」

 障害者の相談に応じ、必要な指導や助言を行うことができるよう相談体制の充実を図ります。
 地域社会において自立し主体的な生活が送れるよう、ホームヘルプサービス事業等在宅サービスの一層の充実に努めます。
 日常生活用具等福祉機器の普及を図り、障害者の日常生活の利便に努めます。

「主要施策」

(1)専門相談体制の充実

○身体障害者相談員、児童相談所、保健所の精神保健相談、池田福祉事務所の診査更生相談、県更生相談所による巡回相談事業等の周知を図ります。
○民生児童委員等との連携を強化し、町社会福祉課の総合相談窓口機能を強化しつつ、専門的な相談先の照会を積極的に推進します。

(2)在宅介護支援センター相談機能の拡充

○地域における在宅サービス等の利用促進を図るため、在宅介護支援センターにおける障害者サービスの相談業務を強化します。

(3)市町村障害者生活支援事業による相談業務の拡充

○広域的な福祉施設の機能等を活かし、障害者に対する在宅介護支援センター機能を確保するため在宅福祉サービスの利用援助や社会資源の活用、ピアカウンセリング(障害者による相談)、介護相談等の実施を検討します。

(4)ホームヘルプサービス事業の充実

○介護が必要な障害者・難病患者・家族に対し、ホームヘルパーを派遣し、身体介護・家事援助・外出時の付き添い等を実施します。
○巡回型ホームヘルプサービス、住民参加型家事援助サービス等の実施について研究していきます。
○視覚障害者や脳性マヒ等全身性障害者などの外出支援を図るため、ガイドヘルパーの派遣について研究していきます。また、ホームヘルパーやボランティアへのガイドヘルプ研修を検討します。

(5)デイサービス事業の充実

○入浴・給食サービス、創作的活動等を促進するため、デイサービスセンターでの軽度障害者受け入れ体制を強化します。
○重度障害者の機能訓練や社会適応訓練、入浴等介護を専門的に実施する身体障害者デイサービス事業については、サービス需要等を検討しつつ広域的(西部第2サブ障害保健福祉圏で2か所)な確保を進めます。

(6)ショートステイ事業の実施

○心身障害者(児)ショートステイを実施するため、福祉施設との契約を進めます。
○レスバイトサービス(短時間の預かりなど)などについて研究していきます。

(7)市町村障害者生活支援事業の実施

○広域的に市町村障害者生活支援事業の導入を進めます。なお、本事業は障害者のための在宅介護支援センター機能、生活訓練プログラムの実施等を含む日中集いの場といった機能を合わせもちます。実施にあたっては福祉施設の専門的機能を活用するため、福祉施設への事業委託を検討します。
事業内容:
  • ホームヘルパー、デイサービス、ショートスティ等の利用援助
  • 社会資源を活用するための支援
    • 授産施設、作業所等の紹介
    • 福祉機器、情報機器の利用助言
    • 料理等の指導
    • 外出、移動の支援
    • 生活情報の提供など
  • 社会生活力を高めるための支援(生活訓練プログラム等の実施)
    • 健康管理、家事、家庭管理、金銭管理、交通移動手段の利用など
  • ピアカウンセリング
    • 障害者自身がカウンセラーとなって、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力に対する個別的援助・支援の実施
  • 専門機関の紹介

(8)移送サービスの充実

○在宅介護支援センター等による移送サービスの周知を図るとともに、事業内容を充実します。

(9)補装具の交付の充実

○身体上の障害を補い、日常生活をしやすくするために必要な補装具の交付・修理の充実を図ります。

(10)日常生活用具の給付・貸与の充実

○日常生活がより円滑に行われるように、日常生活用具の給付・貸与を拡充するとともに制度の周知を図ります。

(11)福祉機器展示機能の充実

○在宅介護支援センターの介護用品の展示・紹介機能を充実します。

第2節 施設サービスの充実

「現状と課題」

 地域に立地する入所福祉施設は、その専門的機能を活かし、入所者のみならず通所型、地域利用型、地域援助型などの形態で、様々な福祉サービスを展開する方向へと変わりつつあります。
 現在(平成8年3月1日)、本町の障害者では、身体障害者療護施設・身体障害者授産施設、精神薄弱者更生施設・精神薄弱者授産施設に合わせて8人が入所しています。児童福祉法等に基づく施設では(平成9年3月31日)、養護施設、精神薄弱児施設、重症心身障害児施設、精神薄弱児通園施設に合わせて13人程が入所・通所しています。このほかに特別養護老人ホームや養護老人ホームには24人(平成9年3月31日)が入所し、障害を持つ高齢者が多くを占めています。
 今後、施設整備については県内の地域需要にあう適正配置を求めていくとともに、これらの施設入所者及び学校卒業者、在宅障害者の適切な生活・訓練等の場を確保するため、入所施設・グループホーム等生活施設をはじめ、在宅福祉サービスや作業所等を組み合わせた地域支援体制の整備を進めていきます。
 このため、特に広域的にも設置されていない在宅の知的障害者(重度心身障害者)のグループホーム等の確保に向け、福祉施設・障害者・家族会等との連携を強化しつつ計画的な導入に努めます。また、福祉施設の機能を活かした各種の在宅支援事業の展開を支援していきます。

「基本方針」

 必要な時に必要な施設を利用できるよう各種施設の整備・充実を、関係機関へ働きかけていきます。
 施設が持つ諸機能が在宅福祉サービスの強化につながるように諸事業の導入を図ります。

「主要施策」

(1)施設の整備促進

○県及び近隣町村との調整を行い、障害者のもつニーズに応えられるよう、授産・療護・更生・通園等の各種の施設整備を関係機関へ働きかけていきます。
○身体障害者デイサービス事業の実施促進に向け、専門的・広域的なデイサービスセンターの整備に努めます。

(2) 障害者施設等による在宅支援事業の促進

○在宅障害者の生活支援の充実に向け、施設の専門機能を活かした在宅支援事業の充実・導入を促進します。
  • 心身障害児(者)短期入所事業(博愛ヴィレッジ・池田学園・ほか特別養護老ホーム等)
  • 高齢者短期入所事業
  • 心身障害児短期療育事業(池田学園)
  • 心身障害児(者)療育相談事業(池田学園・箸蔵山荘)
  • 心身障害児(者)地域療育等支援事業(箸蔵山荘)
  • 市町村障害者生活支援事業
  • 精神障害者地域生活支援事業

(3)グループホーム等の確保

○箸蔵ホーム・つくしホームなど施設入所者の在宅生活促進に向けたグループホームの確保促進に加え、在宅の障害者が協同で生活する場として福祉施設等のバックアップを得ながら家族会等とともにグループホーム等の設置に努めます。

第3節 生活安定のための施策の充実

「現状と課題」

 障害者の生活の安定のための施策としては、特別障害者手当(12人)、障害児福祉手当(5人)、経過的福祉手当(2人)(平成10年2月現在)など各種手当、障害者基礎年金など年金制度、各種資金貸し付けなどがあります。このほかに本町ではねたきり老人見舞金支給(23人)(平成9年12月1日現在)などを独自に実施しています。
 なお、障害者アンケート調査では、医療相談等に続き年金・手当の相談体制の充実を26.7%の人が期待するとともに、特に必要な福祉施策としても医寮費軽減助成に続き経済的援助の促進(17.4%)があげられています。
 これらの、手当や年金は、地域社会の中で自立した生活を営んでいくために重要な所得保障となりますが、有効利用を促進するため積極的な広報・相談活動を展開し、周知徹底を図る必要があります。また、経済的に自立しうるよう国諸制度の金額の増額に向け、働きかけていくことが必要です。

「基本方針」

 障害者の所得保障のため、各種手当・年金制度等の周知徹底に努めるとともに障害者のニーズにそった制度の充実を国に働きかけていきます。

「主要施策」

(1)特別児童扶養手当の支給

○障害児を養護する保護者等に対し、特別児童扶養手当を支給します。

(2)障害児福祉手当の支給

○在宅の重度障害児で日常生活に常時介護を要する20歳未満の人に障害児福祉手当を支給します。

(3)特別障害者手当の支給

○在宅の最重度障害者で、日常生活に常時特別の介護を要する在宅の20歳以上の人に特別障害者手当を支給します。

(4)障害基礎年金等の支給(公的年金制度)

○国民年金に加入している間、または60歳以上65歳未満に障害者になったとき、20歳前に障害者になった人等に対し、20歳から一定条件のもとに障害基礎年金を支給します。なお厚生年金加入者は上乗せし障害厚生年金を支給します。

(5)心身障害者扶養共済制度

○保護者なき後の心身障害者(児)の生活の安定と福祉の向上を図るため、保護者の死亡後、年金を支給します。

(6)生活福祉資金の貸し付け

○障害者が住宅改造や自動車の取得、生業を営む場合、必要な資金を低利で融資し、経済的自立や生活意欲を助長します。制度の周知徹底を図り、円滑な資金運営に努めます。

(7)在宅障害者介護者への援助

○ねたきり老人介護者手当てに準じ在宅障害者介護者への手当支給について検討します。

第4節 ひとづくりの促進

「現状と課題」

 障害者福祉の推進のためには、保健福祉関連人材の確保・育成をはじめ、ボランティア組織の育成、住民参加型の福祉サービスの展開や専門協力者の組織的養成を必要とします。
 特に在宅福祉サービス拡充の要となるホームヘルプサービスについては、障害の重度化や施設から地域へといった流れの中で、家事援助中心から介護中心、サービス時間の拡大などに伴い相当の人員確保が必要となります。このため常勤ヘルパー及び登録ヘルパーの増員をはじめ、介護福祉士等の専門的なヘルパーの確保に努めることが求められます。
 また、ボランティアについては、活動の中心となる層の高齢化に伴い、障害者個々のニーズに的確に対応していくことが困難な状況となっています。このような中で本町では、現在、県機関等により専門的技能を有する手話通訳などの派遣を受けている状態であり、今後の障害者の社会参加等の促進を図るためには点訳・朗読・手話・要約筆記奉仕員等の養成や派遣、情報支援等に取り組むことが望まれます。
 このため、障害者団体やボランティア連絡協議会、広域町村等との連携の中で「西部第2サブ障害保健福祉圏(三好郡)」の共同事業として、コミュニケーション等の円滑化を図るための専門的人材の確保・養成等をめざし、「市町村障害者社会参加促進事業」の導入を図ることが必要です。さらに、これらの専門的マンパワーを組織し、各障害者団体や家族会と連携する団体として育成し、それぞれの障害者ニーズに応じた社会活動の支援体制を整えていくことが望まれます。
 このほかに、社会福祉協議会事業等として、住民参加型の家事援助サービスの実施等も検討しつつ、障害者福祉等にたずさわる多様な人材の確保・育成を進めていくことが望まれます。

「基本方針」

 障害者のニーズに対応できるよう、専門的知識や技能を持った人材の確保・養成に努めます。
 地域福祉を一層推進するため、ボランティア活動の振興を図り、ボランティアの量的・質的拡大に努めます。
 社会福祉協議会が、地域福祉の推進の主体として重要な役割を果たせるよう支援します。

「主要施策」

(1)ホームヘルパーの増員

○障害者や高齢者の増大かつ多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため、ホームヘルパーを増員します。

(2)専門研修の充実

○それぞれの専門分野の従事者を対象に、研修を実施し、資質と専門性を向上させます。

(3)市町村障害者社会参加促進事業の導入

○広域的に市町村障害者社会参加促進事業を導入します。なおこの事業は、障害者(身体障害者)のニーズに応じた事業を実施することにより、障害者の自立と社会参加の促進を図るため実施します。
事業内容:以下選択事業の中から5事業以上を選択し実施
  • 点訳奉仕員等(点訳、朗読、手話、要約筆記)養成事業
  • 手話奉仕員等(手話、要約筆記養成事業)
  • 手話通訳者設置事業
  • 点字広報等(点字広報、声の広報)発行事業
  • 自動車運転免許取得助成事業・自動車改造助成事業
  • 重度身体障害者移動支援(リフト付きワゴン車)事業
  • 生活訓練事業(視覚障害者、聴覚障害者)
  • 身体障害者スポーツ振興(スポーツ教室開催等)事業
  • 福祉機器リサイクル事業
  • 地域のニーズに即した事業

(4)ボランティア活動の活性化

○ボランティアセンターを設置し、相談・登録・斡旋事業を実施します。
○ボランティア入門講座をはじめ、各種ボランティア養成講座を開催します。

(5)社会福祉協議会への支援

○社会福祉協議会が、役割を十分発揮できるよう活動の活性化を図るため、支援をしていきます。

(6)住民参加型家事支援サービスの推進

○社会福祉協議会事業等として、会員制の有償ボランティアによる家事援助サービスの実施や公的ホームヘルプサービスを補う、サービス提供のあり方等を研究していきます。

第6章 生活環境の整備

第1節 福祉環境の総合的推進
第2節 住宅・生活環境の整備
第3節 交通・移動手段の整備充実
第4節 防災体制の充実

第1節 福祉環境の総合的推進

「現状と課題」

 障害者の自立生活を確立し、社会経済活動への参加を促進していくためには、建築物や道路・公園、公共施設などにおける物理的な障害の除去や快適に利用できる諸条件の整備が必要です。
 県においては、ハートビル法「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の施行等を受けつつ、平成8年3月に「徳島県ひとにやさしいまちづくり条例」を公布し、公共施設や公的施設の環境整備基準を示しています。
 本町では、障害者等が利用しやすい公益的施設や道路の改善整備等を順次進めていますが、歩道の整備や交通安全施設整備等への取り組みは必ずしも十分とは言えない状況にあります。
 また、障害者アンケート調査でも、外出時に困ることとして、車などの危険性、歩道の段差、障害者用駐車場・トイレの少なさなどが指摘されるとともに、公共施設・公園・道路・民間施設等の改善整備が求められています。
 今後、特に利用の多い公共施設や交通機関等の周辺を中心として、重点整備地区等を設定しつつ、安全な環境の整備を進めることが必要です。さらに、県条例の普及の徹底を図るとともに、民間施設も含め福祉的配慮がなされるように要請するなど、福祉のまちづくりに向けた着実な取り組みを進めることが必要です。

「基本方針」

 障害者が自由かつ容易に社会活動に参加できるよう、福祉のまちづくりを総合的に推進します。
 公共性の高い建物、道路・公園などにおいて、施設のバリアフリー化(無障壁化)や障害者等の利用に配慮した整備を進めます。

「主要施策」

(1)人にやさしい福祉のまちづくりの推進

○障害者や高齢者を含むすべての町民が、安全で快適な生活を送ることができる都市環境の基盤整備を促進するため、関連各課が連携し、総合的な福祉のまちづくりを推進します。
○スーパーマーケットやレストランなど民間事業者が実施する改善工事に対し融資を行なう「やさしいまちづくり整備モデル資金貸付」の周知を図り、利用の促進に努めます。

(2)公共施設の整備促進

○公共施設の新築又は改築する際には、県の条例に基づく整備を図ります。
○庁舎においては、専用駐車場等を障害者の利用に前提とし配慮するとともに障害者用トイレなど順次整備を進めます。

(3)安全で快適な歩道の整備

○障害者・高齢者の利用に配慮した幅の広い歩道や段差の解消などの整備に努めます。
  • 主要地方道鳴門池田線沿線
  • 主要地方道道昼間辻線
  • 中央公民館等主要公共施設周辺など

(4)音響信号機等の設置

○利用頻度が高い箇所や人通りが少なく誘導等が困難な危険箇所などを中心に、音響信号機や誘導ブロックなどを整備し、安心して利用できるような環境整備を進めます。

(5)放置物等の是正指導

○道路に放置されている自転車や歩道乗り上げ駐車等よる交通障害を解消するため、是正指導を進めます。

(6)障害者等によるワークショップの開催促進

○障害者団体等の参加を得て、町内の危険箇所や不便な点等を明らかにするとともに、公共施設の整備に先立ち、より適切な設計が行われるよう設計検討会等の開催を促進します。

第2節 住宅・生活環境の整備

「現状と課題」

 障害者が地域の中で暮らしていくためには、障害があっても自立が促進される住宅が整備されていることが必要です。
 本町では、公営住宅の建設については、障害者や高齢者が安心して行動できるよう平成9年4月より「人にやさしい住まいづくり促進事業」を実施しバリアフリー住宅を建築する人に対し助成金を交付するなどバリアフリー化を推進するとともに、既存公営住宅では施設の整備状況や入居者のニーズを把握し、改善に努めています。
 障害者アンケート調査では、今後改造を希望する人が3割強となり、風呂・トイレ・台所などの改造を望むなど、住宅改造に対する需要は相当高いものとなっています。また、住宅についての今後の取り組みとしては、改造資金についての支援体制の充実、住みやすい公営住宅や入居優先枠の拡大、介護付住宅の整備などへの期待がめだちます。このため、今後の公営住宅の建て替え等に際しては、需要に配慮しながら高齢者・障害者用住宅を増やしていくこと及び一般住宅の改造支援の周知・充実等が必要となります。

「基本方針」

 公営住宅の建替えに際しては、障害者等の住宅需要を的確に把握し、構造・設備に配慮した住宅の建設を進めます。
 日常生活の環境改善を図るための居室整備を支援する補助や貸付け制度の利用を促進します。

「主要施策」

(1)公営住宅の整備推進

○公営住宅については、建替えに際し、安全と利便を考慮した住宅を、障害者等の住宅需要に対応して供給するよう計画します。
○福祉施設等と一体となった公営住宅等の整備可能性・需要等を研究し、整備に努めます。

(2)住宅資金割増融資制度の普及

○住宅金融公庫による高齢者・障害者割増融資制度の普及に努め、障害者の生活環境の改善や介護の軽減を図ります。

(3)住宅改造助成制度の普及

○日常生活が円滑に行われるように住宅改造の助成を行う重度身体障害者住宅改造助成の普及や生活福祉資金の貸付の住宅改造費融資などの周知を図ります。
○建築士や保健婦等で編成した専門チームを派遣し、個別ケースごとに住宅改造等の専門的アドバイスを実施するリフォームヘルパー派遣制度等の利用を促進するよう努めます。

第3節 交通・移動手段の整備充実

「現状と課題」

 障害者の多くは、その障害のために外出が困難で、社会参加がしにくかったり通院等においても不便な状況におかれています。
 このような中で、公共交通機関の果たす役割が重要視されるとともに、自家用車をはじめとした個別移動手段の利用の促進を図ることや、移送サービス等の充実が求められます。
 現在、これらの外出支援策としては、西部バスや町営バス等公共交通機関の運行をはじめ、在宅介護支援センターによる町内施設への移送サービスを行なっています。このほかに、公共交通機関の運賃・料金の割引、自動車取得税等の減免など経済的支援、身体障害者自動車改造費や自動車操作訓練費の助成などが実施されています。またタクシー運賃の割引制度(1割引)もありますが、適用はタクシー会社の判断にまかせており、利用者は少ない傾向にもあります。
 なお障害者アンケート調査では、主な外出手段としては、家族などが運転する乗用車、タクシー等の利用が目立っています。
 今後、各種割引制度や助成の周知・利用の促進を公共交通事業者等も含め呼びかけていくとともに、公共交通機関の利用のしやすさの改善、個別の移動を促進する施策の展開等に努め、外出の容易さを高めていくことが必要です。

「基本方針」

 障害者の移動手段の拡充を図るため、低床路線バスの導入協議、鉄道・バス運賃等の割引制度については周知に努めます。
 身体障害者の自家用車利用については、支援制度の周知を進めます。

「主要施策」

(1)身体障害者自動車運転免許取得費助成(県単事業)の周知

○身体障害者が自動車免許を取得するための教習を受ける場合、県では取得費用の一部を助成しており、この制度の周知を図ります。

(2)身体障害者自動車改造費助成の周知

○重度身体障害者が就労等に伴い自動車を取得する場合、その自動車の改造に要する経費の一部を助成しており、この制度の周知を図ります。

(3)低床路線バスの導入

○関連町村や関係機関と協議し、リフト付き路線バスの導入を働きかけます。

(4)運賃、料金の割引制度の周知

○鉄道・バス・タクシー・航空運賃、有料道路通行料金の割引等の制度の周知を図ります。

第4節 防災体制の充実

「現状と課題」

 障害者が地域の中で安心して生活できるよう、防犯・防災対策が適切に講じられていることが大切です。
 本町では、防災上の問題としては、地震災害や短期的には降雨による水害・土砂災害の発生等が懸念されます。これに対し、適切な対応が図られるよう地域防災計画等にもとづき予防対策や応急対策の実行性を高めておくことが重要です。また、特に高齢者や障害者などに対しては特段の配慮が求められます。
 障害者アンケート調査では、必要な防災対策として、災害時に「安全確認に来てくれる人」を約4割もの人が希望しているとともに、「避難誘導に協力してほしい」が約26%程度となるなど、人的支援を中心として地域ネットワークの形成が望まれています。
 現在、本町では、独り暮らしの高齢者宅に緊急通報システムを設置するなど、緊急時の安全確保策を講じていますが、今後、障害者等も含め拡大していくこと求められます。また、プライバシー等も配慮しつつ地域における障害者等の把握に努め、近隣住民等による救助体制の確立などに努めることが必要です。

「基本方針」

 社会福祉施設における防災管理体制の充実・強化を図るとともに、災害時の受け入れ体制の確立を検討します。
 防災教育や防災訓練を推進するとともに、障害者等の救出活動が実施できるよう、地域における自主防災組織の拡充を支援します。

「主要施策

(1)施設防災体制の強化

○障害者施設等への立入検査及び防火管理指導を行い、防災管理体制の充実を図ります。
○災害時に障害者等の被災者受け入れについても要請します。

(2)住宅防災対策の推進

○住宅等建物の耐火性・耐震性を考慮した建築を促進し、また住宅火災の発生を予防するため、防火意識の向上を図ります。
○防災機器等の設置を促進し、障害者のいる家庭等の安全対策を推進します。

(3)防災教育・訓練の推進

○防災知識の向上と災害時の的確な対応を図るため、障害者の実態や地域の実情を把握し、障害者のいる家庭及び施設職員等への防災教育と防災訓練の推進を図ります。

(4)地域協力体制づくりの推進

○災害発生の緊急時には、災害弱者である障害者等についても、地域住民による自主的な救出・救護等の活動が実施できるよう、自主防災組織づくりへの支援と協力を推進します。

(5)緊急通報システムの整備

○災害時における迅速な救助活動を行うため、緊急通報システムの拡大を図ります。
○聴覚障害者向けの緊急通報ファックスの導入を進めます。
○福祉事務所や保健所等との連携を強化し、プライバシーに配慮しながら町内障害者の情報の整理・保管・緊急時の活用などに向け研究します。


主題:
三好町障害者福祉計画  No.1
1頁~51頁

発行者:
三好町

発行年月:
平成10年3月

文献に関する問い合わせ先:
三好町