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みやぎ障害者プラン

宮城県障害福祉長期計画

地域で自分らしい生活を安心して送れる社会をめざして


計画推進のために

 これまでの福祉は、国、県及び市町村等の公的機関によるいわゆる「与える福祉」として展開されてきました。しかし、県民ニーズを的確に対応し、きめ細かいサービスを展開するためには、行政、社会福祉協議会等の民間福祉団体、社会福祉施設、ボランティアなどがそれぞれの役割を発揮しながら連携していくことが必要です。サービス供給主体が多様化すれば、利用者の選択の幅を広げ、住民ニーズに合ったサービスが利用可能となリます。

 行政と民間の役割分担と協動
1 行政の役割~市町村が中心~

 行政は、住民の生活をサポートするための基礎的な保健・福祉・医療サービスや市場性がなく民間の参入が困難であるサービスを実施します。
 実施にあたっては、住民の実情を把握しやすい市町村を中心として、国と県が広域的又は専門的立場からこれを支援するなど、それぞれの役割を果たします。

市町村の役割 県の役割
 市町村は、住民に最も身近な立場から、住民ニーズを的確に把握し、地域で普通の生活を支えるための基礎的で、きめ細かなサービスの提供を行っていくことが必要です。そのため、保健・福祉・医療サービスを総合的、一体的に提供するための計画づくりやサービス提供のための基盤整備などを進めていく役割が期待されています。
 また、福祉行政の制度上、政令都市仙台市と県はほぼ同じ権限や役割を持っています。このため、障害福祉施策を推進するためには、仙台市と協調しながらともに推進していくことが大七刀です。今後、より一層の連携を図りながら、ともに住みよい福祉社会の実現を目指します。
 県は、市町村で行うことが困難な広域的あるいは専門的・技術的な事業の実施や市町村等への助言、支援などを行います。
 例えば、広域的な立場からの施設の適正配置への調整や障害保健福祉圏域間の調整、そしてモデル事業による先導的事業の誘導などにより、地域格差の生じないようなサービス体制づくりを推進します。
 また、民間福祉団体の活動及び地域住民の連帯感の醸成などについて、市町村と連携し、活動しやすい環境づくりの支援を行っていく役割を持ちます。
2 民間の役割~積極的な参加~

 民間における福祉活動としては、社会福祉協議会の活動、社会福祉法人による施設運営事業及び地域住民のボランティア活動、企業によるサービス提供事業などがあります。
 これらの民間分野では、行政サービスでは行き届かない多様なニーズや、民間ならではの発想により掘リ起こされたニーズなどを生かしながら、行政との協働によリきめ細かくかつ弾力的に対応できるため、厚みのある福祉サービスが展開されることが期待されます。

住民に期待される役割 企業に期待される役割 団体に期待される役割
 地域福祉を進める主役は、そこに住み地域を一番よく知っている住民一人ひとりです。
 福祉サービスの利用者であり担い手でもある住民一人ひとリの声やニーズが地域の福祉を高めます。
 このため、住民一人ひとりのニーズを地域の大きな声にするとともに様々な情報の交換やボランティア活動への自発的・自主的な参加ができるよう地域の中で支え合う組織づくりや仲間づくりが望まれます。
 今後、多様なニーズの増加に伴い、企業がサービス提供の一翼を担うことが大いに期待されています。地域を市場としながら、公的なサービスとの連携と競争などを進めることにより、多様で質の高いサービス提供が推進されます。そのための参入の規制緩和とサービス内容の透明化などを官民共に進めていきます。
 また、企業は地域社会の一員として地域活動への積極的な参加が期待され、それぞれの特性を生かしながら行うボランティア活動も、企業の社会貫献として大いに期待されています。
 福祉・医療の各種団体のほか、地域団体、生活協同組合や農業協同組合等の団体が積極的に地域の福祉活動に取り組み、地域を支える実施主体として期待されています。
 社会福祉協議会の活動は、これからの地域活動を進める中核的な機能として事業型社協への脱皮などが期待されます。また、福祉事業団はこれまで蓄積してきた専門知識、技術、人的資源を生かしながら、さらに先駆的な役割を果たすことが期待されます。
国への要望

 県、市町村が施策の推進をしていく場合、法律・制度や補助制度等の問題から実現困難なものがあります。例えば、施設の共用化、合築、他施設への転用、小規模施設整備、そして処遇改善のための職員配置基準の見直しや個室化など数多くあります。
 今後、様々な機会を通じて、国に対し、制度化や制度改正、財源措置の強化などの要望・提案を行って参ります。

障害保健福祉圏域の設定
1 圏域を設定する目的

 障害者施策を推進するに当たって、障害者は高齢者に比べると、各市町村においてその対象者か少なく、さらに障害の種別によっても対応が異なることから、1市町村での対応が困難な施策もあり、複数の市町村が共同で対応したほうが望ましい場合もあります。
 さらに、障害福祉施設の有する設備や専門的な知識、経験等を地域に開放し活用していくために、入所施設等の整備に当っては複数市町村からなる広域圏での適正な配置を行い、広域圏内で市町村と施設相互間の協力関係を構築しながら、需要にこたえて行くことが必要です。

2 圏域の設定

 今後の障害福祉は、市町村が主体的に地域住民に最も身近な立場で住民ニーズを的確に把握し、地域で普通の生活を支えるための基礎的で、きめ細かなサービスの提供を行っていくことが基本となります。しかしながら、単独の市町村では対応が難しい事業を、複数の市町村が連携を図りながら、広域的・効果的に実施していくことも必要となります。
 このため、単独の市町村からなる「市町村域」、複数の市町村からなる「障害保健福祉圏域」、そして県全体の「全県域」での各々の機能分担を明確にするとともに、各圏域間のネットワークを構築し、各種のサービスを面的・計画的に整備していきます。
 障害保健福祉圏は、複数の市町村により構成されることになリますが、市町村の人口規模、既存施設の状況、行政機関の管轄地域、広域市町村圏、県保健医療計画の二次保健医療圏や県高齢者保健福祉圏域などを勘案して7圏域を設定します。
 「全県域」では、さらに広域的あるいは専門的・技術的な事業などの実施や障害保健福祉圏域間の総合的な調整を行います。

3 市町村障害福祉計画の策定推進

 市町村が主体的、計画的に福祉サービスを供給できるよう、市町村障害者計画の策定を積極的に支援するとともに、圏域ごとの広域的な障害者計画の策定も進めます。

計画の推進方針

 計画の推進に当っては、宮城県障害者施策推進協議会(注.4)の意見を踏まえながら、市町村、関係機関・団体等との密接な連携のもとに、計画的かつ効果的な実施を図ります。

(注.4)『宮城県障害者施策推進協議会』とは

 障害者に関する施策を総合的・計画的に推進するために必要な事項について調査・審議する目的で、障害者基本法に基づき各都道府県ごとに設置されている協議会です。学識経験者、障害者団体の代表、障害者本人、関係行政機関の代表などの20人で構成されています。(構成メンバーについては、参考資料をご覧下さい。
整備目標

 プランを推進するに当たり、障害のある方の生活にかかわりの深い主要な項目について、次のとおり整備目標を設定し、その実現を目指します

障害福祉施設等の整備目標一覧
施設・事業名 実施主体 対象となる障害種別 現状
(H9年度末)
整備目標
(H17年度末)
掲載のページ
身体障害者療護施設 市町村・社福 身体障害者 5ヵ所
(305人)
+6ヵ所
(1ヵ所)
38
精神薄弱者更生・授産施設(入所) 市町村・社福 知的障害者 24ヵ所
(1,705人)
+2ヵ所
(1ヵ所)
38
精神障害者生活訓練施設(援護寮) 市町村・県・社福・医療法人等 精神障害者 1ヵ所
(20人)
+2ヵ所
(1ヵ所)
14
精神薄弱者更生・授産施設(通所) 市町村・社福 知的障害者 21ヵ所
(694人)
+12ヵ所
(5ヵ所)
16,27,38
身体障害者授産施設(通所) 市町村・社福 身体障害者 6ヵ所
(128人)
+2ヵ所 16,27,38
精神障害者授産施設(通所) 市町村・社福・医療法人等 精神障害者 3ヵ所
(87人)
+8ヵ所
(2ヵ所)
16,27,38
心身障害者小規模作業所 市町村(社協等も含む)・社福 知的障害者
身体障害者
43ヵ所
(760人)
+8ヵ所 16,27,38
精神障害者小規模作業所 市町村・社福・家族会等 精神障害者 34ヵ所
(492人)
+35ヵ所
(10ヵ所)
16,27,38
福祉工場 市町村・社福・医療法人等 身体・知的
精神障害者
1ヵ所
(70人)
+2ヵ所
(1ヵ所)
16,27,38
10 精神薄弱者通勤寮 市町村・社福 知的障害者 1ヵ所
(20人)
+2ヵ所 14
11 精神障害者福祉ホーム 市町村・社福・医療法人等 精神障害者 0ヵ所 +1ヵ所 14
12 知的障害者グループホーム 市町村・社福 知的障害者 44ヵ所
(178人)
+92ヵ所
(25ヵ所)
14,38
13 精神的障害者グループホーム 市町村・家族会・
社福・医療法人等
精神障害者 9ヵ所
(48人)
+33ヵ所
(1Oヵ所)
14,38
14 デイサービス事業 市町村 身体障害者 8ヵ所 +9ヵ所
(2ヵ所)
16,27,38
15 精神科デイケア施設 医療機関 精神障害者 7ヵ所 +12ヵ所
(5ヵ所)
43
16 重症心身障害児(者)通園事業 社福 知的障害者 2ヵ所 +5ヵ所
(1ヵ所)
20,39
17 ガイドヘルパー 市町村 身体障害者 137人 +200人 18,37,45
18 障害者生活支援センター 市町村 知的障害者
身体障害者
2ヵ所
(一部実施)
+7ヵ所
(2ヵ所)
48
19 障害者生活支援センター 市町村・社福・医療法人等 精神障害者 0ヵ所 +6ヵ所
(2ヵ所)
48
20 精神障害者職親制度事業 県・仙台市 精神障害者 97人 +42人 28
21 総合精神保健福祉センター 精神障害者 2ヵ所 (1ヵ所は移転新築)
+0ヵ所
48
22 リハビリテーションセンター 身体障害者
(主として肢体不自由)
0ヵ所 +1ヵ所 43
23 福祉機器センター 全障害者 0ヵ所 +1ヵ所 37,43
24 総合研修センター 全障害者 0ヵ所 +1ヵ所 46
25 障害者スポーツセンター 全障害者 0ヵ所 +1ヵ所 30
26 権利擁護センター 県他 知的障害者
精神障害者
0ヵ所 +1ヵ所 50
27 県立高等養護学校 知的障害者 1ヵ所 +1ヵ所 24
28 重度障害者多数雇用企業 民間 身体障害者
知的障害者
6ヵ所 +4ヵ所 27
29 能力開発センター 県他 知的障害者 0ヵ所 +1ヵ所 28
30 障害者雇用支援センター 市町村 全障害者 0ヵ所 +1ヵ所
(1ヵ所)
28
31 高次救急医療体制整備事業 市町村他 全障害者 1ヵ所 +2ヵ所 44
特記事項
  • 「実施主体」における「社福」とは、社会福祉法人の略称である。
  • 「現状」のカッコ書きの数は、各施設等の定員べースで記載している。
  • 仙台市においても、平成9年度に「仙台市障害者保健福祉計画」を策定しているが、当計画の整備目標年次を平成14年としていることから、「整備目標」におけるカッコ書きの数は、平成14年度末までの仙台市の整備目標数であり、全県分の内数で記載している。
障害保健福祉圏域設定の基本的な考え方

・障害保健福祉圏域
市町村だけでは対応困難な各種のサービスを面的・計画的に整備することによリ、広域的なサービス提供網を築くため、身体障害児(者)、知的障害児(者)及び精神障害者に共通の圏域として、二次医療圏、老人保健福祉圏域を参考にし、福祉事務所、保健所等の管轄区域を勘案して設定する。
圏域 圏域の役割・方向性 圏域毎の整備イメージ
障害福祉一般 療育・教育関係 就労関係
市町村域 ◇身近な地域で障害者に対する第一次的な相談窓口
◇在宅・施設・入所サービスの決定主体
◇在宅保健福祉サービスの適切な供給
◇障害者社会参加促進事業の推進
◇総合的・計画的なサービス提供のため、市町村障害者計画の策定
◇デイサービス
◇ショートステイ
◇入所型施設(更生施設等)
◇ホームヘルパー
◇ガイドヘルパー
◇障害者社会参加促進事業
◇グループホーム
◇心身障害児通園事業施設
◇障害児保育
◇小・中学校特殊学級
◇小規模作業所
◇通所授産施設(分場)
障害保健福祉圏域 ◇市町村に対する支援
◇市町村間や障害保健福祉圏域間の調整
◇高度で特殊な技術、情報等の提供
◇マンパワー向上のための研修機会の提供
◇精神医療の体制整備など専門性の高い分野の業務の実施
◇障害者生活支援センター
◇自立生活センター
◇身体障害者療護施設(合築又は小規模)
◇精神障害者社会復帰施設
◇障害者芸術祭
◇養護学校
◇障害者生活支援センター(地域療育等支援事業)
◇重症心身障害児(者)通園施設
◇障害者雇用支援センター
◇通勤寮
◇福祉工場
◇重度障害者多数雇用企業
◇通所授産施設
◇職域開発援助事業
全圏域 ◇市町村に対する支援
◇市町村間や障害保健福祉圏域間の調整
◇高度で特殊な技術、情報等の提供
◇マンパワー向上のための研修機会の提供
◇精神医療の体制整備など専門性の高い分野の業務の実施
◇総合リハビリテーションセンター
◇総合研修センター
◇福祉機器センター
◇障害者スポーツセンター
◇権利擁護センター
◇総合精神保健福祉センター
◇療育拠点施設 ◇能力開発センター
◇障害者福祉ショップ
◇県セルプセンター

(注)この図は圏域の考え方を説明するために、「圏域毎の整備イメージ」としてまとめたものであり、障害福祉に関するすべての項目を網羅したものではありません。


主題:
みやぎ障害者プラン

発行者:
宮城県

頁数:
55頁~61頁

発行年月:
平成11年3月 第2刷発行

文献に関する問い合わせ先:
〒980-8570
 仙台市青葉区本町三丁目8番1号