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新山形県障害者福祉行動計画

No.1

―輝きの福祉プラン―

平成5年3月

山形県

項目内容
立案時期平成5年3月
計画期間平成5年度~平成14年度(10年間)

はじめに

 山形県は、国際障害者年の基本理念である障害者の社会への「完全参加と平等」を実現するため、昭和57年に「障害者に関する山形県長期計画」を策定し、各般にわたる障害者対策に積極的に取り組んでまいりましたが、平成4年度をもって10年間の計画期間が終了しました。
 この間、各種制度の改正や障害者自身の自立と社会参加への取り組み等障害者福祉の前進をみましたが、新たに、高齢化社会への対応や、社会参加を促進するためのスポーツ・レクリエーション活動の振興、障害者に配慮したまちづくりの推進などが一層求められているところであります。
 このようなことから、これまでの成果をさらに発展させ、新たな社会情勢の変化に対応するため、障害者に関する第二次の長期計画として「新山形県障害者福祉行動計画-輝きの福祉プラン-」を策定いたしました。
 この行動計画では、障害者が障害を持たない人と同じように生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念と、障害者がライフステージのすべての段階で生きがいを持って社会参加できるようにする「リハビリテーション」の理念の下、「完全参加と平等」に向けて、今後10年間にわたる施策の方向と目標を示しています。
 新計画の策定に当たりましては、本県の障害者対策を総合的かつ体系的に推進するための計画とし、かつ、施策の総合的な推進方向とともに具体的な目標を示した行動プランとなるよう配慮し、障害者団体をはじめ県内各界の関係者からなる「障害者に関する県第二次長期計画策定懇談会」を開催するなど広く県民の皆様のご意見、ご要望をお聞きしながら、今回の新しい行動計画を策定いたしました。
 この新しい行動計画の実施にあたりましては、山形県障害者対策推進連絡会議を軸として、全庁的な取り組みを図るとともに、市町村及び民間障害者団体との連携を深めながら、「完全参加と平等」の社会をめざして、今後とも障害者施策の一層の充実に努めてまいりますので、県民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

平成5年3月
山形県知事 高橋和雄


新山形県障害者福祉行動計画目次

第1章 総論

第2章 各論(障害者施策の現状と課題及び各部門の施策の方向)

参考資料

  1. 「国連・障害者の十年」における障害者福祉のあゆみ
  2. 県政モニターアンケート調査結果の概要
    (テーマ:ボランティア活動、障害者対策)
  3. 山形県障害者対策推進連絡会議設置要綱
  4. 山形県障害者対策推進連絡会議幹事会専門部会設置要領
  5. 障害者に関する山形県第二次長期計画策定懇談会委員名簿

第1章 総論

第1節 計画の概要

1.計画策定の趣旨

 国際連合は、1982年、国際障害者年(1981年)の「完全参加と平等」の趣旨をより具体的なものとするため「障害者に関する世界行動計画」を採択した。同時に、この計画の実施を推進するため1983年(昭和58年)から1992年(平成4年)までの10年間を「国連・障害者の十年」と宣言し、同計画をガイドラインとしてその実施を加盟国に要請した。
 我が国においては、昭和57年3月に、「障害者対策に関する長期計画」を策定し、障害者対策を総合的かつ体系的に推進することとした。本県においては、国の長期計画を踏まえ、昭和57年11月に「障害者に関する山形県長期計画」(以下「前計画」という。)を策定し、障害者施策を推進した。
 この10年間に、各分野における制度の創設・改正を含め、障害基礎年金の創設、在宅福祉サービスの充実、雇用の促進、精神障害者の社会復帰の促進、障害のある人が暮らしやすい街づくりの推進等着実な進展が図られ、障害者を取り巻く環境は大きく変化した。
 しかしながら、この間、障害者の高齢化の進展、障害程度の重度化・重複化、障害者の福祉ニーズの多様化など新たな課題も生じている。
 また、障害者による社会参加の進展等により、障害者にやさしい街づくりの一層の推進やスポーツ・レクリエーション活動の振興が求められ、リハビリテーションの充実等の課題もクローズアップされてきた。
 このようなことから県は、前計画が本年度で満了するに当たり、これまでの計画の成果を踏まえ、社会情勢の変化に対応するため、障害者に関する第二次の長期計画として新しい計画を策定し、引き続き、障害者福祉施策を積極的に推進する。

2.計画の期間

 この計画の期間は、平成5年度を初年度、平成14年度を目標年度とする10ヶ年間とするが、前期5ヵ年の終了時の平成10年に必要な見直しを行う。

3.計画の性格

 新計画は、本県の障害者対策を総合的かつ体系的に推進するための計画であり、障害者施策の総合的な推進方向と行動プランとしての目標等を示すものである。

4.計画策定の基本的な考え方

(1) 障害者福祉の理念
 障害者福祉の理念は、障害者が障害を持たない人と同じように生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念と、障害者の「人間性回復」という立場から、単に身体の機能回復訓練のみでなく、障害者が人間としての尊厳を回復し、生きがいを持って社会参加できるようにすることを目的とする「リハビリテーション」の理念とを基本理念とし、障害者の社会への「完全参加と平等」を実現することにある。
 このことは、国際障害者年の基本的な考え方でもあり、国の「障害者対策に関する新長期計画-全員参加の社会づくりをめざして-」の中でも明らかにされている。
 本県の前計画においても、国際障害者年のテーマであった「完全参加と平等」の考え方を基本として、障害者対策を進めていく必要があるとしており、「すべての障害者が地域の温かい連帯感の中で日常生活を営み、社会の発展による利益をひとしく受けることのできる福祉社会の建設は、県民すべての願いである。」としている。
 新計画は、このような前計画の理念及び目標を受け継ぎながら障害者対策を進めていくものである。
(2) 計画策定の基本的視点
 新計画では、「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念に立脚し、次の基本的な視点に基づいて各般にわたる施策を推進する。
(ア) 障害及び障害者についての正しい認識の一層の普及
 「完全参加と平等」を実現する基礎となる、障害及び障害者についての正しい理解と認識がさらに広がるよう、あらゆる機会を活用した施策の展開を推進する。
 特に、「障害」については、「国連・障害者の十年」を通じて定着してきた、「機能障害」(第1次的障害)、「能力低下」(第2次的障害)及び「社会的不利」(第3次的障害)という区別で認識し、「身体的・精神的な障害」と「身体的・精神的障害から生じる日常生活や社会生活の能力不全」とを明確に切り離して行くことが、障害者についての誤解、偏見、差別をなくしていくことにつながることを念頭において施策を展開する。
(イ) 住みよいまちづくりの促進
 障害者に対する配慮が社会の隅々にまで行き渡るような社会システムを形成するため、道路、公共建築物の整備など、総合的な生活環境の改善を進める。
 特に、単にハード面での整備を進めることだけではなく、県民、民間業者等への啓発広報等を含めた、ハード・ソフト両面による「まちづくり」を展開していく。
(ウ) 高齢化、重度化への対応
 本県における人口の高齢化に伴い、障害者の高齢化が進み、高齢者の中でも障害を有する人が多くなって来ており、地域社会の構造と高齢化社会へ適合した施策を進めていく。
 また、重度障害者の割合も増加しており、どんな重度の障害を持った人でも、自立と社会参加が可能となるよう、障害者の個々のニーズにきめ細かく対応した施策を展開していく。
(エ) 障害者の人格の尊重と自立への支援
 障害者も一人の人間として、その人格の尊厳性をもつ存在であり、その自立は社会全体の発展に寄与するものであり、責任ある個人として主体的に自身の生活を設計し、社会の発展に能動的に参加していくことが期待されている。
 障害者に関する施策も、障害者を保護すべき客体としてではなく、自立自助すべき主体としてとらえ、障害者の自立を可能とする条件の整備とともに、その能力が十分発揮できるように各種施策を展開していく。
 また、障害者自身の自立意識の向上と自立への意欲がその前提となることから、障害者の学習環境の整備を図る施策も自立への支援として位置づけていく。
(オ) 均等な機会の確保
 障害者が、自らの意志に基づいて、日常生活や社会生活を可能な限り障害を持たない県民と同じように営むことができるようにするための施策を積極的に推進し、あらゆる参加の機会を保障するための諸条件の整備等を図り、均等な機会の確保に努める。
(カ) リハビリテーションの理念に基づく施策の重視
 心身の発達もしくは機能の回復を図るための施策の拡充につとめながら、リハビリテーションの理念に基づき、医療・教育・職業・社会的リハビリテーションの総合的推進が可能となるようなシステムの確立を目指す。
(キ) 障害者のスポーツ・文化活動の振興
 本県では、「国連・障害者の十年」最終年という記念すべき年である平成4年10月に、全国身体障害者スポーツ大会「輝きのべにばな大会」を開催し、全国にも誇るべき成果を収めた。この盛り上がりを引き継ぎ、スポーツ・文化の振興による障害者の社会参加の展開を図って行く。

5.計画の推進

(1) この計画を総合的かつ効果的に推進するため、県は、山形県障害者対策推進連絡会議を軸に、毎年度、実施事業の成果や課題等の推進状況を確認するとともに、全庁的な取り組みを図り、その推進に努める。

(2) 県は、障害者施策の立案及び推進に当たっては、障害者のニーズに配慮し、市町村及び民間障害者団体等との連携を深めながら推進する。

(3) 市町村は、障害者に身近な地方公共団体として、今後役割が重要になると考えられるので、一層主体的かつ積極的に障害者福祉に取り組むことを期待する。

(4) 県民、民間障害者団体及び企業等が積極的に障害者福祉の向上のために寄与することを期待し、それぞれの分野においての協力並びに自主的な活動を育成・支援していく。

6.施策の体系

(目標)完全参加と平等の推進
(基本理念)ノーマライゼーション
リハビリテーション
(計画策定の基本的視点)
  1. 障害及び障害者についての正しい認識の一層の普及
  2. 住みよいまちづくりの促進
  3. 高齢化、重度化への対応
  4. 障害者の人格の尊重と自立への支援
  5. 均等な機会の確立
  6. リハビリテーションの理念に基づく施策の重視
  7. 障害者のスポーツ・文化活動の振興
(部門)7 スポーツ・レクリエーション・文化6 福祉5 雇用・就業4 教育・育成3 保健・医療2 まちづくり1 啓発・広報

(部門)(重点目標)(具体的目標)
  1. 啓発・広報
障害及び障害者についての正しい認識の一層の普及県民への啓発・広報の充実
民間の啓発・広報活動への協力
障害者雇用の啓発推進
障害及び障害者についての啓発・学習の充実保健・福祉教育の充実
学校教育の充実
社会教育の充実
交流・ふれあいの促進体験を通した啓発・広報の推進
  1. まちづくり
住みよいまちづくりの総合的推進福祉のまちづくり整備指針の制定
福祉のまちづくり推進体制の整備
住みよいまちづくり関連事業の推進
住宅・生活環境の整備促進障害者住宅の整備・利用の促進
公共・公共的建築物の整備促進
防災等安全確保対策の推進
移動・交通対策の推進公共交通機関の整備促進
交通関連施設の整備促進
移動支援対策の充実
情報・コミュニケーション対策の充実情報媒体及び手段の充実
コミュニケーションの確保
  1. 保健・医療
障害児・者発生予防の充実健康相談・健康教育の充実
健康増進対策の推進
高齢化に伴う障害発生の防止
職業病・事故防止対策の推進
早期発見・早期療育の推進周産期保健医療の充実
健康相談・健康診査体制の充実
療育体制の充実
健康増進・疾病予防対策の充実健康・体力づくりの推進
健康相談・健康診査体制の充実
健康相談・健康診査体制の充実
精神障害者対策の推進相談体制の充実
医療体制の充実
社会復帰対策の充実
医療及び医学的リハビリテーションの充実医療体制の充実
リハビリテーション医療の充実
保健・医療・福祉の連携の充実・強化
専門従事者の養成確保人材養成対策の充実
人材確保対策の充実
  1. 教育・育成
教育的リハビリテーションの充実早期教育の充実
義務教育の充実
後期中等教育及び進路指導の充実
教職員の資質の向上
生涯学習の推進学習活動支援体制及び関連施設の整備
家庭教育の充実
青少年教育事業における交流の促進
生涯学習ボランティア活動の推進
国際交流の推進
  1. 雇用・就業
職業的リハビリテーションの充実職業能力開発の充実
職業紹介・職業指導の充実
雇用率の達成指導の充実・強化
雇用の促進と安定
重度障害者雇用の促進
自営業への就業の促進
福祉的就労の促進福祉的就労の場等の整備促進
受注・販路拡大の推進
  1. 福祉
生活の安定のための施策の充実年金・手当等の充実と制度の周知
関連制度の充実
福祉用具の普及・研究開発の推進福祉用具に対する理解と利用の促進
福祉用具の研究開発の推進
在宅福祉の充実在宅福祉サービスの充実
相談活動の充実
地域福祉活動の振興地域福祉活動の充実
ボランティア活動等民間福祉活動の推進
施設福祉の充実体系的な施設の整備と活用の促進
利用者処遇の充実
施設機能の地域開放の促進
福祉専門従事者の養成確保人材養成対策の充実
人材確保対策の充実
リハビリテーションの総合化の研究地域リハビリテーション体制の充実強化
リハビリテーションの総合的展開の研究
  1. スポーツ・レクリエーション・文化
スポーツ・レクリエーション活動の振興障害者スポーツの普及の促進
スポーツ・レクリエーション活動への参加促進
スポーツ・レクリエーション活動推進体制の充実・強化
スポーツ・レクリエーション活動関連施設の整備促進
芸術・文化活動の振興芸術文化活動への参加促進
芸術文化活動への支援
芸術文化活動関連施設の整備

第2節 障害者に関する前計画期間中の主な取り組みの概況

1.推進体制

 本県では、昭和57年11月に策定した「障害者に関する山形県長期計画」に基づき、「完全参加と平等」の実現をめざして、関係部局長、教育長、県警本部長で構成する「山形県障害者対策推進連絡会議」(会長:副知事)を設置し、関係部局相互の密接な連携を取りながら、総合的かつ効果的な障害者施策を推進してきた。

2.推進方針

 「国際障害者年」のテーマである障害者の社会への「完全参加と平等」を基本理念として、10年間にわたる障害者対策の基本的方向を示した「障害者に関する山形県長期計画」(昭和58年度~平成4年度)に基づき、(1)啓発(2)教育育成(3)保健・医療(4)福祉サービス(5)雇用・就業(6)生活環境の整備の6部門において障害者対策を積極的に推進していくこととした。

3.事業の実施状況(事業の成果と評価)

 平成4年度と昭和58年度の障害者対策関連の事業をみると、多くの新規事業が実施されるなど、事業数が1.6倍(118事業→188事業)、また、事業費では4.8倍(58億円→278億円)と伸びており、本県における障害者対策は着実に進展したものと評価できる。
 各部門毎の実施状況は次のとおりである。

  1.  啓発部門では、地域福祉推進モデル地区の設定、福祉ボランティアの町づくり、ふれあいフェステバルの開催、やすらぎのまちづくり、録音・点字による情報提供、障害者の文化芸術祭等の事業を実施。
  2.  教育育成部門では、県立高等養護学校の建設、言語障害児教育担当の研修、ボランティアとの共同生活体験、教育用コンピューターの整備等の事業を実施。
  3.  保健・医療部門では、保健・医療福祉のネットワークづくり、言語回復訓練、腎移植推進情報センター設置、障害者小規模作業所や援護寮への助成等の事業を実施。
  4.  福祉サービス部門では、在宅障害者の機能回復訓練、在宅重度障害児訪問指導、身体障害者スポーツ協会設立、グループホーム等の事業を実施。
  5.  雇用・就業部門では、精神薄弱者や精神障害者の職場適応訓練、障害者雇用促進会議設置、精神薄弱者の再就職のための指導・訓練、小規模作業所への研修費の助成等の事業を実施。
  6.  生活環境部門では、視覚障害者用信号の設置、障害者・高齢者にやさしい歩道の整備、福祉のまちづくり整備指針(試案)策定、福祉のまちづくり等の事業を実施。

4.特記すべき事業

  1.  「国連・障害者の十年」の最終年にあたる平成4年10月、海外14カ国・地域からの選手団、ボランティア等の参加のもと、第28回全国身体障害者スポーツ大会「輝きのべにばな大会」が本県で開催された。
     なお、大会史上初めて、精神薄弱者が参加したデモンストレーション競技を実施した。
  2.  「国連・障害者の十年」最終年を記念して、障害者の文化芸術祭「輝きの文化芸術祭」を初めて開催した。

■「障害者に関する山形県長期計画」部門別障害者事業の実施の推移

年度実施事業数
啓発教育育成保健医療福祉サービス雇用就業生活環境の整備合計
58年度(A)12192840910118
4年度(B)281640681818188
割合(B/A)233.3%84.2%142.9%170.0%200.0%180.0%159.3%

■「障害者に関する山形県長期計画」部門別障害者事業の予算額の推移

年度予算額   (単位:千円)
啓発教育育成保健医療福祉サービス雇用就業生活環境の整備合計
58年度(A)160,96750,771492,6081,571,06618,5403,526,8975,820,849
4年度(B)466,22745,4551,270,70215,208,033206,48810,678,26427,875,169
割合(B/A)289.6%89.5%258.0%968.0%1,113.7%302.8%478.9%

第3節 山形県の障害者の動向

 本県の人口は、平成2年(国勢調査)には、1,258,390人(男607,041人、女651,349人)となっている。
 本県人口の推移をみると、昭和30年以降昭和50年までは、全国的な大都市圏への人口移動及び出生率の低下に伴い減少を続けた。その後、昭和55年から昭和60年にかけては人口が増加し、126万人台まで回復したが、平成2年には再び減少した。(図1)
 平成2年における本県人口の年齢構成をみると、15歳末満の年少人口は233,824人、15~64歳の生産年齢人口は819,200人、65歳以上の老年人口は204,577人で、総人口に占める割合は、それぞれ、18.6%、65.1%、16.3%となっている。
 年齢3区分別の割合の推移を見ると、年少人口は、昭和15年以降減少傾向にある。また、生産年齢人口は、昭和50年までは増加傾向にあったが、昭和55年以降は再び減少傾向を示している。老年人口は、昭和10年以降増加を続け、昭和50年には10%を超え、平成2年には16.3%と急速に高齢化が進行している。(図2)
 本県においては高齢化率(人口に占める老年人口の割合)が全国第4位と高く、平成12年(西暦2000年)には23.1%(全国17.0%(厚生省人口問題研究所推計))と将来も全国を上回る速さで人口の高齢化が進行すると予測されている。(表3)

図1 本県人口の推移
(大正9年~平成2年)

資料:国勢調査

図2 年齢(3区分)別人口の推移-山形県
(大正9年~平成2年)

資料:国勢調査

表3 高齢化率の推移と将来推計
(%)

〔65歳以上〕昭和10
(1935)
30
(1955)
40
(1965)
50
(1975)
60
(1985)
平成7
(1995)
12
(2000)
17
(2005)
22
(2010)
全国4.75.36.910.113.420.023.124.825.7
山形県4.05.06.37.910.314.517.019.121.3
全国順位---17位6位3位4位5位7位

資料:厚生省人口問題研究所「日本の将来推計人口」

1.身体障害児・者の状況

(1) 身体障害者数
 本県の身体障害児・者数(身体障害者手帳交付者数)は、平成4年3月末日現在で43,802人(身体障害児752人、身体障害者43,050人)となっている。昭和57年と比較すると、身体障害児は減少しているものの、身体障害者が13.2%増え、全体で4,927人、12.7%の増加となっている。
 また、人口に占める割合は3.5%で、全国に比較すると0.7ポイント高くなっている。

■身体障害児・者数

-18歳未満18歳以上合計県人口全国障害児・者数全人口
57年度858
(2.2)
38,017
(97.8)
38,875
(100.0)
1,256,803
(3.1)
2,717,226
118,673,000
(2.3)
3年度752
(1.7)
43,050
(98.3)
43,802
(100.0)
1,256,741
(3.5)
3,525,681124,043,418
(2.8)
増加率△12.4%13.2%12.7%---

(各年度3月31日現在、単位:人、カッコ内は構成比:%、人口は、10月1日現在推計人口)資料:障害福祉課

(2) 障害種類別身体障害児・者数
 身体障害児・者を障害の種類別にみると、「肢体不自由」が25,101人(57.3%)で最も多く、次いで「聴覚平衡機能障害」6,731人、「内部障害」6,441人の順となっている。
 昭和57年度と比較すると、「内部障害」が障害範囲の拡大等により大幅に増加しており、「肢体不自由」も増加している。また、「視覚障害」と「聴覚平衡機能障害」は、減少している。

■障害種類別身体障害児・者数

区分視覚障害聴覚平衡障害音声言語肢体不自由内部障害合計
57年度5,976
(15.4)
8,210
(21.1)
463
(1.2)
21,903
(56.3)
2,323
(6.0)
38,875
(100.0)
3年度5,010
(11.4)
6,731
(15.4)
519
(1.2)
25,101
(57.3)
6,441
(14.7)
43,802
(100.0)
増加率△16.2△18.012.114.6177.312.7

(各年度3月31日現在、単位:人、カッコ内は構成比:%)資料:障害福祉課

(3) 障害等級別身体障害児・者数の推移
 身体障害児・者を障害の等級別にみると、1・2級のいわゆる重度の身体障害児・者が37.7%と最も多く、次いで3・4級(中度)が33.9%、5・6級(軽度)が28.4%となっている。
 昭和61年度と比較すると、重度身体障害児・者が2,501人(17.9%)増加しており、各年度毎の割合も増加している。

■障害等級別身体障害児・者数

-1・2級(重度)3・4級(中度)5・6級(軽度)合計
61年度14,001(33.2)14,297(33.9)13,865(32.9)42,163(100.0)
62年度14,766(34.4)14,533(33.8)13,680(31.8)42,979(100.0)
63年度15,201(35.0)14,708(33.9)13,498(31.1)43,407(100.0)
元年度15,738(36.2)14,596(33.6)13,130(30.2)43,464(100.0)
2年度16,129(37.5)14,313(33.3)12,555(29.2)42,997(100.0)
3年度16,502(37.7)14,844(33.9)12,456(28.4)43,802(100.0)

(各年度3月31日現在、単位:人、カッコ内は構成比:%)資料:障害福祉課

(4) 身体障害者手帳の年度別新規交付者数
 身体障害児・者の中で、平成3年度の1年間に新たに手帳の交付を受けた者は、2,568人で、昭和57年度の2,386人と比較すると182人(7.6%)の増となっている。
 また、これらの新規交付者を障害の等級別にみると、平成3年度では、1・2級の重度身体障害児・者が約過半数を占めている。これを昭和57年度の新規交付者と比較すると、人数で38.4%増加しており、新規手帳交付者に占める重度者の構成も11ポイント増えている。

■身体障害者手帳の新規交付者数

区分1・2級(重度)3・4級(中度)5・6級(軽度)合計
57年度925(38.8)833(34.9)628(26.3)2,386(100.0)
3年度1,280(49.8)857(33.4)431(16.8)2,568(100.0)
増加率38.4%2.9%△31.4%7.6%

(各年度3月31日現在、単位:人、カッコ内は構成比:%)資料:障害福祉課

2.精神薄弱児・者の状況

(1) 平成3年5月1日の調査によると、県内の精神薄弱児・者は、7,017人(県内人口千人当たり5.58人)と推定される。そのうち70.6%は、在宅児・者で、施設入所児・者は、29.4%となっている。
 これを年齢別にみると、18歳未満が2,600人(37.1%)、18歳以上が4,417人(62.9%)となっている。
 昭和57年度の調査では、精神薄弱児・者6,090人のうち在宅児・者4,658人、施設入所児・者は1,432人となっており、ここ10年間で在宅児・者で299人(6.4%)、施設入所児・者で628人(43.9%)、計927人(15.2%)の増となっている

■精神薄弱児・者の数

年度\項目在宅施設入所合計
18歳未満18歳以上18歳未満18歳以上
昭和57年2,3022,3564,6584989341,4326,090
平成3年2,0812,8764,9575191,5412,0607,017
増減△22152029921607628927

(昭和57年度は12月1日現在、平成3年度は3月末日現在、単位:人)資料:精神薄弱児数児童課推計、精神薄弱者数障害福祉課調査

■精神薄弱児数の推移

年度精神薄弱児数
昭和57年約2,800
58年約2,800
59年約2,800
60年約2,800
61年約2,700
62年約2,700
63年約2,700
平成元年約2,600
2年約2,600
3年約2,600
4年約2,500

(毎年10月1日推計人口をもとに出現率で試算したもの 単位:人)
資料:児童課推計

■精神薄弱者数の推移

年度精神薄弱者数
昭和57年3,290
58年3,408
59年3,530
60年3,657
61年3,771
62年3,457
63年3,872
平成元年3,892
2年3,989
3年4,417
4年4,601

(5月1日現在、ただし4年は4年3月31日現在、58年~61年は推計 単位:人)

資料:障害福祉課

(2) 療育手帳の所持状況についてみると、平成3年度の調査では、精神薄弱児・者総数7,017人に対して4,513人(64.3%)が所持しており、療育手帳Aのいわゆる「重度」が1,706人(37.8%)、Bのいわゆる「中・軽度」が2,807人(62.2%)で「中・軽度」が多くなっている。
 昭和57年度の調査では、精神薄弱児・者総数6,090人に対して2,980人(48.9%)が療育手帳を所持しており、「重度」が1,537人(51.6%)、「中・軽度」が1,443人(48.4%)で、「重度」が上回ってる。

■療育手帳所持者数

年度\項目18歳未満18歳以上
(中・軽度)計

(重度)

(中・軽度)

(重度)

(中・軽度)

(重度)

(中・軽度)
昭和57年4263607861,1111,0832,1941,5371,4432,980
平成3年3665569221,3402,2513,5911,7062,8074,513
増減△601961362291,1681,3971691,3641,533

(年度末現在、単位:人)資料:障害福祉課

3.精神障害者の状況

 精神病院在院患者及び通院医療費公費負担受給者により精神障害者の数を把握すると3,283人となっている。(なお、在院患者数には県外出身者が含まれている。)
 平成3年度末現在、県内の精神病院に在院している患者数は、3,055人(人口万対在院患者数24.4人)で、うち精神保健法による措置入院者は41人(人口万対措置入院者患者数0.3人)となっている。
 これを昭和57年度の在院患者数2,921人(人口万対23.3人)、措置入院者数424人(人口万対3.4人)と比較すると、措置入院者数が大幅に減少している。
 また、通院医療費公費負担の受給者数は、平成3年度は3,283人で、昭和57年度の2,686人に比較すると597人(22.2%)の増加となっている。

■精神病院在院患者数及び通院医療費公費負担受給者数

年度\項目精神病院在院患者数
(人口万対)
うち措置入院者数
(人口万対)
通院医療費公費負担受給者数備考
昭和57年2,921(23.3)424(3.4)2,686各年度末現在
平成3年3,055(24.4)41(0.3)3,283
増減134△383597

(単位:人、( )内は%)資料:保健予防課

(参考)
■精神病院在院患者数及び通院医療費公費負担申請件数

年度在院患者数うち措置入院者数通院公費申請件数
昭和572,921(人)424(人)5,373(件)
582,9293445,224
592,9682515,609
603,0121685,526
612,9841215,887
623,088925,897
633,025796,047
平成元2,998596,408
2,995426,231
3,055416,567

4.難病(特定疾患)患者の状況

 原因が不明で治療方法も確立していない、いわゆる難病のうち、国で定めた特定疾患について「山形県特定疾患治療研究事業実施要綱」により患者の医療費負担の軽減を図っている。対象となる疾患数は、昭和47年の4疾患で始まり、その後、毎年追加されて、平成4年度現在で34疾患となっている。
 昭和57年度の受給者数は746名であったが、対象疾病の拡大とともに年々増加し、平成3年度の受給者数は2,102名となっている。

■特定疾患治療研究事業の対象疾病及び受給者数

年度\区分対象疾病数受給者数備考
昭和57年24746-
平成3年332,102-
増減91,356-

(単位:疾患、人)資料:保健予防課

第4節 障害者関連施策の動向

 「国連・障害者の十年」の実施期間中における障害者関連の主要な制度の創設、改正をたどってみると、昭和59年、昭和61年及び平成2年の三度にわたって身体障害者福祉法が改正され、昭和61年には、国民年金法、厚生年金保険法の改正を踏まえ障害基礎年金及び特別障害者手当が創設された。また、昭和63年には、精神衛生法が精神保健法に改正された。
 障害者の雇用の促進に関する法律については、昭和59年、昭和62年及び平成4年に法改正が行われた。さらに、平成4年には、障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約(ILO第159号)が批准された。
 障害者施策の動向も含めた、その概要は次のとおりである。

1.保健福祉サービスの総合的基盤整備

(1) 「高齢者保健福祉推進十カ年戦略」の策定及び実施
 急速に進展する高齢化に対応し、平成2年度から平成11年度までの10年間に緊急に取り組むべき施策について、平成元年末に、厚生・大蔵・自治三大臣の合意により、「高齢者保健福祉推進10カ年戦略」(ゴールドプラン)が策定され、高齢者や障害者の保健福祉サービスの基盤整備が図られることとなった。
 この戦略は、ホームヘルパーの大幅な増員などの在宅福祉対策の拡充や特別養護老人ホーム等介護を要する老人のための福祉施設整備、「寝たきり老人ゼロ作戦」等の7つの事業からなり、さらに、この推進を支援するために、福祉人材情報センターの設置等マンパワー確保対策について新たな予算措置が図られた。
(2) 高齢者保健福祉推進特別事業の実施
 地方公共団体が地域の創意と工夫を活かしつつ、地域の実情に応じた高齢者保健福祉施策の展開を図るため、自治省及び厚生省の指導の下に、平成3年度から地域福祉推進特別対策事業、地域福祉基金の設置等を内容とする「高齢者保健福祉推進特別事業」を実施することとなった。
 その概要は次のとおりである。
  1.  地域福祉推進特別対策事業計画の策定及び対象事業
     地方公共団体が、「地域福祉推進特別対策事業計画」を策定し、高齢者や障害者に関する総合的な保健福祉単独事業を実施できることになった。
    (対象事業等)
    1.  高齢者・障害者にやさしいまちづくり
      (公共施設等の改良等を体系的・一体的に行う事業)
    2.  高齢者の社会参加、生きがいづくり、世代間交流促進施設の整備
    3.  高齢者の健康づくりのための施設整備
    4.  地域の保健福祉活動の活性化のための施設整備
    5.  保健福祉マンパワー養成のための施設整備
  2.  地域福祉基金の設置及び運用
     地域の知恵と情報を活かした地域ぐるみの高齢者等の保健福祉事業を積極的に推進するため、地方交付税措置により地域福祉基金を設置し、その果実を運用することにより、施策展開が図られることとなった。
    (助成対象事業等)
    1.  地域の実情に応じた在宅保健福祉サービス等の普及・向上事業
    2.  地域の実情に応じた健康・生きがいづくりの推進事業
    3.  ボランティア活動推進事業

2.福祉関係8法の改正

 平成2年6月、身体障害者福祉法を含む社会福祉関係8法の改正を内容とする「老人福祉法等の一部を改正する法律」が成立し、わが国の社会福祉制度は大きな改革が行われることになった。
 これは、昭和20年代に骨格が形成された社会福祉制度を取り巻く環境が大きく変化していることに加え、人生80年時代にふさわしい社会福祉制度を構築していくことが強く求められていることによるものである。
 その主な改正点は次のような内容となっている。

(1) 在宅福祉サービスの積極的推進
  1.  在宅福祉サービスの位置付けの明確化
     ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービス等福祉各法の在宅福祉サービスを法定化するとともに、社会福祉事業法上の社会福祉事業に位置付けられた。
  2.  在宅福祉サービスの支援体制の推進
     社会福祉・医療事業団に長寿社会福祉基金を設置し、地域の実情に即したきめ細かな在宅福祉事業等の推進を図るとともに、社会福祉協議会及び共同募金会の活動を推進し、在宅福祉サービスの供給体制の整備や在宅福祉サービス等への助成が強化された。
(2) 在宅福祉・施設福祉両サービスの一元化
 これまで県が実施してきた町村居住者の施設入所措置(身体障害者、老人関係施設)や福祉の事務が、平成5年度から町村に移譲されることになった。これにより、住民に最も身近な市町村において、在宅福祉と施設入所のサービスが一元的に提供されることになった。
(3) 障害者関係施設の範囲の拡大
 新たに、視聴覚障害者情報提供施設を身体障害者更生援護施設として、精神薄弱者通勤寮及び精神薄弱者福祉ホームを精神薄弱者援護施設としてそれぞれ位置付けるとともに、精神薄弱者地域生活援助事業(グループホーム)が法定化された。
 また、精神薄弱者相談員についての規定が法律上明確に設けられた。
(4) 市町村及び都道府県老人保健福祉計画の策定
 老人に対する保健サービスと福祉サービスの一体的提供を図るため、市町村及び都道府県はこれらのサービスの実施の目標に関する計画を策定することとされた。

3.精神保健法の成立

 昭和62年9月、「精神衛生法」が「精神保健法」に改められた。
 これは、精神医学等の進歩により、入院中心の治療体制からできるだけ地域におけるケアを中心とする体制を整備し、多様化・複雑化する現代社会において広く国民の精神保健の向上を図るとともに、精神障害者の人権に配慮しながら適正な精神医療を確保し、その社会復帰を促進することが重要な課題になってきていることから、これらに対応するため改正されたものである。
 その主な改正点は、次のとおりである。

(1) 精神保健の向上
 精神的健康の保持及び増進、その他精神保健の向上に関する事項が規定された。
(2) 精神障害者の人権の擁護並びに適正な精神医療の確保
  1.  精神保健指定医制度の導入
     医療保護入院等に係る医療の必要性の判定等や措置入院者に係る入院の必要性の判定等を行う精神保健医制度が導入された。
  2.  入院制度の整備
     本人の同意に基づく入院を推進する見地から「任意入院」を新たに制度化し、保護義務者の同意による入院は「医療保護入院」として位置づけ、入院にあたっては精神保健指定医の診察を要件とする等適正な医療の確保が図られた。
  3.  入院患者の人権の確保
     入院の際には必要な事項を患者本人に通知するとともに、都道府県に精神医療審査会を設け、入院患者についての定期病状報告等に基づき入院の要否等の審査を行うことが規定された。
     入院患者の著しい行動制限は、精神保健指定医の認める場合に制限されるなど、人権上の配慮が行われた。
(3) 精神障害者の社会復帰の促進
 精神障害者の社会復帰の促進に関する事項が盛り込まれるとともに、生活訓練施設並びに授産施設が精神障害者社会復帰施設として規定された。

4.障害者の雇用の促進等に関する法律の成立及び一部改正

(1) 昭和62年5月、すべての障害者を対象とし、職業リハビリテーションの考え方に基づく雇用の促進と安定を推進するため、「身体障害者雇用促進法」が「障害者の雇用の促進等に関する法律」に改められた。
 主な改正点は次のとおりである。
  1.  精神薄弱者を雇用率に算定
     身体障害者と同様に精神薄弱者も雇用率に算定されることになった。
  2.  身体障害者雇用調整金等の支給範囲の拡大
     精神薄弱者を雇用する場合も、身体障害者雇用調整金、同奨励金の対象として支給されることになった。
  3.  雇用率の引き上げ
     障害者の雇用率が0.1%引き上げられ、民間企業が1.6%、公共団体の現業部門が1.9%、非現業部門が2.0%となった。
(2) 平成4年5月、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正が行われた。
 この改正は、重度障害者に対する施策、精神薄弱者及び精神障害者に係る施策の充実等障害者雇用対策の推進を目的とするもので、その主な内容は次のとおりである。(法律の施行は4年7月1日、一部は5年4月1日)
  1.  総合的な障害者対策の推進
     労働大臣は、今後の障害者雇用対策の総合的かつ計画的・段階的な展開の在り方について定めた障害者雇用対策基本方針を策定することになった。
  2.  重度化に対応した障害者雇用対策の推進等
    1.  重度障害者(重度身体障害者及び重度精神薄弱者)は長時間雇用が困難な場合もあり、このような事情を考慮し、短時間雇用(週22時間以上33時間未満の場合)であっても雇用率制度及び納付金制度が適用されることになった。(5年4月1日施行)
    2.  障害者の雇用を継続するための設備の更新等事業主の雇用の継続のための措置に対しても助成金を支給できることになった。
  3.  精神薄弱者及び精神障害回復者等の雇用対策の推進
    1.  重度精神薄弱者を雇用している場合、雇用率制度・納付金制度において、重度身体障害者と同様ダブルカウントが適用されることになった。(5年4月1日施行)
    2.  職場適応訓練の対象となる種類の精神障害回復者等の雇用について、納付金制度に基づく助成金が支給されることになった。

5.障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約(ILO第159号条約)の批准

 国際労働機関(ILO)第69回総会(昭和58年)において採択された「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」(ILO第159号条約)が平成4年6月12日に批准された。
 この批准は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」等に基づき、この条約の内容に即した国内政策がとられ、必要な措置が講じられてきており、平成4年が「国連・障害者の十年」の最終年にあたることも踏まえて批准されたもので、我が国が障害者雇用対策に積極的に取り組むことを海外に公約したものである。
 この条約は、すべての種類の障害者が適当な職業につくことができるようにし、これによって、障害者の社会への統合を促進するため、障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する措置をとること等について規定している。その主な内容は次のとおりである。

(1) この条約は、身体的又は精神的な障害のため、適当な職業に就く等の見通しが相当に減少している者について適用すること。

(2) 国内の可能性に応じて、職業リハビリテーション及び雇用に関する国の施策を決定・実施し、定期的に検討すること。

(3) 国の施策は、職業リハビリテーションに関する適当な措置の利用の確保及び開かれた労働市場における障害者雇用機会の増大を目的とすること。

(4) 国の政策の実施については、代表的な労使団体、障害者団体と協議すること。

(5) 職業指導、職業訓練、職業紹介等の事業の実施及び評価のための措置を講ずること。

(6) 農村及びへき地における職業リハビリテーション及び雇用に関する事業を促進する措置をとること。

(7) 職業指導、職業訓練、職業紹介等の事業を担当する職員の訓練等を確保するよう努めること。

6.障害者や高齢者の住みよい街づくりへの動き

 障害者や高齢者が、安全に円滑に行動でき、社会に参加できる条件づくりが進められようとしている。

(1) 平成4年6月30日に閣議決定された「生活大国5か年計画-地球社会との共存をめざして」では、住宅の改造や整備の開発・普及、交通機関、ターミナル施設、官公庁における配慮とともに、歩道について、高齢者や障害者が安全に利用できるおおむね2m以上の歩道幅をもつ道路の設置率を計画期間中におおむね30%(1990年20%)に引き上げることとしている。

(2) 建設省では、平成3年度から高齢者や障害者の移動に配慮して、駅、バスターミナル等に動く歩道やエレベーター付歩道橋等を設ける場合、事業費の3分の1を助成する「福祉の街づくりモデル事業」を進めているが、平成5年度からは、新規に、段差のない廊下やエスカレーター等を設ける建設物に容積率の特例を認めることになった。
 また、高齢者や障害者にやさしい建物の普及を図るため、公共施設及び一定規模以上の店舗、スポーツ施設、劇場、ホテル等について、障害者用駐車場、アプローチ部分の段差解消、廊下や階段の手すり、扉幅80センチメートル以上のエレベーター等の整備基準を示し、基準を満たしている場合に、
  1.  税制上の優遇
  2.  高齢者や障害者にやさしい建物として認定し「適」マーク交付
等を内容とする建設促進制度を平成5年度に創設することを検討している。

(3) 地方自治体においては、平成4年10月に、兵庫県と大阪府で、一定規模以上の建設物について、段差の禁止、手すり・スロープの設置、車椅子用トイレの設置等を義務づける「福祉のまちづくり条例」が制定された。
 また、札幌市では、平成5年4月1日施行を目指して「福祉の街づくり環境整備要綱」の改善を協議する検討委員会を設置したほか、平成5年度に滋賀県で「福祉のまちづくり条例制定検討委員会」の設置、愛知県で整備指針策定を予定するなど、福祉のまちづくりをめぐる取り組みも活発になってきている。

7.スポーツ・文化活動の展開

  1.  障害者スポーツの動向
     昭和39年、東京オリンピック直後に、世界22カ国から身体障害者が集まり「東京パラリンピック」が開催された。これを契機として、身体障害者スポーツに対する国民の関心が急速に高まった。
     国においては、昭和40年岐阜国体から、毎年、秋季国民体育大会の開催都道府県において全国身体障害者スポーツ大会を開催することとし、以来、年々充実発展し、咋年は第28回大会「輝きのべにばな大会」を本県で開催した。
     「国連・障害者の十年」最終年記念大会として開催し「輝きのべにばな大会」は、ニュージーランドや中国など14の国・地域からの108人の招待選手が参加し、国際交流を進めるとともに、大会史上最大の心身障害者1,750名による輝き演技、精神薄弱者のデモンストレーション競技を加えるなど交流豊かな大会となった。また、参加者3万9千人、一般入場者を含めると9万人という、空前の大会規模となり、多くの県民に数々の忘れ得ぬ熱い感動を巻き起こした。
     国外に目を向けると、我が国は1962年の第11回大会以来のストーク・マンデビル大会への選手派遣をはじめ、フェィスピック(極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会)など国際大会にも積極的に参加してきた。
     このように、障害者スポーツは、リハビリテーションの手段として開発され、障害者の社会参加を促進するうえで大きく貢献してきた。
     しかしながら、今、障害者スポーツは従来のリハビリテーションの手段としてのスポーツをより発展させた競技スポーツとして新たな飛躍の時を迎え、完全参加と平等の道を歩んでいる。
     Paralympics(パラリンピック)の意味も、東京大会ではParaplegia Olympics(両下肢麻痺者のオリンピック)という意味で付けられた愛称でしたが、現在使用されているパラリンピックは、Parallel Olympics(もう一つのオリンッピク)というように理解されている。
     一方、昨年9月には第9回パラリンピック・バルセロナ大会がスペインで開催され、知的障害者がはじめて参加しました。また、昨年11月には第1回精神薄弱者全国スポーツ大会('92ゆうあいぴっく東京大会)が開かれるなど、知的障害者の分野においてもスポーツが盛んになってきている。
     なお、1998年には、第7回冬季パラリンピックが長野県で開催されることになっている。
  1.  文化活動の動向
     国際障害者年には、国際的な児童の作品展や総合的な作品展が開催されたが、その後は、全国的なものは開かれていない。
     平成4年は、3月に「とっておきの芸術祭」として、神戸市において障害者の新しい文化芸術祭が大規模に開催された。また、「国連・障害者の十年」最終年記念事業として、「国民会議」主催の芸術祭が東京・日比谷公会堂で開催され、再び大きく脚光を浴びて来ている。
     本県においては、山形県身体障害者福祉協会が毎年文化祭を開催しているほか、平成元年度から3年度まで、「ふれあいフェスティバル」を実施してきた。
     また、昨年は、「国連・障害者の十年」最終年を記念して、厚生省、(財)日本身体障害者スポーツ協会との共催で、全国を対象とした「輝きの文化芸術祭」を実施した。
     障害者の芸術文化活動における社会参加の促進は、障害者の正しい理解とノーマライゼーションの啓蒙という意味からも注目されてきている。

8.「国連・障害者の十年」以後に向けた動き

(1) 国連の動き
 「国連・障害者の十年」は、1992年末で終了したが、これに関連し、国連等で次のような各種の作業が行われている。
  1.  1992年4月北京で行われた国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の第48回総会において、1993年から2002年までの10年間を「アジア太平洋障害者の十年」と宣言し、アジア太平洋地域においては、更に「障害者の十年」を継続し、障害者対策の推進を図っていくこととなった。この決議では、各国がこの10年の国内行動計画を定めることが決議されている。
  2.  国連においても、第47回国連総会において「国連・障害者の十年」の締めくくり審議が行われた。世界行動計画と国連・障害者の十年に関する国連事務総長報告において、1993年から2002年において引き続き障害者問題に関し長期的で、段階的な国内行動計画を策定していくことを各国に勧奨している。
  3.  この他、国連においては、「障害者に関する世界行動計画」、1993年の第48回国連総会を目指して策定作業が進められている「障害者の機会均等化に関する標準規則」や「2000年まで及びそれ以降障害者に関する世界行動計画を実施するための長期戦略」に基づいて、今後の障害者対策の推進を図っていくこととしている。
     なお、米国においては、雇用、公共サービス、輸送、公共施設、通信の分野における障害者に対する差別を禁止するアメリカ障害者法(Americans With Disabilities Act of 1990)が制定され注目を集めている。

(2) 我が国においても、平成5年1月の中央心身障害者対策協議会の意見書「『国連・障害者の十年』以降の障害者対策の在り方について」を受けて、「障害者問題に関する新長期計画」を策定した。


第2章 各論

(障害者施策の現状と課題及び各部門の施策の方向)

第1節 啓発・広報

 障害者福祉のめざすところは、障害のある人もない人も、地域社会で共に生活を営むことが正常であるという「ノーマライゼーション」の理念を踏まえ、障害者の社会への「完全参加と平等」の実現をめざすことにある。
 この障害者の社会への完全参加と平等の実現をめざす社会づくりは、障害者のためだけのものではなく、県民全体の豊かな福祉社会を築くための、すべての県民の願いであり、目標でもある。
 そのためには、県民一人一人が障害及び障害者についての正しい認識をもち、障害者に対する偏見や差別意識を取り除いていく必要がある。
 障害者の福祉について、県民に対する一層の理解と協力を求めていくために、この部門では、次の事項を重点目標にする。

重点目標

  1. 障害及び障害者についての正しい認識の一層の普及
  2. 障害及び障害者についての啓発・学習の充実
  3. 交流・ふれあいの促進

1.障害及び障害者についての正しい認識の一層の普及

現状と課題

 障害及び障害者についての正しい認識の普及を図るため、テレビや新聞等のマスメディアや市町村広報等により様々な啓発広報活動を実施してきているが、平成3年度に県が実施した「社会福祉総合調査」によると、「障害者に対する理解がない」と回答している障害者(身体障害者)が20.2%おり、充実して欲しいサービスとして34.9%の障害者(精神薄弱者)が「まわりの人の理解」をあげている。
 また、ノーマライゼーションの理念の具現化に向けた対策として、32.1%の人が「障害
(児)者への正しい理解を促す県や市町村の広報活動の充実」をあげている(県政モニターアンケート・平成4年11月)。
 これらの数字は、「国連・障害者の十年」の間に様々な啓発広報活動の成果として、障害者向け住宅等の生活環境や障害者の社会参加が進んだものの、これを受け入れる社会全般の障害や障害者についての正しい認識が必ずしも十分でないことを示している。
 これらのことを踏え、今後とも、ノーマライゼーションの理念の浸透に向け、障害及び障害者についての正しい認識の一層の普及を図って行く必要がある。

障害者からみた「障害者に対する社会の人々の理解(身体障害者)」

理解があるある程度理解あまりない殆どないまったくないわからない無回答
20.443.416.82.31.115.11.0

資料:平成3年7月県生活福祉部「山形県社会福祉総合調査」(単位:%)

具体的目標

(1) 県民への啓発・広報活動の充実
  •  「障害者の日」をより有意義なものとするため啓発広報を進める。
  •  年間の広報計画に基づき、広報誌やテレビ・ラジオなど様々な広報媒体による障害者をテーマとした広報を積極的に実施して、障害者への県民の理解を促進する。
  •  県政テレビ番組について、障害者関連番組以外の番組についても積極的に手話による広報を推進する。
     また、音声による「県民のあゆみ」を発行する。
  •  県民の障害者への理解が一層深まるよう、障害を持つ人と持たない人のふれあいの様子や障害者の社会参加の様子、またスポーツ・文化活動などについて、様々な機会を捕らえて積極的に広報する。
  •  広報紙が障害者に配慮したものになるよう諸会議、研修会等において働きかけてる。
  •  関係団体とも連携を取り、女性や青少年を対象とした各種の研修会や広報活動等を通して、障害者に対する理解と認識を一層深めるための啓発活動を推進する。
  •  角膜障害による失明者に対する角膜移植や白血病患者・再生不良性貧血患者に対する骨髄移植を推進するための啓発・広報を推進する。
  •  医療・福祉部局と連携を図りながら、モデル住宅の設計、建設を行い、障害者対応の住宅についての広報・啓発を行う。
(2) 民間の啓発・広報活動への協力
  •  障害者団体が実施する啓発広報活動を積極的に支援する。
  •  社会福祉協議会(県・市町村)等の福祉団体が実施する県民・市町村民への啓発・広報に協力し、障害及び障害者に関する情報を積極的に提供する。
  •  福祉のまちづくり事業等を通し、商店街や経済団体等に対して、その構成員等に対する障害や障害者に関する啓発広報の実施を要請するとともに、障害及び障害者に関する情報を積極的に提供する。
(3) 障害者雇用の啓発推進
  •  雇用促進法に基づく企業等の障害者雇用の責務、障害者雇用に関連する各種助成金や奨励金制度等について、より一層の周知を図り、企業の障害者雇用意識の啓発を図る。
  •  障害者の雇用について、障害者雇用促進運動等を通しながら、広く県民の啓発を図る。

2.障害及び障害者についての啓発・学習の充実

現状と課題

 福祉の基本理念であるノーマライゼーションの理念は、県民の間に浸透しつつあるが、障害を持つ人々に対する偏見や認識の不足がみられることから、子供から高齢者まで、県民一人一人が障害者を正しく認識できるような啓発と学習の機会を学校教育や社会教育活動を通して提供していく必要がある。
 また、障害及び障害者について正しい理解と認識をはぐくむためには、啓発活動と相まった保健・福祉教育も大きな役割を担っている。
 急速な高齢化社会の進展に伴い、公的援護体制の充実が急がれており、公的援助に加えて、県民すべてがお互いの立場や心情を思いやり、相互扶助の精神による障害者や老人に対する地域ケアを推進していく必要があるが、障害の種類や程度により必要とする地域ケアも異なるので、障害及び障害者についての啓発・学習の充実を図って行く必要がある。

地域の方やボランティアから受けたい援助 (2項目以内で回答)  (単位:%)

-外出時の付添手話通訳等家事サービス話し相手買物、薬受領家族不在時の介助雪おろし簡単な家の修理その他無回答
全体18.77.89.534.39.624.623.712.715.65.2
視覚障害36.411.77.832.510.416.915.66.513.07.8
聴覚障害8.844.110.336.810.311.87.45.98.88.8
音声言語13.320.0-40.013.313.320.0-20.0-
肢体不自由18.42.09.834.19.131.125.815.714.14.0
内部障害12.21.212.229.39.817.134.112.229.36.1

資料:平成3年7月県生活福祉部「山形県社会福祉総合調査」

具体的目標

(1) 保健・福祉教育の充実
  •  学童生徒ボランティア活動普及事業協力校の拡大、小学校福祉読本「福祉のこころ」を充実させることなどにより、学童・生徒の福祉の心を育むとともに、学童・生徒を通した家庭及び地域社会の啓発を推進する。
  •  家庭、学校、団体、企業等が一体となった地域福祉活動を推進し、活動を通じた地域における福祉教育の機会の拡大を図る。
  •  保育所等における高齢者・障害者とのふれあい活動の促進等、幼児期からの思いやりの心を育む活動を支援し拡大を図る。
  •  家庭で幼いうちから、思いやりの気持ちを育て、障害児と心優しくふれあうことの大切さを広めて行く。
(2) 学校教育の充実
  •  特殊教育諸学校近隣の小・中学校を心身障害児理解推進校に指定し、障害を持たない児童生徒と学級・学校間で交流し、障害を持つ児童生徒への正しい理解と認識を深めていく。
  •  特殊学級のある学校において、積極的に障害を持つ児童と持たない児童との交流を通し、障害を持つ児童生徒への正しい理解と認識を深めていく。
(3)社会教育の充実
  •  生涯学習ボランティアの育成等の機会を通し、県民の理解と認識を深めるための啓発広報活動を進める。
  •  「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」を実施しながら、障害者に対する理解を深め、暮らしのあらゆる領域に、障害者と障害を持たない人とがともに活動できる気運の醸成を図る。
  •  学校週5日制の実施に伴い、子供達が自由な時間を利用し、自然や地域の中で工夫しながら遊んだり、スポーツを楽しんだりできるように、県立社会教育施設の年間事業ポスターを作成・配布し、体験活動の活発化、施設利用の促進を図る。
  •  県民の障害者に対する正しい理解や福祉意識の醸成を図るため、障害者問題の視点やテーマにそった生涯学習センターの事業の充実を図る。
  •  県民の生涯学習に対する意欲の喚起を図るとともに多様な学習活動を奨励・促進していくために設定する「生涯学習月間」の中で、関係者の協賛を得ながら、県民の障害者理解や福祉意識の醸成を図るための啓発事業を進める。

3.交流・ふれあいの促進

現状と課題

 障害と障害者に対する理解を促進するためには、交流・ふれあいの機会が欠かせない。
 交流・ふれあいは、障害を持たない人との交流・ふれあいを通しながら、障害者が自立と社会参加を促進していくための大事な機会である。
 一方、障害を持たない人の側から見ると、心の壁を取り除き、「福祉の心」を醸成する大事な機会でもある。
 ノーマライゼーションの理念をより一層普及していくため、障害を持つ人と持たない人が自然に交流・ふれあうことができる場の整備を検討し、交流・ふれあいが機会を拡大していく必要がある。
 今後、障害者の文化芸術祭や山形県陸上競技選手権大会などの文化・スポーツの行事や体験学習等を通じた交流・ふれあいの機会を一層拡大していく必要がある。

家族、親族以外の話相手や遊び友達はいるか

かなりいる15.4%
あまりいない45.5%
全くいない24.3%
必要ない12.8%
無回答2.0%

隣近所からの協力や付き合いの変化

具体的目標

(1)体験を通した啓発・広報の推進
  •  個入や団体、学校や企業等による地域福祉活動を積極的に推進し、活動を通じた障害を持つ人と持たない人との交流・ふれあいの機会の拡大を図る。
  •  保育所における障害者の受け入れを促進し、統合保育を推進することにより、幼児期からの障害及び障害児への理解を深める活動を推進する。
  •  養護施設での障害児の受け入れを促進し、障害を持つ児童と持たない児童との交流・ふれあいを支援する。
  •  高校生を中心とするボランティア活動の中で、社会福祉施設におけるボランティア活動を奨励し、障害を持つ人と持たない人との交流の促進を図る。
  •  県立の青少年教育施設等で行われる自然体験や社会体験を促進する事業に障害をもつ子供達や成人にも参加を呼びかけ、障害を持たない子供達との交流を促進する。
  •  「ノーマライゼーション」の理念をより一層浸透させるため、障害者の疑似体験やスポーツ等を通して、障害を持たない人と障害を持つ人が自然に交流・ふれあうことができる山形県の特性を生かした施設の整備について検討する。

第2節 まちづくり

 障害者が地域社会の一員として、障害を持たない人と同じように社会生活を営んでいくためには、自立した家庭生活、社会活動に伴う円滑・安全な移動の確保、さらには社会生活にかかわりの深い公共的施設の利便の確保など、障害者にとって住みよい生活環境が整えられなければならない。
 これらの生活環境の整備は、ただ障害者のための環境づくりとして考えるのではなく、障害者や高齢者、幼児も含めたすべての県民が安全で快適な生活ができる、「みんなが住みよいまちづくり」として、長期的かつ積極的に取り組むべき課題である。
 そのためには、行政機関のみならず、県民全体での取り組みが必要である。
障害者はもとより、すべての県民が生活しやすい地域社会づくり、まちづくりの実現をめざし、この部門では次の事項を重点目標とする。

重点目標

  1. 住みよいまちづくりの総合的推進
  2. 住宅・生活環境の整備促進
  3. 移動・交通対策の推進
  4. 情報・コミュニケーション対策の充実

1.住みよいまちづくりの総合的推進

現状と課題

 障害者、高齢者にやさしい、住みよいまちづくりの推進については、昭和60年度に作成した「福祉の街づくり~環境整備の手引」により、公共建築物や公共性の高い民間建築物における玄関ドアの自動化、スロープや障害者用トイレの設置等の整備改善、及び視覚障害者のための誘導ブロックや信号機付加装置の設置等を促進してきた。
 また、平成2年3月には、公共的建築物、道路、公園、公共交通機関の整備等の在り方について、「山形県における福祉のまちづくり整備指針(試案)」としてまとめて公表し、この「整備指針(試案)」の普及を図りながら、国の関連制度等を活用して、福祉のまちづくりを推進してきた。
 現在、まちづくりの事業や補助制度は、厚生省、建設省、自治省において、それぞれの事業が実施されており、個別事業の充実強化とともに、縦割りで行われているまちづくり事業全体を横断的な視点でとらえるとともに、冬期の積雪寒冷時の問題等にも配慮しながら、総合的、計画的に推進することが課題となっている。
 今後、より一層の効果的な整備を進めるためには、県、市町村等の設置者において、目標、目安とすべき整備水準、技術的基準を明らかにした整備指針を明確に定め、その啓発普及を図りながら、着実に整備水準の向上を達成していく必要がある。
 また、県庁舎をはじめとする、公共の建物等の整備改善の推進とともに、民間の建物等についても整備改善が促進されるようなシステムの検討が必要である。さらに、まちづくりの推進にあたっては、制度の周知をはじめとした啓発広報の充実とともに、地域住民自らが地域の状況を調査したり、福祉のまちづくりのあり方を考えていくなどの主体的な取り組みの中から、障害者や高齢者にやさしいまちづくりについての理解が高まるという側面も大切にされなければならない。

《福祉のまちづくり関連事業の推移》
  • 身体障害者福祉モデル都市設置事業
  • 障害者福祉都市推進事業
    鶴岡市(昭和56~57年度)
    天童市(昭和60~61年度)
  • 「障害者の住みよいまちづくり」推進事業
  • 「住みよい福祉のまちづくり」事業
    寒河江市(平成4~6年度)
  • 「障害者とともに歩む地域づくり」推進事業
  • (県単)「やさしい福祉のまち」整備推進事業
山形市(昭和50年度指定)
酒田市(昭和54~55年度)
米沢市(昭和57~58年度)
 
本県での実施市町村はなし
上山市(平成3~5年度)
長井市(平成5~7年度(予定))
舟形町(平成3年度)
平成4年度
米沢市社会福祉協議会、長井市社会福祉協議会、
櫛引町社会福祉協議会、最上町社会福祉協議会、
河北町社会福祉協議会

具体的目標

(1)福祉のまちづくり整備指針の制定
  •  平成2年3月に公表した「山形県における福祉のまちづくり整備指針(試案)」について、庁内事業担当部局各課での技術基準と照合するとともに、必要な修正を加え、県の指針として制定する。
(2)福祉のまちづくり推進体制の整備
  •  「山形県における福祉のまちづくり整備指針」に基づいた整備が、市町村、民間施設等においても積極的、効果的に進められるよう、指導要綱などの指導体制を整備する。
  •  市町村が、策定する障害者や高齢者を配慮した施設づくり、街づくり計画について、積極的に支援する。
(3)住みよいまちづくり関連事業の推進
  •  厚生省、建設省、自治省において、それぞれ実施している、「福祉の街づくりモデル事業」、「人に優しい建築物整備促進事業」、「地域福祉推進特別対策事業」については、できるだけこれを活用して、障害者や高齢者に配慮した公共施設の整備と環境整備のより一層の充実を図る。
  •  「住みよい福祉のまちづくり」事業、「障害者とともに歩む地域づくり」推進事業については、市町村の意向を充分反映しながら計画的に実施し、生活環境の改善を推進する。
  •  「ふれあいのまちづくり」事業については、市町村の社会福祉協議会と福祉施設の意向を充分反映しながら計画的に実施し、地域福祉活動の推進に努める。

2.住宅・生活環境の整備促進

現状と課題

 障害者や高齢者が安心して地域社会で生活を送るためには、住宅や生活環境が、障害者や高齢者に対応して整備されることが必要である。
 県が整備する公共建築物については「山形県における福祉のまちづくり整備指針(試案)」に基づき整備を進めているところであるが、この「整備指針(試案)」を県行政全体の「整備指針」として確立し、また、不特定の人が利用する民間の建築物についても、障害者や高齢者に配慮した建物となるよう指導を進めるとともに、改善整備のための誘導策についても検討する必要がある。
 身体障害者向け公営住宅は、平成3年度末現在57戸で、うち車椅子対応が可能な住宅が14戸整備されているが、さらに充実することが必要である。
 このため、県営住宅について引き続き既存住宅の計画的改善を図るとともに、一般の住宅についても将来の高齢化等に配慮した設計とするよう、普及に努める必要がある。
 各種観光施設及び観光地の公衆トイレについては、徐々にではあるが、身体障害者向けの設備を設ける施設が増えており、今後一層普及に努める必要がある。
 農林水産業関連施設においては、コミニティ施設・活性化施設等の集会施設が数多く建設されており、これらの施設についても障害を持つ人々が十分利用出来るように配慮していく必要がある。
 県庁舎については、建設当時から点字ブロックや身体障害者用トイレ等を設けており、その後も身体障害者来客用駐車スペースを設ける等の整備を図っているが、今後も、引き続き整備の充実を図っていく必要がある。

公共施設における身体障害者用トイレの普及状況

施設の種類設置施設の数身体障害者用トイレの数備考
庁舎4245-
公民館4343-
図書館88-
体育関係施設4555-
学校4649-
病院103114-
福祉施設251276-
文化施設118122-
公園1925-
公衆トイレ1111-
その他の
公共施設
3333-
公共的施設等45104(*)
合計764885-

(*)市町村が把握しているもの(平成4年9月、障害福祉課調)

「山形県における福祉のまち整備指針(試案)」を参考にした公共施設の例

  • 日本海病院(トイレ、スロープ、エレベーター)
  • 県議会棟(トイレ、スロープ、エレベーター)
  • 明新館高校(トイレ、スロープ)
  • 総合運動公園広場(スロープ、点字ブロック)
  • 西蔵王公園(トイレ、スロープ)
  • 弓張不公園(トイレ、スロープ)
  • 庄内空港緩衝緑地施設(トイレ、スロープ、点字ブロック)
  • 県道の歩道段差切り下げ、視覚障害者誘導ブロックの整備(17路線18工区。但し、平成5年度計画分を含む)

具体的目標

(1)障害者住宅の整備・利用の促進
  •  障害者対応の住宅について、モデル住宅の設計、建設を行い、これらをもとに普及啓発を図る。
  •  障害者の住宅ニーズに応えるため、障害者の福祉ホームの整備を検討するほか、長寿社会推進機構による住宅相談業務を拡充して、高齢者・障害者に対する一体的住宅相談窓口を設置する。
  •  一般の住宅についても、障害者等に配慮したものとするよう啓発を行うこととし、特に公共賃貸住宅については、障害者向仕様を積極的に導入すること等により、その先導的役割を担うようにする。
  •  高齢者や身体障害者の身体機能の低下を考慮し、住宅内で支障なく生活できるように高齢者や身体障害者の利便性に考慮した設備設置について、「安心住まいる推進協議会」を設置し、総合的な推進を図る。
  •  県公舎については、今後のニーズに合わせて整備を図るよう努める。
(2)公共・公共的建築物の整備促進
  •  農業農村整備事業においては、集落単位を超える集会施設(概ね500平方メートル以上)ついては、障害を持つ人々が十分利用出来るように、点字案内板・手摺り・段差の解消・スロープ設置・滑りにくい床材の使用・身体障害者用トイレ・重いドアの自動開閉押釦設置等の配慮をしていく。
     また、集会施設の新設だけでなく、既存の施設の改修整備にも補助出来るような要綱・要領の整備も合せて検討する。
  •  観光施設や農業環境施設をはじめ、市町村の地域整備計画に関しては、市町村の意向を踏まえ、建設補助金の事務や地域総合整備事業債活用事務を通じて、「整備指針」の活用並びにその啓発普及と着実な実施に努める。
  •  県庁舎に設置している来客用及び職員用の身体障害者用駐車場の台数や位置等については、今後検討を重ね、安心して来庁できるように努める。
  •  県庁舎の改修整備及び災害防止については、「整備指針」に基づき点検し、整備を図るように努める。
(3)防災等安全確保対策の推進
  •  社会福祉施設等の防火安全対策として、次の事項を重点として火災防火運動を展開する。
    1. 消火訓練及び避難訓練の実施の徹底
    2. 防災物品の使用の徹底及び防災製品の使用の徹底
    3. 近隣住民等による応援・協力体制の確立
    4. 夜間における防火管理体制の整備
    5. スプリンクラー設備、屋内消火栓設備、非常通報装置の設置の推進
    6. 消防用設備等の維持・管理の徹底
  •  地域における防火安全対策として、寝たきり又は一人暮らし高齢者、身体不自由者等の避難援助体制の確立及び自主防火体制の確立を重点に火災予防運動を展開する。
  •  高齢者・障害者等の災害弱者が災害、事故等に見舞われた際、直接、消防機関に対し通報できる緊急通報システムの設置を促進する。
  •  障害者や高齢者の特性に配慮した使用しやすい防災機器等の啓発・啓蒙を図る。
  •  重度障害者等を対象として給付する日常生活用具の中の火災報知器、自動消火器、緊急通報装置等について、市町村との連携のもとに給付の充実に努める。
  •  緊急通報システムの整備、ファックスによる障害者側から消防、警察等への緊急通信体制の充実を図るとともに、障害者に対する災害時・緊急時の情報伝達、避難誘導方策の在り方について検討を進める。

3.移動・交通対策の推進

現状と課題

 障害者の社会参加の機会が増えていることに伴い、その行動範囲が拡大してきている。「21世紀を展望した90年代の交通政策の基本的方向について」(平成3年6月3日運輸政策審議会答申)に示される通り、障害者の社会参加を促すためにも、その円滑なモビリティの確保が重要な課題となっている。
 公共交通機関の利用に際しては、特にターミナル内での移動や車両の乗降等が問題となる。このため、平成4年の全国身体障害者スポーツ大会に合わせ天童駅・山形駅に車椅子用エレベーターが設置されたほか、段差解消や誘導ブロックの整備も進められている。また、平成4年に開通した山形新幹線には車椅子用のスペースが設けられた。
 今後は、ガイドラインやモデルデザインに沿って、障害者や高齢者が利用しやすい公共交通ターミナルの整備や車両構造の改良を進めて行く必要がある。
 一方、近年の交通事故の増加に伴い、安全でより快適な道路空間の整備が望まれており、特に、交通弱者である障害者や高齢者にとって利用しやすい歩道の整備を進めるため、従来から行なっている歩道段差の切り下げ、視覚障害者誘導用ブロック設置についても、さらに充実する必要がある。
 併せて、音声信号機や交通弱者感応装置等の整備を行い、障害者の安全な横断歩行の誘導を充実していく必要がある。
 また、身体障害者の移動手段として欠かすことのできない自動車の運転免許証取得の相談や操作訓練、自動車改造の助成等、移動支援の充実を図っていくことも必要である。
 さらに、障害者の移動を妨げる、路上の放置物については、市町村の規制だけではなく、県民の理解と協力が必要なので、啓発活動を積極的に実施していく必要がある。

「山形県における福祉のまち整備指針(試案)」を参考にした交通施設の例

  • 庄内空港緩衝緑地施設(トイレ、スロープ、点字ブロック)
  • 県道の歩道段差切り下げ、視覚障害者誘導ブロックの整備

(17路線18工区。但し、平成5年度計画分を含む)

具体的目標

(1)公共交通機関の整備促進
  •  公共交通ターミナルの整備にあたっては、段差の解消、改札口の拡幅、ホームにおける警告・案内ブロックの設置等を推進する。
  •  車両構造の改良を進めるにあたっては、乗降口におけるスロープの設置や車内の車椅子スペースの確保等を推進する。
  •  アクセスとターミナル施設の関係については、交通機器の改良、触知案内板の設置、音声・視覚両面からの案内表示等情報案内システムの整備を推進する。
  •  障害者や高齢者に配慮した公共施設の整備と都市環境の整備については、次の点に留意してより一層の充実を図る。
    1. 高齢者・障害者が安心して暮らせる街づくりの促進
      既存(公共、民間)施設を高齢者・障害者が容易に利用できる当該施設へのアクセス道路(通路)についての改修並びに整備促進
    2. 福祉型道路・建築物の整備促進
      スロープや昇降装置付きの立体横断、ゆずりあい車線、休憩(休養)施設、車椅子移動を容易にできるよう配慮した建築物の整備促進
    3. 地域の生活を支える信頼性の高い道路網の促進
      障害者や高齢者が、いつも安心して利用できる道路ネットワークの整備促進
(2)交通関連施設の整備促進
  •  「やさしいまちづくり推進事業」等を積極的に活用し、歩道の段差切り下げ、視覚障害者誘導ブロック等を効果的に配慮した高齢者、障害者にやさしい歩道の改築・整備の推進を図る。
(3)移動支援対策の充実
  •  リフト付きバスの運行、障害者用に改造された自動車への助成、ガイドヘルパーの派遣等の移動対策の充実を図る。
  •  車椅子使用者等が利用できるリフト付き乗用車を運行する事業を支援する事業を実施する。
  •  高齢者、幼児にもやさしい低床バスなどの導入、運行について検討する。

4.情報・コミュニケーション対策の充実

現状と課題

 情報の洪水ともいわれる現代社会にあって、障害者は通常の媒体や方法による情報利用に大きな制約をもっている。
 特に、視聴覚障害者は基礎的な情報の獲得とコミュニケーションの確保に大きな制約を受けており、在宅生活を余儀無くされている多くの重度障害者も情報利用ができにくい状況にある。
 このため県では、声の図書館だよりを発行するとともに、平成3年度からは点字による即時情報ネットワークシステムの導入と字幕入りビデオカセットライブラリー事業を実施したほか、平成3年度からは点字図書購入に対する補助制度等を行い情報の提供に努めてきた。
 このほか、専任手話通訳を設置し、手話通訳奉仕員の養成派遣、要約筆記奉仕員の養成事業も行っている。
 今後は、パソコン、ファクシミリ等高度情報化社会の資源を利用した情報提供とコミュニケーションの確保を支援し、拡充していくことが課題となっている。この場合、身近な地域の情報を的確に提供していくことも大切である。平成4年に結成され、「輝きのべにばな大会」で好評を得た、「輝きネット」は、パソコンなどのハイテク機器を障害者自らが活用することにより、高度情報利用やコミュニケーションを可能にしている例として注目される。
 障害を持つ人が、障害を持たない人と同じように情報を入手できるように情報媒体の多様化と拡充を図る必要がある。

県内の手話通訳者数
手話通訳士合格者 1名
手話通訳設置事業 6名
(県3名、山形市、米沢市、天童市各1名)

手話奉仕員派遣事業 71名
(奉仕員登録者内訳は次のとおり)

山形市18名、米沢市7名、鶴岡市3名、
新庄市8名、上山市5名、村山市10名、
長井市4名、天童市7名、東根市5名、
尾花沢市3名、南陽市1名

具体的目標

(1) 情報媒体及び手段の充実
  •  点訳、朗読、要約筆記及び手話通訳奉仕員等の養成を進めるとともに、手話奉仕員派遣事業に加えて、要約筆記奉仕員の派遣事業を実施する。
  •  点字図書、字幕入りビデオカセット等を充実する。
  •  パソコン、ワープロ等のハイテク機器を活用し、障害者のニーズにあった情報提供システムの確立、普及に向けた支援対策を検討する。
  •  障害者向け情報メディアの充実と、ニューメディアを活用した福祉情報の提供システムの構築を検討する。
  •  地域の公民館活動等において、障害者に配慮した情報の提供が進むよう働きかける。
(2) コミニュケーションの確保
  •  身体障害者福祉会館に手話通訳を設置するなど、聴覚障害者のコミニュケーションの確保に努める。
  •  音声機能障害者発生訓練を引き続き実施する。
  •  聴覚障害者情報提供施設の整備については、関係団体の意向を踏まえて検討する。
  •  手話ボランテイア、要約筆記ボランテイアのネットワークづくりを支援し、聴覚障害者のコミュニケーションの確保に努める。

第3節 保健・医療

 健康であることは、すべての県民の願いであり、人生80年代を豊かで生き生きと生活するための基本である。ここでは、障害の発生を未然に防ぐことと、障害をできるだけ早く発見し、いかに早く療育指導の場につなげるかが基本となる。
 そして、ライフステージに応じた適切な保健・医療を提供するため、医療機関をはじめ関係機関が連携を保ちながら、健康づくりから疾病予防、治療、リハビリテーション、在宅ケアというそれぞれの段階に至る一貫した体制の確立に努めることが望まれる。
 障害のある人にとって、健康を保持し増進するための保健・医療の充実は、とりわけ重要な課題であり、障害の種類・程度や障害者の年齢など、一人ひとりの状態に応じたきめ細かな対策が必要である。
これらを踏まえ、保健・医療の充実を図るため、この部門では次の事項を重点目標にする。

重点目標

  1. 障害(児)者発生予防の充実
  2. 早期発見・早期療育の推進
  3. 健康増進・疾病予防対策の充実
  4. 精神障害者対策の推進
  5. 医学的リハビリテーションの充実
  6. 専門従事者の養成確保

1.障害児・者発生予防の充実

現状と課題

 障害の発生を未然に防ぐために、母子保健の知識の普及・啓発、訪問指導活動等に取り組んでいるが、母子保健対策をさらに充実し、健やかな子どもを産み育てるための施策を充実する必要がある。
 後天性障害の発生予防は、成人病をはじめとする後天性疾患の予防と後遺症としての障害の発生予防及び事故防止対策の推進を図らなければならない。また、寝たきりを防止するために脳卒中等にり患した際には、寝たきりにさせないなど、寝たきり防止についての正しい理解と知識の普及を図るとともに、退院直後の脳卒中対策等を一層充実する必要がある。寝たきりの一因となり、中途失明者の主な原因になっている糖尿病対策も必要である。
 さらに、職業病や交通事故等による障害発生を防止するために、安全な生活を確保し幅広い事故防止対策を推進する必要がある。

妊婦一般健康審査

年度\区分出生数妊婦一般健康
審査受診数
S5715,76415,507
5815,62315,512
5915,53315,036
6014,89314,690
6114,69514,376
6214,02514,085
6313,95113,282
H元13,03312,598
12,55512,245
12,48812,271

1歳6カ月・3歳児健康診断受診状況

年度\区分1歳6カ月児3歳児
該当児受診数3歳児受診数
S5716,37615,66017,18016,507
5815,71214,97316,97916,176
5915,59114,89516,25715,620
6015,62614,93215,97615,188
6114,95814,45015,94915,205
6214,59414,22315,36814,649
6314,49713,99314,96714,494
H元13,77313,37114,56213,994
13,33112,96314,31413,882
12,78212,52414,14013,702

具体的目標

(1) 健康相談・健康教育の充実
  •  思春期にある男女や、その保護者等に対して母性保護知識の普及、性に関する保健上の問題についての相談を継続して行う。
  •  婚前学級、新婚学級、母親学級、育児学級の内容の充実、受講者の拡大を図り、障害の発生の予防について知識の普及に努める。
  •  保健所における遺伝相談、育児相談等の充実を図るとともに、障害発生の恐れのある妊婦、乳幼児の健康管理システムの充実を図る。
(2) 健康増進対策の推進
  •  健康的な生活スタイルの確立を目指して、健康づくり体制の整備を総合的に推進し、市町村の保健活動の場となる市町村保健センターの整備を促進する。
  •  健康によい食生活の定着を目指し、食生活改善推進員の養成を図る。
  • 成人病の予防と健康づくりのために、食卓「愛」の運動、「元気で長生き食生活」、有酸素運動「さわやかウオーク」を推進する。
  •  健康増進事業の拠点として健康増進センターを設置し、生涯を通じた健康づくり体制の総合的な整備を図る。
(3) 高齢化に伴う障害発生の防止
  •  寝たきりにならない、寝たきりは防止できるという意識を各種イベントの開催等を通じて、高齢者から若い人までに広めるため、寝たきり老人ゼロ県民運動を推進する。
  •  脳卒中患者等について、入院した医療機関から保健所を通じて行われている脳卒中患者登録評価事業をより一層充実し、保健、医療、福祉の連携のもとに、退院後のスムーズな在宅保健福祉サービスを提供することにより、寝たきりの防止を進める。
  •  中途失明者の主な原因となる糖尿病対策の充実を図る。
(4) 職業病・事故防止対策の推進
  •  交通事故のない安全で快適な地域づくりを進め、交通事故による障害(児)者の発生を防ぐため、年間交通安全県民運動並びに各季の交通安全県民運動等を積極的に推進する。
  •  障害(児)者が交通事故に遭うことを未然に防止するため、障害(児)者に対して効果的に伝達できる啓発広報事業の実施方法について、検討を進める。
  •  産業医、衛生管理者等を中核とする安全衛生管理体制の確立と労働安全衛生教育を徹底し、労働安全衛生管理に対する正しい認識のもとに産業保健活動を総合的に実施する。

2.早期発見・早期療育の推進

現状と課題

 障害の発生予防に加え、早期発見、早期療育体制の整備が重要である。
 近年、医学や関連分野の進歩により、早期発見、早期療育体制の充実が図られてきているところですが、これに伴い、保健、医療、福祉、教育の連携がますます重要となってきている。
 このため、保健所、市町村、医療機関、福祉事務所、児童相談所等のこれまで以上に緊密な連携と、早期療育のための施策のバランスのとれた整備が課題となっている。

先天性代謝異常検査実施状況  単位:人

年度\区分出生数先天性代謝異常検査
(昭和52年~)
先天性甲状腺機能低下症検査
(昭和54年~)
神経芽細胞腫検査
(昭和60年~)
備考
実施数患者数実施数患者数実施数患者数
5715,76417,929618,0603---
5815,62317,796217,7032---
5915,53317,341217,4890---
6014,89316,409016,447111,3823-
6114,69516,013115,983013,6732-
6214,02515,099215,148113,4542-
6313,95115,055215,025212,8521-
13,03314,100114,181312,9532-
12,55513,409213,409112,2711-

資料:保健予防課

1歳6カ月健康診査実施状況

-昭62年度63平・元
対象人員14,59414,49713,77313,33112,782
一般受診数14,22313,99313,37112,96312,524
率(%)97.596.597.197.298.0
歯科受診数14,21213,98513,36712,95212,524
率(%)97.496.497.197.298.0
要精検・要治療・治療中(歯科含まない)人員2,2942,1602,2031,9981,969
率(%)16.115.416.515.415.7

3歳児健康診査(一次)実施状況

-昭62年度63平・元
対象者数36814,96714,56214,31414,140
受診人員64914,49413,99413,88213,702
率(%)95.396.896.197.096.9
正常児人員8,6669,0419,0198,9406,948
率(%)59.262.464.464.450.7
要指導身体面1,6771,5901,4001,314-
精神面精神発達2,2281,9851,8751,7833,309
生活習慣
習癖
要精検病院受診券発行441329352526-
(診療所)その他936559473,562
児童相談所12010890112-
要治療1,4241,3761,199336338
う歯のない者3,0812,9772,9102,9583,164

具体的目標

(1) 周産期保健医療の充実
  •  新生児の死亡や心身障害を予防し、子どもが健やかに生まれる環境づくりのための、周産期医療体制の整備を図る。
(2) 健康相談・健康診査体制の充実
  •  安全な分娩と異常の早期発見を目的とした、妊婦、新生児の健康診査の充実に努める。
  •  運動機能、精神の発達遅滞障害の子どもを早期に発見し、障害の進行を未然に防止することを目的とした、一歳6ヶ月児、三歳児健康診査の受診の向上に努める。
  •  経過観察児などのフォローアップ体制の整備をさらに進め、一貫した母子管理システムの充実を図る。
  •  先天性代謝異常検査を実施し、心身障害児の発生防止に努めるとともに、障害児の早期医療としての保成医療給付事業を行う。
  •  保健・医療機関と児童相談所が連携を密にし、健康相談、健康診査体制の充実を図り、乳幼児期からの障害の早期発見に努め、その適正な指導を行う。
(3) 療育体制の充実
  •  三歳児健康診査の結果、精神発達遅滞の疑いが生じた幼児について、精密健康診査を実施し、早期療育に努める。
  •  心身障害児を地域において療育するためのシステムづくりを推進するとともに、医師、理学療法士等がチームを組んで療育指導にあたる、通園施設療育指導事業等の各種療育相談事業の充実を図る。
  •  障害が発見された場合は、障害の固定化と重度化を防ぐために、できるだけ早い時期からの療育を促進し、ライフステージに応じた療育体制づくりを確保する。
  •  障害児通園施設を利用することが困難な地域での療育事業の実施と、その拡充を図る。

3.健康増進・疾病予防対策の充実

現状と課題

 県民の健康の保持増進を図るために、各種施策を推進しているところであるが、急速な高齢化の中、成人病は依然として増加しており、生活内容や地域環境の変化などにより、県民の健康観、価値観が多様化し、「人生80年時代」を健やかで活力ある社会とするため、個々人の状況に応じた健康づくり対策はますます重要になってきている。
 障害のある人にとって、健康を保持し増進するための保健・医療の充実は、とりわけ重要な課題であり、障害の種類・程度や障害者の年齢など、一人ひとりの状態に応じたきめ細かな対策が必要である。
 また、脊髄損傷、脳性麻痺及び脳血管障害等を原疾患とする身体障害者は、長期間にわたる車いすの常用などにより、二次障害を誘発する場合が多いが、このような障害者の二次障害の発生の予防を含め、全人的な健康対策を行政、関係諸団体が連携を図りながら総合的に推進する必要がある。

「健康状態について」
(平成4年3月、山形県社会福祉総合調査から)

身体障害者  (%)

健康8.4
普通44.4
病弱41.0
寝たきり6.0
無回答0.2

心身障害児  (%)

健康44.1
まあまあ健康39.9
病気がち9.5
寝たきり4.2
入院中2.2

精神薄弱者

具体的目標

(1) 健康・体力づくりの推進
  •  いきいきと活力に満ちた県民づくりを目指して、バランスのとれた食生活と運動、休養を習慣化させることを目的とした、「アクティブ80やまがたヘルスプラン」を基本に内容の充実を図る。
  •  老人保健福祉計画を市町村との連携を図りながら策定し、高齢者に対する保健福祉サービスを計画的、一体的に推進する。
  •  疾病の予防から早期発見・早期治療のため、老人保健法に基づいた総合的な保健事業を推進し、健やかな生活の実現に努める。
  •  糖尿病や、骨粗しょう症にかかりやすい状況にある人に、食生活、運動等の生活習慣を改善するための指導を行い、発生の予防に努める。
(2) 健康相談・健康診査体制の充実
  •  重度の障害(児)者でも利用できる歯科療養所を確保し、障害(児)者の健康増進を図る。
(3) 二次障害の防止対策の推進
  •  障害者の二次障害の発生を予防するための身体障害者健康診査事業については、市町村、医療機関等の連携しながらその実施について働きかけていく。

4.精神障害者対策の推進

現状と課題

 社会環境の複雑化により、心の健康が損なわれる要因が増加していることから、心の健康づくりを積極的に推進し、精神的健康の保持増進を図っていくことがこれまで以上に重要になってきている。
 精神障害者対策の推進にあたっては、精神障害者の人権を擁護しつつ、適正な精神医療の確保を行い、精神障害者の社会復帰を推進してゆくことが重要な課題となっている。
 このため、精神病院における適正な医療の確保や事故防止に向けた実地審査、指導をより充実していく必要がある。
 また、精神障害者の社会復帰の促進に向けて、保健所や精神保健センターを中心とする各種相談事業を充実し、家族会や断酒会への支援等と併せて、社会復帰のための施設の運営援助等を継続するとともに、何より精神障害と精神障害者に対する正しい認識と理解の促進を図っていく必要がある。

精神障害者社会復帰施設の状況(平成4年度末)
  精神障害者援護寮 2カ所
  精神障害者小規模作業所 7カ所

2次保健医療圏別精神医療機関配置状況  (平成4年5月末現在)

圏域名人口(平成4.4.1)病院数病床数在院患者数人口万対病床数病床利用
村山圏域573,658人9病院1,748床1,702人30.5床97.4%
最上圏域101,291121622921.3106.0
置賜圏域251,888439337815.696.2
庄内圏域326,213376575123.598.2
1,253,050173,1223,06024.998.0

資料:県保健予防課

具体的目標

(1) 相談体制の充実
  •  精神障害者の早期発見、治療の促進、社会適応の援助、痴呆性老人を介護する家族の支援などのため、保健所における精神保健相談、訪問指導の充実を図り、心の健康づくりを推進する。
  •  回復途上にある精神障害者の支援体制強化に向け、社会復帰施設において土曜日、祝日に相談窓口を設置する。
  •  保健所における精神障害者の社会復帰を図るための相談指導を行う。
(2) 医療体制の充実
  •  精神病院における入院患者の処遇と人権確保、治療環境の整備、事故防止等についての指導強化に努める。
  •  入院患者について、その入院の適否について定期的に実地に審査を行う。
  •  精神障害者の社会復帰に向けて、通院医療費の半額を公費負担する。
  •  精神科救急医療体制の充実、老人性痴呆疾患センターの整備など、老人性精神疾患に対する医療体制の整備、精神科ディケアの整備等、精神医療の充実を図る。
(3) 社会復帰対策の充実
  •  一定期間、事業所での社会適応訓練を行い、精神障害者の社会復帰の促進を図る。
  •  精神障害者の社会復帰を促進するために、市町村が小規模作業所に補助した経費について補助金を交付し、適正な指導を行う。
  •  精神障害者の社会復帰、社会参加促進を図るため、医療法人が設置する「援護寮」の施設の運営に対して助成し、指導の充実を図る。
  •  一定程度の自活能力のある精神障害であって、家庭環境、住宅事情等の理由により、住宅の確保が困難な者に対して、一定期間利用できる生活の場を与えるとともに、必要な指導を行い社会参加の促進を図る。
  •  精神障害者グループホームの創設、充実に努める。

5.医療及び医学的リハビリテーションの充実

現状と課題

 人口の高齢化や社会環境の複雑化に伴う脳血管疾患や精神疾患等の増加、あるいは事故等による機能障害等の増加などにより、日常の生活機能が低下した患者に対して、身体的、精神的、社会的な能力を回復させるためのリハビリテーションの需要が高まっている。
 特に、本県においては全国平均を上回る速度で人口の高齢化が進行しており、医療と福祉の両面にわたるリハビリテーション体制の整備が急務となっている。
 「山形県保健医療計画」に基づき施策が進められていますが、県内におけるリハビリテーション機能を有する病院は、平成4年7月1日現在で理学療法室を有する病院30施設、作業療法室を有する病院14施設、精神科作業療法室又は精神科デイケア病院8施設であり、県内の概ね半数の病院において、これらいずれかの機能を有している。
 医学的リハビリテーションは、患者の症状が許す限りできるだけ早期からの実施と、障害の特性や患者のライフステージに沿った適切かつ継続的な実施が重要であり、実施体制の整備が急がれるところである。
 一方、特殊医療機能の分野においては、移植医療体制の整備も進んでいる。
 腎不全にたいする根治療法としての腎移植を推進するため、平成3年7月に(財)やまがた腎バンクが設立されたほか、平成4年10月には、本県における腎移植体制の中心的な役割を担う、山形県腎移植推進・情報センターが設置された。
 また、角膜の障害による失明に対する唯一の根治療法である角膜移植の分野においては、昭和55年に(財)山形県アイバンクが設立され、以来平成4年3月までで提供登録者数は4,300人を越え、角膜移植手術総数も127件となっている。
 さらに、白血病、再生不良性貧血などの治療法としての骨髄移植を推進するため、平成3年に全国的な組織として骨髄移植推進財団が設立されている。
これらの動きを発展させ、移植医療による根本的治療法確立に向けて、研究を推進していく必要がある。

具体的目標

(1) 医療体制の充実
  •  生涯を通じて健康を確保するため、県民の誰もが、いつでも、どこでも、プライマリ・ケアから高度医療までの必要な医療が提供される体制を整備するように努める。
  •  腎移植の推進を図るため、腎提供登録者数(平成5年2月15日現在1,214名)の拡大に努める。
  •  角膜移植を推進するため、角膜提供登録者数の増加に向けた啓発活動の推進を図る。
  •  骨髄移植を推進するため、骨髄提供登録者数の拡大に向けた普及啓発活動等を推進する。
  •  障害者に対する歯科医療の確保を図るため、県歯科医師会が設置している歯科センターにおける心身障害(児)者歯科診療事業を継続するとともに、へき地歯科巡回診療車等を活用しながら、在宅寝たきり老人や施設入所者の歯科診療の確保を図る。
(2)リハビリテーション医療の充実
  •  障害の早期発見、治療からリハビリテーション及び在宅患者のリハビリテーション間での総合的なシステム化を推進する。
  •  本県におけるリハビリテーション医療の中核施設として、研究・研修機能を有する高度で専門的なリハビリテーション医療施設の整備を図る。
  •  地域においても、リハビリテーション機能を有する病院の適正配置に努めながら、施設設備の整備を促進し、機能の充実を図る。
  •  家庭における機能回復訓練は、生活の質(QOL)の向上を図る観点からもリハビリテーション対策としては重要であり、市町村、医療機関との連携のもとに在宅におけるリハビリテーションの普及を促進する。
  •  老人保健法に基づく機能訓練事業の実施市町村を、平成7年までにすべての市町村に拡大するとともに、その実施回数を増やしていく。
  •  通院・通所によるデイケア・リハビリテーションを推進するため、病院及び老人保健施設等におけるリハビリテーション部門の活用の普及促進を図る。
  •  健康の増進、循環器疾患の研究、疾病の予防、老人性疾患の治療及びリハビリテーション機能を有する総合的拠点施設として「高齢者医療研究センター(仮称)」を整備する。
(3) 保健・医療・福祉の連携の充実・強化
  •  県内のリハビリテーションの受療患者数、医療施設の実態等にかかる総合的な調査の実施により、リハビリテーション需要を的確に把握したうえで、医療機関をはじめ、老人保健施設、福祉施設、市町村、保健所等が有機的連携を図りながら、総合的にリハビリテーションが展開されるシステム作りを検討する。
  •  保健や医療や福祉のサービスを相互に緊密な連携を図りながら、総合的なサービスとして提供できる体制として、「山形県家族保健福祉サービス連絡会議」の充実強化を図るとともに、市町村における「高齢者サービス調整チーム」、保健所ごとの「地域家族保健福祉サービス連絡会議」の支援と強化に努める。

6.専門従事者の養成確保

現状と課題

 人口の高齢化が進み、援護を要する高齢者、障害者が増加しています。同時に、そのニーズは高度化、多様化してきており、これらの人達の介護、看護、リハビリテーションに従事する職員の養成と確保が課題となっている。
 特に、リハビリテーション医療の実施にあたっては、医師、看護婦、理学療法士、作業療法士、言語療法士、臨床心理士、視能訓練士などの数多くの専門職員からなるチームによる取り組みが必要ですが、現在、これらリハビリテーション医療従事者が不足しており、その養成確保が必要である。
 また、福祉人材情報センターなどの活動を一層充実し、社会福祉施設職員や看護婦等専門職員の確保を図るとともに、潜在している人材の掘り起こしも積極的に進めていく必要がある。

保健婦、助産婦、看護婦等の就業場所別状況  (平成2年12月末現在)

-総数保健所市町村病院診療所事業所養成所助産所社会福祉施設老人福祉施設学校その他
開設者出張のみによる者
保健婦40360279725233--4--2
助産婦278--20223-3347----
看護婦(士)4,617-204,0853471965--7641-
准看護婦(士)2,995-121,7201,155-5--1012--
合計8,293603116,0141,5504771347181612

県内医療施設の理学療法士、作業療法士の従事者数 (人)

-昭和59年昭和62年平成2年
理学療法士365467
作業療法士101932

具体的目標

(1) 人材養成対策の充実
  •  理学療法士、作業療法士等リハビリテーション医療従事者については、引き続き修学資金制度の充実により、県内定着の促進に努めるとともに、県立保健医療短期大学(仮称)を整備し養成を図る。
  •  質の高い看護職員を養成するため、県立保健医療短期大学(仮称)に保健婦、看護婦の養成課程を設置する。
  •  介護を必要とする高年齢者の急増に対応し、介護サービス業務に従事する人材の養成確保を図るため、次の事業を行う。
    1. 介護サービス技術コースの実施
    2. ホームヘルパー技術講習会の実施
    3. パート訓練「老人家庭看護科」の実施
    4. 介護サービス技能審査試験の実施
  •  介護福祉士等専門職員の養成、確保を図るため、修学資金の貸付制度の導入を図る。
  •  県社会福祉研修所で実施している研修については、今後ともさらに専門性、実践性を高めながら研修内容を充実、強化し、社会福祉従事者の資質の向上を図る。
  •  民間の福祉事業従事者の研鑚を深め、福祉従事者としての資質の向上を図るため、国内及び海外への派遣研修を推進する。
(2) 人材確保対策の充実
  •  福祉マンパワーの量的確保と質的な向上を図るため、福祉マンパワー対策にかかる基本指針を策定し、この指針に基づいて対策を推進する。
  •  福祉人材情報センターにおいて福祉マンパワーの確保を図るための人材育成・登録(バンク)事業を実施し、福祉施設等への就労を促進する。

主題:
新山形県障害者福祉行動計画 1頁~60頁

発行者:
山形県生活福祉部

発行年月:
平成5年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒990-8570 山形市松波2丁目8番1号
電話:(0236)30-2211