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障害者自立・共生ふくしまプラン

No.3

福島県障害者計画

福島県

第4節

教育・育成

テーマ

『可能性の開拓』

 障害者一人ひとりが持つ能力と可能性を最大限に伸ばし、社会で自立していく力を養うためには、それぞれの障害や特性に合ったきめ細かな教育が必要であり、生涯を通して多様な教育・学習の場が確保されていなければなりません。
 また、教育とあわせて心身障害の療育を早期から始めることが大切であり、成長の各段階で適切な治療と指導訓練が行える療育体制の整備も必要です。
 その他、青少年期において健全な人格形成を促していくことも大切です。

施策目標

第1 教育施策の充実

第2 育成施策の充実

第1 教育施策の充実

〔現状と課題〕

●障害児の適切な教育を確保していくためには、早期教育、適正就学の推進、教育機会の拡充、教育内容の充実、それに係わる教職員の指導力の向上が大切です。

●障害児の教育は障害の特性、発達段階など一人ひとりの状態に応じた適正な就学指導が重要であり、高い教育効果が得られる教育の場が用意され、できるかぎり早いうちから行われることが大切です。このため、保健・医療・福祉との連携を図りながら障害幼児の早期発見に努め早期教育を充実していく必要があります。

●障害児が適切な教育を受けられるよう、各市町村の心身障害児就学指導審議会において適正な就学指導が図られてきました。また、県では養護教育センターを昭和61年に開設し、就学相談の充実と市町村教育委員会への支援に取り組んできたところです。
 今後はさらに、障害の重度化・重複化、多様化に対応して、より適正な就学指導体制の充実を図っていく必要があります。

●教育機会の拡充、教育内容の充実においては、盲・聾・養護学校の適正配置を推進するとともに、小・中学校の特殊学級や通級による指導を中心とし統合教育へ向けた就学指導の質的充実と就学の場の適正配置に努めていく必要があります。
 また、後期中等教育は、生徒一人ひとりの自立と社会参加を促進するうえで重要であるため、特に県立精神薄弱養護学校高等部の適正配置を推進していくとともに、卒業後の進路に向けて職業教育や進路対策を充実していく必要があります。高等学校への受入れについても障害の程度に配慮しながら整備を図る必要があります。
 さらに、障害者がいつでも、どこでも、必要に応じて学習や活動の機会が得られるよう、生涯学習の推進において、障害者のための学習機会の拡充と学習環境の整備を図っていくことが大切です。

●障害児の可能性を最大限に伸ばすために、それに係わる教職員の資質の向上は不可欠であり、盲・聾・養護学校等の教職員を対象に基本研修、専門研修を行っできましたが、今後も各種研究・研修事業の充実を図っていくとともに、養護教育センターを中心に指導体制の充実強化が必要です。
 加えて、障害児を学校教育全体で受けとめる観点から、特に小・中学校との交流等を進め、教職員の障害児についての理解を深めていく必要があります。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 早期教育の推進
 心身に障害を持つ幼児の教育は、保健・医療・福祉と連携を図りながら、本人や保護者に対する教育相談を充実するほか、早期教育の機会の一層の拡充を図ります。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
早期教育の充実 早期からの適切な相談指導の実施  保健所、病院、児童相談所、学校等が互いに連絡を取り合いながら、障害幼児とその保護者・家族、教育関係者の相談に応じます。
  • 地域相談室の設置(福島市、会津若松市、いわき市)(各聾学校分校に設置)
  • 巡回就学相談の実施(県北、会津、相双、いわき教育事務所ごとに実施)
 相談活動を充実します。 養護教育課
障害の早期改善  医療や教育、福祉が適切な役割分担の下に、障害を改善し望ましい発達を促すため、本人及び保護者に対して適切な指導・助言を行います。  障害の改善に努めます。 養護教育課
障害幼児教育の場の確保  障害の種類や程度、保護者等の要望に応じた、適切な幼児教育を行う場を確保するため、幼稚園等の障害幼児教育に対する支援やその指導にあたる教職員の研究の機会を設けます。
 また、障害の改善のための療育の場や、基本的行動様式や集団参加等の社会性を伸ばすための訓練の場も確保します。
  • 聾学校幼稚都(郡山、福島、会津、平)
  • 私立幼稚園への助成措置
  • 肢体不自由児通園施設
  • 精神薄弱児通園施設
  • 心身障害児(小規模)通園事業の実施
など
 早期教育(療育)の場の確保に努めます。
 また、教職員の研究機会を拡充します。
養護教育課
文書学事課
障害福祉課

〔施策の方向と具体的方策〕

2 学校教育の充実
 学齢期の障害児に対して適正な就学指導を行うほか、通級や特殊学級による指導、高等学校への受入れなど教育機会の拡充に努めます。
 また、盲・聾・養護学校においては、今後もその適正配置を推進し教育内容、方法の改善を図ります。さらに、障害児童生徒の能力・適性、障害の状態に応じた職業教育に力を入れるとともに、組織的な進路指導体制の確立を図ります。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
適正就学の推進 市町村教育委員会の就学指導体制の整備  各市町村心身障害児就学指導審議会の適切な委員構成や就学指導担当者の資質の向上を図り体制を整備します。  体制の充実を促進します。 養護教育課
県心身障害児就学指導委員会の運営  委員会を設置運営し市町村就学指導審議会と連携を図り適正就学の一層の推進を図るほか、市町村への指導や就学に関する各種情報の収集提供を実施します。 委員会を充実します。 養護教育課
義務教育段階における多様な教育の充実 通級の整備  各教科の大半を通常の学級で学習できる軽度心身障害児を対象とした指導の場として通級指導教室を設置します。  設置に努めるとともに、通級に関する研究を進めます。 義務教育課
養護教育課
特殊学級の整備  児童生徒一人ひとりの障害の種類や程度に応じた適切な教育の場として設置します。  適正配置に努めるとともに、学習内容・方法の研究を進めます。 義務教育課
養護教育課
盲・聾・養護学校の整備  重度重複障害児の適切な教育の場として整備します。  適正配置に努めるとともに、教育内容・方法の充実に努めます。 養護教育課
教育相談の形態による指導  養護教育センターが行う来所相談や地域相談室、巡回就学相談等において、障害が重複してより専門的な技能を必要とする場合など、教育相談による効果的な指導に実施します。  相談活動を充実します。 養護教育課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
後期中等教育段階における特殊教育の充実 養護学校高等部整備  障害生徒の社会的自立を促す教育の場として、養護学校高等部を開設します。
 また、重複障害生徒が就学できる重複学級を設置します。
  • あぶくま養護学校の開設(平成6年度開設)
  • 同校高等部の開設(平成8年度開設)
  • いわき養護学校重複学級の設置(平成6年度開設)
 精神薄弱養護学校の高等部開設と、重複学級の設置を推進します。 養護教育課
養護学校高等部の教育内容の研究  卒業後の社会参加・自立ができるようにするための教育内容・方法を研究します。  在り方について検討を進めます。 養護教育課
高等学校における受入れ体制の整備  高等学校へ就学を希望する障害をもつ生徒を受け入れるための教育環境を整備します。  条件整備を検討します。 高等学校教育課
文書学事課
職業教育と進路対策の充実 作業学習等の実施  卒業後の就労の場等において適切な対応ができる力を育てていくため、養護学校等において、基本的生活習慣を確立し、作業学習や現場実習を実施します。  学習・実習内容を充実します。 養護教育課
専門学科の改善  卒業後の就職と結びつく学習を展開するにあたって、専門学科を改善します。  学科の改善や選択履修について検討を進めます。 養護教育課
進路指導の在り方についての研究  卒業後の社会的自立を図るための進路指導における基本的な考え方や指導援助の実践について、研究会等を開催します。  研究会等を充実します。 養護教育課
校内の進路指導体制の確立 各学校の進路指導部(委員会)の機能強化に努め、組織的な進路指導を実施します。  継続した指導体制の機能強化に努めます。 養護教育課
関係機関との連携による進路開拓  社会福祉施設や地域産業と緊密な連携による職場実習を行います。
 また、情報交換の場として心身障害児社会参加・自立就学啓発推進会議を活用します。
各学校単位に関係者との連絡協議会の設置を検討します。 養護教育課

〔施策の方向と具体的方策〕

3 学校教育終了後及び学校外の学習機会の充実
 障害者の社会教育活動の機会を充実するため、社会教育施設の整備、改善を進め、施設の有効活用を促進します。また、障害者が地域の人々とともに学習活動やボランティア活動に参加しやすい環境づくりを行います。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
学習機会への参加の促進と学習環境の整備 盲・聾・養護学校の施設の開放  障害者が社会生活や職業生活にスムーズに適応できるよう、地域活動の場を確保するため、学校施設(校庭・体育館等)を開放します。  学校開放を拡充します。 養護教育課
社会教育施設の学級・講座等の実施  公民館、青少年教育施設、図書館等で、障害者を対象とした学級・講座を開設し、あわせて健常者との交流の場を設けます。  学級・講座等の開設を促進します。 生涯学習課
地域交流集会の実施  地域住民の障害者への理解を深める機会とし、ともに生きる地域づくりを促進するため、障害者と健常者が相互に親睦を図る地域交流集会を開催します。 交流会集会を拡充します。 生涯学習課
社会教育施設の施設・設備の整備  社会教育施設が障害者の活動の場として活用されるよう、施設の用途や利用形態などに応じ、障害者の視点に立った施設・設備及び備品等について整備します。  整備を促進します。 生涯学習課
社会教育関係職員の研修の実施  障害者の生涯学習を適切に援助できるよう、障害者の理解を深める職員研修を実施します。  研修会の開設に努めます。 生涯学習課
“うつくしま、ふくしま。”ふれあいボランティア推進事業の実施  障害者も健常者も問わず県民一人ひとりが自己の能力を発揮し、生きがいを持ってボランティア活動に取り組んでいける環境づくりを行います。
  • 生涯学習ボランティア事業活動総合推進委員会の開催
  • ボランティア活動に関する調査及び活動の場の開発
  • ボランティアバンクの開設
  • 生涯学習ボランティアのつどいの開催
  • 生涯学習ボランティアセミナーの開催
 事業を充実します。 生涯学習課

〔施策の方向と具体的方策〕

4 教職員の指導力の向上
 各種の研究・研修事業を充実するほか、特に小・中学校との交流を促進し教職員の障害児についての理解を深めます。
 また、養護教育センターの専門的な指導・援助を充実します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
教職員の理解の促進と養成 各種広報媒体を活用した理解の啓発  教育福島や教育ニュース、所報養護教育等各種印刷媒体を活用し、養護教育について周知を図ります。  理解を促進します。 養護教育課
講習会や研修を通した理解の啓発  「軽度心身障害児指導法セミナー」や「心身障害児就学指導講習会」などの講習会や研修会及び盲・聾・養護学校で自主的に取り組んでいる養護教育研究会等を通して、障害に対する理解を深め指導技能を高めます。  講習会等を充実します。
 また、研究グループを支援します。
養護教育課
交流教育を通した理解の啓発  指定校・協力校における交流教育を通して、障害児に対する理解を深めます。
  • 心身障害児理解推進校の指定
  • 養護教育地域交流推進事業の実施
 小学校や中学校の教職員の理解を促進します。 養護教育課
研究事業を通した指導力の向上  障害児童生徒の望ましい指導の在り方について研究事業を実施します。
  • ふれあい通級スタディプラン
  • 養護教育センターの研究事業の実施
 事業を推進します。 養護教育課
心身障害児社会参加・自立就学啓発推進会議の開催  教職員、保護者、関係者が一同に会し、研究発表や情報交換を行い養護教育に対する理解を深めます。  開催を促進します。 養護教育課
学校訪問における理解の啓発  相互に小・中学校と盲・聾・養護学校との学校訪問を行う中で、養護教育に対する理解を深めます。  学校訪問を充実します。 養護教育課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
教職員の理解の促進と養成 研修派遣による指導力の向上  養護教育担当教職員を対象に、長期・短期の研修派遣事業を実施します。
  • 国立特殊教育総合研究所への派遣(長期・短期研修)
  • 国立大学への派遣(長期研修)
 事業を充実します。 養護教育課
養護教育センターの機能の充実 教職員研修の実施  教職員に対する養護教育の基礎的な研修と養護教育の専門性を高めるための研修を実施します。  研修内容を充実します。 養護教育課
研究事業の実施  障害児に関する各種研究を行い、その研究成果を発表会や研究紀要の刊行を通して啓蒙し、成果の有効活用を図ります。  事業を充実します。 養護教育課
教育相談の実施 障害児の就学及び指導に関する相談を実施します。
  • 来所相談
  • 地域相談室の設置(福島市、会津若松市、いわき市)(各聾学校分校に設置)
  • 巡回就学相談の実施(県北、会津、相双、いわき教育事務所ごとに実施)
 相談を充実します。 養護教育課
図書・資料の作成、収集及び活用  障害児に関する教育、福祉、医学等の図書資料の作成、収集、整理、貸し出しを行います。  活用を促進します。 養護教育課

第2 育成施策の充実

〔現状と課題〕

●障害児の発達支援については、障害の早期発見に引き続き治療、訓練、保育、生活指導、教育といった一連の療育が総合的に、有機的に提供されていくことが障害児の望ましい成長を促します。

●これまで、心身障害児総合療育センターを中心に総合療育体制の確立に努めてきました。
 今後はさらに、障害児に身近な家庭や地域に基盤をおいた療育の提供にも力を入れていく必要があります。
 また、保健・医療・福祉・教育の一貫した支援システムの中核機関として、心身障害児総合療育センターの機能の一層の充実強化を図っていかなければなりません。

●その他、障害児の育成においては、健全な人格形成を促すための施策も大切であり、障害児が健常児とともに集団の中で生活したり、同世代や異年齢間のふれあいの機会を得ることは、健やかな成長を促し、自立や社会参加への意欲を高めます。
 また、このことは同時に健常児の障害児に対する理解を深める機会となり、健常児の健全育成も促すことになります。
 したがって、今後もノーマライゼーションの理念の下に、障害児・者と健常児・者とが更に交流を深めながら活動できる場の充実を図っていきます。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 総合療育体制の充実
 障害の早期発見と治療、訓練、相談、指導を一体的に行う施設として、また本県の療育体制の中核機関として、心身障害児総合療育センターの機能を強化するとともに、養護教育センターとの連携を一層密にします。
 また、県内に三つの療育圏を設定し身近な療育を担う1次療育圏、より専門的な機能を提供する2次療育圏、さらに全県域への専門性の高い療育訓練を提供する3次療育圏という圏域間の機能分担によりネットワーク化を図りそれぞれの地域における療育体制を充実します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
心身障害児総合療育センターの機能の充実 心身障害児対策研究連絡協議会の運営  心身障害児に関する療育の在り方について研究するとともに、療育事業を総合的に推進調整する機関として連絡協議会を運営します。  保健・医療・福祉・教育の一貫した支援システムを確立します。 障害福祉課
心身障害児療育関係職員研修の実施  身近な地域での療育体制を支える療育関係職員の資質の向上のために発達理論や療育技法等の研修を実施します。  内容を充実します。 障害福祉課
当該センターの機能の整備  療育体制の中核となるセンターの母子入所棟の改築や医療機器等の設備を整備するとともに、精神科医師の常勤を含め、専門スタッフを適正配置し、以下のような各種の障害に対応できる総合療育事業を実施します。
  • 療育データベースの整備
  • 家族への支援システムの構築
  • 学習障害児の訓練
  • 自閉症児の保育・訓練
  • 難聴幼児の指導訓練
  • 視覚障害児の指導訓練
  • 二分脊椎児の指導訓練
  • 社会生活技能訓練
  • 重複障害者に対する通園部門の整備や訪問看護の実施
  • 地域の療育事業への職員派遣による専門的な技術支援
など
 機能を充実強化します。 障害福祉課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
地域療育体制の整備 1次療育圏の設定  通所可能な片道1時間程度の区域を「1次療育圏」(区域数16)とし、障害の早期発見や日常生活における療育訓練の場を提供します。
  • 心身障害児(小規模)通園事業の整備
  • 障害児保育の実施
など
 特に通園による訓練の場のない県南、南会津地区を中心に整備を促進します。 障害福祉課
児童家庭課
2次療育圏の設定  各社会福祉事務所等の区域を「2次療育圏」(区域数7)とし、心身障害児(者)施設の持つ機能を地域に提供するとともに、在宅療育等に関する専門的な相談に応じます。
 また、各社会福祉事務所等には具体的な療育援助についての連絡調整をする機関として「地域療育推進協議会」を設置します。
  • 心身障害児(者)施設地域療育事業(短期入所、短期療育、巡回相談事業等)
  • 心身障害児(者)地域療育拠点施設事業
の実施など
 事業を拡充します。 障害福祉課
3次療育圏の設定  中通り、浜通り、会津方部の区域を「3次療育圏」(区域数3)とし、それぞれに地域療育センターを整備し、専門的な療育訓練を行うほか、1次・2次療育圏にある施設への支援を行います。
  • 地域療育センターの整備
  • 心身障害児通園施設機能充実モデル事業の実施
など
整備を促進します。 障害福祉課

〔施策の方向と具体的方策〕

2 健全育成施策の充実
 次代を担う青少年が心身ともに健全に成長することは県民共通の願いであり、その中に障害児者も当然含まれています。
 青少年を健全に育成するための青少年の活動の場の充実を図ります。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
青少年の活動の場の充実 青少年育成施設の整備  障害児者が健常児者とともに身近な場で仲間づくりをし、活発な活動ができるよう、障害児者の利用に配慮した児童館等の青少年育成施設を整備します。  施設の整備を拡充します。 青少年女性課
青少年活動への参加機会の確保  青少年の社会性や自主性などを養うための青少年活動やこのような活動をリードする青少年指導者の養成に障害者が参加する機会を確保します。  参加機会を拡充します。 青少年女性課

第5節

雇用・就業

テーマ

『就労による自己実現』

 わたしたちが職業に就くのは、単に経済的な理由にとどまらず、就労を通して自己実現を図るためです。しかも、働くことは社会への参加や貢献につながり生きがいとなります。
 障害者にとってもこのことは同様であり、あわせて生活を安定させ自立への意欲を高め生きていくことの自信となります。
 したがって、障害者の誰もが障害の程度にかかわらずそれぞれの能力と適性に応じて就労できるよう、職業リハビリテーションを充実するとともに、働く場の確保と条件整備が必要です。

施策目標

  第1 雇用の促進と安定

第2 就業機会の拡大

第3 就労の場の拡大

第1 雇用の促進と安定

〔現状と課題〕

● 障害者の雇用については、働く意志と能力のある全ての障害者が健常者とともにごく自然に働き、職業生活を通じて自立していく等の理念の実現が求められているため、公共職業安定所において障害者に対してケースワーク方式による入念な職業指導・職業紹介・就職後の職場適応指導を実施してきたほか、県内の公共職業安定所に特別職業相談員を配置し、身体障害者や精神薄弱者の施設等に対して巡回相談を実施する等、相談指導体制の充実を図ってきました。

● さらに、事業主に対しては、集団選考会、特別求人開拓等を実施し、障害者の雇用拡大を推進してきました。

● また、障害者の雇用の促進と安定を図るためには、障害者自身の職業的自立意欲を喚起するとともに、障害者の雇用問題に関する県民一般・事業主の理解と協力が不可欠のものであり、9月を「障害者雇用促進月間」と定め、各種行事を開催するなど、広く県民に対する啓発活動も実施しできました。

● その結果、民間企業における福島県の障害者の雇用率は、全体として法定雇用率を上回る等大幅な改善が図られたところです。

● しかしながら、個々にみると未達成になっている企業も数多く、これらの企業に対してさらに雇用指導を強化するなど、障害者雇用の促進により一層努める必要があります。

● また、障害者雇用対策の進展に伴い、中・軽度の身体障害者及び精神薄弱者の雇用状況は相当改善されているものの、重度の身体障害者及び精神薄弱者については、なお不十分な面が見られることから、今後とも重度の身体障害者及び精神薄弱者に重点を置き、精神障害者への対応も含めて、可能な限り一般雇用に就くことができるように障害者の特性に応じたきめ細かな雇用対策を総合的に講じる必要があります。

● このため、公共職業安定所、社団法人福島県障害者雇用促進協会及び福島障害者職業センター等の関係機関との密接な連携により、各種の助成措置の周知・活用に努め、障害者雇用の促進を図っていく必要があります。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 雇用の促進
 障害者の一般雇用を促進するため、事業主に対して障害者雇用の啓発と各種助成措置等の周知活用をさらに図ります。また、法定雇用率の未達成企業に対しては特に指導を強化し障害者の雇用拡大に努めます。
 また、特に重度障害者・精神薄弱者・精神障害者の雇用を促進するため、多様な勤務形態の活用を図ります。
 一方、障害者に対しても的確な職業評価の下、きめ細かな職業相談や指導・訓練を行います。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
企業等に対する障害者雇用の奨励啓発と雇用拡大のための指導の強化 法定雇用率達成指導と求職者情報の提供  「障害者の雇用の促進等に関する法律」による法定雇用率未達成企業等に対し、達成指導をします。
 また、事業主に対し障害を有する求職者情報を提供します。
 指導の強化と情報提供の充実に努めます。  職業安定課
各種助成制度の活用周知  障害者の雇用を促進するため、身体障害者雇用納付金制度による助成のほか各種助成措置の活用及び税制上の優遇措置等について周知します。  制度の活用を促進します。 職業安定課
多様な勤務形態の活用 重度障害者・精神薄弱者・精神障害者の雇用の拡大  障害者の雇用環境等の整備に努めるとともに、障害者が可能な限り一般雇用につくことができるよう、障害の種類及び程度に応じ、事業主と連携を図りながら、就労支援機器の活用を含めた職域の拡大、短時間労働者に係る雇用率制度の特例措置の周知及び在宅勤務・フレックスタイム制等多様な勤務形態による雇用促進のための施策を実施します。
・職場適応訓練制度の積極的な活用
・重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成制度の周知、活用
 など
 制度の周知活用を促進します。
 また、第3セクター方式による重度障害者多数雇用事業所の設立を推進します。
職業安定課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
障害者に対する職業相談指導訓練の充実 職業紹介業務の実施  一般の求職者に対するよりもさらに手厚い職業指導・就職後の指導を行うため求職登録制度をとり、職業指導の実施状況等を記録し、求職の申込みから就職後のアフターケアまで一貫して個々人の特性・能力に応じたきめ細かな対応をします。  業務を充実します。 職業安定課
職業評価・指導・訓練の実施  福島障害者職業センターと連携し、就職を希望する障害者の適性・能力を的確に評価するとともに、相談・指導を実施し、また基本的な労働習慣体得のための職業準備訓練や、職業講習を実施します。  センターとの連携を強化し、事業を充実します。 職業安定課

〔施策の方向と具体的方策〕

2 雇用の安定
 現に雇用されている障害者が職場に定着し雇用が継続するよう、職場環境や労働条件等の向上について企業に対する指導を強化し、また各種助成制度の活用を促進します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
職場定着促進のための対策の充実 職場定着指導の実施  就職した障害者が職場に適応できるように必要な助言又は指導を行う一方、雇用事業主に対しても、障害者の雇入れ等に係わる助言又は指導を行い、また共に働く者に対する啓発と理解を深めることにより、職場定着の促進と雇用の安定を得るための対策を実施します。  指導を充実します。 職業安定課

第2 就業機会の拡大

〔現状と課題〕

●就職が困難な障害者の雇用の場を確保し、職業生活の安定を図るうえで、就業のための職業能力開発は極めて重要であり、障害の種類・程度に対応した教育訓練の実施が大切です。

●障害者の職業訓練は、障害者職業能力開発校や視覚障害者更生施設で実施されており、今後も国立職業リハビリテーションセンターや宮城障害者職業能力開発校、国立塩原視力障害センター等の情報提供と入所あっせんに努めていく必要があります。
 その他、一般の公共職業能力開発施設においても実態に応じて訓練が行われていますが、今後は、エレベーターやスロープ、トイレ等の改善整備を進め、受入れを促進していく必要があります。

●また、就業機会の拡大には、障害者の持っている生産的可能性を引き出し、既に持っている技能をさらに高めていくことも大切です。その一つの機会として、これまで全国身体障害者技能大会(アビリンピック)に選手を派遣してきました。
 今後も、選手派遣を継統し大会を通して社会参加への意欲を高めるとともに技術の研鑽図っていく必要があります。

● 自営業を希望しこれに適する障害者に対して、必要な支援を行っていくことも大切です。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 多様な就業機会の確保
 障害者がその職業能力を高めまた新たな分野を開発することは、就業機会の幅を拡げ雇用の促進と安定につながります。したがって、幅広い職業能力開発を効果的に体系的に行います。
 また、自営業を希望する障害者に対しても必要な支援策を講じます。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
職業能力の開発と向上のための対策の充実 公共職業能力開発施設における障害者の受入れ  健常者とともに訓練を受けることが可能な障害者については、一般の公共職業能力開発施設に受け入れます。
 また、エレベータ、スロープ等施設・設備を改善整備します。
 受入れと県立2施設の改善整備を推進します。 職業能力開発課
障害者職業能力開発施設についての情報提供  障害者の職業能力開発を支援するため、国立職業リハビリテーションセンターや宮城障害者職業能力開発校の訓練内容・施設等についての情報提供を行います。  情報提供に努めます。 職業能力開発課
視覚障害者更生施設についての情報提供  視覚障害者の職業能力開発を支援するため、国立塩原視力障害センター等の訓練内容・施設等についての情報提供を行います。  情報提供に努めます。 障害福祉課
技能競技大会への参加  日本障害者雇用促進協会が主催する障害者の生産的可能性を引き出すことを目的とする全国身体障害者技能競技大会への参加を奨励します。  参加を促進します。 職業能力開発課
自営業者への支援対策の充実 公共施設内の売店等の設置  身体障害者の経済的自立を促進するため、身体障害者の申請に基づき公共施設内に売店等を設置します。  実態把握に努め、必要な応じ設置を促進します。 障害福祉課
生活福祉資金の貸付 (再掲:P60)


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
(自営業者への支援対策の充実) 三療師への支援  三療師(はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師)が独立開業する場合や現在の事業規模を拡大する場合など、公的な制度資金の周知と有効活用を図ります。
  • 独立開業資金(国民金融公庫)
  • 商業サービス業近代化資金
  • 県長期安定資金の活用など
 利用を促進します。 障害福祉課
中小企業課

第3 就労の場の拡大

〔現状と課題〕

●これまで、一般企業に雇用されることが困難な障害者については、授産施設や小規模作業所といった福祉的就労の場が設けられ、障害者の地域での自立生活に大きな役割を果たしています。

●平成5年4月現在では、身体障害者、精神薄弱者の授産施設が17施設、精神障害者を含めて小規模作業所(助成対象)が27施設運営されています。

●身体障害者・精神薄弱者授産施設では、従来、地元の協力と様々な創意工夫でその経営の安定に努めてきました。今後は更に、好・不況の波に影響されない安定した運営基盤を築くため、地域と密着した中で、また広い視野に立った、独自製品の開発や受注、販路拡大などの取り組みを強化していくことが求められています。

●心身障害者の小規模作業所は、その設置運営主体が親の会の場合が多いため、運営に柔軟性がある反面、財政基盤が弱く、これまで県や市町村で運営費の一部を助成してきました。今後は、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法に基づく施設や分場への転換を図っていくなど更にその運営の強化を進めていくとともに、財政的な支援だけでなく、授産事業への育成振興も図っていく必要があります。

●一般雇用に結びつくことが困難な精神障害者に対しても、その社会適応力や作業能力を高めるため、福祉工場や授産施設、小規模作業所などの福祉的就労の場の提供が求められています。

●したがって、障害者の就労の場の確保においては、障害者のニーズや地域の適性配置などに留意しながら、授産施設や小規模作業所、さらには福祉工場の整備を計画的に進めていくとともに、身体障害者、精神薄弱者授産施設の相互利用を促進していくことが大切です。
 また、「職住分離」の原則に立って、福祉ホームやグループホームの整備もあわせて行う必要があります。

●なお、福祉的就労における訓練の結果、一般雇用に就くことが可能となった者については、公共職業安定所等と連携を図り、求職者登録制度等を活用しながら一般雇用に結びつけていくことが大切です。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 多様な就労の場の確保
 一般雇用の困難な障害者が地域において働き生活していけるよう、授産施設や福祉工場など福祉的就労対策を一層促進し、就労の場の確保に努めます。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
福祉的就労の場の整備拡大と支援の強化 身体障害者授産施設の整備 (再掲:P68)
身体障害者福祉工場の整備 (再掲:P68)
精神薄弱者授産施設の整備 (再掲:P68)
精神薄弱者福祉工場の整備促進 (再掲:P69)
障害者小規模通所授産事業の実施  在宅の心身障害者に福祉的就労の場を提供する小規模作業所の運営費用を助成します。  設置を促進し、助成を充実します。 障害福祉課
授産事業支援センター(仮称)の整備  授産施設・小規模作業所の育成・振興を図るため、製品の受注あっせん、販路開拓、独自製品の研究等を行うセンターを整備します。  設置運営について検討を進めます。 障害福祉課
精神薄弱者職親委託事業の実施  精神薄弱者の自立更生を図るため、職親に生活指導や職業訓練等を委託します。  事業を充実します。 障害福祉課
精神障害者通所小規模作業所事業の実施  在宅精神障害者に福祉的就労の場を提供するため、精神障害者家族会等が運営する小規模作業所に対して助成します。  設置を促進し助成を充実します。 健康増進課
通院患者リハビリテーション事業の実施  精神障害者の就労を促進するため、協力事業所に社会適応訓練を一定期間委託します。  事業を充実します。 健康増進課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
(福祉的就労の場の整備拡大と支援の強化) 精神障害者福祉工場・授産施設の整備  雇用されることが困難な精神障害者の就労訓練を行う福祉工場や授産施設を整備します。  整備を促進します。 健康増進課

第6節

生活環境

テーマ

『やさしいまちづくり』

 障害者が地域社会の中で自立した生活を送りさらに社会参加を進めるには、生活環境の整備が必須です。
 その一つは、「やさしいまちづくり」の推進です。障害者や高齢者の利用に配慮した視点を従来の障害者利用施設に限定した考えから広く生活領域に拡大し、誰もが安全で暮らしやすいまちづくりを進めていく必要があります。今後、本格的な高齢化社会の到来を控え「やさしいまちづくり」の推進は県民あげての急務です。
 また、生活の拠点となる住環境の整備も大切です。障害者利用に配慮した住宅の確保や設備の改善など地域と融合した中で住環境の整備を促進していく必要があります。

施策目標

第1 やさしいまちづくりの推進

第2 住環境の整備促進

第1 やさしいまちづくりの推進

〔現状と課題〕

●障害者や高齢者の社会参加を促進し、すべての人が住み慣れた地域でいきいきと生活していくため、障害者や高齢者等に配慮した「やさしいまちづくり」を、行政ばかりでなく、企業を含めて県民一人ひとりの理解と協力を得ながら推進していく必要があります。

●県では、平成4年3月に障害者の街に出かける時のガイドブックとして「うつくしま、ふくしまっぷ」を作成配付したほか、平成4年11月には「福島県やさしいまちづくり推進指針」並びに「同整備指針」を策定しその普及に努めるとともに、平成5年6月にその推進母体として「福島県やさしいまちづくり推進会議」を設置したところです。

●また、平成7年に、第31回全国身体障害者スポーツ大会「うつくしまふくしま大会」が福島市で開催されますが、全国からの来県に備えて福島駅や駅周辺の環境整備を進めています。

●やさしいまちづくりを進めていくにあたっては、店舗や病院、公会堂等日常的に利用する公共施設や民間施設を入りやすく、使いやすく改善したり、歩道を車いすでも通行しやすくしたり、バスや鉄道なども障害者や高齢者が安全に快適に移動できるよう整備する必要があります。
 また、障害者や高齢者も含めて誰もが気軽に利用できる公園や緑地などの、やすらぎとうるおいのあるまちづくりを計画的に進めていくことも大切です。

●県・市町村有施設の改善整備については、既存の施設においても入口の自動ドア化や身体障害着用トイレの整備など必要な改修を進めています。
 民間施設については、理解を求めながら、「やさしいまちづくり推進資金」等により支援を行い、改善整備を促進していく必要があります。

●歩道については、段差の解消や幅員の拡幅、あるいは視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の敷設など実態に応じて改善整備を進めていく必要があります。特に、都市部の幅員の狭い歩道や、駅などの交通の基点と障害者や高齢者が日常よく利用する施設とを結ぶ歩道の、移動の安全性・快適性の確保を図っていく必要があります。

●また、移動の安全性については、交通事故の防止等交通安全対策も大切です。交通安全教育の推進のほか、視覚障害者の横断歩道での安全を確保するため、これまでも視覚障害者用信号機の設置を進めてきました。しかし、まだ十分とはいえず、今後も実態に応じその整備を図ってく必要があります。

●一方、やさしいまちづくりの推進はハード面の整備だけでは十分ではありません。障害者や高齢者を取り巻くわたしたち一人ひとりがやさしいまちづくりの意義を知り、思いやりのこころを育むことが大切です。しかも、障害者にはその障害ゆえに高齢者とまた違った対応が必要です。
 したがって、県民に対し障害について知識の普及を図ったり、障害を克服していくための手段や方法について、あるいは社会参加をするうえで具体的な問題について啓発活動の推進が必要です。

●また、今後、やさしいまちづくりを総合的、計画的に推進するためには、「福島県やさしいまちづくり推進会議」を更に強化していくとともに、市町村段階での住民の主体的な参加活動を促進するような組織づくりも促進していく必要があります。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 誰もが利用しやすいまちづくりの推進
 障害者や高齢者にとってやさしいまちは、妊婦や子どもなどすべての人にとっても住みよいまちとなります。
 障害者や高齢者が健常者と同じように、安全に・快適に・そしてゆとりをもって行動することが可能となるような生活環境の整備を促進します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
安全で利用しやすし、まちづくりの推進 やさしいまちづくり推進事業の実施  やさしいまちづくり推進指針、整備指針の普及を図り、障害者、高齢者の視点に立った公共的建築物等を整備します。また、市町村が行う公共的建築物の整備について各種補助事業等により支援します。  整備を促進します。 医務福祉課
福祉のまちづくりの推進  福祉のまちづくり推進計画の立案を図り、障害者や高齢者を含む、すべての県民が安全かつ快適に生活できる都市環境基盤を整備します。  計画策定を推進します。 都市計画課
県・市町村有施設の整備  県・市町村有施設の新設の際は、やさしいまちづくり整備指針に基づき整備します。
 また、既存の県・市町村有施設についても、「地域福祉推進特別対策事業」により改善整備します。
  • 県庁・合同庁舎等の改善整備 平成4年度~平成6年度
  • 市町村事業 平成3年度~
 県有施設の整備を推進するとともに、市町村有施設の整備を促進します。 営繕課
市町村課
民間施設の改善整備への支援  やさしいまちづくり整備指針に沿った施設の改善を実施する民間事業者に対し、低利の「やさしいまちづくり推進資金」融資制度により支援します。  整備を促進します。 医務福祉課
建築物整備の規定の条例化  災害時の安全な避難路や日常生活の安全性の確保を目的として、障害者等に配慮した建築物の整備に係る建築基準条例を整備します。  条例化の検討を進めます。 建築住宅課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
連続性移動性の確保のための交通条件の整備 やさしいまちづくり推進事業の実施  やさしいまちづくり推進指針、整備指針の普及を図り、安全で快適な道路、公共交通機関、安全な交通環境を整備します。  整備を促進します。 医務福祉課
福祉の街づくりモデル事業の実施  障害者・高齢者等の都市内における安全な施設間の移動を確保するため、その整備計画の策定と移動システム等に対し助成します。  事業を促進します。 建築住宅課
快適な歩道空間の整備  高齢化社会への対応、障害者の社会参加の要請に応えるため、歩道の段差の解消や幅の広い自転車歩行者道等を整備します。
 また、通行の障害となる電柱(電線)等の移設や地中化の促進、不法に放置されている自転車等を撤去し、既設歩道の幅員を確保します。
 駅や社会福祉施設などの公共施設周辺を重点的に整備を促進します。 道路維持課
移動システム等の整備  多数の障害者や高齢者の利用が見込まれる公共施設等の周辺地域において、歩きやすく快適な歩道環境を整備するため、歩道等に視覚障害者誘導用ブロック等を設置します。  整備を促進します。 道路維持課
交通安全対策の実施 (再掲:P43)
視覚障害者用信号機の設置  視覚障害者が信号機を利用して横断歩道を安全に横断できるように、メロディー音で誘導するための付加装置を信号機に設置します。  公共施設周辺を中心に、整備を促進します。 交通規制課
交通事業者等への周知  高齢化やノーマライゼーションにも対応した利便性・快適性の高い公共交通サービスが提供されるよう、施設・車両の改善について、バス・鉄道関係事業者、関係機関等への周知・普及を図ります。 普及・促進に努めます。 県民生活課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
(連続性の移動性の確保のための交通条件の整備) 福祉タクシー等の購入への支援  道路旅客運送事業者が福祉タクシーや高齢者・障害者用バス等の購入をする場合、低利の「やさしいまちづくり推進資金」融資制度により支援します。  整備を促進します。 医務福祉課
リフト付福祉バス運行事業の実施 (再掲:P65)
計画的なふれあいとうるおいのあるまちづくりの推進 やさしいまちづくり推進事業の実施  やさしいまちづくり推進指針、整備指針の普及を図り、適切な施設配置を進めるとともに、公園・緑地、コミュニティー施設等やすらぎとうるおいのある、各世代の共生と交流が図れる場を整備します。  整備を促進します。 医務福祉課
土地区画整理事業における福祉のまちづくりの実施  モデル地区を選定し、その事業成果を活かして障害者や高齢者に配慮した土地区画整理事業を実施します。  モデル地区の設定を検討します。 都市計画課
街路事業における福祉のまちづくりの実施  広い幅員の歩道、視覚障害者誘導用ブロックの設置等障害者や高齢者に配慮した街路事業を実施します。  モデル地区の設定を検討します。 都市計画課
公園事業における福祉のまちづくり  トイレ、案内標識、ベンチ等付帯施設の整備を含め、障害者や高齢者に配慮したふれあいとうるおいのある公園を整備します。  モデル地区の設定を検討します。 都市計画課
交流空間の整備  地域の状況や歴史・文化をふまえた地域住宅計画を策定し、地域の中で障害者や高齢者がいきいきと生活できるよう、公有地や共有地を活かした交流の場を整備します。  整備を促進します。 建築住宅課

〔施策の方向と具体的方策〕

2 思いやりに満ちた社会づくりの推進
 やさしいまちづくりの推進にあたっては、建築物や道路などのハード面の整備改善だけでなく、心の通い合う思いやりに満ちた社会をつくることが大切であり、県民一人ひとりが障害者や高齢者とのふれあい等を通じ理解を深め、積極的にやさしいまちづくりに参加できる体制づくりを進めます。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
ノーマライゼーション理念を支える県民の意識づくり やさしいまちづくり推進事業の実施  県民の意識づくりを図るための各種啓発事業を実施します。
 また、優良施設に対して福島県やさしさマーク交付基準適合証(「やさしさマーク」)を交付します。
 事業を推進します。 医務福祉課
高齢者の生きがいと健康づくり推進モデル市町村事業の実施  明るくいきいきとした長寿社会の実現をめざし、高齢者と若年世代の交流を行い理解を深めるため、高齢者の豊かな経験や知識・技能を活かした事業を実施します。  事業を促進します。 医務福祉課
障害者への配慮をすすめる運動の展開  障害者の持つ障害の特徴や克服のための手段・方法等について関係者の理解を図るための啓発活動を実施します。
  • 障害者への配慮をすすめる運動講習会の実施(会津、中通り、浜通り)
 事業を充実するとともに、市町村の取り組みを促進します。 障害福祉課
県民参加のための総合的な推進組織事業の実施 やさしいまちづくり推進事業の実施  やさしいまちづくりを全県的に展開するため、県の総合的な推進組織として「やさしいまちづくり推進会議」を運営するとともに、市町村の地域住民の理解と主体的な参加を促すための組織づくりを支援します。  推進体制の整備を促進します。 医務福祉課

第2 住環境の整備促進

〔現状と課題〕

●障害者や高齢者の「住み慣れた地域に住み続けたい」という希望に応えるためには、生活の場である住宅を安全に、機能的にすることが不可欠です。このため、段差の解消や浴室の改善など障害者や高齢者が生活しやすく、かつ、介護者が介護しやすい住宅の改善を促進する必要があります。

●県では、「高齢化対応型住宅計画要領書」を平成2年10月に策定して、高齢化社会に向けた住まいづくりの在り方を示し、モデル住宅の展示、相談活動等を通じてその普及に努めています。
 その他、既存の住宅を対象に障害者や高齢者のための住宅改造について低利の融資を行う「福島県高齢者等住宅改造資金融資事業」を平成5年度から開始いたしました。

●また、障害者が地域で自立し安定した生活を営むためには、障害者や高齢者に配慮した公的賃貸住宅の供給も必要です。

●一方、障害者や高齢者が地域で安心して暮らしていくためには、日頃の防火対策の充実とあわせて、災害時や緊急時の情報の収集伝達や避難誘導、救護体制の確立が必要です。特に、在宅の重度身体障害者や一人暮らしの者人等については地域ぐるみの支援が重要です。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 安全で快適な住環境の整備
 障害者や高齢者が安全で快適な生活を送れるよう住宅の改善整備を促進します。
 また、安心して地域社会で生活が送れるよう、防火・防災対策を充実します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
持ち家の改善に対する支援の充実 高齢者等住宅改造資金融資事業の実施  高齢者や障害者にとってやさしい「住まいづくり」を促進するため、既存の住宅の改造について低利の融資を行います。  事業を拡充します。 高齢保健福祉課
公庫融資制度の活用  住宅金融公庫融資の障害者や高齢者に対応する工事の割り増し融資制度の活用を図ります。  制度の普及に努めます。 建築住宅課
高齢化対応型住宅供給促進事業の実施  住宅計画要領書による高齢化対応型住宅の仕様が、高齢化社会に向けた今後の住宅の普遍的な仕様となるよう、各種の講習会・セミナー・フォーラム・フェア等の事業を通じて、継続的に普及啓発活動を行います。  事業を充実します。 建築住宅課
公営住宅等の整備充実 高齢化対応公営住宅の供給  公営住宅の建設にあたり段差の解消や手すり取付等を標準化し、新たに建設されるすべての公営住宅に適用します。  建設を促進します。 建築住宅課
シルバーハウジング・プロジェクトの実施  一人暮らしや夫婦のみの高齢者世帯に対して、高齢者の生活特性に配慮した緊急通報システムや生活相談団らん室等の付帯施設のある公的賃貸住宅を供給します。また、生活援助員による福祉サービスを提供します。  事業を充実します。 建築住宅課
高齢保健福祉課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
防火防災対策の推進 施設の防火対策等の実施  障害者施設等における、これまでのスプリンクラー設備設置などの措置に引き続き、施設の不燃化の推進、消防用設備等の充実並びに避難訓練の実施など、防火管理体制を整備します。  防火対策を促進します。 障害福祉課
消防防災課
家庭における防火対策等の実施  比較的障害者や高齢者が使いやすい防災機器について紹介したり、防火についての知識の普及を図るなど、家庭における防火・防災に関する様々な情報を提供します。  防火・防災意識の向上に努めます。 障害福祉課
消防防災課
緊急時の通報・救護体制の整備  特に、重度身体障害者や独り暮らしの老人について、市町村における緊急通報システムの実施など、地域住民や関係機関等の連携の下に緊急時の通報・救護体制を整備します。  整備を促進します。 障害福祉課
高齢保健福祉課
地域の救援体制の整備 地域の防災訓練等に障害者の積極的な参加を奨励し、日頃から具体的な救援体制を整備します。  地域の取り組みを促進します。 障害福祉課
消防防災課

第7節

スポーツ・文化・国際交流

テーマ

『生きがいづくり』

 わたしたちは、毎日の生活が充実し豊かなものとするため生活にゆとりやうるおいを求めます。スポーツやレクリエーション、文化活動はわたしたちの生活の質を高め生きがいのある生活を与えてくれます。
 障害者にとってのスポーツやレクリエーション、文化活動は、心身の健康増進やリハビリに役立ち、また交流の輪を広げ社会参加を促進します。障害者のこれらの活動の振興を図るため支援の充実を図っていく必要があります。
 また、こころを豊かにし社会活動を充実させていくためには、今後国際的な視野も重要です。海外の優れた文化や事例にふれ正しい国際感覚を身につけることは障害者にとっても大切なことであり、地域活動の推進につながります。
 したがって、今後障害者の様々な国際交流活動への参加を促進していきます。

施策目標

第1 スポーツの振興

第2 レクリエーションの振興

第3 文化活動の促進

第4 国際交流の促進

第1 スポーツの振興

〔現状と課題〕

●県では、スポーツを楽しむ身体障害者に組織的な支援を実施していくことを目的に、平成3年に「福島県身体障害者スポーツ協会」を設立し、これまで、陸上や水泳、アーチェリーなど多種にわたってスポーツ教室を県内各地で開催してきたほか、スポーツ指導員の養成にも力を入れてきました。また、県障害者総合体育大会の開催や全国大会への選手団の派遣なども行い、障害者スポーツの振興に取り組んできたところです。

●その他、市町村や障害者団体、各施設(間)でも、体育大会や運動会などが実施されています。

●身体障害者のスポーツについては、平成7年に開催される第31回全国身体障害者スポーツ大会「うつくしまふくしま大会」を契機として、障害者間の交流や県民の障害者スポーツに対する理解を深めていきながら、施設の整備改善や組織的なスポーツ活動を推進していく必要があります。

●一方、精神薄弱者のスポーツは、平成4年に第1回の全国精神薄弱者スポーツ大会(ゆうあいピック)が東京都で、平成5年に第2回目が熊本県で開催され、今後も各都道府県で順次全国大会が開催されます。
 県でも過去選手団を派遣して優秀な成績を修め、本県選手1名がパラリンピック(マドリッド大会)に日本選手団の一員として参加しています。
 今後、精神薄弱者のスポーツを更に普及していくため、全国大会への派遣を軸に、スポーツ教室の開催など取り組みの一層の強化が必要です。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 体制の整備強化
 組織的に活動を支援する体制や活動の拠点となるスポーツ施設の整備、また指導員の養成が必要であり、今後、県身体障害者スポーツ協会を中心にこれらの条件の整備充実を図ります。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
障害者スポーツの支援体制の整備 県身体障害者スポーツ協会の体制整備  運営に対して必要な助成を行い、協会の適切な運営を指導します。
 また、将来に向けて安定した財政基盤の確立のため財団化します。
支援を充実します。
 財団化について検討します。 障害福祉課
福島県障害者スポーツ協会(仮称)の設置  精神薄弱者を含めて、本県の障害者スポーツの推進を図る中核的な団体として、現在の県身体障害者スポーツ協会を発展改組して、「福島県障害者スポーツ協会」(仮称)を設置します。  推進体制を検討します。 障害福祉課
市町村における支援体制の整備  スポーツクラブの育成や市町村障害者スポーツ協会の設置等、地域の実態に応じた市町村の障害者スポーツに対する取り組みを支援します。  取り組みを促進します。 障害福祉課
県障害者スポーツ施設の整備  障害者スポーツの振興を図るため、必要な設備・器具を備えた普及活動の拠点となる障害者総合福祉センターを整備します。  施設整備について検討を進めます。 障害福祉課
市障害者スポーツ施設の整備  地域における障害者のスポーツ活動の拠点となるスポーツ施設を整備します。  特に障害者の多い市における整備を促進します。 障害福祉課
県内のスポーツ施設管理者の理解の啓発  障害者が気軽に利用できるよう、障害者スポーツについて関係者の理解を深め、設備等の改善整備を求めます。  理解を促進します。 障害福祉課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
スポーツ指導員の育成 スポーツ指導員の養成  身体障害者スポーツ指導員養成研修会への派遣や講習会の開催等を通して指導員を養成します。  計画的に養成します。 障害福祉課
スポーツ指導員の組織化  指導員間の連携を図るため、組織的な指導を実現していくため、連絡協議会を設立します。  設立を促進します。 障害福祉課
スポーツ指導員の活動の振興  県のスポーツ教室や市町村・障害者団体が行う体育行事等に積極的に指導員を活用します。  活動を推進します。 障害福祉課

〔施策の方向と具体的方策〕

2 スポーツの普及
 学校教育の中でのスポーツ活動や、各種スポーツ教室・スポーツ大会等を通じて種目やルールを指導し、障害者スポーツを普及拡大します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
スポーツ指導の充実 学校教育の中でのスポーツ活動の実践  児童生徒の興味、関心を大事にし、体育、クラブ活動、部活動など多様な場で様々なスポーツ体験を広げ、能力・適性等にあったスポーツを奨励します。  スポーツ活動を推進します。 養護教育課
身体障害者スポーツ教室の開催  県身体障害者スポーツ協会に委託し陸上や水泳、アーチェリー、各種球技等、幅広くスポーツ教室を開催します。  事業を拡充します。 障害福祉課
精神薄弱者スポーツ教室の開催  精神薄弱児・者施設や精神薄弱者育成会と協力しながら、全国大会の種目を中心に教室、講習会等を実施します。  事業を拡充します。 障害福祉課
スポーツ大会の開催 県障害者総合体育大会の開催  障害者スポーツの振興と障害者間の交流を進め、県民の理解と認識の高揚を図る機会として、身体障害者と精神薄弱者合同の体育大会として開催します。  大会を充実します。 障害福祉課
全国身体障害者スポーツ大会の開催  第31回全国身体障害者スポーツ大会「うつくしまふくしま大会」に向け、関係機関・団体とともに、選手強化、関連施設の整備及びボランティアの育成等その準備を進め、平成7年10月28日、29日に開催します。  大会を成功させます。 全国身体障害者
スポーツ大会推進室
地域スポーツ大会の振興  市町村や障害者団体、施設等で開催される障害者スポーツ大会を支援します。  取り組みを促進します。 障害福祉課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
スポーツ大会への派遣 全国大会等への派遣  全国の障害者とスポーツを通して交流する機会として、日頃の練習の成果を発揮する場として全国大会等へ選手団を派遣します。
  • 全国身体障害者スポーツ大会東北・北海道地区大会
  • 全国身体障害者スポーツ大会
  • 全国精神薄弱者スポーツ大会
  • 国際身体障害者スポーツ大会
  • 国際精神薄弱者スポーツ大会
への派遣など
 事業を充実します。 障害福祉課
盲・聾・養護学校児童生徒の全国大会等への派遣  全国の児童生徒とスポーツを通して交流する機会として、日頃の体育活動の成果を発揮する場として全国大会等へ選手団を派遣します。
  • 東北地区盲学校バレーボール大会
    東北地区盲学校野球大会
  • 東北地区聾学校卓球大会
    東北地区聾学校バレーボール大会
  • 全国聾学校陸上競技大会
    全国聾学校陸上卓球大会
事業を充実し学校単位で参加を促進します。 養護教育課

〔施策の方向と具体的方策〕

3 スポーツによる交流の促進
スポーツによる他の障害者や健常者との交流を促進します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
スポーツによる他の障害者健常者との交流の促進 スポーツ大会等の情報の提供  県内外の障害者スポーツ大会やスポーツ教室等の情報を収集し提供します。  情報提供に努めます。 障害福祉課
スポーツイベントへの障害者の参加  主催者の理解と協力を得ながら、障害者の参加や障害者スポーツの種目を取り入れたスポーツイベントの開催を啓発します。
 また、障害者自らの積極的な参加を奨励します。
 事業実施を促進します。 障害福祉課
スポーツクラブ等の育成  市町村、団体、施設と協力しながら、他の障害者や健常者と一緒にスポーツを楽しむためのスポーツクラブ等を育成します。  結成を支援します。 障害福祉課
スポーツを通した国際交流の推進 (後述:P138)

第2 レクリエーションの振興

〔現状と課題〕

●本県のレクリエーション活動やニュースポーツの普及については、教育の一環として生涯スポーツの充実の中で、その推進が図られています。

 スポーツには、競技スポーツとレクリエーションスポーツがありますが、障害者にとって、自分に適したものを選択し楽しむことが大切です。

●レクリエーション活動は、県と市町村の取り組みのほか、福島県レクリエーション協会の活動を通しても行われています。

●今後は、福島県レクリエーション協会と連携を図りながら、障害者に適したレクリエーションの紹介と活動の振興を図っていく必要があります。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 レクリエーション活動の推進
 自然なふれあいを通して障害者が楽しく参加できるレクリエーションスポーツの振興を図ります。
 また、広く地域住民を対象にしたレクリエーション活動への参加を促進します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
レクリエーションの振興 障害者レクリエーション活動の拠点施設の整備 障害者総合福祉センターの中でレクリエーションスポーツに必要な設備・器具を整備します。  施設の整備について検討を進めます。 障害福祉課
レクリエーション教室の開催  障害者に適したレクリエーションスポーツやニュースポーツについて紹介と普及を図るため、教室や講習会を開催します。  実施を検討します。 生涯学習課
レクリエーションスポーツに関する情報の提供  レクリエーションスポーツの現状や用具類について情報を収集し提供します。  情報提供に努めます。 生涯学習課
レクリエーション活動への参加の促進 レクリエーション大会等への積極的な参加  障害者間や健常者とのふれあいを促進するため、障害者のための、あるいは障害者を含めたレクリエーション大会等を開催します。また、障害者自らの積極的な参加を奨励します。  事業実施を促進します。 生涯学習課

第3 文化活動の促進

〔現状と課題〕

●今日、障害者の文化活動は実に幅広く、美術、音楽、文学、演劇など様々な分野に進出しています。

●教育・訓練活動の一環として行っているものや、仲間同士の活動、趣味等に至るまで、その態様においても実に様々であり、中には社会的に認められている作品も数多く、障害者に対する健常者の理解の促進に大きな貢献をしています。

●また、これらの活動の発表の場としては、学校や施設、県、市町村、団体が行っている作品展や芸能祭のほか、個展を開いている人達もいます。

●障害者にとって文化活動は自己の可能性と生活の領域を広げるだけでなく社会に自己の存在を表現する手段となります。

●こうした状況の中、積極的に創作活動に参加しようとしている障害者が増えてきました。

●しかしながら、公的社会教育機関を始めとして、そうした学習要求に応えるための条件整備は立ち遅れています。

●したがって、障害者の文化活動を更に振興していくためには、障害者の文化活動に対する支援を強化していくほか、学習機会の確保、学習条件の整備を図っていく必要があります。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 文化活動への参加の促進
 障害者に対して文化情報の提供に努め、主催者や文化施設関係者には障害者への配慮について理解や協力を得るなど障害者が文化活動に参加する機会が多くなるよう努めます。
 また、地域の各種文化活動において、障害者自らが主催するものや活動への参画など障害者自身の取り組みも促進します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
文化情報の提供 文化情報の周知  県内外の障害者に係わる文化的な諸行事や、障害者の文化活動に関する取り組み状況などを紹介します。  情報の提供に努めます。 障害福祉課
障害者への配慮の啓発 主催者等への啓発活動  文化的諸行事において、障害者参加への啓発活動を実施します。  啓発活動を推進します。 障害福祉課
文化施設関係者への啓発運動  障害者が利用しやすい施設の整備や鑑賞しやすい展示の工夫など啓発します。  啓発活動を推進します。 障害福祉課
障害者自らの主催と積極的な参画 障害者による地域文化活動の実践  文化的諸行事を開催するなど障害者自身の取り組みを奨励します。
 また、地域の文化活動への障害者の積極的な参画を図ります。
 取り組みを支援します。 障害福祉課

〔施策の方向と具体的方策〕

2 文化活動への支援
 障害者の芸術や芸能活動などを支援するため、障害者の作品展や芸能祭の開催など発表の場の確保に努めます。
 また、創作活動講座など学習機会の拡充を図り障害者の創作活動の支援を充実します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
作品展芸能祭等の開催 障害者作品展や福祉芸能祭等の開催  県や市町村などにおいて作品展や芸能祭等を開催し、県内外の障害者の発表の場を確保します。  県行事の開催を検討するとともに、市町村等の取り組みを促進します。 障害福祉課
シルバー美術展の開催  高齢者の文化活動を促進するため、高齢者のための作品展を開催します。  事業を充実します。 医務福祉課
児童生徒作品展等の開催  児童生徒の日頃の教育の成果を発表する機会として作品展等を開催します。  学校の取り組みを促進します。 養護教育課
創作活動への支援 学校教育の中での文化活動の実践  教科や特別活動に児童生徒の趣味や特技を生かすことができる学習を取り入れます。  学習内容を充実します。 養護教育課
生涯学習における障害者の創作活動講座の実施  障害者の絵画、彫刻、書道、音楽などの創作活動の学習機会を提供します。  学習機会を拡充します。 生涯学習課
生涯学習における障害者の作品展示・発表会の開催  障害者の学習成果や創作活動による作品の展示会、発表会を開催します。  学習成果の発表の機会を充実します。 生涯学習課
生涯学習における健常者と学ぶ機会の確保  点字教材、手話通訳、拡大文字、ルーペ、単眼鏡、オーバーヘッドプロジェクター、要約筆記、朗読などの配慮を行い、健常者とともに創作・創造活動に係わる学習機会を確保します。  機会確保に努めます。 生涯学習課
生涯学習における障害者向け学習情報の提供  情報提供システムを活用し、点字や音声による障害者向けの情報提供をします。  情報提供におけるシステム活用を検討します。 生涯学習課


具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
(創作活動への支援) 指導者・ボランティアの養成  手話や点字のできる創作活動指導者や生涯学習ボランティアを養成します。  指導者等の養成に努めます。 生涯学習課
活動継続への援助  障害者の創作活動を継続するため、活動のリーダーを育て組織づくりを援助します。  組織づくりを促進します。 生涯学習課
障害者デイサービス事業の実施  市町村が行う障害者デイサービス事業の創作的活動事業の中で技術援助等を行います。  事業促進します。 障害福祉課

第4 国際交流の促進

〔現状と課題〕

●「国連・障害者の十年」のあと「アジア太平洋障害者の十年」が宣言され、障害者を取り巻く環境においても、着実に国際化の波が押し寄せています。

●その中にあって我が国は、国際的地位にふさわしい国際協力を求められており、今後政府間や障害者団体間で様々な国際交流や国際協力が行われることになっています。

●本県の障害者の国際交流については、これまで具体的な対策がとられてこなかったこともあって、障害者自身、海外の優れた事例や現状を知る機会にあまり恵まれてきませんでした。
 しかしながら、平成3年に東京で第11回世界ろう者会議が開催された際、本県からも約60人の聴覚障害者代表や関係者が参加しました。
 また、平成5年に県立盲学校と韓国の国立ソウル盲学校との間に姉妹校の協定が結ばれるといった新しい交流の芽も出てきています。

●今後は、障害者にあっても、障害者に係る様々な問題解決に向けて、国際的な視野に立って海外の優れた事例を取り入れて、広い視野と国際感覚を備えた地域活動のリーダーの育成を推進していく必要があります。

●したがって、海外派遣など様々な機会をとらえて障害者の国際交流を促進していくことが大切です。

〔施策の方向と具体的方策〕

1 国際性豊かなひとづくりの推進
 スポーツや海外視察など様々な機会を通して障害者の国際交流を促進します。

具体的方策 施策の内容 計画目標 所管課
項目 小項目
スポーツを通した国際交流の推進 国際大会への参加  国内外で行われる国際大会への参加を奨励し、諸外国の選手との交流を深めます。また、国際身体障害者スポーツ大会や国際精神薄弱者スポーツ大会に選手を派遣します。  参加を促進します。 障害福祉課
海外研修への障害者の参加の促進 障害者の海外研修への参加  障害者が国際的感覚を身につけて地域で活躍できるよう、県、市町村、団体が行う海外研修に、関係者の理解を求め、できるだけ参加するようにします。  参加を促進します。 障害福祉課
青年国際交流活動への参加  国際感覚を備えた青年リーダーの育成を目的とする青年海外派遣事業や各種の青年国際交流事業に対する障害者の参加を図ります。  事業を充実します。 青少年女性課
障害者団体間の国際交流への参加の促進 障害者団体の国際交流活動への参加  障害者団体が国内外で他国の障害者団体と行う各種の国際交流事業への積極的な参加を図ります。  障害者団体と連携を図り、参加を促進します。 障害福祉課

第3章 計画の推進体制

第1 社会の各構成員の役割

 障害者に係る問題や課題は実に広範囲にわたっており、これらを解決し障害者の自立や社会参加を促進するためには、行政機関の施策だけでは対応が困難であり、障害者(家庭)や障害者関係団体・施設はもちろん、企業等も含めて県民をあげての取り組みの推進が重要です。特に、各関係機関・団体等においてはそれぞれの役割分担の下に、相互に連携をとりながら、施策を総合的に推進していくことが大切です。

1 行政の役割

(1)県の役割
○障害者のための施策の推進において主導的な役割を果たし、各種事業を推進します。
○障害者のリハビリテーションが各分野で、また相互に連携のとれた中で総合的に推進されるよう「福島県障害者施策推進協議会」を中心に関係機関・団体の連絡調整を図るほか、連携を強化します。
○市町村や障害者関係団体・施設・企業等の取り組みを支援します。
○県民の理解と障害者を含めて県民の主体的な参加や行動を促進します。

(2)市町村の役割
○障害者に最も身近な行政機関として、障害者や地域の実態を把握し、国や県の障害者(基本)計画をふまえ、それぞれの地域の特性に応じたきめ細かな対策を主体的に積極的に推進します。
○障害者のための施策を総合的に推進するため、市町村障害者計画づくりや庁内及び関係機関等との連絡調整を行うための組織づくりに努めます。
○地域住民の理解と障害者を含めて住民の主体的な参加や行動を促すための組織づくりを推進します。

(3)国への要望
○国に対して、別記の事項などについて要望します。

2 障害者(家庭)・障害者関係団体・施設の役割

(1)障害者(家庭)の役割
○その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動に参加するよう努めます。
 また、障害者の家庭にあっては、障害者の自立の促進に努めます。

(2)障害者関係団体の役割
○障害者団体にあっては、障害者全体の福祉の向上をめざし、自立した自主的な運営に努めます。
○団体の様々な活動を通し、地域福祉の向上に努め、障害者の地域活動や社会参加を促進します。

(3)施設の役割
○入所者の処遇の向上や専門的な諸機能を地域に開放するなど、障害者の自立を支援します。
○地域とのふれあいを進め、地域福祉の拠点の一つとして地域福祉の向上に努めます。

3 企業・地域・県民の役割

(1)企業の役割
○障害者の積極的雇用や、やさしいまちづくり、ボランティア活動等の推進に努めます。
(2)地域の役割
○障害者の地域での日常生活や活動の援助に努め、やさしいまちづくりや地域福祉の向上等に努めます。
(3)県民の役割
○障害者との交流・ふれあいに努め、障害や障害者に対する理解を深めてボランティア活動等障害者の福祉の増進に協力するよう努めます。

第2 計画の進行管理

 「福島県障害者施策推進協議会」が中心となり、計画の実施についての連絡協議や進行管理を行います。

第3 計画の見直し

 前期3年を経過した時点で、社会情勢の変化や障害者等のニーズの変化をふまえながら、実態調査と計画の総点検を行い、後期5年間の施策を見直します。

(別記)

国に対する要望事項

1.障害福祉に係る事項[厚生省]

● 社会福祉協議会の組織、財政基盤を強化するために、福祉活動専門員の活動費に対する助成の充実を講じられたい。
[説明] 民間福祉活動の中核的存在として地域福祉活動を担う市町村社会福祉協議会の福祉活動専門員については、人件費の助成がなされているが、助成額は十分とは言えず、今後充実を図る必要があります。
● 在宅重度障害者及び寝たきり老人家庭の家族に対する介護手当の創設を要望します。
[説明] 在宅重度障害者や寝たきり老人の介護にあたる者は精神的な負担が大きく、経済的にも大きな損失を被っているため、介護者の経済的支援対策が必要です。
● 社会福祉施設の整備については、国庫補助単価や基準面積が実勢と大幅な差があることから、実態に見合った補助制度の改善を講じられたい。
[説明] 社会福祉施設の整備については、国庫補助単価と建築単価、及び基準面積と建築面積の開差が拡大し、設置者の超過負担が増大しているところであり、設置者の負担軽減及び施設整備の設置促進を図るため補助制度の改善が必要です。

● 障害者基本法の成立を踏まえ、ノーマライゼーションの理念に係る啓発広報をなお一層促進されたい。
[説明] 国民に対する啓発をなお一層推進するため、基本理念であるノーマライゼーションの理念をより日常的にマスメディアを活用して、継続的に啓発広報に努める必要があります。

2.選挙の参加[自治省]

● 視覚障害者に対する点字による選挙広報の制度化を図るために、公職選挙法の改正を要望します。
[説明] 選挙広報について、現行公職選挙法では、「候補者が提出した掲載文を原文のまま選挙広報に掲載されなければならない。」との規定より、点字による選挙広報ができないとの制約があるので、これら法律を改正する必要があります。

3.やさしいまちづくりの推進[厚生省・建設省・運輸省・大蔵省]

● 障害者の自立と社会参加を促進するため、建築物・道路・交通ターミナル等における障害者用施設・設備の整備促進対策を講じられたい。
[説明] 公的機関の設置する建築物や公共交通ターミナル等で新築または大規模な改築が行われるものについては、障害者用設備を整備することが一般的となっているが、民間施設の設置する既存の建築物については、まだ十分に改善されているとは言えず、障害者用の整備が部分的なものとなっている。このため、福島県では平成4年11月福島県やさしいまちづくり推進・整備指針を策定しましたが、国においても整備促進策として建築基準法による整備の基準などの設定が必要です。
● 交通ターミナルの移動・交通対策の改善を要する経費の財政措置を講じられたい。
[説明] 交通ターミナルについては、各種ガイドラインに基づいて身障者トイレ・改札口の拡幅・点字券売機の設置等が順次実施されているが、エレベーター・エスカレーター等の設置は経費負担の問題もあり、なかなか進まない現状にある。したがって、障害者や高齢者の移動対策を推進するため、鉄道事業者に対し助成措置を講じる必要があります。

主題:
障害者自立・共生ふくしまプラン 福島県障害者計画 No.3
85頁~144頁

発行者:
福島県生活福祉部障害福祉課

発行年月:
1994年3月

文献に関する問い合わせ先:
福島県生活福祉部障害福祉課
〒960-70 福島市杉妻町2番16号
TEL(0245)21-1111(代表)