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障害者自立・共生ふくしまプラン

No.1

福島県障害者計画

福島県

項目 内容
立案時期 平成6年3月
計画期間 平成6年度~平成15年度(10年間)

はじめに

 本県においては、これまで昭和57年に策定した「福島県国際障害者年長期行動計画」に沿って、障害者のための施策を総合的に推進してまいりました。
 この計画は平成3年度をもって終了いたしましたが、この問、障害者の「完全参加と平等」という目標に向けて様々な施策に取り組み着実に成果を重ねてきたところであります。
 しかしながら、目標の実現に向けて未だ残されている課題も少なくなく、また障害者を取り巻く現状に目を向けますと、障害の重度化、重複化、障害者の高齢化など新たな課題が生じてきており、一方、「アジア太平洋障害者の十年」の決議や国の「障害者対策に関する新長期計画」の策定など新たな動きもみられております。
 これらの諸課題や情勢の変化に的確に対応し、障害者施策をより積極的に推進するためには、新しい長期計画が求められているところであり、このため、今年度、県・関係団体で構成する「福島県障害者対策推進会議」を中心に検討を重ね、ここに「福島県障害者計画『障害者自立・共生ふくしまプラン』」を策定したものであります。
 今回策定した新長期計画は、「リハビリテーション」と「ノーマライゼーション」を基本理念とし、昨年12月に公布された「障害者基本法」を十分踏まえた内容としていること、障害者ライフステージに対応した7つの部門とテーマを設定し各部門毎にそれぞれ施策推進のための具体的方策等を明らかにしていること、障害者の主体的な取り組みを助長する施策についても積極的に具体的方策に取り込んでいることなどが特徴となっております。
 この計画は本県の障害者の自立と社会参加の一層の進展を目指しすべての県民が共通の認識の下に行動するための指針であり、県といたしましては、「福島県障害者施策推進協議会」を組織するなど全庁的な取り組みを強化するとともに、県民各位の自主的な幅広い参加と協力を得て、各種施策を力強く推進してまいりたいと考えております。
県民の皆様をはじめ、市町村、関係団体等の皆様には、このプランの実現に向けて一層の御支援と御協力をいただきますようお願いいたします。

 平成6年3月

福島県知事 佐藤栄佐久

目次

はじめに

第1章 総論

第2章 各論

第3章 計画の推進体制

(資料編)

-状況等-

  1. 身体障害者数(身体障害者手帳交付者数)の推移
  2. 精神薄弱者数(療育手帳交付者数)の推移
  3. 在院精神障害者数の推移
  4. 通院精神障害者数の推移
  5. 小児慢性特定疾患治療研究対象者数の状況
  6. 特定疾患治療研究対象者数の状況
  7. 在宅寝たきり老人数の推移
  8. 障害者関係施設等の整備状況
  9. 障害児教育(保育)の状況
  10. 障害者雇用の状況(民間企業の雇用状況)

-調査-

-整備目標-

-要綱等-

第1章 総論

第1節 計画の基本事項
第2節 障害者をとりまく現状
第3節 施策体系

第1節 計画の基本事項

第1 計画策定の趣旨

 福島県では、「国際障害者年」(1981年)の目標である「完全参加と平等」の実現を図るため、昭和57年に「福島県国際障害者年長期行動計画」(以下「現計画」という。)を策定して各般にわたる諸施策を実施し障害者福祉の向上に努力してきたところですが、その成果として、総じて、様々な分野で着実な前進をみたところです。
 また、この間、県民の障害や障害者に対する認識が深まりつつある一方、障害者自身の社会参加意識も高まってきています。
 しかしながら、多くの障害者にとっては、意識上の壁をはじめ、制度的な壁、物理的な壁、文化・情報上の壁など各種の障壁が存在し、社会生活を営む上で様々なハンデキャップとなっており、県民が通常受けている諸権利、諸サービスを享受できない現実があり、「完全参加と平等」の実現に至るまでには、なお多くの克服しなければならない課題があります。
 また、障害者のための施策を推進するうえでも、家庭や地域等社会生活環境の変化や障害の重度化、重複化、さらには障害者の高齢化や自立と社会参加気運への対応等新たな課題も生じてきております。
 一方、国においても「国連・障害者の十年」終了後の新たな計画として「障害者対策に関する新長期計画」(平成5年度~平成14年度)(以下「国の新長期計画」という。)が策定され、昨年12月には「障害者基本法」が制定されたところです。
 このように、現計画策定時とは情勢が大きく変わってきております。
 以上のような観点から、これまでの成果をさらに継続発展させるとともに、障害者のための施策の今後なお一層の推進を図るため、総合的かつ計画的に推進する指針として、新たな視点と長期的展望に基づく新長期計画を策定するものです。

第2 計画の性格と役割

 この計画は、福島県長期総合計画「ふくしま新世紀プラン」をはじめ第3次福島県社会福祉計画「うつくしま、福祉プラン」や、その他の県のそれぞれの部門別計画を踏まえ、今後10年間を見通し実現性に配慮した施策全般の基本的な方向を示すとともに、障害者をはじめ、行政機関、関係団体、全ての県民が共通の認識のもとに行動するための指針とするものです。

第3 計画の期間

 この計画は、平成6年度を初年度とし平成15年度を目標年度とする10か年計画です。

第4 計画の範囲

 この計画は、障害者基本法に規定する「障害者」を主な対象としますが、関連領域についてもできる限り対象としております。

障害者基本法第2条(定義)
 この法律において「障害者」とは、身体障害、精神薄弱又は精神障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。

第5 計画の基本理念

 この計画は、障害者基本法の基本的理念及び国の新長期計画の基本的な考え方に掲げられている「リハビリテーション」の理念並びに「ノーマライゼーション」の理念に基づいて今後の施策 を推進するものです。

1 「リハビリテーション」の理念
 「リハビリテーション」とは、単に医学的な機能回復訓練にとどまらず、社会的、教育的、
職業的手段を組合せ障害を持った人のトータルな生活あるいは人生という視点からみた「復権」を目指し、障害者が持つ可能性を最大限に高めるという考え方です。
 すなわち、障害者を人間の尊厳性をもつ存在としてとらえ、その自立は、社会を構成する一員として社会全体の発展に寄与するという考え方に立つものです。
本県の現状は、障害者のライフステージのそれぞれの段階での対応にとどまるもので、今後はこの理念に基づくライフステージのすべての段階を通じた総合的なリハビリテーションサービスの提供が要請されます。

障害者基本法第3条第1項(基本的理念)
 すべての障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする。

2 「ノーマライゼーション」の理念
 リハビリテーションが主として障害者本人に関わる理念であるのに対して、ノーマライゼーションの理念は、障害者の生活条件や生活環境等、言わば社会の側のあり方に目を向けています。
 すなわち、障害を持つ人も持たない人も、高齢者も若者も、誰もが等しく家庭や住み慣れた地域で、お互いに人問として尊重し合いながら普通の生活ができるようにしていくという考え方です。
 このことは、単に障害者の権利や機会均等の確保にとどまらず全ての人にとって住みやすい社会に必要不可欠な考え方になっています。
 県民の障害や障害者に対する認識は必ずしも十分とはいえず、障害者を障害を持たない人と違う存在であり庇護すべき存在と考えている傾向が依然残っていますが、全ての県民がノーマライゼーションの理念を理解し社会の様々な場面において、障害者の参加や利便を前提に考えていくことが大切です。また、障害者自らもそのために積極的に社会に働きかけていく努力が要請されます。

障害者基本法第3条第2項(基本的理念)
 2.すべての障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。

 「リハビリテーション」の手段
 リハビリテーションには次の4つの手段があります。

○医学的リハビリテーション
:治療や理学療法、作業療法、言語療法等により身体的または精神的機能の回復、維持を図り、必要によっては代償機能を活用することによって障害者が自立し活動的な生活を送ることができるようにすることをいう。
○教育的リハビリテーション
:学校教育、社会教育を通じ、障害者が持つ可能性を最大限に伸ばし成長を促して、社会的自立を促進することをいう。
○職業的リハビリテーション
:職業相談、職業訓練、職業安定等の職業サービスを通じ障害者が適当な職に就くことにより、社会に対し責任を果たし貢献していく中で、職業を通して自己実現を達成していけるようにすることをいう。
○社会的リハビリテーション
:福祉サービスの充実や生活環境の改善、障害者への理解を促進するなど、社会にある障害者の可能性の開花を阻む様々な障壁をとりのぞいて、障害者の家庭や社会での生活や活動がしやすくなるようにすることをいう。

第6 計画の基本目標

 「完全参加と平等」の実現

 「国連・障害者の十年」において一貫したテーマでありました「完全参加と平等」とは障害者がそれぞれの住む社会において社会生活と社会の発展に全面的に積極的に参加するとともに、その社会における生活条件は健常者と対等であり、また社会の発展の成果は生活向上に等しくあずかることを意味します。
 この目標は、国連アジア太平洋経済社会委員会における「アジア太平洋障害者の十年」(1993年~2002年)の決議においても引き継がれており、また、障害者基本法及び国の新長期計画においても掲げられています。
 したがって、本計画は現計画の目標を引き継ぐものとし、この基本目標に向けて各種施策を推進するものです。
 もとより、この「完全参加と平等」の実現を図るためには、私たちが目指すべき社会のあり方として全ての人が、相互理解と連帯に支えられた社会すなわち、第3次福島県社会福祉計画「うつくしま、福祉プラン」の基本目標でもある「ともに生きる福祉社会」であることが必要であり、社会全体がその形成に向けてたゆみない努力をしていくことが大きな課題であります。

障害者基本法第5条(国民の責務)
 国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の福祉の増進に協力するよう努めなければならない。

障害者基本法第6条(自立への努力)
 障害者は、その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない。

第7 計画の構成

 障害者のライフステージに対応した、次の7つの「部門」と「テーマ」を設定し、各部門に「施策目標」をおいて、その目標ごとに「現状と課題」を整理し「施策の方向と具体的方策」を示しています。

 (1)啓発・広報部門          :「こころづくり」

 (2)保健・医療部門          :「予防と克服」

 (3)福祉部門             :「安心して暮らせる社会づくり」

 (4)教育・育成部門          :「可能性の開拓」

 (5)雇用・就業部門          :「就労による自己実現」

 (6)生活環境部門           :「やさしいまちづくり」

 (7)スポーツ文化国際交流部門   :「生きがいづくり」

第8 計画の推進

施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、

(1)福島県障害者施策推進協議会を中心として全庁的な取り組みを行います。

(2)国及び市町村の施策はもとより一層緊密な連携に努めながら推進していきます。

(3)各般にわたる諸施策は、行政のみで対応することは困難であるため、障害者やその家庭、 障害者関係団体・施設のほか、企業等も含めて県民の自主的な幅広い参加と協力を得て推進 していきます。

(4)計画の遂行に当たっては、計画の進捗状況を点検し、適切な進行管理を行うほか必要に応じ計画の見直しを行います。

第2節 障害者をとりまく現状

第1 本県の障害者の現状

 平成5年4月1日現在の本県の身体障害者は65,493人(身体障害者手帳交付者数)で精神薄弱者は7,653人(療育手帳交付者数)であり平成5年6月末日現在の治療を受けている精神障害者数は26,406人です。
昭和57年度の状況について同様にみると、
 身体障害者が54,867人精神薄弱者が4,842人精神障害者が21,530人で比較するとそれぞれ10,626人(19.4%)、2,811人(58.1%)、4,876人(22.6%)増加しています。
 次に、それぞれの主な傾向についてみますと、

1 身体障害者
 障害別で「肢体不自由者」が最も多く平成5年4月1日現在で40,165人と全体の約6割を占め次いで「内部障害者」「聴覚平衡機能障害」「視覚障害者」「音声言語機能障害」の順になっています。
 また昭和57年度と比較しますと特に障害範囲の拡大があった「内部障害者」の増加が目立ちますが、逆に「視覚障害者」、「聴覚平衡機能障害者」は減少しています。
 程度別では、「1級・2級」の重度障害者が最も多く、28,366人で次いで「3級4級」の中度者で21,668人「5級6級」の軽度者が15,459人の順になっています。
昭和57年度は中度者重度者軽度者の順でありこの間重度者が9,806人増加したのに対し軽度者は1,270人減少しており障害の重度化の傾向がみられます。
 また精神薄弱との重複障害者推定数は1,277人(1.95%)となっています。
 年齢別では18歳未満1,209人18歳以上60歳未満が19,327人60歳以上が44,957人となっており昭和57年度と比較しますと18歳未満が138人18歳以上60歳未満が5,068人減少しているのに対して60歳以上が15,832人も増加しておりまた全体に占める60歳以上の割合は53.1%から68.6%に大幅な伸びを示しており高齢化の傾向が顕著にみられます
在宅施設入所の別は在宅者推定数63,085人(96.3%)身体障害者更生援護施設の入所者574人(0.9%)老人等入所者推定数1,834人(2.8%)となっています
 障害原因別では疾病が70.4%と多く次いで事故が13.7%戦傷病戦災が1.7%不明が14.2%の順となっています
 年齢別に疾病の割合をみてみますと18歳未満が80.9%(内訳:先天性68.7%後天性313%)18歳以上60歳未満は67.0%(内訳:先天性22.1%,後天性77.9%)60歳以上は71.6%(内訳:先天性4.3%,後天性95.7%)となっており、年齢が高い区分になるにつれ、後天性の割合が高くなっています。

2 精神薄弱者
 程度別で平成5年4月1日現在、重度者が3,491人中軽度者が4,162人となっています
昭和57年度と比較しますとこの問重度者で595人(20.5%)中軽度者で2,216人(113.9%)増加しています
年齢別では18歳未満が1,621人18歳以上が6,032人となっています
昭和57年度と比較しますと全体の18歳以上の占める割合は72.8%から78.8%に推移しており18歳以上の占める割合が年々高くなってきています
在宅施設入所の別は在宅者5,361人(70.1%)精神薄弱者更生施設等社会福祉施設の入所者2,292人(29.9%)となっており在宅者は重度者2,299人(30.0%)中軽度者3,062人(40.0%)施設入所者は重度者1,192人(15.6%)中軽度者1,100人(14.4%)という構成になっています。

3 精神障害者
 平成5年6月末日現在入院患者数が8,111人通院患者数が18,295人であり昭和57年度と比較しますと入院患者数で246人(3.1%)通院患者数で4,630人(33.9%)増加しています
 入院患者を病類別にみると「精神分裂病」が最も多く4,636人で全体の57.2%と過半数を占め次いで「脳器質性精神障害」1,119人(13.8%)「躁うつ病」542人(6.7%)「精神薄弱」429人(5.3%)「中毒性精神障害」404人(5.0%)などの順になっており年齢構成は18歳未満0.3%18歳以上65歳未満74.6%65歳以上25.1%となっています
 また入院患者について昭和57年度と比較しますと「脳器質性精神障害」376人(50.6%)増え痴呆性老人の増加傾向を裏付けているほか「精神分裂病」156人(3.5%)「躁うつ病」86人(18.9%)の増加「中毒性精神障害」157人(50.6%)「精神神経症」73人(31.3%)「精神薄弱」50人(10.4%)の減少などが特徴的です。
 なお通院患者の現状について昭和56年と平成2年の厚生省「患者調査」に基づいて病類別構成比の変化をみますと、「精神神経症」が28.1%から38.9%に「精神分裂病」が17.8%から21.5%に「躁うつ病」が6.7%から17.3%に増えています。

第2 障害者のための施策の最近の動向

1 「国連・障害者の十年」以降の動向
 国連が提唱した「国連・障害者の十年」は平成4年に終了しましたが、国連は、1982年の「障害者に関する世界行動計画」に加えて1993年12月20日に採択した「障害者の機会均等化に関する基準規則」や「2000年まで及びそれ以降障害者に関する世界行動計画を実施するための長期戦略」の策定等により、その終了後も引き続き世界の障害者施策推進を支援することとしています。
 また、アジア太平洋地域では、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)において1993年(平成5年)からの十年問を「アジア太平洋障害者の十年」とすることが決議されました。
 一方、国においても、平成5年3月に国の新長期計画を策定し、21世紀に向けた障害者のための施策の推進にあたっての基本指針を示したところです。
 このような障害者を取り巻く社会情勢の変化等に対応し,「心身障害者対策基本法」の一部が改正され、平成5年12月3日に「障害者基本法」が公布されました。(法律施行は一部を除き公布の日からです。)
その主な内容は次のとおりです。

(1)法律の目的
 障害者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加の促進が規定され、障害者の「完全参加と平等」を目指すことが明らかにされました。

(2)障害者の定義
 「身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」とされました。

(3)基本的理念
 「すべての障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。」という規定が加えられました。

(4)障害者の日 12月9日が「障害者の日」とされ、法律上位置づけられました。

(5)障害者基本計画等
 政府は、障害者の福祉等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者基本計画を策定しなければならないとされています。
 また、都道府県や市町村においてもこれに準じた計画の策定に努めなければならないとされています。

(6)雇用の促進等、公共的施設の利用及び情報の利用等
 国及び地方公共団体の責務の規定が整備され、また、事業主に対する所要の努力義務が新たに規定されました。

(7)障害者施策推進協議会
 「心身障害者対策協議会」の名称が「障害者施策推進協議会」に改められ、障害者及び障害者の福祉に関する事業に従事する者を中央障害者施策推進協議会の委員又は専門委員に任命する旨が明定されています。

2 福祉関係八法の改正

 平成2年6月に身体障害者福祉法の改正を含む社会福祉関係八法の改正が行われ、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス等の在宅福祉サービスの法定化や、身体障害者施設等の入所措置事務の市町村への移譲による在宅福祉サービスと施設福祉サービスの一元化が図られました。また、視聴覚障害者情報提供施設や精神薄弱者福祉ホームが援護施設に加えられ、精神薄弱者地域生活福祉援助事業(グループホーム)が法定化されるなど、障害者関係施設の範囲が拡大されました。

3 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正

 平成4年5月に一部改正が行われ、重度障害者、精神薄弱者及び精神障害回復者に係る施策の充実が図られました。
 その主な内容は次のとおりです。

(1)総合的な障害者対策の推進
 労働大臣は、今後障害者雇用対策の総合的かつ計画的・段階的な推進の在り方について定
めた障害者雇用基本方針を策定することとされました。

(2)重度化に対応した障害者雇用対策の推進

  1. 重度障害者は長時間雇用が困難な場合もあり、このような事情を考慮し、短時間雇用(所要労働時間が週22時間以上33時間未満の場合)であっても、雇用率制度及び納付金制度が適用されることになりました。
  2. 障害者の雇用継続の措置を講ずる場合にも、事業主は助成金の支給を受けることができるようになりました。

(3)精神薄弱者、精神障害者回復者の雇用対策の推進

  1. 重度精神薄弱者を雇用している場合、雇用率制度・納付金制度において、重度身体障害
    者と同様ダブルカウントが適用されることになりました。
  2. 職場適応訓練の対象となる種類の精神障害者回復者の雇用について、納付金制度に基づ
    く助成金が支給されることになりました。

4 精神保健法の一部改正

 平成5年6月に一部改正が行われ、精神障害者の社会復帰の促進を図るとともに、その適正な医療及び保護を実施するための施策の充実が図られました。(法律施行は平成6年4月1日、一部は平成8年4月1日です。)
 その主な内容は次のとおりです。

(1)精神障害者の社会復帰の促進

  1. 1精神障害者の社会復帰の促進を図るため、国、地方公共団体、医療施設又は社会復帰施設の設置者等が相互に連携を図りつつ協力することとされています。
  2. 精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)が法定化され補助規定が設けられると ともに、社会福祉事業として位置づけられます。
  3. 厚生大臣は、精神障害者の社会復帰の促進に資するための啓発広報や訓練、指導に関する研究開発等を行う民間法人を、精神障害者社会復帰促進センターとして指定できるようになります。

(2)精神障害者の適正な医療及び保護の実施

  1. 保護義務者は、保健・医療・福祉の各分野において必要な援助を受けることができることとし、あわせて、その名称が「保護者」に改められます。
  2. 仮入院の期間が3週間から1週間に短縮されます。
  3. 法定施設外収容禁止規定が削除されます。

(3)その他の事項

  1. 精神障害者の定義が「精神分裂病、中毒性精神病、精神薄弱、精神病質その他の精神疾患を有する者」に改められます。
  2. 大都市の特例が設けられます。(平成8年4月1日施行)
  3. 精神障害者であることを絶対的欠格事由としている栄養士、調理師、製菓衛生士等の資格等が相対的欠格事由へ改められます。

5 やさしいまちづくりへの動き

県や国の最近の動きで主なものは次のとおりです。

(1)県の動き

  1. 平成4年3月に障害者の街に出かける時のガイドブック「うつくしま、ふくしまっぷ」を作成配付しました。
  2. 平成4年11月に、「福島県やさしいまちづくり推進指針」「同整備指針」を策定しました。
  3. 平成5年6月に「福島県やさしいまちづくり推進会議」を設置しました。
  4. 平成5年7月に「福島県やさしいまちづくり推進資金」制度を創設、融資を開始しました。
  5. 平成6年1月に「福島県やさしさマーク交付基準適合証(やさしさマーク)」制度を発足しました。

(2)国の動き

  1. 建設省では、平成3年度から公共施設や多くの人が利用する建物間における安全な移動を確保するため、動く歩道やエレベーター付歩道橋等を設ける場合、事業費の3分の1を助成する「福祉の街づくりモデル事業」を進めており、さらに平成6年度からは新規事業として「人にやさしいまちづくり事業」が開始されます。
     また、建築審議会の答申を受け障害者や高齢者に配慮した建物の建築基準や整備促進策の法案化への準備が進められています。
  2. 運輸省では、駅を身体障害者や高齢者が利用しやすくするため、平成5年8月に「鉄道駅のエレベーター整備指針」を制定し、新設や大規模改良する駅について、スロープで段差を解消できない場所、プラットホームと公共通路を結ぶ通路、またはプラットホームと他の路線のプラットホームの通路に少なくとも1基のエレベーターの設置を義務付けしたほか、5メートル以上の段差があり、一日の乗降客が5千人以上ある既設駅についても、地形や駅の構造などの条件を考慮し、順次計画的に整備に努めることとしました。
     なお、あわせて、平成3年に制定した「鉄道駅におけるエスカレーターの整備指針」が改訂され、「鉄道駅のエスカレーター整備指針」も制定されました。
     また、身体障害者や高齢者等の円滑かつ安全な移動において、連続性のある公共交通機関の体系的整備を図るための基本的指針となる「高齢者、身体障害者等のためのモデル交通計画」の策定が進められています。

6 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律の施行

 平成5年5月に同法律が公布され、郵政省では、視覚・聴覚障害者などが通信・放送サービスを十分受けられるようにするため、テレビなどの字幕放送や解説放送の充実、新しいサービスの開発を図る「通信・放送身体障害者利用円滑化事業」を推進することとしました。
 その主な内容は次のとおりです。
(1)基本方針の策定
  郵政大臣は、次の掲げる事項を内容とする基本方針を定めることとされました。

  1. 通信・放送役務の利用に関する身体障害者の利便の増進に関する基本的な方向
  2. 通信・放送身体障害者利用円滑化事業の内容に関する事項
  3. その他通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に際し配慮すべき重要事項

(2)通信・放送機構の業務の特例
  通信・放送機構は、次の支援業務を特例業務として行うこととされました。

  1. 通信・放送身体障害者利用円滑化事業への助成金の交付
    -字幕放送や解説放送等の番組制作に対する助成
    -新しいサービスの開発、例えば、文字を点字または音声に変換する通信サービスの開発に対する助成など
  2. 通信・放送身体障害者利用円滑化事業への利子補給金の支給
    -字幕放送を行うために必要となる文字多重放送設備の整備に対する利子補給
  3. 通信・放送身体障害者利用円滑化事業に関する情報の収集及び提供等
    -身体障害者向けの通信・放送サービスに関する情報提供等

7 第31回全国身体障害者スポーツ大会の開催

 平成7年10月28日(土)・29日(日)に第31回全国身体障害者スポーツ大会「うつくしまふくしま大会」が福島市を会場に開催されます。陸上競技のほか、水泳、アーチェリー、卓球、車椅子バスケットボール、盲人野球、バレーボール(聴覚障害者)の各種目を福島県あづま総合運動公園をメイン会場に行います。大会運営にあたっては、全国からの参加者をあたたかく迎えるため、大会コンパニオンを始めとする多くのボランティアの協力など県民の理解と協力が必要です。

第3節 施策体系

計画の基本理念

  • 「リハビリテーション」の理念
  • 「ノーマライゼーション」の理念

計画の基本目標

  • 「完全参加と平等」
部門 テーマ 施策目標
〔大項目〕
施策方向
〔中項目〕
具体的施策
〔項目〕
啓発・広報部門  『こころづくり』 1 理解とふれあいの促進 (1)啓発広報活動の推進 1.計画的な啓発広報活動の実施
2.「障害者の日」等を中心とした啓発・交流事業の実施
(2)福祉教育の推進 1.学校教育における障害者理解の促進
2.社会教育における障害者理解の促進
2 地域における交流の促進 (1)ボランティア活動の推進 1.ボランティア活動への理解の促進
(2)開かれた施設の推進 1.施設の地域への開放の促進
(3)障害者自身の主体的な地域活動の推進 1.障害者自身の主体的な活動の促進と地域活動への積極的な参加の促進
保健・医療
部門
『予防と克服』 1 障害の予防対策の充実 (1)先天的障害の予防 1.母子保健対策の充実
2.周産期・新生児医療体制の充実
(2)後天的障害の予防 1.健康づくりの推進
2.成人病対策の推進
3.寝たきり防止対策の推進
4.心の健康づくりの推進
5.事故防止対策の充実
2 障害の早期発見と早期治療の推進 (1)健康管理対策の充実 1.健康診査・検査体制の充実
2.健康教育・相談・指導体制の充実
3 医療・医学的リハビリテーションの充実 (1)医療対策の充実 1.障害者に対する医療体制の充実
2.難病対策の充実
3.精神医療対策の充実
4.移植医療対策の充実
5.在宅ケア対策の充実
(2)医学的リハビリテーションの充実 1.リハビリテーション医療施設の充実
2.精神科リハビリテーションの充実
4 ひとづくりの推進 (1)保健医療スタッフの養成・確保 1.リハビリテーションを行う保健医療スタッフの養成・確保
福祉部門 『安心して暮らせる社会づくり』 1 在宅生活の支援対策の充実 (1)相談体制と情報提供の充実 1.相談体制の充実
2.情報提供の充実
3.コミュニケーション手段の確保
(2)生活支援対策の充実 1.生活安定のための各種制度・事業の推進
2.在宅福祉サービスの充実
3.福祉機器サービスの充実
4.生活の場の確保
(3)訓練の充実と社会参加促進のための施策の充実 1.訓練の充実
2.社会参加促進のための施策の充実
2 施設福祉サービスの推進 (1)施設福祉サービスの充実 1.障害者施設の整備・充実
(2)開かれた施設の推進 1.地域への施設機能の提供の促進
3 地域福祉活動の推進 (1)ボランティア活動の推進
1.ボランティア活動の育成と活動の活性化
(2)障害者関係団体の活動の推進 1.障害者関係団体の育成と活動の充実強化推進
4 ひとづくりの推進 (1)福祉ヒューマンパワーの充実強化 1.福祉ヒューマンパワーの養成・確保対策の養成・確保
2.施設職員の処遇の向上
5 福祉・保健・医療の連携 (1)福祉・保健・医療サービスの連携 1.福祉・保健・医療サービスの効果的な提供
教育・育成部門   『可能性の開拓』 1 教育施策の充実 (1)早期教育の推進 1.早期教育の充実
(2)学校教育の充実 1.適正就学の推進
2.義務教育段階における多様な教育の充実
3.後期中等教育段階における特殊教育の充実
4.職業教育と進路対策の充実
(3)学校教育終了後及び学校外の学習機会の充実 1.学習機会への参加と促進と学習環境の整備
(4)教職員の指導力の向上 1.教職員の理解の促進と養成
2.養護教育センターの機能の充実
2 育成施策の充実 (1)総合療育体制の充実 1.心身障害児総合療育センターの機能の充実
2.地域療育体制の整備
(2)健全育成施策の充実 1青少年の活動の場の充実
雇用・就業部門 『就労による自己実現』 1 雇用の促進と安定 (1)雇用の促進 1.企業等に対する障害者雇用の奨励啓発と雇用拡大のための指導の強化
2.多様な勤務形態の活用
3.障害者に対する職業相談・指導・訓練の充実
(2)雇用の安定 1.職場定着促進のための対策の充実
2 就業機会の拡大 (1)多様な就業機会の確保 1.職業能力の開発と向上のための対策の充実
2.自営業者への支援対策の充実
3 就労の場の拡大 (1)多様な就労の場の確保 1.福祉的就労の場の整備拡大と支援の強化
生活環境部門
『やさしいまちづくり』 1 やさしいまちづくりの推進 (1)誰もが利用しやすいまちづくりの推進 1.安全で利用しやすいまちづくりの推進
2.連続性・移動性の確保のための交通条件の整備
3.計画的なふれあいとうるおいのあるまちづくりの推進
(2)思いやりに満ちた社会づくりの推進 1.ノーマライゼーション理念を支える県民の意識づくり
2.県民参加のための総合的な推進組織の整備
2 住環境の整備促進 (1)安全で快適な住環境の整備 1.持家の改善に対する支援の充実
2.公営住宅等の整備・充実
3.防火・防災対策の推進
スポーツ・文化・国際交流部門 『生きがいづくり』 1 スポーツの振興 (1)体制の整備強化 1.障害者スポーツの支援体制の整備
2.スポーツ施設の整備・充実
3.スポーツ指導員の育成
(2)スポーツの普及 1.スポーツ指導の充実
2.スポーツ大会の開催
3.スポーツ大会への派遣
(3)スポーツによる交流の促進 1.スポーツによる他の障害者、健常者との交流の促進
2 レクリェーションの振興 (1) レクリェーション活動の推進 1.レクリェーションスポーツの振興
2.レクリェーション活動への参加の促進
3 文化活動の促進 (1)文化活動への参加の促進 1.文化情報の提供
2.障害者への配慮の啓発
3.障害者自らの主催と積極的な参画
(2)文化活動への支援 1.品展・芸術祭等の開催
2.創作活動への支援
4 国際交流の促進 (1)国際性豊かなひとづくり 1.スポーツを通した国際交流の推進の推進
2.海外研修への障害者の参加の促進
3.障害者団体問の国際交流への参加の促進

主題:
障害者自立・共生ふくしまプラン 福島県障害者計画 No.1
1頁~19頁

発行者:
福島県生活福祉部障害福祉課

発行年月:
1994年3月

文献に関する問い合わせ先:
福島県生活福祉部障害福祉課
〒960-70 福島市杉妻町2番16号
TEL(0245)21-1111(代表)