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あいち8か年福祉戦略

No.3

愛フルプラン

平成5年7月

愛知県

第5章 老人保健福祉計画における圏域設定のガイドライン

 この戦略は、平成5年度に策定される県老人保健福祉計画のガイドラインとして位置づけられることが求められています。
 県老人保健福祉計画においては、目標とすべき考え方や目標数値等を、市町村の範囲を越えた、広域的な視点に立って調整を行ったうえで、明らかにすることが必要とされていることから、県下の数市町村を単位とする複数の「保健福祉圏域」を設定することとしています。
 このため、この戦略において、圏域設定に当たってのガイドラインを示すこととします。

(1) 県老人保健福祉計画の圏域に係わる国の考え方

 「都道府県は、市町村の範囲を越えた広域的な見地から、老人福祉施設、老人保健施設の整備基準を定めるにあたって、県老人保健福祉計画において老人保健福祉圏域を設定する」ものとしており、「保健・医療・福祉の連携を図る観点から、基本的には県医療計画で定めている2次医療圏と合致させることが望ましく、もし支障がある場合には広域市町村圏等を踏まえ適切な圏域を設定して差し支えない」としています。

(2) 県における老人保健福祉圏域

1 圏域設定の意義
 国の考えでは、老人福祉施設等の整備を進めるに当たって必要な圏域を設定することとなりますが、一方では、デイサービスセンターや短期介護専用居室は施設との併設が想定されることなどから、在宅福祉を推進していくうえにおいても、圏域を設定する意義があるといえます。

2 圏域の設定
 (2次医療圏と広域市町村圏)
 圏域の設定に当たっては、保健・医療・福祉の連携という意味で、愛知県地域保健医療計画で定める「2次医療圏」と広域行政を推進するために設定されている「広域市町村圏」を念頭にいれる必要があるとともに、圏域単位での調整・推進体制を考慮すべきです。
 (県老人保健福祉圏域)
 保健福祉圏域は、誰もが、いつでも、身近かなところで、必要なサービスを受けることを前提に、設定されるべき圏域です。
 病院への“入院を主たる目的として設定された2次医療圏は、より身近なサービスを提供していく必要のある保健、福祉の広域圏域としては、広すぎると考えます。
 このため、2次医療圏を基本として細分化し、広域市町村圏と整合をとった形で圏域を設定する必要があります。
 また、名古屋市は、他の市町村と異なり、それ独自で一つの大きな生活圏を形成しているとともに、政令指定都市として、保健・福祉については、県と同等の役割を持っていることなどから、単独で一つの圏域とすべきです。
 以上のような考え方から、県の老人保健福祉圏域を次のとおりの14圏域を設定するのが妥当です。

圏域 市町村名
名古屋 名古屋市
津島・海部 津島市、七宝町、美和町、甚目寺町、大治町、蟹江町、十四山村、飛島村、弥富町、佐屋町、立田村、八開村、佐織町
尾張中部 西枇杷島町、豊山町、師勝町、西春町、春日町、清洲町、新川町
尾張東部 瀬戸市、尾張旭市、豊明市、東郷町、日進町、長久手町
尾張西部 一宮市、尾西市、稲沢市、木曽川町、祖父江町、平和町
尾張北部 春日井市、犬山布、江南市、小牧市、岩倉市、大口町、扶桑町
知多 半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久北町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町
豊田・加茂 豊田市、三好町、藤岡町、小原村、足助町、下山村、旭町、稲武町
岡崎・額田 岡崎市、幸田町、額田町
衣浦東部 碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市
西尾・幡豆 西尾市、一色町、吉良町、幡豆町
新城南北設楽 新城市、設楽町、東栄町、豊根村、富山村、津具村、鳳来町、作手村、稲武町
宝飯 豊川市、蒲郡市、音羽町、一宮町、小坂井町、御津町
豊橋・渥美 豊橋市、田原町、赤羽根町、渥美町

  (調整区域の設定)
 2次医療圏と広域市町村圏の範囲を比べた場合、稲武町が医療圏では「西三河北部医療圏」、広域市町村圏では、「新城南北設楽広域市町村圏」として広域行政が進められているため、調整が必要となります。
 稲武町においては、保健・医療・福祉の面において豊田地城と設楽地域の双方につながりが深いという現状からして、当面は両者の圏域に含めて広域調整を実施していく必要があります。

→用語解説

  • 県老人保健福祉計画
     老人福祉法及び老人保健法に規定されている計画です。将来必要な保健福祉サービスの量を明確にし、その提供体制を計画的に整備することを内容とし、市町村の積み上げを基本とし、市町村を支援・補完する計画となっています。計画期間は平成5年から平成11年の7か年です。
  • 保健福祉圏域
     老人保健福祉サービスに対し、広域性、専門性、総合性などの観点から、地域の実情を勘案して、広域的に指導調整等を図る圏域をいいます。
  • 広域市町村圏
     各市町村の行政区域の枠をこえて、広い区域で総合計画を策定するなどして、住民サービスと行政の効率化を図るために設定された圏域をいいます。
  • 2次医療圏
     地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、病院における入院医療(特殊な医療を除く)を提供する体制の確保を図るために設定される圏域をいいます。県下では、8つの医療圏が設定されています。

第6部 障害者の自立をめざして

第1章 出生前及び出生直後の発生予防

第2章 乳幼児期の早期発見と早期療育

第3章 学齢障害児の育成

  1. 学校教育
  2. 生活の支援

第4章 自立生活への支援

  1. 地域での自立
  2. 雇用・就労の促進

第5章 高齢障害者への援護

【障害者対策】

 心身障害者対策は、「ノーマライゼーション」を理念として、障害者の持つハンディキャップを軽減し、一人の社会人として自立して生活を送れるよう、障害の発生予防対策をはじめ、生活安定、医療、教育、就労等の各種の幅広い施策を実施していますが、今後の障害者の増加に伴い、その重要性はますます高まるものと予想されます。
 1981年の「国際障害者年」のテーマであった障害者の「完全参加と平等」の実現を図るため、障害者や老人など、社会的に弱者といわれる人達を包含するのが通常の社会であり、そのあるがままの姿で他の人々と同等の権利を享受できるようにするという、いわゆる「ノーマライゼーション」の考え方は、障害者対策を推進するための重要な理念であり、キーワードにもなっています。
 県としては、この理念に基づき、障害者個人のライフサイクルに応じたさまざまな施策を展開するとともに、障害者を中心として関係する施設・機関等が連携し、協力し合ってサービスを提供する体制を構築することが重要な課題であると考えています。
 平成5年3月には、国レベルにおいて「国連・障害者の十年」(1983年~1992年)に続く新たな推進方策である「障害者対策に関する新長期計画」が策定されたこともあり、県としても障害者対策の今後一層の取り組み強化が必要になってきています。

障害者対策の事業体系図

障害者に対する意識 問)あなたは、日頃、障害者にどのように接していますか。

-項目-
○ 障害を意識せずに周囲の人と同じように接している 14.9%
○ 多少意識するが、周囲の人と同じように接している 59.5%
○ どうしても意識して接してしまう 21.0%
○ なるべく接しないようにしている 1.3%
○ その他・無回答 3.3%

(資料)平成3年度 県政モニターアンケート結果

【理解促進と啓発活動】

 個人が事故や疾病により障害者となった場合、自らの障害の状態を受け入れるためには、それなりの時間と努力、人生観の転換が必要であるいわれています。
 このことと同様、障害者が健常者と同じように受け入れられ、更にそれが普通の、当たり前の社会にしていくためには、やはり一定の期間と関者の努力、社会的理念の転換が必要です。
 障害者福祉を推進していくためには、障害者自らが理解を得るための努力をすることはもとより、県民が「障害」というものに対する正しい理解と認識を深めていくことが最も重要であり、積極的な啓発活動をはじめとするさまざまな取組が必要です。

いやな思いの有無

区分 いやな思いあり いやな思いなし 不詳
総数 283,800人 56.2% 31.0% 12.8%

(資料)平成2年度精神薄弱児 (者) 福祉対策基礎調査結果

【高齢化の影響と施策の推進】

 人口の高齢化は、障害者対策を一層難しいものにしています。
 高齢化によってもたらされる影響は、一つは、障害者自身の高齢化の問題であり、障害者対策事業を更に充実するとともに高齢者施策との相互利用の推進を図ることが必要です。
 もう一つは、障害者を主に介助し、生活面における支えとなっている介護者や保護者の高齢化の問題であり、これらの「介護者等を支える」ための施策も合わせて講じていく必要があります。

【障害者の自立】

 県においては、障害者が身近な地域の中で、家族や近隣の人々と共に社会の一員として自立した生活が送れるような地域社会を築くため、自立生活を支援するサービスとして家庭奉仕員(ホームヘルパー)、短期介護(ショートステイ)、デイサービスを柱とする在宅福祉サービスの一層の充実を図っています。
 また、家庭から通所・通園して訓練・福祉的就労のできる施設の充実にも力を注いでいますが、更に一層の充実・整備が求められています。
 障害者にとって自立とは、福祉対策のみならず教育によって培われる社会的・精神的自立、就労や年金制度による経済的自立、生活の場の確保による生活自立に加えて、街づくりなどによる社会環境の整備などを総合的に推進することが必要です。
 住み慣れた家庭や地域で、障害を持ったまま普通に生活することができるように、最大限の支援をしていくことが障害者対策を推進するに当たって最も重要なことであると考えています。

【障害児の教育】

 障害者の自立にとって重要な役割を果たす心身障害児の教育については、昭和54年の養護学校義務教育制の施行によって、一人ひとりのニーズに合ったきめ細かな教育施策を展開しています。
 具体的には、教育条件の整備・充実をはじめ教育内容及び方法の改善に努めるとともに、義務教育を修了した心身障害児の後期中等教育の充実を図るために、特殊教育諸学校高等部の学級増や高等部のみの養護学校の新設などを行っていますが、今後、一層の充実・整備を図る必要があります。
 一方、人は、学校教育とは別にさまざまな学習機会が与えられることを望んでいます。このため、地域社会の中で自からの人間性を高めることができるような社会教育的資源の充実を図る必要があります。

【障害者の雇用】

 4年度に行った県政モニターアンケート報告書によると、障害者の「完全参加と平等」を実現するために最も力を入れる必要があるとされた施策は、障害者の働く場を確保するということでした。
 障害者の雇用の推進については、障害者雇用率の達成指導、就職機会を拡大するための求人開拓の積極的な実施、新卒学生等を対象とした求人企業説明会の開催などを行っています。
 この結果、本県の一般民間企業の障害者実雇用率は、昭和63年の1.41%から平成4年には1.43%に、また実雇用者数も11,704人から14,337人にと約22%の伸びを示しています。
 しかし、いまだ法定雇用率である1.6%には達成しておらず、今後とも障害者雇用率達成に向けたさまざまな取組が必要です。

障害者対策で力を入れるべきこと

順位 障害者対策で力を入れるべきこと 回答割合
1 障害者の雇用を促進したり、授産施設等の働く場を確保する % 71.0
2 心身障害の発生予防や医療・研究体制を充実する 49.4
3 自宅では生活が難しい障害者のための福祉施設を充実する 41.3

(資料)平成4年度県政モニターアンケート結果

【施設サービス】

 施設サービスについては、2年度に県立の障害者福祉施設のあり方について「愛知県障害者福祉施設機能調査研究会議」により既存の施設の改築・整備に関する方向性が具体的に検討されました。
 また、これ以外に民間法人が整備する施設も含めると毎年1~2か所程度を着実に整備していますが、施設種別によっては、入所待機といった形で希望する施設に入所できない方がいることも事実です。
 県としては、障害者の施設入所希望が依然として高いことから、入所が必要なすべての障害者が施設に入所できるよう、積極的な整備促進が必要であると考えています。
 さらに、施設整備に当たっては、障害者の地域での自立を支える中核的なサービス拠点として位置付け、施設と地域の連携、公私の役割分担、適正配置などに配慮して、整備していく必要があります。
 また、愛知県心身障害者コロニーは、21世紀の障害者福祉を創造する拠点として再生するために、現在の機能を再編し、高度で専門的な治療や訓練、先駆的な取組を行うほか、地域療育支援部門を強化するための施設整備を進める必要があります。

【リハビリテーションの充実】

 障害者の自立を図るための方策として、障害者の残存機能の維持・向上はもとより、障害自体の軽減を図り、主体性、自立性、自由といった人間本来の生き方を尊重し、全人間的な社会への復帰をめざすリハビリテーションの充実にも力を注ぐ必要があります。
 さらには、福祉機器の開発研究についても、リハビリテーションの一貫として取り組んでいく必要があります。

【スポーツ・レクリエーション・文化活動の推進】

 スポーツ・レクリエーション及び文化に関連する諸分野の発展と、これらの諸活動を支える公共的活動の重要性はますます高まる傾向を示しており、障害者においても、これらの諸活動に参加する機会を確保することが必要です。
 今後は、障害者のスポーツ大会、レクリエーション・創作活動等を積極的に支援していくとともに、スポーツ施設等の整備に当たっては、障害者も利用できるように最大限の配慮を行うことにより、障害者の社会参加促進と自立意欲の向上を図っていく必要があります。

→用語解説

  • ノーマライゼーション
     障害者や高齢者など社会的に不利を負う人々を包含するのが通常の社会であり、そのあるがままの姿で、他の人々と同等の権利を享受できるようにするという考え方、方法で、障害者対策の根本理念です。
  • 国際障害者年
     国際連合は、1971年に「精神薄弱者の権利宣言」を、1975年には「障害者の権利宣言」を採択しましたが、この宣言に対する各国の理解不足、国際行動の必要性が指摘されたため、1976年の総会において1981年を国際障害者年とし、世界的な規模で啓蒙活動を行うことを決議しました。
  • 国連・障害者の十年
     国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」を実現する具体的な目的である障害者の福祉、自立援助、教育等の諸施策を各国が計画的に取り組むため、1982年に国際連合が決議・採択したもので、1983年から1992年の10年間が設定されました。
  • 障害者対策に関する新長期計画
     中央心身障害者対策協議会は、平成5年1月に「『国蓮・障害者の十年』以降の障害者対策の在り方について」をとりまとめ、内閣総理大臣に意見書を提出しました。
     この意見書を踏まえて、政府は、平成5年3月に「障害者対策に関する新長期計画一全員参加の社会づくりをめざして」を策定しました。
  • リハビリテーション
     心身に障害を持つ人の人間的復権を理念として、障害者の能力を最大限に発揮させ、その自立を促すために行われる専門的技術のことで、医学、工学、職業、社会といった各専門分野があり、それらの総合的推進が求められています。
  • 法定雇用率
     「障害者の雇用の促進に関する法律」では、事業主に対し、その雇用する労働者中に占める身体障害者の割合が一定率以上になるように義務づけており、民間企業1.6%、特殊法人1.9%、官公庁の非現業機関2%、現業機関1.9%となっています。

第1章 出生前及び出生直後の発生予防

1 現状と課題

現状

  •  先天異常は、遺伝的要因(遺伝子異常、染色体異常等)と環境的要因(薬剤その他化学物質、感染症、栄養障害等)によって起こるとされています。
  •  先天異常の発生を予防するために、保健所において母性保護・母子保健の知識普及や啓発活動を行うとともに、妊婦健康診査の実施、妊産婦に対する疾病予防と早期発見のための保健指導・訪問指導等の事業を実施しています。
  •  また、出生後すぐに先天性代謝異常検査及び先天性甲状腺機能低下症検査を実施し、新生児の障害の早期発見と早期治療に努めています。  
    先天性代謝異常検査及び先天性甲状腺機能低下症検査実施状況
    区分出生数先天性代謝異常検査先天性甲状腺機能低下症検査
    検査数異常有割合検査数異常有割合
    平成
    2年
    人 48,335件 46,062人 7% 0.0152件 47,268人 4% 0,0085
    3年48,64847,19070.014848,09660.0125
    4年49,20148,44380.016549,03230.0061
    (資料)県衛生部調べ
     
  •  さらに、健やかな子どもを生み育てるための母性の健康教育、思春期の男女の健全育成を図るための電話(面接)相談・集団指導等を実施しています。
  •  心身障害者コロニーに発達障害研究所を設置し、心身障害の発生原因の予防・研究に努めています。
     また、コロニー中央病院に新生児センターを設置し、極小未熟児等新生児疾患の治療に当たっています。
     なお、病院と研究所を併せ持った心身障害者コロニーは、他県には例がなく、障害の発生予防の面において全国トップレベルの総合施設です。

課題

  •  戦後第2のベビーブーム期に生まれた世代が出産年齢に差しかかることなどから障害の発生を予防し、健やかな子どもを生み育てるために母子保健の知識普及・啓発活動を引き続き推進していく必要があります。
  •  妊婦健康診査及び先天性代謝異常検査等の一層の充実を図るとともに、妊産婦に対する保健指導、訪問指導の充実を図る必要があります。
  •  心身障害者コロニー発達障害研究所における心身障害の原因探究を推進し、予防対策の樹立を図る必要があります。
     また、コロニー中央病院における周産期医療及び新生児医療の一層の充実を図る必要があります。

2 今後の目標

  •  母性保護・母子保健の知識普及・啓発活動等の一層の強化を図ります。また、思春期の男女の健全育成を図るため、学校教育との連携のもとに、思春期に特有な医学的問題や悩み等について電話(面接)相談・集団指導を充実します。
  •  公費による妊婦健康診査の内容充実を図ります。また、新生児に対する先天性代謝異常検査及び先天性甲状腺機能低下症検査について、検査内容の周知と併せて、確実な早期発見に努めるとともに、適正な指導の推進を図っていきます。
  •  妊産婦の定例健康相談及び妊娠中毒症、性病、妊婦貧血、妊産婦糖尿病等の予防、早期発見についての保健指導を今後一層充実していくとともに、母親教室の開催、保健婦による家庭訪問指導についても強化していきます。
  •  心身障害者コロニー中央病院における産婦人科の充実、NICU(新生児集中強化治療室)病棟の整備及び関係診療科目の整備を図るとともに、発達障害研究所の一層の充実を図ります。

3 主要施策・事業

施策 実施主体 目標水準 事業内容
平成4年度 平成12年度
新愛知県心身障害者コロニー中央病院 「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」を策定 改築 現在の新生児センターの機能を周産期全体に拡充するため、新生児科及び産婦人科の充実を図るとともに、NICU病棟を整備

→用語解説

  • 周産期医療
     周産期とは妊娠後期から新生児期早期までの時期を一括した概念であり、一般に妊娠28週以降から生後7日(出生当日を第1日とする)までをいいます。その時期における胎児、新生児、母体に対する医療のことをいいます。

第2章 乳幼児期の早期発見と早期療育

1 現状と課題

現状

  •  最近では出生数の低下傾向とも相まって障害を持つ子どもの数は、年々減少の傾向にあります。  
    18歳未満の障害児数の推移 (各年4月1日現在)
    区分平成
    2年
    平成
    3年
    平成
    4年
    身体障害者手帳交付者数視覚障害
    289

    256

    250
    聴覚平衡障害1,079998965
    音声言語障害333027
    肢体不自由3,6003,3633,132
    内部機能障害1,7121,6581,558
    6,7136,3055,932
    伸び率100.093.988.4
    療育手帳(精神薄弱)
    交付者数

    6,910

    6,802

    6,680
     伸び率100.098.496.7
    (資料)県民生部調べ、名古屋市を含む。
     
  •  子どもが成長するにつれて、知的な発達が遅れていたり、身体に何らかの障害があることが発見される場合があります。また、不慮の事故も発生しやすく、交通事故や火傷などによる障害も発生しやすい時期にあります。障害は、できるだけ早い時期に、その障害に対して適切な対応をすることによって、障害の程度を軽くしたり、訓練によっては運動機能の回復、社会性の獲得等が可能です。
  •  このため、できるかぎり早期に発見し、保護者の社会的・心理的な負担軽減を図りつつ、保健と福祉の両面から継続的な相談・指導を実施するため、保健所及び児童相談所等において、1歳6か月児健康診査や3歳児健康診査をはじめ、心臓疾患児健康診査、未熟児養育訪問、新生児保健指導、乳幼児保健指導を行っています。  
    1歳6か月児健康診査及び3歳児健康診査実施状況
    区分1歳6か月児健康診査3歳児健康診査
    被指導
    実人員
    健康管理
    注意有
    割合被指導
    実人員
    身体面
    注意有
    割合精神面
    注意有
    割合
    平成
    2年
    人 54,788人 10,699% 19.5人 44,703人 4,293% 9.6人 1,941% 4.3
    3年56,00712,08421.644,3445,02411.32,1374.8
    4年55,06211,84921.544,0906,99815.92,1835.0
    (資料)県衛生部調べ
    注)1歳6か月児健康診査は、1~2歳の幼児の健康診査を含む。
     
  •  障害による負担の軽減を図るための早期療育について、児童相談所、保健所、心身障害児施設、医療機関等との連携により、心身障害児とその保護者に対する療育相談、巡回療育指導を実施しています。
     4年度には380回実施し、7,407件の指導を行いました。
  •  心身障害者コロニー短期母子療育施設「緑の家」において、母子入所による早期療育を行っています。
  •  地域における肢体不自由児・精神薄弱児・重症心身障害児の療育を実施する療育拠点の整備に努めています。  
    療育拠点の整備状況(平成4年4月1日現在)
    施設種別施設数入所定員入所者数割合備考
    肢体不自由児通園施設か所 3人 100人 89% 89.0-
    肢体不自由児施設229012041.4-
    精神薄弱児通園施設1135026575.7-
    精神薄弱児施設644039389.3-
    重症心身障害児施設118017396.1-
     〃 (国立病院分)316014188.1-
    盲ろうあ児施設1151280.0-
    (資料)県民生部調べ
     
  •  身体障害児に対して早期に適正な治療を行うための育成医療の給付、重症の未熟児に対する養育医療の給付、児童の健全な発育を阻害する慢性の疾患の治療を促進するための小児慢性特定疾患に対する医療給付などを実施しています。
  •  保育に欠ける中軽度の心身障害を有する幼児を保育所に入所させ、一般の幼児とともに集団保育することにより、心身の健全な成長発達を促進する障害児保育事業を実施しています。

課題

  •  障害の早期発見のため、各種健康診査及び保健指導の充実が必要です。
  •  早期発見から引き続く早期療育体制の強化を図り、それらをシステム化していく必要があります。
  •  肢体不自由児に対する療育の中核的施設である第一青い鳥学園や第二青い鳥学園については、肢体不自由児の減少に伴う施設定員の見直しを図るとともに、重症心身障害児に対する早期療育のための診療体制の充実と通園による地域療育システムの強化を図る必要があります。
  •  療育拠点として重症心身障害児施設などの整備を図る必要があります。
     また、自立に向けた訓練が必要な障害児やその家族のために、心身障害児施設の持つ専門性を生かしていく方策等についても検討する必要があります。
  •  障害児保育事業は、中軽度の障害児療育の観点から、また、幼児の段階から障害をもたない子どもたちの障害理解のために重要な事業であることから、今後一層の充実が必要です。

2 今後の目標

  •  市町村、保健所、児童相談所、医療機関等の密接な連携により、乳幼児に対する各種の健康診査及び精神発達精密検診の一層の充実を図りす。
  •  心身障害者コロニー短期母子療育施設「緑の家」における母子入所による早期療育の充実を図ります。
  •  心身障害児の巡回療育指導について、効率的・効果的な指導方法を検討するとともに、地域において肢体不自由児や精神薄弱児の早期療育を実施する通園施設の充実を図ります。
  •  肢体不自由児に対する療育の中核的施設である第一青い鳥学園、第二青い鳥学園の入所定員の見直し、改築を行うとともに、地域療育拠点としての機能の充実を図ります。
  •  重症心身障害児を入所させて訓練を行う重症心身障害児施設を整備します。
  •  心身障害児施設において、障害児が将来自立して生活できるようにするための適切な訓練・指導が行えるよう支援していきます。
  •  市町村とも連携を図りながら、障害児保育事業の一層の充実に努めます。

3 主要施策・事業

施策 実施主体 目標水準 事業内容
平成4年度 平成12年度
第一・第二青い鳥学園 - 改築 肢体不自由児施設の改築・整備とあわせ、時代のニーズに合った機能の見直しや新しいニーズに対応できるよう、地域療育機能の充実を図る

→用語解説

  • 重症心身障害児
     重度の精神薄弱及び重度の肢体不自由が重複している児童をいいます。
     児童福祉法に基づき設置される施設には、こうした児童を入所させて、保護するとともに、治療及び日常生活の指導を行うことを目的とした「重症心身障害児施設」があります。
  • 地域療育システム
     地域における社会的な資源である児童相談所、更生相談所、保健所、医療機関等が連携して障害を持つ児童または将来的に障害を持つ恐れのある児童を早期に発見し、早期に適切な治療上の指導をし、その障害の治癒または軽減を図ることを目的として、必要な相談・指導などを一貫して行える体制をいいます。
  • 小児慢性特定疾患
     小児の慢性疾患のうち、治療期間が長く、医療費の負担も高額となる悪性新生物、慢性腎疾患、ぜんそく、慢性心疾患、内分泌疾患、膠原病、糖尿病、先天性代謝異常、血友病等血液疾患及び神経・筋疾患の10疾患については、「小児慢性特定疾患」として、18歳未満(原則)の医療費が公費で支給されることとなっています。

第3章 学齢障害児の育成

(1) 学校教育

1 現状と課題

現状

  •  学齢期における障害児対策の中核は、学校教育です。昭和54年に養護学校教育義務制が施行されて以来、平成4年5月1日現在、盲学校2校、聾学校5校、養護学校20校、小・中学校特殊学級987学級が設置されています。  
    盲・聾・養護学校在学者数の推移(各年5月1日現在)
    区分平成2年平成3年平成4年
    盲学校
    247

    214

    201
    聾学校528521532
    養護学校4,3424,3124,278
    5,1175,0475,011
     
    小・中学校特殊学級在学者の推移(各年5月1日現在)
    区分平成2年平成3年平成4年
    小学校
    2,391

    2,342

    2,288
    中学校1,5831,5211,467
    3,9743,8633,755
    (資料)いずれも、県教育委員会調べ、名古屋市を含む。
     
  •  心身障害児の適正な就学を図り、一人ひとりの実態に応じた適切な教育を行うために、全市町村に就学指導委員会を設置し、これを補完・援助する地区就学指導委員会、県就学指導委員会を設置しています。
  •  就学指導担当者の資質の向上のために、就学指導担当者講習会の開催や「心身障害児就学指導の手引」の作成配付等を行うとともに、心身障害児就学指導員を4人配置し、円滑な就学指導の推進に努めています。
  •  地区(巡回)就学相談を実施するとともに、心身障害児の保護者の特殊教育に対する理解と認識を深めるため、新たに入学する心身障害児とその保護者の体験入学を養護学校で実施しています。
  •  心身障害児の後期中等教育の充実を図るため、進学希望状況を勘案しながら、養護学校高等部の学級増を図るとともに、4年4月には高等養護学校を豊田市内に新設しました。
  •  教育条件の整備のために、特殊教育諸学校約学級編制基準の改善、スクールバスの増車、特殊教育設備等の充実を図るとともに、障害の種類に応じた小・中学校特殊学級の設置促進を図っています。
  •  OA機器(ワープロ、パソコン)の導入、職場(現場)実習の拡充など職業教育の充実を図るとともに、進路指導の充実に努めています。  
    盲・聾・養護学校及び中学校特殊学級卒業者の進路状況(平成4年3月卒業者)
    区分卒業者数高等学校等進学大学短大等進学教育訓練機関入学就職福祉施設・在宅等
    中学部盲学校
    6

    6

    -

    -

    -

    -
    聾学校2929----
    精薄養護学校264199-1262
    肢体養護学校9483---11
    病弱養護学校2419-113
    417336-2376
    中学校特殊学級539232-9417934
    合計956568-96182110
    高等部本科盲学校25-10276
    聾学校47-311123
    精薄養護391--1178212
    肢体養護118--82684
    病弱養護19-31015
    600-4422224310
    専攻科盲学校24-1-203
    聾学校23---221
    47-1-424
    (資料)県教育委員会調べ、名古屋市を含む。
     
  •  学校週5日制の実施により、休業日となった土曜日に家庭での対応が困難な幼児、児童生徒に対しては、養護学校に指導員を配置し、従来と変わらない対応に努めています。
  •  心身障害児の高等学校における就学支援のために、月額9,700円の心身障害高校生奨学金や17,000円の入学準備金の支給をしています。

課題

  •  一人ひとりの障害の状態に応じた適切な教育を行うため就学指導体制の充実が望まれています。
  •  心身障害児の障害の種類に応じた特殊学級の設置促進及び養護学校の適正配置及び通学時間の短縮化等について検討する必要があります。
  •  障害の重度・重複化している心身障害児の進学希望に応えるため特殊教育諸学校高等部への重複障害学級の増設など、後期中等教育の充実を図る必要があります。
     また、0A機器の導入など、一層の職業教育の充実が望まれています。
  •  障害の比較的軽い精神薄弱児の進学希望が高まっているため、高等部のみの精神薄弱養護学校の増設が望まれています。
  •  学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する学習障害児の教育のあり方についても検討する必要があります。
  •  高校や各種学校に就学する心身障害者に対する支援施策の充実を図る必要があります。

2 今後の目標

  •  就学相談機能の充実を図り、早期からの教育相談が各地域で実施できるように就学指導体制の充実・強化に努めます。
  •  児童・生徒の心身の障害の種類に応じた特殊学級の設置促進に努めます。
     また、特殊教育諸学校、特に養護学校の適正規模の確保、通学時間の短縮化など、教育条件の一層の整備・充実に努めます。
     さらに、小・中学校特殊学級及び特殊教育諸学校の学級編成及び定数改善については、国の状況を踏まえて対応していきます。
  •  中学校特殊学級を卒業した障害の比較的軽い精神薄弱児の進学希望が高まっているため、高等部のみの精神薄弱養護学校を増設していきます。
  •  重度・重複化している心身障害児のために特殊教育諸学校の高等部に重複障害学級を設置して後期中等教育の充実に努めます。
  •  職場(現場)実習の拡充など、職業教育の充実を図るとともに、関係機関との連携を密にし、心身障害児の進路指導の一層の充実を図ります。
  •  小・中学校の通常の学級において指導を受けている学習障害及び学習障害に類似した学習上の困難を示す児童生徒や、軽度の心身障害児に対する教育のあり方について、特殊学級への通級による指導や、特別な場を設けた指導など、実践的な研究に努めます。
  •  心身に障害を持った児童に支給する高校生奨学金・入学準備金の一層の充実を図ります。

3 主要施策・事業

施策 実施主体 目標水準 事業内容
平成4年度 平成12年度
養護学校 国・県・市 20校 適正配置について総合的に検討 養護学校の適正規模の確保、通学時間の短縮化など教育条件を一層整備・充実
高等養護学校 1校 2校 障害が比較的軽度な精神薄弱児を対象に高等部のみの養護学校を尾張部に設置
重複障害学級 県・市 - 設置 中学部重複障害学級在籍生徒の高等部への進学希望者の増加に対応するため、高等部に設置

→用語解説

  • 学習障害
     現在、統一された定義はありませんが、一般的に「知的に大きな遅れがなく、学力習得や行動面にいくつかの発達的な特有の問題症状が見られ、その原因は、環境的な要因ではなく、子供自身の脳の働きにある」とされています。
  • 重複障害学級
     心身の障害が二つ以上重なり合っている児童生徒(目が見えなくて、精神発達に遅れがある子や精神発達に遅れがあって、姿勢の保持や運動・動作が不自由な状態にある子など)を対象とした学級をいいます。

(2) 生活の支援

1 現状と課題

現状

  •  職業に必要な技能・技術を身につけるための各種学校等への就学を支援するために、月額9,700円の技能習得奨励金を支給しています。
  •  心身障害児の生活を支援するために、特別児童扶養手当の支給、障害児福祉手当の支給を行っています。
     なお、障害児福祉手当については、県独自の制度により、手当額の加算を行っています。  
    心身障害児に対する手当(平成4年度)
    区分手当月額
    国手当県手当
    特別児童
    扶養手当
    1級該当児円 46,390円 -円 46,390
    2級該当児30,930-30,930
    障害児
    福祉手当
    A種13,1807,25020,430
    B種13,1801,25014,430
    C種13,180-13,180
    (資料)県民生部調べ、名古屋市を含む。
     
  •  日常生活における障害の負担軽減を図るため、義手、義足などの補装具の給付や特殊寝台などの日常生活用具を給付しています。

課題

  •  特別児童扶養手当、障害児福祉手当の充実を図り、障害児を持つ家庭に対する経済的支援を強化する必要があります。
  •  日常生活の行動能力を向上させるため、日常生活用具や補装具などの福祉機器について、給付・貸与種目の拡大を図る必要があります。

2 今後の目標

  •  特別児童扶養手当、障害児福祉手当の充実を図り、障害児を持つ家庭に対する経済的支援の強化を図ります。
  •  日常生活の行動能力を向上させ、障害の負担を軽減する日常生活用具や補装具などの福祉機器について、障害の多様性に対応した機器の開発と給付・貸与種目の拡大を図ります。

第4章 自立生活への支腰

(1) 地域での自立

1 現状と課題

現状

  •  成人期は、障害者にとって、介護者として、あるいは保護者として、障害者個人の生活に深い係わりを持ってきた家族と新しい関係を築いていく大切な時期であり、また、就職、結婚、地域生活など他の人との係わりの中で障害者が自己実現を図っていく重要な時期でもあります。
  •  県における身体障害者は、平成4年4月1日現在142,331人で漸増傾向にあり、特に内部機能障害(心臓や腎臓機能障害等)については、この3年間に17.9%と著しい増加率を示しています。  
    18歳以上の身体障害者手帳の交付者数の推移(各年4月1日現在)
    区分平成2年平成3年平成4年
    視覚障害
    14,620

    14,589

    14,483
    聴覚平衡障害14,74114,62614,643
    音声言語障害1,5521,5991,637
    肢体不自由80,96782,34584,216
    内部機能害23,19725,08327,352
    135,077138,242142,331
    伸び率100.0102.3105.4
    (資料)県民生部調べ、名古屋市を含む。
     
  •  また、精神薄弱者は、平成4年4月1日現在15,988人、精神障害者は、平成4年12月末現在で入院患者が13,816人、同年12月1か月間の通院患者が37,149人、難病などの特定疾患患者は4年度実績で12,778人です。
  •  障害者が住み慣れた地域で生活することは、障害者自身の自立の面からも、社会参加の面からも大変重要なことです。
  •  障害者にとって、地域で自立して生活していくためには、何よりもまず地域を自由に移動できることが必要なことから、タクシー等の交通料金補助制度をはじめ、福祉バスの設置、自動車運転免許取得推進事業等を実施しています。
     タクシー等の交通料金補助制度は、4年度には66の市町村で実施していますが、市役所、病院、図書館など障害者が日常よく利用する地域へリフト付きの中型のバスを定期的に運行させる福祉バス運行事業も開始しています。  
    18歳以上療育手帳(精神薄弱者)交付者数の推移(各年4月1日現在)
    区分平成2年平成3年平成4年
    重度
    6,558

    6,935

    7,379
    中軽度7,6108,1308,609
    14,16815,06515,988
    伸び率100.0106.3112.8
    (資料)県民生部調べ、名古屋市を含む。
       
    精神障害者数及び特定疾患患者に対する医療給付の状況の推移
    区分平成2年平成3年平成4年
    入院患者数(各年末)
    13,743

    13,891

    13,816
    通院患者数(12月分)35,61237,84737,149
    特定疾患(毎年度)11,34012,14712,778
    (資料)県衛生部調べ、名古屋市を含む。
     
  •  障害者やその家族が、地域で自立した生活を送るための相談や手帳に関する判定を身近な所で受けることができるよう各地城を巡回して実施しています。
     また、社会福祉協議会において、福祉情報システムの提供を行っています。
  •  障害者の地域での自立生活を支援するために家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業、短期介護(ショートステイ)事業、デイサービス事業の在宅三本柱など各種在宅福祉サービスの充実を図っています。
     また、身体障害者福祉ホームなどの自立を支援する施設整備も行っています。  
    自立支援施設の整備状況(平成4年4月1日現在)
    施設種別施設数定員現員割合備考
    身体障害者福祉ホームか所 1人 25人 25%
    100.0
    -
    精神薄弱者通勤寮12020100.0-
    精神薄弱者福祉ホーム110440.0-
    グループホーム7302996.7-
    (資料)県民生部調べ
     
  •  経済的支援策として、国の障害基礎年金及び県独自の医療費に対する助成制度である障害者医療費支給制度を中心として、特別障害者手当、在宅重度障害者手当等を支給しています。 医療費の一部負担金に対して助成する障害者医療費支給制度は、すべての都道府県で実施されていますが、本県は、精神薄弱者を中度まで対象とするなど、制度の対象となる障害者の範囲が広く、所得制限も設けていないことから、制度としては全国的にみてトップレベルです。
     4年度では、約35億円の県費補助を行っています。
     また、県独自の制度である在宅重度障害者手当は、月額15,600円と東京都に次いで2番目に手当額が高く、所得制限も設けていません。
     4年度では約40億円の支給を行っています。  
    障害者に対する手当(平成4年度)
    区分手当月額備考
    国手当県手当
    特別障害者手当A種
    24,230

    7,250

    31,480
    -
    B種24,2301,25025,480
    C種24,230-24,230
    在宅重度障害者手当1種-15,60015,600特別障害者手当の受給対象とならない者に対して支給
    2種-6,8006,800
    (資料)県民生部調べ、名古屋市を含む。
     
  •  また、親なきあとの経済的な支援策として、保護者が死亡または重度障害となった場合に障害者に年金を支給する心身障害者扶養共済制度を実施しています。
     4年4月1日現在、3,518人が加入しています。
  •  障害の程度、介護者の有無等により、地域で自立して生活をしていくことがどうしても困難な障害者もいます。
     それらの障害者が入所し、生活する場として需要の高い身体障害者療護施設や精神薄弱者更生施設の整備を図っています。
     4年4月1日現在、身体障害者療護施設は6か所、定員380人、精神薄弱者更生施設は16か所、1,200人の整備がされていますが、全国的にみると障害者が入所できる割合はかなり低い状況にあります。
  •  県の心身障害者福祉の中核的施設である愛知県心身障害者コロニーは、心身障害児・者の総合福祉センターとして高い専門性を発揮しつつ、保護・育成・医療・教育・職業訓練・授産・研究等の各部門において実績を上げてきました。
     3年度には「心身障害者コロニー施設機能調査研究会議」を発足させ、コロニーが長年培った知識、技術、実績等を基礎に、既存機能の見直しと、将来へ向けての機能のあり方等将来構想憩の策定について調査研究を行い、4年度には「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」がまとめられました。
  •  県立の重度身体障害者センター希全寮、身体障害者更生指導所及び重度身体障害者授産所の3施設のあり方や整備方向を調査し、基本設計を行っています。
  •  脳血管疾患の後遺症や交通事故等による後天的障害は、その発生後できる限り早い時期にリハビリテーションを実施することによって障害程度の軽減を図り、自立できるようにすることが必要です。
     県下のリハビリテーション施設の中核的役割を果たすリハビリテーションセンターの整備については、3年度に「リハビリテーションセンター調査研究会議」を設置し、その実現に向けた調査研究を行った結果、4年度末に整備の基本的な考え方がまとめられました。
  •  障害の負担軽減を図り、障害者の家庭等における日常生活を援助するため、補装具の貸与・給付や日常生活用具の給付、人工透析等の更生医療の給付等の事業を実施しています。
  •  障害者の社会参加を促進するためには、スポーツ、レクリエーション、文化活動を通じて交流を深めるとともに、心身の機能訓練、生きがいの創造を行うことが効果的であるといわれています。
     このため、障害者自らがスポーツ活動に参加できるような条件整備を一層推進するため、4年4月には「愛知県障害者スポーツ協会」を設立し、身体障害者スポーツ大会や車椅子バスケットボール競技大会など各種スポーツ大会を開催するとともに、精神薄弱者のふれあいスポーツ大会を実施しています。
  •  情報障害者といわれている視覚・聴覚障害者等に対しては、「広報あいち」の点字版、声の「広報あいち」の発行、テレビ番組「レポートあいち」の手話解説及び点字版の「福祉ガイドブック」作成、点字図書や字幕入りビデオカセットの貸出事業などによる情報提供に努めています。
  •  精神障害の予防や早期治療の促進など精神保健に関する諸活動の推進は、その重要性を増しており、精神障害者に対する医療保護として、精神保健措置入院医療費、通院医療費の公費負担制度を実施しています。
     さらに、措置入院医療費の自己負担金の援護や措置患者に対する見舞品を支給しています。
  •  昭和62年に精神障害者の社会復帰の促進を一つの柱とした精神衛生法の改正が行われ、法津名も精神保健法と改められましたが、精神障害者の社会復帰対策は緊急の問題であり、在宅精神障害者の社会復帰の促進と人権擁護を図るために保健所において社会復帰相談指導事業を実施しています。
     また、精神障害者の社会復帰施設である精神科デイケア施設(13か所)や精神障害者小規模保護作業所(14か所)の整備を推進しています。
  •  難病患者に対する施策として、原因不明、治療方法の未確立な難病に特定疾患医療給付事業(36疾患)を実施し、ねたきり等により受療が困難な在宅の難病患者に訪問診療を県医師会に委託して実施するとともに、難病患者及び家族の抱える不安と問題を解消するために、県医師会が行う難病相談事業に助成を行っています。

課題

  •  車いす利用者等の移動を容易にするための移動・交通対策の充実に努める必要があります。
  •  在宅の障害者が地域で自立した生活を送るために不可欠である相談・指導の充実を図る必要があります。また、障害者が地域で生活するために不可欠な情報提供に努める必要があります。
  •  障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう自立生活施設(グループホーム、生活ホーム)の整備を図る必要があります。
  •  家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業、短期介護(ショートステイ)事業、デイサービス事業の在宅三本柱について充実に努めるとともに、それらの事業を行う場を整備する必要があります。
  •  障害基礎年金や障害者医療費支給制度、特別障害者手当、在宅重度障害者手当支給制度など、障害者に対する経済的支援を充実する必要があります。
  •  障害者の重度化やその介護者の高齢化等に伴い、重度障害者や重複障害者の入所する施設を計画的に整備する必要があります。
  •  心身障害者コロニーについては、時代のニーズに合った新たな機能を持つ施設として整備する必要があります。
  •  脳血管疾患等を原因とする後天的障害者の障害を軽減し、日常生活や社会に復帰できるようにするリハビリテーションセンターの設置が必要です。
  •  日常生活の行動能力を向上させ、障害の負担を軽減する日常生活用具や補装具などの福祉機器の給付・貸与種目の拡大を図る必要があります。
     また、資源の再利用の観点からも福祉機器のリサイクルを推進することが望まれます。
  •  障害者の社会参加と障害者スポーツの振興を図るための障害者のスポーツ・文化活動の振興とそれらの場の整備についても検討する必要があります。
  •  視覚・聴覚障害者に対する情報提供については、内容の充実を図るとともに、場の整備を図る必要があります。
  •  精神障害者の社会復帰を促進する等精神障害者に対する施策の充実を図る必要があります。
  •  神経的症状を持つ青少年の増加に対応するため、県立城山病院の整備を図る必要があります。
  •  難病患者に対する在宅療養対策の充実を図る必要があります。

2 今後の目標

  •  障害者が、地域で自立して生活していくための行動を確保するため、障害者が自由に移動できるようタクシー等利用料金補助制度を全県的に利用できるような制度への改善をはじめ、福祉バスの設置等の充実を図ります。
  •  在宅の障害者が地域で充実した生活を送るために、必要に応じて専門的相談・指導が受けられるように地域にある施設等を拠点とした巡回相談事業を実施します。
     さらに、福祉情報システム全体の活性化を図るとともに、障害者の生活情報を入力し、適切な情報提供に努めます。
  •  障害者の地域での自立生活を支援するための訓練の場として、通所更生施設の整備を図ります。
     また、実際に自立して生活する場として、「グループホーム」等を活用し、自立生活支援施設の整備を推進します。
  •  家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業、短期介護(ショートステイ)事業、デイサービス事業を柱とする在宅福祉サービスを障害者の自立を支援するサービスとして一層の充実に努めます。
     また、市町村におけるサービス提供の拠点である福祉センター等の整備に努めます。
  •  障害児・者の保護者が疾病などのために障害者を介護する事が困難な場合や日頃の介護の疲れをいやすため、障害児・者を一定期間、施設に預かる心身障害児・者短期介護専用居室を整備します。
  •  経済的支援策としては、障害基礎年金、障害者医療費支給制度、特別障害者手当、在宅重度障害者手当支給制度の維持・充実を図ります。
  •  また、親なきあとの年金制度である心身障害者扶養共済制度についても、加入促進とその充実を図ります。
  •  障害の重度化や介護者の高齢化等により地域や家庭で生活が困難になった障害者のために、広域市町村圏にバランスよく身体障害者療護施設、精神薄弱者更生施設を整備するとともに、重度重複障害者のための施設の整備についても推進していきます。
  •  「心身障害者コロニー」については、施設機能を専門化・高度化し、施設の再編成を行うとともに、新しい障害者福祉を創造する拠点として、4年度にまとめられた「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」に基づき整備を図ります。
  •  東三河の身体障害者更生援護施設等(希全寮、更生指導所、重度授産所)の改築・整備に当たり、医学的なリハビリテーションを終えた身体障害者が社会に復帰するために必要な生活訓練や職業訓練を全か所で実施できる総合的な施設(東三河「虹の郷」(仮称))を整備します。
  •  脳血管疾患等の後遺症による障害者が社会に復帰できるように、3・4年度に実施された「愛知県リハビリテーションセンター調査研究会議」の結果を踏まえて県内のリハビリテーションの中核施設となる「リハビリテーションセンター」を整備します。
  •  日常の生活能力を向上させるため、障害の負担を軽減する目常生活用具や補装具などの福祉機器について、障害の多様性に対応した開発と給付・貸与種目の拡大を図ります。
     また、資源の再利用の観点から福祉機器のリサイクル事業を実施します。
  •  障害者自身の身体機能の維持増進、自立意欲の向上及び活動範囲の拡大に大きな効果がある障害者スポーツを振興するため、障害者スポーツ協会を財団法人化して充実を図るとともに、全国身体障害者スポーツ大会、全国精神薄弱者スポーツ大会を開催・誘致します。
     また、障害者スポーツの場の整備についても、障害者スポーツを振興するため積極的に取り組んでいきます。
  •  障害者の文化・レクリエーションの活動拠点として、また障害者の一層の連携と社会参加活動を振興する拠点として、「障害者総合福祉センター」(仮称)を整備します。
  •  視覚障害者、聴覚障害者等の円滑な意思疎通、社会意識等の共通基盤の確保のため、「情報提供施設」の整備を図るとともに、文字放送等情報提供体制の一層の充実、「広報あいち」の充実、テレビ番組「レポートあいち」の手話解説等の拡充、点字図書や字幕入りビデオカセットの貸出事業などによる情報提供の推進に努めます。
  •  精神障害者に対しては、医療保護対策の一層の充実に努めるとともに、社会的偏見解消のための啓発活動、精神保健相談事業による支援等、保健所における地域精神保健活動の強化を図ります。
  •  回復途上にある精神障害者の社会復帰の促進に向けて、精神障害者小規模保護作業所や精神科デイケア施設の一層の整備を図ります。
     また、精神障害者援護寮、福祉ホーム、授産施設等の法定の社会復帰施設や、精神障害者が共同で生活するグループホーム等の施設についても整備促進を図るなど、社会復帰促進策を進めていきます。
  •  県内精神科基幹病院として、県立城山病院を整備します。
  •  難病患者に対しては、保健・医療・福祉の関係者の連携による訪問診療事業を実施し、難病患者の在宅療養の充実に努めます。

3 主要施策・事業

施策 実施主体 目標水準 事業内容
平成4年度 平成12年度
タクシー等交通料金補助制度 市町村 66市町村 全市町村 障害者の社会参加促進のため、制度の改善とあわせ、全市町村での実施を図る
自立生活支援施設 法人市町村 30人 170人 「グループホーム」等を活用し自立生活支援施設の整備を推進
地域生活援助巡回相談・指導事業 7か所 充実 更生相談所に「巡回相談班」を設置し、地域にある精神薄弱者援護施設等を拠点として実施
生活情報提供システムの構築 県社会福祉協議会 - 生活情報の提供システムの開発と情報の入力・充実 福祉情報システム全体の活性化を図るとともに、障害者の生活情報を入力し、適切な情報提供を推進
家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業 市町村 67人 200人 日常生活における身辺介護や家事援助を実施
短期介護専用居室 法人 53床 200床 施設における短期介護に必要な専用居室を整備
デイサービス事業 市町村 12市 全市町村 障害者の自立の促進、生活の改善、身体機能の維持向上等を図る
身体障害者療護施設
法人
380人 780人 常時介護が必要な者を入所させ治療・養護を行う施設の整備
精神薄弱者更生施設 県・市
法人
1,200人 2,090人 精神薄弱者を入所させ、更生に必要な指導及び訓練を行う施設の整備
新愛知県心身障害者コロニー 「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」を策定 全面改築(現在地に建替) 県の障害者福祉を創造する拠点として新心身障害者コロニーを整備
県立身体障害者療護施設等(東三河「虹の郷」(仮称))
県施設 基本設計
国施設〔職業能力開発施設〕-
8年度開所
改築
身体障害者の生活訓練や職業訓練を総合的に行う施設の整備
  • 療護施設
  • 重度更生援護施設
  • 重度授産施設
  • 職業能力開発施設
リハビリテーションセンター 整備調査 開所 県内のリハビリテーションの中核的施設として県立リハビリテーションセンターを整備
福祉機器リサイクル事業 法人 - 全市町村 ギャッジベッド、車椅子等福祉機器を再利用できるようリサイクル事業を実施
全国身体障害者スポーツ大会の開催 国・県等 開催準備 平成6年開催 平成6年の第30回大会を開催
全国精神薄弱者スポーツ大会の誘致 国・県等 - 誘致 全国規模の精神薄弱者のスポーツ大会を平成9年度開催を目途に誘致
障害者スポーツの振興 - 充実 障害者スポーツ協会の財団法人化、各種スポーツ大会の開催をはじめ、既存の施設を含め、障害者に配慮した設備を持つスポーツの場の整備も検討
障害者総合福祉センター(仮称) - 開設 障害者の文化・レクリエーション等の活動拠点として、障害者の連携と連絡、企画、社会参加活動を推進するため整備
聴覚障害者情報提供施設 民間 - 開設 聴覚障害者のための情報提供拠点の整備に対して助成
精神障害者小規模保護作業所 民間 14か所 43か所 精神障害者が社会復帰に向けて作業訓練を行う小規模保護作業所を整備する
このほか、精神障害者援護寮等の法定社会復帰施設やグループホーム等の整備を図る

→用語解説

  • 重複障害者
     障害者は単一の障害のみではなく他の障害を重複している場合があります。例えば、上肢と下肢のような同類の重複に止まらず、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、運動機能障害、内部障害、精神薄弱、精神障害などの分類から2つ以上の障害を持っている場合もあり、こうした障害者を重複障害者といいます。

(2) 雇用・就労の促進

1 現状と課題

現状

  •  障害者の職業的自立を促進するための方策として、雇用対策の充実強化、職業訓練の実施、定着対策の推進を図ってきました。また、昭和63年からは障害者の雇用の促進について、法の対象を身体障害者から障害者全般に拡大された「障害者の雇用の促進等に関する法律」が施行され、雇用の場の確保を図ってきました。
     一般民間企業における障害者の実雇用率は、昭和57年は1.31%でしたが平成4年には1.43%に改善されました。
     法定雇用率1.6%に達していない未達成企業に対し、法の厳正な適用、各種助成措置の活用等を中心に強力な啓発と指導を行っています。  
    企業の規模別の障害者雇用状況(平成4年6月1日現在)
    事項 規模別企業数常用
    労働者数
    障害者数構成比実雇用率雇用率達成企業
    63~99人807
    63,289

    1,400
    %
    9.8
    %
    2.21
    %
    61.0
    100~299人1,441218,2433,54424.71.6257.9
    300~499人28796,2351,1788.21.2242.2
    500~999人216130,6881,76212.31.3533.8
    1,000人以上157494,5186,45345.01.3020.4
    合計2,9081,002,97314,337100.01.4353.4
    (資料)県労働部調べ、名古屋市を含む。
       
    障害者実雇用率の推移(各年6月1日現在)
    区分平成2平成3平成4
    愛知県全体% 1.42% 1.42% 1.43
    規模別63~99人2.202.212.21
    100~299人1.651.681.62
    300~499人1.171.211.22
    500~999人1.271.311.35
    1,000人以上1.301.261.30
    (資料)県労働部調べ、名古屋市を含む。
     
  •  障害者の障害の程度や企業の雇用ニーズに対応するような人材の養成を行うため、障害者職業能力開発施設の整備を図っています。
  •  一般雇用が困難な障害者のために、授産施設等の福祉的就労施設の整備を図っています。
     また、県においては58年に全国で最初に授産製品の受注、販売網の確保・開拓を図るため「愛知県授産事業振興センター」を設置し、授産事業の振興に努めています。
     さらに、授産製品を常設に展示・即売するための常設店についても、他県に先駆けて平成2年に設置し、その運営費について毎年助成を行っています。  
    障害者職業能力開発施設及び福祉的就労施設の整備状況(平成4年4月4日現在)
    施設種別施設数定員現員割合
    職業能力開発施設障害者職業能力開発施設か所 2人 270人 184% 68.1
    福祉的就労施設身体障害者福祉工場215014194.0
    身体障害者授産施設620518891.7
    精神薄弱者授産施設271,1151,05094.2
    (資料)県労働部、県民生部調べ

課題

  •  障害者の雇用促進を図り、法定雇用率を達成する必要があります。また、一般企業に就職した障害者の定着を図る施策の強化に努める必要があります。
  •  時代のニーズにあった職業訓練が行えるように、障害者職業能力開発施設を充実強化する必要があります。
  •  一般企業への就労が困難な者に対して、授産施設等の福祉的就労施設の整備を行うとともに、「授産事業振興センター」の法人化による社会的信用の確保や授産施設の受注の安定的確保などの授産事業の振興を図る必要があります。

2 今後の目標

  •  障害者の法定雇用率の達成に努め、法定雇用率未達成の企業に対しては一層の啓発と指導を強化します。
  •  第三セクター方式等による重度障害者多数雇用企業の設置・育成を図ります。
  •  求人開拓、求人企業説明会等の雇用促進策の充実に努めるとともに、障害者雇用促進連絡会議の活用を図り、障害者の雇用促進に努めます。
  •  障害者の訓練・定着対策として、定着雇用奨励事業の一層の充実に努めます。
  •  障害者の職業能力開発を推進するため、職業訓練生の障害の重度化や企業の雇用ニーズに対応する人材の養成を行う国の「障害者職業能力開発施設」の整備促進を図ります。
  •  一般企業への就労が困難な障害者の地域における自立を援助するために、授産施設等の福祉的就労施設の整備を図るとともに、授産事業振興センターの法人化の指導を始め、授産事業の振興のための支援を行います。

3 主要施策・事業

施策 実施主体 目標水準 事業内容
平成4年度 平成12年度
障害者雇用の促進 障害者実雇用率 1.43% 法定雇用率の達成 法定雇用率1.6%の達成に向けて、求人開拓、求人企業説明会、雇用事例集の作成等を行うことにより啓発・指導を強化

→用語解説

  • 重度障害者多数雇用企業(第3セクター方式)
     重度障害者を多数(概ね10人以上)常用労働者として雇い入れるか現に雇用している企業をいい、地方公共団体と民間企業との共同出資(いわゆる第3セクター方式)により設立した重度障害者雇用企業も、全国では25企業設立されています。

主題:
あいち8か年福祉戦略 No.3 75頁~100頁
-愛フルプラン-

発行者:
愛知県民生部社会課

発行年月:
1994年7月

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