あいち8か年福祉戦略
No.1
愛フルプラン
平成5年7月
愛知県
項目 | 内容 |
---|---|
立案時期 | 平成5年7月 |
計画期間 | 平成5年度~12年度(8年間) |
はじめに
21世紀を迎えるまでにあと8年足らずであります。
これまで、高度成長期の若年層の流入などにより比較的若い県でありました愛知県も、21世紀には、高齢化社会・少子化社会が確実に到来します。
本県は、これまで活発な産業活動に支えられ、豊かで魅力ある地域づくりを進めてまいりましたが、21世紀の愛知は、現在よりもより豊かで、やさしさや人間性にあふれた社会でなければなりません。
このため、20世紀に残された8か年の間に実施すべき福祉施策の大筋を明らかにし、計画的な福祉行政を推進するため、総合福祉計画の策定を平成4年4月に愛知県社会福祉審議会にお願いしました。審議会では、その策定に当たり、新たに「あいち8か年福祉戦略策定会議」を設置され、各界各層からご参画をいただくとともに、関係諸団体や県民の方々の幅広い意見も取り入れながら平成5年7月7日に「あいち8か年福祉戦略(愛フルプラン)」としてご答申をいただきました。
これを本県の福祉行政の基本指針として位置づけるとともに、「あいち8か年福祉戦略推進本部」を設置し、積極的な推進を図る体制づくりをしたところであります。
この「あいち8か年福祉戦略(愛フルプラン)」は、県が取り組む事業を中心に、主に平成12年度(西暦2000年)までの目標値を掲げるなど計画の実効性や具体性をより高めるという強い気持ちを込めた計画です。
また、社会構造の変化の中で、地域の活力を失わせないために、行政はもちろんのこと、地域社会、民間企業、県民一人ひとりが思いやりのこころを持ち、福祉を自らの問題として考え、行動し、参加する形へ意識や仕組みを転換していくことが求められており、それぞれが主体的に福祉に取り組むに当たっての「ガイドライン」としての性格も併せ持っております。
計画の具体化に当たり、県といたしましては、その役割と責任において最大限の努力を払ってまいりますが、関係機関をはじめ県民の皆様方の一層のご理解とご協力をいただきますよう心からお願いいたします。
最後に、計画の策定に当たりまして、多大なご尽力を賜りました委員各位をはじめ、関係の皆様に深くお礼を申し上げる次第であります。
平成5年7月
愛知県知事 鈴木 礼治
目次
-
第1章 戦略策定の趣旨
- 戦略の意義
- 戦略の性格・意味
- 施策・事業の範囲
- 計画期間
- 計画の推進
- 基礎フレーム
-
第2章 とりまとめの考え方
- 施策・事業の総点検による課題・問題点の把握
- 受け手側に立った施策・事業の体系化
- 具体的な目標水準の設定
- 「7つの基本戦略」の設定と「50の主要施策・事業」の選定
-
第1章 社会展望
- (高齢社会の展望、少子化社会の到来と家庭の変貌、保健・医療・福祉を支える科学技術の進展、国際化の進展-外国人との共存社会-)
- 第2章 望ましい福祉社会のイメージ
-
第1章 基本的視点
- 自立と社会参加による県民総参加の福祉
- 総合福祉行政の推進
- 地域に根ざした福祉の展開
-
第2章 基本戦略
- 高齢者の生きがい促進ときめ細かな援助体制の整備
- 障害を持つ人々の自立への支援と社会参加
- 子どもと子育てにやさしい環境づくり
- 身近な地域での福祉の推進
- 人にやさしい街づくりと高齢者、障害者にも住みやすい住宅の整備
- マンパワーの養成と確保
- 福祉のこころの醸成と広報・啓発活動の展開
- 第3章 50の主要施策・事業一覧
第5部 生涯現役の維持と安心して暮らせる生活の確保をめざして
- 第1章 若い時からの健康づくり
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第2章 働く機会の確保
- 雇用の継続・再就職
- 生きがい就労
- 農山漁村高齢者
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第3章 社会参加の促進
- 学習活動
- 社会活動
- 能力活用と交流
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第4章 援護を必要とする高齢者への援助
- 保健・医療
- 在宅福祉
- 施設福祉
- 第5章 老人保健福祉計画における圏域設定のガイドライン
- 第1章 出生前及び出生直後の発生予防
- 第2章 乳幼児期の早期発見と早期療育
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第3章 学齢障害児の育成
- 学校教育
- 生活の支援
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第4章 自立生活への支援
- 地域での自立
- 雇用・就労の促進
- 第5章 高齢障害者への援護
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第1章 児童の健全育成
- 施設の充実
- 健全育成事業
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第2章 子育てへの支援
- 女性の就労と子育ての両立支援
- 経済支援の拡充
- 子育て相談システム
- 母子保健対策の充実
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第3章 保護を必要とする児童への措置
- 児童入所施設
- 相談指導体制の充実
- 第1章 身近な地域での福祉活動の展開と推進体制の整備
- 第2章 人にやさしい街づくりと高齢者、障害者にも住みやすい住宅の整備
- 第3章 保健・医療・福祉を担う人たちの養成と確保
- 第4章 福祉のこころの醸成と広報・啓発活動の展開
第1部 戦略の基本的理念
第1章 戦略策定の趣旨
- 戦略の意義
- 戦略の性格・意味
- 施策・事業の範囲
- 計画期間
- 計画の推進
- 基礎フレーム
第2章 とりまとめの考え方
- 施策・事業の総点検による課題・問題点の把握
- 受け手側に立った施策・事業の体系化
- 具体的な目標水準の設定
- 「7つの基本戦略」の設定と「50の主要施策・事業」の選定
第1章 戦略策定の趣旨
1 戦略の意義
この戦略は、各種施策・事業をこれまでの経緯や社会的背景を踏まえたうえで、福祉の視点から体系的・総合的にとりまとめ、20世紀に残された8か年の間に実施すべき福祉施策の大筋を明らかにするものです。
また、県が取り組む事業を中心に、具体的な目標数値等を掲げることにより、21世紀のあいちの福祉がどのような姿になるのかを県民にわかりやすく示すものです。
2 戦略の性格・意味
この戦略は、県が福祉行政を推進するための基本指針であるとともに、市町村、民間、あるいは県民が福祉に取り組むに当たっての「ガイドライン」としての性格を持つものです。
また、計画の推進に当たっては、国の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」(ゴールドプラン)のほか、「愛知県21世紀計画」など各種計画等に十分留意するものとします。
「戦略」という言葉の本来の意味は、戦いに勝つための長期的・全体的展望に立った準備・計画・運用の方法ということです。しかしながら、現在では、その意味が転化し、販売戦略とか経営戦略など日常の生活用語としても幅広く使われているほか、国や地方公共団体などで作成される計画の名称などにも使われるようになっています。
さらに、本県の持つ地域特性や県民性などを加味し、実行性、具体性をより高めていきたいという強い気持ちを込めて、「戦略」という名称を用いることにしました。
3 施策・事業の範囲
施策・事業の範囲は、高齢者、障害者、子どもなどの福祉を増進するため、国、県、市町村及び民間諸団体が本県において実施している施策・事業としています。それに加え、人にやさしい街づくりなど従来からの福祉行政の枠にとらわれない幅広い福祉施策の展開をめざすため、その範囲をできるだけ広く考えています。
なお、福祉行政については、指定都市である名古屋市は、制度上、県と同じ扱いがなされているので、目標数値等は原則として含んでいません。
4 計画期間
計画期間は、平成5年度(1993年度)から12年度(2000年度)までとします。
5 計画の推進
県が取り組む事業を中心に、主に平成12年度の目標値を掲げています。
関連事業としては、約700の事業がベースとなります。これらの事業を実現していくためには、マクロ的にみても、数兆円規模の事業費が必要と推定されますが、この財源確保について、県をはじめ国、市町村、民間などが相当の努力をしていく必要があります。
また、目標達成に向けて、計画策定後の年度毎の事業の具体化・推進をフォローアップするための組織として、知事を本部長とする「あいち8か年福祉戦略推進本部」を設置し、計画を着実に進めていきます。
その他、県事務所単位に「地域福祉推進調整会議」を新たに設置し、市町村との連携を図った推進体制を整備するほか、計画に盛り込まれた内容を中心に広報・啓発活動を積極的に進めていきます。
6 基礎フレーム
計画の基礎となる平成12年(2000年)の人口は、厚生省人口問題研究所が4年10月に発表した「都道府県別将来推計人口」によっています。
それによりますと、本県の人口総数は、12年(2000年)までに約40万人増加し、約710万人となります。率にして、約6%の伸びとなっています。
年齢3区分でみますと、0~14歳の年少人口は約10%減少する反面、65歳以上の高齢者人口は、約54%増加するとされています。
それにより、年齢3区分の人口構成比では65歳以上の高齢者人口の比率(高齢化率)が現在の9.8%から14.3%へ拡大すると見込まれています。
援護を必要とする高齢者は、12年(2000年)までに約31,000人増え、約88,000人になると予測され、県の総人口の伸びの約1.5倍となっています。
そのうち、ねたきり老人は、各種施策の充実などにより、3割程度の増加にとどまると予測されますが、痴呆性老人の比率は後期高齢者(75歳以上の高齢者)の増加に伴い、2倍近くに達するものと予測されます。
身体障害者、精神薄弱者は、ともに12年(2000年)には、高齢化の進展などにより、3割~4割程度増加すると予測されます。
しかし、18歳未満の身体障害児、精神薄弱児については、出生率の低下の影響もあり、減少するものと予測されます。
- | 1990年 | 2000年 |
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総人口 | 千人 6,691 | 千人 7,097 |
生産年齢人口(15~64歳) | 4,785 (71.5%) |
4,967 (69.9%) |
高齢者人口(65歳以上) | 656 (9.8%) |
1,012 (14.3%) |
年少人口(0~14歳) | 1,237 (18.5%) |
1,118 (15.8%) |
- | 1990年 | 2000年 |
---|---|---|
要援護老人 | 人 57,050 | 人 88,100 |
ねたきり老人 | 19,303 (33.8%) |
25,300 (28.7%) |
痴呆性老人 | 11,511 (20.2%) |
22,300 (25.3%) |
虚弱老人 | 26,236 (46.0%) |
40,500 (46.0%) |
- | 1990年 | 2000年 |
---|---|---|
精神薄弱者数 | 人 21,078 | 人 29,200~30,000 |
精神薄弱者 | 14,168 | 22,900~23,300 |
精神薄弱児 | 6,910 | 6,300~6,700 |
- | 1990年 | 2000年 |
---|---|---|
身体障害者数 | 人 141,790 | 人 181,000~185,000 |
身体障害者 | 135,077 | 176,000~179,000 |
身体障害児 | 6,713 | 4,800~5,250 |
- * 1990の人口は、1990年国勢調査(第1次基本集計)結果による。
- * 2000年の人口は、厚生省人口問題研究所「都道府県別将来推計人口」(平成4年10月推計)による。
- * ねたきり老人数は、平成2年度の出現率2.9%と今後の「寝たきり老人ゼロ作戦」の成果を勘案し、平成12年度の出現率を2.5%として推計。
- * 介護を要する痴呆性老人数の平成2年度の出現率は1.8%であるが、今後の増加要因を勘案して、平成12年度の出現率を2.2%として推計。
- * 虚弱老人数は、平成2年度の出現率4.0%を使用して推計。
- * 1990年の身体障害者数、精神薄弱者数は、厚生省「社会福祉行政業務報告」の数値で、それぞれ身体障害者手帳、療育手帳が交付されている人数。
- * 2000年の障害者数は、「過去8年間位のすう勢が続くとすれば」という前提で最小二乗法による直線推計。
第2章 とりまとめの考え方
1 施策・事業の総点検による課題・問題点の把握
関連事業として、約700事業を取り出し、その現状と課題を明確にし、今後の施策展開のあり方について検討しました。
なお、関連事業については、民生担当部門のほか、衛生、教育、労働、建築、土木などできるだけ幅広く取り出しました。
2 受け手側に立った施策・事業の体系化
福祉に関する施策・事業は、国、県、市町村、民間団体などにより、これまできめ細かい配慮で実施されてきており、事業の数も多く、全体が非常にわかりにくくなっています。
このため、各種施策・事業を高齢者、障害者、子どもなど福祉を必要とする受け手側に立ってとらえ、それぞれの分野で実施すべき施策を体系的にまとめました。
3 具体的な目標水準の設定
県が取り組む事業を中心に、主に平成12年度の目標水準を、できるだけ具体的に、わかりやすい指標等で表現することとしましたが、事業によっては、その内容や時期等を明示してまとめました。
また、事業の性格、地域特性、県民性などを基本とし、他府県等の状況も考慮しながら、各種施策・事業の目標を設定しました。
目標水準の設定に当たっては、国の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」(ゴールドプラン)や「愛知県21世紀計画」などの考え方を尊重しつつ、それらの水準をできるだけ上回るものをめざしています。
4 「7つの基本戦略」の設定と「50の主要施策・事業」の選定
「戦略」の主要課題を受けて、今後8年間に、特に、重点的に進めていかなければならない分野を7つの基本戦略として掲げました。
また、この基本戦略を実効性あるものとするため、各部門について検討のうえ「50の主要施策・事業」を取り上げました。これらについては、できるだけ目標水準の設定に努めたほか、その設定が困難な施策・事業や新しい課題、新たな取り組み等についてもできる限り取り上げました。
基本的な仕組みと考え方
あいち8か年福祉戦略
第2部 主要課題
1 増加する高齢者に対する生きがい援助
本県の65歳以上の高齢者は、平成2年には、656千人で全体の9.8%でしたが、12年には、1,012千人となり、全体の14.3%に増加すると予測されています。
その大部分は、元気な高齢者であり、これらの人々が元気で、社会活動をしていくことが本人にとっても、社会全体にとっても望ましいことであり、そのための生きがい援助を進めていくことが必要です。
2 痴呆性・ねたきりなど援護を必要とする高齢者への対策強化
痴呆性・ねたきりなどの援護を必要とする高齢者への対策は、高齢者福祉の要であり、その充実・強化が今後一層重要になっています。
とくに、「年をとっても住み慣れた地域で家族等の援助を受けて暮らしたい」という希望をどうかなえていくかが大きな課題であり、そのためにも在宅対策と施設対策の十分な連携が必要となっています。
3 「国連・障害者の十年」の新たな展開による障害者の自立と参加の促進
「国連・障害者の十年」は、平成4年で終了しましたが、障害者が自立して社会生活を送ることは、「ノーマライゼーション」の考え方からすれば、ごく自然のことであり、今後の障害者福祉を推進していくための重要な課題となっています。
また、障害者のスポーツ、レクリエーション、文化活動などを推進し、障害者の社会活動の参加の促進を進めることも必要です。
4 長期的な出生率低下への対応と弱体化する家庭機能への支援
一人の女性が一生の間に生む子どもの数を示した数値である合計特殊出生率は、平成4年には「1.53ショック」と呼ばれた3年の値をさらに下回る1.50となり、出生率の低下が顕著になっています。
出生率の低下は、子どもたち自身の健やかな成長への影響や、将来の扶養負担の増大、労働力不足など、社会経済全般にさまざまな影響を与える恐れがあるといわれています。
この出生率の低下の主な要因としては、晩婚化があげられるほか、個人の価値観の多様化、核家族化の進行などによる家庭や地域の養育機能の低下などが考えられます。
そこで、家庭機能への支援をはじめとした、総合的な「児童環境づくり」を推進し、子どもが健やかに生まれ育つための環境整備を進めていく必要があります。
5 住民に最も身近な市町村での地域援助体制の整備
平成2年6月の社会福祉関係8法の改正などを機に、今後の福祉行政は、住民に最も身近な市町村が中心となって展開していくこととなっています。
このため、市町村において、援護を必要とする人が地域において必要なときに必要なサービスが受けられるような体制をつくることが課題となっています。また、市町村レベルの課題の調整はもとより、広域の指導調整機関としての、県の果たす役割も重要になっています。
6 高齢者や障害者、子どもなどにやさしい街づくりの推進
高齢化の進展やノーマライゼーション理念の普及により、高齢者や障害者、子どもなどにやさしい街づくりを進めようとする機運が高まってきています。このため、建築物、公園、道路、交通機関などの整備などにもこうした考え方が適用され、人にやさしい街づくりが積極的に推進されることが必要です。そのためには、関係者の理解と協力のもとに整備基準の明確化や整備支援方策の実施などが必要となっています。
7 保健・医療・福祉を担うマンパワーの養成・確保
人口の高齢化、保健・医療や福祉の高度化・専門化が進む中で、多様化するニーズの増大に伴い、マンパワーの養成・確保を図ることが重要な課題となっています。
こうしたマンパワーは、保健・医療・福祉の各分野とも、それぞれ、今後相当数の需要が見込まれており、専門の養成施設のほか、高校、大学等にも広く人材を求める必要があります。
8 福祉のこころの醸成と広報・啓発活動の展開
福祉のこころを育む機会を学校教育や地域の中で増やすとともに、これからは、県民一人ひとりが温かい思いやりのこころを醸成し、自ら積極的に行動する県民総参加の福祉を構築していくことが大切です。
そのためには、福祉に関する広報・啓発活動を体系的・継続的に実施していく必要があります。
第3部 福祉の観点からみた21世紀初頭のあいちのイメージ
第1章 社会展望
(高齢社会の展望、少子化社会の到来と家庭の変貌、保健・医療・福祉を支える科学技術の進展、国際化の進展-外国人との共存社会-)
第2章 望ましい福祉社会のイメージ
第1章 社会展望
■高齢社会の展望
「きんさん、ぎんさん」に象徴される元気な高齢者──それは、いずれ老いを迎える誰もが望むことであり、それがまた、高齢社会の望ましい姿でしょう。
それは、また、高齢者が一人の人間として尊重され、家族や地域の中で支え、支えられる関係を持ち、共に生きている社会ということです。
例えば、厚生省の平成3年のデータによりますと、0歳児が80歳まで生きている生存率は、男性で47.5%、女性で68.6%であり、もし、0歳児が80年後に同窓会を開くとすれば、車椅子に乗ってでも、それぞれ100人のうち男性は47人、女性は68人が出席できるということになります。そうした明るい活力ある高齢社会をめざしていきたいものです。
本県は、高度成長期を中心に若い労働力の流入などにより、全国的には、比較的若い県となっており、高齢化のピークも全国よりやや遅れるものと予測されています。
しかし、三河山間地域などでは、既に65歳以上人口の占める割合が20%を超える地域もみられており、これらの地域では、12年(2000年)には約半数が高齢者となることも予測されます。
また、名古屋市の都心部などでも、若い人が流出し、高齢者の占める割合が高くなっているほか、高蔵寺ニュータウンのような大規模団地を擁する春日井市や大企業が立地する豊田市など同世代が同時期に流入した地域などでは、高齢化の様相がさまざまな形で現れてくるものと予測されます。
一方、障害者に関しても、身体障害者の約5割が、既に65歳以上の高齢者であり、特に脳卒中等の後遺症による障害の発生が多いことが指摘されています。
今後は、障害者自身の高齢化はもとより、その介護者の高齢化も深刻な社会問題としてクローズアップされてくることが予想されます。
■少子化社会の到来と家庭の変貌
わが国の合計特殊出生率は、戦後のいわゆるベビーブーム期には、4程度であったものが徐々に低下し、平成4年には、1.50となり、世界的にみてもかなり低い水準となっています。
この合計特殊出生率の将来予測については、厚生省人口問題研究所の推計によると、6年に1.49まで低下し、その後は、子育て環境の整備等もあって上昇に転じ、12年(2000年)には1.6程度まで回復するとされています。しかし、37年(2025年)の時点でも1.8程度の回復にとどまり、人口増加の境界線である2.1には至らず、日本の総人口は、23年(2011年)頃を境に減少するといわれています。このように、高齢化社会の一方の側面として、21世紀には、少子化社会が到来するといえます。
そして、この少子化社会は、子どもを生み育てる家庭にもさまざまな影響を与えると考えられます。
まず、家族規模の縮小による家庭の持つ子育て機能の弱体化が考えられます。また、平均寿命の伸びにより、ライフサイクルに占める子育て期間が相対的に短くなります。それにより、子育て後の女性の社会参加がますます進むことや、夫婦で活動する機会が増えることなどが予想されます。さらに、長男長女の結婚が増加することから、親の介護の問題も重要な課題となってきます。
その一方で、少子化の要因といわれる晩婚化の進行や、共働き世帯の増加等により、「結婚・家庭・子育て」についての価値観は多様化し、新たな21世紀の家庭像が創生されていくものと考えられます。
■保健・医療・福祉を支える科学技術の進展
科学技術の進展は、20世紀において、特に、長足の進歩を成し遂げました。日常生活の中でも大きな変化がみられています。例えば、10年前と比べても家庭における、ビデオカメラやファミリー・コンピューターなどの普及は、生活の仕方を随分変えています。また、職場などでも、ワープロやファクシミリ、パソコンなどがごく一般的なものになり、大量で迅速な事務処理を行うためには不可欠なものとなっています。
それと同じように、今後10年を考えてみましても、これまで以上に科学技術の進展が進み、それが日常生活にも大きく影響してくるものと思われます。
例えば、科学技術庁から発表された科学技術予測調査によりますと、21世紀初頭には、在宅勤務の普及や家事ロボットの開発がなされるとされています。こうしたことが実現すれば、これまで、当たり前のことでありました通勤の解消や家事労働の軽減がこれまでの生活スタイルを一変させることが予想されます。
また、保健・医療・福祉の分野においても、がんやエイズなどの治療法の確立やアルツハイマー型痴呆の予防法が開発されることなどが予測されており、それらが実現すれば、これまで以上に健康でいきいきとした生活が可能になります。
また、盲導ロボットや知能化車椅子など介護・福祉機器の発達もあって、障害者になっても健常者とほとんど変わらない生活もできるようになると予測されています。
このように、科学技術の進展が保健・医療・福祉を支える重要な要素の一つになってくるものと思われます。
■国際化の進展─外国人との共存社会─
最近では、街中や電車の中などで外国人の姿を見かけることが多くなっています。それは、名古屋市など大都市だけでなく、県内の数多くの市や町でも日常的に外国人と接する機会が増えています。県内の留学生の状況をみましても、平成4年には1,821人と5年前の2.3倍に増えています。また、円高の進行や外国への航空路線の増設もあり、日本人が海外へ行く機会も格段に増えています。
外国人の増加は、今後も続き、地域社会の中で文化や生活習慣が異なる外国人とともに、生活したり、活動したりする場面が多くなり、日本人がこれまであまり経験してこなかった外国人との共存社会が生まれる可能性があります。高齢化社会が内的な構造変化とするならば、外国人との共存社会は外的な構造変化といえるわけであり、教育、医療、福祉、社会保障、人権、生活習慣、居住等社会の幅広い分野における対応が必要になってくると考えられます。
第2章 望ましい福祉社会のイメージ
未来の社会は、現在よりもより豊かで、やさしさや人間性にあふれた社会でなければなりません。そして、それは県民一人ひとりの生活の中で、その豊かさを十分享受できるものでなければなりません。
本県は、これまで活発な産業活動に支えられ、活力にあふれた地域づくりが実現されてきました。21世紀に向けてもこうした活力を維持し、県民が豊かに安心して暮らしていくことのできる社会づくりが望まれます。
今後、国際情勢や経済情勢など不測の要素が多分に考えられますが、予測される状況変化に的確に対応しながら、生活する人々の視点からみて、次のような「福祉社会」をめざしていくことが望まれます。
■家庭や地域で互いに助け合い、思いやりにあふれた社会
- 家庭での高齢者や障害者の介護も家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業、短期介護(ショートステイ)事業、デイサービス事業などの拡充により、より容易になります。
- 福祉や介護に関する機器も発達し、家庭でのより快適な生活が得られます。
- コミュニティ活動など新しい地域活動の中で、福祉活動の輪が広がっています。企業の社会貢献活動、ボランティア活動などが盛んになります。
- 介護休暇、ボランティア休暇などが定着し、いろいろな人がいろいろな形で福祉活動に参加できるようになります。
- 学校や地域の活動などでも、福祉に関する取組が進み、子どものうちからボランティアなどの活動を体験するようになります。
■社会活動への参加や就労、教育の機会が整った社会
- 年金制度の普及により、老後になっても安心して暮らせます。ただし、より豊かな生活のためには、人生設計のもとに若い頃からの自助努力も必要となります。
- 自由な時間の増加により、人々の活動の幅が広がります。趣味や教養を高める場やスポーツ・レクリエーションの場、あるいはボランティアなど社会への貢献活動の機会などさまざまな活動に参加できます。
- 雇用形態が多様化し、その人の能力に応じた仕事が選択できます。また、退職後も働きたい時に、少しだけ働くといった生きがい就労の機会も提供されます。
- 障害を持った人々に対しても、障害の程度や能力に応じた就労の機会が確保されます。
- 生涯を通じての学習意欲に応えるための、生涯学習の体制づくりが整います。
■安全で自由に行動し、快適に暮らすことができる社会
- 高齢者や障害者、子どもなどに配慮した生活空間が整備されます。
- 車椅子でも自由に通行できる、幅の広い歩道や歩道の段差の解消などが進められます。
- 公共交通サービスの整備充実が進むと同時に、駅やデパートなど公共性の高い建物などには、エレベーターやエスカレーター、スロープなどが整備され、安全で自由に行動できます。
- 高齢者や障害者が、暮らしやすい住宅の改造が行われます。
■必要な時に必要なサービスが受けられ、健康で安心した生活ができる社会
- 家庭での介護など困った時には、電話一本で総合的なサービスが受けられます。
- 高齢者や障害者など、一人ひとりの状況が「福祉カルテ」に登録され、保健や医療の専門家とも連携のとれたシステムが整備されます。
- 健康に対する関心が高まり、若い頃からの健康づくりを進める体制が整います。
第4部 基本戦略
第1章 基本的視点
- 自立と社会参加による県民総参加の福祉
- 総合福祉行政の推進
- 地域に根ざした福祉の展開
第2章 基本戦略
- 高齢者の生きがい促進ときめ細かな援助体制の整備
- 障害を持つ人々の自立への支援と社会参加
- 子どもと子育てにやさしい環境づくり
- 身近な地域での福祉の推進
- 人にやさしい街づくりと高齢者、障害者にも住みやすい住宅の整備
- マンパワーの養成と確保
- 福祉のこころの醸成と広報・啓発活動の展開
第3章 50の主要施策・事業一覧
第1章 基本的視点
1 自立と社会参加による県民総参加の福祉
高齢化社会を迎えても社会の活力を失わさせないためには、行政はもちろんのこと、一人ひとりの自助努力も大切ではないかと考えられます。
例えば、若い時からの健康づくりや生きがいづくり、また、保険・年金など、経済的な生涯設計などについて考えていくことも大切です。
福祉の推進においても、県民一人ひとりが温かい思いやりの心を持ち、自らの問題として考え、行動し、参加する形へ、意識や仕組みを転換していくことが求められています。
お互いの助け合いや地域・民間などによる互助、国や県、市町村などが行う公助がこうした自助努力とうまくかみ合い、それぞれが支え合っていく社会づくりを進めます。
自助〈本人・家庭〉 (例)
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互助〈地域・民間(企業等)〉 (例)
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公助〈国・県・市町村〉 (例)
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2 総合福祉行政の推進
20世紀に残された8年間は、21世紀に向けての地域づくりのいわば足固めの時期といえます。
生活面においても、高齢化・少子化の進行、家庭機能の変化、価値観の多様化等、その状況は大きく変化しています。
福祉の分野においても、その需要の増大、ニーズの多様化・高度化・個性化などの傾向がみられていくものと考えられます。
こうした中で、福祉に関する現行諸制度は、これまでの歴史的な経緯や縦割り行政の影響などから、適切な事業運営に支障をきたしている面もみられていますので、今後は従来の枠にとらわれない総合的な福祉行政の推進をめざしていきます。
3 地域に根ざした福祉の展開
社会福祉関係8法の改正を機に、老人福祉施設等への入所決定事務が町村へ移譲され、在宅サービスと施設サービスが全市町村で一元化されることになりました。
こうしたことから、今後の福祉行政は、住民に最も身近な市町村が中心となり、一層、地域に根ざした福祉が展開されることとなります。このため、施策の受け手側に立ち、保健・医療・福祉の連携のとれた施策の推進を図っていきます。
県は措置権を移譲したことにより広域の指導調整機関として、市町村間に格差が生じないように指導していきます。
また、市町村が地域の特色を生かし、その実情に応じた事業を選択できるような各種施策のメニューづくりを行い、側面的な支援を行っていきます。
第2章 基本戦略
【基本戦略1】 高齢者の生きがい促進ときめ細かな援助体制の整備
高齢者の大部分は、元気な高齢者であり、これらの人々が元気に社会活動をしていくためのさまざまな仕組みづくりを進めていきます。そのために、まず健康づくりに力を入れていきます。また、勤労意欲や旺盛な学習・スポーツ意欲に応じる事業も進めます。
援護を必要とする高齢者には、きめ細かな援助が行えるよう、民間活動も含めた援助体制を整備します。
なかでも、在宅三本柱や特別養護老人ホームなどの施設整備は、大幅に拡充します。
■若い時からの健康づくり
- 高齢になっても、できるだけ元気で自立的な生活をしていくためには、若い時からの健康管理、健康づくりが大切です。
県では、市町村保健センター、保健所、(財)愛知県健康づくり振興事業団等関係機関が連携をとり、県民の健康づくりを進めています。今後とも、健康診査等保健事業の拡充を進めるなど、健康で生きがいのある「いきいきヘルシーあいち」の実現に努めます。 - 生涯、自分の歯でおいしく食べ、豊かな人生を送るため、「8020運動」(80歳で20本以上の歯を残そうという運動)を推進するなど、若い時からのライフステージに合った歯科保健事業に努めます。
- 「あいち健康の森」(仮称)は、21世紀を健康で生きがいに満ちた長寿社会にするため、保健・医療・福祉などの総合的な施設、また、健康と長寿をテーマとするテーマパークとして整備します。
■働く機会の確保
- 社会の中で他人のために役立っているということは、その人にとっては、何よりの生きがいといえます。60歳以上定年の完全定着を図るとともに、65歳までの雇用継続を推進するなど、高齢者がさまざまな形で働けるよう就労機会の確保を進めます。
- 生きがいのための就労も高齢者の生活の大きな部分を占めており、シルバー人材センターの普及拡大と生きがい活動推進施設の整備を進めます。
■社会参加の促進
- 高齢者も含めて、県民誰もが学習に積極的に参加することができるよう、生涯学習推進センターの設置などその活動の拡大を進めます。
- あいちシルバーカレッジについては、高齢者に公平に学習活動の機会を提供するとともに、増大する需要に応じられるよう学科の充実、定員増、専用会場の確保等により、拡充していきます。
- 高齢者の社会活動を支援する(財)愛知県長寿社会振興協会の事業を一層充実するとともに、高齢者のさまざまな文化活動やスポーツ活動等に対して、市町村を含めて側面的な援助を強化します。
また、こうした活動のより一層の活発化を図るため、文化とスポーツの祭典ともいえる愛知県健康福祉祭(仮称)を開催していきます。
■在宅三本柱等の充実
- 高齢者が住み慣れた地域で、これからも不自由なく生活していけるような在宅援助が必要です。
そのため、家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業、短期介護(ショートステイ)事業、デイサービス事業を在宅三本柱として位置づけ、それを拡充するとともに老人訪問看護ステーションを整備します。 - 在宅介護の拠点である在宅介護支援センターについては、特別養護老人ホームや老人保健施設等に併設しながら整備を進めます。
- 県民に対し、広く介護技術・介護機器を普及し、さらには福祉に対する意識啓発を進めるため、介護実習・普及センター(仮称)を設置します。
■施設の整備
- 本人及び家族等の事情により、住み慣れた自宅で生活できない場合に対応できるよう、特別養護老人ホームなど入所型施設の整備を進めます。
- 高齢による身体機能の低下のため、独立して生活するには不安がある高齢者が自立した生活を継続できるよう、新たなタイプの軽費老人ホームであるケアハウスの整備を進めます。
- 医療ケアと日常生活サービスを合わせて提供し、高齢者の家庭復帰をめざすための老人保健施設の整備を進めます。
【基本戦略2】 障害を持つ人々の自立への支援と社会参加
障害者が住み慣れた地域や家庭で自立して生活し、社会活動に積極的に参加できる環境づくりをめざします。
また、障害者施設については、自立を支えるため、地域との新しい関係を構築していくとともに、需要に見合った整備を進めます。
■自立支援のための施策
- 障害者が地域において自立できるよう教育、就労、年金、住宅、街づくりなどの対策を一体的に整備します。
- 養護学校の適正規模の確保及び通学時間の短縮化など教育条件の一層の整備・充実を図るため、養護学校のあり方について、総合的に検討します。
また、後期中等教育を充実するため、特殊教育諸学校高等部に重複障害学級を設置するとともに、高等養護学校の整備を進めます。 - 障害者が自由に地域を移動できるように、タクシー等交通料金補助制度の拡充を行い、全市町村で実施します。
- 在宅の精神薄弱者に対する相談機能を強化するため、更生相談所に「巡回相談班」を設置し、地域にある精神薄弱者施設を拠点とした巡回相談を実施します。
- 社会福祉協議会の福祉情報システム全体を活性化するとともに、障害者が地域で生活するのに必要な生活情報の提供に努めます。
- 家庭奉仕員(ホームヘルパー)派遣事業、短期介護(ショートステイ)事業、デイサービス事業を障害者の自立支援サービスとして位置づけ、それを拡充するとともに、障害者が地域で自立して生活する場であるグループホーム等を活用し自立生活支援施設の整備を推進します。
- 文化・レクリエーション活動の拠点として、また、障害者の一層の連携、活動を充実するため、「障害者総合福祉センター」(仮称)を整備します。
- また、障害者スポーツを振興するため、障害者スポーツ協会を財団法人化して充実するとともに、各種スポーツ大会の開催をはじめ、障害者に配慮した設備を持つスポーツの場の整備についても検討していきます。
- 回復途上にある精神障害者の社会復帰の促進に向けて、精神障害者小規模保護作業所等社会復帰施設の整備を進めます。
- 障害者の法定雇用率の早期達成をめざします。
■施設の整備・運営
- 障害者福祉施設は、障害者の自立を援助し、地域への開放性、居住性、快適性を兼ね備えた地域の生活拠点として、その機能を発揮していく必要があります。
今後は、施設と地域や家庭との関係などを考慮しながら、積極的な整備に取り組んでいきます。 - 肢体不自由児施設は、一般医療から障害児医療への接点であり、地域の総合療育拠点としての機能が求められるようになっています。そこで、県下に2か所ある肢体不自由児施設第一青い鳥学園、第二青い鳥学園を療育システムの要として機能するように整備・改築するとともに、新しいニーズに対応できるよう地域療育機能を充実します。
- 障害の重度化や介護者の高齢化等により、地域や家庭で生活が困難になった障害者が生活するための施設である身体障害者療護施設、精神薄弱者更生施設を広域市町村圏にバランスよく整備します。
- 心身障害者コロニーについては、「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」を受けて、21世紀にふさわしい新しい施設の建設を進めます。
- 医療機関で行われる医学的リハビリテーションを終えた身体障害者が、社会に復帰するために必要な生活訓練や職業訓練を受ける一連のプロセスを1か所で実施することができる施設として、既存の重度身体障害者更生援護施設「希全寮」等の改築を機に、新しい施設イメージを持った総合的な施設(東三河「虹の郷」(仮称))を整備します。
- リハビリテーションについては、「愛知県リハビリテーションセンター調査研究会議」の結果を受けて、診断、治療、訓練から社会復帰まで一貫したリハビリテーションを行い、福祉機器の開発研究や地域のリハビリテーション活動を支援するリハビリテーションセンターを整備します。
【基本戦略3】 子どもと子育てにやさしい環境づくり
出生率や家庭養育機能の低下などが懸念される中で、各界各層による総合的な取組による「子どもが健やかに生まれ育つための環境づくり」を進めます。
■子どもの健全育成
- 地域における子どもの健全育成施設である、児童館・児童センター、児童遊園については、子どもにとってなるべく身近なものとなるよう、積極的に整備を進めます。
- 愛知青少年公園に建設予定の県立児童総合センターは、地域の児童館の中核としての役割を担えるよう、研究機能や養成機能などの充実を進めます。
- 放課後児童(昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童等)の育成・指導を行う児童クラブ・児童コミュニティークラブについては、事業の必要性の高い地区を中心に事業の実施及びクラブ数の拡大を進めていきます。
■子育て支援
- 保育所については、特別保育の充実や保母配置基準の緩和を進め、受け入れ体制の充実に努めます。
- 乳幼児を抱える母親や出産前の妊婦が気軽に訪れ、子育て等の相談ができるように、保育所に、新たに「子育て支援センター」としての機能を持たせます。
- 子育て経済支援の充実のため、乳児医療費公費負担制度について、対象年齢を3歳未満児まで拡大します。
- 県下全域をカバーする小児の保健・医療の中核的機能とコントロールセンター機能を持つ小児専門の総合施設を整備します。
■相談指導体制
- 地域に即した児童相談所の適正配置について、増設を含めて見直すとともに、合わせて老朽化した児童相談所の整備計画を進めて、児童相談所の充実強化を進めます。
【基本戦略4】 身近な地域での福祉の推進
これからの「福祉」は、住民に最も身近な市町村が中心となりますので、保健・医療・福祉の連携を進めながら、地域における施策の総合的な推進を図ります。
また、広域の指導調整機関としての県の役割を明確にしていきます。
■地域福祉の推進
- 高齢者や障害者など援護を必要とする人が地域において、いつでも必要な施策を受けられるよう保健・医療・福祉の連携のとれた地域福祉の推進が必要です。
県では、「愛知県21世紀計画」の中で「安心あいち地域福祉システム」の推進を図り、こうした体制づくりを進めるため、地域福祉の拠点となる地域福祉サービスセンターと地域福祉センターの設置を市町村や在宅介護支援センターと連携・調整しながら進めます。 - 市町村高齢者サービス調整チームは保健・医療関係者の積極的な参加を求めるなど、その充実強化を進めるとともに愛知県保健医療福祉調整推進会議の機能を強化していきます。
- 地域住民の組織化や住民相互の助け合い組織活動を奨励する趣旨から、その活動に対する支援を行います。
■ボランティア活動
- 余暇時間の増大やこころの豊かさが指向される中で、県民の間にボランティア活動に対する参加意識が高まっているので、そうした活動を積極的に支援していきます。
- また、企業においても社会貢献活動(フィランソロピー)の一環としてボランティア活動に関心が持たれており、一層の推進が望まれます。
- ボランティア活動の充実・強化を進めるため、市町村社会福祉協議会のボランティアセンターの助成を引き続き行います。
■社会福祉施設の整備
- 地域福祉の一層の充実を図るため、民間社会福祉施設の果たす役割は極めて重要であり、今後も、民間社会福祉施設運営助成等の各種助成策を拡充していきます。
【基本戦略5】 人にやさしい街づくりと高齢者、障害者にも住みやすい住宅の整備
「福祉」と「街づくり」は互いに表裏の関係にあり、高齢者や障害者、子どもなど人にやさしい街づくりが求められています。このため、「人にやさしい街づくり整備指針」の策定などをはじめ、こうした整備を計画的に進めます。
また、高齢者や障害者にも住みやすい住宅の整備に積極的に取り組みます。
■人にやさしい街づくり
- 高齢者や障害者だけでなく、子どもも含めたすべての人が安心して生活するために、建築物、道路、公園、交通機関などの施設整備を行うための「人にやさしい街づくり整備指針」を作成します。
- 高齢者や障害者などの利用の利便性や安全性に配慮した人にやさしい街づくりについての要綱・条例の整備などを行うとともに、人にやさしい街づくりを計画的に進めます。
- 県有施設については、計画的に整備を進めます。
- 市町村、民間企業が行う施設整備についても、指導・啓発・支援を進めていきます。
■高齢者、障害者にも住みやすい住宅の整備
- 高齢者や障害者にとって住みやすい住宅を整備するため、その普及啓発を進めます。
また、住宅改造等のアドバイスができるような体制を整備します。 - 高齢者が、地域でのいろいろな世代の人々との交流の中で、快適に、いきいきと、かつ、安心して暮らすことができる街づくりをめざした、いきいきシルバータウン整備事業をより充実して、継続実施します。
- 公共賃貸住宅を高齢者、障害者にとっても住みやすい住宅として整備します。また、シルバーハウジング等高齢者向け住宅などの整備を進めます。
- 高齢者、障害者の利用に適した住宅への増改築や、高齢者、障害者との同居のための住宅取得や増改築に対する融資制度を充実します。
【基本戦略6】 マンパワーの養成と確保
高齢化などが進行する中で、福祉ニーズは、量的に拡大するとともに、質的にもますます高度化・多様化してきています。
このため、保健・医療・福祉の分野を担う人材の養成と確保は緊急かつ重要な課題であり、その対応を各方面から検討していきます。
■保健・医療を支えるマンパワー
- 看護婦等については、院内保育施設に対する助成の強化や研修体制を充実するとともに、夜勤体制・業務見直し等の待遇改善など定着体制を強化します。
- 市町村保健婦の確保対策を推進するとともに、教育・研修内容の強化により資質の向上をめざします。
- 看護機能の変化に対応できる質の高い看護婦等及び看護教員を養成するため、4年制の県立看護大学(仮称)を設置します。
- 県立高等学校における衛生看護科専攻科を増設していきます。
■福祉を支えるマンパワー
- 社会福祉施設職員、家庭奉仕員等の社会福祉マンパワーが21世紀に向けて数多く必要になります。
このため、こうした人材の養成・確保に努めるとともに、福祉ニーズの高度化や多様化に対応できるよう資質の向上をめざしていきます。 - 今後、専門的な知識・技術を持つ介護福祉士や社会福祉士などの養成が必要であり、資格取得の推進と社会福祉施設等への就労及び定着を促進します。
- 平成5年度から実施する介護福祉士等修学資金貸付制度を一層拡充します。
- 福祉マンパワーの確保を多方面から進めるため、県立女性高等技術専門校の福祉ヘルパー科を拡充するとともに、県立高等学校の福祉関係学科の新設も検討します。
- また、社会福祉施設職員の人材を確保するため、職員の処遇向上に努めるとともに、合同就職説明会を開催し、社会福祉施設への就労を促進します。
【基本戦略7】 福祉のこころの醸成と広報・啓発活動の展開
県民一人ひとりが温かい思いやりのこころを持ち、福祉を自らの問題として考え行動する形へ、意識や仕組みを転換していくことが大切です。
そのため、学校や地域、家庭における福祉教育の充実をはじめ、各種広報・啓発活動をライフサイクルに合わせて、幅広く実施します。
■福祉教育の充実
- 各種の福祉教育活動を推進するため、小学校、中学校、高等学校を「社会福祉協力校」として委嘱し、その数を増やしていきます。
■広報・啓発活動の推進
- 「あいち8か年福祉戦略」に関するテレビ番組の制作、PR版の作成などにより、広く県民に広報・啓発していきます。
- 家庭や学校、地域社会における福祉教育が重要になっていますので、各種広報・啓発活動を幅広く進めるとともに、ライフサイクルに合わせた啓発を体系的・継続的に進めます。
- 保健・医療・福祉に関する大規模なイベントを積極的に開催します。
主な関係イベント
- 健康フェスティバルの開催
- 愛知県健康福祉祭(仮称)の開催
- 第30回全国身体障害者スポーツ大会(ゆめぴっくあいち)の開催(平成6年度)
- 全国健康福祉祭(ねんりんピック)の誘致
- 全国精神薄弱者スポーツ大会(ゆうあいピック)の誘致
第3章 50の主要施策・事業一覧
(凡例)
- 性質区分欄の表示:◆=ハード整備中心の施策・事業
◇=ハード整備も伴うがソフトが主の施策・事業
無表示=ソフト中心の施策・事業 - 性質区分欄の△印の事業=新規施策・事業 他は継続施策・事業の拡充分
基本戦略 | 性質 区分 |
施策・事業名 | 内容 | 現状(平成4年度)→ 目標(平成12年度) | 目標の考え方 |
---|---|---|---|---|---|
【基本戦略1】 高齢者の生きがい促進ときめ細かな援助体制の整備 |
老人保健事業 | 健康で生きがいのある「いきいきヘルシーあいち」の実現をめざすため、健康教育、健康相談、健康診査等の充実を図る | 健康診査受診率 基本健康診査37.5%→ 50.0% 胃がん検診 12.0%→ 30.0% 子宮がん検診12.4%→ 30.0% 肺がん検診 21.8%→ 30.0% 乳がん検診 9.0%→ 30.0% 大腸がん検診10.6%→ 30.0% |
保健事業第3次計画の達成をめざす | |
◆ | あいち健康の森(仮称) 〔位置:大府市、東浦町〕 |
保健・医療・福祉などの総合的な施設、また健康と長寿をテーマとするテーマパークとして整備する | - | 健康・長寿のシンボル拠点として整備する | |
*研究ゾーン | 着工 → 7年度運営開始 | ||||
*健康・運動ゾーン | 設計、用地買収 → 9年度一部運営開始 | ||||
*福祉・生きがいゾーン | 検討中 → 完成 | ||||
60歳台前半層の雇用促進 | 60歳以上定年の早期完全定着を図るとともに、希望者全員を対象とした65歳までの同一企業または同一企業グループ内での継続雇用を促進する | 60歳以上定年実施企業の割合 88.8% → 完全定着 |
行政指導の強化により完全定着を図る | ||
65歳までの継続雇用実施企業の割合 2割程度 → 顕著な増加 |
広く企業に対し普及啓発を実施する | ||||
シルバー人材センター | 高齢者の能力と希望に応じた仕事を提供する組織を設置する | 71団体 → 全市町村に設置 | 県下全域で高齢者の生きがい就労活動を推進する | ||
◆ | 高齢者生きがい活動推進施設 | 自動車の部品組立、みつばの水耕栽培など高齢者の生きがい就労等の場を提供する施設を整備する | 37か所 → 80か所 | 市町村における生きがい活動の拠点施設整備を推進する | |
◆ △ |
生涯学習推進センター | 生涯学習活動に関する相談、指導者研修等を実施し、生涯学習情報ネットワークの中核となる施設の設置に向けて検討する | - → 設置の検討 | 生涯学習審議会で構想等を検討する | |
あいちシルバーカレッジ | 現在、実施しているシルバーカレッジを拡充する | 2科 定員300人 → 学科の充実 定員増 専用会場の確保 | 急増する高齢者の学習ニーズに対応する | ||
在宅三本柱 | *家庭奉仕員(障害者分含む) 日常生活に支障のある高齢者等がいる家庭を訪問して介護・家事サービスを提供 |
1,673人 → 3,400人程度 | ゴールドプラン等に準拠する 要介護老人・重度障害者に対し週3回以上、虚弱老人に対し週1回以上派遣 |
||
◇ | *短期介護専用居室(障害者分含む) ねたきり老人等が、特別養護老人ホーム等に短期間入所する施設老 |
549床 → 1,700床 | ゴールドプラン等に準拠する 要介護老人・重度障害者が年6回以上、虚弱老人が年1回以上利用 |
||
◇ | *デイサービスセンター 要介護老人等に対して入浴、食事、健康チェック、日常動作訓練等のサービスを提供する事業(送迎用バス等による送迎あり) |
93か所 → 302か所 | ゴールドプラン等に準する 〔中学校区に1か所〕 要介護老人が週2回以上、虚弱老人が週1回以上利用 |
||
◇ △ |
老人訪問看護ステーション | 在宅のねたきり老人等に対し、医師の指示により看護婦等が訪問して看護サービスを行う施設を整備する | 2か所 → 全市町村に設置 | 県下全域での老人訪問看護サービスの提供を推進する | |
◇ | 在宅介護支援センター | 身近な所で専門家による介護の相談・指導が受けられ、市町村の窓口に行かなくても必要な手続きができる施設を整備する | 17か所 → 302か所 | ゴールドプラン等に準拠する 〔中学校区に1か所〕 |
|
◇ △ |
介護実習・普及センター(仮称) | 介護技術、介護機器の普及、さらには福祉に対する意識啓発を図るセンターを設置する | - → 設置 | 介護に対する知識・技術等を県民全体に普及する | |
◆ | 特別養護老人ホーム | ねたきりや痴呆性等家庭での介護が困難な高齢者が入所する施設を整備する | 定員4,280人 → 定員7,000人 | ゴールドプラン等に準拠する 〔65歳以上人口の1%強の店員を確保〕 |
|
◆ | ケアハウス | 自立した生活ができるよう設備面で配慮され、必要な時は、ヘルパー等を活用できる新しい形の軽費老人ホームを整備する | 190人 → 3,300人 | ゴールドプラン等に準拠する 〔65歳以上人口の0.5%の定員を確保〕 |
|
◆ | 老人保健施設 | 医療ケアと日常生活サービスを合わせて提供し、高齢者の家庭復帰をめざすための施設を整備する | 定員1,818人 → 定員7,000人 | ゴールドプラン等に準拠する 〔65歳以上人口の1%強の定員を確保〕 |
|
【基本戦略2】 障害を持つ人々の自立への支援と社会参加 |
◆ | 養護学校 | 精神薄弱養護学校、肢体不自由養護学校の適正規模の確保、通学時間の短縮化など教育条件の一層の整備に努める | 20校 → 適正配置について総合的に検討 | 学級編制基準の改善及び高等部の募集学級数増との関連も考慮して検討していく |
◆ △ |
高等養護学校 | 障害が比較的軽度な精神薄弱児を対象に高等部のみの養護学校を整備する | 1校 → 2校 | 三河地区に続いて尾張地区にも設置する | |
◇ △ |
重複障害学級 | 特殊教育諸学校高等部に重複障害学級を設置する | - → 設置 | 中学部重複障害学級生徒の高等部進学希望者の増加に対応する | |
△ | 生活情報提供システムの構築 | 社会福祉協議会の福祉情報システムを活用して、障害者の生活情報を入力し、適切な情報提供を行う | - → 生活情報の提供システムの開発と情報の入力・充実 | 福祉情報システム全体の活性化を図るとともに、障害者への生活情報の提供を推進する | |
◇ | 自立生活支援施設 | 地域の中にあるホームでの生活を望む精神薄弱者に対し、日常生活の援助を行う | 30人 -> 170人 | 「グループホーム」等を活用し、自立生活支援施設の整備を推進する 各市に1か所、町村部には広域行政圏に1か所整備する |
|
◆ | 障害者総合福祉センター(仮称) | 障害者福祉活動の拠点として整備する | - → 開設 | 障害者の連携と連絡、企画、社会参加活動推進の拠点として整備する | |
△ | 障害者スポーツの振興 | 障害者の社会参加・身体機能の維持向上を図るため、障害者のスポーツ活動を振興するための各種事業を実施する | - → 充実 | 障害者スポーツ協会の財団法人化、各種スポーツ大会の開催をはじめ、障害者に配慮した設備を持つスポーツの場の整備も検討する | |
◇ | 精神障害者の小規模保護作業所 | 精神障害者の社会復帰のための小規模保護施設を整備する | 14 か所 → 43か所 | 保健所単位に各1か所を目途に整備する | |
障害者雇用の促進 | 法定雇用率1.6%の達成に向けて、求人開拓、求人企業説明会、雇用事例集の作成等により啓発・指導を実施する | 1.43% → 法定雇用率の達成 | 雇用率未達成企業に対して啓発・指導を実施する | ||
◆ | 第一・第二青い鳥学園 | 肢体不自由児施設を改築・整備する | - → 改築 | 改築・整備とあわせ、時代のニーズに合った機能の見直しや新しいニーズに対応できるよう、地域療育機能の充実を図る | |
◆ | 身体障害者療護施設 | 常時介護を必要とする身体障害者を入所させ、治療及び養護を行う施設を整備する | 380人 → 780人 | 待機者の解消を図る | |
◆ | 精神薄弱者更生施設 | 精神薄弱者を保護し、その更生に必要な指導及び訓練を行う施設を整備する | 1,200人 → 2,090人 | 待機者の解消を図る | |
◆ | 新愛知県心身障害者コロニー | 心身障害者コロニーを「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」に基づき全面改築する | 「新愛知県心身障害者コロニー基本構想」を策定→ 全面改築〔現在地に建替〕 | 21世紀にふさわしい新しい機能を持った施設として整備する | |
◆ | 県立身体障害者療護施設等(東三河「虹の郷」(仮称)) | 医学的リハビリを終えた身体障害者が社会復帰に必要な訓練等一連のプロセスが1か所で実施できる総合的な施設を整備する |
|
既存の重度障害者更生援護施設「希全寮」等の改築を機に、新しい施設イメージを持った施設として整備 (名称については、施設の全体イメージにふさわしいものを検討することが望ましい) |
|
◆ | リハビリテーションセンター | 「愛知県リハビリテーションセンター調査研究会議」の結果を受けて設置する | 整備調査 → 開所 | 医学的リハビリと社会的リハビリを一貫して実施できる県の中核施設として整備する | |
【基本戦略3】 子どもと子育てにやさしい環境づくり |
◆ | 児童厚生施設 (児童館・児童センター、児童遊園) |
児童に健全な遊びを与え、その健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とした施設を整備する | 児童館・児童センター(屋内型児童厚生施設) 207か所 → 中学校区に1か所の割合で設置 |
児童の生活圏を考慮して中学校区に1か所の割合で設置する |
児童遊園(屋外型児童厚生施設) 918か所 → 小学校区に1か所の割合で設置 |
設置数が小学校区に満たない市町村を中心に小学校区に1か所の割合で設置する | ||||
◆ | 県立児童総合センター | 児童の健全育成を総合的に推進する中枢機関となり、研究機能や養成機能などを備えた県立の大型児童館を整備する | 基本設計 → 8年度開所 | 地域児童館の中核としての役割が担える機能を持つ施設を設置する | |
放課後児童対策事業 (児童クラブ・児童コミュニティークラブ) |
放課後児童(昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童等)の育成・指導を行う | 児童クラブ:105クラブ児童コミュニティークラブ:42クラブ → 中学校区に1か所の割合で設置 | 事業の必要性の高い地区を中心に中学校区に1か所の割合で設置する | ||
△ | 保育所地域子育て支援センター | 地域に密着し、育児のノウハウを蓄積している保育所に、新たに「子育て支援センター」としての機能を付与し、乳幼児を持つ母親や出産前の妊婦が気軽に訪れ、子育て等の相談ができるようにするとともに、啓発事業や育児体験教室などを開催する | - → 20か所 | 都市部(6歳未満児童のいる核家族2,000世帯以上)を中心として中核となる保育所に、年2~3か所整備する | |
乳児医療費公費負担制度 | 乳児が必要な医療を容易に受けられるよう医療保険における自己負担相当額を公費で支給し、乳児の健康の保持増進を図る | 1歳未満児 → 3歳未満児 | 疾病にかかりやすい乳児の健康を確保することにより、家庭養育支援の充実を図る | ||
◆ | 小児保健医療施設 | 小児の保健・医療の中核的機能と、コントロールセンター機能を持つ小児専門の総合施設を整備する | 基本構想 → 設置 | 新しいニーズに対応した、より効率的な保健・医療の提供のための中核施設として整備する | |
◆ | 児童相談所 | 児童相談所の改築及び増設を含めた適正配置を検討する | 8か所 → 適正配置 | 厚生省基準等を考慮して、地域の実状に即した適正配置を図る | |
【基本戦略4】 身近な地域での福祉の推進 |
△ | 地域福祉サービスセンター | 各種の福祉サービスの相談窓口の一元化を図るとともに「福祉カルテ」の作成による調整・決定等の事業を行う | 3市町村でモデル実施 → 全市町村で実施 | 21世紀に向けての先駆的な取組として推進する |
◆ | 地域福祉センター | 地域における福祉活動の拠点として、各種相談、入浴・給食等の福祉サービス、機能回復訓練、ボランティア養成、福祉情報の提供等を総合的に行う施設を整備する | 2か所 → 18か所 | 老人福祉施設等既存の利用施設を持たない市町村を中心に年2か所程度整備する | |
ボランティアセンター | ボランティア活動の拠点である県・市町村社会福祉協議会ボランティアセンターの運営を助成し、ボランティアの育成・研修・登録・あっ旋等ボランティア活動の振興を図る | 69か所 → 全市町村に設置 (ボランティア登録数) 48,554人 → 140,000人 | 地域におけるボランティア活動を活発化するため全市町村に設置する | ||
民間社会福祉施設(保育所を含む)の健全な運営への助成 | 保育所を含む民間社会福祉施設の健全な運営に要する経費を助成する | 助成実施 → 充実 | 民間社会福祉施設が地域福祉の充実に重要な役割を果たせるよう、民間社会福祉施設運営助成等の各種施策を拡充する | ||
【基本戦略5】 人にやさしい街づくりと高齢者、障害者にも住みやすい住宅の整備 |
△ | 人にやさしい街づくり | 高齢者や障害者、子どもなどの利用の利便性や安全性に配慮した建築物、道路、公園、公共交通機関などの整備を進める | 快適空間賞顕彰など →「人にやさしい街づくり整備指針」等を策定(平成5年度) |
基準を定め整備を促進する |
→ 人にやさしい街づくりについての要綱・条例の整備 | |||||
◆ | → 計画的な県有施設の整備 | すべての県有施設の整備、改善を図る | |||
→ 整備誘導・促進策を展開 | |||||
◆ | 高齢者や障害者にも住みやすい住宅の整備 | ◎一般世帯向け公共賃貸住宅や特別設計の公共賃貸住宅を整備する | - |
住宅における基盤整備の強化を図る 特別設計の公共賃貸住宅の整備を進めるとともに、一般世帯向け住宅についても、床の段差解消や手すりの設置など、高齢者や障害者が快適に生活でき、将来、在宅介護に対応できるような仕様・構造をめざした整備を行う |
|
*老人世帯向け、身障者向け県営住宅 | 293戸 → 450戸 | ||||
*老人同居・多家族世帯向け県営住宅 | 647戸 → 1,050戸 | ||||
*シルバーハウジング | 79戸 → 500戸(さらに市町村営住宅への普及を図る) | ||||
*シニア住宅 | 事業化のための調査実施 → 供給開始 | ||||
◎いきいきシルバータウンを整備する 高齢者が、地域のいろいろな世代の人々との交流の中で、快適に、いきいきと、かつ安心して暮らすことができる街づくりを進める | モデル事業として2か所で整備中 → いきいきシルバータウンの普及 | 県が高齢化社会に向けての住宅地づくりとしてモデル的に進めている事業の普及を図る | |||
【基本戦略6】 マンパワーの養成と確保 |
看護婦等の養成確保 | 養成事業の強化、定着対策、再就業の促進を図る *看護婦・保健婦等 | 41,500人 → 53,800人 | 看護職員需給見通し(平成3年)に準拠する | |
◇ | 県立看護大学(仮称) | 4年制の県立看護大学を設置する | 基本調査・実施設計 → 平成7年度開学 | 社会要請に応え、短大を4年制大学にする | |
◇ △ |
県立高等学校の衛生看護科専攻科 | 県立高等学校に衛生看護科専攻科を設置し、看護婦を確保する | 1校 → 2校 | 尾張地区に続き三河地区にも設置する | |
福祉関係従事者の養成確保 | ◎福祉関係従事者を養成確保する | 22,580人 → 30,000人 | 社会福祉施設等の整備に伴い、必要となる福祉マンパワーを確保する | ||
◎介護福祉士の養成 | - | ||||
*介護福祉士養成校(定員) | 3校(190人) → 8校(510人) | ||||
*介護福祉士養成校卒業生の県内社会福祉施設等への就職率 | 68.1% → 75% | ||||
介護福祉士等修学資金貸付制度の拡充など | - | ||||
◇ △ |
県立高等学校の福祉関係学科 | 県立高等学校における福祉関係学科の設置を検討する | - → 設置の検討 | 介護福祉士の資格取得をめざす人材を養成する | |
県立女性高等技術専門校の福祉ヘルパー科 | 県立女性高等技術専門校の福祉ヘルパー科の定員を増加し、その拡充を図る | 60人 → 90人 | 介護を必要とする高齢者の増加に伴い、介護関係職員の不足が見込まれることから、福祉関係分野の人材の育成に努める | ||
【基本戦略7】 福祉のこころの醸成と広報・啓発活動の展開 |
社会福祉協力校 | 児童・生徒が福祉への理解と関心を高めるため、「社会福祉協力校」の委嘱を行う | 346校 → 746校 | 福祉に関する実践学習の機会を提供するため、年50校づつ委嘱を行う | |
福祉関係イベントの開催 | 保健・医療・福祉に関する大規模なイベントを開催し、啓発を推進する | - | - | ||
*愛知県健康福祉祭(仮称)の開催 | - → 開催 | ||||
*第30回全国身体障害者スポーツ大会(ゆめぴっくあいち)の開催 | 開催準備 → 平成6年度開催 | ||||
*全国健康福祉祭(ねんりんピック)の誘致 | 誘致活動 → 誘致 | 平成10年度開催を目途に誘致する | |||
*全国精神薄弱者スポーツ大会(ゆうあいピック)の誘致 | - → 誘致 | 平成9年度開催を目途に誘致する |
主題:
あいち8か年福祉戦略 No.1 1頁~42頁
-愛フルプラン-
発行者:
愛知県民生部社会課
発行年月:
1994年7月
文献に関する問い合わせ先:
名古屋市中区三の丸3-1-2
TEL 052-961-2111