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ふれあいおおさか障害者計画後期行動計画

新大阪府障害者計画後期行動計画

~すべての人が平等に暮らせる社会をめざして~

1999(平成11)年5月策定

大阪府

第1部 基本計画

第1章 基本的な考え方

1 後期行動計画策定の趣旨

 大阪府における障害者施策は、平成5年度から平成14年度までの10年間を計画期間として平成6年3月に策定された「新大阪府障害者計画(ふれあいおおさか障害者計画)」に基づき、「共に生きる社会」の実現をめざして、福祉、保健、教育、労働、住宅、まちづくりなど幅広い分野において総合的、計画的に推進してきました。
 この計画においては、障害者が社会生活や社会の発展に参加する「完全参加」及び他の府民と同等の生活を送ることができる「平等」な社会を実現するため、すべてのライフステージにおいて障害の程度に即じた適切な支援を行い、全人的な可能性の追求をめざす「リハビリテーション」の理念と障害者が社会の一員として障害のない者と同等に生活し、活動する社会をめざす「ノーマライゼーション」の理念のもと、「人権尊重に根ざした障害者の主体性・自立性の確立」、「すべての人が平等に、安心して暮らせる社会づくり」及び「府民の全員参加によるノーマライゼーションの実現」を基本目標とし、事業を推進してきたところです。
 その結果、障害や障害者に対する正しい理解や認識を深めるための啓発、駅舎でのエレベーターの設置、障害者の入所型施設の整備など一定の成果をあげているものがあるものの、グループホームの整備など障害者の地域生活支援、通所型施設の整備など課題が多く残されています。また、施設や病院等における人権侵害にかかわる事例の発生や「障害者の人権白書」(「障害者の人権白書づくり実行委員会」編)にみられるように、障害者に対する人権侵害や差別がまだ存在しています。
 「ふれあいおおさか障害者計画」が策定されて5年を経過し、この間、障害の重度化・重複化、障害者のニーズの変化がみられ、また、国における「障害者プラン」の策定や障害保健福祉圏域の設定、介護保険制度の創設など新たな状況が生じていることから、平成9年度に大阪府障害者施策推進協議会において、前半5年間の実施状況を点検・評価するとともに、後半5年間の施策推進に向けての基本的なあり方や重点課題等について「意見具申」として取りまとめられました。
 大阪府においては、あらゆる機会において実施される人権教育を通じて、人権尊重の精神を当然のこととして身につけ、日常生活においそ実践し、人権という普遍的文化の創造をめざす「人権教育のための国連10年」に取り組んでいます。さらに、府民一人ひとりが命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会づくりを進めるため、「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を制定し、障害者をはじめすべての人の人権が尊重される社会づくりをめざしているとこうであり、障害者の自立を支援するため、「ふれあいおおさか障害者計画」の基本理念や基本目標、施策の展開方向等を継承しながら、「意見具申」の趣旨を十分に踏まえ、計画の目標年度である平成14年度までの「ふれあいおおさか障害者計画後期行動計画」を策定し、障害者の「完全参加と平等」の実現に向け、引き続き障害者施策を総合的、計画的に推進します。

2 後期行動計画の性格

「障害者支援のガイドライン」
 大阪府内における障害者支援の計画的な推進を図るため、計画期間内の行動目標を定め、府及び府内市町村をはじめ、民間事業者や府民が行う障害者支援に関する活動のガイドラインを示します。
 また、この計画に基づく大阪府の事業は、各年度における予算の定めるところにより実施します。

3 後期行動計画の基本理念

 障害者が地域社会のなかで主体的に生き、自己実現を図ることができるよう、目標年度の平成14年度までの事業については、次の基本理念のもとに推進します。

○障害者の人権の尊重
 障害者を取り巻く様々な課題は、個人が尊重され、自ら望む生活を主体的に選択し、決定し、行動していくことを阻む様々なバリア(障壁)をなくしていくことであり、障害者がかけがえのない一人の人間としてあたり前に生きていく権利、まさに人権にかかわる課題です。
 今後は、障害者をはじめすべての人が社会からのサービスを平等に享受でき、意欲や能力に応じて社会に参加できる機会が平等に確保されるよう、行政施策のあり方を検討するとともに、人権尊重を基本に据えた社会づくりを推進します。
 また、障害者施設の建設に係る地域住民の反対等に見られる「施設コンフリクト」(社会福祉施設の新設などにあたり、その存立が地域社会の強カな反対運動に遭遇して頓挫したり、あるいはその存在の同意と引き換えに大きな譲歩を余儀なくされたりする施設と地域との間での紛争事態〉は人権侵害にかかわる重大な問題であり、これまでコンフリクト解消に行政の役割が希薄であったことを踏まえ、「共に生きる社会」の実現に向けあらゆる人の人権を尊重するという原点に立ち、積極的な対応を図ります。

○利用者主権の尊重を基本とした「利用する福祉」の推進
 事業の推進にあたっては、サービスの提供者中心の「与える福祉」からサービスの利用者中心の「利用する福祉」へと制度のあり方や関係者の意識の改革を図るため、事業内容の再点検・再構築を行います。
 また、サービスの質を利用者自身が評価・監視し、その向上に資することができるようサービスに関する情報の開示を促進します。

○地域における自立生活の促進
 事業の実施に際しては、障害者が障害の内容や程度にかかわらず、必要なサービスを自らが選択し、決定し、利用しながら、主体的に自己実現を図っていくことにより自立と社会参加の促進が図れるよう、自己決定や自己選択をする力を養うための支援、自己決定や自己選択を尊重し、保障するための支援の観点に立って推進します。

○事業の普遍化に向けて
 障害者の自立と社会参加を促進する障害者施策を充実することは、すべての人にとって豊かな社会を築いていくために有益であり、生活の質を高めるものであるなど普遍性を有するものであることを認識し、事業の企画、立案から実施にいたるまで、利用者である障害者を意識し、ニーズを聴きながら、多くの人の理解を求め推進します。

4 後期行動計画の重点事項

○権利擁護施策の充実
 施設、病院等における障害者に対する人権侵害に関わる事例の発生を踏まえ、職員をはじめひろく府民の人権意識の高揚を図るとともに、課題解決へ向けて関係機関等と一体となった取組みを行うことにより、人権侵害の未然防止に努めます。
 知的障害者や精神障害者などに対する権利侵害に対応し、その生活を支援する「大阪後見支援センター」については、府内の障害者の権利擁護の中核機関として積極的な事業展開を図ります。

○自立支援につながる施策の充実
 障害者の生活の質の向上を図るとともに尊厳をもって安心して生活を送ることができるよう、地域生活支援の充実、就労や社会参加の場の拡大を図ることにより自立を支援します。特に、障害者個人の適性と能力に応じた多様な就労の場の確保に向け、就労支援拠点の整備や公的な事業・施設等を活用した就労の場の拡大に努めます。

○重点的な啓発活動の推進
 障害者と障害のない者は同じ権利と義務を持つ府民であり、「完全参加と平等」を実現するため、障害や障害者に対する正しい理解と認識を深める一般的な啓発は、あらゆる施策分野のなかで、今後とも継続して推進します。
 また、今後の啓発にあたっては、「知的障害」や「精神障害」についての理解の不十分さや、「内部障害」、「難病」等の正しい認識の欠如など、障害の種別や程度によってはまだ理解が進んでいないという現状を踏まえ、行政をはじめ関係者が一体となり、重点的に理解や認識を深める啓発を行っていくことが重要であることから、障害者施策の推進が人権の尊重や平等な社会の実現に寄与するものであるとの認識に立って、「共に生きる社会づくり」を進めるため「行動」に結びつけていく啓発をめざします。

○防災対策の強化
 障害者が安心して地域で生活を送るためには防災対策の充実が不可欠であり、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、市町村や消防、警察、報道機関をはじめとする防災関係機関との連携の強化を図りながら、きめ細かな対策を推進します。
 また、避難所の周知や避難・誘導体制の整備、「福祉避難所(二次的避難施設)」の確保など、対策の強化を図ります。

○介護保険制度導入を踏まえた障害者施策の推進
 若年の障害者については、当面介護保険制度の対象とせず、これまでの制度に基づきサービスを提供することとなるが、介護保険制度のなかで実施される高齢者サービスと遜色のないものとするとされていることに留意し、これまで准進してきた経緯と障害者のニーズを的確に踏まえながら、サービスの量的拡大と質的充実に努めます。
 また、介護保険制度の対象となる障害者についても、介護保険制度により堤供
されるケアを中心としたサービスに併せて障害特性を踏まえたサービスの提供に努め、障害者の地域での自立生活と社会参加を支援します。
 平成12年度から施行される介護保険制度の円滑な運営に努めるとともに、介護を必要とする人の希望に沿った総合的な介護サービスを要介護者等が安心して利用できるサービス提供体制の整備を進めます。

5 後期行動計画の推進方策

○多様な主体による事業の推進
 事業の推進にあたっては、民間事業者、住民団体等の多様なサービス提供主体の参画を一層促進するとともに、当事者団体が行う障害者の自立促進に向けた事業を支援します。

○府と市町村との関係
 住民に最も身近な市町村において、多様化する障害者ニーズに対応したサービス基盤を総合的に整備し、実施することを基本とし、府は、国等と連携しつつ、先導的施策の企画・立案、専門的・広域的な施策の推進、市町村に対する包括的支援、市町村間及び障害保健福祉圏域間の調整等を行います。
 そのため、府内の全市町村で、地域の実態や多様なニーズをきめ紬かく把握し当事者の参画を得た市町村障害者計画が策定されるよう、指導・援助に努めます。

○障害保健福祉圏域に係る体制整備
 平成9年12月に定めた障害保健福祉圏域において円滑なサービスを提供するシステムづくりをめざし、市町村を中心とした関係機関からなる圏域ごとの調整会議の設置に向けて、調整・指導します。
 また、施設整備にあたっては、障害保健福祉圏域に配慮しながら身近で均質かつ重層的なサービスを提供できるよう、民間活力を活かした整備を進めます。
 既存の府立施設については、圏域ごとに整備される民間施設との役割分担を踏まえ、専門的・広域的サービスの提供に向けた再編を進めます。

○既存資源の有効活用、施策の優先順位
 地域の既存資源の有効活用を進めるとともに、障害者に配慮した公園や府営住宅の整備・運営など、行政の福祉化を進めます。
 また、大阪府は現在財政再建の途上であり今後とも厳しい財政運営が続くことが予想されるところから、事業推進にあたっては障害者のニーズを的確に把握し、限られた財源の効果的な配分に努めながら、当事者にとって緊急性の高いものから順次実現を図っていきます。

○当事者意見の反映
 今後とも、事業の総合的かつ計画的な推進を図るため、大阪府障害者施策推進協議会及び同当事者部会において施策の実施状況について報告するとともに、必要な事項の調査審議を行うなど、当事者意見の反映に努めます。

6 計画の期間

 後期行動計画は、「ふれあいおおさか障害者計画」の計画期間である平成5年度から前半5年間の実施状況を踏まえ、目標年度の平成14年度までの施策推進に向けた計画とします。
 なお、今後、法令の制定・改廃、関連する計画の策定・改訂、社会福祉審議会等関係審議会における答申などを踏まえ、必要に応じて内容に修正を加えるものとします。


主題:ふれあいおおさか障害者計画 後期行動計画 1999(平成11)年5月策定 -1頁~6頁-