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ふれあいおおさか障害者計画後期行動計画

新大阪府障害者計画後期行動計画

~すべての人が平等に暮らせる社会をめざして~

1999(平成11)年5月策定

大阪府

第2章 施策の展開方向

1 啓発と交流の促進

○ 障害者は権利と義務を持つ府民であり、「完全参加と平等」を実現するため、障害や障害者に対する正しい理解と認識を深めるための啓発活動を行い、府民全体で障害者を取り巻く諸課題の解決に努める必要があります。
 平成9年に実施した府民に対する世論調査では、これまでの啓発活動により障害や障害者に対する府民の理解や認識は徐々に向上しているものの決して十分であるとはいえない状況であり、引き続き積極的な取組みが必要です。

○ 障害者が自らの権利とその潜在的可能性を有することについての自覚を深めるための自己啓発とともに、社会参加活動等を支援していくことが重要です。

○ 日常生活のなかで、障害者と障害のない者が共に育ち、支え合う関係を深めることにより、府民一人ひとりが命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会づくりを進めなければなりません。障害者と障害のない者が相互に交流を深める機会の拡充を図り、障害者に対する差別意識や偏見などの解消に努める必要があります。

【課題】
(1) 啓発活動の推進
(2) 交流の促進
(1) 啓発活動の推進

 障害や障害者に対する正しい理解・認識を深めるため、行政、企業、労働組合、マスメディア、障害者団体など民間諸団体や障害者を含むすべての府民を対象とした一般的な啓発は、あらゆる施策分野の中で今後とも継続して推進します。
 とりわけ、広報を担当する職員等の理解・認識をさらに深めていくとともに、府民一人ひとりが障害者を取り巻く諸課題を身近な問題であると認識し、自主的に取り組むような「行動に結びつく働きかけ」や「環境づくり」を進めるなど、より効果的な啓発手法について検討します。
 また、障害者に対する偏見や差別、無理解を助長し、又は放置することにつながる「制度的なバリア(障壁)」を点検し、改善する取組みを進めます。

 地域住民の自主的・自発的な地域福祉活動への参加やボランティア活動を振興するため、府・市町村ボランティアセンターとの連携を強化するなど、積極的な広報・啓発活動を展開します。

 児童・生徒に対する「共に生きる」ことを学ぶ福祉教育の推進や障害者雇用に関する事業主・企業への啓発の強化など、学校や職場、地域社会、家庭における啓発活動を強化します。

(2) 交流の促進

 障害者と障害のない者が相互に理解・認識を深めるため、地域社会活動や行事などに障害者が地域住民として参加し、また、障害者施設などの活動や行事に地域の人が参加する機会の拡充など、交流・ふれあいの場の充実を図ります。
 特に、行政の関与する事業やイベントについては障害者の参加を促進するための配慮を行います。

 「障害者と共に生きるまちづくり」の実現に向け、公営住宅における知的障害者や精神障害者のグループホームの運営を推進します。

 学校教育などにおいて障害児と障害のない児童・生徒が共に育つ活動を推進します。

2 生活環境の整備

○ 障害者が利用しやすく、移動しやすいように公共施設や道路、交通機関、あるいは、デパート、飲食店などの利便施設に配慮を加え再整備することは、すべての府民にとって利便性の向上につながり、やさしいまちづくりを進めることであり、ノーマライゼーションの理念を具現化するための根幹をなす施策です。

○ 生活環境の整備にあたっては、「大阪府福祉のまちづくり条例」の理念に基づき、行政、民間事業者、府民が一体となって福祉都市・大阪の実現を図ることが重要です。

○ すべての府民が自由に安心して出かけられる福祉のまちづくりを進めるためには、障害者や高齢者に対応した建築物、交通機関等の整備を促進するとともに、段差の解消などを通じて移動の連続性を確保することが不可欠です。また、より一層福祉のまちづくりを推進するためには、障害者が日常的に利用する小規模な施設の整備・改善を図ることも必要です。

○ 障害者が地域で自立した生活を送るためには、その生活基盤となる居住の場を確保することが極めて重要です。また、視覚障害者や聴覚障害者、知的障害者は、その障害の特性から情報へのアクセスが大きな課題であり、的確かつ簡便に日常生活に関する情報などを利用できる情報アクセスの整備を進めるとともに、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、障害者に配慮した防災対策を充実する必要があります。

【課題】
(1) 福祉のまちづくり
(2) 環境の整備
(3) 情報アクセスの整備
(4) 防災対策の充実
(1) 福祉のまちづくり

 様々な場面で障害者の社会参加が促進されることが府民一人ひとりの障害者理解につながることから、ソフト・ハード両面でのバリアフリー化を進めることが重要です、府民一人ひとりが基本的人権を尊重し、お互いを大切にする心を育み、福祉のまちづくりを進めるため、物理的バリア(障壁)の除去に対する府民のより一層の合意形成と併せて、ボランティアの養成と活動の促進など障害者の自立と社会参加を支援する体制を整備・充実します。

 公共的施設はもとより民間施設においても障害者の利用を前提とした建築物の整備に努めるとともに、まちの段差など物理的バリアを除去し、移動手段の整備を促進します。

 新設・既設を問わず都市施設のすべてについて整備改善の努力義務を課している「大阪府福祉のまちづくり条例」の趣旨をいかし、事業者の協力を得ながら重点的な啓発や効果的な誘導を図ることにより、小規模施設についてより一層の整備・改善を進めるとともに、その進捗状況を点検の上、条例の見直しについても検討を行います。

(2) 住環境の整備

 障害者が地域で自立した生活が送れるよう、公的住宅や民間住宅のバリアフリー化を進めます。新たに建設する府営住宅については、できるだけ早期にすべての住宅を段差解消等と併せて便所や洗面所の面積拡大、給湯器の設置等を行った「あいあい住宅」とします。

 障害者の個別ニーズに対応した住宅の整備を行うため、車いす常用者のためのハーフメイド方式の特別設計住宅である「MAIハウス」の供給増を図ります。

 住宅改造の必要性について周知を図るとともに、改造費用の助成や技術的支援など住宅改造に対する支援施策の充実に努めます。

 民間賃貸住宅に入居しようとする際に障害があることや保証人がいないことを理由に入居制約を受けることがあることを踏まえ、家主や宅地建物取引業者の団体を通じて啓発を行うなど、入居制約の解消に努めます。

 グループホームなど多様な居住の場の整備を促進します。とりわけ、公営住宅法の改正に伴い、公営住宅を活用したグループホームの一層の促進を図ります。

(3) 情報アクセスの整備

 点訳奉仕員や朗読奉仕員、手話奉仕員・手話通訳員、要約筆記奉仕員などの人材養成事業については、府や市町村、民間団体の役割分担を明確にしつつ、量的拡大と質的充実を図ります、また、視覚・聴覚重複障害者については、指点字や指文字、触手話などの支援施策を推進します。

 字幕入りビデオや分かりやすい表現など障害特性を十分踏まえた情報提供の充実を図ることにより文化・情報面のバリアの除去に努めるとともに、パソコンや福祉機器などを活用した情報提供など、より効果的な情報アクセスの整備に向けた取組みを充実します。

(4) 防災対策の充実

 市町村等と連携し、「大阪府地域防災計画」に定める福祉的整備に関する基準を満たす避難所とするため、学校や公民館等の計画的な整備に努めます。また、地域の自主防災組織づくりに際しては、障害者をはじめとする当事者や福祉関係従事者等の意見が反映できるよう配慮します。

 災害時における地域で行う避難誘導や報道機関と連携した情報連絡体制等の整備について、障害者をはじめ災害弱者に十分配慮したきめ細かな対応が図れる体制づくりを推進します。また、プライバシーに配慮した安否確認の手法等について具体化に努めます。

 社会福祉施設の耐震診断や改修を促進するとともに、災害時に施設内の利用者等が安全に避難できるよう体制の整備を図ります。

3 育成・教育の充実

○ ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者と障害のない者が「共に生きる社会」を築き上げるため、幼少時から共に学び共に育つ教育に努め、障害児(者)に対する正しい理解と認識を深める啓発を行うことが重要です。

○ 障害者が地域で共に自立して生きていくために、自己選択・自己決定する力を養うための支援が「共に生きる教育」であり、障害のある子どもが、将来、社会のなかで共に生き、地域で暮らしていくことを当然の目標とし、本人や保護者の主体性や選択性を最大限尊重した多様な場を整備していくことが必要です。

○ 障害者一人ひとりが社会の一員として主体性を発揮し、生きがいのある生活を送れるよう、それぞれの障害の状況に応じた適切な療育及び教育を充実するとともに、生涯にわたり多様な学習の機会を確保する必要があります。

○ 保健・医療、福祉、雇用・就労などの関係分野や地域住民との連携を密にし、社会全体で障害児の健やかな育成を図らなければなりません。

【課題】
(1) 療育・幼児教育の充実
(2) 学校教育の充実
(3) 社会教育の充実
(4) 放課後(学校外)活動の充実
(1) 療育・幼児教育の充実

 障害のある乳幼児に対し、障害の種別や程度に応じ府域全体を対象に障害の早期発見と乳幼児からの早期療育体制を充実することにより、障害の軽減や健康の増進とともに健やかな成長を図ります。
 障害児と障害のない幼児が共に遊び、学ぶ機会の拡充に努め、双方にとって豊かな人格形成をめざします。

 障害児の保護者が、子ども家庭センター、保健所、教育センターや養護教育諸学校、地域における生活支援センターなどの幅広い社会資源を利用し、早期から療育や教育相談などを受けることができるよう、連続的な支援体制の整備とともに身近な場所で適切な療育を受けられる地域療育体制の整備を図ります。
 また、近年の障害の重度化の傾向を踏まえ、障害の状況に応じた専門的な療育についての相談や助言・指導、研修体制の充実に努めます。

(2) 学校教育の充実

 障害児がその可能性を最大限に伸ばし、将来、自らの選択に基づき自立した生活を送ることができるよう、その基礎・基本となる知識や経験を習得させます。また、「生きていく力」や「働く力」を育むための教育内容の充実に努めます。

 学校現場において障害のある子どもに対する差別やいじめが依然として存在していることを踏まえ、学校が豊かな人間形成の場となるよう、子どもの状況に応じたきめ細かな教育を推進します。

 障害児と障害のない児童・生徒が通常の学校で共に学ぶことを前提に、障害児を学校全体で受けとめ、障害の種別や程度に応じた教育上の配慮や支援を行いながら個人を重視したきめ細かな教育が行えるよう、小学校、中学校、高等学校及び養護教育諸学校における教育の充実を図ります。また、授業等においては、パソコン等の機器の導入を一層促進します。

 近年、養護学校高等部卒業生の就職状況が厳しくなっていることから、個々の生徒の状況に即した指導の充実や職場開拓の促進に努めます。

 障害者の高等教育機関への就学を確保するため、府立の大学における受験上の配慮を行うとともに、施設のバリアフリー化や教育設備の整備に努めます。

(3) 社会教育の充実

 障害者(児)を対象とした学習機会の充実を図るとともに、障害者と障害のない者が共に参加する学習機会の充実を図ります。

 府民が障害や障害者に対する正しい理解と認識を深めるよう啓発活動を促進します。

(4) 放課後(学校外)活動の充実

 放課後はもとより、完全学校週5日制に伴う土曜日や夏休み等の長期休業日における地域の活動に対する支援施策の充実を図るため、学校教育分野、社会教育分野及び福祉分野が連携を深め、地域の実情に沿った条件整備に努めます。

4 雇用・就労の充実

○ 働く意欲を持つ障害者が生産活動に従事することは、障害者の働く権利、自己実現、社会への貢献の観点から重要であり、障害者個人の適性と能力に応じた多様な働く場が確保されるよう、条件整備に努める必要があります。

○ 府内の民間企業における法定雇用率が現在においても達成されていない状況を踏まえ、事業主はもとより共に働く労働者に対して、障害者の雇用に関する啓発を行うとともに、働きやすい職場環境づくりを促進することにより、障害者雇用の促進と障害者の職業生活の質や労働福祉の充実を図り、職場定着の向上に努めることが重要です。

○ 障害者の自立した生活を支援するためには、障害者のニーズや障害の種別、程度などに対応した多様な職業能力の開発機会を整備するとともに、職業リハビリテーション体制を整備する必要があります。

【課題】
(1) 雇用の促進
(2) 就労の場の整備促進
(3) 職業リハビリテーションの充実
(1) 雇用の促進

 企業の障害者雇用に対する社会的責任について理解を深めるとともに、法定雇用率の早期達成に向けた啓発・指導を強化します。

 障害者に配慮した職域の開発や労働条件、職場環境の整備、適正な雇用管理など雇用機会の平等化が図られるよう、公共職業安定所の指導の強化や企業に対する各種助成金制度の活用など支援体制の充実を図ります。

 障害者の職場定着を促進するため、事業主や共に働く労働者に対する障害及び障害者の理解促進のための啓発とともに、職場内における職業生活を支援する人材の養成に努めるなど、労働条件面を含む職場生活の質の向上に向けた施策を充実し、雇用の安定を図ります。

 とりわけ、重度障害者の雇用を促進するため、企業と関係機関との連携をより一層強化し、総合的な取組みを推進します。

 地方公共団体においては、障害者の雇用を促進するとともに、障害者に適した職場開発と多様な選考方法による採用を進めます。

(2) 就労の場の整備促進

 福祉工場の整備、公的な事業、施設等を活用した就労の場の拡大など、障害者のニーズや適性、能力に応じた就労の場を確保します。

 就労の場の地域での展開を促進、支援するとともに、職域の拡大や在宅就労への支援を充実します。

 福祉的就労の場で働いている障害者の生活の安定を図り、就労意欲を高めるため、働く条件の整備に努めるとともに、授産施設などの機能強化や製品の販路拡大を促進します。

(3) 職業リハビリテーションの充実

 労働、福祉、教育などの関係機関が有機的に連携し、職業評価、職業指導から職業準備訓練、職業訓練、斡旋、アフターケアまでの一貫した職業リハビリテーション体制を整備します。

 市町村レベルにおいて、福祉部門と雇用部門の連携を図りながら、地域生活を支援しつつ、職業準備訓練、就職から職場定着にいたるまでの一貫した職業リハビリテーションサービスを提供する「障害者雇用支援センター」の設立促進に努めます。

 障害者が働き続けることができるよう、学校等教育機関における職業リハビリテーションの強化を図るとともに、公共職業安定所、職業能力開発施設、教育機関等が緊密な連携を図り、きめ細かくフォローするなど支援に努めます。

5 保健・医療の充実

○ 障害者が健康を保持・増進し、地域で安心して生活できるためには、生涯にわたる健康づくり施策が重要であり、二次障害の予防や疾病への対応など、乳幼児期から中高年齢にいたる各ライフステージに応じたきめ細かな保健・医療サービスの充実に努める必要があります。

○ 障害者の日常生活を支える一般医療や緊急医療を提供するとともに、難病患者や精神障害者の医療体制を充実する必要があります。

○ 障害者の自立と社会参加を促進するため、地域に密着した多様なリハビリテーション体制の充実を図り、障害に応じたプログラムが選択できるように整備を進めることが重要です。

【課題】
(1) 保健サービスの充実
(2) 医療サービスの充実
(3) 地域リハビリテーションの充実
(1) 保健サービスの充実

 健康を保持・増進するため、乳幼児期を中心とした健康診査や保健指導・相談事業を実施します。

 成人病の予防、早期発見のため、中高年齢者を対象に健康教育や健康相談、健康診査を実施するとともに、各ライフステージに応じたこころと身体の健康づくり活動を支援します。

(2) 医療サービスの充実

 障害者が必要とする一般医療や周産期医療、緊急医療、歯科診療を安心して受けることができるよう、人権尊重を基本に、プライバシーに十分配慮した医療体制の整備・充実に努めます。医療関係者に対して、人権意識の高揚を図るための研修などを通じ障害者理解を促進するとともに、障害者に配慮した医療の充実に努めます。

 精神障害者や難病患者の医療体制の整備を図るとともに、難病の原因究明と治療法の開発研究を進めます。

 精神障害者が必要なときに利用できる質の高い医療や休日・夜間における精神障害者の急性発症、急変に迅速に対応できる体制を整備します。

(3) 地域リハビリテーションの充実

 リハビリテーションは、単に障害者の運動機能の回復をめざす理学療法などを中心とした活動のみならず、すべてのライフステージにおいて、医療、教育、福祉、労働など多方面から障害の程度に即した適切な支援を行い、全人的な可能性の追求をめざす総合的な活動の体系であり、この一環として、リハビリテーション医療の充実、地域でのリハビリテーションの支援、さらに、障害者の多様なニーズに対応したリハビリテーションサービスを提供する総合的なシステムの整備を進めます。

 保健、医療、福祉の施策の有機的な連携を図るとともに、デイサービスセンターなどの整備を促進し、地域に密着したリハビリテーション体制の充実や、関係機関のネットワークづくりなどに努めます。

6 福祉サービスの充実

○ 障害者の福祉の向上は、行政のみの力によって達成できるものではなく、府民総参加による平等な福祉社会づくりのなかで社会全体の理解と協力を得てこそ達成できるものです。

○ 福祉サービスが必要になったときに、障害者をはじめすべての府民が等しく福祉サービスを受けることは権利であり、障害者のニーズの高度化・多様化に対応した種々のサービスを用意し、それらを利用者が選択できるよう充実していく必要があります。

○ 障害者施策の推進にあたっては、障害の有無や程度にかかわらず、すべての者が地域において普通に生活を送れるような社会を築くための条件整備や支援体制の充実を推進することが重要です。このような観点から、介助サービスのみならず、日中活動の場の整備や居住の場、相談や情報提供の場、スポーツ・文化などの社会参加の場や機会などが地域のなかで身近にあることが大切です。

○ 入所施設の利用を必要とする障害者のため、入所施設の整備を促進するとともに、利用者はそこに住み活動する生活者であり、地域での生活の一形態であるとの視点に立って、施設を地域における生活の場として運営していくことが強く求められています。

○ 精神障害者の地域生活を支援し自立につなげるためには、生活基盤の安定、住まいや活動、就労の場の確保、文化活動への参加などの広範な施策を総合的に展開することが必要です。
 また、難病患者に対しては、自立と社会参加を促進し、地域に根ざした日常生活を支援するための在宅介護施策などを積極的に推進するとともに、安心して医療を受けられる体制づくりを推進することが重要です。

○ 国において、第三者評価機関により福祉サービス内容を評価し、サービス提供者による改善を促進する仕組みを検討するなど、福祉サービスの充実にはサービス評価システムの導入に向けた検討が必要です。

【課題】
(1) 相談支援機能の充実
(2) 地域生活支援施策の充実
(3) 入所施設の整備、充実
(4) 日中活動の場の整備、充実
(1) 相談支援機能の充実

 福祉事務所、子ども家庭センター、身体障害者更生相談所、知的障害者サポートセンター、保健所など各相談機関の連携の強化を図るとともに、障害者(児)や家族が、市町村を単位とし、できる限り身近なところで総合的な相談が受けられるよう相談支援体制の整備に努めます。

 障害者の自立と社会参加を促進するため様々な相談に対し、主体的に問題の解決を図れるよう、適切な情報提供や助言等を行う「障害者110番事業」を実施し、大阪後見支援センター等の専門機関と連携した相談体制を整備します。

 「大阪後見支援センターについては、関係機関との連携を強化するとともに、相談体制の充実、事例の積み重ねによる救済システムの確立、権利侵害への予防的対応の強化等活動の充実などに努めます。

 国の動向を踏まえ、第三者機関によるサービス評価システムの導入に向けた検討を進めます。

(2) 地域生活支援施策の充実

 多様な社会生活訓練を充実するとともに障害者団体の活動を活性化するなど、地域福祉を推進するネットワークづくりを進め、障害者の自立支援体制を充実します。

 身体障害者、知的障害者及び精神障害者の地域生活を支援するため、障害保健福祉圏域において「障害者生活支援センター」の計画的な整備に努めます。

 障害者向けホームヘルパー・ガイドヘルパー派遣事業、在宅障害者短期入所事業、在宅障害者デイサービス事業などを充実するとともに、グループホームなどの整備を促進し、地域における自立生活支援のための基盤を強化します。
 また、グループホームについては、実態調査の結果を踏まえ、公営住宅の提供や重度障害者の入居を支える介助体制の整備、在宅障害者自活訓練事業の拡大に努めます。

 視覚障害者、聴覚障害者及び視覚・聴覚重複障害者に対して、点字、音声、手話通訳、要約筆記、指点字、触手話及び情報通信機器等による情報提供やコミュニケーション手段の確保について充実を図ります。

 障害者の日常生活能力を向上させる補装具や日常生活用具をはじめ介助者の負担の軽減にも資する福祉用具の充実、普及の促進を図ります。

 重度障害者や精神障害者、難病患者の地域生活支援に向けた施策の推進に努めます。

(3) 入所施設の整備、充実

 必要に応じて入所施設を利用できるよう、府単独の助成制度の活用などを図り障害保健福祉圏域において計画的な整備を促進します。なお、特に中高年齢者を対象とした施設については、高齢者施策との連携のもとに整備を進めます。

 施設運営や利用の仕組みの改正など、国における社会福祉基礎構造改革の動向を踏まえつつ、生活の質の向上を一層図るとともに、地域生活への移行を支援します。

 入所施設での生活プログラムについては、人権尊重を基本に、プライバシーに十分配慮され、利用者の自主性、主体性が重んじられるとともに、地域における通常の生活に近づけるなど、施設での生活の質の向上を図ります。

 入所施設は、地域社会における重要な社会資源であり、在宅障害者に対する地域生活支援機能の充実を図ります。

 障害者施設の建設等における「施設コンフリクト」については、「共に生きる社会」の実現に向けた人権教育・啓発を充実し、府民意識の醸成を図るとともに、国庫補助金の丼象となる精神障害者の社会復帰施設については「住民同意書」を施設助成条件としないなど、その解消に向けた取組みを強化します。

(4) 日中活動の場の整備、充実

 障害者福祉作業所については、行政施策を補完するものとしてその果たしている役割は非常に大きなものがあることを十分に踏まえ、認可施設への移行を今後とも推進するとともに、公共性の高いものについては地域支援施策のなかに積極的に位置づけ、多様化する障害者のニーズに対応するための貴重な社会資源として活用を図るなど、個々の作業所の実態に即したきめ細かな支援に努めます、
 また、障害児福祉施設や知的障害者援護施設を拠点として重症心身障害児通園事業の推進を図ります。

7 スポーツ・文化・国際交流活動の充実

○ スポーツ・文化・レクリエーション活動への参加の機会を確保することは、障害者の社会参加の促進にとって重要であるばかりでなく、生活の質の向上を図りゆとりや潤いのある生活を送るために不可欠であり、生涯学習の機会の場とその保障という観点で推進する必要があります。

○ スポーツは、自己の能力の開発や生きがいのため有意義であり、共に楽しむ生涯スポーツや記録に挑む競技スポーツの充実を図り、障害者をはじめすべての府民が生活のなかでスポーツ生活を楽しめる社会づくりを進める必要があります。また、保健・医療、福祉、教育などの分野とスポーツの連携を図ることにより、障害者の健康づくりを支援していくことも重要です。

○ 芸術を鑑賞したり、趣味や創作活動などを行う機会を充実するとともに、文化活動への参加を促進、支援することにより生活の質を高め、自己実現を図るなど文化面での一層のノーマライゼーションを進める必要があります。また、視覚障害者のための点字や聴覚障害者のための手話については、識字問題としての視点を踏まえることも重要です。

○ 国際社会の一員として、大阪府における積極的な国際交流の促進、国際協力の推進を図ることも重要です。

【課題】
(1) スポーツの振興
(2) 文化・レクリエーション活動の推進
(3) 国際交流の促進
(1) スポーツの振興

 スポーツ施設を障害者が利用できるように整備、充実するとともに、「ふれ愛ぴっく大阪」で高まった気運を背景に、障害者が「いつでも、どこでも、気軽に」参加できるスポーツ環境づくりを推進するなど、府民が一体となったスポーツ活動の基盤を整備します。

 「大阪府障害者スポーツ振興協会」を核として、スポーツ教室の開催、スポーツ指導者の養成、地域レベルでのスポーツ振興へのきめ細かな支援など、人びとが交流する府民の生涯スボーツの振興を図ります、また、スポーツをはじめ障害者の社会参加の促進を図るため、市町村障害者社会参加等総合補助事業の活用を促進します。

 「ジャパンパラリンピック水泳競技大会」の大阪開催など、記録に挑戦し、技を競い合う競技スポーツの振興を図るとともに、世界レベルのスポーツ大会に選手を派遣するなど活躍の場を拡充します。

(2) 文化・レクリエーション活動の推進

 各種のレクリエーション活動は、障害者が社会の一員として共に楽しみを享受できるよう、障害者の参加を前提として企画、実施する必要があり、適切な情報提供や外出・移動の支援、関連施設の物理的バリアの除去、障害者に配慮した設備の設置、ボランティア等人的支援の充実など、多面的な施策の充実を図ります。

 障害者が芸術・文化行事に参加する機会を拡充するとともに、展覧会や芸術祭の開催を支援し、文化活動への参加を促進します。また、障害者が集うレクリエーション活動を支援します。

 「大阪府障害者社会参加促進センター」は、障害者をはじめ広く府民が交流する場であるとともに、障害者の自立に向けた様々な情報や社会参加への機会及び活動の場を提供する「共に生きる社会」の実現をめざす中核的な施設として、全体計画の推進を図ります。

(3) 国際交流の促進

 障害者を含むすべての府民が、国際的な視野をもって障害者を取り巻く諸課題をとらえることができるよう、障害者団体が行う国際交流活動を支援します。

 国際的なスポーツや文化交流など障害者の国際交流活動への参加を促進します。

 「アジア・太平洋障害者の十年」の趣旨に則り、障害者を取り巻く諸課題に関する国際協力を促進し、国際社会の一員として障害者施策の推進に貢献するよう努めます。

 「国連・障害者の十年」記念施設が有する国際交流機能をいかし、障害者の文化・芸術活動の場の提供に努めます。

8 推進基盤の整備

○ 障害者施策を計画的に推進していくためには、その推進基盤を確立する必要があり、施策推進の基礎となる市町村障害者計画の策定が重要です。

○ 個々の障害者を支援する人材の養成や調査研究を推進していくことが重要です。

○ だれもが地域で安心して生き生きと暮らせるためには、府民をはじめ、事業者、民間団体などの自主的な地域福祉活動を積極的に支援する必要があります。

○ 本計画の推進にあたっては、福祉、保健・医療、教育、労働、生活環境など広範な分野の連携を図るとともに、市町村、関係団体等との密接な連携のもとに障害保健福祉圏域を踏まえた障害者施策の総合的かつ効果的な推進が必要です。

【課題】
(1) 市町村障害者計画の策定
(2) 人材養成の充実
(3) 調査研究の推進
(4) 地域福祉の促進
(5) 推進体制の整備
(1) 市町村障害者計画の策定

 地域における障害者施策を推進するため、すべての市町村において障害者基本法に基づいた市町村障害者計画の策定を促進します。

(2) 人材養成の充実

 ますます増大・多様化する障害者のニーズに対応するため、各種専門職や障害者関係相談員等の人材の養成・確保を図ります。また、府民が点訳奉仕や手話通訳奉仕をはじめ多様なボランティア活動に積極的に参加するための支援を行います。さらに、研修内容等の充実を図り、各種専門職、障害者関係相談員やボランティアの資質の向上に努めます。

(3) 調査研究の推進

 社会経済情勢の変化や科学技術の進歩を踏まえ、障害者施策のさらなる充実を図るため、各種専門領域の調査・研究を推進します。

(4) 地域福祉の促進

 大阪府福祉基金の活用などにより地域住民や障害者団体などの自主的な地域福祉活動を積極的に支援し、府民総参加の障害者福祉の活動の展開を促進します。

 市町村が住民に最も身近な地方公共団体として主体的に障害者施策に取り組むことができるよう、技術面、財政面における適切な支援を行い、総合的、計画的な地域福祉事業の展開を促進します。

(5) 推進体制の整備

 障害者の意見を尊重するとともに、市町村や関係機関、障害者団体等民間団体などとの連携を深め、障害者施策の立案及び推進を図ります。

 大阪府障害者施策推進協議会を活用し、障害者の参画により、障害者の意見を反映した総合的かつ体系的な施策の推進を図ります。また、市町村障害者施策推進協議会の設置を促進します。

 市町村施策の推進を図るため、障害保健福祉圏域ごとに市町村、関係機関からなる調整会議を設置し、調整・指導に努めます。


主題:ふれあいおおさか障害者計画 後期行動計画 1999(平成11)年5月策定 -7頁~23頁-