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島根県障害者対策ダイヤモンドプラン №2

-障害者対策に関する島根県新長期計画-

平成5年5月

島根県

第3節 教育・育成

教育・育成

  • 早期教育・就学指導の充実
    • 早期教育・就学指導の充実
    • 就学指導の適正化
  • 特殊教育諸学校の教育内容等の充実と条件整備
    • 教育内容の充実
    • 教職員の資質・指導力の向上
    • 教育環境の整備
  • 特殊学級の教育内容等の充実と条件整備
    • 教育内容の充実
    • 指導体制の充実
    • 適正配置と条件整備
  • 進路の確立
    • 進路指導体制の充実
    • 進路開拓の促進
  • 生涯学習の推進
    • 生涯学習推進体制の整備
    • 学習機会の充実

1.早期教育・就学指導の充実

現状と課題

 心身障害児の育成については、障害の早期発見はもとより、望ましい発達を促し、その可能性を最大限に伸ばすために早期療育及び早期教育の充実を図ることが望まれます。
 そのため、今後、早期療育・教育の一層の充実を図るためには、平成3年度から活動を開始した障害幼児の地域療育・援助システム事業の充実及びシステムと教育機関相互の密接な連携のもとに、総合的な指導を進めるとともに、管理職をはじめとする校内体制の整備、教員や保母の専門性を高めるための研修、施設設備の充実等に努めることが必要です。また、教育センター及び特殊教育諸学校における教育相談機能の整備、充実を図ることも必要です。
 心身に障害をもつ幼児の就学に当たっては、その障害の状態や発達段階、特性等に応じてよりよい環境で学校教育を受けることができるための適正な就学指導が実施されなければなりま
せん。
 そのため、現在、県及び市町村に就学指導委員会が置かれ、適正な就学や望ましい教育についての相談や指導が行われ、徐々にその成果があがってきています。
 今後は、さらに市町村教育委員会の就学指導体制及び県や市町村就学指導委員会の組織、運営の強化、適正な就学指導実施のための研修の充実を図るとともに、各市町村における教育相談機能の充実及び特殊教育諸学校のもつ教育相談機能の活用等に努めることが必要です。
  就学相談

★ 心身障害児巡回就学相談会
就学前の心身障害児の保護者に対して、県下数会場で7月~8月ごろに就学相談を実施します。
<問い合せ先>
各市町村教育委員会
島根県教育庁学校教育課特殊教育班
0582(22)5420
★ 県立松江教育センター
第3研修課では、心身障害児の就学相談等や諸検査を実施しています。
  •  相談の対象
    1. 幼児、盲学校、ろう学校、養護学校の児童生徒
    2. 保護者及び教育関係職員
  •  相談の内容
    1. 心理検査・発達検査の実施
    2. 養育に関すること
    3. 就学に関すること
  •  相談のしかた … 面接、観察、検査
  •  相談日 … 毎週、火・木・金
  •  申し込み方法 …「電話」で予約して下さい。
     〒690 松江市内中原町255-1
     TEL 0852(22)5862,5874
★ 県立盲学校・ろう学校・養護学校
 各学校では、心身障害児の就学相談や体験入学等を実施しています。申し込みは各学校へ連絡して下さい。
障害種別 学校名 学校所在地 電話 部・学科
盲学校 盲学校 〒690-01 松江市西浜佐陀町468 松江(0852)36-8221 小・中・普・理療・専
聾学校 松江ろう学校 〒690-01 松江市吉志町191-6 松江(0852)36-7222 幼・小・中・普・産技・専
浜田ろう学校 〒697 浜田市国分町342-2 浜田(0855)28-0146 幼・小・中・美工・被
養護学校 精神薄弱 松江養護学校 〒690 松江市西川津町31 松江(0852)26-6880 小・中・高(普)
出雲養護学校 〒699-08 出雲市神西沖町2485 出雲(0853)43-2260 小・中・高(普)
石見養護学校 〒696-01 邑智郡石見町中野3599-1 石見(08559)5-0319 小・中・高(普)
浜田養護学校 〒697 浜田市国分町342-2 浜田(0855)28-2200 小・中・高(普)
隠岐養護学校 〒685 隠岐郡西郷町有木16 西郷(08512)2-3593 小・中
肢体不自由 松江清心養護学校 〒690 松江市東生馬町15-1 松江(0852)36-8720 小・中・高(普)
江津清和養護学校 〒695 江津市渡津町772 江津(08555)2-2613 小・中
病弱 松江緑が丘養護学校 〒690 松江市上乃木町483-1 松江(0852)23-9500 小・中・高(普)
資料:学校教育課調
 

施策方向

(1)早期療育・教育体制の充実
  •  地域における心身障害児の早期療育を推進するために、心身障害児地域療育・援助システムの一層の充実を図ります。
  •  保育所における障害児保育や市町村におけるミニ療育の一層の充実を図ります。
  •  障害児の早期発見、早期教育の重要性から、市町村及び特殊教育諸学校や教育センターの教育相談機能の充実を図ります。
  •  幼稚園等での障害幼児教育の指導力の向上を図るため、心身障害幼児教育講座等の充実を図ります。
(2)就学指導の適正化
  •  市町村教育委員会の就学指導体制及び県や市町村就学指導委員会の組織や運営の充実を図るため、就学指導地方研究協議会、心身障害児就学指導担当者講習会等の研修内容を再検討し、指導の一層の強化を図ります。
  •  巡回就学相談事業を通し、保護者への適正就学に対する理解と協力を得るように努めます。また、巡回就学相談の対象者を学齢児童、生徒及び幼児まで拡大します。
  • 特殊教育諸学校における管理職、就学指導委員を中心とした就学指導体制の充実を図ります。また、体験入学、教育相談の推進を図ります。
  •  就学指導に関する資料を作成配布し、適正就学についての理解、啓発を促進します。

2.特殊教育諸学校の教育内容等の充実と条件整備

現状と課題

 盲・ろう・養護学校の児童生徒等の障害は、近年、重度・重複化、多様化し、今後の教育内容等の充実及び条件整備を考える場合、比較的軽度の障害児対策と重度・重複障害児対策の両面の諸施策を講ずることが必要になってきています。
 比較的軽度で単一の障害を持つ児童生徒等に対しては、通常の学級との交流を図りながら、豊かな心を持ち、可能な限り積極的に社会参加・自立する人間を育成することを目指した教育が必要であり、重度・重複障害児等に対しては、一人ひとりの障害の状態や程度を的確に把握し、その子どもの生涯を見通して教育計画を立て、様々な形での自立を促すためのきめ細かな教育が必要です。
 そのため、引き続き、学習指導要領の趣旨を踏まえての教育内容、教育方法の工夫改善、教育課程指導資料等の作成、児童生徒等の障害に応じた適切な指導が実施されるよう教職員の専門的知識、技能及び指導力を向上させるための研修の充実を図ることが必要です。
 また、障害児に対する教育機会の拡充及び障害の程度に応じた教育の場の確保など教育環境の整備については、ここ10年間で、養護学校5校に高等部を新設するなどその整備拡充に努めたところですが、引き続き、養護学校高等部の拡充などその充実を図っていくことが必要です。
  年次別盲・ろう・養護学校児童・生徒数の推移

年次 学校設置 盲学校 ろう学校 精薄養護学校 肢体不自由養護学校 病弱養護学校
M38 私立松江盲学校
T12 県立盲唖学校
S23 県立盲
県立ろう
45 121
S24 144
S25 50 158
S26 56 163
S27 66 202
S28 県立松江ろう
県立浜田ろう
96 267
S29 100 262
S30 106 277
S31 109 302
S32 112 316
S33 121 306
S34 142 302
S35 144 306
S36 141 295
S37 154 275
S38 松江市立養護学校
生祥学園
154 258 37
S39 129 246 42
S40 115 242 41
S41 松江市立清心養
松江市立生祥養
121 237 37 30
S42 江津市立江津養
県立松江清心養
125 225 118 34
S43 115 221 121 39
S44 119 210 129 50
S45 石見町立くるみ養 120 188 48 136 47
S46 115 188 65 145 41
S47 県立松江緑が丘養
県立松江清心養
118 178 78 143 60
S48 112 163 72 144 67
S49 県立出雲養 109 154 144 61
S50 県立松江清心養(高) 119 150 158 143 63
S51 110 141 156 139 66
S52 99 124 152 70
S53 100 116 151 157 62
S54 県立松江養
県立浜田養
県立隠岐養
県立江津清和養
96 106 236 152 80
S55 県立石見養 93 98 211 143 76
S56 86 96 224 142 78
S57 73 94 211 142 57
S58 95 209 143 72
S59 県立出雲・石見養(高) 60 89 237 148 65
S60 県立松江緑が丘養(高) 53 97 260 145 68
S61 68 98 278 135 82
S62 50 94 278 142 81
S63 50 92 269 146 77
H1 県立松江養(高) 43 82 291 150 73
H2 46 78 289 142 72
H3 県立浜田養(高) 37 78 308 137 54
H4 39 72 304 132 54


施策の方向

(1)教育内容の充実
  •  教育課程講習会、学校訪問指導などを通して、各学校の望ましい教育課程の編成に努めます。また、障害の程度や状態に応じた指導の形態、指導内容等の改善を図ります。
  •  一人一人の児童生徒の障害の程度や発達段階に応じた指導方法の改善や教材・教具の開発などに努めます。
  • 盲・ろう・養護学校高等部の学校種別に応じた職業教育の充実を図ります。
  •  各学校の教育内容・教育方法の充実を図るため、教育課程指導資料等を作成します。
(2)教職員の資質・指導力の向上
  •  島根県教職員研修計画に基づき、より内容の充実した研修の実施に努めるとともに、各学校現場における実践研究を奨励し、教職員の資質・指導力の向上を図ります。
  •  教職員の研修・指導体制及び教育相談機能の強化を図るため、松江教育センターの増改築の検討に合わせ、同センターへの特殊教育課の設置等も勘案し、特殊教育に関する組織、業務の見直しについて検討します。
  •  特殊教育内地留学制度の一層の充実を図るとともに、免許法認定講習を継続して実施し、教員の資質、指導力の向上に努めます。
(3)教育環境の整備
  •  養護学校高等部の教育機会の一層の充実を図るため、選抜基準の見直しを行い、重複障害学級の新設・拡充に努めます。
     また、教職員定数の確保に努めます。
  •  養護学校の設置については、施設連携を基調としながら、県全体の養護学校の設置状況や各地域の児童・生徒数の動向を踏まえつつ多方面からの検討を行います。
  •  教育環境の一層の充実を図るため、引き続き施設・設備の整備に努めます。

3.特殊学級の教育内容等の充実と条件整備

現状と課題

 小学校・中学校の特殊学級に在籍する児童生徒に対する教育は、その障害の程度が比較的軽度であることから、通常の学級との交流を図りながら、心身の障害の程度に応じた適切な指導を行うことを基本的なねらいとしています。
 現在、小学校、中学校には、精神薄弱、肢体不自由、病弱、難聴、言語障害、情緒障害など、障害の状態に応じた学級が設置されていますが、教育内容、教育方法の充実及び指導体制の強化が重要な課題となっています。また・各学校の難聴、言語障害、情緒障害特殊学級が通級による指導を取り入れ、他校の障害児の指導も行うようになることから、教室運営、教育内容、指導方法等の在り方の変更が求められ、専門的研修の必要性がより一層高まっています。
 そのため、指導法の改善や研修の充実などの対応を図っていくことが必要です。
 また、軽度心身障害児の教育の場として、特殊学級や通級による指導の場などの教育環境の整備を図ることも重要な課題です。一人一人の児童生徒の障害の程度や状態に応じた学習が適切に展開できるよう施設設備の充実、及び教員の適正配置などの施策を講じていくことが必要です。

市町村別特殊学級設置状況(平成3年5月1日現在)

市町村別特殊学級設置状況地図(平成3年5月1日現在)

施策の方向

(1)教育内容の充実
  •  教育課程講習会や学校訪問指導を通して、各学級の望ましい教育課程の編成に努めます。
     また、障害の程度や状態に応じた指導の形態、指導内容等の改善を図ります。
  •  一人ひとりの児童生徒の障害の程度や発達段階に応じた指導方法の改善や教材・教具の開発などに努めます。
  •  各学級の指導内容、指導方法の充実を図るため、教育課程指導資料等を作成します。
(2)指導体制の充実
  •  島根県教職員研修計画に基づき、障害種別を考慮した研修の充実に努めるとともに、教員の研修受講の機会を拡充し、資質・指導力の向上を図ります。
  •  管理職等に対し特殊教育への理解・啓発を行い、特殊学級を支援する校内体制の充実を図ります。
  •  特殊教育内地留学制度の一層の充実を図り、特殊教育担当教員の養成を図るとともに、免許法認定講習を継続して実施し、教員の資質・指導力の向上に努めます。
(3)適正配置と条件整備
  •  通級による指導を受ける児童生徒の実態把握に努め、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員の定数の標準に関する法律に基づいて、適切な教員配置を行います。
  •  特殊学級における指導の充実のため、養護学校教諭免許状所有者、特殊教育研修経験者等の確保と適正配置に努めます。
  •  障害の種別、程度に応じた適切な施設、設備の整備が図られるよう、引き続き支援します。

4.進路の確立

現状と課題

 障害のある生徒の進路としては、進学、一般雇用、福祉的就労、福祉施設入所、在宅、その他がありますが、近年、企業のコンピューター化に伴う職務の内容の急速な変化や企業全体の雇用率の低下などの社会情勢の変化とともに、児童・生徒の障害の重度・重複化傾向が進むなかで、特殊学級や特殊教育諸学校における進路指導は、より一層難しくなってきています。
 そのため、各学校における進路指導の充実が重要となりますが、特に養護学校においては、作業学習の充実、現場実習の促進、及び、基本的生活習慣の確立などの進路学習の充実を図りながら、卒業後の就労の場等において適切な対応ができる力を育てていくことが必要です。
また、特殊学級や特殊教育諸学校の進路指導においては、職場開拓や追指導の実施や福祉施設等の就労の場の確保なども重要です。そのため、教職員の進路指導に関する専門性を向上させるための研修の充実を図り、障害をもつ児童生徒の進路指導がより効果的に推進できるようにすることが必要です。
 さらに、障害児の実態に即した進路開拓を促進するため、進路指導連絡協議会等の充実や関係諸機関との密接な連携体制の強化はもとより、企業、事業所等一般社会の理解と協力を得るための啓発活動を積極的に推進することが必要です。
  <平成3年度 盲・ろう・養護学校及び中学校特殊学級卒業生の進路状況>

1 中学校(中学部)卒業生の進路状況  (単位:人)

学校\進路 卒業者数 進学 教育訓練機関 就職 施設 家庭等 その他
盲・ろう養高等部 高校 職業訓練校 専修学校 各種学校 授産施設
更生施設
児童福祉 家庭保護 病院
盲学校 3 3 - - - - - - - - - -
ろう学校 4 4 - - - - - - - - - -
養護学校 精神薄弱 34 18 - - - - - 6 9 - - 1
(作業所)
肢体不自由 14 10 2 - - - - - 2 - - -
病(虚)弱 3 2 1 - - - - - - - - -
特殊学級 49 21 - 2 - 1 16 8 - 1 - -

 
2 高等部卒業生の進路状況  (単位:人)

学校\進路 卒業者数 進学 教育訓練機関 就職 施設 家庭等 その他
盲・ろう養高等部
(専攻科)
高校 職業訓練校 専修学校 各種学校 授産施設
更生施設
児童福祉 家庭保護 病院
盲学校 11 4 - 1 - - 4 1 - - - 1
(自営)
ろう学校 8 1 - 1 - - 5 1 - - - -
養護学校 精神薄弱 44 - - - - - 24 14 3 1 - 1
(作業所)
肢体不自由 11 - - 1 - - 3 5 2 - - -
病(虚)弱 7 - - - - - - - - 1 6 -
資料:学校教育課
 

施策の方向

(1)進路指導体制の充実
  •  卒業後の社会的自立、職業的自立或いは生活的自立を図るため、作業学習、現場実習また養護・訓練等の学習の充実に努めます。
  •  進路指導について連絡協議する場の拡充に努め、進路指導の一層の充実を図ります。
  •  進路を選択する生徒の立場に立って、企業等の実態把握や情報収集を行うため、特殊教育諸学校の教員を実際に企業等に派遣して行う企業等研修派遣事業の推進を図るとともに、その派遣対象を特殊学級担当教員にも拡大するよう努めます。
(2)進路開拓の促進
  •  社会に密着した進路指導を推進するため、現場実習、進路開拓、追指導の一層の充実を図ります。
  •  高等学校、専門学校等への障害児の受け入れ体制の整備と、理解、啓発活動の推進に努めます。
  •  企業、関係機関との連携を一層強化し、実習先及び就労の場などの確保に努めます。
  •  医療、教育、福祉等の各機関との連携を強化し、重度・重複障害児の進路開拓に努めます。

5.生涯学習の推進

現状と課題

 島根県生涯学習推進構想(平成2年度策定)は、変化の激しい時代にあって、人々が社会において自主的かつ適切に対応し、豊かで生きがいのある人生を送るために、生涯学習の必要性と、県民が「だれでも、いつでも、どこでも」ライフステージに応じて学習のできる環境整備の方向性を示しています。
 すなわち、学校教育中心を改め、生涯学習体系への移行を進めるため、家庭教育、学校教育、社会の教育的機関の三領域の役割を明確にしつつ、それぞれの機能の整備充実を図るとともに、連携の強化が大切です。
 心身に障害のある人については、よりきめ細かい配慮が必要であり、障害者の学習が可能となる環境の整備と支援体制の確立のため、生涯学習機関の理解と一層の連携が必要です。
 また、障害者の地域活動、社会参加活動を促進する場として、障害を持つ人々と障害を持たない人々との交流を図る様々な事業の推進が重要です。
 さらに、障害者を含めた住民一人ひとりが社会の形成者として自覚し、仲間や地域の人々との連帯を深めるために、各種ボランティア活動などの充実を図ることが必要です。
  社会参加の状況

(人:%)
- よくいく ときどきいく いかない 合計
できればいきたい 興味がない
1 旅行 284(7.70) 1,308(35.85) 1,374(37.65) 686(18.80) 3,469(100.00)
2 障害者(児)の集い 293(10.55) 571(20.55) 718(25.85) 229(4.52) 2,778(100.00)
3 スポーツクラブ 160(6.27) 241(9.45) 574(22.50) 1,576(61.78) 2,551(100.00)
4 趣味の集まり 237(8.46) 427(15.24) 932(33.27) 1,205(43.02) 2,801(100.00)
5 博物館・映画館など 67(2.54) 411(15.56) 853(32.30) 1,310(4.52) 2,641(100.00)
資料:『島根県身体障害者実態調査」(平成4年)
 

施策の方向

(1)生涯学習推進体制の整備
  •  生涯学習関係機関、特に福祉関係団体、企業等との一層の連携を図り、障害者の生涯にわたる学習援助に努めます。
  •  視覚障害者、入院患者等に対する「声の宅配便」などの技術を学ぶ県民ボランティア研修の充実を図ります。
  •  少年少女サークル活動等の交流事業等において、障害者の積極的参加の促進を図ります。
(2)学習機会の充実
  •  公民館事業においても、講座、サークル活動等について、障害者との交流を一層推進するよう呼びかけます。
  •  しまね県民大学等講座の開設に当たっては、講座の選定、会場の設定等について、障害者に配慮したものとします。
  •  特殊教育諸学校における障害者に対する講座の充実を図ります。
  •  青少年の家など社会教育施設において、障害者との交流の場の拡大を図ります。

第4節 雇用・就業

雇用・就業

  • 職業能力の開発
    • 職業能力の開発の機会の確保
    • 技術者としての社会的認知
  • 雇用の促進と安定
    • 障害者雇用率達成指導の強化
    • 職業紹介・職業指導の充
    • 精神薄弱者等の雇用促
    • 重度障害者の雇用促
    • 雇用の奨励と啓
  • 福祉的就労の場等の整備促進
    • 授産の場等の整備
    • 利用者の処遇改善
    • 職親制度の充実

1.職業能力の開発

現状と課題

 障害者の自立というと一般的には、職業的自立をイメージするほど障害者にとって就業の問題は重要です。そして、障害者の安定した就業、職業的自立を促進するためにも、その能力や障害の状況に対応した職業能力開発の機会が確保されることが重要です。
 県においても、県立高等技術校等で行う各種職業能力の開発訓練の機会に障害者を受け入れるなど、職業訓練の充実が図られてきましたが、今後とも障害者の職業的自立を進めるため、公共職業能力開発施設等の施設・設備の整備が望まれます。
 また、障害の重度化・多様化傾向の中で、全国の能力開発機関等の紹介を行うなどの情報提供体制の整備も重要です。
 さらに、技能者としても社会的認知をすすめていく観点から、技能水準の目安となる技能検定の受検や全国大会への参加を奨励するなど、障害者の技能修得意欲の向上を図るとともに、障害者の職業能力を社会的にPRしていく必要があります。
  全国身体障害者技能競技大会参加状況

(単位:人)
年度\区分 57 58 59 60 61 62 63
和裁 1 - - - - - - - - -
洋裁 1 - 1 - - - - - - -
家具 - 1 1 - - - - - - -
建具 1 1 - - - - - - - -
広告美術 - - 1 - 1 1 1 1 1 -
写真植字 1 1 - - 1 1 - - - -
和文タイプ - 1 - - - 1 - - - -
日本語ワープロ - - - - - - - - 1 -
パソコン - - - - - - - - - -
4 4 3 - 2 3 1 1 2 -
昭和60年度、平成3年度は国際大会のため中止。
資料:労政能力開発課調
 

施策の方向

(1)職業能力の開発の機会の確保
  •  障害者の職業能力開発ニーズに応え、県内の公共職業能力開発施設への入校促進を図るため、障害に配慮した施設の整備を進めます。
  •  県内での能力開発が困難な障害者に対しては、全国の能力開発の情報提供を行うとともに、県外の国立職業リハビリテーションセンター等の公的職業能力開発施設への入所のあっ碇を行います。
(2)技能者としての社会的認知
  •  在宅・在職の身体障害者に対し、全国身体障害者技能競技大会(アビリンピック)への参加を積極的に働きかけ、技能者としての自信と誇りを持たせるとともに、技能検定の受検を促進します。

2.雇用の促進と安定

現状と課題

 障害者の雇用数は近年逐次増加し、本県の場合、実雇用率、法定雇用率達成企業の割合とも全国平均に比して高い水準を維持しています。
 しかしながら、未だ法定雇用率未達成の企業が多数あります。このため、障害者の雇用促進について、一層の啓発と法定雇用率達成の個別指導を強化する必要があります。
 障害者の雇用促進を図るためには、障害の種類、程度等に応じ、その能力に適合する職業に就き、それを継続していけるよう指導・援助するとともに、関係機関との密接な連携を図る必要があります。
 さらに、重度障害者の雇用の場の確保については、県内企業に理解を求めていく必要があります。
 また、一般雇用に就くことが困難な状況にある重度障害者のために、民間のノウハウを活かしつつ、経営の安定と地域経済との密接な連携を図るための重度障害者多数雇用企業の育成・指導が必要です。
  障害者の雇用状況

区分\年度 63
実雇用率(%) 1.95 1.99 1.92 1.92
雇用率達成企業の割合(%) 73.7 74.5 71.0 70.4
資料:職業安定課
 

地方公共団体における障害者雇用率

区分\年度 63
非現業 県の機関(%) 2.29 2.19 2.26 2.18
市町村の機関(%) 2.23 2.32 2.41 2.27
現業 県の機関(%) 0.00 0.00 0.00 0.00
市町村の機関(%) 4.38 3.69 3.46 3.07
資料:職業安定課
 

障害者職業紹介状況

区分\年度 63
登録者全数(人) 3,714 3,766 2,683 2,831
登録者全数(人) 有効求職者数(人) 248 319 298 279
新規求職者数(人) 515 469 523 500
就職者数(数) 309 261 260 299
資料:職業安定訳
 

施策の方向

(1)障害者雇用率達成指導の強化
  •  障害者の法定雇用率未達成企業に対して、身体障害者雇入計画作成命令制度の積極的かつ厳正な運用により法定雇用率の達成指導に努めます。
  •  障害者をあと一人雇用すれば、雇用率を達成する企業に対して、継続的指導を強化します。
  •  県市町村等の機関は、民間に率先して障害者雇用を推進する責務を有する立場にあることから、これらの機関に対して障害者を計画的に採用するよう指導します。
  •  求職者情報の整備充実を図り、積極的な情報の提供に努めます。
(2)職業紹介・職業指導の充実
  •  障害者の職業紹介・職業指導に当っては、公共職業安定所等や特殊教育諸学校並びに関係機関と密接な連携のもとに、雇用の促進を図ります。
  •  就職を希望する障害者の適性と能力の的確な把握について、島根障害者職業センターとの連携を深めます。
  •  障害者の雇用の安定を図るため、雇用継続のための助成制度等を活用するとともに、その職業的自立を促進するための、職業指導・職業訓練・職業評価等を始めとする職業リハビリテーションの充実に努めます。
  •  障害者を初めて雇用した事業所、重度障害者を雇用した事業所を中心に、公共職業安定所による訪問指導により職場定着に努めます
  •  障害者の職場定着を高めるため事業主が自主的に行う障害者職場定着推進チームの設置を支援し、その活動の育成を図ります。
(3)精神薄弱者等の雇用促進
  •  精神薄弱者等の雇用の促進を図るため、能力開発等条件整備対策を推進するとともに、助成金の活用等により、精神薄弱者等の雇用促進を図ります。
  •  精神薄弱者等の就労機会の確保を図るため、職業準備訓練等が実施される島根障害者職業センターとの密接な連携を図ります。
  •  精神薄弱者等の就労を促進するため、雇用、職業能力開発、生活の支援を行う各関係機関との連携システムを検討します。
(4)重度障害者の雇用促進
  •  民間企業における重度障害者の雇用を促進するため、地方公共団体も出資する第三セクター方式による重度障害者多数雇用事業所並びに重度障害者を多数雇用する事業所の設置及び育成を図ります。
  •  作業施設の設置、改善等にかかる各種助成金の有効活用を指導し、職場開発、職域拡大を図ります。
(5)雇用の奨励と啓発
  •  事業主の負担を軽減し、雇用を容易にする奨励制度、援護制度について周知と活用を図ります。
  •  障害者の雇用の促進と安定を目的とする事業主によって構成される島根県障害者雇用促進協会との連携を密にし、啓発事業及び納付金制度等の事業が効果的に実施されるよう指導・援助します。
  •  雇用促進運動を展開し、広く県民に対して積極的な啓発活動を実施します。

仕事の種類

仕事の種類グラフ

資料:『島根県身体障害者実態調査』(平成4年)
 

◆ 共同作業所年度別補助施設数

共同作業所年度別補助施設数グラフ

資料:青少年家庭課調
 

3.福祉的就労の場等の整備促進

現状と課題

 県内の身体障害者の就業率について見ると、身体障害者全体の就業率に比して、障害等級が1、2級の、いわゆる重度身体障害者の就業率は低い状況に留まっています。また、就労形態について見ても、自営業やパート就労者の割合が高く、就労しているとはいえ、不安定な状況下に置かれている障害者も少なくない現状です。
 こうした状況下において、一般的就労が困難な心身障害者が、訓練を受けたり働く場である授産施設、共同作業所などの役割は重要であり、その整備や運営への支援がなされてきました。
 今後も一般的就労が困難な障害者に対する就労を進める施策として、また社会参加を進める施策として、授産施設や共同作業所並びに職親制度は重要な役割をになっていくものと考えられます。このため、今後とも需要に応じた施設の整備等を図るとともに、適正な作業内容や快適で安全な環境に留意していく必要があります。
 また、授産施設においては、利用者の障害の重度化、重複化傾向等に対応した授産科目の選定などが求められており、利用者の処遇に配慮した授産施設のあり方について検討していく必要があります。
 さらに、重度身体障害者や精神薄弱者及び精神障害者の就労に当たっては、いわゆる「職住分離」の原則に立った生活面での支援が重要であり、福祉ホーム等の充実など生活環境の諸条件の整備が必要です。
  等級別にみた就労状況

(単位:人)
等級 就労している 就労していない 合計
1級 282
20.4
1,099
79.6
1,381
100.0
2級 249
21.8
893
78.2
1,142
100.0
3級 228
29.2
553
70.8
781
100.0
4級 392
41.2
559
58.8
951
100.0
5級 326
46.0
383
54.0
709
100.0
6級 266
42.5
360
57.5
626
100.0
不明 134
29.0
328
71.0
462
100.0
合計 1,877
31.0
4,175
69.0
6,052
100.0
資料:『島根県身体障害者実態調査』(平成4年)
 

施策の方向

(1)授産の場等の整備
  •  身体障害者授産施設における授産指導内容の充実を図るとともに障害者の高年齢化、障害の重度化、重複化傾向を考慮した授産種目の選定や開発等を図ります。
  •  住み慣れた地域において、身体障害者が働ける環境づくりを進めるため、通所による授産の場の設置を検討します。
  •  一般雇用に就くことが困難な障害者については、生活指導、健康管理等にも配慮した障害者の福祉工場について、その整備促進を検討します。
  •  精神障害者の社会復帰の促進及び就労の場を確保するため、社会福祉法人等が設置・運営する通所授産施設の整備を促進するとともに、県下の拠点施設としての県立精神障害者リハビリテーションセンターの整備について検討します。
  •  精神障害者共同作業所については、地域的なバランスや利用者状況を考慮した設置を促進するとともに、その充実を図ります。
  •  精神薄弱者授産施設(通所)の整備を促進します。
  •  心身障害者共同作業所の整備・充実を図ります。
  •  障害者へ居住の場を提供するとともに日常生活の援護等を行う、福祉ホーム、生活ホームの整備を促進します。
(2)利用者の処遇改善
  •  作業内容、作業環境、安全衛生等職場環境の充実を図ります。
(3)職親制度の充実
  •  精神薄弱者にとって職親制度は精神薄弱者の技術習得及び福祉的就労の場等として有効であり、充実を図ります。

主題:
島根県障害者対策ダイヤモンドプラン No.1 43頁~70頁

発行者:
島根県健康福祉部青少年家庭課

発行年月:
1993年05月

文献に関する問い合わせ先:

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TEL 0852-22-5111