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快適で活力あふれる岡山づくり

第5次岡山県総合福祉計画  No.6 岡山県

2 東備地方

東備地方は,山陽自動車道,明石海峡大橋,美作岡山間道路など広域交通網の整備がすすむなかで,京阪神や中四国地方との交流と連携によるさらなる発展の可能性が高まっている。 東備地方の振興にあたっては,県内はもとより京阪神や中四国地方の諸都市などとの交流の活発化を促進するとともに,交流の拠点となる施設の整備をすすめ,広域交通網整備によりもたらされるインパクトを生かした新たな交流文化圏の創造をめざす。 国道2号については,東備地方の発展と住民生活の利便性の確保に不可欠な課題として,その整備を促進する。 また,新幹線の新駅の設置に向けた機運の醸成をはかるとともに,地域住民の主要な交通手段である山陽本線,赤穂線については,利用促進をはかりながら,利便性の向上を関係市町と一体となって働きかける。 さらに,国際競争力のある高い技術力をもつ地場産業の育成,生活関連産業や先端技術産業分野の企業誘致,経営感覚豊かな農業者の育成,大区画ほ場整備をはじめとする農業生産基盤の整備を促進し,国際化時代に対応した産業の振興をはかる。 岡山セラミックスセンターについては,新技術,新製品の研究,開発などに向けて施設及び機能の拡充をはかる。さらに,研究者や技術者等の人材の確保と定着をはかるための広域的な拠点施設の整備について検討をすすめる。 窯業をはじめとする地場産業への新技術の導入,新製品の開発機能の強化などによる体質強化をはかるとともに,企業誘致に努め,新たな産業の創出,地域産業の高度化を促進する。 ほ場整備,農地の流動化等による大規模低コスト営農や地域の特性を生かした高付加価値型農業を推進する。特に,中山間地域では,棚田天然米,有機無農薬野菜の生産や米,ぶどう,キュウリ,花き,まつたけ等を組み合わせた複合型農林業を推進する。 さらに,吉井川中流県立自然公園,日生諸島,八塔寺ふるさと村,閑谷学校,備前焼の里などの多彩な地域資源のネットワーク化による広域観光ルートづくりや恵まれた資源を生かした新たな観光地の整備を促進し,自然と歴史・文化の調和した観光・文化ゾーンの形成をめざす。 この地方は,吉井高原,三保高原,日生諸島などの豊かな自然,八塔寺ふるさと村,閑谷学校,備前焼の里,両宮山古墳をはじめとする歴史文化遺産,さらには,オートキャンプ場,岡山農業公園など数多くの観光資源に恵まれており,近隣地域と連携した広域観光ルートの確立をはかるとともに,旧片上鉄道線路敷を活用した大規模自転車道の整備をすすめる。さらに,東備広域観光推進協議会との連携のもとに,県内外に向けて積極的な観光宣伝活動を推進し,観光・レクリエーションの振興をはかる。 また,農村型リゾート等都市住民との交流施設の整備を促進して,地域の活性化をはかる。

〔臨海性及び京阪神との近接性を生かした備前・日生地域の振興〕

備前・日生地域では,東備地方の中核としての備前市の都市機能の充実をはかり,伝統ある窯業をはじめとした地場産業の振興,京阪神や播磨地域及び中四国地方との交流の促進に努めるとともに,多島美を誇る瀬戸内海や世界的な文化財である閑谷学校などの恵まれた地域資源を生かした観光・リゾート地域としての発展をめざす。

  •  交通渋滞の著しい国道2号については,備前市の都市機能の充実と東備地方の総合的な発展をはかるため,立体交差化など抜本的な整備を促進する。 また,国道250号,主要地方道備前牛窓線,八塔寺ふるさと村や閑谷学校と日生地域とを結ぶ一般県道穂浪吉永停車場線,岡山ブルーラインへ接続する一般県道八木山日生線など幹線道路の整備をすすめる。
  •  東備港については,泊地,防災に配慮した物揚場及び防波堤の整備,航路のしゅんせつをすすめるとともに,日生地区での岡山産カキの流通拠点となる集荷施設及び加工場,特産物直販施設等の整備を促進し,物流・観光・漁業基地としての機能強化をはかる。
  •  備前市の都市機能の充実をはかるため,下水道,住宅団地,都市計画道路の整備をはじめ,市街地の再開発を促進するとともに,片上商店街については,大型店と共存できるよう,進入道路,駐車場等の周辺整備,個性的専門店への転換など中心商店街としての機能向上を促す。
  •  備前焼の振興をはかるとともに,伊部地区を中心に,旧山陽道の風情を生かし,回遊して散策できる「備前焼の里」の整備を促進する。
  •  全国屈指の備前テニスセンターを有する備前市総合運動公園の機能の充実や飲食宿泊施設など関連施設の整備を促進するとともに,全国的規模のテニス大会の招致を促す。
  •  窯業,海運業など伝統ある地場産業の振興に取り組むとともに,耐火物関連業については,岡山セラミックスセンターの機能強化をはかるとともに,これを核として,新技術,新製品の研究開発,異業種交流による新分野の開拓などにより,活性化をはかる。また,人材の確保と定着のための広域的な拠点施設の整備について,検討をすすめる。
  •  浜山干拓地へ研究開発型などの企業の誘致をすすめる。
  •  日生諸島については,歴史,自然景観をふまえ,自然保護との調整をはかりながら,魅力的な自然休養ゾーンとしての整備を促進する。鹿久居島については,古代体験の郷「まほろば」などとの有機的連携のもとに活性化をはかる。また,鹿久居島と頭島とを結ぶ生活道路の整備を促進する。
  •  臨海部,島しょ部にみかん園,花き園を整備し,青空市,魚市,遊漁等とセットにした観光農林漁業の振興に努める。
  •  農業基盤の整備をすすめ,「朝日」,「吉備の華」などの優良米,いちじく,大粒系ぶどう,イチゴ,トマト,小ねぎ,花き等の生産振興をはかる。また,備前市の野菜,日生町のみかんなどの有機無農薬農産物の生産団地化等高付加価値型農業をすすめる
  •  頭身漁港,穂浪漁港の改修等により漁業基盤を整備するとともに,魚礁の設置,干潟,藻場の造成等漁場環境の整備をすすめる。また,カキ養殖,クルマエビ,ガザミ,ナマコなどの稚苗放流等つくり育てる漁業を推進する。

〔清流と高原を生かした北部地域の振興〕

吉井町,吉永町,佐伯町,和気町からなるこの地域では,高速交通網へのアクセス道路の整備,高原としての自然条件や岡山農業公園を生かした特色のある農林業の振興,観光資源の開発,若者の定住策などを促進し,活力ある都市と農村の交流地域としての発展をめざす。

  •  美作岡山間道路,広域農道備前東部地区の建設をすすめるとともに,山陽自動車道や岡山空港へのアクセス道路として,国道374号,同484号,主要地方道岡山赤穂線,同赤穂佐伯線の整備を推進する。 また,和意谷池田家墓所,八塔寺ふるさと村,八塔寺川ダム公園などの観光資源を有効に活用するため,一般県道都留岐吉永停車場線,同吉永南光線などの整備を推進する。
  •  吉井川,初瀬川など主要河川の改修を行うとともに,森林の維持,造成等の治山・治水事業を推進する。
  •  住民参加による河川の美化や水質の浄化運動を展開するほか,金剛川の水質保全,吉井川の河川敷を活用した親水公園などうるおいのある河川環境の整備を推進する。また,下水道事業,農業集落排水事業の促進,合併処理浄化槽の普及などにより快適な生活環境づくりをすすめる。
  •  吉井町,佐伯町への企業進出にあわせ,雇用促進住宅,住宅団地の整備を促進し,職住近接型の居住空間の形成をはかる。
  •  吉井川中流県立自然公園,岡山農業公園,オートキャンプ場,自然保護センター,八塔寺ふるさと村などを核に,佐伯町のりんご園,和気町の藤公園,すもも園などと連携させた自然豊かな広域観光・レクリエーションネットワークづくりをすすめる。
  •  「吉備の華」,「おとめごころ」,「コシヒカリ」や棚田天然米の生産振興をはかるとともに,吉井町のキュウリ,大粒系ぶどう,加工用ぶどう,スイートピー,佐伯町のりんご,トルコギキョウ,実さんしょう,和気町のすもも,かりん,吉永町の有機無農薬野菜などの産地拡大と生産団地化を推進する。また,和気町で大区画ほ場整備を推進するとともに,和気町の肉用牛,吉永町の養鶏の生産振興をはかる。
  •  吉井町,吉永町のスギ,ヒノキなどの人工造林地の保育,松くい虫の防除,天然林の整備,広葉樹林の育成などによる山地の保全をはかるとともに,抵抗性マツによる松林の再生と普及のため,和気町に展示林を設置する。また,まつたけ,しいたけ,クリ等の林産物の生産振興を促進する。

〔都市近郊の特色を生かした西部地域の振興〕

瀬戸町,山陽町,赤坂町,熊山町からなるこの地域では,文化施設,公園,下水道の整備など快適な環境づくりをすすめるとともに,企業の誘致,農業生産基盤の強化をはかり,美しい農山村の風情と都市機能とが調和した地域としての発展をめざす。

  •  美作岡山間道路,広域農道備前東部地区の建設をすすめるとともに,主要地方道岡山吉井線,同西大寺山陽線など幹線道路の整備を推進し,山陽インターチェンジ及び岡山国体主会場をはじめ岡山方面への交通の円滑化をはかる。また,主要地方道岡山赤穂線及び一般県道町苅田熊山線の自転車歩行者道の整備をすすめる。
  •  熊山工業団地及び瀬戸工業団地への企業誘致を積極的にすすめ,雇用の場づくりと地域産業の活性化に努める。
  •  文化施設,公園,下水道など都市施設の整備充実,県営山陽団地の改修をはかる。また,砂川,小野田川などの一級河川の改修をすすめる。
  •  山陽町から岡山市中牧へつながる生活・産業関連道路の整備をすすめるともに,ほ場整備や農地の流動化により大規模低コスト営農を推進する。
  •  米は「朝日」,「吉備の華」及び酒造好適米「雄町」の作付けを推進し,良質米の産地としてのブランドを確立するとともに,赤坂町内の大規模な工場で炊飯し,京阪神に向けて売り出し,米の消費拡大をはかる。また,熊山町を中心に,黒大豆の生産振興をはかる。
  •  高品質のもも,大粒系ぶどうの生産振興をはかるとともに,山陽町のあたご柿及び新高梨,赤坂町のパスクラサン,熊山町の新高梨の生産団地化をすすめる。
  •  軟弱野菜,ダイコン,キュウリ,黄ニラについて,瀬戸町及び山陽町を中心に,また,ナスについて,赤坂町を含めた地域で生産振興をはかる。
  •  瀬戸町,山陽町,熊山町のカーネーション,洋ラン,スイートピーなどの生産団地化をはかるとともに,新品目,新品種の導入等により花き栽培農家を育成する。また,マスカット,ピオーネ,黄ニラ,スイートピーなどの高速流通型農業の振興をはかる。
  •  瀬戸町,山陽町,熊山町では,高能力牛の導入による酪農振興をはかる。

3 倉敷地方

倉敷地方は,広域高速交通網の結節点としての有利性の効果を最大限に生かし,県内はもとより,瀬戸内沿岸に連たんする諸都市,さらには,山陰,南四国,近畿との連携強化をはかりつつ,高次都市機能の整備に積極的に取り組み,中四国の新たな経済文化圏の一翼を担う拠点圏域としての役割を果たしていかなければならない。 まず,国内外から人びとが訪れ交流する,観光おかやま,文化県おかやまの顔としての役割を担い,世界の瀬戸大橋と多彩な景観,豊かな歴史的遺産と新しいタイプの都市型公園「倉敷チボリ公園」が融合する国際観光芸術文化ゾーンの形成をめざす。 瀬戸大橋,倉敷チボリ公園を滞在・周遊型の観光の拠点として,周辺観光地との連携強化をはかりながら,観光関係者,住民などが一体となって新たな広域観光ルートや滞在型観光ルートの創設に努める。 中国横断自動車道岡山米子線の開通により,日本海から太平洋につながる西日本中央連携軸と中国地方を東西に貫く西日本国土軸が交差する一大結節点として,人,もの,情報の集積が促進され,倉敷地方の重要性は,ますます高まることから広域的な地域間の連携や,機能分担により,多様な産業展開や各種交流施設のネットワーク化など,中四国の経済文化の中核拠点にふさわしい社会システムの構築が必要となってくる。このため,倉敷チボリ公園の整備や中四国随一のグレードを誇るマスカットスタジアムを核とする倉敷スポーツ公園の多角的活用,コンベックス岡山に代表されるコンベンション施設の充実による国際会議や国際見本市の開催,宿泊施設の拡充など,国内外からの人びとがつどい交流する条件を整える。 流通面からは,岡山県総合流通センターの機能の充実をはかり,また,水島港玉島地区に造成している人工島に国際物流ターミナルを建設し,国際定期コンテナ航路の開設,アクセス道路の整備,背後地の輸出入促進基盤の整備等をすすめる。 水島臨海工業地帯を支える鉄鋼,石油化学,自動車などの基幹産業については,時代の潮流をとらえた多角的な事業展開や地場企業へのさらなる支援が期待される。 また,新素材,新技術による高付加価値製品の開発や人材養成を目的とした倉敷ファッションセンターの利用を促進し,繊維業界の活性化をはかる。 勤労者の教養・文化・福祉の向上,健康増進を目的とした勤労者総合福祉センターの整備をすすめるとともに,水島臨海工業地帯に働く研究者,技術者が気軽に利用できるオアシスとして水島サロンの整備をすすめるなど,若者の交流や水島への定着を促進し,産業の高度化とそれを支える人材養成,都市的機能の充実をはかる。 さらに,岡山県立大学や川崎医科大学,倉敷地域へ相次いで開学した私立大学など高等教育・研究機能の集積を生かし,感性豊かで創造的な人材の育成や人材交流,公開講座など地域への開放を一層すすめ,生涯学習の拠点地域としての機能充実に努める。

〔中四国の観光文化拠点,倉敷市街地及び近郊地域の振興〕

倉敷市街地においては,美観地区や建設中の倉敷チボリ公園をはじめとした中四国の中枢拠点都市の中心街にふさわしい,文化,観光,芸術,業務,商業等を中心とする高次都市機能の集積をはかる。 近郊地域においては,倉敷スポーツ公園を中心としたスポーツ・レクリエーション情報の発信,川崎医科大学と川崎医療福祉大学を核とした医療・福祉の充実,物流,情報,健康を柱としたまちづくりなど,それぞれの特長を生かした計画的な地域整備をすすめる。

  •  倉敷市街地では,倉敷の文化的イメージと調和をはかりつつ,情報,サービス,業務,研究開発,卸売機能の充実や商業集積の拡充強化など,多様で質の高いまちづくりを促進する。このため,駅北地区の体系的な整備や関連道路網の整備,駅周辺の区画整理事業及び連続立体交差事業による南北市街地の一体化,駅南東地区の市街地再開発事業など,都市基盤の整備と高次都市機能の集積をはかる。さらに,市街地の拡大にあわせ,公共下水道の整備を促進するとともに,倉敷川水系の河川環境整備をすすめ,自然環境と調和した親水空間の形成をはかる。また,山陽自動車道,岡山空港,吉備高原都市へのアクセス道路としての国道 429号や市街地の環状道路の役割を果たす都市計画道路生坂二日市線や岡山・倉敷間を連絡する都市計画道路富本町三田線などの幹線道路の整備をすすめるほか,中四国の広域交通網の拡充に欠かせない動脈として,中四国横断新幹線の整備を促進する。
  •  倉敷川河畔の白壁,堀割,柳並木と大原美術館に象徴される伝統的建造物群が立ち並ぶ美観地区の面的な拡大や大橋邸をはじめとした倉敷を代表する町家の保存,整備などをすすめることにより,新たな観光ポイントの創出をはかる。
  •  新しいライフスタイルの創造をめざして子どもからお年寄りまであらゆる世代の人びとが憩い楽しめる,文化性とアミューズメント性を兼ね備えた新しいタイプの都市型公園として倉敷チボリ公園を整備するとともに,圏域に点在する観光施設との有機的連携をすすめることにより,滞在・回遊型の観光拠点をめざす。
  •  国際会議や修学旅行など大量で多様な需要に対応するため,宿泊施設やコンベンション施設等の充実整備を促進する。また,倉敷音楽祭などの文化事業の開催や倉敷を訪れる人びとを温かくもてなすウェルカムガイドの充実,花いっぱい運動など市民活動の活発化,ホームステイの紹介を含む総合観光情報サービス機能の強化など,国内外から訪れる人びととの交流を通じて,国際的な視野に立った質の高い地域文化を育成する。
  •  地場産業の高度化をめざし,少量・高付加価値製品の開発によって「倉敷ブランド」としての商品イメージを定着させるため,製造部門とデザイン・企画部門との異業種ジョイントを前提に豊かな自然環境を生かした新しいタイプの工業団地の整備を促し,創造性あふれる企業の活性化を支援する。
  •  中庄・庄地区においては,倉敷スポーツ公園マスカットスタジアムの多角的な活用をはかるため,プロ野球公式戦や全国規模のスポーツ大会の誘致をはかるとともに,各種イベントを開催する。あわせて,周辺の道路整備や中庄駅北広場の整備などアクセスの向上をはかる。 また,川崎医科大学,川崎医療福祉大学を中心に医療・福祉等の研究学園エリアの形成を促すほか,緑豊かで快適な空間をもつ都市型住宅,商業集積ゾーンの整備をすすめる。
  •  早島町においては,物流と情報の拠点性を生かすため,早島インターチェンジを軸に岡山県総合流通センター,コンベックス岡山などの大規模施設へのアクセス道路の整備をすすめるほか,総合流通センター内に勤労者の福祉向上等を目的とした勤労者総合福祉センターを建設する。また,健康づくり,福祉,文化,生涯学習など多岐にわたる機能をもつ複合施設「ティアス早島(仮称)」の整備を促進し,物流情報基地と健康づくり先進地の顔をあわせもつまちづくりをすすめる。若宮地区での「地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり」事業の定着と町域全体への拡大をめざして指導,援助に努める。
  •  農村地域における稲作については,用排水対策など生産基盤を整備し,農作業の受委託や機械の効率的な利用により,生産コストの低減をはかる。野菜については,高品質化を基本として,大都市近郊という地理的条件を生かした軟弱野菜などの生産振興をはかるとともに,市民農園等の整備拡充をすすめる。果樹については,ももなどの高品質化をさらにすすめ,新規栽培者の掘起こしに努め,産地の拡大をすすめる。

〔産業の高度化と都市機能の充実をめざす水島地区の振興〕

水島地区においては,水島臨海工業地帯が基礎資源型産業の量産拠点として厳しい経済環境のなかでファクトリーオートメーションシステムやプラント保守システムなど独自のノウ・ハウと情報処理技術を組み合わせて商品化をはかるなど新たな分野を開拓しながら岡山県産業の先導的な役割を果たしてきている。今後も,立地企業において集積されたハイテク技術を生かして,一層の産業の高度化をはかりつつ,地区内外の地場企業との連携を強化していくことが期待される。また,安全で快適な生活環境を確保するため公害防止等に努めるほか,地震などに対応した防災対策をすすめる。

  •  地場中小企業の育成強化や受注あっせん等により地場中小企業の活性化をはかるとともに,岡山県の基幹産業であり,水島臨海工業地帯を支える鉄鋼,石油化学,自動車産業等については,新たな分野開拓や地場企業への技術移転等の支援が期待される。
  •  水島臨海工業地帯で働く研究者,技術者たちの定着を促進するため,交流や情報交換,健康づくりの場として水島サロンを整備し,食事やスポーツ,情報などさまざまな機能が備えられた憩いとふれあいの交流拠点として活用をはかる。また,水島地区の活性化とまちづくりの拠点施設として多目的ホールを備えた「水島文化センター」の整備を促進する。
  •  ライフパーク倉敷については市民の自主的な生涯学習活動を支援するため講座内容の充実をはかり,また,倉敷芸術科学大学では公開講座など地域に向けてのさまざまな取組みを通じて市民との交流をはかる。
  •  水島地区と玉島,倉敷地区を結ぶ国道430号及び一般県道倉敷西環状線並びに工業地帯と背後の住居地帯を分離して緑地と街路を一体的に整備する都市計画道路岡崎東塚線の早期完成をはかる。
  •  水島商店街については,臨鉄栄町駅前を中心に,児童公園,八間川を生かした自然とのふれあいや花と緑,水辺空間などをテーマとした「せせらぎ公園」の整備など,「みなとパークモール構想」の具体化をはかり,うるおいのある都市景観と憩いの場づくりをすすめる。
  •  水島港については,航路しゅんせつ等の港湾改修を推進し,機能の充実をはかる。また,コンビナート南端の水島産業廃棄物処分場については,埋立ての進行にあわせ,時代のニーズにふさわしい活用方策の検討をすすめるとともに,完了部分は暫定的に県民利用施設を整備する。
  •  水島港とオーストラリアのアデレード港との姉妹港交流を推進するとともに,水島立地企業による海外技術研修員の受入れなど国際交流・協力をさらにすすめる。
  •  農林水産業については,都市近郊の条件を生かし,「朝日」等の優良米をはじめ,イチゴ,れんこん,ホウレンソウ,ごぼうなど,野菜の特産地づくりをすすめるとともに,都市住民とのふれあいを基調とした市民農園等の整備をはかる。

〔港,町並み,丘陵を生かした玉島地域の振興〕

玉島地区と船穂町については,山陽自動車道へのアクセス道路や,国際物流拠点としての港湾機能の整備をはかるとともに,柳井原堰の建設促進,歴史的町並みの保存整備,さらには,くらしき作陽大学の立地による地域との文化交流の推進など,多角的で均衡のとれたまちづくりをめざす。

  •  新倉敷駅及び玉島インターチェンジ周辺については,駅南を中心とした大規模な土地区画整理事業を促し,住宅地,商業地の一体的な整備を行うほか,国道2号玉島バイパス,主要地方道倉敷笠岡線,都市計画道路堀貫線などの幹線道路の整備を行い,倉敷の西玄関口にふさわしい都市機能の充実をはかる。
  •  水島港玉島地区については,港湾施設の整備とあわせて商港機能の充実をはかるため,航路泊地のしゅんせつ土により人工島の造成を行い,公共ふ頭や工業,流通業務機能などの都市再開発用地,公園緑地等への活用をはかるほか,背後地における輸出入促進基盤の整備をすすめる。
  •  港湾で取り扱われるコンテナ貨物の増加に対応し,水島港外貿コンテナターミナルについては,アジア地域を対象とした国際物流の拠点として整備する。
  •  玉島市街地には,江戸時代の多くの商家,蔵が軒を連ねた港町の風情が残されており,これらの歴史的町並みを保存復元していく。特に,武家屋敷「西爽亭」は郷土資料館や音楽鑑賞等のイベント会場として多目的な利用がはかられるよう整備を促進する。さらに,名僧良寛が修業した円通寺の公園内に,名誉市民である池田揺邨画伯の作品を常設展示する美術館を建設し,ゆとりとうるおいのあるまちづくりをすすめる。また,溜川の改修とあわせ,通町をはじめとする商店街の活性化をはかる。
  •  玉島沿岸部の一般県道玉島黒崎金光線の早期完成をめざすとともに,沙美地区では,漁港機能の整備・充実,親水性護岸,養浜などの漁港環境整備に努める。南浦地区については,海辺とふれあえる美しい景観をもった海岸に整備し,海洋レクリエーションの振興をはかる。さらに,柏島地区については,プレジャーボート活動の健全な発展と秩序ある水域利用をはかるため,係留保管施設を整備する。
  •  高梁川水系下流地域の治水・利水対策については,下流受益市町とともに柳井原堰の建設を促進し,堰と一体となった周辺整備をはかる。また,高梁川の豊かな自然環境を後世に残していくため,景観整備構想を策定し,河川環境の整備をすすめる。
  •  船穂町については,「テクノ・クリーンタウン構想」のもと,北部では柳井原地区の再開発,堰の整備,南部には工業団地と農業公園を計画し,これらが一体となった振興をはかる。
  •  玉島北部及び船穂町の丘陵地については,農地の遊休化がすすんでいるため,農道整備,かんがい施設整備等により農地の有効活用に努めながら,光センサーによる新しい選果システムを活用した品質保証の「こだわりの桃」産地の拡大をはかるとともに,高品質なマスカット,スイートピーのブランド化を推進する。また,弥高山周辺地区を中心にゆとりと環境保全に配慮した畜産の振興をはかる。
  •  くらしき作陽大学においては,若い感性と熱意あふれる人材の育成とあわせ,一流演奏家による招待演奏会,定期演奏会,公開講座の開講など,地域と密着した文化交流を促進する。また,教育・文化・生涯学習の拠点として期待が寄せられていることから,その効果を広く地域に生かし,大学を中心とした魅力的で活力あふれるまちづくりをすすめる。

〔瀬戸大橋周辺の観光資源と産業の活性化による児島地区の振興〕

瀬戸大橋の玄関口である児島地区については,橋の景観と多彩な島しょ美,点在する港などの水辺空間,下津井の歴史的町並みなど豊富な資源を生かした観光,レクリエーションの振興をはかる。また,瀬戸大橋線児島駅周辺を中心に,繊維産業の活性化をめざしたファッション等の産業情報発信拠点の整備,公共下水道や住宅など総合的な都市基盤整備,高等教育機能の整備をすすめ,瀬戸大橋を軸とした新たな経済文化拠点の形成をめざす。

  •  瀬戸大橋を観光資源として最大限に生かすため,由加山,鷲羽山,下津井など周辺の観光地や美観地区,倉敷チボリ公園,さらに,吉備路といった管内の観光地との連携強化を促進するほか,自然景観に配慮しながら,瀬戸内海の景観を眺望できる瀬戸内沿岸道路計画の具体化をはかり,周遊性のある観光ルートの整備に努める。また,瀬戸大橋へのアクセス道として,国道430号,主要地方道岡山児島線等の整備を推進する。また,海上道路構想については長期的な視点から検討をすすめる。
  •  全国的にも上位のシェアを誇る繊維・服飾産業については,今後とも国内外の競争力を失わず,継続して発展を続けるために,新素材,新技術の研究開発,デザイナーの養成による企画開発力の向上をはかり,多様なニーズに対応した付加価値の高い製品の開発をすすめるほか,情報発信拠点施設としての倉敷ファッションセンターの利用の促進をはかり,業界の活性化を促す。
  •  児島駅周辺については,味野商店街などの既存市街地と瀬戸大橋架橋記念博物館などの文化施設との連携をはかりながら,観光・リゾート施設,特色ある飲食街,都市型ホテルの誘致など,未利用地の整備も含めて,一体的,総合的な整備をすすめ,瀬戸大橋の玄関口にふさわしい都市機能の早期整備を促す。また,増大する海洋性レクリエーション需要に対応するため,倉敷地区マリーナの整備並びに小型船対策等の施設整備をすすめる。
  •  鷲羽山,下津井地区では,交流・観光施設「むかし下津井回船問屋」を核に一帯の町並みを保存し,荻野美術館などの歴史的文化施設との連携をはかりながら,魚島フェスティバルや下津井節全国大会など,特色あるイベントを定着させ地域の活性化を促す。下津井電鉄軌道跡地を利用した歩行者・自転車専用道「風の道」を整備する。下津井を中心とした観光資源の一体的な連携をはかり,文化,歴史,観光の拠点づくりをすすめる。六口島については,「青少年の島」として青少年の健全育成のために,一層の活用をはかる。
  •  鷲羽山,下津井地区では,交流・観光施設「むかし下津井回船問屋」を核に一帯の町並みを保存し,荻野美術館などの歴史的文化施設との連携をはかりながら,魚島フェスティバルや下津井節全国大会など,特色あるイベントを定着させ地域の活性化を促す。下津井電鉄軌道跡地を利用した歩行者・自転車専用道「風の道」を整備する。下津井を中心とした観光資源の一体的な連携をはかり,文化,歴史,観光の拠点づくりをすすめる。六口島については,「青少年の島」として青少年の健全育成のために,一層の活用をはかる。
  •  王子が岳一帯については,玉野市側ですすめられている開発構想と連携をとりながら,リゾート地区としての整備を検討する。また,児島唐琴地区では養浜や遊歩道の整備を行うなど,うるおいのある海浜の再生をはかる。さらに,由加地区については,貴重な自然と文化財の保護に取り組むとともに,地域住民の利便性の向上と倉敷美観地区,由加山蓮台寺,瀬戸大橋に至る観光ルートとして,主要地方道玉野福田線,一般県道白尾塩生線の整備をすすめる。
  •  農林水産業については,つくり育てる漁業の振興をはかるため,大畠地区の中間育成施設でのクルマエビ,ヒラメ等稚苗の育成や,魚礁,築いそ等による漁場整備をすすめるほか,物揚場,防波堤,養浜などの漁港環境整備に努める。また,児島地区の平たん地を中心に栽培されているトマト,ナス,イチゴなど,地域特性を生かした農業の振興をはかる。さらに,山火事を防止するため,防火意識の普及啓発を推進するとともに,荒廃した山地の復旧をはかるため,住民参加によるドングリ苗木の植栽などをすすめ,森林愛護意識の醸成をはかる。あわせて,松くい虫の防除や,気軽に森林浴を楽しめる森林公園の整備を推進する。

〔歴史的文化,風土と産業との調和した総社地域の振興〕

総社市,真備町,清音村,山手村からなるこの地域は岡山空港,山陽自動車道,中国横断自動車道岡山米子線など広域高速交通網整備の効果を最大限に生かし,岡山県を代表する歴史的文化,風土と工業をはじめとする産業との調和がとれた地域として整備する。

  •  備中国分寺周辺の優美な自然景観と貴重な文化財の保護保全に一層努めるほか,古代吉備文化の風情が色濃く残る吉備路を生かし,観光客などが岡山県の歴史と文化を楽しみながらふれあうことのできる広域交流拠点施設の整備に向けて検討をすすめる。また,古代山城跡の鬼ノ城一帯及び画聖雪舟生誕地の整備や雪舟にちなんだまちづくりをすすめるほか,山手村から清音村に至る福山山系の史跡のルート化等を促す。
  •  岡山県立大学においては,教育・研究機能の一層の充実をはかるとともに,公開講座の開講,産・学・官の共同研究を通じて,地域との交流促進などに努める。
  •  中国横断自動車道岡山米子線の全線開通の効果を生かして,観光と工業の振興をはかる。観光については,瀬戸大橋や倉敷チボリ公園などと連携をもった滞在・周遊型の観光をめざし,また,工業については,吉備高原地域テクノポリスの対象地域として,水島臨海工業地帯等で生産する素材と総社市及び周辺地域の企業が有する技術力等を組み合わせた新製品開発や高付加価値化に取り組み,質の高い内陸型工業の集積をはかる。
  •  地域の中心都市総社市については,JR総社駅の橋上化及び駅周辺地区再開発をはじめ,駅南地区土地区画整理事業,都市計画道路東総社中原線など都市基盤の整備をすすめる。
  •  真備町では,井原線の三つの駅や駅前広場及び関連道路を整備するとともに,文化交流拠点施設を整備し,竹で作った楽器の演奏会を開催するなど,竹を生かしたまちづくりをすすめる。また,森林浴,ハイキング,植物観察のほか,都市の人びとと交流もできる特色のある森林を整備するため,美しい森林モデル林整備事業を促進する。ごみ処理については,周辺地域が一体となって,新たに清掃工場を建設するとともに,その周辺を住民の憩いの場,学習の場として整備する。
  •  清音村及び山手村については,都市近郊の特性を生かした地域の振興をはかるほか,清音村では生涯学習の拠点施設を,また,山手村では憩いの場となる農村公園を整備する。
  •  交通網の整備については,国道429号,同486号,同180号総社バイパス,主要地方道倉敷美袋線,同総社賀陽線,一般県道宍粟真備線等の整備をすすめるほか,高梁川への新設橋梁の具体化や岡山市,倉敷市等と連絡する生活関連道路の充実に取り組む。さらに,井原線の建設をすすめるとともに,吉備線については,電化及び行き違い設備の設置等による近代化を促進する。
  •  高齢者対策としては,真備町の岡田地区での「地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり」事業の定着と町域全体への拡大をめざして指導,援助に努める。
  •  農業の生産振興をはかるため,ほ場整備による生産基盤,生活環境の一体的な整備や農用地の流動化,集落営農による低コスト化などを促すとともに「朝日」,「吉備の華」など優良米の生産を拡大し,ブランド化をはかる。 また,都市近郊型農業地域としての有利性を生かし,セルリー等の野菜,メロン,マスカット,ピオーネ,白桃系のもも等の果樹,キク,カーネーション等の花きなどの産地づくりをすすめる。また,まつたけやたけのこなどの特用林産物の生産振興をはかるとともに,松くい虫の防除や保安林への植栽など森林づくりをすすめ,水源かん養や県土保全などの機能を高める。

4 井笠地方

井笠地方は,広域交通網等の整備に伴い県西部における拠点性がより高まってきており,瀬戸内三橋時代の到来に向けて,福山圏域と一体となった新しい発想による都市圏づくりが求められている。 このような視点から,井笠地方の振興にあたっては,地方拠点都市地域の基本計画との整合をはかりつつ,産業,交通,情報等都市基盤の整備,地域産業の活性化,生涯学習や国際交流の推進,高齢者が安心して健やかに生活できる体制づくりなどに取り組み,来たるべき活力ある成熟社会を展望しながら,岡山県の西の拠点都市地域にふさわしい個性豊かで人に優しい地域社会の形成をめざす。 建設のすすむ井原線については,福山,倉敷,岡山等の循環ルートも視野に入れた広域的な検討を行う。 地域高規格道路としての倉敷福山道路の整備を促進するとともに,港湾施設の整備をすすめる。 また,都市基盤の整備については,笠岡市,井原市の土地区画整理事業の早期完成をめざすとともに,整備の遅れている上下水道事業等を積極的にすすめる。 産業については,先端技術産業,情報サービス産業分野等の企業誘致や地場産業の育成によって新たな産業を集積する必要があり,立地条件に優れた山陽自動車道のインターチェンジ付近や国道2号沿線地域,井原線の駅周辺地域の計画的な整備,開発に努め,地域に培われた伝統的な地場産業と先端技術産業が融和した活力ある井笠産業文化圏の形成をめざす。 井笠地域地場産業振興センターの機能を生かしながら,新技術の導入や経営の近代化をはかるとともに,山陽自動車道の笠岡インターチェンジへの近接性を生かし流通機能,住宅機能と生産機能をあわせもつ中核的な岩倉複合団地を整備し,先端技術企業や高付加価値型企業の誘致を促進する。 園芸作物の既存産地の維持拡大,消費動向に即応した新品目の導入と新産地の育成を行うとともに,有機無農薬農産物の産地育成,フライト農業に適した農産物等の生産振興をすすめる。 美しい森林づくり運動をすすめるとともに,農業集落排水事業を推進する。 さらに,中山間地域総合整備事業の推進や青空市,観光農園,市民農園等の規模の拡大,施設の充実をはかる。 また,白石島と高島にはさまれた海域を海洋牧場パイロット事業によりモデル漁場として整備する。 観光については,多様な自然環境や特色ある歴史,文化,観光資源などに加えて,農村型リゾート,オートキャンプ場,西部アグリスポーツ公園(仮称)などのスポーツ・レクリエーション施設などの整備をすすめるとともに,「島・緑・星-心のふる里井笠路」をキャッチフレーズに,笠岡諸島,カブトガニ博物館やロマンチック街道313など,多くの優れた観光資源を生かし,ユニークな観光施設を結びつけた広域観光ネットワークの形成をはかる。さらに各拠点施設のネットワークを構築し,「こころのふる里,井笠路」として,優れた自然や資源を生かした表情豊かな観光・リゾート地域の形成をめざす。 また,この地域の特色ある美術館,博物館,図書館や広域的な文化センターなど文化的な資源を生かし,生涯学習,地域交流をはじめ,文化・教育活動の拠点を整備する。 地域づくりについては,「子守唄の里づくり」,「星の郷づくり」,「ホタルの里づくり」など個性的で創造的な地域おこし運動がすすんでいるが,新たに全日本BMX(自転車モトクロス)選手権や全国雪舟サミットなどの開催により,地域の魅力を高める。

〔中核拠点としての笠岡・井原地域の振興〕

笠岡市及び井原市は,井笠地方の拠点として都市機能の強化及び居住環境の向上を一体的に推進するとともに,適切な機能分担と相互連携をはかりながら,「職・住・遊・学」の機能が備わった魅力ある地域の形成に努める。

  •  山陽自動車道笠岡インターチェンジのアクセス道路としての主要地方道笠岡井原線,一般県道園井里庄線の整備をさらにすすめるとともに,都市計画道路市役所五番町線の早期完成に努める。また,国道 313号,主要地方道井原福山港線の早期整備をはかる。さらに,国道2号笠岡バイパスの建設促進,国道2号玉島笠岡道路の早期事業着手及び主要地方道倉敷長浜笠岡線の整備に努める。
  •  井原市岩倉地区に流通・生産・住宅機能をあわせもつ複合型工業団地の整備をすすめるとともに,笠岡内陸工業団地等の工業適地への先端技術産業分野等の企業誘致を促進する。また,繊維産業については,新技術の開発,ファッション性の向上等を促進し,市場ニーズに対応した付加価値の高いジーンズを生産する等,その振興をはかる。
  •  笠岡港の笠岡地区については,港湾物流機能を港町地区に移転し,島しょ部への旅客船・フェリー施設の再編整備を行う。港湾機能の整備とあわせ,笠岡駅前の再開発事業をすすめ,駅周辺地区の南北一体化を促進する。また,港町地区については,県西部の物流拠点港湾施設としての充実をはかるとともに,県下の公共事業から発生するしゅんせつ土等を埋立処分するための処理施設を建設する。なお,神島外浦地区については,小型船を対象とした船だまりの整備,拡充をはかる。
  •  井原線の開業にあわせ,井原駅前広場の整備を促進するとともに,商工・観光等の関係団体,沿線住民等が一体となって,井原線の利用促進に向けての運動に取り組むなど,マイレール意識の高揚をはかる。
  •  笠岡駅前や井原線高屋駅周辺の土地区画整理事業,プロムナード整備事業,上下水道事業,笠岡港周辺の緑地整備事業,住宅団地の整備を促進する。 さらに,にぎわいのある元気な商店街づくりをすすめるため,効果的なイベントの開催,商店街の後継者の育成,店舗の共同化など商業環境の整備を促進する。
  •  広域農道井原芳井地区の早期完成に努めるとともに,ほ場整備等基盤整備事業や治山事業等の推進をはかる。
  •  べいふぁーむ笠岡の大規模営農を推進するため,大豆・小豆等豆類と麦類の機械化輪作体系を確立するとともに,バラ,ラークスパー等施設園芸やレッドキャベツ,たまねぎ,葉たばこ等の契約栽培の促進と作付面積の拡大をはかる。さらに,粗飼料自給型大規模畜産経営の確立をすすめるとともに,ふん尿のたい肥化の促進をはかる。
  •  果樹については,ピオーネ等の大粒系ぶどうへの転換,新産地の育成をはかる。また,花きについては,共同育苗施設,集出荷施設の整備をはかる。
  •  漁港の整備,魚礁の設置など漁業環境の改善に努めるとともに,ノリ,カキの養殖,ガザミ,クロダイの放流をすすめる。また,白石島における海洋牧場パイロット事業を推進し,つくり育てる漁業の振興をはかる。
  •  美しく優れた自然環境を保全するため,白石島の養浜事業をすすめるとともに,真鍋島の漁港集落環境整備事業によって下水道施設等を整備する。また,カブトガニのすむ干潟,砂浜を守り育てる海岸づくりや保護運動の促進をはかる。
  •  井笠地方のスポーツ活動の拠点として,都市生活者と農業者が農業体験を通じてさまざまな交流活動ができる西部アグリスポーツ公園(仮称)の整備をすすめるとともに,笠岡市北部の運動公園・古墳公園の整備を促進する。さらに,井原市の経ケ丸オートキャンプ場,笠岡太陽の広場等の活用によるスポーツ・レクリエーションの振興をはかる。
  •  井原地域に疾病予防から治療,リハビリテーションまで一貫したサービスの提供ができる保健・医療・福祉ゾーンの整備を促進するとともに,島しょ部の高齢者が安心して健康に生活できるよう,福祉サービス船「夢ウエル丸」の運航充実をはかる。
  •  笠岡市芸術祭や井原市民夏季大学,与一まつり等の地域に根づいた文化活動の充実により,地域文化の一層の振興をはかる。また,外国人に人気の高い白石島国際交流ヴィラを活用し,国際交流を促進する。
  •  笠岡諸島,道祖渓等の優れた自然景観,郷土出身の芸術家にちなんだ田中美術館,竹喬美術館,華鴒美術館などの文化施設,嫁いらず観音等の寺院,白石踊り,ヒッタカなどの伝統行事,子守唄の里フェスティバルをはじめとする地域イベントなど恵まれた資源を生かし,観光,レクリエーションの振興をはかる。さらに,瀬戸内沿岸の観光資源の積極的な利用を促進するため,瀬戸内沿岸道路の建設をすすめる。

〔恵まれた交通条件を生かした東部地域の振興〕

金光町,鴨方町,里庄町,寄島町からなるこの地域については,山陽本線や国道2号が走り,山陽自動車道鴨方インターチェンジを有するなど優れた交通利便性や市街地への近接性を生かし,快適で住みよい居住環境の創出をはかるとともに,地場産業の振興,高付加価値型企業の誘致,地域特産物の生産振興などをすすめ,産業の活性化をはかる。

  •  国道2号玉島笠岡道路の早期事業着手をめざすとともに,鴨方インターチェンジや矢掛町,美星町等北部地域とのアクセスを強化するため,交流ふれあいトンネルを含めた主要地方道矢掛寄島線の整備を推進するほか,主要地方道倉敷長浜笠岡線を整備し,笠岡,倉敷との連絡強化に努める。
  •  質の高いゆとりある住宅や運動公園,広場等の整備をすすめるほか,下水道事業を積極的に促進する。また,山陽本線沿線の駅の橋上化及び駅前周辺の整備を促進する。
  •  老木となっているももの計画的な改植,商品価値の高い新高梨,愛宕梨等への更新,イチゴ,キク,植木等既存産地の維持,拡大に努める。また,植木,ガザミ,シャコなどの地域特産物の一層の需要の拡大を促進する。
  •  里庄町に造成した「美しい森林モデル林」を活用し,住民と一体となって,美しい森林づくり運動をすすめる。
  •  寄島漁港の整備をすすめるとともに,中間育成施設を活用して,ガザミ等の放流やカキ,ノリの養殖等をすすめ,つくり育てる漁業の振興をはかる。
  •  寄島干拓地については,工業系機能とマリンリゾート機能を中心に「職・住・遊」の機能が融合した総合的なまちづくりをすすめる。
  •  丸山公園,虚空蔵公園,仁科会館,里庄総合文化ホール,ふるさとかもがたプラザなど既存施設等を組み合わせ,地域の教育文化活動等の拠点となる文化ゾーンの形成を促進する。
  •  岡山県を代表するめん類,醸造業等伝統的な食品加工業の振興,工業団地の整備と企業誘致を促進する。
  •  多くの人が訪れる金光教本部をはじめ,保養施設,天文台等が整備されている竹林寺山,遥照山一帯,奇勝三郎島(三ツ山)を有する瀬戸内海国立公園寄島園地などを活用した観光・レクリエーションエリアの整備を促進する。

〔豊かな自然と地域固有の文化を生かした北部地域の振興〕

矢掛町,美星町,芳井町からなるこの地域については,国道,県道,広域農道,井原線等の整備や保健・福祉施設の充実などによる日常生活の利便と快適性の向上に努めるとともに,若者が定住できる住宅ストックの整備や豊かな自然を生かした農業,観光の振興をはかるなど,個性豊かな魅力ある地域づくりをすすめる。

  •  国道 313号,主要地方道芳井油木線をはじめ,国道 486号,主要地方道倉敷成羽線,同笠岡美星線等幹線道路の整備を推進するとともに,一般県道についても,これら幹線道路と一体的な道路網を形成するよう,整備推進をはかる。
  •  井原線の駅周辺の整備については,くらしのみちづくり事業による駅周辺の緑化,休憩施設の整備,電線の地中化等をすすめ,優れた街並み景観を創出する。
  •  ほ場整備,畑地かんがい事業等の整備推進や広域農道井原芳井地区の早期完成に努めるなど,農業生産基盤の充実をはかる。
  •  「吉備の華」,「コシヒカリ」,「朝日」等優良米の生産振興をはかるとともに,不耕起乾田直播栽培等超低コスト生産技術の普及をすすめる。 また,ナシ,ぶどう等果樹やトルコギキョウ,カーネーション等花きの産地化をすすめる。 さらに,しいたけ,まつたけ等特用林産物の産地拡大に努める。
  •  中山間地域の活性化をはかるため,地域の特色を生かした加工食品の開発や青空市,観光農園等の整備による都市と農村の交流をすすめる。
  •  畜産については,適切なふん尿処理を行う施設の整備をすすめるとともに,明精卵移植等の推進による酪農の振興をはかる。さらに,地域特産物としてのハム,ヨーグルト,牛乳,精肉などの宣伝,消費拡大に努める。
  •  若者の定住化を促進するための分譲宅地の造成を促進するとともに,下水道,農業集落排水事業等を推進し,快適な居住環境を創出する。 また,美星町における水不足を解消するため,新たな水源確保に努める。
  •  急速な高齢化に対応するため,地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり事業に積極的に取り組むとともに,福祉ボランティアの育成やホームヘルパー,保健婦等マンパワーの確保,デイサービスセンター等保健・福祉施設の整備,充実をはかる。
  •  矢掛本陣・脇本陣を中心とした町並みや史跡等を保存するとともに,吉備真備記念公園,やかげ郷土美術館,歴史公園中世夢が原,美星天文台,農村型リゾート「高原荘」,天神峡等を生かし,歴史と文化の薫る観光地づくりをすすめる。 また,高梁,倉敷等周辺地方と連携した広域的な観光ルートを確立するとともに,産直プラザ,明治ごんぼう村ふるさと市場などを活用した参加・交流型の観光振興をはかる。

5 高梁地方

高梁地方は,中国横断自動車道岡山米子線の開通により,新たに二か所のインターチェンジをもつことになり,県内各都市はもとより,京阪神や中四国地方と直結され,交流圏が一気に拡大し,交流と連携による発展可能性が飛躍的に高まる。 このため,高梁地方の振興にあたっては,中国横断自動車道岡山米子線の開通による効果を最大限に発揮するため,国道 180号,同 313号,同 484号並びに中部縦貫道,西部総合開発基幹道,備北新線の整備をすすめるとともに,高梁市と各町を連絡する環状道路の整備を積極的に推進するほか,地域に密着した生活道路の整備をはかる。道路整備にあわせ,ロマンチック街道 313,さくら街道 180など,個性的な地域づくりへの取組みを促進する。 伯備線については,備中高梁駅以北の複線化など高速化をはかる。また,日本海から太平洋までを結ぶ中四国横断新幹線の早期実現に向けた積極的な取組みをすすめる。 高梁市に高梁地方の特性を生かした広域的な振興拠点施設の整備をすすめるとともに,都市機能の充実強化に努める。 吉備高原都市については,バイオテクノロジー研究所(仮称)の建設をはじめとする後期計画事業を推進するとともに,研究産業施設用地へ医用工学関連産業,バイオテクノロジー産業のほか高付加価値型産業の誘致を行い,先端技術の地域産業への波及に努める。 中国横断自動車道賀陽インターチェンジ(仮称)周辺の地域開発をすすめ,新しい工業団地の造成や先端研究産業の誘致など,立地の優位性を生かして他地域との連携交流を意欲的にすすめるとともに,雇用の場の拡大をはかる。 このような広域的な交流による魅力ある地域づくりに向けての取組みを積極的に促進し,広域交通網を生かした地域の形成をめざす。 農山村の美しい景観を守りながら,生活環境の整備を計画的に推進し,若者の定住の促進をはかるとともに,恵まれた自然環境や伝統行事等の情報発信に努め,都市生活者の農業体験や交流活動を積極的に推進するなど創意と工夫をこらした中山間地域の活性化をはかる必要がある。 このため,広域農道,ふるさと農道をはじめとする道路の整備や水源の確保に努め,簡易水道,営農飲雑用水供給施設など産業・生活基盤の整備を積極的に促進する。 さらに,まつたけの発生環境整備をすすめ,その産地化に努めるとともに,しいたけをはじめとする菌茸類についての生産振興も推進する。 内水面漁業の振興については,高梁川,成羽川における漁場の整備をはかり,アユ,ヤマメ等の増殖をすすめる。また,生活環境基盤の整備や農業の振興を積極的にすすめ,中山間地域の活性化をめざす。 この地方は,県下で最も高齢化がすすんでいる地域を有しているため,高齢者がいつまでも健康で,生きがいをもって,安心して心豊かな生活をおくることができるよう,老人保健福祉計画と整合性をはかりながら,当地方の保健・福祉の中核拠点施設及び身近な保健・医療・福祉施設の整備を推進するとともに保健・医療サービスが十分受けられない地域を解消していくため関係機関と連携しながら医療体制の整備を支援する。 さらに,地域の物的,文化的資源を生かした生産・交流の場として,地域の高齢者が中心となって運営する「ふるさとのびのび館」の整備についても検討をすすめるなど,行政,地域住民などが一体となって互いにはげましあい,支えあう,のぞましい長寿社会の形成に向けて取り組む。

〔高梁市の都市機能の充実強化〕

高梁市については,周辺地域住民の生活を支える高梁地方の中心都市として,商工業,文化,保健・福祉など各分野にわたる都市機能の充実強化をはかり,その拠点性を高めていく。

  •  中国横断自動車道岡山米子線の全線開通と吉備高原都市の整備にあわせて,これらと各地域を結ぶ国道 180号,同 313号,同 484号,主要地方道高梁坂本線などからなる環状道路の整備や地域に密着した道路の整備をすすめる。 また,楢井ダムの完成を急ぎ,水資源の確保をはかるとともに,高梁川の親水護岸等の河川環境整備を行う。
  •  吉備高原西部地域におけるリゾート振興と交流の促進をはかるため,高梁自然公園に隣接して,広域交流,健康増進・保養,福祉の人材養成など多様な機能を有する広域拠点施設「吉備ハイランド・オアシス(仮称)」の整備について具体化をすすめる。
  •  都市計画道路や下水道の整備,都市型ホテルの建設,利便性の高いショッピングゾーンの形成,伯備線備中高梁駅周辺の整備を促し,都市機能の充実をはかる。また,学園都市として,若者や学生にとっても魅力のある都市づくりをすすめるため,ゆとりのある住宅団地や学生宿舎の整備を促進する。
  •  さらに,童謡まつりやスクリーンフェスティバルなど住民参加のイベント開催の実績を生かし,市民が芸術に親しみ,生涯を通じて学習を続けることのできる基盤として文化交流館の整備を促進し,文化的なまちづくりをすすめる。
  •  高梁景観モデル地区においては,歴史的町並みや自然緑地の保全をはかりながら,景観に配慮したうるおいのある美しいまちづくりに努める。
  •  中国横断自動車道岡山米子線開通による交通の利便性を生かせるまちづくりをすすめ,さらに,新たなイベント開催による商店街のイメージづくり,空き店舗対策,地域づくり運動との連携により魅力あふれる商店街となるよう,その振興をはかる。
  •  備中松山城,頼久寺,石火矢町ふるさと村など歴史的町並みをはじめとする観光資源の整備,備中松山おどり,備中神楽などの伝統芸能の伝承,山田方谷,小堀遠州等の歴史上の人物を生かした観光の推進等により,親しみやすい観光地づくりをすすめるとともに,広域での観光宣伝・観光コースの設定,郷土料理,郷土芸能の活用等に努める。
  •  国道 484号ループ橋付近の展望台,公園整備,美しい森林づくり,楢井ダム湖周辺整備など人びとが憩い,交流する場づくりに努める。
  •  楢井工業団地の造成を推進し,雇用の場の拡大をはかるとともに,吉備高原地域テクノポリスの地域対象区域としての有利性及び賀陽インターチェンジ(仮称)からの近接性を生かした先端技術産業等の企業誘致をはかる。
  •  吉備国際大学等と緊密に連携し,ホームヘルパー,ボランティア等保健・福祉人材の養成と活動の支援に努める。また,市内に数多く存在している医療機関等と連携し,訪問看護ステーション等の設置を促進するともに,在宅保健・医療・福祉サービスの充実を促進する。

〔吉備高原都市を擁する東部地域の振興〕

高梁市の東部地区と上房郡3町からなるこの地域は,吉備高原都市などの大規模プロジェクトや中国横断自動車道,岡山空港などの広域交通網等に恵まれた地理的な優位性を最大限に生かして新たな産業や観光などの振興をすすめる。

  •  中国横断自動車道岡山米子線の全線開通と吉備高原都市の整備にあわせて,これらと高梁市内を結ぶ国道 484号,主要地方道高梁御津線,国道 313号などからなる東環状道路の整備や,地域に密着した道路の整備をすすめる。
  •  竹谷ダム,草谷ダムの建設を推進し,水資源の確保をはかるとともに,これらを活用して簡易水道の整備を促進する。
  •  農地,ため池の整備や広域農道吉備高原北部2期地区をはじめとする農林道の整備とともに農業集落排水事業など生活環境の整備を促進する。
  •  中国横断自動車道岡山米子線を活用して大阪への高速バス運行をはかるとともにバスストップに駐車場を設けパーク・アンド・ライド方式によって高速バスの利用を促進する。
  •  吉備高原都市においては,ゆとりある分譲宅地や研究産業施設用地の基盤整備をはじめ,バイオテクノロジー研究所(仮称),総合教育研修機関などの施設整備をすすめるとともに,都市の拠点性を高めるために,スポーツ・レクリエーション施設,伝統・文化交流施設,工場公園等の基盤整備を段階的に推進する。 さらに,都市住民,地元住民,来訪者などあらゆる人びとが都市内の施設を利用して,ふれあいと交流を深めていくことができるようイベント等を実施し,にぎわいと活気のあるまちづくりをすすめる。
  •  高速道路のインターチェンジ周辺に新たな工業団地を造成し,雇用の場の拡大をはかり,吉備高原地域テクノポリス構想及び頭脳立地構想に基づく先端技術やソフトウエア,デザイン等の先端産業の関連企業の誘致をすすめる。 また,高梁・賀陽工業団地の誘致企業や吉備高原地域テクノポリス関連企業の技術移転,地場産業との連携などにより地域産業の活性化をはかる。
  •  中国横断自動車道有漢インターチェンジ(仮称)に隣接した場所に常山公園(仮称)等の整備をすすめるとともに,サービスエリアに隣接した場所に高速道路からも出入りできる地域特産品の販売施設及び観光・レクリエーション施設を一体的に整備するなど,高速道路利用者と地域との交流を促進する。
  •  備中鐘乳穴,ほたるの里,保月の石幢,古墳などの観光資源,体験農園,貸農園など観光農業,北房ぶり市,吉川八幡宮当番祭などの郷土の伝統的行事といったさまざまな地域資源を生かした魅力ある観光地づくりや農村型リゾートの整備をすすめる。
  •  農林業については,優良米の産地拡大,集落営農等による低コスト化の推進,ピオーネ,キュウリ,ナス,トルコギキョウ,シャクヤク,たばこ,まつたけ,乳牛,肉牛等の地域特産物の生産振興や,有機無農薬農業の推進,ナシや花き類の新産地の育成をはかるとともに中国横断自動車道岡山米子線や岡山空港の利便性を生かした広域的な販路の開拓をすすめる。
  •  市町村保健センター等保健・福祉拠点施設の整備を促進するとともに,保健・福祉の人材確保について支援する。
  •  デイサービスセンター,訪問看護ステーション等の設置を促進し,保健・福祉サービスの充実をはかるとともに,地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり事業が全地域で実施されるよう推進する。

〔都市との交流による西部地域の振興〕

高梁市の西部地区と川上郡3町からなるこの地域は,地域住民が主体となった地域間交流や,国際交流を通じた個性的な地域づくりがすすめられていることから,今後ともこうした取組みをさらに促進し,交流を通じた地域の振興をはかっていく。

  •  中国横断自動車道岡山米子線の開通にあわせて,賀陽インターチェンジ(仮称),有漢インターチェンジ(仮称)や高梁市内と結ぶ国道 313号,主要地方道新見川上線,同高梁坂本線などからなる西環状道路の整備をすすめる。また,主要地方道倉敷成羽線,主要観光地へのアクセス道路の整備をすすめるほか,地域に密着した道路の整備をすすめる。
  •  領家川等の河川改修,長谷川等の河川環境整備,川上町等の地すべり地区の地すべり防止対策を推進する。
  •  広域農道備中中部地区及び備中西部2期地区をはじめとする農林道の整備,営農飲雑用水供給施設,新農業技術拠点施設などの基盤整備をすすめる。
  •  吹屋ふるさと村,磐窟渓,弥高山,西山高原など観光拠点及び吉備川上ふれあい漫画美術館,成羽町美術館などの文化施設と備中神楽や渡り拍子など伝統的な郷土芸能や地域のイベントを活用して,だれもが楽しめる観光地づくりをすすめ,広域での積極的な観光宣伝により誘客に努める。 また,河川や渓谷など自然を利用したカヌー,フリークライミング,キャンプなど都会では味わえないアウトドア型レクリエーションを促進する。
  •  吹屋吉岡鉱山跡地を活用した総合レクリエーション施設やユニークな農業公園の整備を促進するとともに,農村型リゾート「備中宇治彩りの山里」,農林業体験実習館などの施設を活用し,農業体験や貸農園,コミュニティ縁組などを通じた都市住民との交流,あるいは国際交流ヴィラや語学教育を通じた国際交流など,心の通う交流の一層の促進をはかる。
  •  「歴史と文化のまちづくり」,「マンガのまちづくり」,「ウエスタンロマンのまちづくり」など個性的でユニークなまちづくりを住民参加によってすすめる。
  •  新たな工業団地の造成を促進し,企業誘致による雇用の場の確保をはかるとともに,特産品開発により地場産業の振興をはかり,あわせて,自然景観に調和したゆとりのある住宅の建設をすすめ,若者の定住をはかる。
  •  農林業については,高原の特性を生かしたピオーネ,トマト,ハクサイ,キャベツ,こんにゃく,たばこ,しいたけ,乳牛,肉牛,肉豚,鶏等の地域特産物の生産振興や有機無農薬農業の推進をはかるとともに集落営農等の効率的な生産体制の確立をすすめる。
  •  県下で最も高齢化がすすんでいるこの地域では,長谷川やすらぎの里をはじめ保健センター等保健・福祉拠点施設の整備を一層促進するとともに,ホームヘルパー,ボランティア等,保健・福祉の人材の養成と確保について支援する。 訪問看護ステーション等の設置を促進し,在宅保健・福祉サービスの充実をはかるほか,生涯健康づくり及び地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくりについての意識啓発,住民参加システムの充実に努め,全地域実施に向けて取り組む。
  •  医療体制の整備については,へき地中核病院である成羽病院等関係機関と連携し,早急な整備について支援する。

6 阿新地方

阿新地方は,伯備線,姫新線,芸備線の鉄道網や中国縦貫自動車道,国道,県道等の道路網が整備され,交通の結節点として重要な位置を占めている。今後,中四国横断新幹線の実現や,中国横断自動車道岡山米子線,備北新線,西部総合開発基幹道などの広域交通体系の整備に伴い,その拠点性が一層高まり,新たな時代を迎えようとしている。 この地方は,古くから吉備文化と出雲文化の交流により発展し,中世においては,新見庄として繁栄し,「古代の飛鳥,中世の新見」と称され,時代の先端技術を活用して漆,和紙,鉄などの特産品を産出してきた。また,美しい農山村のたたずまいや恵まれた自然,貴重な動植物などを有し,先人から鯉が窪湿原,羅生門などの天然記念物や大名行列等の伝統行事,千屋牛や備中刃物など全国に誇れる水準の高い多くのものを受け継いでいる。 このような地理的,歴史的背景のもとに,この地方は,岡山県,鳥取県,島根県,広島県の4県16市町村からなる県境サミット(中国山地県境市町村連絡協議会)などを結成し,リクルートセミナーの開催,圏域ツーリズムの広報に取り組むなど,県境を越えた共同事業を活発に行っており,これらの取組みは広域交流の先進事例として全国的にも注目を集めている。また,中国,韓国,ミャンマー等アジア諸国とさまざまな分野での国際交流が活発にすすめられている。 今後,この地域の活性化をはかるにあたっては,豊かな歴史,風土,恵まれた交通・自然条件などの発展可能性を生かして,新しい時代の要請に対応した地域づくりに向けて積極的に行動を起こすことが重要である。 まず,県境サミットなどによる広域交流,アジア諸国との国際交流を一層積極的に展開するとともに,健康の森をはじめ,広島県東部及び山陰などをも視野に入れた新見市正田地区の民間工場跡地を活用したスポーツ・文化施設などを核とする広域交流拠点や中四国横断新幹線,備北新線,西部総合開発基幹道などの広域交通網の整備を促進し,広域交流を先導し,新しい地域文化を創造する地域づくりをすすめる。 次に,週休二日制の定着などによる自由時間の増大,高度情報社会の到来による在宅勤務者の増加等を背景に,自然と共生した豊かでゆとりのある,多様で個性的な生活の実現が求められている。このため,美しい農山村の保全・創造のためのグランドデザインの策定のもとに,緑豊かでゆとりのある優れた住宅地,菜園付のセカンドハウス,農村型リゾートなどの整備をはかるとともに,自然の博物館であるカルスト台地の散策路の整備や,吹屋ふるさと村,済渡寺,鯉が窪湿原,おもつぼ湿原,復元のなった若山牧水のゆかりの熊谷屋などを結ぶ文イと芸術の香りただよう観光ルートの整備,パラグライダー,カヌーなどの新しいスポーツの振興,「漆の館」を中心とする芸術村の整備等による新しいライフスタイルに対応した地域づくりをすすめる。 また,先人から自然,歴史,文化などの分野において,全国的に誇りうる水準の高いものを受け継いでいるが,さらに,健康の森,木工芸品,ピオーネ,中国栗,プルーン,有機無農薬の野菜,農畜産物の加工品,備中神楽,新見庄まつりなどに一層磨きをかけ,これらを全国水準から見ても高い評価を得るものに育て上げ,次代に伝える全国に誇れる一流のものづくりに挑戦する地域づくりをすすめる。

〔広域交通網の整備と都市機能の集積〕

広域交通網の整備については,伯備線の備中高梁駅以北の複線化と新型車両の導入により高速化をはかる。国道 180号,西部総合開発基幹道等の主要道路の整備を推進する。特に備北新線は,国内外の観光客等が岡山空港や吉備高原都市を経由して当地域に訪れる道路として重要であり,早期の整備促進に努める。あわせて,中四国横断新幹線の早期実現をはかる。 新見市街地については,生活,教育・文化,保健・医療,環境などの整備促進や市街地再開発事業等を核とした広域交流拠点づくりを推進して,広島県東部,山陰との結節点にふさわしい都市機能の集積と充実をはかる。

  •  広島県東部,山陰の結節点としてふさわしいうるおいのある都市づくりをすすめるために都市計画用途地域の見直しをすすめるとともに,新見駅前周辺及び金谷地区の区画整理事業,道路網,公共下水道,公園緑地等の整備促進をはかる。
  •  新見駅前については,地域の表玄関としての機能を充実するため,区画整理事業及び市街地再開発事業によるショッピング・交流プラザ,駐車場等の整備を促進する。また,地域の優れた観光資源情報を提供するためインフォメーション機能の充実をはかる。
  •  広域からの購買客にとって利用しやすく,品ぞろえの豊富な郊外型の大規模ショッピングセンターによる新商業ゾーンの形成をはかり,地域経済の活性化を促進する。
  •  バレー,オペラ,コンサートなど多様で高水準の文化的活動に対応できる広域交流の拠点としての文化交流館の建設を促進する。本町を中心とする御殿町づくりを推進するとともに,商店街のショーウィンドウを利用した「まちかど美術館」づくりをすすめ,商店街,新見美術館,御殿町センターをつないだ歴史・文化の街づくりを促進する。
  •  新見美術館については,地域に根ざした個性のある収蔵品の充実をすすめるとともに,美術・工芸等の各種教室の開設など魅力づくりをはかる。
  •  新見女子短期大学に介護福祉士の養成を目的として,平成8年度新設された地域福祉学科は,地域の期待が高く,実習等を通じて地域との交流をすすめるほか,卒業生の地域定着をはかる。
  •  石灰関連産業については,付加価値の高い製品の開発や新たな用途の研究を一層すすめる。新見工業団地には,医療・福祉関連分野などの今後の成長が期待される業種を中心とした企業誘致をすすめる。

〔緑のダムづくりと広域スポーツ・レクリエーションゾーンの形成〕

新見市北部,大佐町,神郷町からなる北部地域については,広大な森林を利用した林業の振興をはかるとともに,森林のもつ水源かん養,大気の浄化,国土保全等の公益的機能の重要性について県民の理解を深めるため,県民総参加による「美しい森林づくり」をすすめる。

  •  千屋地区においては,「いぶきの里」の温泉やオートキャンプ場を核として民間活力を導入した新たなリゾートゾーンの形成をはかる。整備にあたっては,食と自然を肌で味わうことができるよう千屋牛を国道沿いに放牧して牧歌的な景観を創出するほか,レストランの設置,剣山の登山コース,たたら跡などの整備を促進する。
  •  大佐山・大日高原は,幅広い年齢層のニーズに対応できるようパラグライダー,ケイマンゴルフ,ディスクゴルフなどの施設の充実により新しいスポーツの一層の普及をはかるとともに,ハーブガーデン等の憩いの場を充実する。また,大佐山オートキャンプ場に加えて民間活力によりペンション等の宿泊施設の整備を促進する。
  •  グリーンミュージアム神郷・神郷温泉については,宿泊,運動施設等の魅力ある施設の広報に努め,広域的な利用を促進する。
  •  夢すき公園の周辺整備を行い,健康の森と一体となったレクリエーションゾーンとして整備を促進する。利用者の一層の利便と周辺地域の活性化のため,JRの協力を得ながら,付近に新駅の設置をすすめる。
  •  いぶきの里,大佐山,神郷温泉を結ぶ共同イベントなど観光資源のネットワーク化により集客力の向上をはかるとともに,県境サミットの圏域内の施設,宿泊,イベント情報の交換などの連携を密にし,圏域全体で観光客誘致に努める。
  •  スギ,ヒノキなどの優良材の生産振興をはかるとともに,伐期のきている森林については皆伐を避け,複層林及び針葉樹と広葉樹との混交林の造成,移行をすすめる。また,下流市町村と地元市町が一体となって「千年樹の森づくり」をすすめ,緑のダムづくりをめざす。有用広葉樹林の育成とその活用によるシイタケなど特用林産物の生産振興をすすめる。また,これら森林資源の活用と保全をはかるため,大規模林道整備を促進する。
  •  千屋牛などの和牛については,受精卵移植など先端技術を活用した繁殖・肥育の地域内一貫生産によって,良質和牛肉の生産拡大と流通販路の拡大を促進するとともに,ふん尿のリサイクルたい肥化などをすすめ,和牛産地の振興をはかる。
  •  冷涼な気候を利用した夏秋トマト,夏ダイコン,ホウレンソウ,キク,トルコギキョウ等の野菜,花きなど多彩な園芸農業を推進する。
  •  千屋ダムについては,早期完成に努めるとともに,周辺の豊かな自然のなかでカヌー,マウンテンバイク,フィッシング,散策等を楽しむことができる場の整備をすすめる。三室川ダムについては,本体工事に早期に着手するとともに,優れた自然環境を保全すべく整備をすすめる。

〔芸術と文化の回廊づくり〕

新見市南部,哲多町,哲西町にかけての南部地域では,多様な植物や昆虫が生息するカルスト台地,鯉が窪湿原,おもつぼ湿原,金ボタルの生息地を活用し,自然との調和をはかりながら,観光客誘致をすすめる。また,これらと新しい芸術村や成羽町吹屋,済渡寺等を結んで伝統や風土を生かした芸術と文化の回廊とし,新しい観光,リゾートゾーンの形成をはかる。

  •  新見市,神郷町,哲多町にまたがる丘陵地に整備している「健康の森」については,さまざまな人びとが,豊かな自然のなかで,スポーツ・レクリエーションや野外活動を通じて,心身ともにリフレッシュできる“みんなでつくる―ふるさとの森―”づくりに努めているが,引き続き,地域の人びとと一体となった運営体制やネイチャートレイル,テニス施設,乗馬施設をはじめ,センターハウス,プール,ペンションなどの施設の整備を推進する。
  •  カルスト台地に散在している井倉洞,満奇洞,羅生門,秘坂鐘乳穴などは,優れた観光資源であると同時に貴重な動植物を観察する自然学習の拠点であることから,「ふれあいセンター満奇」や「カルスト山荘」等の施設の充実をはかるとともに,自然散策路の整備を促進する。
  •  新見市法曽の「漆の館」を核とした工芸の里づくりをすすめるとともに,古来から漆と吹屋のべんがらを結んできた道を芸術・文化の回廊として整備する。
  •  哲多町天王八幡神社周辺には,全国的に希少な陸生のほたる「金ボタル」が生息しており,自然保護,環境保護に十分配慮しながら周辺整備につとめる。荒戸山周辺は「草木染館」,イベントハウスを中心に,全国各地の芸術家による交流イベントの開催などにより,さまざまな分野の芸術家の定着をはかり,芸術の村づくりをすすめる。
  •  哲西町矢田地区において,魅力ある道の駅整備をすすめるとともに,地域の自然文化を紹介する保存館などの建設を促進し,西の交流拠点として整備をすすめる。 平成の丘に整備されている福祉施設については,地域に開かれたものにするため,周辺を花の丘公園として整備を促進する。また,鯉が窪湿原等と一体となった観光ルート化を促進する。
  •  新食糧法による米の自由販売及び消費者の求める自然・健康志向に対応するため,アイガモを利用した有機無農薬米,架干しによる自然乾燥米,あるいは出荷時に精米を行う産地精米など付加価値の高い米づくりをすすめる。
  •  ピオーネ,ナシなど特産果樹生産団地や夏秋トマト,夏ダイコンなどの野菜生産団地を育成するとともに,新見市,哲多町,哲西町にまたがる広域農道を新たに整備し,農産物の流通の合理化をすすめる。
  •  中山間地域においては,ナシ狩り,リンゴ狩りなどの観光農園やそば打ち体験,そばのオーナー制度の活用などにより,農林業を観光・文化・イベント等の第三次産業と結びつけるとともに,有機無農薬農業を推進し,地域の直売所などにおいて新鮮で安全な野菜などの提供を通じて都市住民との交流を活発にすすめる。
  •  哲多町,哲西町における過疎代行公共下水道整備,農業集落排水事業を促進し,農山村の快適な生活環境づくりをすすめるとともに,河川等の水質保全をはかる。
  •  小規模ダムの可能性について調査をすすめるとともに,ため池整備など多岐にわたる水源の確保に努める。

7 真庭地方

真庭地方は,中国縦貫自動車道が東西に,中国横断自動車道岡山米子線が南に通っており,平成8年度中に中国横断自動車道岡山米子線の全線開通によって東西・南北の軸が交差する県北唯一の結節点を形成する。 これからの真庭地方の振興にあたっては,東西南北につながる広域交通網整備による優位性と,蒜山高原や湯原温泉,毛無山などの多様な恵まれた自然環境を生かした定住の確保と交流の拡大による地域づくりを推進することが重要となる。 このため,広域交通の結節点に位置する南部を中心に,その優位性と県北流通センター整備の効果を地域に直接及ぼし都市的機能の集積を一層促進し,にぎわいといなかのよさをくらしのなかで感じとることができる快適生活空間・真庭の形成をめざす。 西日本を含めた広域的エリアを対象として建設中の県北流通センターについては,その早期完成をはかるとともに,企業誘致に取り組む。また,周辺地域への地場企業の立地も促進し,流通センターを核とした商工業振興をはかる。 落合住宅団地の早期造成・分譲をはかるとともに,町村や民間による宅地の造成・分譲を促進し,若者定住に取り組む。 また,中国横断自動車道の沿線に位置する中北部については,高原や温泉,冷涼な気候などの自然環境を背景に幅広い交流の展開が可能となることから,そのよさを地域につなげる拠点整備をすすめ,人と人とのふれあいのなかで楽しさと生きがいを感じることができるいきいき交流空間・真庭の形成をめざす。 蒜山美作リゾート構想については,リゾートに対する社会経済環境の変化をふまえながら,施設整備の計画的な展開と適切な民間開発の誘導により,農村型リゾートとも連携して多様なリゾートの形成をはかる。 質,量ともに優れた温泉を有する湯原町には,湯の効用に着目し,県民の健康増進とリハビリテーション,クリニック機能などを備えた「アクアメディカルリゾート・湯原(仮称)」を整備する。 地域の基幹産業である農林業については,水稲,蒜山大根やジャージー乳製品など地域を代表する農産物を中心に振興をはかるとともに,製材加工技術においてもトップクラスにある「美作材」の需要拡大に取り組み,伝統ある地場産業と林業の振興をはかる。 観光については,地域内観光地の個々の魅力と完成度を高めるとともに,四国各県の観光地や瀬戸大橋,倉敷美観地区や倉敷チボリ公園等とのネットワーク化をすすめる。 道路については,落合,久世,湯原,蒜山の各インターチェンジと地域をつなぐ主要道路の整備に取り組み,アクセスの充実と圏域道路ネットワークの確立に努めるとともに,一般県道や町村道の整備をすすめる。

〔広域交通の結節点・南部地域の振興〕

勝山,落合,久世の3町からなる南部地域については,3町の結びつきと機能分担をさらに強化し,県南地域や津山地域との広域的な連携のもとに企業誘致や地低産業の育成,商業集積など都市機能の整備や交通網の整備,住宅開発などを促進して,地域中核拠点の形成をはかるとともに広域物流拠点の形成に努める。

  •  県北流通センターについては,その早期完成と優良企業の誘致に取り組むとともに,文化性やアミューズメント性があり,人だまりの絶えないようなにぎわい施設の整備を検討し,具体化をはかる。 また,アクセス道となる一般県道目木大庭線,西原久世線,垂水追分線の整備や関連の給排水設備の整備を計画的にすすめる。
  •  県営落合工業団地を核として地場産業の振興をはかるとともに,若者の定住を促進する。
  •  国道 313号及び主要地方道新見勝山線,久世中和線及び鏡野久世線の整備を促進する。特に,国道 313号垂水地内については,バイパス化をはかる。 また,吉備高原都市や岡山空港へのアクセスを強化するため,主要地方道落合加茂川線,栗原勝山線の整備をすすめる。
  •  名勝「神庭の滝」や城下町の落ち着いたたたずまいをみせる勝山の町並み,醍醐桜や岩井畝の大桜,農村型リゾート「高仙の里よの」などの既存観光地の整備や新たな事業展開による交流の拠点づくりをすすめるとともに,これらを結ぶネットワーク化の促進と積極的な宣伝活動の展開により,観光振興と交流の促進をはかる。 久世町に立地が決まった競走馬の育成調教牧場の整備を促進し,雇用の確保と都市との交流をはかるなかで地域の活性化に役立てていく。
  •  地域のすすんだ医療,福祉機能の集積を生涯を通じた健康づくりと在宅福祉の充実に生かすため,落合町では,保健センターと児童館からなる総合保健福祉会館の建設を促進する。久世町では真庭老人ホームの改築とデイサービスセンター,勝山町では保健センターの整備を促進する。
  •  地域スポーツの振興をはかるため,落合町のしめ山・総合運動公園と勝山町の町民運動公園の整備を促進する。
  •  文化活動の中心をなす真庭総合福祉文化会館,先導的な地域情報の発信基地として久世町で整備がすすむ「地域情報・文化創造センター(仮称)」と各町の公民館などとを有機的に結び,地域文化の振興と生涯学習の充実,コミュニティ活動の活性化をはかる。
  •  広域農道真庭地区の整備をすすめるとともに,一般農道やほ場整備などの生産基盤整備をすすめる。 基幹作物の水稲については,消費者ニーズに対応した優良米の作付けや計画的,安定的な生産・出荷体制の確立,農地の集約化や受託栽培の拡大による経営基盤の強化をすすめる。 ナスやキュウリの生産団地の形成をはかるとともに,山間斜面地を利用したみつまた,コンニャク,茶などの特用作物,加工用のレッドキャベツ,ミヤコワスレやカラーなどの花き,産地化しつつある大粒系のぶどうやナシ等の果樹など,地域特産物の生産振興に取り組む。 また,落合,勝山両町の公共育成牧場の整備,バイオテクノロジーを生かした優良牛の増殖,畜産環境対策等により,畜産振興をはかる。
  •  計画的な造林と総合的な間伐対策を実施して,優良「美作材」の安定的生産と供給をはかる。また,地域林業の拠点となる施設の建設を行うとともに,美しい森林モデル林を活用した都市との交流や生活環境保全林の整備を促進する。
  •  農村地域の快適なくらしを実現するため,農業集落排水事業をすすめるとともに,合併処理浄化槽の普及や公共下水道の早期事業化に取り組む。
  •  備中川,目木川の河川改修事業,砂防事業を推進し安全な環境づくりをすすめるとともに,久世町と落合町で旭川の河川環境整備をすすめ,河川空間の多面的な利用をはかる。

〔豊かな自然環境を定住と交流に生かす中北部地域の振興〕

湯原町,美甘村,新庄村,川上村,八束村,中和村の1町5村からなる中北部については,中国横断自動車道岡山米子線の開通と各インターチェンジへのアクセス道の整備により交通の利便性が飛躍的に向上しており,各地域の特色ある優れた自然景観や豊富な地域資源を生かした観光・リゾートの推進と地域産業の振興をはかり,雇用の場の確保や,定住,交流人口の拡大をはかる。

  •  蒜山地域においては,テニスやスキー,乗馬や登山など,四季を通じてスポーツやレクリエーションが満喫できる幅広いリゾート施設の整備を民間活力を導入しながらすすめる。また,蒜山高原自転車道やサイクリングターミナルの整備,ラベンダーの産地化に取り組むとともに,隣接する大山地域等との広域的連携により本格的な高原観光リゾートの形成をはかる。
  •  一般県道蒜山高原線の整備をすすめ,ピーク時の混雑解消をはかる。 また,蒜山高原線の沿線にある蒜山ジャージーランドの整備や蒜山高原自転車道北ルートの東の拠点となる蒜山高原スポーツ公園の建設,さらには沿線への休憩・宿泊施設の立地を促進し,リゾートエリアの拡大と三木ケ原からの誘客に取り組む。
  •  湯原温泉については,温泉の魅力に加えて湯原ならではの見どころ・味どころの整備について検討をすすめる。 津黒高原では,広葉樹林整備特別対策事業を実施し,多様な森林資源の育成に努めるとともに,観光拠点としての充実に取り組む。 農村型リゾート「クリエイト菅谷」については,既存の施設の充実を促進する。 天然ブナ林が美しい新庄の毛無山については,県民共通の財産として,また,22世紀を展望した自然環境保護モデルとしてその保全に努める。 また,歴史街道の指定を受けた出雲街道「新庄宿」については,町並み整備を促進するとともに,道の駅を中心とした地域の活性化をはかる。
  •  美甘村で特別養護老人ホームの新設をすすめるとともに,新庄村では,短期入所施設の高齢者総合福祉センターの整備を促進する。 川上村,八束村,中和村においては,医療の充実をはかるとともに,訪問看護支援センターの整備に取り組む。
  •  蒜山インターチェンジ入口の産地形成促進施設「風の家」にはにぎわいがあり,地域特産品の売れ行きも好調であることから,同種施設の立地について検討をすすめる。
  •  蒜山大根については,ブランド化がすすんでおり,さらに省力化生産技術の確立と品質管理の徹底により,安定的な生産,供給をはかる。また,大消費地向けのトマトやホウレンソウなどの高原野菜の栽培を推進する。 地域農業の中心である水稲については,ほ場や農道の整備に加えて,農地集約による規模拡大や耐寒品種の普及などにより,生産性の向上と経営基盤の強化をはかるとともに,もち米の栽培など特色ある稲作を推進する。 高冷地の花きは,品質がよく人気が高いことから,適地性のあるキク,ユリ,リンドウ,ストックの産地形成をはかる。 バイオテクノロジーを生かした優良牛の増殖と畜産環境対策等により,畜産の振興をはかる。また,ジャージー牛の飼育頭数の拡大をはかるとともに,ジャージーヨーグルトに代表される乳製品については,生産設備の充実による増産や販売ルートの拡充に努める。
  •  林業基盤の整備については,建設中の広域基幹林道作西線の完成と作備線の早期着手に努めるほか,蒜山地域の普通林道川上1号,2号の開設や水源地域緊急整備事業の促進をはかる。また,美甘村を中心に計画的な造林と総合的な間伐対策を実施して,木材の安定的供給と優れた森林の保全をすすめる。
  •  国道 313号については,禾津バイパスや田羽根地区の整備,国の代行による犬挟トンネルの建設などに重点的に取り組む。 湯原,蒜山各インターチェンジへの連絡と圏域道路ネットワークの幹線である国道 482号や主要地方道湯原美甘線,北房川上線,湯原奥津線,久世中和線の整備促進をはかる。 特に,主要地方道北房川上線は,国道 181号と蒜山を結び地域間交流を促進する重要路線であることから,冬期間も通行できるよう整備に向けて検討をすすめる。また,湯原温泉郷と蒜山を連絡する一般県道中福田湯原線についても順次整備をすすめる。
  •  河川については,湯原町湯本の旭川,中和村下和地内の津黒川において環境整備をすすめ,河川美化と多面的な利用をはかる。
  •  川上村,八束村,中和村の3村において,下水道整備をすすめ,快適な生活環境の創造をはかる。また,農村地域の快適な生活環境づくりを促進するため,農業集落排水施設の計画的な整備をすすめる。
  •  蒜山ロックフェスティバル,蒜山高原マラソン大会,マウンテンバイクデュアスロン大会,新庄村の桜まつり,温泉朝市などの地域イベントの活発化と地域の特色を生かした新たなイベントの開発により,地域イメージの向上をはかる。

8 津山地方

津山地方は,古くから山陽,山陰,京阪神の主要都市を結ぶ交通の要衝であり,さらに中国縦貫自動車道の整備により,産業,流通,医療,教育・文化などの都市機能の集積がすすんでいる。 この地方は,平成5年4月に「津山地方拠点都市地域」として指定されたところであり,「心豊かな生活文化圏」の形成を目標に,中心都市津山市を核として,それぞれの特性を生かし,有機的な連携をはかり,相互に補完しあって,圏域全体が均衡ある発展をめざす必要がある。 このため,津山市を核として活力にあふれ豊かで魅力ある中国地方内陸部の拠点都市圏・津山の形成をめざし,津山地方拠点都市地域基本計画の実施を推進するとともに,津山市の都市機能の一層の強化をはかるため,中心市薫地や津山駅前周辺の再開発を促進し,魅力ある新しい商業空間を創りだす。さらに,酪農試験場の跡地を活用し,新しい都市型のリゾート・レクリエーションの拠点整備をすすめる。 津山市及びその周辺地域に高度な研究開発機能を有し,地域産業の技術力の向上に波及効果のある企業を誘致するとともに,異業種交流等企業間交流を促進しつつ,企業,学校,関係団体が連携を密にし,既存産業の活性化・高度化をすすめ,多様な雇用の場の確保をはかり,若者の定着に努める。また,津山総合流通センターの整備を促進し,流通機能を高める。 高次の都市機能を有する県南都市圏との連携を深めるため,国道53号などの幹線道路の整備をすすめるとともに,津山線,因美線,姫新線の近代化,高速化を促進する。 苫田ダムについては,地元町及び国と一体となって,関係住民のより一層の理解と協力を得ながら建設を促進するとともに,水源地域の振興対策について,下流受益市町等と一体となって推進する。 津山国際総合音楽祭,国際交流車いす駅伝競走大会など多様な文化,スポーツイベントを実施し,さまざまな地域間交流や国際交流を積極的にすすめ,内外に開かれた心のふれあう地域づくりに努める。 農林業の振興にあたっては,北部の中国山地,中部の津山盆地,南部の美作台地などの多様な地形,気候などの自然条件を生かし,個性豊かな農林産物の生産と快適な農山村づくりをすすめる。 畜産は,本県畜産振興の拠点である総合畜産センターの開発技術等を活用し,超優秀牛の導入,牛群検定や受精卵移植技術の活用等による乳牛の改良に取り組む。 また,この地方は蒜山美作リゾート地域でもあり,緑豊かな山岳,森林,渓谷,湖などの変化に富んだ地形や温泉,積雪などの美しい自然資源を有している。そこで,各地の伝統的な風土や文化などの特性を生かし,人と人とのふれあいを大切にしながら豊かな自然のなかでのびのび楽しめるリゾート地域として整備をすすめる。

〔都市機能の集積する拠点都市津山市及びその周辺地域の振興〕

津山市及びその周辺地域については,歴史,文化の伝統を生かしながら高次産業の集積に努め,都市機能の一層の充実をはかるとともに,住みよい居住環境を整備し,若者がつどい,多様な文化が創造される中国地方内陸部の拠点都市としてのまちづくりをすすめる。

  •  多様な消費者ニーズに対応し,魅力ある商店街づくりをすすめるため,津山市の中心市街地に音楽文化ホール,図書館など圏域の拠点施設としてふさわしい交流機能や文化的機能を備えた新しい商業空間の創出を促進する。また,津山駅周辺地区は,津山地方の玄関口にふさわしい機能を集積させるため,津山駅南土地区画整理事業などをすすめる。さらに,周辺部における副次的な商業拠点の整備,充実に努める。
  •  県営久米工業団地へ地域産業の技術力の向上に先導的な役割を果たす研究開発型や関連工業誘発型の企業誘致に努めるとともに,情報通信機能や高次廃水処理施設等,高度な生産環境基盤を備えた高機能型工業団地など特色のある工業団地の整備を促進する。また,テクノサポート岡山,津山工業高等専門学校等との連携の強化や企業間交流の促進,支援体制の強化等により,既存産業の活性化を促進し,価値を高めるシステムづくりに努める。さらに,津山総合流通センターの建設を促進し,流通機能の高度化に努める。
  •  古い城下町のたたずまいを感じさせる出雲街道の歴史的町並みの保存を促進するとともに,吉井川,宮川の河川環境の整備をすすめ,豊かで,うるおいのある都市空間づくりに努める。さらに,津山市のメインストリートである鶴山通りについて,商店街のアーケード改修にあわせ,電線類の地中化事業をすすめるなど,景観に配慮したまちづくりをすすめる。
  •  東一宮土地区画整理事業による北の街づくりを促進し,親しみとうるおいのある新たな市街地づくりをすすめるとともに,津山の個性を生かした文化の香りの高い都市型リゾートの拠点として酪農試験場跡地にグリーンヒルズ津山を建設する。
  •  県北の観光・レクリエーション基地の中心地として,観光センター,駐車場,宿泊施設,休憩施設の整備促進に努めるとともに,広域観光ネットワークの形成,観光情報の提供や心温まる接客サービスの向上をはかり,観光客の温かい受入れをすすめる。また,津山箔合紙など伝統的工芸品,銘菓などの地域特産品を育成するとともに,地域資源を生かした新たな観光土産品の開発,郷土料理の育成に努める。
  •  新たな高等教育・研究機関の設置の促進に努めるとともに,津山工業高等専門学校の拡充強化を促進するなど既存の教育機関の整備充実をはかり,学園都市としての機能を高める。また,生涯学習の拠点となる中心的施設機能の充実をはかり,地域に根づいた学習活動や交流の活発化をはかる。
  •  津山国際総合音楽祭により,音楽都市津山のイメージを全国へ広げるとともに,各種の文化イベントやスポーツイベントの実施により,さまざまな地域の人びととの交流の場をつくりだし,地域の活性化をはかる。
  •  県北地域の保健・福祉・医療を充実するため,健康増進中核拠点施設及び救命救急体制の整備をすすめる。また,ごみ減量化やリサイクル体制を確立するとともにごみ処理施設の整備を促進する。
  •  高次の都市機能を有する県南との時間距離を短縮するため,地域高規格道路である空港津山道路の整備の促進に努めるとともに,国道53号,同 179号,都市計画道路大谷一宮線,安岡町押入線などの整備をすすめる。また,津山市街地の慢性化した交通渋滞を解消するため,国道53号の津山バイパスや津山北バイパスなど,市街地とその周辺の交通網整備をすすめる。
  •  都市近郊型農業の展開を促進するため,高品質なぶどう,もも,ナシ,かき,集約的な施設型農業によるトマト,ナス,キュウリ,ホウレンソウ,ネギ,洋ラン,キク等の生産振興をはかるとともに,農業生産基盤と下水道など生活環境を整備し,都市と調和のとれた農業・農村の活性化をはかる。
  •  生産性が高く生活環境と調和のとれた畜産を確立するため,受精卵移植技術や育種価を活用した種畜の改良,超優秀牛や黒豚の導入により高品質な畜産物の生産に努める。また,集出荷施設,たい肥センター,畜舎周辺の美化施設等を整備し,流通の合理化や畜産環境保全に努める。
  •  林道網を整備して,人工林の適正な整備をすすめるとともに,アカマツやケヤキなどの天然林の改良・育成を推進し,生産性と公益的機能の高い活力ある森林の造成をはかる。

〔豊かな自然と美しい景観を生かした北部の振興〕

豊かな自然と美しい景観を生かし,心のふれあうリゾート地の形成と農林水産業の振興をはかるとともに,上下水道,若者定住のための住宅,スポーツ・レクリエーション施設など快適な生活環境を整備し,高齢化対策と若者定住に取り組む。

  •  蒜山美作リゾート構想を推進し,豊かな森林,湖,渓谷,温泉,積雪など特色ある自然を生かした心のふれあうリゾート地域の整備を促進する。 また,恩原高原,恩原スキー場,奥津温泉,越畑・大高下ふるさと村,富自然休養村など多様な観光地の整備と広域ネットワーク化をすすめるとともに,地域の特色ある四季を彩る花や樹木の豊かな,美しく心のやすらぐむらづくりをすすめる。また,加茂黒木ダムや鏡野香々美ダム周辺の美しい水辺環境を生かし,キャンプ場などの水辺空間整備をすすめる。
  •  越畑国際交流ヴィラを中心に地域住民を主体とした国際交流を促進するほか,祭りなど地域の伝統行事や新たなイベントへの他地域からの参加促進や,特別村民制度,山村留学,姉妹縁組,都市と農村の相互交流などにより,他地域との交流を活発化し,地域の活性化を促進する。
  •  上下水道や農業集落排水施設,ごみ処理施設の整備を促進するとともに,若者定住のための住宅やスポーツ・レクリエーション施設の整備をすすめ,より快適な生活環境づくりに努める。
  •  冷涼な自然条件を生かし,ダイコン,トマト,キュウリ,ホウレンソウ,インゲン,カーネーション,リンドウ,ユリ等,高収益性作物の産地化を促進するとともに,山菜やヒラメ,マスなどの渓流魚,しいたけ,なめこ,巻き柿など,地域の特性を生かした付加価値の高い特産品の振興をはかる。
  •  肉用牛の山地放牧や水田を活用した飼料生産をすすめるとともに,育種価を活用した改良と保留に努め,低コストで付加価値の高い畜産物の振興をはかる。
  •  効率的な森林管理と林業経営を行うため,広域基幹林道美作中央線及び因美線の開設をはじめ,林道・作業道の整備をすすめる。また,除間伐等の保育作業を積極的に実施し,優良林の造成と水源の確保等森林のもつ公益的機能の強化をはかる。さらに,山地災害に対処するため治山事業を推進する。
  •  急速にすすむ高齢化のなかで「地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり」をすすめるなど,きめ細かな保健福祉対策に努めるとともに,へき地医療の確保をはかる。
  •  苫田ダムは,吉井川流域の洪水調節と生活用水や工業用水の供紅を目的とする極めて重要な多目的ダムであり,その建設を促進するとともに,苫田ダム水源地域整備計画を中心にして,水没地域住民の生活再建と周辺地域の生活環境,生産基盤の整備など水源地域の振興をはかる。また,温泉や県立自然公園などの自然資源を活用した新たな観光ネットワークづくりをすすめ,内外の交流を促進する。
  •  この地域の発展の可能性を高めるため,山陽と山陰を結ぶ基幹道路である国道 179号の整備をすすめる。また,各町村と中心都市である津山市との密接な連携を促進するため,主要地方道津山智頭八東線や湯原奥津線,鏡野久世線などの整備をすすめる。さらに,岡山県と鳥取県の相互交流を深め,両県の発展可能性を高めるため,一般県道加茂用瀬線の県境部の早期開通に努める。

〔自然と人の営みが調和した南部地域の振興〕

なだらかな台地を生かした個性豊かな農林業の振興をはかるとともに,自然と人の営みの調和した農山村風景を生かしながら,心のふれあう体験型のレクリエーションゾーンとして,他地域との交流を活発化する。 また,快適な居住環境を整備し,新たな定住を促進する。

  •  広域農道など総合的な基盤整備をすすめ,新たな営農体制の確立をめざす。 美作台地を中心に,グリーンアスパラガス,イチゴ,トマト,キュウリ,ぶどう,ナシ,カーネーション,葉たばこ等の園芸特産団地の育成をはかるとともに,美しい景観と伝統的な栽培技術を生かした棚田天然米産地の育成や柵原町における坑道農業を促進する。また,野菜,梅,ぶどう等の地域特産物の付加価値を高めるため農産加工品の開発と振興をはかる。
  •  転作田を活用した飼料生産や種畜の改良,優良牛の導入などにより,肉用牛や酪農の低コスト生産や高付加価値生産をすすめるとともに,畜舎周辺の環境整備と飼料生産基盤整備を一体的にすすめ,活力ある畜産振興に努める。
  •  あかまつ林の保全をはかるため松くい虫の防除を推進するとともに,まつたけ等特用林産物の生産振興に努める。また,久米南町の美しい森林モデル林を活用した県民参加の森林づくりをすすめる。
  •  県営久米工業団地へ高度な研究開発機能を有し,地域産業の技術力の向上に波及効果のある企業の導入に努めるとともに,上下水道の整備や農業集落排水事業をすすめ,快適な生活環境づくりに努める。また,津山市と県南の中間に位置するため,公営住宅の建設,分譲宅地の造成などの居住環境を整備し,新たな定住を促進する。
  •  それぞれの地域の歴史や特性を生かした文化施設やスポーツ・レクリエーション施設の整備を促進するとともに,誕生寺,両山寺,本山寺などの文化財,川柳公園,まきばの館,三休公園・民話村,柵原鉱山などさまざまな観光レクリエーション資源や久米南町,中央町,柵原町に整備されている農村型リゾート施設などを広域的にネットワーク化し,心がいきいきとする多様なレクリエーションの場として,都市住民をはじめ,多くの人びととの交流をすすめる。また,河川,湖水の水質保全,環境保全に努める。
  •  高齢化が進行するなかで,地域ぐるみで高齢者を支えあうとともに,高齢者が健康で生きがいをもってくらせるよう,きめ細かな保健福祉対策をすすめる。
  •  圏域と吉備高原都市や県南を結ぶ国道 429号及び主要地方道津山柵原線,久米建部線,勝央仁掘中線を整備するとともに,まきばの館への進入路である一般県道坪井下栃原線など圏域内の道路整備をすすめる。また,広域農道中部台地地区の建設を促進する。

9 勝英地方

勝英地方は,中国縦貫自動車道や基幹的交通網の整備,山陽自動車道や智頭線の開通により京阪神をはじめ,山陽,山陰の結節点となり,交通の要衝としての位置づけがますます強まっている。 また,この地域は自然を活用した観光・レクリエーション地域として振興がはかられており,豊富な森林資源や渓谷,温泉は,観光面はもとより他の産業においても重要な役割を果たしている。 今後は,工業をはじめ,農林業,観光など相互の調和をはかりながら,恵まれた自然環境や資源の保護と活用に努め,歴史と伝統を生かした個性ある地域づくりをすすめ,地域住民の燃えるような熱意と実践のもとに魅力ある勝英地方として新たな発展をはかる必要がある。 このため,瀬戸大橋,岡山空港をはじめ智頭線,中国縦貫自動車道,山陽自動車道等の広域交通網の整備による効果を最大限に受け止めることができるよう,中国縦貫自動車道作東インターチェンジ(仮称)の新設,美作岡山間道路の建設促進と幹線道路,生活交通網の整備を一層推進し,広域交通網を生かした内陸工業拠点としての発展をはかる。 産業の集積については,勝央・新勝央中核工業団地が整備され,付加価値の高い企業の誘致により全国有数の内陸工業拠点となっており,また,中国縦貫自動車道に作東インターチェンジ(仮称)を新設することにより広域交通網の利便性が一層促進されることから,インターチェンジ周辺に工業団地の建設をすすめ,次代を担うハイテク産業等を誘致して新たな産業基盤の確立をめざす。 また,豊かな自然や温泉資源などを活用した広域的なスポーツ・レクリエーション地域としての発展をはかる。 さらには,上下水道を整備して,山間のたたずまいや緑豊かな自然のなかで,都会的な快適さが実感できる生活環境の整備をはかり勝英地域の発展をめざす。 農山村については,農業集落排水事業や公共下水道,集落を結ぶ道路等の整備の総合的推進とともに,農業公園の整備などによる都市との交流をはかり,村づくり活動を一層促進する。 伝統的文化資源である横仙歌舞伎,地下芝居,獅子舞,会陽などや古くからの木工加工技術を継承していくことにより,地域文化を保存するとともに郷土愛をはぐくみ,ひいては地域相互の一層の交流に資する。 農業については,地域の豊かな自然環境のなかで農業生産基盤の整備や農用地の効率的活用を一層推進し,認定農業者等を中心とした経営規模の拡大と生産コストの低減をはかる。 地域特産物については,西日本一の黒大豆の産地化をめざすとともに,冷涼な気候や観光需要を勘案しながら,わさび,茶,ぶどう,もも,ナシ等の産地の育成や新作物の導入に取り組み,ハウス栽培等の施設を利用した収益性の高い野菜,果樹,花きの生産振興をはかる。 林業については,生産基盤の整備拡充,高性能機械の利用促進やスギ,ヒノキの優良材の産地銘柄の確立をはかる。また,林業試験場については,森林・林業に関する総合的な研究指導センターとしての役割に加え,学習,展示の場として整備する。 内水面漁業については,アユ,アマゴ,コイ等の放流や生息環境の保全を行うとともに,渓流を利用した釣り場整備等により観光と交流の場としての振興をはかる。

〔みどりの共和国を生かした観光・リゾート地としての北部地域の振興〕

大原町,東粟倉村,西粟倉村からなるこの地域については,「みどりの共和国」と名づけ,智頭線,中国横断自動車道姫路鳥取線など広域交通網と,恵まれた自然,多彩な文化資源,歴史的風土を活用して,観光・リゾート地としての振興をはかる。

  •  氷ノ山後山那岐山国定公園を中心に緑豊かな自然を有効に活用して,美しい森林づくりをすすめるとともに,森林浴公園・野鳥苑,若杉原生林を中心とした森林型の観光・レクリエーションの地として振興をはかる。また,温泉や清流を活用し,自然体験のできる宿泊施設を整備することにより,農山村のリゾート地として振興をはかる。
  •  音色・創造・自然が楽しめる魅力ある滞留型の保養地「愛の村」づくりをめざし,地域のイメージアップと産業の振興をはかる。このため,食と健康をテーマとした施設の整備,クラフトマン・ビレッジ,ベルピール自然公園,現代玩具博物館・オルゴール夢館等の各種交流施設の連携をすすめる。
  •  因幡往来の宿場町としてのたたずまいを残している古町では,本陣,脇本陣等の重要建築物を中心とした町並み保存をすすめる。また,宮本武蔵生誕地である武蔵の里と街道の整備,智頭線の利用促進と都市との交流促進など歴史的文化資源を生かした観光地づくりに努める。
  •  冷涼な自然条件を生かした黒大豆,もち米,ダイコン,ホウレンソウ,さんしょう,有機無農薬野菜など特色ある作物の産地育成や付加価値の高い加工品の開発と育成に努める。
  •  スギ,ヒノキの優良材を生産するため,高性能機械の普及,適時適期の森林施業に努めるとともに,間伐材等を有効に活用した特産品づくりを一層推進する。健全な野外レクリエーションや自然教育の場として,地域資源を活用した農林業公園の整備をすすめる。
  •  中国横断自動車姫路鳥取線の建設促進と国道 373号,同 429号及び主要地方道作東大原線の整備を推進する。

〔工業と自然と文化的な生活が調和した西部地域の振興〕

勝田町,勝央町,奈義町,勝北町からなるこの地域については,全国有数の内陸工業団地である勝央・新勝央中核工業団地を核として,先端技術産業などの企業誘致をすすめ,雇用の場の確保と住宅地の整備により定住促進をはかる。 また,雄大で美しい自然を生かした観光・レクリエーション施設の整備と,伝統文化の伝承・保存,芸術鑑賞等文化的生活の向上をはかるとともに,下水道等の生活環境の整備を促進する。

  •  那岐山系の雄大な景観や渓流を活用し,ふるさと砂防事業によりキャンプ場,アスレチック広場,農村型リゾートを整備して,自然とふれあう観光・レクリエーションの振興をはかる。また,地域の文化活動と横仙歌舞伎など郷土芸能の伝承,保存をはかるとともに,芸術鑑賞機会の拡大により地域文化の創造をめざす。
  •  農用地の利用権集積や農作業の受委託等により認定農業者を中心とした大規模経営を育成し,稲作生産のコスト低減をはかる。また,国際化に対応できる酪農,肉用牛,黒豚等の生産振興をはかるとともに,畜産基地が整備されたことから,環境に配慮しながら良質たい肥を生産し,地域の土づくりに貢献する。
  •  台地等の恵まれた耕地を活用し,京阪神等の大消費地の需要に対応できるよう,もも,ぶどう,ナシ等の特産果実や黒大豆,イチゴ,さといも,花き,しいたけ等の生産を振興するとともに,地域特産品として推進している,たら,わさび,やまのいも等の生産振興並びに付加価値を高めるための加工技術の向上に努める。さらに,新鮮でおいしい農産物の産地化をすすめるなかで,農村と都市,生産者と消費者が気軽に交流できる場として「おかやまファーマーズ・マーケット(仮称)」等を整備する。
  •  観光需要にタイアップした地域特産品の販路拡大をはかるため,農産物加工施設や関係農協による販売センター等の整備を促進する。
  •  国道53号,同 429号や主要地方道智頭勝田線,同勝央勝北線,一般県道馬橋平福線,同工門勝央線等の整備を推進する。

〔広域交通網を生かした内陸工業拠点と湯郷温泉を核としたスポーツ・レクリエーション地としての東南部地域の振興〕

美作町,作東町,英田町からなるこの地域については,湯郷温泉を中心に,ラグビー・サッカー場,ゴルフ場,サーキット場などのスポーツ施設をはじめ大芦高原などのリゾート地を生かすとともに,温泉資源を活用した健康増進施設の整備などにより,スポーツ・レクリエーション地として振興をはかる。 また,作東インターチェンジ(仮称)の新設や広域交通網を活用した工業団地等の整備をすすめ,新たな雇用の場の確保と若者の定住を促進する。

  •  湯郷温泉を宿泊拠点としながら,中国縦貫自動車道や山陽自動車道を生かし,京阪神,山陰,四国などの県内外から広く観光客を誘致するため,施設,景観,環境の整備を促進し,地域ぐるみで観光客を受け入れる体制づくりをすすめる。
  •  ラグビー・サッカー場等のスポーツ施設と温泉資源を活用した健康増進とスポーツ障害の機能回復等をはかる「アクア・スポーツサロン美作(仮称)」の整備をすすめ,湯郷温泉との有機的連携により,スポーツ・レクリエーションの中核基地として地域の振興をはかる。
  •  フランスのセント・バレンタイン市との姉妹縁組により,バレンタイン日本の里づくりをめざして,宿泊交流施設を整備し,若者等の交流の場とするとともに,大聖寺,宮原獅子舞,農村歌舞伎などの伝統的文化資源を生かして観光の振興をはかる。
  •  モータースポーツを地域活性化の核とするため,国際レベルのモーターレース支援,オートキャンプ場,商業施設等サーキット場周辺地域の整備をすすめるとともに,特産物の開発,さらには,大芦高原や長福寺,琴弾の滝等を結ぶ多様な観光ルートを設定し,地域産業や観光の振興をはかる。
  •  中山間地域の実情をふまえ,ほ場整備や農地の流動化等を促進し,水稲と畜産,果樹,野菜,花き等との複合経営を推進する。
  •  棚田を利用した有機無農薬農産物の生産や農業体験施設の整備により,都市と農村,消費者と生産者との交流をさらにすすめる。
  •  地域特産物として定着している黒大豆については,消費地と直結した契約栽培を一層強化するとともに,醸造米の「山田錦」,茶,くり,ゆず,メロン,小ねぎ,しいたけ,花き等地域性のある生産団地を育成する。また,観光需要に対応した販路拡大をはかるため,加工品の開発や観光農園,体験農園等との結びつきを強化するとともに生産者が直接消費者とふれあう直売施設を整備する。
  •  美作岡山間道路,作東インターチェンジ(仮称)の建設をすすめるとともに国道 179号,同 374号,同 429号,主要地方道和気笹目作東線,同赤穂佐伯線及び一般県道上福原佐用線,同福本和気線等の整備を推進する。

計画のすすめ方

この計画は,「快適で活力あふれる岡山づくり」を推進するため,県民の幅広い意見をふまえて策定したものである。 この計画を実効あるものとするためには,県民一人ひとりが「自らの地域は自ら築く」という気概のもとに新たな課題にチャレンジするとともに,行政としては,「地方でできることは地方で」という考え方のもとに地方分権を強力に押しすすめ,新たな時代に対応した行政運営に一層努めていく必要がある。
また,そのためには,計画的かつ効率的な財政運営を確立するとともに,施策事業を実施することができるだけの執行体制を整え,さらに,実際の事業の執行にあたる職員の意識を刷新し,斬新な発想に基づく高度な政策能力を向上することが不可欠である。 このようにして,県,市町村はもとより,国,民間団体,県民すべてが協働し,計画の達成に向け積極的な努力を重ねることが期待される。

1 総合的,機能的な行政運営の確立

岡山県では,これまで総合的な行財政運営の確立と一貫した地域行政を推進するための執行体制づくりに努めてきたところであるが,今後,本格的な高齢社会の到来や高度情報化の進展,さらには,地方分権の推進など,時代が大きく変わるなかで,ますます多様化する県民ニーズに積極的かつ的確に対応して,県民福祉の一層の向上をはかるためには,組織及び事務の合理化など,行財政運営全般にわたる不断の見直しが不可欠である。 特に,地方分権に伴って増大する地方の役割と責任を十分果たし,真の地方自治を確立するためには,県が,市町村とともに分権の担い手であること,そして,厳しい社会経済情勢にあって,分権に伴う地方の肥大化は許されないことを自覚し,量的にも質的にも一層簡素で効率的な行財政運営に努めることが重要である。 そのためには,まず,地域のことは地域全体で支えるという分権の理念に立って,県民や市町村との役割分担を明確にし,県の役割であっても,最少の経費で最大の効果をあげるという行財政運営の基本原則に立ち返り,これまで以上に,地域や民間の活力を活用する必要がある。 そこで,行財政運営の簡素化,効率化の推進にあたっては,公的規制緩和推進の観点を含めて,すべての事務事業を見直し,県の事務であっても,行政権の行使あるいは県政の企画立案など,県が直接処理しなければならないものと,外部人材の活用や民間委託の推進等によって対応できるものがあることなどをふまえ,必要最小限の執行体制の確保に努める。 なお,高齢化の進展など公務労働部門を取り巻く社会的,経済的な情勢の変化に対応して,外部人材を柔軟かつ有効に活用するためには,公務員制度についても見直す必要がある。
こうした考え方に基づいて,この計画期間内に,民間委託の一層の進展と定数管理の徹底など抜本的な行財政改革を推進する。

2 計画的,効率的な財政運営の確立

長引く景気の足踏みにより,本県の県税収入は平成3年度の 2,169億円をピークに低迷しており,平成8年度税収見込みは 1,900億円程度にとどまっている。景気は,緩やかながら足踏み状態から脱する動きがみられるものの,数か年にわたる経済対策などにより県債残高は大幅に増加しており,平成8年度末には 8,800億円を超える見込みとなるなど,本県の財政環境は今日まで経験したことのない極めて厳しい状況にある。 しかしながら,中四国における拠点性の形成,防災対策,高齢化,高度技術・情報化への対応など,社会経済情勢の変化に柔軟に対応し,「快適で活力あふれる岡山づくり」を推進していくことが求められており,一層,計画的,効率的,重点的な財政運営に努めなければならない。

(1)県財政の運営
我が国財政を取り巻く環境について見ると,今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など,今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくことが求められている。一方,景気の先行きは依然として不透明であるばかりでなく,平成9年度に予定されている地方消費税の導入や,地方分権推進計画に基づく税財源配分の見直しなど今後地方財政をとりまく変動要因は極めて多い。
このような状況のもとで,これからの本県の財政運営を的確に予測することは困難ではあるが,県税などの自主財源及び地方交付税などの依存財源の将来動向の把握に努め,これらの限られた財源を有効に活用して,財政環境に対応した的確な財政運営を行うことが必要である。また,公債費の増嵩をできるかぎり抑えるとともに,県債の発行にあたっては良質な資金の導入に努め将来の負担を軽減する必要もあるなど,中期的展望に立った健全で安定的な財政運営をすすめていかなければならない。
このため,今後,平成8年度当初予算をベースとして,計画期間中の県財政を現時点で見込みうる範囲で見通し,財政運営の指針を明らかにすることとするが,最近の厳しい財政環境からは,かなりの財源不足は避けられない状況と考えられる。これについては,事務事業の見直しなどによる一層の経費節減,緊急度・優先度に応じた事業の適切な進行管理,さらには,民間活力の導入等による効率的な財政運営に努めるなど,簡素で効率的な行財政運営による経費の縮減を徹底してすすめていくことにより対処する。
その際,社会基盤の整備については一定の成果をあげてきているところであり,今後,基盤を生かしたソフト事業への施策の転換をはかっていく。
あわせて,地方財政のひっ迫は全国的なものであることから,地方分権の推進とも相まって,国に対して抜本的な税財政制度の改正を求めていくこととする。

(2)実施計画の推進
この計画に盛り込まれた事業の所要経費として,現段階で想定しうるものの総額は, 3兆6,000億円程度であり,事業の実施主体別事業費は,県事業約1兆1,900億円,市町村事業約1兆5,600億円,国,その他約8,500億円となっている。

実施計画事業主体別事業費 (単位:億円)

事業主体 総事業費 負担区分
市町村 その他
岡山県 11,859 3,346 7,582 561 370
市町村 15,619 6,716 1,378 7,225 300
国その他 8,457 2,017 2,061 216 4,163
合計 35,935 12,079 11,021 8,002 4,833

この計画の実施に伴い,県予算(普通会計)に計上することとなる経費の総額は,計画期間累計で1兆6,500億円程度と見込まれる。 事業の実施にあたっては,国及び市町村との緊密な連携のもとに,総合的,機能的な財政運営に努め,社会経済情勢の変化に適切に対応しながら,事業の適期の実施をはかるなど,緊急度,優先度の高い事業に対して財源を優先的,重点的に配分することにより,計画事業の円滑な推進に努める。

(3)市町村財政の展望と計画の推進
市町村財政は,個々の市町村の財政力や行政需要に大きな差異があるため,将来を的確に見通すことは極めて困難であるが,国の財政の中期展望に示された指標等を参考に市町村全体の財政状況を展望してみると,平成8年度から12年度に至る5か年間の累積財政規模は4兆7,000億円程度と予測され,そのうち建設事業に充当可能な財源は1兆1,000億円程度と推定される。 一方,この計画に掲げられた事業にかかる市町村の財政負担額は,総額約8,000億円で,そのうち市町村の財政運営に大きな影響を与える建設事業への負担額は,約3,800億円となっている。
したがって,この計画に計上されていない市町村独自の事業を勘案しても,市町村全体としてマクロ的に見れば,計画に掲げられた市町村事業の実施は可能であると考えられる。
しかし,市町村財政は相対的に規模が小さく,弾力性に乏しいため,今後の国の税財政制度の改正,経済動向のいかんによっては,前記の財政見通しそのものが厳しいものとなるおそれがある。 このため,国に対して,市町村財政への理解と配慮を求めるとともに,各市町村に対しては,財源の重点配分と経費支出の効率化について格段の努力を期待し,あわせて,県としても個々の市町村の実態に配慮した助成や融資の措置を講じるなど,県,市町村が一体となって計画の円滑な推進を期していく必要がある。

3 地方分権の推進と規制緩和

(1)地方分権の推進
21世紀に向けて,個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するためには,地方分権が不可欠である。 平成7年5月の地方分権法成立は,国が,地方分権の推進を基本的な政策として意思決定したという点で画期的なことであるが,実効ある地方分権の成否は,地方分権推進計画及びその実施のいかんにかかっている。 “地方でできることは地方で”を基本として,国の事務は,外交,防衛など国の存立にかかわるものに限定し,その他の権限と財源を地方に委譲すべきである。
こうした考え方に立って,地方分権が推進されるよう,地方六団体と連携をはかりながら,その実現をめざす。 また,岡山県においては,これまで,地方振興局制度の充実や市町村長への権限委譲によって“地域でできることは地域で処理する”という観点から,県でできる自主的な分権に取り組んできたところであるが,今後とも,この基本的な考え方を踏襲し,真の地方自治の確立をはかる。

(2)規制緩和
公的規制を極力廃止・緩和することは,市場原理を基本とした産業構造の転換,制度・仕組みの国際的調和,国民負担・行政事務負担の軽減などのため不可欠である。
社会経済情勢の変化等に伴い,現行の各種規制について抜本的に見直す必要があることから,国へ規制緩和を働きかけるとともに,本県においても公的規制緩和の観点から,県行政全般を見直し,民間活力の一層の活用に努める。


主題:
快適で活力あふれる岡山づくり
第5次岡山県総合福祉計画 No.6
364頁~434頁

発行者:
岡山県

発行年月:
平成8年4月

文献に関する問い合わせ先:
岡山県庁
〒700-8570
岡山県岡山市内山下2-4-6
TEL:086-224-2111