みんなが参加しともにあゆむ21世紀をめざして
山口県障害者福祉長期ビジョン
No.2
第4節 保健・医療 ~安心して暮らすために~ |
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障害の発生予防と早期発見、早期治療は、障害者福祉を推進するうえで重要な課題です。
障害の軽減を図るためには、乳幼児期において障害を早期に発見し、早期に療育を行うことが必要です。
障害者への適切な保健・医療・福祉サービスの確保を図るためには、それぞれの施策を充実強化するとともに、連携のとれた一体的なサービスの提供体制の確立を図る必要があります。
精神障害者については、社会復帰・社会参加の促進を図るための地域精神保健対策を進めていく必要があります。
保健・医療の推進にあたっては、専門的技術を有する質の高い従事者の養成・確保を図ることが重要です。
重点目標 |
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1 障害の発生予防 |
2 障害の早期発見と早期療育の推進 |
3 医療及びリハビリテーション医療の充実 |
4 精神保健対策の推進 |
5 専門従事者の確保 |
1 障害の発生予防
現状と課題 |
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- 障害対策の基本は、まず障害の発生を未然に防ぐことにあります。障害の発生には、先天的な要因と疾病や事故などの後遺症による後天的な要因があります。障害の発生予防対策は、これらの両面から総合的に取り組まなければなりません。
- 先天的な障害対策
先天的障害のなかには、近年の医学・医療の進歩から、妊娠の時期などにおいて予防可能なものがあります。このため、妊娠中の保健教育、保健相談、健康診査などの充実・強化を図ることが一層重要になっています。
さらに、母性の尊重と保護の理念に立ちながら、保健・医療の連携に努め、総合的な母子保健対策を進めていく必要があります。 - 後天的な障害対策
後天的障害は、乳幼児期において疾病や事故を未然に防ぐことで予防できるものがあります。そのため、育児や環境づくりなどに留意し、保護者に定期的な健康診査の必要性を啓発し、個々の乳幼児の特性に応じた適切な保健指導を図ることが必要です、
近年、後天的障害の発生は、脳血管疾患、骨折などに起因することが多いため、その原因となる高血圧症・動脈硬化症・骨粗しょう症等の成人病の予防をめざした健康教育、健康診査、訪問指導などを実施しています。今後は、特に、日常生活習慣改善の実践に結びつく健康教育の一層の充実を図ることが重要です。
施策の方向 | 具体的取り組み |
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障害の発生予防 | 《母子保健対策》 ● 健やかに子どもを産み育てるため、妊娠・出産及び育児に対する知識の普及啓発のための母親学級、育児学級などを開催し、保健教育の充実に努めます。 ● 保健相談、家庭訪問などによる保健指導の充実に努めます。 ● 妊婦・乳幼児の健康診査及び先天性代謝異常等検査の拡充を図るとともに、受診率の向上を図ります。 ● 地域の母子保健推進員などにより、制度の普及・啓発、健康診査の受診の奨励などに努めます。 ● 市町村、保健所、児童相談所など関係機関と十分な連携を図り、母と子の健全な育児環境の整備に努めます。 《成人保健対策》 ● 老人保健法に基づく健康教育、健康診査などの保健事業を充実し、寝たきり老人など、後天的障害の原因となる疾病の予防対策を充実します。 ● 機能訓練や訪問指導体制を充実し、寝たきり老人などの発生予防に努めます。 ● 保健福祉活動の拠点となる市町村保健センター、老人福祉センターなどの整備の促進に努めます。 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
障害児予防対策事業 | 先天性代謝異常等検査 ○対象者 新生児 (出生後5~7日) ○内容 フェニートン尿症等の先天性代謝異常及び先天性甲状腺機能低下症は放置すると精神薄弱などの症状をきたすので、新生児について血液によるマス・スクリーニング検査を行い異常を発見することにより障害の発現を防止 |
制度の周知徹底 | 健康増進課 | 県 |
母子保健訪問指導等事業 | ○妊産婦、新生児、未熟児等の訪問指導 | 訪問指導の充実 | 健康増進課 | 県 |
市町村母子保健事業 | ○母子保健相談指導 ○妊産婦への指導相談 ○母親学級などによる正しい知識の普及と相談指導 |
母子保健事業の充実強化 | 健康増進課 | 市町村 |
主な母子保健対策
主な母子保健対策の図
2 障害の早期発見と早期療育の推進
現状と課題 |
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- 障害の早期発見、早期治療を行うために、地域医療機関と密接な連携により、妊産婦の健康診査、訪問指導、乳幼児の育児相談・健康診査の推進に努めています。さらに、発達が気になる乳幼児を対象に、乳幼児発達クリニックなどを実施しています。今後とも、早期発見から早期治療に結びつける体制の強化を図る必要があります。
- 近年、新生児・乳児等の死亡率は減少しているものの、さらに母子保健水準の改善を図るため、平成4年度から妊婦の超音波検査及び高年齢初産婦の保健管理事業などを開始し、出生前から出生後までの一貫した健康管理の充実に努めています。
- 障害児が発見された場合は、市町村、保健所、児童相談所、医療機関、施設、学校などによる相互連携のもとで、障害児に必要な医療提供、療育相談、指導訓練の実施など、障害の発見段階から一貫した対応が必要です。
- 本県においては、昭和56年度から心身障害乳幼児の早期発見、早期療育を目的とした総合療育機能推進事業(総合療育システム)を開始し、保健・医療・福祉・教育などの関係機関のネットワークによるシステムを構築してきたところであり、平成3年度には県下全域をカバーしました。今後は、関係機関の連携強化による相談指導体制の確立や関係事業の充実を図る必要があります。
- 医療、運動訓練、言語訓練などを行う児童福祉施設等は地域の療育機関として重要な役割を担っていることから、それぞれの療育機能の一層の向上を図る必要があります。
1歳6か月児一般健康診査受診率の推移
年度 | (%) |
---|---|
63年 | 93.2 |
元年 | 92.9 |
2年 | 93.9 |
3年 | 94.3 |
4年 | 93.3 |
3歳児一般健康診査受診率の推移
年度 | (%) |
---|---|
63年 | 92.8 |
元年 | 93.8 |
2年 | 93.6 |
3年 | 92.8 |
4年 | 93.2 |
資料:健康増進課
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 早期発見から早期治療に結びつける体制の強化 | ● 保健相談、訪問指導、各種健康診査などの充実や普及を図り、治療や療育の必要な乳幼児の早期発見に努めます。 ● 保健・医療・福祉の連携を図り、早期発見から早期治療に結びつける出産前からの一貫した指導体制の整備・強化に努めます。 |
2 | 早期発見から早期療育にいたる一貫した相談指導体制の確立 | ● 早期発見から早期療育にいたる全ての段階で、医療は常に重要な役割を担っていることから、医療機関との連携強化を図るとともに、「発達外来」※1の実施について、総合病院などに要請します。 ● 肢体不自由児施設、精神薄弱児通園施設などの地域の中核的な療育機関の整備の促進、療育内容の充実に努めます。 ● 地域における身近な療育機関であるデイ・ケアハウスの整備の促進、療育内容の充実、広域利用の促進を図ります。 ● 療育機関への常時通園が困難な在宅の障害児とその保護者を対象とした支援事業の充実に努めます。 |
総合療育システム受付状況(昭和56年度~平成4年度)
年令別受付状況
年齢 | (%) |
---|---|
0歳児 | 12.3 |
1歳児 | 21.2 |
2歳児 | 22.6 |
3歳児 | 26.5 |
4歳児 | 8.2 |
5歳児 | 5.7 |
6歳児 | 2.0 |
7歳児 | 1.6 |
発見機関別受付状況
機関名 | (%) |
---|---|
保健所 | 53.0 |
市町村 | 18.4 |
児童相談所 | 11.9 |
その他[医療機関等] | 16.7 |
資料:障害福祉課
※1 | 発達外来 | |
子どもの心身の発達に関する疾病、障害などを対象とした外来診療・相談部門 |
総合療育システム
発見 | 各種乳幼児健康診査(保健所・市町村) 乳幼児発達クリニック(保健所) 通知(医療機関) 相談(児童相談所) |
---|---|
| | システム事務局(児童相談所)…総合調整 |
↓ | |
相談・調査・判定・診断 |
療育相談会 小児科・整形外科・精神科医 保健所、児童相談所、ことばの教室 医学的総合診断(総合病院) |
↓ | |
処遇方針決定 | システム会議 医学的総合診断機関、保健所 児童相談所、福祉事務所 市町村(保健・民生・教育) |
↓ | |
療育・指導 | 療育機関 児童福祉施設 デイ・ケアハウス ことばの教室 等 ※医師等によるフォローアップ ※療育専門職員の派遣 |
↓ | |
障害の除去・軽減、就学 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
妊婦乳児健康診査 事業(妊婦健康診査) | ○対象者 妊婦(前期・後期) ○内容 (1)妊婦の安全な分娩と健康な子の出生の促進 (2)妊婦の健康管理の向上 |
制度の周知徹底と受診率の向上 | 健康増進課 | 県 |
妊婦健康管理特別強化(超音波検査)事業 | ○対象者 妊婦(前期診査時) ○内容 妊婦一般健診に超音波検査を実施し、妊娠経過の的確な把握や周産期疾患の早期発見を行うことにより、妊婦の健康管理対策の強化などを促進 |
妊娠早期受診奨励の一層の推進 | 健康増進課 | 県 |
障害児予防対策事業(再掲) | 先天性代謝異常等検査 ○対象者 新生児(出生後5~7日) ○内容 フェニールトン尿症等の先天性代謝異常及び先天性甲状腺機能低下症は放置すると精神薄弱などの症状を来すので、新生児について血液によるマス・スクリーニング検査を行い異常を発見することにより障害の発現を防止 |
制度の周知徹底 | 健康増進課 | 県 |
妊婦乳児健康診査事業 (乳児健康診査) |
○対象者 乳児(3か月児・7か月児) ○内容 ・乳児の異常の早期発見と適切な措置 ・乳児の健康管理の向上 |
制度の周知徹底と受診率の向上 | 健康増進課 | 県 |
市町村母子保健等事業 (1歳6か月児健康診査) |
○対象者 幼児(1歳6か月児) ○内容 身体の疾病などを早期に発見するとともに、生活習慣の自立、虫歯予防、幼児の栄養、その他育児に関する指導を行うことによる、幼児の健康保持増進 |
○障害児の早期発見のための対象者の的確な把握 ○制度の周知徹底と受診率の向上 |
健康増進課 | 市町村 |
3歳児健康診査事業 | ○対象者 幼児(3歳児) ○内容 身体発育及び精神発達の面から重要な時期である3歳児に対し、医師などによる総合的健康診査を実施し、心身障害の早期発見を促進 |
障害児の早期発見のための制度の周知徹底 | 健康増進課 | 県 |
乳幼児発達クリニック事業 | ○対象者 健診などにより把握した「要観察児」※1 ○内容 ・発達チェック ・指導 ・診察 ・事例検討 |
「要観察児」の心身の発達遅滞及び障害の早期発見 | 健康増進課 | 県 |
母子保健訪問指導等事業(再掲) | ○未熟児・新生児・要観察児などの訪問指導 | 訪問指導の充実 | 健康増進課 | 県 |
※1 | 要観察児 | |
継続的な経過観察の必要な乳幼児 |
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
市町村母子保健事業(再掲) | ○母子保健相談指導 ○乳幼児の保健・栄養・育児などの指導 ○育児学級等による正しい知識の普及 |
母子保健事業の充実強化 | 健康増進課 | 市町村 |
高年齢初産婦等産後保健管理事業 | ○対象者 20歳未満及び30歳以上の初産婦 ○内容 産後の過剰な不安の軽減や不安定な母体の健康度の向上を図るため、出産に係わった助産婦などが電話による保健指導等を実施 |
医療機関の協力による、高年齢初産婦などに対する保健管理体制の充実 | 健康増進課 | 県 |
心身障害児総合療育機能推進事業 | ○対象者 心身障害乳幼児及び心身障害があると疑われる乳幼児(原則として、就学前の児) ○内容 ・システム事務局(総合窓口)は児童相談所 ・専門医などによる「療育相談会」の開催 ・要精密検査児などに対する「医学的総合診断」の開催 ・処遇方針決定のための「システム会議」の開催 |
○制度の周知 ○関係機関の連携強化 ○事業の機能充実 |
障害福祉課 | 県 市町村 |
心身障害児(者)デイ・ケア推進事業(デイ・ケアハウス) | ○対象者 在宅の心身障害児及び重度心身障害者 ○内容 指導員、保母、理学療法士、言語療法士などによる日常生活訓練、機能回復訓練等の実施 |
○整備の促進18→22箇所 | 障害福祉課 | 市町村 |
心身障害児母子通園訓練事業 | ○対象者 在宅の心身障害乳幼児 (原則として、3歳以下) ○内容 ・中核的な療育機関(6箇所)における医師、理学療法士、保母などによる母子通園訓練方式による療育訓練の実施 ・1教室あたり母子10組の規模で週1回開催 |
○制度の周知 ○実施市町村の拡大 |
障害福祉課 | 市町村 |
《今後の研究・検討事項》
項目 | 内容 |
---|---|
障害児の早期発見機能の強化 | 総合療育システムの早期発見機能を強化するため、保健所に要観察児の組織的・専門的な経過観察の場を設置 |
障害児母子療育キャンプの開催 | 在宅の心身障害児及び保護者を対象とした親子参加形式の療育キャンプの開催 |
在宅障害児への療育・介護の支援 | 療育施設のない地域の療育訓練や指導を受けられない児童の保護者を対象とした、児童相談所が行っている巡回相談などにおける療育ビデオによる指導の導入 |
3 医療及びリハビリテーション医療の充実
現状と課題 |
---|
- 医療の進展や社会システムの充実に伴い、診断、治療が進歩するとともに、最新の医療機器の開発などにより、障害者に対する医療及びリハビリテーション医療が拡充されています。
- 障害の重度化・重複化、障害者の高齢化にともない、障害に応じたきめ細かな医療並びに保健サービスの提供が求められています。このため、医療機関を利用できる障害者はもとより、在宅の重度障害者に対する医療の充実が課題となっています。
- 山口県におけるリハビリテーション医療の水準に関しては、技術的には第一線の医療機関を中心にほぼ満足できる状況にありますが、地域的には、都市部に集中していることや中枢となりうる施設がないため、最先端かつ高度な医療の提供が不十分といった点がみられます。
- 障害の軽減を図ることや、障害者が障害をもちながらより良い生活の質を保って暮らすには、医学的・社会的・経済的・心理的側面などの広い領域にわたる支援と対応が必要であり、これらを包括・統合したリハビリテーションシステムを構築し、これを有効に機能させることが必要です。
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 医療体制の充実 | ● 慢性疾患を抱えた高齢者や障害者に対しては、医療機能のほかに介護機能や生活援助機能を含んだ長期ケアシステムについて研究します。 ● 外来通院が困難な患者のための在宅医療供給体制の整備に努めます。 ● 角膜障害者、腎不全患者、白血病患者などに対する根治療法としての臓器移植医療の充実のため、平成5年10月に設立した「(財)やまぐち角膜・腎臓等複合バンク」により、移植医療の推進を図るとともに、角膜、腎、骨髄の提供について、県民の理解と協力を得るための普及啓発に努めます。 ● 心身障害児(者)の歯科保健医療確保のため、山口県口腔保健センターでの歯科診療を推進するとともに、地域一般歯科診療所での受診が可能となるよう、診療体制の充実を図ります。 |
2 | 医療給付制度の充実 | ● 身体に障害のある児童を対象とした「育成医療給付事業」、身体障害者を対象とした「更生医療給付事業」について、指定医療機関の拡大など医療給付制度の充実を図ります。 ● 難病のうち特定疾患については、「特定疾患治療研究事業」や「小児慢性特定疾患治療研究委託事業」などを実施し、治療研究を行い、医療の確立と普及を図るとともに、患者家庭の医療費負担の軽減を図ります。 |
3 | リハビリテーション医療実施体制の整備 | ● 疾病の発生予防はもちろんのこと、発症早期から治療ならびに回復期、維持期までのリハビリテーションがスムーズに行われるよう、本県におけるリハビリテーション体制の確立に努めます。 ● リハビリテーション体制の中で、中枢機能のあり方について、具体的方策を山口県リハビリテーション推進協議会において引き続き検討します。 |
リハビリテーションシステム イメージ図
(山口県リハビリテーション推進協議会検討資料から)
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
臓器バンク設置推進事業 | 角膜、腎臓、骨髄を対象とするバンクを設置し、一般県民の臓器移植医療に対する知識の啓発普及及びネットワークづくりを推進 | ○臓器提供登録者の拡大 ○臓器移植医療実施件数の増 ○基本財産の拡大 |
医務総務課 | 財団法人 |
心身障害児(者)歯科診療所運営委託事業 | ○対象者 心身障害児(者) ○内容 一般歯科診療で対応できにくい心身障害児(者)の歯科診療業務を(社)山口県歯科医師会に委託して実施(実施場所→山口県口腔保健センター) |
○重度の患者へは口腔保健センターでの診療を推進 ○軽度の患者は地域一般診療所での受診を推進 ○歯の健康教育の推進 |
健康増進課 | 県 |
歯科衛生士養成所教育事業 | 歯科衛生士教育の一環として、社会福祉施設などへの巡回臨床実習を行い、歯科衛生士を養成するとともに、歯科保健指導を実施 | ○教育内容の充実 ○歯の健康教育の推進 |
健康増進課 | 県 |
在宅重度身体障害者訪問診査事業 | ○対象者 在宅重度身体障害者 ○内容 医師、保健婦、身体障害者福祉司などか訪問し、健康診査や介護等に関する指導、助言を実施 |
○実施市町村、受診者の拡大 ○ニーズの堀り起こし |
障害福祉課 | 市町村 |
在宅重度精神薄弱者訪問診査事業 | ○対象者 在宅重度精神薄弱者 ○内容 医師、保健婦、精神薄弱者福祉司などが訪問し、健康診査や介護等に関する指導、助言を実施 |
○実施市町村、受診者の拡大 ○ニーズの堀り起こし |
障害福祉課 | 市町村 |
身体障害者健康診査事業 | ○対象者 脊髄損傷、脳性麻痺、脳血管障害などを原疾患とする在宅の下肢障害、体幹機能障害1級程度の車いす常用者 ○内容 健康診査を行い、二次的障害の発生を予防 |
○実施市町村、受診者の拡大 ○受診しやすい方法の検討 ○保健婦などとの連携による、受診後のフォローアップ |
障害福祉課 | 市町村 |
身体障害児育成医療給付事業 | ○対象者 身体に障害のある児童 (18歳未満) ○内容 障害を早期に除去又は軽減し、生活能力を得るために必要な医療を給付 (医療費の自己負担分の一部公費負担) |
医療機関、医師に対する制度の周知、活用の徹底 | 健康増進課 | 県 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目票 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
身体障害者更生医療給付事業 | ○対象者 身体障害者 ○内容 更生のために必要とする医療(更生医療)を給付。または、これに代えて更生医療に要する費用を支給 |
○医療機関、医師への制度の周知、活用の徹底 ○対象者への制度の周知徹底 |
障害福祉課 | 市町村 |
特定疾患治療研究事業 | ○対象者 特定疾患と認められた患者 ○内容 原因が不明で治療方法が確立していない疾患のうち、国等が治療方法の研究及び公費負担の対象とした疾患について、医療の確立・普及を図るとともに、医療保険の自己負担分を公費負担することで患者・家族の医療費負担を軽減 |
保健所、医療機関、福祉機関などとの連携強化 | 健康増進課 | 県 |
小児慢性特定疾患治療研究委託事業 | ○対象者 18歳未満の患者 (一部疾患は20歳末満) ○内容 小児慢性特定疾患の治療研究を推進し、医療の確保及び普及を図り、医療費負担を軽減 |
保健所、医療機関、福祉機関などとの連携強化 | 健康増進課 | 県 |
小児慢性特定疾患医療給付事業 | ○対象者 20歳未満の患者 (一部疾患は18歳未満) ○内容 国の事業で救済されない患者への医療を確保するとともに、医療費負担を軽減 |
保健所、医療機関、福祉機関などとの連携強化 | 健康増進課 | 県 |
総合リハビリテーション推進事業 | 本県におけるリハビリテーション関係機関の連携を図り、本県におけるリハビリテーション体制について協議 | ○リハビリテーションのあり方及びシステムなどの検討 ○理学療法士、作業療法士養成施設の整備の必要性の検討 |
医務総務課 | 県 |
4 精神保健対策の推進
現状と課題 |
---|
- 昭和62年に精神衛生法が改正され、精神保健法として制定されたことにともない、精神的健康の保持・増進、精神障害者の人権に配慮した医療の確保とともに、社会復帰等の促進が図られ、「精神病院から社会復帰施設へ」という流れが形成されつつあります。
さらに、平成5年の精神保健法の改正に伴い、「社会復帰施設から地域社会へ」の新しい流れを形成するための精神保健対策の充実が求められています。 - 県民の心の健康づくりとともに、正しい精神保健知識の普及をすすめる必要があります。
- 地域での精神的健康の向上を進めるとともに、精神障害者が地域社会で生活しながら医療を受けることができるよう支援するため、地域精神保健対策の充実を図っていく必要があります。
- 地域社会で適切な医療の機会が提供できるよう、通院医療費の負担の軽減や精神科デイ・ケアの普及など通院医療の充実が求められています。
- 精神障害者の社会復帰や社会参加を促進するための対策の充実が必要であり、さらに、社会的なリハビリテーションシステムの構築により地域社会において安心して生活できるようにすることが課題です。
- 高齢化が進む中で、痴呆性老人に対しては、適正な診断と治療方針のもと、保健・医療・福祉の連携による適切で一貫した支援体制を確立することが今後の課題です
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 適正な医療の普及 | ● 通院の精神障害者に公費負担制度を周知して、経済的負担の軽減を図るとともに、精神科デイ・ケアの普及などにより、通院医療の充実を図ります。 ● 人口構造の高齢化をふまえ、痴呆性老人の適切な処遇を図るために専門的診断を行う老人性痴呆疾患センターの整備を推進します。また、相談からケアまでの一貫した支援体制づくりのため、保健・医療・福祉の連携の強化を図ります。 |
2 | 地域精神保健対策の推進 | ● 県民の精神的健康の保持・増進を図るため、地域の健康教育などのさまざまな機会を通じて心の健康づくりや正しい精神保健知識の普及・啓発を図ります。 ● 思春期から老年期にいたる各ライフステージに応じた本人や家族の悩みを気楽に相談できるよう、電話相談や巡回相談など、窓口の充実を図ります。 |
3 | 社会復帰対策の推進 | ● 身近な地域において社会適応能力の訓練のできる場の確保のため、市町村などと協力して、「職親」※1の開拓、共同作業所※2への助成の拡充対策を促進します。 ● 地域で生活できる受け皿(生活の場)の確保のため、援護寮など社会復帰施設の整備や地域での生活を援助するグループホームなどの設置を促進します。 |
※1 | 職親 | |
都道府県知事から、精神障害者の職場での社会適応訓練の委託を受ける事業所の事業主をいう。 《関連事業…社会適応訓練委託推進事業》 |
||
※2 | 共同作業所 | |
在宅の精神障害者が社会復帰をめざし、通所で作業指導等社全適応訓練を受ける小規模の施設をいう。 (精神障害者家族会が運営) |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
通院医療費公費負担制度 | 精神障害者の通院医療を促進し、適正な医療を普及させるため、精神科治療の通院医療費の一部を負担 | 制度を周知し、通院医療費の負担を軽減 | 健康増進課 | 県 |
老人性痴呆疾患センター運営事業 | ○老人性痴呆患者の専門的相談、諸検査に基づく専門的診断、治療方針の選定などを実施 ○総合病院などにセンターを併設 |
センターの増設 | 健康増進課 | 県 |
心の健康づくり推進事業 | ○心の健康づくりに関する知識の普及・啓発のため、指導者研修会を開催 ○心の健康づくりに関する相談 相談日:月~金曜日(電話可) 対象者:一般県民 相談員:医師等 |
○正しい知識の普及・啓発 ○相談員の資質の向上 ○専用電話による相談 |
健康増進課 | 県 |
性に関する心の悩み相談事業 | ○性に関する正しい知識の普及・啓発 ○性の悩みに関する相談 (電話可) |
相談体制の充実 | 健康増進課 | 県 |
思春期相談指導事業 | ○思春期精神保健に関する知識の普及 ○思春期精神保健相談の実施 |
児童相談所、教育機関などとの連携強化 | 健康増進課 | 県 |
社会復帰相談指導事業 | ○回復途上にある精神障害者の社会適応に関する相談の受付 ○保健所に通い、保健及び生活指導などを行うグループ活動を通して社会復帰を促進 |
保健所間の交流、地域との交流を深めるなどの内容充実 | 健康増進課 | 県 |
共同作業所運営費補助事業 | 精神障害者家族会が運営している共同作業所運営費の一部を補助 | 補助内容の充実等 | 健康増進課 | 市町村 |
社会適応訓練委託事業 | 登録した一般の事業所(職親)に一定期間、精神障害者への社会適応訓練を委託 ○通院リハビリテーション事業 ・対象者 回復途上の精神障害者 ・期間 3年以内(6か月更新) ○職親委託事業 ・対象者 寛解した精神障害者 ・期間 1年以内(6か月更新) |
制度の周知徹底と登録事業所の開拓 | 健康増進課 | 県 |
社会復帰施設整備促進事業等 | 精神保健法第10条に定める社会復帰施設の設置者(社会福祉法人等)にその施設建築費の一部を補助、また、運営費の一部を補助 | ○整備の促進4→8箇所 | 健康増進課 | 県 |
精神障害者証明書交付事業 | 障害年金受給者と同程度の障害を有する精神障害者に対して、所得税等の障害者控除などの適用のために、知事が証明書を交付 | ○制度の周知徹底 ○利用範囲の拡大の検討 |
健康増進課 | 県 |
《今後の研究・検討事項》
項目 | 内容 |
---|---|
精神障害者地域生活の援助 | 地域において共同生活を営む精神障害者に対する、日常生活における援助活動への助成 |
社会適応訓練委託事業推進のための傷害保険の加入 | 精神障害者の社会適応訓練中の事故を保障する傷害保険への加入制度の創設 |
社会復帰施設等職員の研修 | 共同作業所や社会復帰施設等の職員の資質の向上を図るための研修の実施 |
職場等の心の健康づくり | 職場などにおける心の健康づくり活動への支援 |
社会復帰施設整備費の助成 | 社会復帰施設について、民間の整備を促進するため、施設整備費を医療・福祉事業団から借り受けた場合に、償還金の一部を助成 |
5 専門従事者の確保
現状と課題 |
---|
- 障害の重度化・重複化や障害者の高齢化の進行にともない、保健指導、看護、介護、リハビリテーションに対するニーズも量的に増大し、質的にも高度化・多様化してきています。
これにともない、専門医師のほか、リハビリテーション医療などに係わる理学療法士、作業療法士、看護職員※1等の専門従事者の養成・確保※2が課題となっています。
施策の方向 | 具体的取り組み |
---|---|
専門従事者の確保 | ● 理学療法士、作業療法士については、引き続き養成・確保に努めます。 ● 理学療法士、作業療法士の養成施設の設置については、早期実現に努めます。 ● 看護職員の養成や潜在看護職員の就業の促進に努めます。 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
特殊医療技術者養成確保対策事業 | ○理学療法士、作業療法士などの確保のための修学資金貸付 | 理学療法士、作業療法士などの確保 | 医務総務課 | 県 |
医療技術者県内定着促進事業 | ○山口県医療技術者県内定着促進協議会に対する運営費の補助 | 医療技術者の確保 | 医務総務課 | 県 |
※1 | 看護職員 | |
保健婦(士)、看護婦(士)、准看護婦をいう。 | ||
※2 | 専門従事者の養成・確保 | |
具体的な計画については、「山口県福祉マンパワー対策指針」による。 |
第5節 福祉 ~暮らしを支える~ |
---|
障害をもつ人々の暮らしを支える福祉分野は、経済的安定のための施策をはじめ、これまで、さまざまな福祉サービスの充実が図られてきました。
障害の重度化・重複化や障害者の高齢化へ柔軟に対応し、障害者の生活の質の向上を図るため、ニーズに応じた適切なサービスが提供される必要があります。
特に、障害者が住み慣れた地域で安心して生活していくため、在宅生活支援サービスの拡充に力を入れていくとともに、自立した生活を支援するための通所施設などの整備充実を計画的に進めていくことが重要です。
また、在宅の障害者の介護にあたる家族への支援施策を充実させることも今後の課題です。
障害者を支えるこうした福祉サービスは、行政のみでなく、ホームヘルパーや各種相談員など社会福祉に携わる人々をはじめ、地域の人々を含めた多くの関係者の協力が不可欠と言えます。
重点目標 |
---|
1 生活安定のための施策の充実 |
2 在宅生活支援サービスの拡充 |
3 施設福祉サービスの充実 |
4 ひとづくりの推進 |
1 生活安定のための施策の充実
現状と課題 |
---|
- 障害者が安心した生活を送るためには、生活の基盤となる所得の保障が基本的な要素となります。
その基本となるのは年金・手当制度であり、昭和61年4月の障害基礎年金※1の導入など、 年金制度の改善をはじめ、各種手当も逐次充実が図られてきました。 - 障害者の生活の安定と向上を図るため必要な各種資金を低利で貸し付ける「生活福祉資金」、保護者の相互扶助制度である「心身障害者扶養共済制度」※2、さらに、重度障害者に対する医療費の助成や税の減免、JRやバス運賃の割引制度などは生活の安定に大きく役立っています。
今後、これらのさまざまな制度の充実をさらに進めていく必要があります。 - こうした生活安定のための各種制度の周知を図るため、より積極的な広報活動を展開していくことも重要です。
※1 | 障害基礎年金 | |
国民年金に加入している間に病気やけがをして障害者になったときや、60歳以上で加入をやめたあと65歳以前に障害者になったときは障害基礎年金が支給される。また、20歳前からの障害者は20歳になったときから障害基礎年金が支給される。 なお、厚生年金加入者は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給される。 |
||
※2 | 心身障害者扶養共済制度 | |
障害者を扶養する保護者が生存中に毎月一定額の掛金を納付することにより、保護者に万一のことがあった場合に、残された障害者に終身一定額の年金が支給される。 |
障害を原因とする年金の受給状況(山口県)
資料:国民年金課
障害児福祉手当等の受給状況(山口県)
資料:障害福祉課
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 年金・手当や資金貸付の充実及び制度の周知 | ● 障害年金や特別障害者手当などの充実を国に要請します。 ● 生活福祉資金など、障害者のニーズに応じ、必要な資金の貸付を行います。 ● 心身障害者扶養共済制度への加入を促進し、障害者の保護者が死亡又は重度障害になったときに年金を支給し、障害者の生活の安定を図ります。 ● 広報誌などにより、年金・手当制度や貸付制度の周知を図ります。 |
2 | 経済的負担の軽減 | ● 税の減免制度やJR等の運賃割引制度などの内容の充実・拡大について、国等に要請します。 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
特別障害者手当の支給 | 身体又は精神に重度の障害を有するため、日常生活に常時特別の介護を必要とする在宅の20歳以上の者へ手当を支給 月額24,630円(平成5年度) |
○制度の周知 ○手当額の増 |
障害福祉課 | 県 市 |
障害児福祉手当の支給 | 身体又は精神に重度の障害を有するため、日常生活に常時介護を必要とする在宅の20歳未満の者へ手当を支給 月額13,390円(平成5年度) |
○制度の周知 ○手当額の増 |
障害福祉課 | 県 市 |
特別児童扶養手当の支給 | 身体又は精神に中度以上の障害をもつ在宅の20歳未満の児童の養育者へ手当を支給 月額 1級 47,160円(平成5年度) 2級 31,440円(平成5年度) |
○制度の周知 ○手当額の増 |
児童家庭課 | 国 |
生活福祉資金の貸付 | 低所得者、高齢者、障害者世帯に対し、生活資金や生業費などを低利で貸付 | ○制度の周知 ○貸付限度額の拡大 |
社会課 | 市町村社会福祉協議会 |
心身障害者扶養共済制度 | 障害者を扶養する保護者が生存中に毎月一定額の掛金を納付することにより、万一のことがあった場合に、残された障害者に終身一定額の年金を支給 年金月額 1口 20,000円 |
制度の周知 | 障害福祉課 | 県 |
重度心身障害者医療費助成制度 | 国民年金1級程度又は身障手帳3級以上の障害者を対象に、医療費の自己負担額を助成 | 制度の周知 | 社会課 | 市町村 |
2 在宅生活支援サービスの拡充
現状と課題 |
---|
- 障害者が地域で生活するうえで生じるさまざまな問題を解決するために、地域には、市町村役場、市町村社会福祉協議会、福祉事務所、保健所などの相談機関があります。
また、専門的な相談に応ずる機関として、身体障害者更生相談所、精神薄弱者更生相談所、児童相談所、精神保健センターなどがあります。 今後は、これらの相談機関による専門的な相談に加え、対象者の多様なニーズに総合的に対応できる相談体制の整備を進める必要があります。 - 障害者やその家族の相談に応じ、必要なサービスにつなげる役割をもつ民生委員児童委員とともに、身体障害者相談員や精神薄弱者相談員が身近な相談役として各地域で活躍しています。
これらの相談制度の積極的な活用を図るとともに、地域の保健婦やホームヘルパーなどとの連携を深めていくことが必要です。 - 在宅福祉サービスに関する情報が障害者に的確に伝えられることが重要であり、今後は情報提供体制の強化を図ることが必要です。
- 在宅の障害者のために従来からさまざまな公的サービスの充実が図られてきましたが、今後とも地域生活に必要なサービスが適切に提供されるよう、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービスなどの在宅生活支援サービスの質的、量的な拡充を図り、障害者自身が必要なサービスを主体的かつ能動的に選択できるシステムを作ることが必要です。
- 障害の重度化・重複化や障害者の高齢化とともに、在宅の家族介護者の高齢化も進んでおり、障害者のみならず、介護者に対する支援も進めていく必要があります。
- 現状では「福祉の恩恵を受けるのは恥」という考え方があり、世間体を考えて、福祉サービスの利用に消極的になる人も見受けられます。孤立しがちな障害者やその家族を支えるために、「さまざまな福祉サービスを積極的に利用するのが当たり前」という福祉の風土づくりをさらに進める必要があります。
- 障害を補ったり、日常生活を容易にする福祉機器として、補装具や日常生活用具の給付が行われており、年々充実が図られてきました。
今後は、多様なニーズに対応できるよう、研究開発による福祉機器の種目の拡充と適用範囲の拡大を図るとともに、制度の周知と普及を進めていく必要があります。 - 障害者のニーズに迅速に対応できるよう、在宅福祉に関する各種サービスの利用手続きなどの簡素化を図ることも必要です。
- 障害者が豊かな在宅生活を営むためには、公的な在宅福祉サービスの充実とともに、地域の住民による相互の助け合いが必要です。
これまで、社会福祉協議会などにより、困ったときにお互いに助け合える組織づくりを進める「福祉の輪づくり運動」が展開されてきましたが、これをさらに進める必要があります。
希望する在宅福祉サービス(身体障害者)
(心身障害者(児)実態調査(平成2年度))
サービス名 | (%) |
---|---|
在宅医療 | 21.5 |
ホームヘルプサービス | 20.8 |
ショートステイ | 20.5 |
相談・指導 | 11.3 |
緊急通報システム | 9.3 |
創作活動等を行う施設 | 6.5 |
ボランティアの援助 | 5.4 |
その他 | 4.7 |
希望する在宅福祉サービス(精神薄弱者)
(心身障害者(児)実態調査(平成2年度))
サービス名 | (%) |
---|---|
ショートステイ | 35.7 |
相談・指導 | 17.0 |
ホームヘルプサービス | 12.0 |
創作活動等を行う施設 | 8.4 |
在宅医療 | 8.3 |
ボランティアの援助 | 4.7 |
その他 | 2.2 |
特になし | 11.7 |
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 相談・情報提供機能の充実 | ● 障害者やその家族の相談に対し、適切な指導・助言・援助を行うため、障害者に身近な市町村が総合的な相談窓口となるよう、体制整備を促進します。 その一環として、在宅福祉サービスマニュアルの作成や専門的コーディネーターの設置を検討します。 ● 民生委員児童委員をはじめ各種相談員間の連携を密にするとともに、市町村や関係機関との相談体制のネットワーク化を促進します。 ● 社会福祉協議全などによる在宅福祉サービスに関する情報提供体制を充実します。 また、最新の情報機器を利用したシステムや障害種別に応じた情報提供方法を検討します。 |
2 | 障害の重度化・重複化や障害者の高齢化に応じた在宅福祉サービスの充実 | ● 障害の重度化・重複化、障害者の高齢化などにともなう障害者のニーズの多様化に適切に対応するため、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービスなどの在宅福祉サービスをさらに充実し、高齢者サービスの利用を図るとともに、生活水準の向上やライフスタイルの変化にともなって生じる新たなニーズに対応できる多様なサービスの提供に努めます。 ● 地域における障害者のニーズに応じた一貫したきめ細かなサービスの提供を図るため、関係機関との連携を強化し、在宅介護支援体制の確立に努めます。 ● 障害の重度化・重複化、障害者などの高齢化により介護負担が増加している家族の介護力の向上や休養を目的としたサービスを提供します。 ● 各種の保健・福祉サービスの円滑な利用を進めるため、手続きの簡素化を行うとともに、広報・啓発活動に努めます。 |
3 | 福祉機器サービスの充実 | ● 在宅障害者の自立を支援するため、利用型施設の整備を促進するとともに、専門機能を有する福祉施設を地域における在宅福祉の拠点とし、これらの機能を活用した在宅福祉サービスの充実を図ります。 ● 補装具、日常生活用具などの種目や適用範囲の拡大を国に要請します。 ● 福祉機器に関する専門的機関である身体障害者更生相談所の機能を強化するとともに、市町村と連携して、制度の周知と情報提供を行います。 ● 不用になった福祉機器を必要とする障害者に提供する体制を整備するとともに、簡単な福祉機器の修理などに応じるネットワークづくりに努めます。 |
4 | 地域福祉活動の推進 | ● 困ったときにお互い助け合える組織づくりを進める「福祉の輪づくり運動」をさらに進め、障害者の生活を支える小地域ネットワークづくりを進めます。 |
《Aさんをとりまくネットワーク》
※山口県社会福祉協議会「福祉の輪づくり運動」資料より
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
ホームヘルプサービス事業 | 身体障害者などの家庭にホームヘルパーを派遣して、入浴等の介護や家事援助などのサービスを提供 | ○ヘルパーの増 ○ニーズにそった実施体制の確立 |
障害福祉課 | 市町村 |
ホームヘルパーチーム運営推進事業 | ソーシャルワーカーや看護婦などとの連携のもと、主任ヘルパーとパートヘルパー等がチームを編成して業務運営を行うチーム運営方式の導入 | ○導入の促進 | 高齢福祉課 障害福祉課 |
市町村 |
デイサービス事業 | 身体障害者の自立の促進、生活の改善、身体の機能の維持向上などを図ることができるよう、通所による創作的活動、機能訓練などの各種サービスを提供 | ○高齢者のデイサービスとの相互利用 ○実施市町村の拡大4→8箇所 |
障害福祉課 | 市町村 |
心身障害児(者)デイ・ケア推進事業 | 在宅の心身障害児(者)の地域での自立更生を目的として、通所による日常生活訓練などの各種サービスを提供 | 実施箇所の拡大18→22箇所 | 障害福祉課 | 市町村 |
身体障害者短期入所事業 | 重度身体障害者を介護している家族が疾病などの理由により居宅での介護が困難な場合の療護施設などへの一時的入所による保護 | ○利用手続きの簡素化 ○制度の周知 ○相互利用 ○実施箇所の拡大5→7箇所 |
障害福祉課 | 市町村 |
心身障害児(者)短期入所事業 | 心身障害児(者)を介護している保護者が疾病、出産、事故などにより家庭において介護を行うことが困難となった場合の児童福祉施設などへの一時的入所による保護 | ○利用手続きの簡素化 ○制度の周知 ○実施箇所の拡大35→42箇所 |
障害福祉課 | 県 |
在宅援護サービス推進事業 | 在宅の身体障害者を対象に、入浴サービス、給食サービス、ふとん乾燥サービスなどの援護サービスを実施 | ○実施市町村の拡大 ○内容の充実 |
障害福祉課 | 市町村 |
心身障害児短期療育事業 | 在宅の心身障害児及びその保護者が心身障害児施設を一時的に利用し、在宅療育や日常生活に関する正しい知識を習得 | 制度の周知 | 障害福祉課 | 県 |
精神薄弱者生活能力訓練事業 | 在宅の精神薄弱者及びその保護者が精神薄弱者援護施設を一時的に利用し、生活訓練や日常生活に関する正しい知識を習得 | 制度の周知 | 障害福祉課 | 県 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
精神薄弱者グループホーム事業 | 地域で共同生活をする精神薄弱者に対して、日常生活における援助などを行うことにより、地域における精神薄弱者の自立生活を支援 | ○制度の周知 ○実施箇所の拡大9→15箇所 |
障害福祉課 | 社会福祉法人 |
精神薄弱者生活支援事業 | 精神薄弱者通勤寮などに精神薄弱者生活支援センターを設置し、地域で単身で生活している精神薄弱者に対し、相談、助言などにより地域生活を支援 | 生活支援センターの内容の充実と設置促進 | 障害福祉課 | 県 |
心身障害児(者)施設機能オープン化促進事業 | 心身障害児(者)施設に在宅福祉を担当するコーディネーターを配置し、施設機能のオープン化の促進と、心身障害児(者)に対する総合的なサービスの提供を実施 | 事業の充実と拡大 | 障害福祉課 | 県 |
補装具の給付 | 身体上の障害を補うための用具の交付や修理 《視覚障害者用》 眼鏡、点字器、盲人安全つえ、義眼 《聴覚障害者用》 補聴器 《音声・言語機能障害者用》 人口喉頭 《肢体不自由者用》 義手、義足、装具、車いす、電動車いす、 歩行補助つえ、収尿器、頭部保護帽 《内部障害者用》 車いす(手押し型)、歩行補助つえ、歩行器、 ストマ用装具 |
事業内容の拡充(種目の拡大等) | 障害福祉課 | 市町村 |
日常生活用具給付事業 | 在宅の重度障害者(児)の日常生活を容易にするための用具の給付や貸与 《下肢・体幹機能障害者用》 浴槽、湯沸器、特殊寝台、特殊マット 《上肢障害者用〉 特殊便器、電動タイプライター 《視覚障害者用》 電磁調理器、点字タイプライター、テープレコーダー、 時計、点字図書、体重計、体温計 《聴覚障害者用》 聴覚障害者用通信装置 《精神薄弱者用》 頭部保護帽、電動歯ブラシ |
事業内容の拡充(種目の拡大等) | 障害福祉課 | 県 市町村 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
福祉機器相談等事業 | 県身体障害者福祉センターに設置されている福祉機器展示場で、福祉機器の利用に関する各種相談と展示説明会を開催 | 福祉機器専門スタッフの配置 | 障害福祉課 | 県 |
福祉の輪づくり運動 |
住民、福祉団体、行政などの協力のもと、社会福祉協議会を中心として行う「困ったときにお互い助け合える組織づくり」の推進
●ニーズとサービスを調整する需 |
ネットワークの強化と在宅福祉サービスの充実 | 社会課 | 県・市町村社会福祉協議会 |
地域福祉総合推進事業(ふれあいのまちづくり事業) |
地域におけるさまざまな構成員が互いに助け合い、交流できるようにする「ふれあいのまちづくり」の推進
●「ふれあい福祉センター」の設 |
実施市町村の拡大 | 社会課 | 県・市町村社会福祉協議会 |
《今後の研究・検討事項》
項目 | 内容 |
---|---|
在宅精神薄弱者デイサービスセンターの設置 | 在宅の精神薄弱者の自立と社会参加を促進するため、文化的活動や機能訓練等を行うデイサービスセンターの設置を推進 |
身体障害者自立支援(ケアグループ派遣)事業 | 身体障害者向け公営住宅などに居住している重度身体障害者が地域で自立生活を営むことができるよう、ケアグループによる介助サービスを提供 |
在宅介護研修事業 | 介護技術の向上と介護者同士の連帯意識を醸成するため、在宅重度障害者の介護者を対象とした介護技術の研修や介護者相互の情報交換を実施 |
在宅福祉総合利用券方式の導入 | 在宅福祉総合利用券の交付による、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービスなど在宅福祉サービスの利用手続きの簡素化と利用の促進 |
在宅福祉サービスマニュアルの作成 | 障害者が地域で生活していくうえで必要な情報を適切に提供するための各種福祉サービスの概要、医療機関の紹介などを盛り込んだマニュアルの作成 |
在宅福祉コーディネーターの設置 | 障害者やその家族からの相談に対し、総合的に対応できる専門のコーディネーターの設置 |
在宅福祉サービス情報提供システムの整備 | ニューメディアなどを活用した在宅福祉サービスに関する情報提供システムの整備 |
福祉機器リサイクル事業 | 不用になった福祉機器を譲り受けて修理・洗浄し、必要とする身体障害者等に利用させたり、福祉機器の維持管理を行うなど、福祉機器の効率的な活用の促進 |
3 施設福祉サービスの充実
現状と課題 |
---|
- 施設による援護が必要な障害者の多様なニーズに応じて、入所又は通所して利用することのできるさまざまな施設が整備されてきました。
- 近年、障害の重度化・重複化や障害者の高齢化が進む一方、脳血管障害などによる疾病や交通事故等にともなう新たな障害者も年々増加するなど、施設へのニーズの多様化がさらに進んでいます。
- 障害者の自立と社会参加の意欲が高まり、在宅生活を希望する障害者やその家族が増加し、在宅福祉の面からも施設への期待が大きくなっています。
- 現在ある多くの施設の中には、建築後20年以上経過し、老朽化が進んでいる施設や4人部屋など入所者が生活するには狭い施設があり、改築や大規模修繕が必要となっています。
- 施設の運営については、入所者の主体性や意向を尊重し、自立の支援に配慮した入所者処遇や必要な職員の安定的確保のための職員処遇を行うとともに、在宅の障害者の利用や地域福祉サービスの拠点としての役割を担うことが求められています。
障害者福祉施設の状況
(平成6年3月現在)
区分 | 施設種類 | 箇所数 | 定員(人) | 備考 |
---|---|---|---|---|
児童福祉施設 | 精神薄弱児施設 | 5 | 380 | - |
精神薄弱児通園施設 | 2 | 60 | - | |
盲児施設 | 1 | 60 | - | |
ろうあ児施設 | 1 | 40 | - | |
肢体不自由児施設 | 2 | 120 | - | |
重症心身障害児施設 | 3 | 240 | - | |
計 | 14 | 900 | - | |
精神薄弱者援護施設 | 精神薄弱者更生施設 | 22 | 1,155 | 入所・通所 |
精神薄弱者授産施設 | 13 | 640 | 入所・通所 | |
精神薄弱者通勤寮 | 3 | 60 | - | |
計 | 38 | 1,855 | - | |
身体障害者更生援護施設 | 身体障害者更生施設 | 1 | 37 | 入所・通所 |
身体障害者療護施設 | 5 | 300 | - | |
身体障害者授産施設 | 7 | 296 | 入所・通所・分場 | |
身体障害者福祉工場 | 1 | 50 | - | |
計 | 14 | 68 | - | |
身体障害者福祉センター | 4 | - | - | |
点字図書館 | 2 | - | - |
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 施設の整備・充実 |
● 現在の施設の整備の現状をふまえ、障害者のニーズと地域のバランスに配慮して関係施設の整備を進めます。 ● 地域の実情や障害者のニーズをふまえ、分場型や多機能複合型の導入を進めます。 ● 今後の施設整備にあたっては、できる限り同一法人による複数の施設の整備・運営を進めます。 ● 建築後20年以上経過し、老朽化した施設や4人以上の大部屋のある施設については、入所者の生活の質の向上を図る観点から、改築や大規模修繕を進めます。 ● 社会福祉法人や施設の運営適正化を図るとともに、入所者処遇の向上に努めます。 ● 施設整備にともなう必要な職員の確保と適切な職員処遇の充実に努めます。 【児童福祉施設】 【精神薄弱者援護施設】 【身体障害者更生援護施設】 |
2 | 施設におけるリハビリテーション機能の充実 | ● 生活能力の向上と機能の回復や維持のための訓練を充実するため、職員の資質の向上や設備の整備を進めます。 |
3 | 障害の重度化・重複化や障害者の高齢化に応じた処遇の確保と向上 | ● 各施設とも、重度・重複の障害をもつ利用者が増加しており、それに応じた施設の整備、福祉機器の導入や職員配置に努めます。 ● 高齢の障害者に適した施設の入所に配慮します。 ● 一人ひとりの障害の状態に応じたきめ細かな処遇に心がけ、安全で快適な施設での生活に配慮します。 ● 精神薄弱者更生施設に重度棟を整備し、重度障害者及び高齢の障害者の処遇の充実に努めます。 |
4 | 施設機能の強化及び地域開放 | ● デイサービスやショートステイなどの地域福祉サービスの拠点としての役割を担えるよう、施設の整備を行います。 ● 「業務省力化設備整備費補助」、「精神薄弱者自立促進モデル事業」、「施設機能強化推進事業」など、各種制度の活用を積極的に進め、施設機能の強化を図ります。 ● 「強度行動障害特別処遇事業」※1の導入について検討します。 ● 施設職員の資質の向上を図り、施設の専門的機能を高めます。 ● 地域のなかの施設として、地域への専門的機能の提供、施設や設備の開放、地域との交流などを進めます。 ● 施設における精神薄弱者と身体障害者の相互利用を進めます。 ● 施設の運営にあたっては、障害者だけでなく、高齢者などのニーズにも対応した在宅福祉サービスの利用機会の拡大を図ります。 ● 実習生やボランティアの受け入れを推進します。 |
※1 | 強度行動障害 | |
精神薄弱児(者)であって、多動、自傷、異食等、生活環境への著しい不適応行動をしばしば示す状態をいう。 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
精神薄弱児施設 | 精神薄弱児を入所させて、必要な保護を行うとともに、自立して生活することができるように知識や技能を与える施設 | ○施設の専門性の向上 ○大部屋解消と改築 |
障害福祉課 | 県 社会福祉法人 |
精神薄弱児通園施設 | 精神薄弱児を保護者のもとから通わせて、必要な保護を行うとともに、自立した生活ができるように知識や技能を与える施設 | ○専門性の確保 ○整備の促進2→4箇所 |
障害福祉課 | 市 社会福祉法人 |
盲児施設 | 盲児を入所させて、必要な保護を行うとともに、自立した生活ができるように指導や援助を行う施設 | 入所児童の減少による施設のあり方の検討 | 障害福祉課 | 県 |
ろうあ児施設 | ろうあ児を入所させて、必要な保護を行うとともに、自立した生活ができるように指導や援助を行う施設 | 入所児童の減少による施設のあり方の検討 | 障害福祉課 | 県 |
肢体不自由児施設 | 肢体不自由児を入所させて、療育するとともに、自立した生活ができるように知識や技能を与える施設 | 療育機能の充実 | 障害福祉課 | 県 社会福祉法人 |
重症心身障害児施設 | 重度の精神薄弱及び重度の肢体不自由が重複してしいる児童を入所させて、必要な保護を行うとともに、治療及び日常生活の指導を行う施設 | 指導内容の充実 | 障害福祉課 | 国 社会福祉法人 |
精神薄弱者更生施設 | 精神薄弱者を入所させて保護するとともに、更生に必要な指導及び訓練を行う施設 | ○大部屋解消と改築の促進 ○重度棟の整備 ○整備の促進22→29箇所 |
障害福祉課 | 県 市 社会福祉法人 |
精神薄弱者通勤寮 | 就労している精神薄弱者に対し、居室その他の設備を利用させるとともに、自立した生活ができるように必要な助言及び指導を行う施設 | ○施設機能の強化 | 障害福祉課 | 社会福祉法人 |
身体障害者更生施設 | 身体障害者を入所させて、その更生に必要な治療又は指導を行うとともに、必要な訓練を行う施設 | ○整備の促進1→2箇所 | 障害福祉課 | 県 社会福祉法人 |
身体障害者療護施設 | 身体障害者であって常時の介護を必要とする者を入所させて、治療や養護を行う施設 | ○高齢化への対応の検討 ○整備の促進5→6箇所 |
障害福祉課 | 県 社会福祉法人 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
身体障害者福祉センター | 身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設 | ○在宅障害者の拠点としての整備 ○整備の促進4→5箇所 |
障害福祉課 | 県 市 |
身体障害者授産施設 | 身体障害者で雇用されることが困難な者を入所または通所させて自立を推進する施設 | ○分場型の拡大 ○整備の促進7→9箇所 |
障害福祉課 | 社会福祉法人 |
精神薄弱者授産施設 | 精神薄弱者で雇用されることが困難な者を入所または通所させて自立を推進する施設 | ○通所型施設の整備 ○分場型の導入の検討 ○整備の促進13→16箇所 |
障害福祉課 | 市 社会福祉法人 |
身体障害者福祉工場 | 作業能力はあるものの、一般企業で就労できない身体障害者を雇用し、生活指導と健康管理のもとに社会自立を推進するための工場 | ○設備の近代化 ○事業内容の拡大 ○運営の安定 |
障害福祉課 | 社会福祉法人 |
社会福祉施設整備関係借入金償還金補助 | 民間社会福祉法人が社会福祉施設の建物整備に要する資金を社会福祉・医療事業団から借り入れた場合に、その借入金の償還元金及び支払利息の一部を補助 | 補助の充実 | 社会課 | 県 |
社会福祉施設職員設置費等助成事業(重度加算) | 民間の設置経営する精神薄弱児施設及び精神薄弱者更生施設の入所児(者)処遇の充実と職員の労働負担の軽減を図るための職員の雇用費の助成 | 助成の充実 | 障害福祉課 | 県 |
《今後の研究・検討事項》
項目 | 内容 |
---|---|
重度身体障害者更生援護施設 | 重度の肢体不自由者又は重度の内部障害者を入所させて、その更生に必要な治療(指導)及び訓練を行う重度身体障害者更生援護施設の整備の検討 |
精神薄弱者福祉ホーム | 就労している精神薄弱者に対し、低額な料金で居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を提供する精神薄弱者福祉ホームの整備の研究 |
身体障害者福祉ホーム | 身体上の障害のために家庭において日常生活を営むのに支障のある身体障害者に対し、低額な料金で居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を提供する身体障害者福祉ホームの整備の研究 |
聴覚障害者情報提供施設 | 聴覚障害者用字幕入りビデオカセットの製作及び貸出事業、手話通訳の派遣、情報機器の貸出しなどのコミュニケーション支援事業及び聴覚障害者に対する相談事業を行う聴覚障害者情報提供施設の整備の検討 |
強度行動障害特別処遇事業 | 強度行動障害を示す者について、精神薄弱者更生施設などに特別処遇体制を備え、適切な指導、訓練を行う強度行動障害特別処遇事業の導入の検討 |
多機能複合型の施設 | 施設福祉・在宅福祉サービスの各ニーズに対応できる総合的な機能を有する複合施設について、国の動向を見ながら整備を研究 |
4 ひとづくりの推進
現状と課題 |
---|
- 在宅福祉サービスや施設福祉サービスの一層の量的拡充と質の向上が期待されている現在、これらのサービスを担う福祉人材の確保が重要な課題となっています。
特に、障害者については、障害の重度化・重複化などへの対応や障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため、寮母、ホームヘルパー等の介護職員、相談指導に従事する職員、理学療法士等の専門職員の確保※1が必要になっています。 - 今後、労働力人口の減少が予想される中、専門職員の養成や福祉職場への就業の促進、社会福祉従事者の資質の向上、魅力ある職場づくりなど、福祉マンパワー対策を総合的に推進していくことが重要です。
- 障害者が地域で生活していくうえで、社会福祉従事者によるさまざまな専門的サービスととももに、ボランティアの果たす役割がますます重要になってきており、地域住民のボランティア活動への参加を一層促進することが必要です。
また、障害者の社会参加をさらに進めていくためには、点訳・手話奉仕員など障害者のコミュニケーションの支えとなるボランティアの養成も必要です。
※1 | 専門職員の確保 | |
具体的な計画については「山口県福祉マンパワー対策指針」による。 |
障害者福祉を支えるマンパワーの必要見込数(単位:人)
区分 | 平成5年度 職員数 A |
平成12年度 必要職員数 B |
今後7年間の 新規必要人員 B-A |
|
---|---|---|---|---|
施 設 職 員 |
介護系職員 | 200 | 250 | 50 |
指導系職員 | 720 | 850 | 130 | |
保育系職員 | 190 | 210 | 20 | |
看護系職員 | 90 | 110 | 20 | |
その他 | 580 | 820 | 140 | |
計 | 1,880 | 2,240 | 360 | |
ホームヘルパー | 800 | 2,150 (180) |
1,350 |
(算定の考え方) |
○施設の職員増に見合う最低必要数を算定 ○新規必要人員には、退職等の補充人員は含まない。 ○ホームヘルパーについては ・A欄は平成4年度末の職員数 ・B欄は平成11年度末の職員数 ・老人担当を含めた合計数 ・()は65歳未満の障害者のヘルパー(専任換算)必要数で内数 |
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 福祉マンパワーの養成・確保 | ● 今後の福祉ニーズの増加や多様化に対応するため、各種福祉サービスを担うホームヘルパー、社会福祉士、介護福祉士、看護婦、理学療法士などの養成や潜在マンパワーの掘り起こしを進め、人材の確保に努めます。 ● 質の高いサービスを提供するため、各種研修の実施により、福祉サービスに携わるすべての人々の資質の向上を図ります。 ● 専門的な知識・技術をもつ優秀な人材の福祉職場への就業と定着化を進めるため、労働条件や職場環境の改善、福利厚生の充実、社会的評価の向上など、働きやすく魅力ある職場づくりに努めます。 |
2 | ボランティア活動への参加の促進 | ● ボランティア活動への参加を促進するための条件整備、ボランティアの育成や企業等による社会貢献活動など、多様な福祉活動への支援に努めます。 ● 点訳奉仕員及び朗読奉仕員を養成し、視覚障害者の福祉の増進に努めます。 ● 手話奉仕員及び要約筆記奉仕員を養成し、聴覚障害者の福祉の増進に努めます。 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
社会福祉職員研修事業 | 社会福祉従事者の資質の向上を図るため、社会福祉職員研修所において、専門的かつ体系的な研修を実施 | 研修内容の充実 | 社会課 | 県 |
福祉人材センター運営事業 | 福祉マンパワーの確保を図るため、福祉人材バンク等関係機関との連携を図りながら、広く福祉サービスについて広報・啓発を行うとともに、潜在する福祉マンパワーの掘り起こし、人材確保に関する相談、情報提供、無料職業紹介等を実施 | 福祉人材センター機能の充実 | 社会課 | 県 |
介護福祉士修学資金貸与事業 | 介護福祉士の養成・確保を図るため、介護福祉士養成施設に在学し、介護福祉士の資格取得を目指す学生に対して修学資金を貸与 | 修学資金の拡充 | 社会課 | 県 |
点訳・朗読奉仕員養成事業 | 視覚障害者の福祉の増進のため、点訳奉仕員及び朗読奉仕員を養成 | ○奉仕員の増員 ○技術の向上 |
障害福祉課 | 県 |
手話・要約筆記奉仕員養成事業 | 聴覚障害者の福祉の増進のため、手話奉仕員及び要約筆記奉仕員を養成 | ○奉仕員の増員 ○技術の向上 |
障害福祉課 | 県 |
第6節 生活環境 ~豊かな生活を送るために~ |
---|
障害をもつ人々が地域で自立した豊かな生活を送るために、障害者に配慮したまちづくりを進めていくことはこれからの大きな課題です。
そのためには、住宅、建物、道路などのハード面の整備と移動サービスや情報提供などのソフト面の整備を総合的かつ計画的に進めていく必要があります。
また、これからのまちづくりは、障害者のための特別な事業ではなく、一般的な事業として認識することが必要です。障害者にやさしいまちづくりは、障害者だけでなく、高齢者や児童、妊産婦などすべての人にやさしいまちづくりにつながるものであり、それは、すべての人々の理解と参加によりはじめて実現されます。
重点目標 |
---|
1 住みよいまちづくりの総合的推進 |
2 住宅・建築物の改善 |
3 移動・交通対策の推進 |
4 情報提供体制の整備・充実 |
5 防犯・防災対策の推進 |
1 住みよいまちづくりの総合的推進
現状と課題 |
---|
- 障害者に配慮した生活環境の整備指針について、本県では、昭和54年に「障害者のための施設整備指針」を作成し、多くの人が利用する施設の建設や改善のためのガイドラインを示すとともに、昭和63年には、その指針を改訂した「環境整備の手引き」を作成し、関係者への普及に努めているところです。
しかしながら、いずれも、主要な建築物などの個別の構造基準を定めたものに過ぎず、今後は、障害者の立場に立った面的なひろがりをもった総合的な整備基準が必要です。 - 障害者にとって住みよいまちづくりを総合的に推進するための各種施策が、現在、厚生省、建設省、自治省の関連事業として進められており、本県においても、市部を中心に、各種施策への取り組みが行われています。
今後、これらの取り組みをさらに拡大させていくとともに、各種施策の連携に一層努め、より効果的なまちづくりを展開することが必要です。 - これまでのまちづくりは、多くの場合、公共施設の一部の整備改善にとどまっており、総合的推進体制や継続性にも課題がありました。
今後は、各種の補助事業などに積極的に取り組み、公共施設から民間施設にいたるまでの連続的な整備を進めていくとともに、移動サービスや情報提供サービスなども含めた総合的なまちづくりを展開していくことが大切です。
身体障害者の外出状況
(心身障害者(児)実態調査(平成2年度))
外出状況 | (%) |
---|---|
ほぼ毎日 | 48.9 |
週2~3回 | 14.7 |
週1回 | 7.1 |
月2~3回 | 8.3 |
月1回 | 3.5 |
年数回 | 3.2 |
外出なし | 14.3 |
精神薄弱者の外出状況
(心身障害者(児)実態調査(平成2年度))
外出状況 | (%) |
---|---|
ほぼ毎日 | 63.6 |
週2~3回 | 6.3 |
週1回 | 3.0 |
月2~3回 | 2.7 |
月1回 | 2.0 |
年数回 | 3.1 |
外出なし | 19.3 |
外出する上で不便な箇所(複数回答)
(心身障害者(児)実態調査)
不便な箇所 | 昭和60年度(%) | 平成2年度(%) |
---|---|---|
玄関 | 18.5 | 14.6 |
階段 | 69.8 | 44.3 |
廊下 | 6.2 | 4.1 |
便所 | 35.6 | 20.9 |
エレベーター | 3.4 | 1.9 |
駐車場 | 4.9 | 3.9 |
道路 | 12.9 | 6.5 |
その他 | 11.7 | 3.8 |
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 各種指針の策定・普及 | ● わがまちが障害者などにとって住みよいまちとなっているかどうか、障害者をはじめ、一般市民、関係団体などが点検するための「まちづくり点検マニュアル」を策定・普及します。 ● 住宅や公共的な建物などを障害者などにとって利便性のあるものに整備改善するための構造的指針を最新の技術レベルに基づいて示した「建築物整備指針」を策定・普及します。 ● 道路、交通夕ーミナル、公園などを障害者をはじめ、だれでも気軽に利用できるようにするための面的整備のための「環境整備指針」を策定・普及します。 |
2 | 推進体制の整備 | ● 障害者をはじめ、すべての人々に住みよいまちづくりを推進するため、一般市民、障害者、民間事業主、関係団体、行政機関などの参加による推進組織を整備します。 ● 県における推進組織は、まちづくり関連施策の調整や総合的・計画的推進、支援・誘導、啓発広報を進めます。市町村における推進組織も必要です。 |
3 | 関連事業の推進 | ● まちづくりの整備指針や推進計画をもとに、県、市町村、民間事業主などの連携により、関連事業を総合的に推進していきます。 |
《推進方向》
《推進体制》
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業 | ○まちづくり総合整備計画推進協議会の設置、まちづくり総合計画の策定、住民などに対する啓発・広報の実施 ○まちづくり総合計画に基づく移動・生活利便・的確な情報の確保のための面的整備の推進 |
人口10万人以上の市での実施0→6市 | 障害福祉課 | 市 |
地域福祉推進特別対策事業 | 公共施設などの改良を体系的・一体的に進めることによる、高齢者や障害者にやさしいまちづくりの基盤整備の推進 | 積極的な取り組みを推進 | 地域振興課 | 市町村 |
福祉の街づくり事業 | 障害者や高齢者の快適かつ安全な移動を確保するための屋内外の移動システムと関連施設や設備の整備の推進 | 積極的な取り組みを推進 | 建築課 | 市町村 |
ふるさと21健康長寿のまちづくり事業 | ○高齢者にとって必要な健康や福祉の各種機能を総合的に整備するための基本計画の策定 ○基本計画に基づき、各種の機能を連携させながら面的整備を進めるための具体的な実施計画の策定 |
積極的な取り組みを推進 | 高齢福祉課 | 市町村 |
《今後の研究・検討事項》
事項 | 内容 |
---|---|
まちづくりアドバイザーの設置 | 福祉のまちづくりについて、総合的に助言、指導を行う「まちづくりアドバイザー」の設置の検討 |
まちづくり条例等の調査・研究 | 多くの人々が利用する建築物、道路、公園、駐車場などを対象に、整備基準を定め、新設の場合の計画の事前協議や既設の場合の適合調査を義務づける「まちづくり条例」等の調査・研究 |
福祉のまちづくり推進事業 | 地域住民の参加による、まちづくりの点検調査の実施、福祉ガイドマップの作成やまちづくりへの提言などの実施 |
2 住宅・建築物の改善
現状と課題 |
---|
- 多くの人々にとって、生活の大半を過ごす住宅を住みやすいものにすることは、豊かな生活を送るためには重要なことです。車いすを利用する方や目の不自由な方など障害をもつ人にとっては、利便性の高い住宅は、生活の質を高める大きな要素になります。
- 障害をもつ人の住宅の構造は、敷居などの段差の解消、身障者用トイレの設置など、障害の特性に応じた特別な配慮が必要であり、そのための経済的負担を軽減するため、県では、住宅の増改築・改造に対する補助や融資制度を行ったり、住宅の新築に対する利子補給制度を実施しています。
- 公営住宅の建設や改造にあたって、障害者に配慮したり、障害者世帯の優先的入居(通常より高い確率で入居することができます)も実施しています。
- 今後、対象者への各種制度の周知を行うとともに、補助・融資制度の一層の充実や相談体制の整備を図っていく必要があります。
- 役場、公民館などの公共施設の整備改善については、これまで、入り口にスロープをつけたり、トイレを改造したりするなど、県や市町村で取り組まれてきましたが、モデル的、部分的な取り組みに終わっているところが多く、連続的な面的整備を進めていくことが今後の課題です。
- スーパーマーケット、デパート、ホテルなど、民間の公共的施設の整備改善への取り組みは緒についたばかりであり、民間事業主などの理解と積極的な取り組みが今後の課題です。
施策の方法 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 障害者のニーズに対応した住宅整備の推進 | ● 障害をもつために特別の配慮を必要とする障害者の住宅改善を進めるため、現行の補助・融資制度の内容の充実を行います。 ● 住宅の整備改善に関する諸制度の周知・普及に努めるとともに、住宅の整備・改善に関する援助・助言に努めます。 ● 障害者の特性をふまえた公営住宅の建設や改善を進め、障害者の居住環境の整備に努めます。 |
2 | 公共的建築物等の構造の改善 | ● 障害をもつ人々の生活の利便性を高め、社会参加を図るために、市役所、公民館、スーパーマーケットなどの公共的建築物のバリアフリー化※1にあわせ、公園や観光地などの公共的施設も整備改善していきます。 ● 民間の建築物の整備改善を促進するため、建築士会や商工会などを中心に、普及・啓発に努めます。 |
※1 | バリアフリー化 | |
障害者や高齢者の生活や活動に不便な障壁を取り除くこと。例えば、段差の解消(スロープ化)、点字案内板、音声案内装置などが挙げられる。また、「障害者専用」の施設・設備という考え方から、「障害者も利用できる」施設・設備という考え方への転換も求められている。 |
住宅・建築物の改善
●デパート、スーパーマーケット 等の民間公共的建築物では… 人にやさしいまちづくり事業 |
●個人用住宅には…
(新築) (増築・改造)
|
●市町村役場、公民館、公園等では…
公共施設等改善事業 |
●公営住宅では…
障害者の安全性等に配慮した新築・改善 |
●まちづくりの中で…
行政機関
公共建築物の改善 |
建築士会・商工会等
民間の公共的建築物の改善
|
障害者等
制度の利用要望 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
障害者住宅整備資金貸付事業 |
○身障手帳1~4級又は療育手帳Aの交付を受けている重度障害者の世帯に対する、居住環境を改善するための住宅の増改築又は改造に要する資金の貸付
○貸付限度額 4,000千円/件 |
制度の周知と貸付額の増額 | 障害福祉課 | 県 |
居住環境整備事業 | 身障手帳2級以上又は療育手帳Aの交付を受けている低所得世帯に属する重度障害者の居住環境の改善に要する経費の助成 | 制度の周知と事業内容の充実 | 障害福祉課 | 市町村 |
高齢者等配慮住宅利子補給制度 | 住宅金融公庫の融資を受け、高齢者や障害者に配慮した住宅を建設又は購入する場合、住宅金融公庫の融資額の年0.5%相当を5年間補助 | 制度の周知と事業内容の充実 | 住宅課 | 県 |
障害者に配慮した公営住宅の整備及び改善 | 障害者の安全性の確保などに配慮した公営住宅の建設や改善 | 障害に応じた適切な公営住宅の供給 | 住宅課 | 県 市町村 |
人にやさしいまちづくり事業 | デパート、スーパーマーケットなどの民間所有の公共的建築物を高齢者や障害者が利用しやすい構造に改善する経費の補助 | 制度の周知と事業の拡大 | 障害福祉課 | 県 |
《今後の研究・検討事項》
事項 | 内容 |
---|---|
リフォームヘルパーの設置 | 障害者世帯に出向き、福祉、保健、医療、建築分野の専門家が連携し、チームとして住宅改善に関する情報提供、援助、助言を行う「リフォームヘルパー」の設置の検討 |
障害者用モデル住宅の展示 | 障害者や高齢者の自立生活を支援するため、民間企業が行う「障害者用モデル住宅」の設置支援の研究 |
新築の場合の障害者用住宅整備資金の貸付 | 障害者に配慮した住宅を新築する場合の資金貸付制度の研究 |
3 移動・交通対策の推進
現状と課題 |
---|
- 道路がひとりで自由に移動できるように整備されていなかったり、移動手段がなかったりするため、障害をもつ人が外出する機会が制限されていました。障害者がまちに自由に出かけることができるよう、建築物などの改善にあわせ、移動・交通対策を推進していく必要があります。
- 視覚障害者や車いす利用者にとって安全な道路整備を進めるため、県では、平成3年度から始められた第5次交通安全施設整備事業により、視覚障害者誘導用ブロックの整備、歩道段差の切り下げ、歩道の拡幅を進めるとともに、歩行の障害となる放置自転車や自動販売機などを撤去するための取り組みを行ってきました。
しかしながら、いずれも一部の取り組みに終わっており、まちづくり全体の中で、計画的な取り組みをさらに進めていくことが今後の課題です。 - 交通信号機への視覚障害者用付加装置※1や交通信号機の弱者感応化設備※2も整備されています。
障害者のニーズに応えるため、設置要望箇所の把握に努め、計画的な整備を行うことが今後の課題です。
※1 | 交通信号機への視覚障害者用付加装置 | |
視覚障害者が横断歩道を利用するとき、音声により、青信号を知らせる装置 | ||
※2 | 交通信号機の弱者感応化設備 | |
障害者や高齢者が横断歩道を利用するとき、歩行者用の青信号の時間を通常より長くする設備 |
- 運輸省の各種ガイドラインなどにそって、主要駅や交通夕ーミナル、車両の整備が進められてきましたが、今後は、出発地から目的地に至るまでの連続性のある公共交通機関の体系的整備が大きな課題です。
- ガイドヘルパーの派遣、盲導犬の育成、リフト付きタクシーの運行など、移動手段サービスの拡充に努めるとともに、福祉タクシーの利用助成※1や自動車免許取得のための費用助成などが行われてきました。
今後は、これらの制度の拡充、対象者への制度の周知と実施市町村の拡大が課題です。
盲導犬については、利用施設や一般の人々の理解を進め、盲導犬を連れたまま、どこへでも行けるようにする必要があります。 - 障害をもつ方に便利な施設や設備を紹介したガイドマップ※2の作成も行われています。 これを全市町村で作成する必要があります。
※1 | 福祉タクシーの利用助成 | |
タクシー利用料金の1割を割引。このほか、市町村によっては、地域の実情にあわせて割引をしているところがある。 | ||
※2 | ガイドマップ | |
障害者が安心して外出できるように、障害者の利用しやすい設備(スロープ、自動ドア、トイレ、点字案内板、呼び出しベル等)のある施設を紹介するもの。 |
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 道路交通安全の確保 | ● 視覚障害者誘導用ブロックや段差の解消については、整備指針に基づき、必要な箇所への計画的整備を行います。 ● 歩道の整備については、車いす利用者や視覚障害者の安全性に配慮した構造とします。 ● 歩行の障害となる放置自転車やはみ出し自動販売機などを除去し、歩行の安全対策を行います。 ● 交通信号機への視覚障害者用付加装置の整備や弱者感応化については、必要な箇所への計画的整備を行います。 ● さまざまな機会を通じて、障害者の交通安全意識の向上に努めます。 |
2 | 交通夕ーミナルの整備 | ● JRやバス会社などに対し、主要駅やバスターミナルでの段差の解消、エスカレーター、エレベーター、障害者が利用できるトイレ、誘導警告ブロック、点字案内板の設置、改札口の拡幅、利用しやすい車両の導入などの整備改善を要請します。 ● JRやバス会社の職員あるいは一般の人に対し、障害者への対応について、啓発に努めます。 |
3 | 移動・交通手段サービスの普及・充実 | ● 移動・交通手段サービスに関する制度のPRに努め、積極的な利用を促進します。 ● 身体障害者ガイドヘルパー派遣事業、リフト付きタクシー運行助成事業など、各種事業に対する市町村の積極的な取り組みを推進します。 ● 盲導犬に対する一般の人々への啓発を行うとともに、民間事業主などの盲導犬受け入れへの積極的な協力を期待します。 |
4 | ガイドマップの作成 | ● 利用者にとって便利でわかりやすいガイドマップが県下全域で利用できるよう、作成を進めます。 |
移動・交通対策の推進
駅・交通夕ーミナル |
●交通夕ーミナルの整備 段差の切り下げ エスカレーター・エレベーターの設置 トイレの整備 誘導警告ブロック、点字案内板、改札口、車両の改善
|
●身体障害者自動車操作訓練、 自動車改造費の助成 ●リフト付きタクシー、福祉バス、
|
●ガイドヘルパー派遣事業
●ガイドヘルパーネットワーク事業 ●盲導犬給付事業
|
●交通信号機への視覚障害者用 付加装置 ●交通信号機の弱者感応化 ●ガイドマップの作成 |
●視覚障害者誘導用ブロック
●歩道の拡幅(3M以上) ●歩道段差の切り下げ ●歩行障害物(放置自転車、 ●電線類の地中化 |
まちづくりの中で…
交通機関
施設・設備の改善 |
|
行政機関
施設・設備の計画的整備 |
民間事業主
障害者の移動手段への理解 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
第5次交通安全施設整備事業 | ○幅の広い歩道の整備の推進(新設の場合は幅員概ね3m以上) ○昇降装置付き立体横断施設などの整備 ○歩行の障害となる放置自転車や電柱の除去、自転車駐輪場の整備の推進、電線類の地中化 ○障害者の意見を聞く協議会の設置、障害者の意見をふまえた交通障害の点検の実施、安全な歩道空間の確保の推進 |
道路整備率 69.2%→75.3% |
道路整備課 | 県 |
交通安全施設の拡充 | ○交通信号機への視覚障害者用付加装置の整備 ○交通信号機の弱者感応化の実施 |
○整備の促進 73→87箇所 7→21箇所 |
交通規制課 | 県 |
福祉の街づくり事業(再掲) | 障害者や高齢者の快適かつ安全な移動を確保するための屋内外の移動システムと関連施設や設備の整備の推進 | 積極的な取り組みを推進 | 建築課 | 市町村 |
身体障害者ガイドヘルパー派遣事業 | 在宅重度の視覚障害者や脳性まひ者などが外出する場合に付き添いをするガイドヘルパーの派遣 | ニーズの掘り起こしと全市町村での実施 | 障害福祉課 | 市町村 |
身体障害者ガイドヘルパーネットワーク事業 | 山口県域を越えて移動する重度の視覚障害者や脳性まひ者などに対する目的地でのガイドヘルパーの紹介 | 制度の周知 | 障害福祉課 | 県 |
盲導犬育成事業 | 重度視覚障害者(1級)を対象とした盲導犬の育成に関する費用の助成 |
○盲導犬給付の拡大 9→19頭 ○盲導犬に対する一般の理解の向上 |
障害福祉課 | 県 |
リフト付きタクシー運行助成事業 | 車いす使用者や寝たきりの障害者でも利用できるリフト付き乗用車の運行事業に対する車両購入費や経常経費の助成 |
○リフト付きタクシーの対象者へのPR
○実施市町村の拡大 |
障害福祉課 | 市町村 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
身体障害者福祉バス運行事業 | 車いすが7台程度乗車できるリフト付き中型バスの購入(運転手の雇用も含む。)や病院、市役所など身体障害者が日常よく利用する地域における定期運行 | 人口10万人以上の市での実施 | 障害福祉課 | 市 |
身体障害者自動車操作訓練事業 | 自宅又は県身体障害者福祉センター(入所)から自動車学校へ通学して免許を取得した場合に、取得に要した費用の1/2を助成 | 制度の周知 | 障害福祉課 | 県 |
身体障害者用自動車改造費助成事業 | 重度身体障害者が就労などにともない、自動車を取得する場合に、その自動車の改造に要する経費を助成 | 制度の周知 | 障害福祉課 | 県 |
《今後の研究・検討事項》
事項 | 内容 |
---|---|
重度障害者の移動対策事業 | 重度障害者の移動を支援する対策の研究 |
リフト付き低床バスの導入 | 身体障害者や高齢者が利用しやすい「リフト付き低床バス」の公共機関への導入の検討 |
交通ターミナルの整備 | 交通機関の整備改善の促進 職員及び利用者の意識啓発 |
4 情報提供体制の整備・充実
現状と課題 |
---|
- さまざまな障害のために、必要な情報が得られなかったり、コミュニケーションが十分とれなかったりすることは、障害者が自立して生活を営み、積極的に社会参加を行ううえで、大きなハンディキャップとなります。こうしたハンディキャップを補うため、これまでも各種の取り組みが行われてきました。
- 視聴覚障害者に対しては、これまで、点字図書館を中心にした点字図書や録音図書の整備、点字や録音による広報、また、テレビ番組などに字幕を挿入したビデオカセットの制作、貸出を行ってきました。
しかしながら、点字や手話などの専門的な知識が必要なことなどから、情報量も利用者も限られていました。
今後は、障害者のニーズに応じた多様な情報提供が必要です。 - 福祉施策や生活関連のサービスを十分に利用できるよう、情報提供の手法を研究していく必要があります。
- 精神薄弱者に対して、わかりやすく適切な情報提供を行うことも今後の大きな課題です。
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 障害者に対する情報提供体制の充実 | ● 障害者にとって大切となる福祉サービスや生活関連サービスに関する情報が障害者に的確に伝わるよう、県や市町村の広報などの方法の改善に努めます。 特に、情報の収集、コミュニケーションの確保に大きなハンディキャップのある視聴覚障害者や精神薄弱者に対する情報提供については、それぞれの障害種別に応じた適切でわかりやすい情報提供に努めます。 ● 駅、スーパーマーケット、ホテル、観光施設など公共的施設での利用が容易になるよう、情報提供について、民間事業主や関係団体などの理解と協力を求めていきます。 |
2 | 視聴覚障害者に対する情報提供体制の整備・充実 | ● 視覚障害者に対する情報提供については、点字図書や録音テープの貸出を行う点字図書館での点字図書や録音テープの蔵書数の拡大を図るとともに、そのPRに努め、利用を促進します。 ● 現在導入している視覚障害者情報提供事業をさらに発展させ、将来は、自宅で直接、必要な点訳情報が得られる方法を検討します。 ● 聴覚障害者に対する情報提供については、字幕ビデオの数を増やし、利用の拡大を進めるとともに、字幕放送などの拡大について国等に要請します。 ● 聴覚障害者への情報提供を総合的に行う「聴覚障害者情報提供施設」の設置を検討します。 |
情報提供体制の整備・充実
●視覚障害者には…
点字情報、録音情報の充実 |
||
●聴覚障害者には…
ビデオカセットライブラリー |
●精神薄弱者には…
各種制度の利用案内 |
|
●各種施設、制度等の利用には…
行政機関…広報の充実、ガイドマップの作成 |
《主要事業》
事業名 | 事業内容 | 目標 | 所管課 | 事業主体 |
---|---|---|---|---|
視覚障害者情報提供事業 |
厚生省が所管する「点字即時情報ネットワーク事業」及びIBMの「てんやく広場」の2つのホストコンピューターに蓄積されている新聞、書籍、雑誌などの情報の点字化、視覚障害者への送付
○点字即時情報ネットワーク事業 ○てんやく広場 |
○点訳情報を拡大
○パソコン通信を利用した自宅への直接情報送付システム |
障害福祉課 | 県 |
ビデオカセットライブラリー事業 | 聴力障害者情報文化センターで制作した字幕入りのテレビ番組などのビデオカセットの聴覚障害者への貸出 |
○ビデオ制作数の増
○制度の周知 |
障害福祉課 | 県 |
手話通訳設置事業 | 公的機関への手話通訳者の配置 | 設置市町村の拡大 | 障害福祉課 | 市町村 |
手話奉仕員派遣事業 | 聴覚障害者が公的機関や病院などへ出かける場合の手話奉仕員の派遣 | ○奉仕員の養成 ○派遣回数の増 |
障害福祉課 | 県 |
要約筆記奉仕員派遣事業 | 中途失聴者、難聴者などが地方公共団体の主催する会合等に出席する場合の要約筆記奉仕員の派遣 | ○奉仕員の養成 ○派遣回数の増 |
障害福祉課 | 県 |
《今後の研究・検討事項》
事項 | 内容 |
---|---|
聴覚障害者情報提供施設の設置 | 字幕(手話)入りビデオカセットの製作貸出、手話通訳者の派遣、情報機器の貸出等を行う「聴覚障害者情報提供施設」の設置の検討 |
精神薄弱者への情報提供 | わかりやすい情報提供方法の研究 |
5 防犯・防災対策の推進
現状と課題 |
---|
- 地域における防災体制については、各消防本部の取り組みにより、町内会などを単位とした自主防災組織の育成や教育活動を行っています。
今後は、火災にとどまらず、各種災害や犯罪を含めた防犯・防災体制の充実を図っていく必要があります。 - 在宅の障害者に対して、市町村の消防機関を中心に、訪問による防火診断を行うとともに、住宅防火講習会を開催しており、今後とも、防火意識の高揚を図っていく必要があります。
- 社会福祉施設などにおいては、スプリンクラー等の消防設備は設置されています。
しかしながら、夜間の防火管理や災害発生時における避難体制などについて、近隣住民の応援体制を整備することが必要です。 - 障害者が陥りやすい悪質商法による被害を防止する対策を講じる必要があります。
《自主防災組織の結成状況》 (平成5年5月現在)
町内会、小学校区等を単位とする自主防災組織 | 11市25町 |
幼稚園・保育園等を単位とする幼年消防クラブ | 14市32町村 |
小・中学校等を単位とする少年消防クラブ | 10市18町村 |
婦人防火クラブ | 13市26町村 |
施策の方向 | 具体的取り組み | |
---|---|---|
1 | 地域における防犯・防災体制の充実強化 | ● 地域の実情にあった自主防災組織の育成を促進します。 ● 緊急通報システム※1や見守り体制など小地域のネットワークを整備していきます。 ● 「少年消防クラブ会館」※2を活用し、地域の防災リーダーの育成を図ります。 ● 悪質商法などによる障害者の被害の未然防止の観点から、障害者に対する消費者教育、情報提供体制の強化を推進します。 |
2 | 住宅・施設の防災対策の強化 | ● 在宅障害者に対する訪問指導を積極的に推進するとともに、講習会や防災展などを通じて、障害者を含めた地域住民の防災意識の向上を図ります。 ● 施設の防災訓練の充実を図るとともに、施設を含めた地域ぐるみの防災体制の整備を促進します。 |
※1 | 緊急通報システム | |
緊急通報装置の給付(貸与)を受けたひとり暮らしの高齢者や障害者が、急病や災害などの緊急時に、消防署、福祉施設、医療機関、協力員などのあらかじめ設定した関係協力機関に通報することにより、迅速かつ適切な対応が可能となるシステム | ||
※2 | 少年消防クラブ会館 | |
山口県消防学校に併設し、青少年を対象として、防火思想の普及・啓発を図るための教育訓練施設 |
主題:
山口県障害者福祉長期ビジョン 59頁~126頁
みんなが参加しともにあゆむ21世紀をめざして
発行者:
山口県
発行年月:
1994年3月発行
文献に関するお問い合わせ:
山口県