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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議総合福祉部会 第3回 H22.6.1 参考資料1

障がい者制度改革推進会議総合福祉部会 参考資料1

2010.6.1
(日本重症児福祉協会 末光茂)

1.定義

(1)重症心身障害児とは、「重度の知的障害に重度の肢体不自由」をあわせ もち、さらに常時医療的ケアの必要な児・者。(図1参照)

(2)超重症児・準超重症児は、別表の「超重症児スコア」で25 点以上を「超 重症児」、10~24 点を「準超重症児」といいます。(表1参照)

(3)重症心身障害児施設
昭和42 年の児童福祉法一部改正により、「重度の知的障害と重度の肢 体不自由」をあわせもつ重症心身障害児専門の児童福祉施設でありかつ 入院医療施設として位置づけられました。

2.現状と課題

現在、194 ヶ所で、約1万9,000 ベッドを用意できるに至っておりますが、入 所率は97%と、ほぼ満杯状態です。入所待機者は約5,000 人に及びます。 待機者のほとんどは、新生児集中治療室NICU や小児病棟などに長期間滞留 する「呼吸管理」などが欠かせない「超重症児」「準超重症児」と、一方では長 年在宅で世話を続けてきたが、両親の病気や高齢化あるいは死亡に伴ない、在 宅介護が不可能になった人達で占められています。

長年家庭介護を続けてきたお母さんが亡くなったあと、80 歳代のお父さんだ けでの介護の限界から、60 歳前後のわが子の命を絶つという悲しい事件が、人 口あたりの重症児入所ベッド数が、特に?ない大都市圏を中心にあちこちで起 こっております。

重症児施設は、これら入所の方々だけでなく、在宅支援の拠点としての役割 も、積極的に果たしております。
2万5,000 人の在宅重症児のための「ショートステイ」の利用は、年間約20 万日近くに及んでいます。

また、「重症児通園事業」は全国約290 ヶ所で、5,600 人、学校教育を受けて いる人を除くと、約3人に1人は重症児通園を利用していることになります。
「ショートステイ」と「重症児通園」は、在宅重症児と家族にとって不可欠 なセーフティーネット、「命綱」です。

3.欧米での重症児のおかれた状況

欧米諸国に重症児施設がないと言われています。なぜでしょうか。

(1)スエーデン
重症心身障害分野の世界的な第一人者であります、スエーデンのウプ サラ大学のハグバーグ教授は、10 数年前に日本を訪ね、日本小児神経学 会元会長の有馬正高先生の案内で、東京都内の重症児施設を視察し、手 厚い医療・療育・発達保障に加え、きめ細やかな日常生活支援のなかで、 自ら光っている姿、糸賀一雄先生の言う「この子らに世の光を」ではな く「この子らを世の光に」の様子に感銘をうけ、さらに全国に100 数10 ヶ所も、そのような医療福祉施設があることにも、驚嘆された。
スエーデンでも、家庭介護は悲惨な状況下にあり、死亡率も格段に高 いことから、長期入院のできる慢性病棟を小児病院に併設するため、大 変な努力を重ねてやっと1、2 ヶ所実現したが、日本のような制度がない ため、それ以上に進まない。日本がうらやましいと言われました。

(2)ノルウェー
スエーデンより3年早く入所障害施設を閉鎖したノルウェーにおいて も、施設に代わるグループホームが、必ずしも地域社会にとけこんだ生 活の場になっていないと、テセブロー教授は国際学会で素直に報告して います。(中園康夫・末光茂監訳「脱施設化と地域生活-英国・北欧・米 国における比較研究-」星和書店、末光茂「北欧での『脱施設化』の歴 史と現状」川崎医療福祉大学などを参照)

(3)アメリカ
アメリカでも、コネチカット州のグループホームで、最近36 名の不審 死が発覚し、ケアの内容が問題になっています。(末光茂、武田則昭他「ア メリカでの『脱施設化』の歴史と現状~光と影~」川崎医療福祉大学を 参照)

(4)オランダなど
とくに、医療ニーズの高い重症児にとっては、生命と生活を守るため に、医療的対応も含めた、ケアや、支援の内容と質を確保することが必 要です。 オランダの全国障害者推進連合会理事長のミレナー博士によると、ヨ ーロッパ各地では今、入所施設の再評価が進んでいるといいます。

(5)国際知的障害学会・アジア太平洋会議での基調講演と反響

そのようななかで、日本の「重症児制度」への注目が、各国から寄せ られつつあります。その一端として、国際知的障害学会のアジア太平洋 会議が、昨年6月、シンガポールで開催された際、末光は招かれ「日本 の重症児制度と医療福祉」について基調講演をしました。 その内容は、イギリスの重症児専門の情報誌「PMLD-Link」に掲載さ れ、感謝されていることを申し添えます。

4.要望の骨子

以上から、制度改革に際し、柏女委員も申されたように、まず「障害児支援 の見直し検討会」報告を、十二分に反映して下さるよう、お願い申し上げます。

その際、私どもの意見書の(1)と(2)を基本的な考えとし、当面の具体 策としては、
(3)の重症児に対する「医療と福祉の一体提供」と「児・者一貫」の制度は、 日本の誇るものであり、今後も守り充実させるよう希望します。

とくに(4)の在宅対策の面では、24 時間手厚い医療支援が欠かせない「超重 症児」「準超重症児」も、身近で利用できる「短期入所」の確保と単価の改善を、 そして「重症児通園事業」については安定的に利用できるよう、「法定化」を急 ぐよう強く求めます。

(5)(6)はご一読下さい。

図1 大島の分類

大島の分類

テキスト

表1 超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準

以下の各項目に規定する状態が6 ヶ月以上継続する場合※1 それぞれのスコアを合算する。

表1 超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準

テキスト

※1 新生児集中治療室を退室した児であって当該治療室での状態が引き続き継続する児に ついては、当該状態が1か月以上継続する場合とする。ただし、新生児集中治療室を退 室した後の症状増悪、または新たな疾患の発生についてはその後の状態が6か月以上継 続する場合とする。

※2 毎日行う機械的気道加圧を要するカフマシン・NIPPV・CPAP などは、レスピレーター管理 に含む。

※3 (8)(9)は経口摂取、経管、腸ろう、腸管栄養のいずれかを選択。

※4 人工膀胱を含む