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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料1―5

第三十二回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
災害と障害者

5、被災障害者にとっての被害とは

以上の現状を踏まえ、災害時に必要な支援を体系的に考えるには、改めて障害者にとって震災による被害とは何かを検討する必要があると思われる。

①生命、身体、財産への直接的被害。
②従来から福祉・医療のサービスを受けて生活を営んでいた障害者がこれらのサービスを利用出来なくなること。
③公的サービスを受けず、家族や地域社会の支えで生きてきた障害者が、こうした支えを失うことによって、生活が困難になること。
④家族や地域社会の支えがなくとも生活できていた障害者にとっても、生活環境、社会環境の急激な変化によって、生活が困難になること。
⑤さまざまな支援の欠如が、障害者を社会生活から排除する要因を生み出すこと。

このような整理の仕方について、その必要性や妥当性も含め、ご意見を伺いたい。下記は、被害を類型化した場合の例示である。

【尾上委員】

●類型化という意味で一定の妥当性を持つと思うが、②~④の障害者は全く異なるわけではなく、震災前からどのような地域で、どのような支援と資源整備がなされてきたかといったこととの相関関係で変わりうるといった連続的な視点で捉える必要がある。その意味では、「⑤の様々な支援の欠如」が、震災によってもたらされた側面だけでなく、震災前から地域で暮らす支援が欠如していたという点と統一して捉えておく必要がある。

特に③等の場合、元々、震災前から支援が必要だったが、家族の中だけで何とかやってきた(やらざるを得なかった)状態だったが、震災によってそうした隠されたニーズが表面化してきた捉えるべきである。こうした震災前からの問題の継続・その矛盾の増加として把握しておくことは、今後の復興に当たっての基本視点を考える上でも重要であると考える。

【勝又委員】

震災による被害は、障害者のみならずすべての人に共通している部分と障害者に特有だったり、困難度が大かったりする場合があると思う。

①「すべての被災者に共通する困難」と②「障害者に特有な困難」に分けて、前者は一般政策の中で障害者への合理的配慮を求めて行くべきではないか。後者は、特別な政策の中で障害者への合理的配慮を求めて行くべきではないか。

①「すべての被災者に共通する困難」には、性別(添付参考資料1参照)や年齢の違いで異なる困難、環境に順応する困難、喪失感など精神的ダメージ、等が考えられる。

②「障害者に特有な困難」には、移動の困難、コミュニケーションの困難、医療的困難、介助(支援)の困難、等が考えられる。複合的差別を受けるリスクの高い集団として障害女性に対する特段の配慮も重要である。(添付参考資料2

「障害者に特有な困難」に対して行われる配慮は、特別扱いではなく、弱者救済として位置付け、数の少なさや訴える力の弱さを不利な条件にすることがないように行政や住民が行動するための措置と位置づける。

添付参考資料1:NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ「女性の視点からの緊急時・復興への提言」(2011年3月20日)

添付参考資料2:DPI女性障害者ネットワーク「障害者基本法改正で障害のある女性の人権を高める施策を求めます」(2011年5月10日)

【川﨑委員】

このような整理の仕方は妥当であると考える。特に精神障がい者は、集団になじめず、災害や変化に敏感であることから状態が変化しやすいため、即精神科病院への入院に結び付けられたりと、社会から排除されがちである。

【佐藤委員】

■①と②~④の間には、さまざまな原因により、さまざまな情報が遮断される(手話通訳や要約筆記などが配置されないことも含む)ことによる不安、恐怖の除去が必要である。そのための信頼でき、相談できるマンパワーの日常的な配置が必要である。

【新谷委員】

被害の類型化の視点は必要と考える。それと同時に、ハザード別の類型化も必要と考える。現時点ではそこまで視点を広げることには問題があるかもしれないが、もっと大きな視点としては権利条約11条にあるように、「緊急時と障害者」という括りで、自然災害(地震、津波、火山爆発、風水害等)、人災(大規模火災、原子力災害等)、有事(武力紛争、テロ等)などでの類型化が有効と考える。

【関口委員】

①生命、身体、財産への直接的被害。

塩釜市の離島にすむ障害者が、「あと1メートル低いところにいたら、自分は死んでいた」と話していた。津波が足元まできていたという。移動困難な人の生命の保護は、移動可能な人と比べて難しい。また、精神病院が津波による被害をうけた場合、身体拘束や隔離の処遇にある精神障害者の避難が遅れることが想定できる。

②従来から福祉・医療のサービスを受けて生活を営んでいた障害者がこれらのサービスを利用出来なくなること。

従来から福祉・医療のサービスを受けて生活を営んでいた障害者がこれらのサービスを利用出来なくなることは、障害者の生命に関わることが少なからず含まれる。そのため、福祉・医療の復旧は、電気・水道・ガス・住宅と同様、ライフラインとして考えなければならない。しかし、そもそも、障害者の生活保障を権利ではなくサービスとして民間に任せてきた国策こそが、利用できない状況を招いたわけであって、第一に、こうした認識にたつべきである。加えて、従来から問題が指摘されてきたもの(たとえば、施設中心主義)を、あえて、復旧する必要はなく、議論を重ねる必要があると考える。すなわち、これまで自立支援法によりサービスの利用を制限されてきた障害者に、更なる追い討ちがかけられただけに過ぎないのである。(精神障害者については、医療を受けることが難しくなっているのではないか。実例としてうつ病の患者である母親と娘が、薬が無いと言うことで、車で1時間かかる病院まで自衛隊の車両で1度は行くことが出来たが薬を1か月分もらって帰っても状態が悪くなれば病院まで行く交通手段は無く、薬がなくなっても病院まで行くことが出来ない。)

③公的サービスを受けず、家族や地域社会の支えで生きてきた障害者が、こうした支えを失うことによって、生活が困難になること。

公的サービスを受けず、家族や地域社会の支えで生きてきた障害者が、こうした支えを失い、その後、再び地域社会の支えを獲得することは、非常に大変なことである。少なくとも、再び地域社会の支えを獲得するまでの間は、公的な社会保障が必要となる場合が想定され、こうした障害者に対しては、とくに柔軟な支援が求められる。そうでなければ、単に精神病院に入院し、そのまま長期入院者となる場合も想定される。被災後の地域生活支援は重要であるのに、安易な施設化に拍車がかかることを懸念している。(在宅でヘルパーのサービスを受けていた高齢の障害者の方が、事業所がサービスを再開して避難所でサービスを受けることになったが、集団生活の中では時間内にこれまでのサービスを受けることが出来ず、ケアマネージャーがボランティアで手伝いに来ているとのことだが、みんな疲れきっており常駐でボランティアに来てくれるヘルパーさんは居ないだろうかと言う相談を受けた。)

④家族や地域社会の支えがなくとも生活できていた障害者にとっても、生活環境、社会環境の急激な変化によって、生活が困難になること。

家族や地域社会の支えがなくとも生活できていた障害者にとっても、生活環境、社会環境の急激な変化によって、生活が困難になることは、考えられる。とくに、発作や再発といったものは、数年単位ででていないのに、ある出来事を期に急に起こりうるものであるため、これらが生活を困難にすることが想定される。しかし、本人が支援を要求していないならば、あえて医学的な支援の提供を必要以上に進める必要はないと考える。

⑤さまざまな支援の欠如が、障害者を社会生活から排除する要因を生み出すこと。

まさに、福祉避難所があること自体、一般の避難所が合理的配慮をしていないためであることを意味している。2011年3月31日の河北新報の記事からわかるとおり、一般の避難所においても、他の住民が障害者を差別し、排除することに積極的である。そして、支援とは、障害者を施設や病院、福祉避難所に移動させることと同義になっている。

こうしたことがされている原因は、地域生活にかかる保障がないことと、排除・分離の機能が支援として残されていることにある。排除・分離の機能が縮小され、地域生活にかかる保障が拡大されなければならない。

このような整理の仕方について、その必要性や妥当性も含め、ご意見を伺いたい。

災害時に必要とされる公的サービスは平時とは違うニーズが生まれてくると考えられる。柔軟にそれらのニーズに答えるには既存のサービス類型にこだわるべきでない。

【中西委員】

これでも良いかと思うが、基準の軸足をどこに置くかによって、被害の類型化は異なる。他の人と違う存在として被災中に差別を受けることを被害の根本とするならば

①自分の生活や生命を守るための、自己決定ができないこと
②一般的なサービスや設備しか提供されないこと
③合理的配慮の欠如が緊急事態にあるとして否定される
④環境がバリアフリーでなくなり、均等な機会が得られないこと
⑤他の人たちから隔離した環境に置かれること
⑥既存のサービスや制度が変更されるため、日常生活の維持が困難になること
⑦安全な環境を自分で整えねばならないために、特別な支出を余儀なくされること

【松井委員】

「被災障害者にとっての震災による被害」の特性を明らかにするには、たとえば、障害のない高齢者などと対比することが必要と思われる。

なお、⑤の「さまざまな支援の欠如」には、アクセシビリティやユニバーサル・デザインの欠如や、合理的配慮がされないことも含むとするか、あるいは「さまざまな支援、アクセシビリティやユニバーサル・デザインの欠如や合理的配慮がされないこと」に修正する。