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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第34回(H23.8.8) 資料7

障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案合同作業チーム部分(医療・障害児・労働と雇用)

○ 医療
○ 障害児
○ 労働と雇用

Ⅲ 関連する他の法律との関係

【項目】1 医療

医療・合同作業チームでは、障害者の医療をめぐる現状を踏まえつつ、障害者は保護の対象ではなく権利の主体であるとの考えに立ち、障害当事者の経験に即した視点から、諸課題への解決策につながるよう、制度の在り方につき検討を行った。

(第1期(H22.10~12月)には精神医療を中心に、第2期(H23.1~6月)には、障害の種別を問わず、障害者の生活を支える地域医療を主題として検討。)

【表題】「地域における障害者の生活を支える医療」の実現に向けた理念と制度基盤の構築

【結論】

○障害者が地域で暮らし社会参加できるようにするためには、適切な医療の提供が不可欠である。医療は、福祉サービス及び保健サービスとの有機的連携を確保しながら提供される必要があるという、総合福祉法(仮称)の理念は医療保健の分野にかかる法律においても確立されるべきである。

○また、包括的なサービス提供の基盤となるものとして、個々の障害者に対する相談支援の際、当該障害者の福祉・保健・医療にわたるニーズに合った総合的な相談支援が自己決定への支援と一体的に提供されることが必要である。このような本人の希望を踏まえた総合的な支援が総合福祉法(仮称)のみならず、医療保健の分野にかかる法律においても実施できるよう、基盤整備が有機的連携の下になされなければならない。

【説明】

障害者に対する医療は、疾病に対する治療を提供する医療(医療モデルに基づく医療)とは在るべき姿を異にする。医療モデルではなく個々の障害者の生活の状況を基盤として、日常生活を支える不可欠のサービスとして、医療が、保健、福祉、生活支援のサービスと有機的連携を確保しつつ提供されることが重要である。このような観点から、障害者に対する地域医療をさらに向上発展させていくための理念と制度基盤の構築が、総合福祉法(仮称)のみならず医療法、地域保健法等の関係法令のもとでも必要である。

【表題】障害者の医療費公費負担制度の見直し

【結論】

○障害者の医療費公費負担制度の見直しに際しては、現行の自立支援医療制度のみならず、特定疾患治療研究事業、小児慢性特定疾患治療研究事業、高額療養費制度、都道府県の重度心身障害児者医療費助成制度等を総合的に検討の対象とする必要がある。

【説明】

地域で生活する障害者は、障害の種類にもよるが、外来等により反復継続して医療を受ける必要がある場合が多く、その経済的負担は本人の負担能力に比して過重となりやすい。また、必要な医療が適時的確に受けられるようにすることは障害の重度化を予防する観点からも重要であり、経済的負担の過重感からこれが妨げられることがあってはならない。こうした観点から、自立支援医療のみならず、様々な医療費公費負担制度に基づき講じられている負担軽減の仕組みを総合的に検討していく必要がある。

【表題】医療的ケアのにない手の確保

【結論】

○重度の障害者の地域生活を支援するため、日常的に必要となる医療的ケアのにない手を増やしていく必要があり、介護職員等に関する法令上の規定の整備や医療関連職種に関する法令との調整が必要である。

○その際、介護職員等が不特定多数の対象者へ当該医療的ケアを行う場合(入所施設でのケア等)と、にない手が個別的に特定の対象者へ特定のケアを行う場合(学校や在宅でのケア等)を区別し、それぞれに相応しい柔軟な実施体制の整備が図られるべき。

【説明】

平成23年の社会福祉士法、介護福祉士法の改正により、平成24年度から、たんの吸引と経管栄養について、看護師等だけでなく、一定の研修を受けた介護職員等も行うことができるようになった。研修受講の便宜を図りつつ、これらの医療的ケアをになう介護職員等を増やしていくとともに、医療的ケアを日常的に必要とするより多くの障害者が地域で円滑に生活を送れるよう介護職員等が実施できる医療的ケアの範囲をさらに拡大することも検討する必要がある。

【表題】重度身体障害児者、重症心身障害児者の医療と地域生活

【結論】

○重度身体障害児者や重症心身障害児者にとっては、総合福祉法による長時間介助サービスと相まって、地域生活を送るうえでのニーズに即した医療サービスが身近なところで受けられる体制と、日常的な医療的ケアが日頃介助している介助者によって行いうる体制を構築することが必要である。同時に、ショートステイも含めた施設への入院・入所機能の確保も重要である。

【説明】

障害が重度であっても地域で生活できるよう支援を講じていくことが重要。このためには、長時間介助サービスの提供と相まって、日常的な医療の提供が確保されること、また、生命と生活のセーフティネットとしての施設機能が確保されることが重要であり、そのための関係法令の整備が必要となる。

【表題】難病等のある障害者の医療と地域生活

【結論】

○難病その他の希少疾患等のある障害者にとっては、身近なところで専門性のある医療を受けることができる体制及び医療を受けながら働き続けることのできる就労環境が求められ、このための法令の整備が必要である。

【説明】

難病等にかかる障害者について、概念整理を進める必要があるが、難治性慢性疾患のある人も含むよう幅広くとらえ、それらの人に対しては総合福祉法(仮称)にもとづく生活支援が講じられるとともに、医療及び就労分野の法令において、医療を受けながら地域生活、特に働き続けることができる環境の整備について規定していくことが必要である。

【表題】精神障害者の医療と地域生活

【結論】

○精神障害者にとっては、総合福祉法において、安心して地域社会で自立した生活を送るための生活支援や相談支援が求められるが、医療の分野においては福祉サービスと連携しつつ、地域の身近なところで必要な通院医療や訪問診療を受けられる体制が求められる。

○精神障害者が調子を崩したとき、家族との関係が一時的に悪化したとき等に、入所、入院を防ぐあるいは再発予防のためのドロップインセンターとして、必要時にすぐに使えるレスパイトやショートステイが必要である。その際、障害程度区分に依らず使える仕組みとすることが必要である。

【説明】

地域移行、支給決定、相談支援の項におけるセンターの機能は、この項とも密接に関係する。

(※なお、人権保障の観点からの社会的入院の解消、地域移行等については、別項で記述する。)

【表題】発達障害者の医療と地域生活

【結論】

○発達障害者にとって、地域で生活できるためには、総合福祉法に基づく生活支援とともに、身近なところで専門的な治療や療育をうけられる体制の整備が求められる。

【説明】

特に、発達障害の診断・治療・療育に係る指針等を普及させ、これらを担う能力を十分に備えた医師等の医療従事者を増やすことにより、医療の質を上げる(不必要な投薬を避け、適切な支援を提供する)ことが求められる。

【表題】精神障害者に係る非自発的入院や入院中の行動制限

【結論】

○関係する法律(精神保健福祉法、医療法等)を抜本的に見直し、以下の事項を盛り込むべきである。

  • いわゆる社会的入院を解消し、精神障害者が地域社会で自立(自律)した生活を営むことができるよう、権利の保障を踏まえた規定を整備すること
  • 非自発的な入院や入院中の行動制限については、人権制約を伴うものであることから、本人の意に反した又は本人の意思を確認することができない状況下での適正な手続に係る規定とともに、人権保障の観点から第三者機関による監視を含む適切な運用がなされることを担保する規定を整備すること
  • その際、第三者機関の必要経費は、国庫が負担すること

【説明】

関連して、精神疾患の入院ニーズを精査し、国並びに都道府県は精神科病床の削減計画を立て、入院に代わる地域での医療体制を構築することが必要である。これは、地域移行、資源整備の項における計画とも密接に関連する。

同時に、医師や看護師等の精神医療に充てる人員の標準を一般医療より少なく設定している現行の基準を改め、必要最低限の適正な病床数と必要な人員を配置し、精神医療の質を向上するための根拠となる規定を設ける必要がある。

【表題】保護者制度

【結論】

○保護者制度は廃止し、これに代わる公的制度を確立するべきである。

【説明】

医療保護入院に係る同意を含む「保護者制度」の問題点を解消するために、自らの判断と選択による医療の利用が保障されるべきことを確認するとともに、非自発的な入院等の際に公的機関がその責任を果たす制度を構築し、その導入に伴い保護者制度は廃止する。

【表題】精神障害者の入院に係る病室の規定の見直し

【結論】

○精神病患者を精神病室でない病室に入院させないこととしている医療法施行規則第10条三項を廃止する。

【説明】

精神障害者が精神疾患を持ちながら地域で生活するには、一般病院を含め身近なところで通院や往診などを受診できることが重要となる。精神疾患の治療の場を他疾患と同様に一般医療の中に組み込み精神科医療へのアクセスをよくすることは、再発予防や早期発見につながる。また、医療従事者や市民が抱く精神科医療への抵抗感や偏見をなくし、ひいては地域移行の推進にもつながる。その障壁となっている当該規定は廃止すべき。

【表題】障害者に対する歯科保健・歯科医療の充実

【結論】

○障害者、特にアテトーゼや行動障害を伴う障害者に対し、身近なところで歯科保健サービス及び歯科医療を提供する体制の整備・充実のため、院内で治療できるよう、物的設備の整備支援、医師等に対する障害に関する研修、訪問治療等につき、医療法等の関連法令の規定の見直しが必要である。

【説明】

障害者にとって歯科治療を円滑に受けることが困難な状況が依然として存在する。歯科医療及び予防は、障害者にとって、健康保持、学習発達(特に障害児)、生活機能の回復向上に重要であり、現状の改善が不可欠である。

【項目】2 障害児

「障害者制度改革の推進のための基本的な方向性について」(平成22年6月29日閣議決定)で示された次の2点について、平成23年内に結論を得るべく論点を整理するよう、障害児支援合同作業チームが設置された。

  • 地域の身近なところで提供される障害児やその保護者に対する相談支援と療育等の在り方について
  • 障害児への支援が、利用しやすい形で提供されるための具体的方策について

1.児童福祉法関係

【表題】権利擁護

【結論】

○障害児を含むすべての子どもの基本的権利を保障する仕組みの創設が望まれることから、児童福祉法でオンブズパーソンを制度化するべきである。そのために、社会保障審議会児童部会に検討の場を設け、検討を進めること。

【説明】

障害の有無や程度にかかわらずすべての子どものための権利擁護の仕組みを市町村に設けるために、オンブズパーソンを、国連の子どもの権利委員会の勧告(CRC/C/JPN/CO/3,2010.6.)を踏まえ、児童福祉法で制度化するべきである。特に、障害児は契約当事者が保護者であるため、子どもの視点から最善の利益を保障できる権利擁護の仕組みが必要である。既に自治体で取組まれている先行事例等もあることから、社会保障審議会児童部会で検討を進め、オンブズパーソンの制度化を図るべきである。

【表題】早期支援

【結論】

○母子保健法に基づく障害の早期発見を、保健指導や医療の保障にとどまらず、障害児が地域の子どもとしての育ちを保障されるよう、児童福祉法の子育て支援事業と連携し実施すること。

○健康診査等による要支援児に対しては、家庭への訪問・巡回等、家庭での育児支援を基本的な在り方とし、児童及び保護者の意思に基づいて、児童発達支援センター、医療機関、入所施設等を活用できるようにすること。

【説明】

母子保健法は、学校保健安全法、児童福祉法等に基づく事業と協調するよう規定されているが、現状は、障害の発見から療育、特別支援教育へと「特別な支援過程」につながるだけのことが多い。障害の発見を地域の子育て支援、さらに地域の学校への就学につなぐことの出来る制度設計が必要である。

【表題】一般児童施策の利用が障害を理由に制限されないこと

【結論】

○児童福祉法の保育所の入所要件には、障害を理由に利用を制限する規定がないことを踏まえ、今後の「子ども園」(仮称)の制度化において、障害児の入園が拒否されないように応諾義務を課すこと。また、必要な支援を確保するよう、必要な規定を児童福祉法もしくは「子ども園」に係る新法に設けること。

○障害児が、放課後児童クラブへの参加を希望する場合には、障害を理由に拒否されないこと。また、指導員の加配や医療的ケアを必要とする子には看護師を配置する等、必要な支援を講じること。

【説明】

児童一般施策と障害児施策の両方があることによって、障害児が児童一般施策を利用しにくい、あるいは利用できないということがないようにするべきである。

子ども・子育て新システムの「子ども・子育て会議(仮称)」や「新システム事業計画(仮称)」等も、上記の理念の下に検討が進められるよう障害児、家族及び支援者が参画し、障害を理由に利用が拒否されないよう、かつ、必要な支援が確保されるよう「子ども園」(仮称)が制度化されるべきである。放課後児童クラブについても、同様に整備されるべきである。

【表題】療育

【結論】

○地域社会の身近な場所において専門性の高い療育(障害児に対する発達支援・育児支援・相談支援・医療的支援)を利用できるようにすること。

○障害者基本法の「可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるようにするため」の規定を踏まえ、児童福祉法の療育の規定を整理すること。

【説明】

障害児の個々の特性を踏まえた専門性の高い療育を身近な地域で得られるようにすべきである。児童福祉法には「療育の指導等」が規定されているが、規定の仕方が狭いため、地域社会の身近な場所で療育が利用できるように整理すべきである。

【表題】通所支援

【結論】

○保育所等訪問支援事業や巡回支援専門員整備事業、障害児等療育支援事業の拡充を図るとともに、児童発達支援センターもその対象に加えること。

○児童発達支援センターは、様々なニーズのある障害児に対応できる職員配置基準が必要であるため、保育士及び児童指導員に加え、看護師や療法士等の専門職を適正に配置できるようにすること。

【説明】

障害児通園施設が障害種別に分かれて培ってきた「専門性」を、他の児童発達支援センターや放課後等デイサービス事業所等に提供して相互のレベルアップを図ることに加え、福祉型センターには看護師や療法士等、医療型センターには保育士等の必要な職員を確保して発達支援機能を向上させ、真の意味の「一元化」を目指すことが必要である。

【表題】障害児入所施設

【結論】

○障害児の自立生活にむけて、「自立支援計画」の策定を障害児入所施設に義務付けること。その根拠規定を児童福祉法、児童福祉施設最低基準に設け、運営ガイドラインを整備すること。

○入所決定、入所後であっても、地域の子どもとして意識されるよう、児童相談所等に加え、市町村が関与できるようにすること。

○入所支援から地域生活に移行にあたっては、在宅生活が可能となるよう地域資源を整備し、家庭に帰れない場合でも、障害児専門の里親制度の拡充や障害児を対象とするファミリーホームなど、できるだけ家庭に近い養育環境を整備すること。また障害児入所施設の小規模化、ユニット化を促進するため、加算措置をすること。

○NICU(新生児集中治療室)から在宅生活に移行するに当たり、その移行準備や障害が発見された直後の親に対するカウンセリング、養育指導においては、医療型障害児入所施設の母子入園での支援が有効であることから、これを拡充すること。

○入所施設は、社会資源の一つとして、保育所を含む地域機関や家庭への訪問、巡回型の支援が行えるようにし、すべての障害児入所施設にショートステイ枠を増設すること。

【説明】

児童養護施設等に義務付けられている自立支援計画は、障害児入所施設には義務付けられていない。障害児入所施設に、児童相談所等との協議にもとづき将来の自立生活に向けた「自立支援計画」の策定を義務化するべきである。地域の子どもとして育つことができるよう、市町村が入所決定等で関与し、長期休暇等の自宅で過ごす際に、措置で入所した子どもであっても居宅サービス等、必要なサービスを利用できるようにすべきである。入所施設は、小規模化し、できるだけ家庭に近い環境で養育できるよう整備し、地域移行が可能となるようショートステイ枠の創設やファミリーホーム等の環境整備が必要である。

【表題】地域の身近な場所での相談支援体制

【結論】

○相談支援は、障害が特定されない時期から、身近な地域の通いやすい場で提供されること。相談支援事業者でのサービス利用の手続を簡素化し、本人・保護者の同意に基づいて利用する事業の代理申請を可能にすること。

○地域子育て支援拠点事業に、障害児子育ての相談対応者を職員として配置すること。障害児相談支援事業所と連携を図ること。

【説明】

相談支援は、地域の身近な場所においてワンストップ型で提供されなければならない。そのために、相談支援事業者でのサービス利用の手続の簡素化が必要である。また、障害児の相談に対応できる職員の養成が必要である。

【表題】ケアマネジメントと「個別支援計画」

【結論】

○「個別支援計画」は、障害児・家族にとって身近な地域における支援を利用しやすくするため、福祉、教育、医療等の利用するサービスを一つの計画として策定されること。6カ月程度の適当な期間で見直され、支援の調整、改善が図られるようケアマネジメントすること。

○障害児が支援を受けつつ意思を表明し、その意向に沿った計画を策定できるように、計画に意見表明の欄を設けること。保護者の同意なくしては履行できない仕組みにすること。

○乳幼児期の「個別支援計画」は、保護者・きょうだいへの支援を含むものとして策定されること。

【説明】

障害児に対するケアマネジメントは、単にサービス利用計画の策定にとどまらず福祉、教育、医療等の総合的な計画として策定され、必要な期間で見直され、サービス調整を障害児及び保護者の同意のもとに行うべきである。その際、「地域での育ち」を促進するよう、きょうだい支援を含めたものとするとともに、特に乳幼児期には保護者への「育児支援」を含めるべきである。

【表題】要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会の連携

【結論】

○要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会とで検討が重なる子どもについては、保護者の同意の下に合同で協議会を持つことができるようにすること。

【説明】

要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会が、それぞれに障害児の検討をするのではなく、一元化すべきである。また、要保護児童対策地域協議会の構成員として、障害児福祉関係者(障害児相談支援事業所や児童発達支援事業所等)が加わり、検討できる体制を整えるべきである。

【表題】家族支援ときょうだい支援

【結論】

○障害児が家族の一員として、地域の子どもとして成長できるよう、育児支援、家族支援を行うこと。保育所等訪問支援事業の対象に「家庭」を加えること。

○きょうだいのグループ活動等を支援し、障害児ときょうだいが一緒に参加できる事業を児童発達支援センター等が実施すること。

【説明】

障害児の育児支援、家族支援を家庭でできるように、保育所等訪問支援事業の訪問対象に家庭を加え、外出できない家族への支援を可能とすべきである。また、きょうだいへの支援は現在のところ事業化されていないことから、活動支援や一緒に参加できるプログラムを実施できるようにすべきである。

2.学校教育法関係

【表題】寄宿舎

【結論】

○特別支援学校の寄宿舎の本来の目的は通学を保障することにあり、自宅のある地域社会から分離されないよう運用されること。寄宿舎の実態を調査し、地域社会への移行に向けた方策を検討すること。

【説明】

寄宿舎は本来広域学区である特別支援学校への通学保障のために設置されたものであるため、学校が休みになる土・日や長期休暇は家庭に戻るように、運用されるべきである。

【項目】3 労働と雇用

就労合同作業チームは、従来、障害者自立支援法などで規定されてきた福祉的就労を総合福祉法(仮称)でどのように規定するかの検討とあわせ、障害者雇用促進法などを中心としてすすめられてきた一般就労・自営施策のあり方についても検討するため設置された。委員は、障がい者制度改革推進会議構成員4名と総合福祉部会構成員6名から構成された。

本作業チームで検討した主な内容は、次のとおりである。

①障害者基本法に盛り込むべき就労に関する基本的事項
②総合福祉法の守備範囲(労働分野との機能分担など)
③福祉と労働及び雇用にまたがる制度と労働者性の確保のあり方
④就労移行支援事業、就労継続支援A型・B型事業、生産活動に取り組む生活介護事業、地域活動支援センターや小規模作業所のあり方
⑤雇用率制度及び差別禁止と合理的配慮を含む、一般就労・自営のあり方
⑥多様な就業の場としての社会的雇用・社会的事業所・社会支援雇用のあり方

1.障害者雇用促進法に関わる事項

【表題】雇用の質を確保するための法改正

【結論】

○障害者権利条約第27条[労働及び雇用]で求められる労働への権利、障害に基づく差別の禁止、職場での合理的配慮の提供を確保するための規定を設ける。

【説明】

大企業に限らず中小の企業においても、障害者が他の者と平等な雇用条件や昇給・昇進、希望職種・業務の充足といった雇用の質が確保できるようにするために、労働の権利、障害に基づく差別の禁止、職場における合理的配慮の提供の確保等に関する必要な規定を設けるべきである。

【表題】雇用施策の対象とする障害者に就業上必要な支援を認定する仕組み

【結論】

○障害者雇用率制度に基づく雇用義務の対象を、あらゆる種類の障害者に広げると共に、雇用率達成のため事業主への支援を拡充する必要がある。また障害者にとって就業上必要な支援を明らかにする総合的なアセスメントを整備する。

【説明】

精神障害者については上記結論と併せて、職場で安定的に就業するための配慮と職場環境の整備が不可欠である。

個々の障害者が具体的な就業の場においてどのような支援を必要とするかについて、当該障害者の就業にかかわるすべての利害関係者(障害当事者も含む。)がチームとしてアセスメントを行う仕組みを整備する必要がある。そうしたアセスメントは、状況の変化に応じた柔軟な見直しが求められる。

【表題】障害者雇用率制度および納付金制度の見直し

【結論】

○障害者雇用率制度の対象者の拡大に関連して、法定雇用率および納付金制度は、調査に基づいて課題と限界を検証し、必要な見直しを行うべきである。

【説明】

法定雇用率については、社会モデルに基づいた障害の範囲の拡大、就労系事業などへの仕事の発注額などに応じて当該企業の障害者雇用率に算定する見なし雇用の制度化などを踏まえて、大幅に引き上げる方向での見直しが求められる。重度障害者を雇用した場合、1人を2人分として算定するダブルカウントについては、社会モデルに基づいた制度に見直すべきであるとの意見があったが、障害者の範囲の見直しが先に行われるべきであるとの意見もあった。

障害者雇用納付金制度は、助成額の引き上げや給付期間の恒久化に加え、助成申請手続きの簡便化も必要である。また、助成金は事業主の申請により給付されるため必ずしも障害者の雇用を支えるために有効に活用されていないとの指摘があり、障害者自身が申請できるようにする必要がある。

【表題】職場における合理的配慮提供の確保

【結論】

○事業主が障害者に合理的配慮を提供するのに必要な経済的・技術的支援を受けられるような仕組みとともに、合理的配慮が提供されない場合、苦情の申し立てと救済措置が受けられるような仕組みを整備する必要がある。

【説明】

就労系事業、特例子会社、重度障害者多数雇用事業所等での合理的配慮の実践例を企業に示すことで、企業の理解を求める。合理的配慮の類型化や事例のガイドブックの整備等も企業の取組みを進める上で有効と思われる。それにあわせ、合理的配慮に係る費用負担のあり方も整理する必要がある。

また、合理的配慮が提供されない場合、障害者が苦情を申し立て、救済措置が受けられるような第三者性を確保した仕組みについては、職場内および労働審判制度の整備を含めて平成24年度内を目途に得られる差別禁止部会および労働政策審議会の検討結果等を踏まえ、適切な措置を講じる必要がある。

2.障害者雇用促進法以外の法律にも関わる事項

【表題】就労系事業に関する試行事業(パイロット・スタディ)の実施

【結論】

○安定した雇用・就労に結びついていない障害者に適切な就業の機会を確保するため、試行事業(パイロット・スタディ)として賃金補填等の他、多様な働き方の就業系事業を実施する。

【説明】

全国で80ヵ所程度を指定し、賃金補填(使途に規制がなく、障害従業員の賃金補填にも充当しうる、柔軟な助成措置を含む。)および官公需や民需の優先発注等を伴う、多様な就業系事業(社会的雇用・社会的事業所・社会支援雇用などを指す。詳細は就労合同作業チーム報告参照。)が障害者就業施策にもたらす効果を実証的に検証することにより、同制度化に向けた課題を整理する。対象とするのは、①最低賃金の減額特例を受けている就労継続支援A型事業所、②最低賃金の1/4以上の工賃を支払っている就労継続支援B型事業所、③箕面市や滋賀県など、地方公共団体独自の制度として賃金補填を実施している事業所の他、新たに起業する事業所等。これらに対し、障害従業員への賃金補填を含む事業所への運営費補助及び官公需や民需の優先発注などによる仕事を確保するための支援を行う。

検証事項は、主に①障害者自身の働く意欲への影響や、ともに働く障害のない者の意識の変化、②対象とすべき障害者や事業所の要件、③事業者が提示する賃金への影響、④障害従業員の心身・労働能力の変化の状況、⑤収益の配分とその決定の仕組み、⑥事業者の生産性・付加価値引き上げの取組み、⑦民間企業と就労系事業が連携する取組み、⑧総合的アセスメントの仕組みなど、新たな就労系事業の制度化にあたって予想される課題の整理である。

現在の国の制度では、一般就労と福祉的就労しか選択肢がなく、しかも賃金(工賃)や位置づけ(労働者か利用者か)についても大きな乖離がある。そのため、両者の間に第三の選択肢をつくることや福祉的就労に労働法規を適用すること、さらには多様な働き方を保障することなど、種々の検討すべき課題がある。

【表題】賃金補填と所得保障制度(障害基礎年金等)の調整

【結論】

○就労系事業に従事する障害者が賃金補填を受ける場合、原則として年金支給は一部ないし全額停止することで、年金財源を賃金補填に振り替えうる仕組みをつくる。そのためには、賃金補填と所得保障の関係について、障害基礎年金の支給調整ラインの検討が必要である。また、賃金補填の対象となる障害者の認定の仕組みを検討する必要がある。賃金補填を行う場合の事業者のモラルハザードをどうするかについても検討が必要という意見もある。

【説明】

障害基礎年金における所得制限は、20歳前に障害者となった人の場合について、所得が398万円4,000円を超えると半額支給停止、500万1,000円を超えると全額支給停止となる。しかし、最低賃金(時給)で働いた場合の年間の所得は100数十万円程度であり、到底、現行の支給調整ラインには届かない。よって、賃金補填を受けない障害者との公平性を担保するには、支給調整ラインをさらに低い金額で設定することを検討する必要がある。また、20歳前に障害者となった人以外の場合は、障害厚生年金や稼働所得と賃金補填との調整をどうするか等の検討課題がある。なお、賃金補填の導入によって事業者がモラルハザードを起こさないよう、生産性や付加価値を高めるとともに、障害従業員の能力開発により賃金補填額の縮小、あるいは賃金補填がなくとも最低賃金以上の賃金を支払うことを目指すような制度設計とすることについても検討する必要がある。

【表題】障害者雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開するための体制の整備

【結論】

○障害者の雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開しうるよう、関係行政組織を再編成するとともに、地方公共団体レベルで雇用・就労、福祉および年金等に係る総合的な相談支援窓口(ワンストップサービス)を置く。

【説明】

現在、一般就労・自営は労働行政等、また福祉的就労は福祉行政の所管となっているが、それらを一体的に展開するには、中央レベルの行政組織を再編成するとともに、地域レベルで就労・生活支援にかかわる、ハローワーク、福祉事務所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターおよび地方公共団体が設置する就労支援機関、地域自立支援協議会、発達障害者支援センターならびに特別支援学校などの関係機関のネットワークが有効に機能する仕組みを整備する。

【表題】就労合同作業チームの検討課題についてフォローし、実現化をめざすための検討体制の整備

【結論】

○推進会議のもとに就労部会または就労検討チームを設置して、就労系事業にかかる試行事業の検証を含む検討課題についての結論を得る。そのメンバーは経済団体、労働団体、学識経験者(労働法、労働経済学、経営学、社会保障論などの分野の専門家等)、事業者団体および地方公共団体等から構成する。

【説明】

就労合同作業チームではきわめて広範囲にわたる、一般就労・自営および就労系事業に係る課題について検討したが、構成員の専門領域が限られていたことや検討期間および時間が短かったため、結論を得るまでには至らなかった。従って、推進会議のもとに新たにつくられる部会または検討チームには幅広い専門領域の構成員を加え、十分議論を尽くし、結論をえる。

【表題】全国民のなかでの障害者の生活実態等を明らかにする基礎資料の整備

【結論】

○障害の社会モデルを基礎として雇用・就労施策を検討する基礎資料をえるために、国の基幹統計調査(全国消費実態調査や国民生活基礎調査等)において障害の有無を尋ねる設問を入れた全国調査を実施する。

【説明】

厚生労働省では、身体・知的・精神、3障害の就業実態調査や障害者雇用実態調査を行ってきているが、いずれも手帳所持者やすでに雇用されている人など、限定された障害者集団の状況しか明らかにできない。障害ゆえに雇用・就労の機会を得がたい者は、それらの障害者以外にも数多く存在する。いわゆる制度の谷間で公的支援を受けることができない人びとを支援してこそ、障害者雇用・就労の裾野を広げることができる。

また、障害の社会モデルを基礎とした雇用・就労施策を検討する基礎資料として、全国民のなかでの障害者の経済活動や生活実態を明らかにすることが重要である。そのためには、国の基幹統計調査(全国消費実態調査や国民生活基礎調査等の全国民を対象とした大規模社会調査)において、少なくとも一時点で病気や障害によって活動が一定期間以上制限されているかどうかを聞く設問を追加し、その調査結果を分析する必要がある。