障がい者制度改革推進会議 参考資料3 第37回(H24.1.23)
障がい者制度改革推進会議
東日本大震災被災地調査 福島
平成22年度 精神保健福祉センター所報
第39集
福島県精神保健福祉センター
13 精神障害者保健福祉手帳・自立支援医療(通院医療費公費負担)の判定及び承認
(1) 精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、一定の精神障がいの状態にあることを認定することにより、手帳の交付を受けた方に対し、各方面の協力により各種の支援策が講じられることを促進し、精神障がい者の社会復帰の促進と自立と社会参加の促進を図ることを目的としている。
① 申請状況
申請者数 | 4,310 |
② 交付数
1級 | 2級 | 3級 | 合計 |
672 | 2,550 | 911 | 4,153 |
③ 不承認件数 157件
③ 各年度末現在所持者数
1級 | 2級 | 3級 | 合計 | |
平成7年度 | 100 | 163 | 60 | 323 |
平成8年度 | 261 | 386 | 141 | 788 |
平成9年度 | 342 | 566 | 197 | 1,105 |
平成10年度 | 522 | 774 | 232 | 1,528 |
平成11年度 | 773 | 1,168 | 349 | 2,290 |
平成12年度 | 698 | 1,182 | 344 | 2,224 |
平成13年度 | 750 | 1,296 | 320 | 2,366 |
平成14年度 | 971 | 1,722 | 439 | 3,132 |
平成15年度 | 1,179 | 2,183 | 592 | 3,954 |
平成16年度 | 1,211 | 2,695 | 772 | 4,678 |
平成17年度 | 1,218 | 3,200 | 887 | 5,305 |
平成18年度 | 1,191 | 3,522 | 899 | 5,612 |
平成19年度 | 1,271 | 3,722 | 911 | 5,904 |
平成20年度 | 1,343 | 4,182 | 1,095 | 6,620 |
平成21年度 | 1,325 | 4,420 | 1,260 | 7,005 |
平成22年度 | 1,350 | 4,925 | 1,573 | 7,848 |
(2) 自立支援医療(精神通院医療費公費負担)
平成18年4月より精神通院医療の公費負担制度が変更になった。この制度は障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づき、通院による精神医療を継続的に要する程度の病状にあるものに対して、精神障がい者が病院等で入院しないで行われる精神障がいの医療を受ける場合に、その医療の自己負担分の一部を公費で負担する制度。
① 申請状況
申請件数 (内新規申請数) |
23,187件 (3,415) |
② 承認状況承認数 23,186件
不承認数 1件
③ 年度末所持者数 21,282件
障がい者制度改革推進会議・障害者政策委員会
東日本大震災被災地調査
南相馬市訪問
(1) 震災後の障害者の安否確認について
① 被害にあった障害者の人数について、次の点について教えて下さい。
- 全人口 (71,556人)
- うち障害者の人口 (4,280人)
- 全死亡者数 (1,249人)
- うち障害者の死亡者数(19人)※11月まで手帳を返還した方
障害種別ごとに死亡人数が分かれば、その人数- 身体障害(18人)
- 知的障害( 人)
- 精神障害(1人)
- その他の障害( 人)
*「その他の障害」の障害名も分かる範囲でお知らせください。
② 障害者の安否確認はどのような情報に基づいて(例えば、手帳保持者等)、誰が行ったのでしょうか。
南相馬市保健師による精神通院医療受給者調査
JDF被災地障がい者支援センター福島
③ その際、NGO等の障害者団体との連携をどのように図られたでしょうか。
65歳未満の身体.知的障がい者の氏名等を提供
(2) 避難支援計画等について
① 災害時要援護者名簿の対象と対象別の人数を教えてください。また、今回の震災でその名簿をどのように活用しましたか。
- 高齢者・障がい者を対象に、個人情報について同意の得られた方を対象に策定した。4,280人の登録がある。
② 避難支援計画は、今回の震災でどのように活用されましたか。
この計画は、民生委員、区長、消防団に配布してあるが、小高区等にあっては全員での避難となったため、機能しなかった行政区もあると推測される。
③ 災害時要援護者名簿や避難支援計画等について、今回の大震災を受けて変更する予定はありますか、または変更の必要性を感じておられますか。変更するとすれば、どういった点についての変更を検討されますか。
- 変更の予定はないが、災害時要援護者名簿は、個人情報について同意が得られた方のみで作成されているので、変更の必要性は感じる。しかし、個人情報保護法により保護されているため変更は難しいと思う。
(3) 障害者への支援について
① 震災後、これまでの取組内容やその推移、特徴について、概要を教えてください。
- 新たな支援として、別紙を実施している。
② 震災から8か月経た今、被災した障害者はどのような支援を求めていますか。また、これに対して市はどう取り組む予定ですか。
- 被災した障がい者に対して、相談支援の強化が必要と思っている。市として、相談支援事業の強化を検討中である。
③ 被災障害者支援に関して、市としてユニークな取組があれば、教えて下さい。
- 市で実施した、精神通院医療受給者を対象にした治療状況調査。(通院しないことによる状況の悪化を防ぐため)
- 仮設住宅入居者への健康支援活動(健康状態把握のため)
④ 被災障害者支援に関して、NGOとしてユニークな取組をご存じであれば、教えてください。
- 独立行政法人福祉医療機構の補助金を活用した移送支援事業
概要:交通手段を持たない移動困難者に対する移送支援(自宅から施設等)
(4) 福祉サービス関係のデータについて
可能な範囲で、平成23年1月と平成23年8月の下記障害福祉サービスについて、利用人数及び事業所数を教えてください。
【利用人数】
平成23年1月 | 平成23年8月 | ||
支給決定者数 | 452 | 351 | |
介護給付 | 居宅介護 | 38 | 29 |
重度訪問介護 | 3 | 4 | |
児童デイサービス | 107 | 47 | |
ショートステイ | 4 | 4 | |
施設入所支援 | 32 | 45 | |
ケアホーム | 22 | 27 | |
訓練等給付 | 就労移行支援 | 0 | 0 |
就労継続支援A型 | 0 | 0 | |
就労継続支援B型 | 117 | 100 | |
グループホーム | 12 | 15 | |
地域生活支援事業 | 移動支援 | 3 | 4 |
地域活動支援センター | 89 | 26 | |
福祉ホーム | 0 | 0 | |
日中一時支援 | 30 | 9 |
【事業所数】
平成23年1月 | 平成23年8月 | ||
介護給付 | 居宅介護 | 8 | 7 |
重度訪問介護 | 0 | 0 | |
児童デイサービス | 3 | 1 | |
ショートステイ | 4 | 0 | |
施設入所支援 | 0 | 0 | |
ケアホーム | 1 | 1 | |
訓練等給付 | 就労移行支援 | 0 | 0 |
就労継続支援A型 | 0 | 0 | |
就労継続支援B型 | 4 | 4 | |
グループホーム | 4 | 1 | |
地域生活支援事業 | 移動支援 | 2 | 2 |
地域活動支援センター | 2 | 2 | |
福祉ホーム | 0 | 0 | |
日中一時支援 | 3 | 1 |
(5) 現在の仮設住宅の状況について、下記の点を可能な範囲でお示しください。
- 仮設住宅で生活している人の総数及びそのうちの障害者の数
総数 5,387 - 仮設住宅で生活している障害者が必要としている支援内容とそれへの対応状況
障がい者にかかわらず寒冷化に伴う暖房器具等 11月末から支給 - 仮設住宅で生活している障害者への支援についての課題と今後の取組
仮設住宅のバリアフリーが課題となっている。対策は困難。
(6) 現在の避難者の状況に関するデータ及び傾向等について、下記の点を可能な範囲でお示しください。
- 避難者数の総数及びそのうちの障害者の数
総数 23,083 障害者は一般市民として安否情報を作成しているため不明 - 県内避難者数及びそのうちの障害者の数
総数 8,553 障害者は一般市民として安否情報を作成しているため不明 - 県外避難者数及びそのうちの障害者の数(県外の地域別の数)
総数 14,530 障害者は一般市民として安否情報を作成しているため不明
(7) 障害者手帳所持者の名簿を民間団体であるJDFと共有して被災障害者の安否確認を行った取り組みが注目されています。これに関して以下の点を教えてください。
- 名簿開示に至った経過(開示のきっかけ、開示に当たっての課題やこれを解消した経過等)
JDF被災地障がい者支援センター福島から開示要望があり、「緊急やむを得ないため開示ができないか」という観点から個人情報の開示について検討した結果、南相馬市個人情報保護条例の特例を適用し「障がい者の生命、身体及び財産」を守るため開示することが適当との市長の判断により開示。 - 開示したことの成果と課題
開示したことにより民間団体による安否確認と支援ができた。今後、継続支援が必要な障がい者のデータ管理が課題となる。
(8) 東京電力福島第一発電所事故の賠償について
- 賠償及び申請手続き等の障害者への周知の状況について、自宅等在住者・県内避難者・県外避難者のそれぞれについて状況を教えてください。
東京電力でどのような周知をしているかは不明 - この点についての課題及び今後の取組について教えてください。
-
別紙
障害福祉サービス利用者負担減免等特別措置事業
1.概要
平成23年3月11日から平成24年2月29日まで、支給決定障害者等が第31条に規定する利用者負担額の免除を受けたときは、食費及び居住費に要した費用について、特定障害者特別給付費等の額を控除した額を支給する。
2.食費及び居住費の助成の対象者
対象者は、利用者負担の免除を受けた者のうち、「施設入所支援」及び「旧法施設支援」等の特定入所サービスを受けた者
対象者 12施設 52人
3.助成額
助成額は、指定障害者支援施設等における食事の提供及び居住に要する平均的な費用の額から特定障害者特別給付費等の額等を控除した額
4.適用期間
東日本大震災に被災したことにより障害者自立支援法第31条の規定による利用者負担の特例を受けることができる期間(平成24年2月29日まで)
障がい者グループホーム等助成事業補助金
1 事業の目的
平成23年3月11日以降、緊急避難的に障がい者グループホーム及びケアホーム等に受け入れ、当該要援護者の家賃、食材料費、光熱水費等の利用者負担の軽減を行っている事業所を対象として、宿泊サービスの提供に要する経費を補助する。
2 補助金の交付要件
緊急避難的に介護保険サービス等の利用者負担の免除を受けた者を、障害者自立支援法で規定する共同生活介護、共同生活援助に受け入れた事業者に対して交付するものとする。
3 対象
3事業所12人
4 適用期間
平成23年3月11日~平成23年8月31日
5 助成額
補助額の算定方法は、利用者1人につき、1日当たり3,350円以内
各経費の限度額
- 宿泊サービスの提供に要する費用(光熱水費を含む。)
利用者1人につき 11日1,970円 - 食材料費
利用者1人につき 1日1,380円
障害者自立支援給付事業
障害福祉サービス利用者負担減免等特別措置事業補助金
1.概要
平成23年3月11日から障がい福祉サービス及び補そう具に係る利用者負担を免除する。
2.利用者負担額免除の対象者
市内全域の、支給決定障害者で介護給付費等を受けているもの
対象 118人
3.支払いが免除されるもの
(1) 障害福祉サービスの利用者負担額
(2) 補装具の利用者負担額
4.適用期間
- 平成23年3月11日から平成24年2月29日まで
精神通院者の健康支援実績
1.調査機関
南相馬市保健師、相双保健福祉事務所保健師、ボランティア医師等
2.訪問対象者
- ① 自立支援医療受給者 1,105人
- ② 通院、入院、死亡等 258人
- ③ ②を抜いた人数 847人
- ④ ③のうち在宅者 235人
-
- 統合失調症 53
- てんかん 14
- 気分障害 115
- その他 53
3.結果
震災後、在宅にいて治療が中断されていると思われる235名を対象に家庭訪問し、治療状況の把握と継続治療への支援を行った。
訪問は、2人ペアで1日1~5チームで行った。
訪問時には、治療状況や健康状態の聴き取り、精神科医療機関の情報提供等を行い、不在者には不在票により連絡先を残した。
訪問の実人数は236件、延243件、そのうち不在80件。また、継続して支援が必要と思われたのは13件、治療が中断していたのは5件だった。
訪問に携わったスタッフは、相双保健福祉事務所保健師、ボランティアの医師、PSW、Ns等、延81人。
① 訪問実績(訪問日毎)
訪問日 | 訪問件数 | 相談件数 | 不在等 | 要継続支援 | 治療中断 |
5月18日 | 17 | 13 | 4 | 2 | 0 |
5月19日 | 21 | 16 | 5 | 3 | 0 |
5月20日 | 16 | 13 | 3 | 0 | 0 |
5月23日 | 5 | 3 | 2 | 1 | 1 |
5月24日 | 6 | 6 | 0 | 1 | 1 |
5月25日 | 22 | 17 | 5 | 1 | 1 |
5月26日 | 23 | 14 | 9 | 1 | 0 |
5月27日 | 38 | 19 | 19 | 2 | 1 |
5月30日 | 18 | 13 | 5 | 1 | 0 |
5月31日 | 28 | 20 | 8 | 1 | 0 |
6月1日 | 33 | 21 | 12 | 0 | 1 |
6月2日 | 16 | 8 | 8 | 0 | 0 |
243 | 163 | 80 | 13 | 5 |
訪問日 | スタッフ数 | 市保健師 | 市看護師 | 保福保険師 | ボラ保険師 | ボラPSW | ボラ看護師 | ボラ医師 |
5月18日 | 6 | 2 | 4 | |||||
5月19日 | 6 | 1 | 2 | 3 | ||||
5月20日 | 6 | 1 | 2 | 3 | ||||
5月23日 | 2 | 2 | ||||||
5月24日 | 2 | 2 | ||||||
5月25日 | 8 | 1 | 3 | 2 | 2 | |||
5月26日 | 7 | 1 | 3 | 2 | 1 | |||
5月27日 | 8 | 1 | 3 | 2 | 2 | |||
5月30日 | 10 | 1 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | |
5月31日 | 12 | 2 | 3 | 2 | 3 | 1 | 1 | |
6月1日 | 10 | 2 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 | |
6月2日 | 4 | 1 | 1 | 2 | ||||
81 | 11 | 18 | 23 | 10 | 12 | 3 | 4 |
② 訪問実績(疾患別)
対象 | 訪問不要 | 追加 | 訪問(実) | 訪問(延) | (不在) | (継続) | (中断) | |
統合失調症 | 53 | 2 | 1 | 52 | 54 | 9 | 7 | 2 |
てんかん | 14 | 1 | 1 | 14 | 14 | 5 | ||
気分障害 | 115 | 3 | 1 | 113 | 117 | 43 | 6 | 1 |
その他の疾患 | 53 | 1 | 5 | 57 | 58 | 23 | 2 | |
235 | 7 | 8 | 236 | 243 | 80 | 13 | 5 |
再掲
4.考察
今回の訪問では、事前の情報以上に治療を継続されている方が多かった。これは震災から2か月以上経過していたためと思われる。震災直後は、治療が受けられなかったり薬の入手方法がわからず、大変な思いをされた。中には訪問時点でも医療機関の情報がなく、必要量の内服をしていない方や中断している方もおられた。「今頃来てなんだ」とお怒りの声もあり、もっと早く必要な情報が伝えられなかったことが悔やまれる。
継続支援の内容は、受診勧奨した方の受診確認、震災後の心のケア、退院後の生活支援等だった。これらは今後、関係機関と連携しながら支援を継続していく必要がある。
5.所感
従来の保健事業では通院者への関わりがなく、情報がほとんどない中での訪問だったが、相双保健福祉事務所をはじめ、ボランティアの協力で実施することができた。「このように訪問してくれるんだ」と驚かれたり、「情報がなくて困った」等の話をうかがった。災害時の対応や情報伝達のネットワーク等の構築のためには、通常の保健事業がいかに大切か実感した。
最近では、避難者は仮設住宅や自宅に戻ってきている状況であり、仮設住宅の健康調査や避難先等との連絡をはかり、安心して生活できるための支援をしていきたいと思う。