第38回障がい者制度改革推進会議(H24.3.12)
大濱眞委員提出資料
第三十八回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
障がい者制度改革推進会議の意義と課題について
委員名 大濱 眞
1.障がい者制度改革推進会議の意義
この「障がい者制度改革推進会議」は、権利条約の締結に必要な国内法の整備がその設置目的であり、関連法を整備することが責務とされている。さらに関係行政機関相互間の緊密な連携を確保しつつ、障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図るために設置されるとある。
従って、「本推進会議」は従来の省庁で設置される審議会等の設置目的の枠組みを超えた、障害者施策全般に取り組む、幅広な議論をする画期的な組織として権能しうる会議として設置された。この会議は三障害の立場からなる障害当事者が過半数を占めた会議として発足し、当事者の意見を最大限引き出し、尊重する姿勢を貫いた。このことは、多くの障害当事者のみならず、福祉を取り巻く多くの人に共感を与えた。勿論その一方で、このような動きに過度な警戒を抱く組織や人達がいたことも事実だ。
いずれにせよ、「本推進会議」が、障害者施策のあるべき姿を一次意見、二次意見として纏め、その成果を改正基本法に十分といえなくても組み込めたことの意義は充分評価されよう。また、総合福祉部会の議論を経て55人部会員の合意として骨格提言が作られ、自立支援法から新たな福祉法と生まれ変わろうとしている。この骨格提言は障害者福祉施策のあるべき姿を具現化すべく策定されており、将来的にも一つの指針として位置づけられるであろう。
また、「中央障害者施策推進協議会」と「本推進会議」の役割はと言われることがあるが、年一回程度、総理大臣出席のもとで開催される中央障害者施策推進協議会は、あきらかに当日意見を述べるに留まる会議である。この「中央障害者施策推進協議会」で障害者施策の実質的な議論は無理である。
2.障害者政策委員会に期待すること( 積み残しの課題も含めて)
今後の課題として、
○「本推進会議」は「関係行政機関相互間の緊密な連携を確保しつつ」とある。しかし、関係の行政、省庁の縦割りの壁は厚い。省庁では、直接省庁に関係することを内閣府主導で議論が進められることに警戒心が強い。今後は、このような縦割り行政( 省庁)と「障害者政策委員会」がどのように融合して、新たな信頼関係を築き、実のある議論ができるかが問われている。
○今後、「政策委員会」が障害者施策全般のあるべき姿を議論し、あるべき姿を現実にしていく過程で避けて通れない課題として財源の確保がある。社会保障と税の一体改革の中で、障害者施策としての財源を今後どう見積り、どう賄っていくのか。「政策委員会」としても最低限の議論はすべきであろう。
○政策委員会は、障害者施策の中で、個別案件として積み残され、取り残されている下記の課題にどう対処していくかが問われている。
a 重度障害者の24時間介助確保(地域移行時の重度障害者の偏在や長時間ヘルパー制度で市町村負担を低減する財政負担割合の仕組み構築)
b 重症心身障害児者の生活基盤の構築( 手厚い医療と介助の確保)
c 精神障害者の社会的入院の解消
以上