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特集/「アジア太平洋障害者の10年」中間年を迎えて

日本作業療法士協会の場合

佐藤 剛

 日本の作業療法士養成は、1963年にアメリカを中心とした外国人教師によって開始された。しかし、その後の20数年間というのは外国人の来日あるいは日本人の海外留学に限られた国際交流であった。近年の日本作業療法士協会とアジア・太平洋の国々との交流についてまとめると、以下のようなことがあげられよう。

1 リハビリテーション世界会議(RI)における国際作業療法会議(東京・1988)

 この地域との交流のきっかけをつくったのがこの会議の企画であった。これは世界作業療法士連盟(WFOT)の協力による企画でもあったが、アジア・太平洋の国々からの参加者が目立った。図にも見られるように、現在この地域で作業療法士の養成が行われているのは14か国である。当時は、まだ養成を開始していなかった国もあるが、この会議のなかでアジア・太平洋地域のネットワーク作りの重要性が提案され、WFOT会議があるたびに集まり、ニュースの発行もなされるようになった。

 図 作業療法士を養成しているアジア・太平洋の国々

図 作業療法士を養成しているアジア・太平洋の国々

2 海外青年協力隊(1979~)

 これらの国々との公式な関係は海外青年協力隊の派遣であろう。1979年にマレーシアに派遣された作業療法士(合計17名)から始まり、タイ(1名)、ソロモン諸島(2名)、ネパール(1名)、中国(1名)へ派遣されている。彼らは直接あるいは間接的に当該国の作業療法の発展に貢献してきている。

3 アジア・太平洋作業療法学会の開催(マレーシア・1995)

 この地域での国際学会がはじめて開催されたのが95年の9月であった。わが国の作業療法士の発表が予想したより多く、特に若い作業療法士間の積極的な交流が見られた。

4 中国リハセンター開設の技術協力(1986~1991)

 北京にあるリハビリテーションセンターの日中協力5年間プロジェクトに日本作業療法士協会が協力し、作業療法科開設のために数名派遣された。また、日本の養成校で中国人の留学生受け入れプロジェクトも継続されている。

5 インドネシア作業療法士の研修協力(1996)

 養成を開始して間もないインドネシアの教員を日本に招き、3か月間の研修が1996年の9 月17日に開始された。これは国際医療技術交流財団の協力をもとに、日本作業療法士協会がはじめて企画したものである。今後もこのような研修を積極的に企画すべきであり、また、同時に海外青年協力隊とは別の角度から作業療法士を派遣する(例えば、教育あるいは研修指導)ことが重要と考える。

(さとうつよし 世界作業療法士連盟日本代表)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年1月号(第17巻 通巻186号) 27頁