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ケアマネジメント

白澤政和

 「ケアマネジメント」とは、個々の要援護者の生活状態に合わせて、要援護者のニーズを明らかにし、ニーズに合致する社会資源についてのきめ細かいケアプランを作成し、これに基づいて実際にサービス等の社会資源を提供していく仕組みのことである。
 ケアマネジメントは、地域の専門家によるケアチームによって実施する場合と、1人のケアマネジャーが実施する場合がある。諸外国でのケアマネジャーはソーシャルワーカーや登録看護婦が中心である。ケアケースマネジメントの援助対象者は、複数のニーズを有している者であり、長期ケアを必要としている高齢者だけでなく、障害者、難病患者、HIV感染者等にも適用することができる。
 ケアマネジメントの過程は、①要援護者を発見することやケアマネジメントを必要とする者のスクリーニングといった入口段階、②高齢者の健康状態、ADL、家族の状況、住環境、社会資源の利用状況などを専門的に評価し、要援護者やその家族が有しているニーズを導き出すアセスメント段階、③それぞれのニーズにもとづきサービスの内容・提供者・頻度を示すケアプラン作成段階、④ケアプランを踏まえてサービス利用の仲介となるケアプラン実施段階、と続いている。その後は、定期的にアセスメントを繰り返し、ケアプランを見直していく。以上の方法で、要援護者に適切なサービスと継続的に結びつけていくことにより、要援護者が地域社会で生活することを可能にさせていく。
 ケアマネジメントは1970年代にアメリカで精神障害者のコミュニティケアを進める中でケースマネジメントと呼ばれて始められたものである。そのため、アメリカではケースマネジメントが一般的である。このケースマネジメントがイギリスに移入され、1990年につくられた「コミュニティ・ケア法」の中で公的用語として、ケアマネジメントが使われた。実際には、両者は同じ意味内容で使われている。
 日本でも1994(平成6)年に厚生省の「高齢者介護・自立支援システム研究会」が介護保険と同時にケアマネジメントの導入を主張して以降、ケースマネジメントに代わってケアマネジメントがよく使われるようになってきた。今後、介護保険で要援護高齢者を対象にしたケアマネジメントだけでなく、障害児者に対するケアマネジメント体制を確立していくことが求められる。

(しらさわまさかず 大阪市立大学生活科学部教授)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年4月号(第17巻 通巻189号)40頁