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列島縦断ネットワーキング

大阪・第14回交野まつりの開催

―地域の人々と障害をもつ人々との心のふれあい―

仲島清和

 障害者ワーキングエリア祭(ふれあい盆踊り大会)は、「地域の人々と障害をもつ人々との心のふれあい」をメインテーマに、ふれあいのまち「交野」のまちづくりの一環として、昭和60年8月31日、障害者ワーキングエリアの施設完成を披露するとともに、日頃閉じこもりがちな障害者や外出したくても1人歩きが難しいこともあってなかなか外出できない障害者のために、盆踊り大会を開き、健常者と一緒になって楽しんでもらおうと、河内音頭の鉄砲光三郎さんを呼んで開催されたのが始まりでした。
 障害者ワーキングエリアは、大阪府が障害者福祉施策の1つとして、昭和56年の国際障害者年から交野市の寺地区に建設を進めてきたものです。「障害者の働く拠点」という共通認識のもとに、種類の異なる4施設が1つのエリアの中で相互に連携を保ち、かつ協力し合うことによって、各施設の機能をさらに高め、障害者が自立し、社会の一員として社会・経済・文化などのあらゆる分野で積極的に活動できるよう、共同して援助していくことを目標としています。

1、大阪府立交野自立センター
  (重度身体障害者授産施設)
  開設 昭和59年12月5日
2、やわらぎ授産所
  (精神薄弱者通所授産施設)
  開設 昭和59年4月2日
3、交野松下株式会社
  (重度障害者多数雇用事業所)
  開設 昭和57年12月1日
4、交野寮
  (単身重度身体障害者勤労者宿舎)
  開設 昭和57年12月1日

 以上の異なる4施設が協力し合いながら、地元地域の建設会社やボランティアの全面支援をバックアップに、地域住民との交流に障害者ワーキングエリア祭が交野市の名物行事になりました。
 第7回を迎えた年に、それまでの交野市のまつりにも夏には盆踊り、秋には文化まつりがありましたが、夏の盆踊りを障害者ワーキングエリア祭に一本化しようということになり、名実ともに交野市の夏まつりとなりました。
 そして、昨年(第13回)から交野まつりを8月に、2日間をかけて盆踊りと文化まつりを集約した市民まつりとし、自治体・地域団体を中心に交野まつり実行委員会を設置し、企画・立案がなされることになりました。しかし、昨年は病原性大腸菌O157の影響で中止せざるをえませんでした。
 今年、第14回交野まつりが、8月2、3日に盛大に開催されました。
 交野市には、七夕伝説の「織り姫」が祭られている神社や、七夕にゆかりのある「天の川」という川が流れており、また一昨年には仙台市で開催された七夕にゆかりのある都市が集まった七夕サミットに参加した経過から、七夕色を前面に出しながら「星のまち かたの」「ふれあいのまち かたの」をキャッチフレーズに健常者、障害者が共鳴できる市民手づくりの「交野まつり」を交野まつり実行委員会のもと企画・立案・実行されました。
 開催場所には、今年7月の「なみはや国体」用に建てられた交野市総合体育館とグラウンドを国体より先に使用することができました。この施設は障害者にもお年寄りにも優しい施設で、まつりの準備にもたいへん力が入りました。
 内容は、ボーイ・ガールスカウト連、子供会、文化連盟、体育協会、体操連盟、JA女性の会、郵便局等が参加のパレードに始まり、メインステージでは市民イベントとして、市の中・高生の吹奏楽や友好都市(兵庫県淡路島五色町)の高田屋太鼓、地域のバンド演奏、大ジャンケン大会、○×クイズ大会、大ビンゴゲーム大会、ウルトラマンキャラクターショウと、子どもから大人まで楽しめる催しが行われました。
 サブ・アリーナでは、幼児向けにミニ遊園地、子ども向けにミニ四駆コースや電撃イライラ棒ゲーム、紙飛行機飛ばし大会などが行われました。
 また、七夕関連の催し物として会場周辺には七夕の笹かざりを飾り付けて、星占いコーナーや仙台市と山田村(富山県)をテレビ電話で結んだ子供七夕サミット、夜には天体望遠鏡を用いてスターウオッチングとロマンあふれるイベントが行われました。
 そして、障害者と健常者の交流の一翼を担おうとアイマスク・車いす体験コーナーを設置して、実際に車いすに乗ってコースを回ってもらったり、アイマスクをして補助だけで歩いてもらったり、少しでも障害者の気持ちや感覚を理解してもらうという企画にもたくさんの参加者がありました。
 グラウンドでは、盆踊りのやぐらと提灯がはりめぐらされ、そのまわりには三十数店の模擬店が立ち並び、その中にはやわらぎ授産所の模擬店(ポップコーンの販売)や交野自立センターの模擬店(障害者が作った作品の販売、ヨーヨーつり)も出店されました。
 盆踊り大会も予定の終了時間が大幅にずれるなど地域の人たちと障害者の交流に大いに盛り上がりました。
 第14回交野まつりは、2日間とも天候に恵まれ大勢の市民参加の中、有意義にかつ盛大に無事楽しく終わることができました。
 今後は、回を重ねるごとに充実した市民まつりを市民自らの手で築きあげていきたいと思います。それには、企画段階での障害者の参画や、障害者のイベントを七夕のロマンにかけながら「健常者」と「障害者」という言葉もいらない、本当の意味での共生できる市民まつり『交野まつり』を実現できるよう頑張っていきたいと思います。

(なかじまきよかず 交野松下㈱)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年11月号(第17巻 通巻196号)64頁~66頁