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川元恭子さん

 自立生活センター小平の代表を務めるかたわら、介護制度の全国団体事務局も担当。他の全国5団体の仲間と2000年障害者介護保障確立全国行動委員会に加わり、国に働きかけている。自立生活センター小平では、年5万5,000時間の介助サービスを行っている。筋ジストロフィー症。

◆現在、自立生活センター小平の利用者はどのようなサービスを受けていますか。

 最も重度の方で1日12時間のホームヘルプサービスと1日8時間の全身性障害者介護人派遣事業(都の上限は8時間)と生活保護の介護制度4時間の計24時間のサービスを受けています。公的な制度を使って、介助者は自立生活センター小平が派遣しています。

◆いまのホームヘルプサービスで満足していますか。

 はい、いまのところ、この小平市と周辺の市では24時間の保障があり満足しています。当会の事務局長も全身性障害者で1日24時間のサービスを受けていますが、ホームヘルプサービスを受けるということは、“生きる”ことであり、またこのホームヘルプサービスがなければ、“仕事をする”ことはできません。

◆介護保険が来年4月から導入されますが、どんな印象をお持ちですか。

 介護保険は、私から見るとどうしても高齢者の方々のサービスという面が拭い切れません。たとえば多くの全身性障害者が現時点で介護保険のサービスを受けるとしたら、1日約2時間のホームヘルプサービス(上限)しか受けられないでしょう。多くの自立障害者が受けている、たとえば1日24時間との差はどうなるのでしょう。
 ですから、私は介護保険と障害者施策の2本だての併用方式でなければ、現行のサービス水準を下回ることになり、障害者の自立も程遠いものになってしまうと思います。

◆介護保険制度で懸念されていることはありますか。

 一つは介護サービスの内容です。介護保険での介護とは「入浴、排せつ、着替え、食事」などの「日常生活介護」を指しています。これのみに限定されると、1日3~24時間のホームヘルプサービスで生きている者は、身動きできなくなってしまいます。それと介護サービスの時間も問題ですが、要介護認定の判定ですね。判定委員会のメンバーが障害者のことをよくご存知の方なのか…気になります。

◆障害者が地域で生活していくためには、ホームヘルプサービスがなくてはなりませんが、介護保険制度によってそれが維持されていくという保障はないのですね。

 いいえ、厚生省の障害保健福祉部では、現状の利用時間は引き下げないようにするという方針です。そのうえで、どのような方式でホームヘルプサービスを行っていくか、国と私たちは話し合いを続けています。

◆実際に、自立生活センターの代表をされて、今後、どのように活動を考えていますか。

 介護保険が導入されて、民間会社のサービスの参入が始まります。幅広いサービスを提供しようと思うと、それなりの規模と予算が必要になります。それに全国でサービスを展開するには、指定居宅サービスの指定を受けざるを得ないので、その要件の一つである法人格取得に、今取り組んでいます。

◆最後に、介護保険制度は今までのような措置型から契約型のサービスへの切り替えと言われ、サービスを受ける側の意識の変革も求められていますが。

 まさにそのとおりです。私たちも、ただ与えられるだけでなく、どういうサービスがあり、何を利用できるのか、自分のライフスタイルにあったサービスを自分で選んでいく必要があります。そのためには制度をよく知り、使いこなしていくぐらいの気持ちがないとだめだと思います。