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街なか探検隊 Vol.14

茨城
黄門様と芸術都市・水戸

井上安博

 観光地に住んでいる当人たちから見ると、そこがどんな有名なところであっても、紹介するとなると「エーッ、こんなところでいいんですか?」などと、つい言ってしまったりします。それでも客観的に見れば改めて「いい所だったんだなー」と感じ入ったりもします。そんなわけで前置きが長くなってしまいましたが、今回「水戸も結構いい所だったんだなあ」と見直しています。
 さて、それでは水戸を紹介してまいりましょう。「水戸と言えば」という問いには、1.納豆、2.水戸黄門、3.偕楽園(日本三大庭園)、4.水戸だから水!!、5.番外で「梅娘」といきたいですね。
 観光地としては「偕楽園」を中心に周辺にもいろいろとあり、それらがまとまっていて日帰り旅行には最適な所でしょう。最近は車いす対応もそれなりに考えているようです。たとえば水戸駅は、ホームから改札まで車いす対応のエスカレーターと、駅の外へは専用のエレベーターがあります。
 偕楽園は水戸駅(北口)から3キロ程度の距離で、繁華街を見ながら歩いても40分ちょっとで着きます。もちろん車いすでもあまり不自由を感じないですみます。偕楽園は神社を併設(こんな言い方変かな)していますので、参道は砂利で迂回が必要ですが、出店がたくさんあってお祭り気分は味わえます(梅の季節時)。庭園内は梅の木が何百本もきれいに並んでいます。中には樹齢が何百年なんていうのもあって黄門様の気分に触れることもできるかな(本当かな?)。
 梅林の横には、黄門様がときどき保養したという2階建ての趣のある「好文亭」があります。残念ながら車いすでは入館できません(せめて前庭だけでも入れるといいのですが)。
 実は庭園の正しい見方というのがあるそうです。それによると「陰道」といって、暗い道を歩いてきてだんだんと明るいところへ出て最後は眺めのいいところへ出るという見方です。今は御門(東)から入るので最初から明るい庭園ですが、気が向いた人はやってみるといいでしょう。それから「梅娘」との記念撮影も旅の思い出にいかがでしょう。車いす用トイレは「好文亭」の近くにあります。
 次は「黄門様」に会いにいきましょう。「偕楽園」からクネクネの坂を下り(ちょっと急ですが電動車いすなら大丈夫)、長い橋を渡ると「千波湖」が開けて清々しい気分になれます(傷心旅行は別ですけど)。「千波湖」にはいろいろな水鳥がいて、冬には白鳥も見られます。
 橋を渡りきると湖畔に実物大の何倍もある「黄門様」が立っています。もちろん本物の顔ですから俳優の佐野浅夫さんには似ていません。ときどき「水戸黄門のテーマ曲」が流れてきたりすると、ついつい笑ってしまいます。茶店もあって一服できます。もちろん“だんご”もあります。
 「千波湖」の周りは遊歩道(4キロ程度)になっていて市民の憩いの場になっています。道路幅も広いので車いすでも少しなら目をつぶっても走れるほどです。芝生の大きな広場もあって、なぜかここには「D51」のSLが展示してあります。車で来る方はここに停めて、クネクネの坂を上がれば「偕楽園」に行けます。
 遊歩道を少し歩くと「茨城県近代美術館」に出会えます。丘の上にありますが、段差はないので腕力に自信のある車いすの方は自力で上がってみてください。もちろんそうでない方は迂回すればエレベーターがあります。この建物では素晴らしい絵や芸術が見られます。今までに「晩鐘」(ミレー)などのバルビゾン派やルノワールなどの絵を見ることができました。常設展も充実しています。もちろん車いす対応の施設で、高齢者や障害者、介助者は無料(手帳提示が必要)です。なお、「偕楽園」を含めたこの周辺の障害者用トイレは全部で6か所あります。
 以上が「偕楽園」を中心にした「お得な観光地セット」です。この他にも水戸周辺には面白いものや興味深いものがあります。個条書的にあげてみます。1.納豆を作っている工場や会社の見学ができます。2.水戸より西方の「御前山」というところでは那珂川でのカヌー教室もあり、数年前には障害者のカヌー教室の企画もありました。3.市内中心には「偕楽園」とそう遠くない所に「水戸芸術館」があり、車いすには不便ですが、係員に声をかければ手を貸してくれます(当たり前ですが)。内容は通の人にはこたえられないものが多く、現代美術や小劇団(有名劇団)の芝居などが盛んです。もちろん通でない方でも楽しめます。クラシック音楽では小澤征爾さんもよく来水します。4.その他に、海にそのまま入れる車いすを常備している「大洗海水浴場」。かの有名な「広道館」。水戸は意外にも学生の演劇(アマチュア演劇)が盛んで多くの劇団が芝居を打っていて、車いすの方には親切に席を作ってくれます。
 というわけで、思い浮かぶ所は全部「大放出」しました。もう後ろを見ても前を見ても何もありません。最後に言い忘れましたが、わが「ライフサポート水戸」もありますので、水戸に来たときはぜひ声をかけてください。観光案内いたします。

(いのうえやすひろ ライフサポート水戸)