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街なか探検隊 Vol.15

千葉
私の住む街・浦安の今

安達洋子

 浦安市は、ディズニーランドのある街として、多くの人に知られている所です。三方を海と川に接して、長い歴史のある旧市街地と、東京湾の埋め立てでできた新市街地とが共存する魅力のある街です。

東西線・浦安駅と周辺

 浦安駅は、元町と言われている地域の中にあります。車いすでこの駅を利用するには、少し勇気が必要です。駅員は快く対応してくれますが階段が多く、ホームへの昇降は、人の手を借りなければなりません。エレベーターは上り方面に途中から1基あるのみです。車いす用トイレについては、駅構内及び外にもありません。駅南口横にスーパーの「西友」があり、ここのトイレなら利用できます。南口にはタクシー乗り場がありますが、バス停はありません。バスが駅前に入ってこられないからです。しかも、車いすで市内の路線バスを利用することは不可能です。バスに車いすマークは付いているのですが、低床バスは走っていないからです。
 駅北口には、スロープがあります。しかし場所が分かりにくいうえ、自転車が止めてあることも多く、この駅を利用する車いす使用者にとっては、悩みの種です。北口から道路に沿って少し歩くと、魚市場に着きます。ここでは新鮮な魚介類や花、その他、生活用品も安く手に入ります。また築地の魚河岸に店のある人や勤めている人がこのあたりに多く住んでいますので、浦安は食べ物屋が多く、評判の良い店が数多くあります。そのため、食べ歩きも楽しみの一つとなっています。
 足を伸ばして江戸川沿いに散策をしていくと、釣り舟や屋形船の船着場が多くあることに気付かれることでしょう。海側から見る浦安の風景や、ディズニーランドの花火と夜景は、とても風情があると多くの人に親しまれています。それに、元町を代表する場所として、フラワー通り商店街があります。わずか200メートル程の通りですが、今も営業をしている銭湯が3軒もあります。ほかに豆腐屋や八百屋、鰻を焼いている店等々、庶民の身近にあった懐かしい家並みが今も健在です。ここ商店街でも多くの家屋が建て替えられ、昔の景観を残す古い建物は少なくなってきてはいますが、資料館として保存されている住宅や人の住んでいる住宅もあり、人情とともにホッとする空間と時間を手に入れたような気持ちになります。最近では、聞くこともなくなった豆腐売りのラッパの音に出合い、立ち止まる、そんな所です。
 また、近くには青瀧神社や豊受神社、そして少し歩くと弁財天と、古くからの歴史をもつ御社があり、4年に一度行われる大祭では、元町全域が祭り一色になり、元町っ子の心意気が伝わってきます。地域に住む人たちにとって、心のよりどころでもあります。1年の締めとしての大晦日の夜は、除夜の鐘の静かな響きと、年明けのディズニーランドの花火の体を突き抜けるような音響とのコントラストを心地良く感じている私です。

京葉線・新浦安駅と周辺

 新浦安駅は、新市街地への入口です。駅構内はいつも混雑しています。大学や各種専門学校が数多くあり、その大半が新市街地にあるからです。そのため多くの学生は、この駅を利用します。駅は若者たちで活気に溢れています。車いす使用者もこの駅を利用する割合が多いので、駅員も慣れていて安心して利用できる駅となっています。ホームへは上下線それぞれにエレベーターがあり、車いす用トイレもあります。
 駅前は南側がロータリーになっていて、バス・タクシー乗り場、ショッピングセンターも周りにあり、大変便利です。車いすですべて利用できるわけではありませんが、おおむね大丈夫です。北側は、下に降りずに道路を渡ることができます。ここには、オリエンタル、ブライトンの二つのホテルがあり、これらのホテルを利用する人にとっても、これまた大変便利であろうと思います。
 さて、車いすではどうか? となりますと少しの手助けが必要です。ホテルで宿泊をと考えている方は、オリエンタルには、ハンディキャップ用が1室ありますが、ほかの部屋は少し不便です。電動の車いすでは、入口が狭くて中には入れません。しかし、各ホテルにはいろいろと特色もあり、ホテル側も介助の必要な場合はお手伝いをすると言っていますので、少し不便ではありますが利用してみる価値はあると思います。

京葉線・舞浜駅と周辺

 ディズニーランドの玄関口です。電車を降りた瞬間、夢の国への想いで胸が一杯になることでしょう。障害者にとっても自分の障害を忘れて楽しむことのできる所です。ディズニーランドでは、第2テーマパークのディズニーシーの工事中です。その他、周辺にはホテル群やNKホールがあります。宿泊のほかにも食事やコンサート、買物にパーティー等、いろいろな楽しみ方ができるエリアとなっています。

充実した公共施設

 市内には、市民のための施設も充実しています。日本でも1、2と言われる図書館がありますし、公民館活動も盛んです。各公民館には、図書室や体育館も備わっていて、障害者も共に利用しています。本の貸し出しについては、重度の障害者には自宅まで届けてくれるサービスがありますので大変喜ばれています。スポーツも盛んで全国大会や国際大会も行われます。
 今、浦安の障害者が親しんでいるスポーツに「ボッチャ」という競技があります。重度の脳性マヒ者が出場権のある「シドニーパラリンピック」から正式種目になる競技ですが、健常者と一緒に楽しめる最適なスポーツで、第1回浦安ボッチャ市民大会が開催されます。
 また、これから最も変貌するであろう地域として、海に接している開発途中の土地があります。今話題の干潟「三番瀬」もこの海岸線の中にあります。ウォーターフロント計画として検討されていて、市民にとって重要な感心事の一つになっています。これからの浦安の街は、市民もそうでない人も目の離せない存在として注目されることは、間違いなしです。バリアフリーが浸透して、障害者が最も住んでみたい街、そんな浦安がつくられることを望みます。

(あだちようこ CIL浦安ドリームセンター代表)