音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

政治参加に関する主要政党による
アンケート結果

 各政党は障害のある人々の政治参加について、どのように考えているのだろうか。今回のアンケートは、主要6政党に対して、選挙権や請願、傍聴など、障害者の政治参加に向けて改善・改革を目指すための考え方と具体的なアイディアをうかがい、これを集計した。
 なお、調査方法は郵送方式とし、締切日を10月5日としたものである。

<編集部>

1.選挙権に関して

1)投票行為について

  投票会場 投票方式
自由民主党 エレベーター等昇降設備のない2階以上の場所は設けない、段差のある場合はスロープを設置 郵便投票(身障者)、点字投票、不在者投票、代理投票など、ねたきり老人等については、介護保険制度の活用も含め今後も検討
民主党 投票所の段差解消、投票の補助など選挙参加のための条件整備の推進  
公明党 スロープなどバリアフリー施設整備の早急な完備。目の不自由な方への投票補助活動への配慮 たとえば点字の投票記入用紙、介添者が安心して投票補助活動ができること
自由党 バリアフリー化の推進 不在者投票、代理投票、点字投票制度の積極的な広報と活用、FAX投票の検討
日本共産党 バリアフリー化の推進(重度障害者のための投票台の設置、点字の候補者名簿、弱視者のための記載台の照明の検討、入場券の点字シールの貼付など障害に合わせた配慮) 在宅投票の手続きの簡素化、ワープロ投票の認可、障害程度の対象範囲の拡大など
社会民主党 段差解消、スロープ化などによるバリアフリーの推進 点字投票の整備、郵便投票方式の活用、記載台の車いす使用者への対応、記載台の候補者名の写真付きの大きな表示、弱視者、知的障害者の投票権の保障


2)情報保障について

  政見放送 選挙公報 その他
自由民主党 手話通訳付き政見放送の積極的活用 候補者の氏名、経歴等を記した点字版「選挙のお知らせ版」の配布 選挙の公平を確保しつつ、投票参加がしやすい環境づくり
民主党 政見放送や選挙公報等選挙情報の提供について、だれもが参加できるための条件整備の推進、及び政治参加へのバリアフリーを進める。選挙活動や選挙運営の改革を通じて、障害者の議会へのチャレンジを応援。
公明党 聾唖者に対する配慮は当然で、放送内容の理解に努める 点字広報紙の普及に努める。予算は国や自治体で負担 政治参加への制約の事態の排除に努める
自由党 テレビ、ラジオ、手話などで基本的に保障、放送日時の広報と放送後も政見放送がみられるようにする(録音、点字など) 選挙公報のより一層の拡大 有効な選挙情報の保障と選挙管理委員会窓口の明確化
日本共産党 参議院比例区と衆議院の政党持ち込みビデオに認められている政見放送の手話通訳をすべての政見放送に拡大すること、及び字幕 点字やテープによる「選挙のお知らせ」の全国普及と、点字の選挙公報の発行義務化(国の財政支援) 立会演説会を復活し、手話を付ける。FAXでの選挙活動を認める
社会民主党 文字放送、手話など 点字広報、拡大文字広報の整備 過去に聴覚障害者の立候補の政見放送が無音で放送されたことがあり、代読などを保障すべき


2.国会請願に関して

  請願の有効性 「採択」になったときの政策への影響 請願の有効度を高めるための改善点
自由民主党 まあまあ有効 まあまあ影響 却下されても息長くつづける
民主党 非常に有効 非常に影響 実現可能性の高い政策の要望が有効度が高い
公明党 まあまあ有効 まあまあ影響 国会情報公開法(仮称)の制定を主張、各メディアや政党への働きかけが必要
自由党 まあまあ有効 まあまあ影響 一つの請願に複数の具体的内容があった場合、一つでも党の政策と異なると全体として反対せざるをえない。特定の政党の後押しや片寄った内容でも同じ
日本共産党 非常に有効 非常に影響 要求が国民の支持に支えられるようにすると同時に、国民の利益を第一にする政治との結合が重要
社会民主党 まあまあ有効 まあまあ影響 現状では会期末に数十分間の採択の可否のみを行っているが、請願自体の審議時間をとり、してほしい採決を行う運動をおこしてほしい


3.国会傍聴に関して

  施設設備、手続き面などの改善点 広報、案内の方法
自由民主党 国会の問題であるが、バリアフリー化の一層の改善 両院で行っているので回答しかねる
民主党 国会のバリアフリー化の推進、インターネットや国会テレビの普及などにより自宅でも容易にアクセスできる方策の推進 対象:党としては特に行っていない。国会がもっと積極的に行うべき
方法:現在は、国会議員の紹介がなければ傍聴できないので、その方法か、インターネットの活用、事後であれば委員会議事録のチェック
公明党 公的施設のバリアフリー化、国会とその周辺施設はモデル施設として早急に整備を進めるべき 対象:主として部会活動を通し連携のとれている団体
方法:各団体との定期的な協議や、機関紙、党のホームページ等の活用
自由党 障害者が手続きが困難な理由から、傍聴できないことを避けるため、国会の責任で補助を行う。バリアフリー化の推進 基本的には「院」が行うもの。ただし、相談には積極的にのる
日本共産党 国会本院、議員会館などの視覚障害者用誘導用ブロックの色・サイズの統一、段差解消、男女別障害者用トイレの増設、傍聴の際の白杖使用の無条件認可など改善の申し入れを行っている 事前の現地調査、関係団体との懇談を行い、国会審議への傍聴の案内を行っている
社会民主党 傍聴席までの単独移動が困難、車イス用のトイレが少ない、点字の案内板、手話通訳等がない、車イス用スペースは3台分で大人数は難しく、事前の届け出が必要 対象:各議員を通じての案内
方法:各団体や傍聴希望者に事前に知らせる


4.今後の国政段階での障害者施策の審議システムについての考え

自由民主党 行革の一環として整理合理化
中央障害者施策推進協議会→内閣府
中央児童福祉審議会→社会保障審議会
身体障害者福祉審議会→疾病・障害認定審査会(仮称)へ移行予定
民主党 審議会や協議会に当事者の代表委員を増やしていくことが大切。現在の総理府障害者施策推進本部は、その権限が形骸化している。省庁再編に合わせ、副本部長として専任の国会議員をおいて、中央障害者施策推進協議会を内閣府に移し、権限強化を図る。さらに、厚生労働省に障害者の雇用・就労と福祉サービス、自立支援を一体として担う新しいセクションを設けるべき
公明党 省庁再編に伴い、新たな編成審議会等の設置、組織、運営に関する指針の作成にあたっては、政策立案に支障をきたすことのないよう検討が進められるべき
自由党 国会審議の活性化
日本共産党 障害者及び障害者分野の関係者が参加する審議システムは、存続、拡充が求められこそすれ、廃止は論外。障害者基本法の精神を踏まえ、有効な審議システムを確立すべき
社会民主党 障害者政策の審議は多岐にわたるので総合的な審議とともに各部会を設置する。審議会は当事者の参加を2分の1以上とし、より多くの障害者団体の代表の参加を得ること


5.各党における障害者施策の審議・検討・研究システムについて

自由民主党 常設:障害者に関する特別委員会 12名
   懸案事項のたびに開催
   党友好団体の意見を中心に反映
民主党 常設:障害者政策プロジェクトチーム 46名(開催の回数は、月2・3回)
   各関係団体との意見交換で政策づくりに反映
公明党 常設ではない(党厚生部会で対処)
各団体からのヒアリング、定期協議、個別要請、視察等を通して得られた成果を施策に生かす
自由党 常設:国民生活社会保障部会 17名(開催の回数は、月4回)
   省庁及び障害者団体等からのヒアリング、意見交換
日本共産党 常設:社会保障対策委員会 6名(開催の回数は、月3回)
   「障害者の全面参加と平等推進委員会」を設置し、団体との懇談会、現地調査を実施して国政に反映させ、対策委員会と連携をとる
社会民主党 常設:障害者政策小委員会 7名(開催の回数は、月3回)
    ※委員長は障害当事者
   障害者議員連絡会 25名(開催の回数は、月3回)
    ※障害当事者を中心とした地方議員の連絡会
ヒアリング等を積極的に行い、政策づくりに役立てる


6.各党における「障害者の政治参加」についての政策等

自由民主党 八代英太議員が率先して政治参加を実現していると自負している。国会内のバリアフリー化は八代議員の尽力によって実現した
民主党 回答なし
公明党 関連法案の審議に際し、障害者や障害者団体の皆さんに公述人、参考人として国会に出席、発言していただけるよう十分に配慮したい
自由党 改革の理念―「フリー」・「フェア」・「オープン」
性差、身分、財産、障害の有無に関係なく、国民のだれもが胸を張って堂々と競争に参加できる、言うならば、「国民が主役の社会」の実現である
日本共産党 他国にはみられない、厳しい選挙活動規制のある公職選挙法を改正し、選挙活動の自由を拡大する。衆議院の比例定数の削減は、民意の反映を一層狭めるものであり、障害者の政治参加をますます困難にすることなので絶対に容認できない
社会民主党 障害者が立候補する場合、障害のない人の選挙活動とは別に、介護、介助などの負担を考慮し、法定選挙費用の増加を認める