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街なか探検隊 Vol.17

青森
青森のちょっと気になるおすすめスポット

和田英人

 港町としての魅力があふれる青森市は、近年さらにウォーターフロントの開発が進み、新しい青森への変貌がいたるところで見られます。
 また、青森のもうひとつの魅力である四季折々の自然や、昔ながらの伝承文化と古代のロマンに触れてみるのはいかがでしょうか。青森は新旧のバランスを取りながら徐々にバリアフリーやユニバーサルデザインが取り入れられていますが、重度の障害者が楽しく自由に過ごすにはまだたくさんのバリアが残されています。街で暮らす重度障害者の視点から、青森の現在の様子を紹介させていただきます。

福祉日本一を目指したまちづくり

 県では平成5年以降「福祉日本一」を大きな目標とし、現在まで「文化観光立県」等のイベントや県内全域を網羅した「でかけようマップあおもり」の作成、平成11年4月に施行された「福祉のまちづくり条例」などを行ってきました。その中で、青森で最も高齢者や障害者に配慮した施設として、イオン下田ショッピングセンターがハートビル法県内第1号の認定を受けました。高齢者や障害者の買い物を手伝ってくれる「ボランティア・ガイドヘルパー」をはじめとするサービスのほか、県内では初めてファミリーブースとして使用できる「みんなのトイレ」や身障者用駐車スペースが設備され、当時としては、類を見ない施設として福祉のまちづくり優良施設大賞を受賞しました。
 また、市民の間にも福祉に対する意識が高まり、商店街や町会が率先して福祉のまちづくりに取り組む姿勢が見え始めました。
 その中でも平成10年に完成した県内100番目の公園「つくだウェザーパーク」は、商店街と町会が呼び掛け、子ども会や障害児者の団体が計画に加わり、市民を中心としたワークショップでつくられたバリアフリーの公園です。
 小さな公園ですが、園内には全く段差がなく、点字案内や点字ブロックが要所要所に配置され、ログハウス風のかわいいトイレは障害者や高齢者、小さな子ども連れのお母さんだけでなく、健康な人も快適に過ごせる空間として考えられました。
 市内の中心商店街、新町も年々バリアフリー化が進み、毎年夏に商店街青年部が中心となり各商店の出店や地ビールの販売、津軽太鼓、車いす綱引きやコンサートなどの内容で「ふれあい広場」という歩行者開放イベントを行い、街の活性化と福祉のまちづくりに努力しています。少しずつですが、青森では福祉のまちづくりが広がりつつあります。

観光! 青森の夏の風物詩「ねぶた」

 青森の夏といえばみなさんご承知のとおり、全国的に知られている「ねぶた祭り」です。
 祭り期間は毎年8月の2日から7日までで、最終日は海上運行と花火大会が盛大に行われます。また、その期間中の8月4日には、市の社会福祉協議会が窓口となり「障害者ねぶた」が運行されます。これにはどんな障害をもった方でも参加することができ、ボランティアの方と一緒になってハネトに加わり、思う存分「ねぶた」を楽しむことができます。
 みなさん、今度の夏は青森に来ておもいっきり「ねぶた」で楽しんでみませんか!
 また、世界自然遺産の「白神山地」の山々に囲まれたブナの原生林の中、家族や友だち同士でログハウスやコテージなどで過ごすのもよいのではないでしょうか。「アクアグリーンビレッジANMON」や「サンタランド白神」には車いす用のコテージや宿泊施設もあり、大自然を大いに満喫できると思います。
 縄文文化の常識を覆した三内丸山遺跡にもボランティアガイドやファミリーブースを備えたトイレがあり、障害があっても十分に縄文ロマンに浸ることができるよう配慮がゆきとどいています。
 市内ではウォーターフロントの象徴、陸奥湾を背にそびえ建つ「観光物産館アスパム」を中心に、青森駅のある西部地区を結ぶ橋「青森ベイブリッチ」や、アスパムの東よりの裏手には「青い海公園」が広がり、ウォーターフロントを散策できる「ラブリッチ」が西へ延びています。この青森ベイエリアは、全体が最も新しい青森の表情を現わしている場所といえるでしょう。夜になると一帯がライトアップされ、一段とトレンディなムードを演出します。車いすでも自由に行動ができるアクティブなスポットとして、ぜひおすすめしたい場所のひとつです。

重度障害者の地域生活を考える市民運動

 重度の障害をもつ私たちが、施設と親から離れて地域で生活をしようとしたとき、住宅探しから日常生活の介助まで、まだまだ実現するためには問題が多すぎるのが現状です。
 青森は国内でも、特に障害者の自立生活運動に関しては20年遅れているというハンディを負いながらも、私たちは平成11年の4月に重度障害者の地域生活を考える市民団体を発足し「障害者自立生活支援センター・ピアネットあおもり」を拠点に活動を開始しました。
 その結果、県内では2人目の、施設を出て電動車いすで一人暮らしをする仲間をつくることができました。彼女は「いろんなことをしていろんな所に行って、いろんな人と出会いたい」と目を輝かせて生活しています。

最後に

 青森は今、県や市や住民が一つになって、一生懸命すばらしい街にしようと努力をしています。それに当事者の私たちが積極的に加わっていくことで、本当にだれもが健やかに過ごすことのできる、きめの細かい街づくりができるのだと思います。これからも「街なかに障害者がいっぱい」を目標に、さまざまな活動をしていきたいと考えています。

(わだひでと 障害者地域生活を考える会)