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列島縦断ネットワーキング

東京
障害者の自立と政治参加を進めるネットワーク

入部香代子

 「障害者の自立と政治参加を進めるネットワーク」の集まりを去る8月1日、2日の両日、「全国障害者解放運動連絡会議」の大会に合わせて東京で行いました。「障害者差別禁止法を日本にも」と訴えた記念講演、そして、各分科会では熱い議論が闘わされました。
 ネットワークは、阪神大震災の翌年の平成8年(1996年)の4月、神戸で結成されました。呼びかけ人は二日市安、楠敏雄、筆者の3人です。障害者の自立と政治参加を進めるため、障害のある私たち自らが先頭に立ち、中央、地方の議会等で活動する障害者を多く送り出すとともに、障害者にかかわる政策立案を行い、それぞれの立場で積極的な提言とその実現をめざすことを目的としています。初会合は4月13、14日の2日間、神戸のYMCAで開かれ、障害者議員8人を含む、25人の参加がありました。それ以後、定例会及び学習会を東京、九州で開催してきました。
 今回の会議には、春の統一地方選挙で当選された障害者議員の方が多数参加され、初めて参加された方も5人ほど入会してくださいました。会としてうれしい悲鳴です。現在の会員は、25人です。
 意見の中で多かったのは、ネットワークで政策を研究し、まとめるには難しいので、まずはネットワークを広めることに力を入れていくべきなのではないか、たとえば四国、北海道などで講演会のような企画をし、障害者の政治参加を求めていくような動きをつくることが大切ではないのか、また、障害者議員であればだれでもいいということではなく、私たちと同じ志を有する障害者の自立と社会参加をめざす障害者議員をつくり出すのが目的であるということを確認し合いました。
 ネットワークではインターネットや介護保険についても話し合われました。インターネットのホームページについては、更新がスムーズにいくように、各会員がそれぞれのレポート内容を逐次更新することでホームページの充実を図っていくことを確認しました。
 介護保険の問題は、実はネットワークでも以前から議論され、学習会などを企画してきました。その中で、介護保険についての要望書を厚生省に提出し、ネットワークとして統一見解を出そうと話し合っていましたが、要望書や統一見解を出すタイミングを逃がしてしまいました。しかし今後、議論して各行政に働きかけることで話がまとまりました。
 介護保険制度の導入によって、障害者施策も従来の措置制度から契約型へと切り替えられる中で、在宅福祉施策の充実がうたわれています。しかし、これまでも厚生省は、在宅重視と言いつつも施設中心型で、地域福祉の整備が欠落しているのが現実でした。このような状況の中で、高齢者や障害をもつ方に選択の権利があると言われても、ショートステイやデイサービス、ヘルパー派遣など、決められたスケジュールの中でサービスを受ける生活では、自分の生きがいを見出し、自分らしさを保ちながら生きるのは非常に難しいことです。サービスを受けるために生活を細かく分けられて生きるのは、だれでも我慢できることではありません。施設重視の政策には賛成できない、施設反対の立場をとりたいという意見もでましたが、最終議論の中で、各担当の議員が行政に最終チェックすることを確認して終了しました。
 チェックすべき項目としては、障害者に関してサービスを低下させない取り組みはあるのか、策定委員会の公募と市での市民参加の割合、市民の声を聞いているのか、在宅サービスと施設の割合、の4点でした。
 2日目は、「全障連」の省庁交渉に参加しました。日頃、地元の役人を相手にしている議員の人たちは、厚生省や建設省などのいい加減な対応にあきれて腹立たしさを隠せない様子でした。
 政治は、本当に私たちの生活に直結する問題です。その政治を私たちが身近に感じられるように、私たちももっとアピールに力を入れなければ大切なことが抜け落ちてしまいます。たとえば、障害者自身の人間としての権利や選択権、この大切なことが、医療技術(早期発見、早期治療)や現時点での教育のあり方で個々の問題、家庭の問題に摩り替えられ、優性思想となる基盤の本質がみえにくく、ともすれば見逃す恐れが多々あります。そのためにも各自治体、あるいは、国会に障害者議員を送り出し、障害者市民として障害者の視点で意見を述べることが重要になってくるでしょう。

(いるべかよこ 障害者の自立と政治参加を進めるネットワーク代表)