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体験
Windowsで世界観を広げる

麻生光陽

 私にとってパソコンは、今や日常生活において必要不可欠なものである。
 私たち視覚障害者は、パソコンを使用する際、音声によるサポートが必要条件である。そういった点で、MS-DOSは非常に理にかなったOSである。音声によるサポートだけで、ほとんどの操作が可能なのである。それに対して、ここ数年で急速に発展し、OSの主流となったWindowsは音声化はされているとはいえ、使用することが困難なものや、ときには全く使うことのできないアプリケーションもある。WindowsというOSはグラフィックを重視しているため、音声化が難しいというのが一番の理由としてあげられると思う。
 しかし、WindowsがOSの基本となった現在、私もその使用を余儀なくされた。今までMS-DOSを使ってきた私にとって、Windowsは多少の抵抗と戸惑いがあった。率直な疑問として、Windowsと聞くとどうしてもマウスによる操作というイメージがあり、果たしてキーボードで操作できるのだろうかというものだった。だが、多少の例外を除き、大半の操作がキーボードでも可能なことに驚いた。簡単な文書作成、ファイル管理、数値処理など、MS-DOSを利用していたときとほぼ同様のことがWindowsでも実現できた。
 私たち視覚障害者にとって、情報の不足という問題はたいへん大きなウエイトを占めている。情報を収集する手段が少ないからである。私はパソコンを利用することにより、その問題を解決することができた。インターネットである。インターネットを始めることで、自分の知りたい、集めたい情報が得られるようになった。趣味はもちろん、ニュースやテレビ番組、各種のイベント情報、また資料作成のための材料となる情報など、さまざまなものが手に入るのである。
 私がインターネットを利用できるのも、やはり音声によるサポートがなされているからである。視覚障害者のWindowsユーザーが増えつつある現在、各メーカーから画面の情報を音声化するスクリーンリーダが多数開発されている。そのスクリーンリーダと、NetscapeやInternet Explorerとの組み合わせによって、快適にネット・サーフィンすることができる。ただ、スクリーンリーダ同士の互換性が低く、その選択が難しいところである。
 私は将来、Windowsでさまざまな新しいことに挑戦したいと考えている。その一つとして、Windowsプログラミングを目標とし、学習をしているところである。視覚障害者にとって、Windowsを使用することは決して無理なことではないと思う。むしろ、それを使うことで世界観が広がると思う。私自身、新しいことに挑戦し続けるという気持ちを常に持ち続けたいと思う。また、視覚障害者にも使いやすいOSを育てるためにも、私たち一人ひとりがもっと声を上げていかなければならないと思っている。

(あそうみつひろ 筑波技術短期大学情報処理学科3年)