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わたしが選んだ今年の5大ニュース
茨城

1 原発「臨界爆発事故」…この時在宅福祉は

 ヘルパーも「室内待機」。どうしてもヘルパーが必要なケースにだけ対応。危険な状態にもかかわらず2件のケースに対応した。サービス利用者もヘルパーの危険を気遣い、ヘルパーの命を張った献身的な対応に感謝。原発管理に怒り心頭!

2 介護保険認定始まる…水戸も「福祉先進地域」?

 水戸の福祉は進んでいるほうではないが、厚生省の到達目標はもっと低いところにある。つまり、先進地域でない水戸も「福祉先進地域」になる可能性がある。実態とのギャップが大きすぎる。高齢者の実態に対してあまりに厚生省(政府)は無知だ。

3 ライフサポート水戸で「移送サービス」始める

 かなり遅ればせながら、水戸でもタクシー会社以外でリフト車を走らせることができてホッとしている。毎月平均100件をこなしている。事務所ももてたし…。

4 タウンモビリティー実行委員会結成!!

 高齢者・障害者に電動車いす(カート)を商店街で無料貸し出しし、だれもが自由に町を歩く。これがタウンモビリティーだ。実験的には各地でも例があるが、さまざまな人を巻き込んで本格的に取り組んだのは水戸が初めて。私が副代表に収まってしまっていいのだろうか(不安)…。

5 1年のニュースを五つだけというのはちょっときつい!!

 というわけで、五つ目はランダムにニュースを挙げたい。
 都市計画課と一緒に本格的に駅周辺をバリアチェック。ボランティア連絡会結成。各地域での電動カート試乗会。黄門さまのお助けマップ完成(福祉マップ)。新県庁内で電動カート6台を無料貸し出し開始。ゆうあいピック開催(知的障害者のスポーツの祭典)。等々…。

井上安博

水戸市在住。44歳。自立生活センターを目指した団体「ライフサポート水戸」代表。水戸市障害者生活支援センターピアカウンセラー。タウンモビリティー実行委員会副代表

神奈川

1 初の脳死臓器移植実施

 1997年に臓器移植法が施行されて以来初めての脳死による心・肝移植が3月、高知赤十字病院の患者を皮切りに行われ、その後、堰を切ったように、次々と4例もの実施が発表された。脳死寸前の状況から生還し、後遺症に苦しみながらも、日々を生きる喜びと共に闘っている当会の当事者、家族にとっては、移植成功という美談の中に、安易な脳死判定により生きる可能性のあった命が切り捨てられていくのではないだろうか、と重大な危惧を感じざるを得ない。

2 東海村JCO、放射能臨界事故

 「いつも通っている工場前の道、その塀の内側で、そんな危険なものが、安易に取り扱われていたとは知らなかった」当会の盟友団体である、茨城遷延性意識障害者の会(希望の会)会長吉田昇氏の弁である。24時間介護を必要とする患者を抱えた家族は避難もままならず、どんなにか不安でご苦労も多かったことかと案じられた。

3 介護保険、政府見直し特別対策決定

 もともと不備な点だらけの法案であったが、実施を目前に控えて、ドタバタと「選挙間近の票取り改変」で見直し特別対策が決まった。実施現場の各市町村では、さぞかしご苦労の多いこととお察し申し上げる。

4 「自賠責保険のあり方に係る懇談会」答申案提出

 ユーザー保護か、被害者保護かをめぐって運輸省と民間保険関連会社とが激しい意見の対立・攻防戦を繰り広げた運用益1兆5000万円が従来通り、ひとまず現行通りの決着となった。被害者団体が声を上げた成果と思う。

5 石原都知事発言

 行政の責任者の発言として、誠に許し難い。現場を知らないことからの発言・発想であると思う。2~3日泊まり込みで見学したら、発言も変わってきたのではなかろうか。

東川悦子

脳外傷友の会・ナナ会長。交通事故等で脳外傷となった当事者・家族の会を2年前に設立。ナナは、厚木市七沢(ななさわ)からとる


愛知

1 点字指導者は約2万8000人と推計

 平成8年実施の身体障害者実態調査報告が発表された。初めて「点字ができる」の調査が行われ、「点字ができる」人は、視覚障害者30万5000人のうちの2万8000人、9.2%であることがわかった。(1月)

2 「養護・訓練」から「自立活動」へ

 文部省は盲・ろう・養護学校の幼稚部教育要領案と小・中・高等部の学習指導要領案を公表した。一人ひとりの障害の状態に応じたきめ細かな指導がねらいで、幼稚部での早期教育相談、「養護・訓練」を「自立活動」に変更するなどの点が注目される。(3月)

3 統一地方選で視覚障害候補者健闘

 9市町村議会選挙で新人4人、現職5人の視覚障害者が立候補し全員が当選。視覚障害議員は全国で13人となった。長岡市と川越市の2議員は盲導犬同伴での議場入りが話題となった。障害当事者の、国、地方レベルでの活動に期待したい。(5月)

4 転落死亡事故契機にホーム全体に点字ブロック(名古屋鉄道)

 名鉄名古屋本線無人駅で目の不自由な男性が、点字ブロックのない部分から線路に転落し、電車にひかれて死亡した事故を受けて、名鉄は「全駅のホームの末端まで点字ブロックを整備する」と発表。(9月)

5 視覚障害の留学生に補助金、文部省が概算要求

 17年前から、盲学校専攻科で鍼、灸、マッサージの習得、日本の福祉や社会・文化を学び各国の盲人活動の指導者になるのを目的に、視覚障害留学生を招いてきた「国際視覚障害援護協会」に対し、来日後の予備教育費用として文部省が概算要求を行った。(8月)

原田良實

社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会長、名古屋市総合リハビリテーションセンター視覚指導課長。中途視覚障害者の相談、訓練指導にあたる


大阪

1 社会福祉基礎構造改革に関する法案制定要綱が示される

 ここ1、2年「社会福祉基礎構造改革」に関する議論が盛んになっているが、異体的な法案が示されたのは今年の8月である。特に、障害者福祉分野でもいくつかの事業で契約制度を導入する方向が示されたことは、今後大きな変化をもたらすことになる。

2 介護保険制度の要支援・要介護認定の開始

 これほど議論が多くなされ、現在でも迷走している制度はまずないだろう。市町村にとっては介護保険に明け暮れた1年だった。

3 精神保健福祉法の一部改正

 今年の6月に公布された一部改正は、精神障害者の人権に配慮した見直しがなされた点と在宅福祉サービスが制度化された点で意義深かった。

4 大阪府精神保健福祉審議会が施設コンフリクト問題に関する答申を発表

 大阪での最大の悩みは、精神障害者施設への地域からの反対運動の激しさである。これに対して「反対運動は障害者への人権侵害である」との府としての見解を示したのが、今年3月に発表された答申と報告書である。行政としてこの問題に態度を明確にした点で評価できる。

5 関西地域で初のオンブズパーソン制度

 今年、枚方市が関西地域の自治体としては初めて制度化を行った。すでに東京の中野区や三鷹市などいくつかの自治体で実施されているが、地域的にかなり限定されていた。

小澤温

大阪市立大学生活科学部助教授。国公立の研究機関を経て現職。身体障害、知的障害、精神障害の3障害の課題にかかわる。ここ2、3年は自治体の障害者計画策定にも数多くかかわっている


大阪

1 公正証書遺言で民法改正へ

 公正証書遺言に手話通訳を認めないとして問題になった民法規定の改正案が決まり、10月末現在、国会の審議と議決を待つだけになった。検察審議会法の聴・視覚障害者の欠格条項廃止が内定したことと共に、聴覚障害者の参加と平等への大きな前進。

2 聴覚障害者を排除する法律撤廃の大運動と内閣による欠格条項見直し方針の決定

 医薬関係法の大半は、国家資格からろうあ者と盲人を閉め出している。聴覚障害者関係の全国組織8団体が結集、昨年10月から全面改正運動を進め、アメリカからろうあ者の歯科医師・看護士を招いての中央集会開催と省庁交渉、200万人突破の署名運動、41都道府県、639市町村議会での意見書採択という成果を上げた。欠格条項見直しの国の方針も出たので、早期実現を期待する。

3 第13回世界ろう者会議(オーストラリア)、第14回世界ろう者冬季競技大会(スイス)に日本代表団参加

 冬季競技大会では女子アルペン回転で銀メダルを獲得。世界ろう者会議では、日本からの理事が引続き選出され、また10名が分科会で研究発表し、国際交流を推進した。

4 岡山Mさん事件で公訴棄却

 不就学のため、読み書きも手話もできないろうあ者の窃盗事件。裁判の意味も伝えられず裁判権とは何かが問われ続け、起訴後19年経って公訴棄却が認められた。

5 ろう重複障害者の家族が無理心中

 大阪府豊中市で34歳のろう重複障害の女性と両親が死亡。介護に疲れた父親が無理心中を図ったもの。知的障害など他の障害を併せもつろうあ者の福祉が、制度の谷間にあることを改めて痛感させられた悲しい事件。

松本晶行

昭和14年生まれ。全日本ろうあ連盟事務局長。弁護士。大阪市大・大阪府大講師


兵庫

1 定藤丈弘教授ご逝去

 1月に定藤丈弘大阪府立大学教授が亡くなられた。先生は地域福祉・コミュニティワークのご専門であった。交通事故で障害をもってからは、自立生活に関する研究や運動に多大な貢献をされたのは周知のとおりである。この地域福祉と障害者の自立生活の結節点の研究においての先生の存在は大きく、この分野での展望を切り開く灯を失った思いである。本年、とくに関西の関係者は、先生の業績をそれぞれの立場で懸命に継承し、模索する自立の年となった。

2 地域福祉権利擁護事業開始へ

 10月1日、当会に兵庫高齢者・障害者権利擁護センター(あんしんネットひょうご)がオープンした。本格実施は来年4月からであるが、すでに障害者の虐待、財産搾取の深刻な相談が寄せられるなど、この事業の重要性と大変さを身に染みている。

3 施設オンブズマン検討委員会始まる

 遅ればせながら、当会においても施設オンブズマンの検討が始まった。知的障害者・身体障害者施設も加わり熱心に討議が進んでいる。課題は「地域にどのように根ざすか」である。

4 介護保険・社会福祉基礎構造改革対応に終始する

 今年10月の要介護認定調査スタート、平成15年の障害者関連法改正、地域福祉計画策定を見据えながらの対応に忙殺された年であった。

5 精神保健福祉法の改正で地域の関心が高まる

 法改正で地域社協も精神障害者分野に関心が高まりつつある。今年も、社協活動で精神保健ボランティア養成から作業所支援の実践が生まれた。地域での受け止めは社協の重要な課題と認識した年であった。

藤井博志

兵庫県社会福祉協議会地域福祉部長兼介護保険対策室長。近年、地域福祉での障害者福祉の取り組みの研究を進めている


福岡

1 日本せきずい基金が発足

 毎年4000~5000人の方が交通事故や転落などで脊髄損傷者となっているが、現在の医学では治せないといわれている。そこで、脊髄再生の可能性を究め、脊髄再生の支援体制をつくることを目的として、10月2日に発足した。初代理事長は大浜真氏。みんなで応援しよう。

2 八代英太氏(脊髄損傷のため車いすを使用)が大臣となる

 国会議員として22年間活躍されている八代英太(本名:前島英三郎)氏が、郵政大臣に就任された。氏はノーマライゼーションの理念に基づき活動されており、国会議事堂だけでなく、全国の郵便局などのハードやソフト面においてもバリアフリー化がより早急に進むことが期待されている。

3 福岡県やさしいまちづくりの条例が制定

 だれもが生活しやすい、やさしい(易しい+優しい)まちづくりを実現するための条例だ。障害者、高齢者、子ども、妊産婦などみんなが安全に、楽しく暮らせるバリアフリーのまちづくりに期待。他人事ではなく、自分の老後のためにもみんなで改善していかなければならない。

4 福岡県福祉用具研究会でケアマネジャーヘの講習会を開催

 介護保険の準備が大詰めを迎えている現在、「福祉用具の選び方・使い方を知らないで介護を必要とする方々のケアプランを作成していては、介護負担の軽減や、自立できる人を増やせない」との考えから開催されたもので、今後の継続と福祉用具の理解が期待される。

5 車いすテニス・USオープンで、日本人ペアが決勝へ進出

 10月に開催された車いすテニスの国際大会で最も歴史のあるUSオープンに出場した、大前(大阪)・長久(カナダ在住)ペアは、日本人として初めて女子ダブルスの決勝に進出した。大前氏は、昨年のマスターズ(世界のトップ8人が競う大会)出場に続く快挙である。

松尾清美

総合せき損センター医用工学研究室主席研究員。専門は機械工学と建築工学。21年間、身体障害者の生活環境設計と福祉機器の開発を行っている。日本リハ工学協会理事。日本車いすテニス協会常務理事


沖縄

1 NPO法人までもう一息

 今年は何としても申請、認証されることを目標にした。11月には認証予定。それに合わせて沖縄県自立生活センター・イルカと名称変更。

2 障害者介護等支援専門員の研修会に参加

 研修会に当事者4人が受講した。ケアマネジャーの中で「ピアカウンセリング」の必要性を痛感している。

3 自立生活を始めた仲間が増える

 施設から念願の自立生活を始めた仲間が増えてきた。1人の力は小さいが、沖縄全体の介護支援態勢や地域社会に大きな反響が出始めている。

4 米軍基地移設反対運動

 事務所の真上をすごい音を出しながら飛びかう米軍機。精神的にいらだつ。移設をしても問題の解決になるのだろうか。

5 自立体験室を設置

 車両競技公益資金記念財団の協力を得て、念願の体験室を設置した。自立に役立ててもらいたい。

長位鈴子

2児の母親として、仕事をもつ女性として、時間に追われる生活をしている。36歳。沖縄県自立生活センター・イルカ代表。夢はアメリカ留学と大学進学