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編集後記

 11月から12月にかけて、マレーシアとスリランカを訪れる機会を得て、初めて行ってきました。
 マレーシアは会議だったのでホテルから出ることなく、ほとんど街中を見ることができませんでしたが、スリランカは出向いた先が首都コロンボから車で3時間以上も走ったところだったので、小さな街の人々の生活を垣間見ることができました。
 街中は道路と歩道の段差が大きく、障害のある人が段差を登りきれないらしく車道を歩いていたり、地雷で足を失ったと思われる人が物乞いをしていたりと、障害者には厳しい状況がありありと見て取れました。
 思わず、「私がここに生まれていたら、どうなっていただろう」と考えずにいられませんでした。2キログラム以下の超未熟児だった私は、多分生き延びられなかったでしょう。たとえ生き延びていたとしても、家から出ることなく暮らしていたかもしれません。
 小さな街や村の人々は障害のあるなしにかかわらず、教育を受ける機会も少なく、結果、生活も大変だそうです。
 この国の障害者を元気づけるために何ができるだろうと、真剣に考えながら帰ってきました。

(O)


 今年の4月から介護保険が実施されます。介護保険は「障害のある人」たちにとっても目が離せないテーマです。それは、2005年の見直しのときに、障害のある人の介護も含まれることが予想されているからです。
 去る12月に開かれたJDフォーラムに参加する機会がありました。「障害者介護」の分科会では、難病や精神障害、知的障害など当事者からの発言がありました。発言者が共通して必要としているものは、「自分らしく生きるために必要な介護(サービス)」ということです。こういったことが介護保険では触れられていません。ですから、介護の基礎的なことを介護保険でカバーし、それで足りないものを福祉サービスで補うという考えに立って、未整備部分の基盤づくりがこれからの課題、という発言が出されました。
 今後は2005年に向けて、障害のある人の介護について議論される機会も多くなってくるのではないでしょうか。
 本誌でも「ケアについての一考察」のコーナーで、いろいろな立場の人から、地域で生活する中でどのようなケアが必要か提案していただいています。
 21世紀に向けて、重要なテーマの一つであり、本誌でも引き続き取り組んでいこうと考えています。

(K)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2000年1月号(第20巻 通巻222号)